JPH07300595A - 物体の表面の潤滑方法 - Google Patents

物体の表面の潤滑方法

Info

Publication number
JPH07300595A
JPH07300595A JP11025895A JP11025895A JPH07300595A JP H07300595 A JPH07300595 A JP H07300595A JP 11025895 A JP11025895 A JP 11025895A JP 11025895 A JP11025895 A JP 11025895A JP H07300595 A JPH07300595 A JP H07300595A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
nickel
transition metal
sample
treated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11025895A
Other languages
English (en)
Inventor
Christopher E D Chidsey
イー.ディー.チゼイ クリストファー
Henry H Law
ホン ロー ヘンリー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AT&T Corp
Original Assignee
American Telephone and Telegraph Co Inc
AT&T Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by American Telephone and Telegraph Co Inc, AT&T Corp filed Critical American Telephone and Telegraph Co Inc
Priority to JP11025895A priority Critical patent/JPH07300595A/ja
Publication of JPH07300595A publication Critical patent/JPH07300595A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Manufacturing Of Electrical Connectors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遷移金属または遷移金属合金(鉄合金または
アルミ含有合金など)からなる物体の表面用の接点潤滑
剤、特に、情報のデジタル記憶用の磁気ディスクと、そ
の情報を読み出すヘッドとの間の界面の潤滑に有用な化
合物を提供する。 【構成】 遷移金属、遷移金属合金またはアルミニウム
含有合金からなる物体の表面に、式、CF3(CF2m
(CF2nPO(OH)2(式中、mは5,7,9また
は11であり、nは0,1または2である)で示される
化合物からなる溶液を塗布することにより物体の表面を
潤滑する。様々な適用方法(例えば、浸軟)が潤滑目的
に有用である。あるいは、液体担体中に微量成分として
添加することにより適用することもできる。このような
担体は例えば、ワックス、精製オイルまたは洗剤などで
ある。他の担体としては、特に内燃機関の潤滑用とし
て、モーターオイルが挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属物体を腐食から保護
するための表面処理に関する。更に詳細には、本発明は
電気接点のようなニッケルメッキ金属素子を保護するた
めの表面処理に関する。
【0002】
【従来の技術】経済的な理由により、現在商業的に使用
されているニッケルメッキ電気接点は比較的薄い(すな
わち、膜厚が0.1〜0.25μm)金メッキ膜をニッ
ケルメッキ膜上に有する。しかし、このような薄い金膜
は一般的に多孔質である。このため、腐食および曇化を
防ぐために、保護表面処理が更に必要である。クロメー
ト(クロム酸塩)表面処理は腐食を或る程度まで防止す
るものと思われる。しかし、金メッキ膜が存在しない
か、または薄過ぎる(すなわち、膜厚が0.1μm以
下)場合、クロメート処理だけでは十分な表面保護が得
られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在まで、クロメート
処理を補うか、または、これの代替となる表面処理法は
開発されていない。また、接点抵抗を殆ど増大させるこ
となく処理表面に十分な耐蝕性を与えることができる表
面処理法も開発されていない。
【0004】従って、本発明の目的は、従来のクロメー
ト表面処理法にとって代わることのできる新規な表面処
理法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】広義には、本発明は優れ
た耐蝕性を有する複数の金属製品の製造方法を提供す
る。このような製品はそれぞれ、電気接点のような金属
素子を少なくとも1個有する。素子の少なくとも一部分
は、ニッケル、ニッケル合金または別の遷移金属で被覆
(例えば、メッキ)されており、形成被膜が外面に表れ
ている。本発明の方法は、被膜の外面をホスホネートま
たは同様な化合物の溶液に浸漬する工程を含む。この処
理により、この処理を受けない製品に比べて、被膜の耐
蝕性が飛躍的に向上する。(或る場合には、ホスホネー
ト処理の前に、遷移金属被膜の上に金のような貴金属被
膜を重層する。このような場合、関連する外面は貴金属
重層被膜の外面になる。)
【0006】耐蝕性は一般的に、様々な方法により測定
される。少なくとも幾つかの用途(特に、電気および電
子工業分野)では、耐蝕性は被膜の外面に付随する電気
的接点抵抗に関連して説明される。
【0007】従って、ホスホネート処理の効力を証明す
るために、本発明により処理された製品について所定の
エージング処理を施し、その後、接点抵抗を測定する。
所定の一連の被膜特性については、周知の統計的方法を
使用し、エージング処理に生き残る製品の予想個数をこ
のような試験から演繹する。一般的に、エージング処理
後も接点抵抗が所定の閾値未満である場合、製品は“生
き残り”と見做される。幾つかの用途におけるこのよう
な閾値の代表的な値は50mΩである。代表的なエージ
ング処理は下記に説明するようなバテル(Battelle)混合
ガス雰囲気に暴露する工程を含む。このような雰囲気へ
の暴露は一般的に24時間にわたって行われるが、幾つ
かの用途では、8時間程度の短い暴露時間も有用であ
る。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明について更
に詳細に説明する。
【0009】電子工業分野で最も一般的に使用されてい
るニッケルメッキまたはニッケル合金メッキ電気接点
は、約0.6〜0.75μmの膜厚の金被膜のような貴
金属被膜が上塗されている。(以下、“ニッケルメッ
キ”とは、概ね純粋なニッケルでメッキされた工作物の
他に、ニッケル合金でメッキされた工作物の両方を呼ぶ
ものとする。)本発明の方法は前記のような比較的厚い
金被膜を有する工作物に限定されることなく、極めて望
ましい経済的効果のために、約0.6μm未満の膜厚の
金重層被膜を有するニッケルメッキ工作物についても使
用可能であり、更に、金重層被膜が全く無いニッケルメ
ッキ工作物についてさえも使用可能である。好ましい実
施例では、本発明の方法は膜厚が約0.1μmの金重層
被膜を有するニッケルメッキ工作物について実施され
る。関連するニッケルメッキは、例えば、標準的なメッ
キ方法または、別法として、スパッタリング法または蒸
着法により形成される。
【0010】本発明の方法はニッケルメッキ被膜を中心
にして説明されているが、本発明の方法はニッケル含有
被膜に限定されることなく、コバルト、チタン、クロム
および鉄のようなその他の遷移金属からなる金属被膜を
保護するためにも有効に使用できる。特に、本発明の方
法のホスホネートおよび同様な化合物は高原子価遷移金
属の大部分または全てと不溶性塩を生成することができ
る。本発明の方法はこのような不溶性塩を生成すること
ができるような全ての金属の表面を保護するために有効
に使用することができる。
【0011】また、本発明の方法は、金以外の貴金属ま
たは金と併用される貴金属で上塗りされた遷移金属被膜
を保護するためにも有効に使用できる。このような代替
貴金属は例えば、白金およびパラジウムなどである。
【0012】工作物はホスホネート溶液に浸漬する前
に、場合により、クロメート溶液に浸漬することもでき
る。クロメート溶液浸漬処理とホスホネート溶液浸漬処
理を組み合わせると、これらのうちの何れかの処理を単
独で行った場合に比べて、極めて高い耐蝕性が得られる
ので、クロメート溶液浸漬処理は一般的に好ましい。
【0013】或るクロメート溶液浸漬処理では、水、ク
ロム酸4g/L,硝酸2g/L,および硫酸0.5g/
Lからなる沸騰水溶液中に各工作物を1分間浸漬する。
浸漬後、工作物を回収し、脱イオン水で濯ぎ、そして、
圧縮空気流中で乾燥される。
【0014】或るホスホネート処理では、各工作物を適
当な室温の溶液中で、例えば循環ボルタンメトリーによ
り検出されるような定常状態を形成するのに十分な時間
にわたって、浸軟させる。(“ホスホネート処理”と
は、下記で詳細に説明されるような、各種のリン酸、ホ
スホン酸塩および同様な化合物による処理を意味す
る。)浸軟工程の一般的に好ましい処理時間は約15分
間である。浸軟工程の終了後、脱イオン水による濯ぎお
よび風乾が行われる。
【0015】好適な溶液は、所望の濃度を得ることので
きる非腐食性溶剤に所望のホスホネート(または類似の
化合物)を溶解させた1〜10ミリモルの溶液からな
る。一般的に好ましい溶剤はエタノールのようなアルコ
ール類である。しかし、その他の溶剤類も容易に使用す
ることができる。(実際、幾つかの用途では、溶液は接
触潤滑剤中で使用するほうが好都合である。このような
場合、好適な溶剤は例えば、ワックス、精製オイルまた
は洗剤などである。)このような処理により、例えば、
ホスホネートの吸着層が処理表面上に形成される。この
ような層は単層であると思われるが、少なくとも或る場
合には、部分層または多層も形成されることがある。
【0016】ホスホネート処理に使用するのに適した化
合物はホスホン酸およびこれらの塩類(例えば、ナトリ
ウム塩またはカリウム塩)およびホスホン酸とこれらの
塩類のモノエステル類などである。
【0017】ホスホネート処理用の一般的に好ましい化
合物は、下記の分子式 C817SO2N(CH2CH3)C24PO(OH)2 で示されるホスホン酸(以下「AP1」という)であ
る。AP1の好ましい溶液は4ミリモルのエタノール溶
液である。別のホスホン酸(以下「AP2」という)は
CF3(CF211(CH22PO(OH)2の分子式を
有する。AP2の好ましい溶液は2ミリモルのエタノー
ル溶液である。
【0018】前記のように、一般的に好ましい化合物は
AP1であるが、本発明の方法は広範なホスホン酸およ
び関連化合物の全てについて有効に実施される。これに
関連して、フッ素化された炭素原子を少なくとも約6個
含有する分子構造の化合物を選択することが望ましい。
吸着層において、この要件を満たす分子は所望の凝着力
を発揮し、そして、基板表面を被覆し、完璧な保護作用
を示す。このような場合は、少なくとも部分的フッ素化
が望ましい。一般的に、フッ素化の度合いだけで相違す
る一連のホスホネート類では、ホスホネートの有望度は
フッ素化の度合いに応じて増大する。
【0019】更に詳細には、少なくとも約6個、しか
し、14個以下の過フッ素化炭素原子を有する、部分的
にフッ素化されたアルキルホスホン酸を選択することが
望ましい。14個よりも遥かに多い炭素原子を有する分
子は一般的に、溶解させるのが困難であるばかりか、低
揮発性のために蒸留操作により精製するのが困難なので
望ましくない。
【0020】多数の炭化水素鎖を有する分子を選択する
ことも望ましい。なぜなら、このような炭化水素鎖は処
理表面の低ホスホネート被膜で優れた保護性を発揮する
からである。
【0021】前記のように、リン酸のモノエステル(す
なわち、ホスフェートモノエステル)およびこれらの塩
類はホスホン酸および関連化合物の代替物として有用で
ある。ホスホン酸官能基はホスフェートモノエステルの
官能基と構造的に酷似している。この点から、この両種
の化合物の遷移金属結合特性も類似していると思われ
る。ホスホン酸の代替物としては、少なくとも部分的に
フッ素化されたホスフェートモノエステルまたは多数の
炭化水素鎖を有するホスフェートモノエステルを選択す
ることが望ましい。
【0022】本発明の方法を実施するのに有用なホスフ
ェートモノエステルの一例は次式、 (式中、nは10〜16の範囲内の整数である。)で示
されるホスファチジン酸である。前記のように、これら
の酸類の塩類(例えば、ナトリウム塩またはカリウム
塩)も本発明の方法を実施するのに有用である。
【0023】有用なホスファチジン酸処理は、前記のホ
スファチジン酸類のうちの何れか一つの酸の1モル濃度
のクロロホルム溶液中で、工作物を室温で例えば、15
分間にわたって浸軟させる工程を含む。浸軟工程の終了
後、脱イオン水で濯ぎ、そして風乾させる。このような
処理の結果、吸着保護層が処理表面上に形成される。場
合によっては、ホスファチジン酸処理に先立って、クロ
メート処理が行われる。
【0024】以下、具体例により本発明の方法を例証す
る。
【0025】実施例1 寸法が0.5インチ(1.27cm)×2.0インチ
(5.08cm)の黄銅クーポンを用いて、本発明の方
法の実験的評価を行った。各クーポンは、標準的なスル
ファミン酸ニッケル浴で膜厚2.5μmの光沢ニッケル
(Ni−b)をメッキし、続いて、膜厚0.1μmの金
をメッキした。幾つかのサンプルを選択し、これらにつ
いて概ね前記に述べたようなAP1またはAP2処理を
施した。ホスホネート処理の前に、幾つかのサンプルに
ついて概ね前記に述べたようなクロメート処理を施し
た。
【0026】50gの加荷重で各サンプルの接点抵抗を
測定した。接点には直径が0.5mmの高純度金線を接
続した。接点抵抗はカイスリーモデル(Keithley Model)
580マイクロオームメーターを用いて最大電圧20m
Vで乾式回路試験モードで測定した。
【0027】塩素10ppb,硫化水素10ppbおよ
び二酸化窒素200ppbを含有する空気中に24時間
にわたって暴露することによりサンプルをエージング処
理した。エージング環境は30℃の一定温度および70
%の一定相対湿度に維持した。この環境を以下、“バテ
ル(Battelle)クラスII混合ガス環境”と呼ぶ。
【0028】エージング処理後のサンプルの接点抵抗の
測定値は次の通りである。未処理サンプルのうち、約3
0%は50mΩ未満の抵抗値であった。(電気的接点の
合格または不合格に関する50mΩの閾値は少なくとも
幾つかの用途では一般的な値である。)クロメート処理
だけを受けたサンプルのうち、約80%は50mΩ未満
の抵抗値であった。クロメート処理に続いて、AP1ま
たはAP2で処理されたサンプルのうち、全てが50m
Ω未満の抵抗値であった。これらの結果を図1に示す。
【0029】実施例2 実施例1に述べたように、寸法が0.5インチ(1.2
7cm)×2.0インチ(5.08cm)の黄銅クーポ
ンを用いて、本発明の方法の実験的評価を行った。各ク
ーポンは膜厚2.5μmのニッケルをメッキし、続い
て、膜厚0.1μmの金をメッキした。ニッケルメッキ
には2種類の異なる方法を使用した。幾つかのクーポン
については、標準的なスルファミン酸ニッケル浴で光沢
ニッケル(Ni−b)をメッキした。他のクーポンにつ
いては、2原子%未満のリンを含有するグレーニッケル
合金(Ni−g)を中性アンモニア浴からメッキした。
【0030】Ni−g合金のメッキ方法は、シー・エー
・ホールデン(C.A.Holden)らの“Plating and Surf. Fi
nish.”,76(4),58(1989)に記載されて
いる。各サンプルについて、概ね前記に述べた通りの、
AP1またはAP2処理を施した。ホスホネート処理の
前に、幾つかのサンプルについて、概ね前記に述べた通
りのクロメート処理を施した。
【0031】各サンプルの接点抵抗を前記に述べたよう
にして測定した。
【0032】幾つかのサンプルについて、バテル(Batte
lle)クラスII混合ガス環境中で24時間にわたって暴
露することからなるエージング処理を施した。
【0033】エージング処理後のNi−gサンプルの接
点抵抗値の測定結果は次の通りである。未処理サンプル
の場合、全ての測定値が50mΩ以上であった。AP1
処理だけを受けたサンプルの場合、全ての測定値が50
mΩ以上であった。従って、これらのサンプルは未処理
サンプルに比べて殆ど改善されていない。しかし、AP
2処理だけを受けたサンプルの場合、約15%が5mΩ
未満の抵抗値を示し、約40%が5〜50mΩの範囲内
の抵抗値を示した。そして、約45%だけが50mΩよ
りも高い抵抗値を示した。クロメート処理を行い、続い
て、AP1またはAP2で処理したサンプルの場合、全
ての測定値が5mΩ以下であった。Ni−gの統計結果
を図2に示す。
【0034】エージング処理された後のクロメート処理
済Ni−bの接点抵抗値の測定結果は次の通りである。
AP1またはAP2処理されたサンプルの場合、全ての
測定値が50mΩ未満であった。ホスホネート処理しな
かったサンプルの場合、測定値の80%が50mΩ未満
であった。Ni−bの統計結果を図2に示す。
【0035】実施例3 実施例2と大体同じようにしてサンプルを製造した。但
し、本実施例ではクロメート処理を行わず、また、金の
重層メッキを行わなかった。EG&Gプリンストン ア
ップライド リサーチ(Princeton Applied Research)モ
デル173電位差安定装置を用いて、サンプルについて
循環ボルタンメトリーを行った。電解液には0.1モル
のNa2SO4を使用した。作用電極としてサンプルを使
用し、対極として白金線を使用した。また、参照電極に
は飽和カロメルを使用した。掃引速度は20mV/秒で
あった。
【0036】AP1処理済Ni−bサンプルの循環ボル
タンメトリーは、AP2処理済Ni−bサンプルの循環
ボルタンメトリーよりも大きなアノード電流を示した。
Ni−gサンプルの循環ボルタンメトリーは、AP1処
理済Ni−bサンプルまたはAP2処理済Ni−bサン
プルと異なり、電気化学的活性を殆ど示さなかった。
【0037】図4にホスホネート処理しなかったNi−
bサンプルの循環ボルタングラムの一例を示す。図5に
AP1で処理されたNi−bサンプルの循環ボルタング
ラムの一例を示す。
【0038】これらの結果は、たとえクロメート処理が
なされず、または、金重層メッキがなされなかったとし
ても、ホスホネート処理によりニッケル(またはニッケ
ル合金)表面を少なくとも多少は保護することができる
ことを示唆している。
【0039】実施例4 実施例2と大体同じようにしてNi−gのサンプルを製
造した。但し、本実施例ではクロメート処理を行わず、
また、金の重層メッキを行わなかった。サンプルを前記
にようにしてAP1で処理した。特定のサンプルを実施
例2の混合ガス環境中で24時間にわたってエージング
処理した後、サンプルの表面を調べたところ、この表面
は絶縁性ニッケル塩で被覆されていることが確認され
た。しかし、エージング処理時間を8時間だけにして行
った場合、未処理のサンプル群に比べて、一群のサンプ
ルは一般的に、接触抵抗の大幅な低下を示した。図6に
この結果の統計処理データを示す。図6から明らかなよ
うに、未処理サンプルの50%超が3mΩよりも高い接
触抵抗値を有していた。これに対し、処理サンプルは僅
か10%だけが3mΩよりも高い接触抵抗値を有してい
た。
【0040】この結果は、クロメート処理を行わず、ま
た、金重層メッキ層が殆どあるいは全く無くても、ホス
ホネート処理だけで、温和な環境で使用されるような、
または、比較的短い交換周期を有するように企図された
安価な構成部品の電気接点を十分に保護できることを示
唆している。
【0041】このような結論は、AP−1処理されたN
i−gサンプルの循環ボルタングラムが電気化学的活性
を殆ど示さなかった実施例3の結果により実証されてい
る。循環ボルタングラムを図7に示す。
【0042】前記のように、“AP2”で示される有用
なホスホン酸はCF3(CF211(CH22PO(O
H)2の分子式を有する。この化合物は一般式、 CF3(CF2m(CH2nPO(OH)2 (式中、mは5,7,9または11であり、nは0,1
または2である)で示されるホスホン酸類の一員であ
る。(AP2はm=11,n=2の場合に対応する。)
【0043】この一般式に含まれる化合物類から選択さ
れる化合物は何れも、前記のような金属保護用途として
ばかりでなく、遷移金属または遷移金属合金(例えば、
鉄合金またはアルミ含有合金)からなる物体の表面用の
接点潤滑剤としても有用である。特に、このクラスの化
合物は、情報のデジタル記憶用に使用される磁気ディス
クと、このような情報の読出しに使用されるヘッドとの
間の界面の潤滑に有用であると思われる。
【0044】様々な適用方法が潤滑目的に有用である。
例えば、前記のような浸軟方法によっても適用すること
ができる。別法として、液体担体中に微量成分として添
加することにより適用することもできる。このような担
体は例えば、ワックス、精製オイルまたは洗剤などであ
る。別の使用可能な担体は、特に内燃機関の潤滑用とし
て、モーターオイルが挙げられる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、ニッケル、ニッケル合金または別の遷移金属がメ
ッキされた、電気接点のような金属素子のメッキ被膜の
外面をホスホネートまたは同様な化合物の溶液に浸漬す
ることにより、接点抵抗を殆ど増大させることなく処理
被膜表面に十分な耐蝕性を与えることができる。金属素
子はニッケル、ニッケル合金または別の遷移金属メッキ
被膜の上に貴金属重層メッキ膜を有することもでき、更
に、ホスホネート処理の前にクロメート処理を行うと、
耐蝕性が一層向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】金重層薄膜を有するニッケルサンプル、表面処
理を施さなかったニッケルサンプル、ホスホネート処理
だけを行ったニッケルサンプルおよびクロメート処理の
他にホスホネート処理も行ったニッケルサンプルの接点
抵抗に与えるエージング処理の影響を示す統計的プロッ
トの特性図である。
【図2】金重層薄膜を有するニッケル合金サンプル、表
面処理を施さなかったニッケル合金サンプル、ホスホネ
ート処理だけを行ったニッケル合金サンプルおよびクロ
メート処理の他にホスホネート処理も行ったニッケル合
金サンプルの接点抵抗に与えるエージング処理の影響を
示す統計的プロットの特性図である。
【図3】金重層薄膜を有し、クロメート処理の他にホス
ホン酸で処理されたニッケルおよびニッケル合金サンプ
ルの接点抵抗に与えるエージング処理の影響を示す統計
的プロットの特性図である。
【図4】非処理ニッケルサンプルの循環ボルタングラム
の一例を示す特性図である。
【図5】ホスホン酸で処理されたニッケルサンプルの循
環ボルタングラムの一例を示す特性図である。
【図6】ホスホン酸による処理を受けていない、および
ホスホン酸による処理を受けたニッケル合金サンプルの
接点抵抗に与える短時間エージング処理の影響を示す統
計的プロットの特性図である。
【図7】ホスホン酸による処理を受けたニッケル合金サ
ンプルの循環ボルタングラムの一例を示す特性図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01R 43/16 6901−5E C10N 30:12 (72)発明者 ヘンリー ホン ロー アメリカ合衆国 07922 ニュージャージ ー バークレー ハイツ、グラスマン プ レース 140

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属、遷移金属合金またはアルミニ
    ウム含有合金からなる物体の表面に、次式、 CF3(CF2m(CF2nPO(OH)2 (式中、mは5,7,9または11であり、nは0,1
    または2である)で示される化合物からなる溶液を塗布
    する工程を有することを特徴とする物体の表面の潤滑方
    法。
JP11025895A 1995-04-12 1995-04-12 物体の表面の潤滑方法 Pending JPH07300595A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11025895A JPH07300595A (ja) 1995-04-12 1995-04-12 物体の表面の潤滑方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11025895A JPH07300595A (ja) 1995-04-12 1995-04-12 物体の表面の潤滑方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4184662A Division JPH07113156B2 (ja) 1991-06-21 1992-06-19 耐食性金属製品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07300595A true JPH07300595A (ja) 1995-11-14

Family

ID=14531138

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11025895A Pending JPH07300595A (ja) 1995-04-12 1995-04-12 物体の表面の潤滑方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07300595A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005196100A (ja) * 2003-12-31 2005-07-21 Rohm & Haas Electronic Materials Llc 非導電性基体を金属化する方法およびそれにより形成される金属化非導電性基体

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3630790A (en) * 1969-05-13 1971-12-28 Dow Chemical Co Method of protection of metal surfaces from corrosion
US4293441A (en) * 1979-03-12 1981-10-06 Minnesota Mining And Manufacturing Company Corrosion inhibiting heat transfer liquid

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3630790A (en) * 1969-05-13 1971-12-28 Dow Chemical Co Method of protection of metal surfaces from corrosion
US4293441A (en) * 1979-03-12 1981-10-06 Minnesota Mining And Manufacturing Company Corrosion inhibiting heat transfer liquid

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005196100A (ja) * 2003-12-31 2005-07-21 Rohm & Haas Electronic Materials Llc 非導電性基体を金属化する方法およびそれにより形成される金属化非導電性基体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07113156B2 (ja) 耐食性金属製品の製造方法
CA1172525A (en) Copper-containing articles with a corrosion inhibitor coating and method of producing the coating
JPH0584004B2 (ja)
JP6224090B2 (ja) 電子部品
EP2373831A2 (en) Electroless palladium plating solution and method of use
Khaled et al. Chemical and electrochemical investigations of l-arginine as corrosion inhibitor for steel in hydrochloric acid solutions
JP3467527B2 (ja) 接点材料及びその製造方法
CN110103584B (zh) 老化测试插座用表面处理金属材料、插座用连接器及插座
US3484209A (en) Corrosion resistant electric contacts
JPH07300595A (ja) 物体の表面の潤滑方法
Stefenel et al. Corrosion inhibition of pure aluminum by morpholine-methylene-phosphonic acid in neutral chloride solution
Antler Corrosion control and lubrication of plated noble metal connector contacts
Fenelon et al. Corrosion protection properties afforded by an in situ electropolymerized polypyrrole layer on CuZn
JP3268386B2 (ja) 腐食防止膜の形成方法
CN100500942C (zh) 一种对HSn70-1黄铜进行表面防腐蚀处理的方法
JP2593568B2 (ja) 電気的デバイスの接点のメッキ方法
Pejić et al. Inhibitory effect of cysteine and lanthanides on AA7075‐T6 in neutral NaCl solution
Law et al. Protective treatments for gold-flashed contact finishes with a nickel substrate
Venkatarangaiah Venkatesha et al. Anti corrosive electroless Ni‐P films for mild steel materials
JP6848022B2 (ja) 金属めっき被覆ステンレス材の製造方法
JPH08311690A (ja) 銅又は銅合金材の防錆処理方法
WO2014196291A1 (ja) 貴金属被覆部材およびその製造方法
Sethy et al. Effect of inhibitor addition on the corrosion behavior of a grain boundary relaxed electrodeposited nanocrystalline Ni–P alloy
JPH07258889A (ja) 金めっき材の封孔処理方法
Zhao Creep corrosion over plastic encapsulated microcircuit packages with noble metal pre-plated leadframes