JPH07297663A - 厚みすべり水晶振動子の製造方法 - Google Patents

厚みすべり水晶振動子の製造方法

Info

Publication number
JPH07297663A
JPH07297663A JP9110194A JP9110194A JPH07297663A JP H07297663 A JPH07297663 A JP H07297663A JP 9110194 A JP9110194 A JP 9110194A JP 9110194 A JP9110194 A JP 9110194A JP H07297663 A JPH07297663 A JP H07297663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
frequency
crystal
thickness
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9110194A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3279054B2 (ja
Inventor
Takao Watabe
隆夫 渡部
Koichi Kawasaki
公一 川崎
Masahiro Kon
雅博 近
Masako Tanaka
雅子 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meidensha Corp, Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd filed Critical Meidensha Corp
Priority to JP09110194A priority Critical patent/JP3279054B2/ja
Publication of JPH07297663A publication Critical patent/JPH07297663A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3279054B2 publication Critical patent/JP3279054B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極材にアルミニウムを使用しながら経年変
化が少なく電気的特性に優れ、しかも安定した周波数調
整ができる製造方法を提供する。 【構成】 水晶板21の表面及び裏面に導通電極25、
26を形成し、保持器22のリード端子23、24と導
通電極とを導通接続してその保持も得る。この後、水晶
板の表面と裏面で対向する対向部を有して主電極27、
28を導通電極に一部重ね合わせて形成し、この主電極
を空気に晒すことなく続けて該対向部の厚さ調整による
共振又は発振の周波数調整を行う。この共振又は発振周
波数調整にリード端子に計測器を接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厚みすべり水晶振動子
の製造方法に係り、特に極薄にした水晶板の電極形成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、情報処理装置の処理高速化ニーズ
は強く、それを実現するのは高速動作のDSP(Dig
ital Signal Processor)であ
り、そのクロック源は水晶振動子である。
【0003】DSPは、ジッターのないデューティ50
%のクロックを必要とする。これを得る最も秀れた方法
は、水晶振動子の周波数をクロックの2倍で発振させる
ことである。
【0004】また、トランジスタあるいは反転増幅器
(これらが個別であったり、LSIの一部として集積内
蔵されたりする)を主素子とする発振回路は、高周波で
発振しかつシンプルになるためには、水晶振動子はオー
バートーンでなくファンダメンタル(基本波)で発振さ
せる必要がある。その上、温度特性にも制約がある。
【0005】このため、これら条件を満たすのは、AT
あるいはBTカットの極薄板の水晶振動子となる。例え
ば、100MHZ発振AT板で0.0167mm厚の水晶
振動子となる。これらの水晶振動子は、以下、AT板で
代表させる。
【0006】このような極薄の水晶振動子は、近年急速
に進歩した研磨機と研磨技術、さらにフォトリソグラフ
ィによるエッチング技術で代表される加工技術によって
工業的に生産可能となってきている。
【0007】他のニーズとして、無線装置に組み込まれ
る極薄の水晶メカニカルフィルタがある。電波の利用が
多くなり、より多くの通話チャンネルを使うのに、キャ
リア周波数の高周波化(例えば800MHZ帯→19G
Z帯)とチャンネル間隔の狭帯域化(例えば50KHZ
→12.5KHZセパレーション)がなされる。
【0008】その実用化へのキーパーツは、中心周波数
の高い狭帯域バンドパス水晶メカニカルフィルタとな
る。中心周波数は、例えば70MHZあるいはそれ以上
で、この場合も回路との整合性が良いファンダメンタル
発振で極薄のATカット水晶振動子板が選択される。こ
の極薄水晶メカニカルフィルタの生産も前記と同様の技
術でなされる。
【0009】図5は、従来からある水晶振動子の組立図
(a)と水晶板の側面図(b)を示す。四角形のAT水
晶板1には、表面及び裏面に電極膜2、3が形成され
る。電極膜2、3は水晶板1の中央部の表面と裏面で対
向する対向部2A,3Aが形成され、該対向部2A,3
Aに続くリード部2B,3Bが両側部まで形成される。
【0010】AT水晶板1の保持器4には、一対のリー
ド端子5、6が貫通固定され、該リード端子5、6にA
T水晶板1の電極膜2、3のリード部2B,3Bがそれ
ぞれ導電接着で固定され、電極引き出しと水晶板1の支
持がなされる。
【0011】ここで、水晶板1の厚みは、例えば100
MHZ振動子で0.0167mm、電極膜2、3の厚みは
500Å〜3000Å(0.00005〜0.0003m
m)である。また、水晶板1の平面寸法は、約4mm角
である。
【0012】また、保持器4は、矢印方向から見て丸形
あるいは長円形で、セラミックあるいはコバール・ガラ
スで形成される。また、図示省略するが、一般に、保持
器4には水晶板1を覆うキャップが接合部4aに抵抗溶
接あるいは高周波溶接され、キャップ内部は真空又は乾
燥窒素ガス(N2)で置換される。
【0013】なお、水晶板1の平面形状は、四角形のも
のを示すが、丸形あるいは四辺に縁(厚肉部)がある形
状のもの、あるいは下辺部のみに縁がある形状など種々
のものがある。これら縁を持つものは、水晶振動子の落
下等に対する耐振動性・耐衝撃性の強化やフォトリソグ
ラフィ加工後の後処理省略等を目的として適宜選択され
る。
【0014】次に、従来の水晶メカニカルフィルタの構
造例を説明する。図6は、四辺に縁を持つ水晶板と電極
膜からなる水晶メカニカルフィルタの上面図(a)とそ
の裏面図(b)及び側断面図(c)を示す。同図中、水
晶板11の表面には中央部に電極膜12が形成され、そ
のリード部12Aが水晶板11の縁部まで引き出され
る。
【0015】また、水晶板11の裏面には電極膜12に
対向する位置で、分割された一対の電極膜13、14が
形成され、それらのリード部13A、14Aが水晶板1
1の縁部まで引き出される。
【0016】この構造は、典型的な3電極エネルギー閉
込めモノリシック水晶メカニカルフィルタを構成する。
このような構造において、水晶板11は、フォトリソグ
ラフィ加工で形成される。また、その保持器は、図7に
上面図(a)と側面図(b)及び他の側面図(c)で示
すように、SMDタイプのセラミック保持器にされ、水
晶板11が収納された配置で保持及び電極膜12〜14
との接続がなされる。
【0017】保持器15の蓋16は、金属製又はセラミ
ック製にされ、水晶板11を保持器15内に気密封止す
る。したがって、保持器内部は、前記の水晶振動子と同
様に、真空あるいは乾燥窒素ガス(N2)で置換され
る。
【0018】17〜19は、金属パッドであり、収納さ
れる水晶板11の電極膜12〜14とは保持器内部でそ
れぞれ接続される。
【0019】次に、図5又は図6で示す構造の水晶振動
子の製造手順を図8を参照して説明する。
【0020】水晶板は前記の1又は11であり、保持器
は前記の4又は15であり、蓋は前記のキャップ又は1
6である。
【0021】電極膜形成(S1)は、真空蒸着又はスパ
ッタリング等で金属電極膜2、3又は12〜14を形成
する。
【0022】保持器固定(S2)は、保持器のリード端
子5、6と水晶板1のリード部との間の接着、又は保持
器15のパッド17〜19の内部端子と水晶板11のリ
ード部12A〜14Aとの間の接着になり、導電性接着
剤の塗布とキュアでなされる。
【0023】周波数調整(S3)は、水晶振動子の場合
はキャップによる封止前の図5の(a)に示すものを真
空中に置き、水晶振動子を発振又は共振させながら電極
膜2A,3A部分に金属を重ね蒸着し、所望の周波数ま
で動作周波数を低下させる。メカニカルフィルタの場
合、対向3電極膜12〜14の4つの周波数、すなわち
対数モード周波数fsと斜め対称モード周波数faと片方
電極周波数f1及び他方電極周波数f2が所望の値になる
よう金属の重ね蒸着量を調整する。
【0024】特性検査(S4)は、水晶振動子の場合で
は、主に、周波数が所望の偏差値内にあるか否か、及び
共振抵抗が所望の値以下にあるかなどを検査する。水晶
メカニカルフィルタの場合、前記の4つの周波数fs
a,f1,f2の周波数チェックと、フィルタとしての
特性(中心周波数、帯域幅、リップル、挿入損失など)
をチェックする。
【0025】なお、この特性検査は、次の工程になる保
持器収納によってそれらの特性に有意な変化が表れない
ことの裏付けが得られるときは省略される。
【0026】保持器収納(S5)は、水晶振動子の場
合、キャップを保持器4の接合部4aにシールする。メ
カニカルフィルタの場合は、蓋16を保持器15にシー
ルする。何れも、シールされた内部は真空又は乾燥窒素
ガス(N2)置換がなされる。
【0027】特性検査(S6)は、特性検査(S4)で
行う検査に加えて、シールの完全性チェックなどが入
る。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】従来のAT極薄水晶振
動子、又は水晶メカニカルフィルタは、エネルギー閉込
め理論で設計される。その代表的な文献は「エネルギー
閉込め形圧電共振子の解析、尾上・十文字、電気通信学
会誌、VOL48、1574(昭和40年)」である。
【0029】ここで、極薄水晶板の厚みを0.04m
m、輪郭寸法が4mm程度とすれば、輪郭寸法と厚みの
比は100以上となる。従って、設計のポイントは、電
極の大きさと厚み及び電極形成のための金属の選択であ
る。
【0030】このうち、電極の大きさ(図5では電極膜
2と3が対向する部分、図6では電極膜12〜14が対
向する部分)は、水晶振動子の場合は発振回路の要求
(モーショナルキャパシタンスが大きい、共振抵抗が低
い)から、水晶メカニカルフィルタの場合は低い終端イ
ンピーダンス、挿入損失の低減から、より大きい方が望
まれる。
【0031】この電極の大きさを逆に制約するのは、以
下の2つの要求、 (1)水晶板面上の輪郭での固定の影響のない輪郭対電
極の寸法比がエネルギー閉込めの度合いが十分あること
から6以上望まれること。
【0032】(2)電極下の水晶厚みの平行度が充分あ
り、少なくとも凹面ではない。
【0033】であり、上記とのトレードオフで電極の大
きさが決められる。
【0034】次に、電極の厚みと金属の関係について説
明する。まず、電極の対向部の大きさ(図5の対向部2
A,3Aの大きさ)が2a角とすると、上記の文献に準
ずれば、板面が充分大きい振動子板であるため、その”
閉込め”は次の(1)式の解である。
【0035】
【数1】
【0036】その周波数解fは、次の(2)式のφが1
〜0の間で存在する。
【0037】
【数2】
【0038】上記の(1)、(2)式で、ke、ksは、
次式になる。
【0039】
【数3】
【0040】H:水晶振動子板の厚み fs:電極のない部分の水晶振動子の固有周波数 fe:対向部がある部分の水晶振動子の固有周波数 また、固有周波数fs、feは、次式で決まる。
【0041】
【数4】
【0042】ρ:水晶板の密度、2.65g/cm366’:水晶板の厚み方向の弾性定数 t:対向電極の片方の厚み ρe:対向電極の密度 よく知られているエネルギー閉込め曲線は、上記の
(2)式のφと次式の変量ξ
【0043】
【数5】
【0044】λ:厚み方向と輪郭方向の弾性定数の比 Δ:周波数戻り量 との関係で示される。
【0045】前記の(1)式に戻って、上段の解は対称
モード(Sn)で、下段の解は斜め対称モード(an)で
ある。変量ξを大きくすると閉じ込められるモード次数
nは以下に示すように順次多くなる。
【0046】
【数6】
【0047】ここで、水晶振動子の場合、閉じ込めるモ
ードはS0だけであるから、上記の変量ξは次式の範囲
にされる。
【0048】
【数7】
【0049】しかし、中心点に対して対称な水晶板及び
電極が形成できれば、斜め対称モードa0は励振されな
いため、変量ξは次式の範囲
【0050】
【数8】
【0051】まで広げてS1モードを閉じ込めないよう
にできる。
【0052】上記の(11)式は、前記の(8)式よ
り、設計条件は次式になる。
【0053】
【数9】
【0054】この式中、λは水晶の温度特性から選んだ
角度AT板で、支持方向をZ0’軸としたから、
【0055】
【数10】λ=0.52 となり、Hは100MHZ発振の場合に0.0167mm
で、前記からa=0.2mmが選ばれたとすると、周波
数戻り量Δは
【0056】
【数11】Δ<0.0128 ……(13) の制限のもとに電極を形成することになる。
【0057】周波数戻り量の目安は、電極材の密度をρ
eとすると、前記(9)、(5)、(6)、(7)式か
ら次のように決められる。
【0058】
【数12】
【0059】良く用いられる電極材としての金、銀、ア
ルミニウムについて計算すると、それぞれの密度ρe
の関係から電極膜の厚みtの制限は以下の表になる。
【0060】
【表1】
【0061】ここで、電極の他の条件として、電気抵抗
が小さいことであり、これら金属の中でアルミニウムだ
けがそれを満たし、金及び銀は薄膜抵抗化して使用でき
ない。水晶メカニカルフィルタの場合も同様である。
【0062】以上までのことから、極薄の水晶振動子及
び水晶メカニカルフィルタの電極材にはアルミニウムが
選ばれる。
【0063】しかしながら、アルミニウムは、図8に示
す製造工程において電極形成(S1)から保持器固定
(S2)の間に電極表面が酸化し、アルマイト化する。
【0064】このため、周波数調整(S3)の工程で、
同種又は異種の金属による周波数調整加工が不安定にな
ると共に、周波数調整された電極面は図9の(a)に示
すように、アルマイト化した膜の表面に周波数調整の金
属が付着した構造になる。
【0065】また、アルミニウムを電極材とする場合、
電極の薄膜化に伴い、金や銀の電極材に比べてリード部
の抵抗値の増大が問題となる。
【0066】このような事情から、アルミニウムを電極
膜とする従来の水晶振動子及び水晶メカニカルフィルタ
の製造方法では、電気的な特性が悪くなり、また経時的
な安定性も保証できないものになる。
【0067】なお、電極材を金又は銀とする場合、周波
数調整(S3)の直前に化学的あるいはプラズマ放電等
により電極表面の清浄化が可能であり、図9の(b)に
示すように、周波数調整の金属との同化を得ることがで
きる。
【0068】本発明の目的は、電極材にアルミニウムを
使用しながら経年変化が少なく電気的特性に優れ、しか
も安定した周波数調整ができる厚みすべり水晶振動子の
製造方法を提供することにある。
【0069】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題の解
決を図るため、極薄の水晶板の表面と裏面に対向部を有
してアルミニウムの電極を形成し、前記対向部に重ね蒸
着する金属の厚さによって発振又は共振周波数の周波数
調整をする厚みすべり水晶振動子の製造方法において、
前記電極形成は、少なくとも前記対向部を除いて導通電
極を水晶板面に形成し、前記導通電極の一端を保持器の
リード端子に接続し、電極形成装置内で前記水晶板の対
向部から前記導通電極までのパターンを持つアルミニウ
ムの主電極を形成し、前記リード端子を周波数調整用計
測器との接続端子とし、前記主電極の形成後に該主電極
を空気に晒すことなく連続的に前記電極形成装置内で周
波数調整の金属蒸着を行うことを特徴とする。
【0070】また、本発明は、極薄の水晶板の表面と裏
面に対向部を有してアルミニウムの電極を形成し、前記
対向部に重ね蒸着する金属の厚さによって発振又は共振
周波数の周波数調整をする厚みすべり水晶振動子の製造
方法において、前記電極形成は、少なくとも前記対向部
を除いて導通電極を水晶板面に形成し、電極形成装置内
で前記水晶板の対向部から前記導通電極までのパターン
を持つアルミニウムの主電極を形成し、前記導通電極の
一端部を周波数調整用計測器との接続端子とし、前記主
電極の形成後に該主電極を空気に晒すことなく連続的に
前記電極形成装置内で周波数調整の金属蒸着を行うこと
を特徴とする。
【0071】
【作用】
(第1の発明)電極は導通電極と主電極との2段階の工
程で形成し、導通電極は保持器のリード端子との接続を
得ておくことで後の周波数調整のための計測器との接続
を得、主電極の形成と周波数調整のための金属形成を同
一の電極形成装置内で連続的に行うことにより、アルミ
ニウム電極が空気に晒されてそのアルマイト化するのを
防止し、周波数調整のための金属の重ね蒸着に主電極と
の同化を得る。
【0072】(第2の発明)導通電極の形成で該導通電
極を周波数調整のための計測器との接続端とし、主電極
形成と周波数調整を連続的に行う。
【0073】
【実施例】図1は、本発明の一実施例を示す製造工程図
である。
【0074】導通電極形成(S11)は、極薄の水晶板
に電極膜のリード部のみ、又はリード部のうち保持器の
リード端子との接続を得るリード部分に相当する導通電
極を形成する。すなわち、一対の電極のうち、水晶板を
挟んで対向する対向部を形成しないでおく。
【0075】保持器固定(S12)は、工程(S11)
で形成した電極膜の導通電極に保持器のリード端子を接
続する。この工程は従来の保持器固定(S2)と同様に
される。
【0076】上記までの加工により、例えば、水晶振動
子では、図2の(a)に保持器を接続した状態を示すよ
うに、水晶板21の表面及び裏面には保持器22のリー
ド端子23、24に接続する導通電極25、26の電極
形成をし、この導通電極25、26とリード端子23、
24とを接続して水晶板21を保持器22に固定する。
【0077】ここで、導通電極25、26は、高い導電
性と表面の清浄性や無電蝕性に優れるものが好ましく、
例えば電極膜として扱いなれた金又は銀が好ましい。
【0078】また、導通電極25、26は、発振動作に
影響のない範囲で幅広くかつ厚く、さらに電極膜の対向
部に近い部位まで延ばすのが共振抵抗や挿入損失の低減
等を図るのに好ましくなる。
【0079】電極形成(S13)は、水晶板21の中央
部の表面と裏面に所定のパターンになる対向部を持つ電
極(主電極)27、28を形成する。この主電極27、
28は、アルミニウムで形成され、図2の(b)に示す
ように、導通電極25、26に一端を重ね合わせ、水晶
板21の中央部で対向する面構成になる。また、主電極
27、28の形成方法は、従来と同様に真空蒸着又はス
パッタリング等でなされる。
【0080】周波数調整(S14)は、電極形成(S1
3)に続いて同一真空チャンバー内で連続して行い、形
成された主電極27、28を空気に晒すことなく該主電
極面に金属の重ね蒸着を行う。このとき、金属の重ね蒸
着量調整のための発振又は共振周波数計測は、リード電
極23、24を使って外部の計測器との接続を得る。
【0081】この電極形成(S13)と周波数調整(S
14)は、具体的には、個別品を電極形成と周波数調整
の順に多数個について行うか、または複数個を同時に電
極形成し、その後に順次個別に周波数調整を行う。
【0082】保持器収納(S15)と特性検査(S1
6)は、従来と同様に、真空又はガス封入したキャップ
又は蓋の取り付けと、周波数や共振抵抗などの電気的特
性を検査する。
【0083】したがって、本実施例によれば、アルミニ
ウムによる主電極27、28の形成と周波数調整が同一
真空チャンバー内で連続的に行われ、主電極が空気に晒
されることなくその上に金属の蒸着がなされるため、ア
ルミニウムのアルマイト化を起こすことなく金属の重ね
蒸着ができ、経年変化のない主電極形成及び安定した周
波数調整を行うことができる。
【0084】また、導通電極25、26は、金や銀で形
成することができ、その表面の清浄化を容易にして主電
極形成時の同化を確実にする。さらに、リード部の抵抗
値を小さくし、共振抵抗と挿入損失の極小化を図ること
ができる。
【0085】図3は、本発明の他の実施例を示す製造工
程図である。
【0086】本実施例が図1と異なる部分は、導通電極
形成(S21)の後、電極形成(S22)と周波数調整
(S23)を同一チャンバー内で連続的に行う点にあ
る。その後の保持器固定(S24)と特性検査(S2
5)と保持器収納(S26)及び特性検査(S27)は
同様の加工になる。
【0087】なお、周波数調整は、保持器固定の前に行
うため、計測器との接続には、プローブピン等を導通電
極部に接触させて行う。
【0088】本実施例においても、アルミニウムの主電
極形成を行う電極形成(S22)と主電極面に金属を重
ね蒸着する周波数調整(S23)は、連続的に行うこと
で主電極面を空気に晒すことが無くなり、前記の実施例
と同様の作用効果を得ることができる。
【0089】なお、導通電極形成(S21)と電極形成
(S22)との間で空気に晒すか否かは、電極形成装置
(蒸着機、スパッタ等)によるが、空気に晒される場合
には主電極形成に必要な導通電極の清浄化処理を行う。
【0090】図4は、実施例における水晶メカニカルフ
ィルタの電極形成例を示し、水晶メカニカルフィルタの
上面図(a)とその裏面図(b)及び側断面図(c)を
示す。
【0091】四辺に縁を持つ水晶板31の表面及び裏面
には縁部から中央部近辺にわたって導通電極32、3
3、34が形成され、主電極35、36、37が水晶板
31の中央部から導通電極32、33、34までの間に
形成され、3電極エネルギー閉込めモノリシック水晶メ
カニカルフィルタを構成する。
【0092】このような水晶メカニカルフィルタにおい
ても、導通電極32、33、34を形成した後、主電極
35、36、37の形成と周波数調整が同一チャンバー
内で行われ、アルミニウムの主電極のアルマイト化を防
止した製造を可能にする。
【0093】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、アルミ
ニウムを電極材とする電極形成において、導通電極を水
晶板面に形成しておき、この導通電極の一端を保持器の
リード端子を介して又は直接に計測器との接続端とし、
電極形成装置内で水晶板の対向部から前記導通電極まで
のパターンを持つアルミニウムの主電極形成と、その後
の周波数調整の金属蒸着を連続的に行うようにしたた
め、以下の効果がある。
【0094】(1)アルミニウム電極が空気に晒されて
そのアルマイト化するのを防止し、周波数調整のための
金属の重ね蒸着に主電極との同化を得、安定した周波数
調整ができる。
【0095】(2)主電極と重ね蒸着する金属の同化に
より経年変化が無くなる。
【0096】(3)導通電極は金又は銀のように導電性
が高くかつ取り扱いの容易な金属を使用でき、共振抵抗
や挿入損失を小さくして電気的に良好な特性を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す製造工程図。
【図2】実施例の水晶振動子構造。
【図3】本発明の他の実施例を示す製造工程図。
【図4】実施例の水晶メカニカルフィルタ構造。
【図5】従来の水晶振動子の構造。
【図6】従来の水晶メカニカルフィルタの振動子構造。
【図7】水晶メカニカルフィルタの保持器。
【図8】従来の製造工程図。
【図9】電極膜の断面図。
【符号の説明】
21、31…水晶板 22…保持器 23、24…リード端子 25、26、32、33、34…導通電極 27、28、35、36、37…主電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 雅子 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式会 社明電舎内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極薄の水晶板の表面と裏面に対向部を有
    してアルミニウムの電極を形成し、前記対向部に重ね蒸
    着する金属の厚さによって発振又は共振周波数の周波数
    調整をする厚みすべり水晶振動子の製造方法において、 前記電極形成は、 少なくとも前記対向部を除いて導通電極を水晶板面に形
    成し、 前記導通電極の一端を保持器のリード端子に接続し、 電極形成装置内で前記水晶板の対向部から前記導通電極
    までのパターンを持つアルミニウムの主電極を形成し、 前記リード端子を周波数調整用計測器との接続端子と
    し、前記主電極の形成後に該主電極を空気に晒すことな
    く連続的に前記電極形成装置内で周波数調整の金属蒸着
    を行うことを特徴とする厚みすべり水晶振動子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 極薄の水晶板の表面と裏面に対向部を有
    してアルミニウムの電極を形成し、前記対向部に重ね蒸
    着する金属の厚さによって発振又は共振周波数の周波数
    調整をする厚みすべり水晶振動子の製造方法において、 前記電極形成は、 少なくとも前記対向部を除いて導通電極を水晶板面に形
    成し、 電極形成装置内で前記水晶板の対向部から前記導通電極
    までのパターンを持つアルミニウムの主電極を形成し、 前記導通電極の一端部を周波数調整用計測器との接続端
    子とし、前記主電極の形成後に該主電極を空気に晒すこ
    となく連続的に前記電極形成装置内で周波数調整の金属
    蒸着を行うことを特徴とする厚みすべり水晶振動子の製
    造方法。
JP09110194A 1994-04-28 1994-04-28 厚みすべり水晶振動子の製造方法 Expired - Fee Related JP3279054B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09110194A JP3279054B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 厚みすべり水晶振動子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09110194A JP3279054B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 厚みすべり水晶振動子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07297663A true JPH07297663A (ja) 1995-11-10
JP3279054B2 JP3279054B2 (ja) 2002-04-30

Family

ID=14017139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09110194A Expired - Fee Related JP3279054B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 厚みすべり水晶振動子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3279054B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11284484A (ja) * 1998-03-26 1999-10-15 Toyo Commun Equip Co Ltd Uhf帯基本波水晶振動子及びフィルタ
WO2021186790A1 (ja) * 2020-03-19 2021-09-23 株式会社村田製作所 水晶振動素子、水晶振動子及び水晶発振器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11284484A (ja) * 1998-03-26 1999-10-15 Toyo Commun Equip Co Ltd Uhf帯基本波水晶振動子及びフィルタ
WO2021186790A1 (ja) * 2020-03-19 2021-09-23 株式会社村田製作所 水晶振動素子、水晶振動子及び水晶発振器

Also Published As

Publication number Publication date
JP3279054B2 (ja) 2002-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3401276A (en) Piezoelectric resonators
WO1998038736A1 (fr) Vibrateur piezoelectrique et son procede de fabrication
GB2383906A (en) Thin film piezoelectric resonator (FBAR) with improved mode suppression
US9136793B2 (en) Resonator element, resonator, electronic device, electronic apparatus, and method of manufacturing resonator element
US5436523A (en) High frequency crystal resonator
WO1991019351A1 (en) Structure of electrode and lead thereof of ultra thin plate piezoelectric resonator
EP0483358B1 (en) Ultra thin quartz crystal filter element of multiple mode
JPH11340775A (ja) 圧電振動子
JP3279054B2 (ja) 厚みすべり水晶振動子の製造方法
JP4196641B2 (ja) 超薄板圧電デバイスとその製造方法
JPH0124368B2 (ja)
JP2001257560A (ja) 超薄板圧電振動素子の電極構造
JPH0870232A (ja) 弾性表面波素子及び発振器
JPS6246091B2 (ja)
JP2002368573A (ja) 超薄板圧電振動子及びその製造方法
JP3102872B2 (ja) 超薄肉圧電振動子
JPH07254839A (ja) 水晶振動子
JPS5863212A (ja) 水晶振動子
US6448699B1 (en) Octagonal electrode for crystals
JP2001060844A (ja) 複合圧電振動子
KR940009397B1 (ko) 초박판 다중모드 수정필터소자
Wuthrich et al. Ultra small AT-cut quartz resonators at 155.52 MHz made by a batch process
JP2001196890A (ja) 高周波圧電振動子
JPH03243008A (ja) 超薄板水晶共振子の固定方法
JP2003115741A (ja) 圧電振動子とオーバトーン周波数調整方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090222

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100222

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120222

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130222

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140222

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees