JPH07296354A - 磁気ヘッドのサスペンション - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で、しかも磁気ヘッドを磁気ディスクに
対し所定の位置関係で常に軽く接触した状態に支持する
ことが出来るサスペンションを提供する。 【構成】 夫々ばね性を有する金属薄板で形成した２枚
の保持部材が、それらの間に配線層を挟んで接着してあ
る。配線層は、絶縁層に、磁気ヘッドへの電気信号の送
受の為の２本の導体を、導体相互間が絶縁された状態に
沿わせて構成してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はハードディスクドライブ
において磁気ヘッドを支持する為のサスペンションに関
する。

【０００２】

【従来の技術】これまでのハードディスクドライブは、
磁気ディスクに対して磁気ヘッドを間隙を開けた状態で
サスペンションにより支持した構造となっている。そし
て磁気ヘッドへの電気信号の送受の為の導線を上記サス
ペンションに沿わせて設けている。

【０００３】ところで最近、ハードディスクドライブを
小型化すると共に、磁気ディスクに対して磁気ヘッドを
ソフトタッチさせて電磁気的特性を改善する試みがあ
る。それに対応して、小型で、しかも磁気ヘッドを磁気
ディスクに強い力で押し付けたり反対に磁気ディスクか
ら離れたりしないように位置精度高く支持できるサスペ
ンションが要求されている。又そのような小型化が図ら
れても、上記電気信号の伝達のための電気的接続を確実
に行え、且つ接続状態において電気信号の伝達を正確に
行うことが出来るようにすることが望まれている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本願発明のサスペンシ
ョンは上記要求に応えて提供するものである。第１の目
的は、磁気ヘッドを支持する場合、それを定位置におい
て変位量少なく（位置精度高く）支持できるサスペンシ
ョンを提供することである。第２の目的は、上記の場
合、磁気ヘッドを弾力性を有する状態で支持できて、磁
気ヘッドを磁気ディスクに対して軽く接触させた状態を
維持することのできるサスペンションを提供することで
ある。第３の目的は、磁気ヘッドの支持の為の構成と電
気信号の送受の為の構成への配慮によって、小型コンパ
クトに形成することが可能な構造のサスペンションを提
供することである。第４の目的は、上記のようにサスペ
ンションを小型コンパクト化しても、確実な電気的接続
を行うことが出来、しかも接続状態において電気信号の
伝達を正確に行うことの出来る端子部分の構造を提供す
ることである。他の目的及び利点は図面及びそれに関連
した以下の説明により容易に明らかになるであろう。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為
に、本願発明におけるサスペンションは、一端に支持部
材への取付部を備え他端に磁気ヘッドの止着部を備える
磁気ヘッドのサスペンションにおいて、上記サスペンシ
ョンは、夫々ばね性を有する金属薄板で形成した２枚の
保持部材を、それらの間に配線層を挟んで接着して構成
すると共に、上記配線層は、絶縁層に、磁気ヘッドへの
電気信号の送受の為の２本の導体を、導体相互間が絶縁
された状態に沿わせたものである。

【０００６】

【作用】サスペンションは、配線層を挟んで２枚の保持
部材を接着した構成なので反りを生じ難く、磁気ヘッド
を定位置において変位量少なく支持できる。しかもそれ
ら２枚の保持部材は何れもばね性を有する金属薄板で形
成してあるので、上記磁気ヘッドを弾力性を有する状態
で支持できる。従って、磁気ヘッドを磁気ディスクに対
して軽く接触させた状態で支持できる。使用状態におい
て２本の導体は磁気ヘッドに対する信号の送受を行う。

【０００７】

【実施例】以下本願の実施例を示す図面について説明す
る。図５は磁気ヘッド接触型のハードディスクドライブ
の原理的構成を示すものである。該構成の内符号１，２
で示す部材は通常のハードディスクドライブにおける部
材と均等のもので、１はハードディスクと称される磁気
ディスク、２は磁気ヘッドを支持するため支持部材で、
駆動装置例えばボイスコイルモータによってディスク１
の半径方向と平行な方向への移動が自在となっている。
３は磁気ヘッドを支える為のサスペンションで、一端の
取付部3aを支持部材２に取付け、他端の止着部3bに磁気
ヘッド４を止着している。磁気ヘッド４は磁気ディスク
１の表面に軽く接触した状態で、ディスク１に対する磁
気的な記録の書き込み及び読み取りをするようにしてあ
る。

【０００８】次に上記サスペンション３を示す図１乃至
図４について説明する。上記サスペンション３における
取付部3aの幅W1は、上記支持部材２に対する確実な取付
の為に例えば０．８ｍｍ程度にする。一方止着部3bの幅
W2は前記磁気ヘッド４の止着に足る範囲で狭幅にし、例
えば０．５ｍｍ程度にする。サスペンション３の長さＬ
は、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して軽く接触させた
状態を維持する為の弾力性をサスペンション３に持たせ
るに足る長さ例えば１３ｍｍ程度である。以下該サスペ
ンション３の構成を説明する。５，６はサスペンション
３においてヘッドを機械的に支える働きをする保持部材
で、磁気ヘッドを安定に支持する強度と、ディスクに対
して磁気ヘッドをソフトタッチ状態で支持するに適する
ばね性とを備えた金属の薄板で形成してある。例えば薄
く形成することができ、しかも丈夫で、更にばね性を有
する材料例えばステンレスで形成され、厚みは例えば１
２〜２５μｍである。ステンレスの他にニッケル、タン
グステン等の金属材料或いはそれらの合金で形成しても
良い。７，８は夫々取付部3a及び止着部3bにおいて端子
を露出させる為の窓孔である。

【０００９】次に10は配線層で、前記取付部3aにおける
電気接続部と止着部3bにおける電気接続部との間の電気
的配線を行うためのものであり、絶縁層11に信号送受用
の２本の導体12，12を沿わす構成の一例として、それら
の導体12，12を絶縁層11に内蔵させて構成してある。上
記絶縁層11は導体12を高周波信号（例えば１００ＭＨｚ
程度）でも忠実度高く伝送できるようにする為に誘電率
の低い材料例えばポリイミドで形成する。他にエポキ
シ、ポリエチレンでも良い。上記導体12は例えば銅箔の
パターンであって、厚みは例えば１０μｍ程度である。
この銅箔は金メッキを施しても良い（金メッキの下地に
ニッケルメッキをする）。銅に代えて金、クロム等の金
属やそれらの合金を用いても良い。或いはステンレスや
ステンレスに金メッキを施したもの（金メッキの下にニ
ッケルメッキをする）を用いても良い。上記メッキに代
えてスパッタ手段によってメタライズしても良い。13，
14は夫々前記取付部3a及び止着部3bにおける各々の電気
接続部であるところの端子で、各々の元部は上記導体12
に止着し、各々の先端はそこへの電気的接続が出来るよ
う上記窓孔７，８に露出させてある。その露出状態は本
例では窓孔７，８よりも突出する状態にしてあるが、窓
孔７，８の内側に表出しているだけの状態でも良い。上
記端子13，14はパッドとも呼ばれ、例えば金製である。
金に代えてハンダ、インジウム・スズ合金、錫、鉛・錫
・銀合金等を用いても良い。上記配線層10の形成は、例
えば先ず絶縁層要素11ａを合成樹脂のフィルム形成技術
を用いて形成し、そこに導体12を導体箔の形成手段例え
ば蒸着手段或いはメッキ手段を用いて形成し、更にその
上に絶縁層要素11ｂを形成し、然る後、絶縁層11の所定
箇所に孔を開けて導体12を露出させ、そこに端子13，14
を形成することによって行う。

【００１０】上記サスペンション３は、上記保持部材
５，６と配線層10とを、端子13，14が夫々窓孔７，８を
通して露出する状態で、接着剤（例えばポリイミド系接
着剤）により接着して形成する。この状態において上記
絶縁層11は上下の保持部材５，６相互を一体に接着する
為の接着層として機能する。

【００１１】上記構成のサスペンション３は、止着部3b
に磁気ヘッドを取付け、取付部3aを支持部材２に取付
け、使用に供する。止着部3bに対する磁気ヘッドの取付
は、例えば端子14にヘッドにおける端子をロウづけ等の
手段により止着することによって、その機械的な止め付
けと電気的接続とを同時に行う。この場合、止着部3aに
おけるヘッドの機械的止付部は上記端子14でもって構成
される。しかしその機械的止付部は保持部材６の端部の
下面をもって構成して、ヘッドの機械的止付はそこに対
して行い、端子14への磁気ヘッドの端子の電気的接続を
別途行っても良い。支持部材２に対する取付部3aの取付
は、機械的取付けに関しては、取付部3aにおける機械的
連結部、例えば保持部材５又は保持部材６の端部を、支
持部材２に例えば溶接手段によって取付ける。一方電気
的接続に関しては、端子13を支持部材側の導電体に接続
する。

【００１２】ハードディスクドライブの作動の場合にお
いて、磁気ディスクに対するデータの書き込みの場合、
支持部材側の導電体から端子13に電気信号が与えられる
と、その電気信号は導体12を介して端子14から磁気ヘッ
ドに与えられ、磁気ヘッドから磁気ディスクに対して磁
気的に書き込みを行う。一方磁気ディスクからのデータ
の読み取りの場合、磁気ヘッドによる読み取りにより磁
気ヘッドから出力された電気信号が端子14に与えられる
と、その電気信号は導体12を介して端子13から支持部材
側の導電体に与えられる。

【００１３】上記構成のサスペンション３は、配線層10
が樹脂材料製の絶縁層11を有する為に収縮を起こし易く
ても、保持部材５，６がその絶縁層11の両側をサンドイ
ッチしているため反りが生じ難い。従って上記ハードデ
ィスクドライブでの使用状態において、上記磁気ディス
クに対し磁気ヘッド４を予定した所定の位置で安定に保
持できる。又上記サスペンション３は上記のような構成
故、軽量でしかも薄くて充分なばね性を有している。従
ってヘッド４を磁気ディスク１に対して弾力的に軽く接
触させた状態を保持することが出来る。

【００１４】次に図６は端子部の異なる構造を示すもの
で、窓孔7eの内周縁と端子13ｅとの間を絶縁材15例えば
絶縁層11ｅと同様の材料で形成したもので埋めることに
より、保持部材5eと端子13ｅとの短絡の機会を少なくす
るようにした例を示すものである。前記図１の窓孔８と
端子14との間においても同様の構成にしても良い。な
お、機能上前図のものと同一又は均等の構成で説明が重
複すると考えられる部分には、前図と同一の符号にアル
ファベットのｅを付して重複する説明を省略した。（ま
た次図以降のものにおいても順次同様の考えでアルファ
ベットのｆ，ｇを順に付して重複する説明を省略す
る。）

【００１５】次に図７は端子13ｆの形成手段の一例を示
すものである。該手段は、配線層10ｆと保持部材5fとを
接着後、先ず絶縁層11ｆに孔16を開ける。次に保持部材
5fとこれから形成する端子との電気的な接触を防止する
ための部材17を窓孔7fの内周面に沿って備えさせる。該
部材17は後の半田ボールの溶解処理の熱に耐えうるポリ
イミド接着剤のようなものを用いる。次に半田ボール18
を上記孔16及び部材17の内側に装入する。次にその半田
ボールを溶解させ導体12ｆに接続する端子13ｆを形成す
る。尚上記端子13ｆの形成後、上記部材17はそのまま残
しても除去しても良い。

【００１６】次に図８から図１１はサスペンションの構
成の異なる実施例を示すものである。図において21，21
は前記図１、３における保持部材６と導体12との機能を
兼ねる兼用部材である。該部材21は、保持部材としての
機能を果たす（機械的強度の発揮）ために、それら二つ
でもって絶縁層11ｇの下面のほぼ全面を覆い尽くす形状
に形成し、絶縁層11ｇと接着する。又導体としての機能
を果たすために、両者は相互間に僅かな隙間を隔てて絶
縁した状態で絶縁層11ｇに沿わせて配置する。上記部材
21は例えば銅に耐食性の向上のために金メッキを施した
り或いはステンレスに導電性の向上のために金メッキを
施したりして形成する。22は上記両部材21，21間の絶縁
を図るための絶縁壁を示し、例えば絶縁層11ｇと一体に
形成する。上記構成のサスペンション3gにおいて配線層
10ｇは絶縁層11ｇと上記部材21，21とで構成され、又磁
気ヘッドの止着部３bgは、機械的止付部及び電気接続部
共に部材21，21の端部23，23でもって構成される。この
ような構成のサスペンション3gは、より一層薄く且つ軽
量に形成することが出来る。

【００１７】

【発明の効果】以上のように本願発明は、請求項１の構
成により第１〜第３の目的を達成して、磁気ヘッドを磁
気ディスクに対して所定の位置関係で常に軽く接触した
状態に支持することが出来、良好な電磁気的特性状態で
もって磁気ヘッドから磁気ディスクへのデータの書き込
み及び磁気ディスクから磁気ヘッドへのデータの読み出
しを行うように出来る効果があり、更にそのような支持
が可能なサスペンションを極めて小型に形成できる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】分解斜視図。

【図２】配線層の平面図。

【図３】図２におけるIII−III線断面図。

【図４】端子部の構成を示す縦断面図。

【図５】ハードディスクドライブを略示する斜視図。

【図６】端子部の構成の異なる例を示す縦断面図。

【図７】端子部の形成手段の一例を示す縦断面図。

【図８】サスペンションの異なる実施例を示す縦断面
図。

【図９】図８のサスペンションの分解斜視図。

【図１０】図８のサスペンションの底面図。

【図１１】図１０におけるXI−XI切断部端面図。

【符号の説明】

３ サスペンション ５，６ 保持部材 10 配線層 11 絶縁層 12 導体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端に支持部材への取付部を備え他端に
   磁気ヘッドの止着部を備える磁気ヘッドのサスペンショ
   ンにおいて、上記サスペンションは、夫々ばね性を有す
   る金属薄板で形成した２枚の保持部材を、それらの間に
   配線層を挟んで接着して構成すると共に、上記配線層
   は、絶縁層に、磁気ヘッドへの電気信号の送受の為の２
   本の導体を、導体相互間が絶縁された状態に沿わせた構
   成であることを特徴とする磁気ヘッドのサスペンショ
   ン。
2. 【請求項２】 上記取付部又は止着部において一方の保
   持部材には端子露出用の窓孔を設け、該窓孔には、一端
   を上記導体に止着した端子の他端を露出させたことを特
   徴とする請求項１の磁気ヘッドのサスペンション。