JPH07289572A - 整形用パッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 腰痛の予防または軽減のために効果的な腰背
部当て用のパッドを提供する。 【構成】 パッドの内側の中央部に背骨の突起を避ける
ように垂直方向の窪みを設け、その窪みの両側に起立脊
椎筋に押し付けるための隆起部を設け、かつ内面は脊柱
の前湾曲線に合わせた曲面になっており、筋肉に対して
抗力が作用する程度に比較的堅くて若干の弾性を持った
材料で製作する。このパッドをベルトにより腰部の回り
に装着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、背中の下方部位をサ
ポートするのに用いられるタイプの整形用装具に関す
る。さらに詳しくは、この発明は、使用者に装着され使
用者の背中下方部位をサポートするのに適合したベルト
形の整形用装具に関する。

【０００２】

【従来の技術】腰痛を予防しまたは軽減するために背中
の下方部位のサポートを提供するために、多数の整形用
装具が提案されてきている。この目的のためにデザイン
されたベルトには、概して二つの異なるタイプがある。
第一のタイプは、ある種の順応パッドを用いたもので、
パッドは、典型的には発泡体材料からなり、ベルトを構
成する織物地の内側か外側のいずれかでベルトに恒久的
に取り付けられていて、装着者の腰の回りにベルトを配
置したときにパッドが背中の下方部位領域に押し当てら
れる位置に来るようになっている。第二のタイプは、一
つまたは複数の空気房室を持った膨らませ式の空気袋を
採用したもので、袋の壁が充分に柔軟にできていて、ベ
ルトが腰の回りに取り付けられたときに空気房室が装着
者の背中の形に順応できるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】両タイプの装具とも、
使用者の背中に接している装具の部分（つまり、パッド
または空気房室壁）が装着者の背中の形にいとも簡単に
順応してしまうという不具合があった。その結果、背中
の下方部が理想的姿勢以外の姿勢になっていても、パッ
ドの接触領域が背中の下方部位の形に合ってしまうの
で、ベルトは適切な姿勢への矯正を促さない。例えば、
ストレスの多い持ち上げ動作を行うことによりこの形が
歪められても、背中が不適切な姿勢にならないように装
具によって効果的に矯正されることができなくなる。こ
のような不具合のない整形用装具をデザインしようと、
今日までいろいろ努力されてきたが、いずれも成功して
いない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、若干の変形
が可能なしかし使用者の背中の下方部位に相当の抗力を
呈する整形用の装具を構成するもので、この部位に理想
的に輪郭付けされたテンプレートを備えている。

【０００５】ベルトの長手方向の中程に整形用パッドを
取り付ける。パッドは、好ましくは、ナイロンなどの適
当なベルト状織物で囲まれる空間の内部に収まるのがよ
い。整形パッドは、ベルトを装着したとき使用者の背中
に当たらない側の面は本質的に平面を成し、使用者の背
中に当たる側の面は複合的な輪郭の整形用テンプレート
になっている。整形用パッドの周縁は、両端に二つの本
質的に真っ直ぐなエッジ部を備えるとともに、その間に
渡る一対の曲線エッジを備えている。各曲線エッジは、
曲線の中程で最も外側に膨らんだ凸形状を有している。
整形用パッドのテンプレート面は、その中程を横切って
延びる中央窪み領域を有し、窪み領域の脇には実質的に
平らな表面領域が続いており、窪み領域から徐々に低く
なってパッドの両側へと滑らかに連なる平坦部に延びて
いる。テンプレート表面の一部分は、装着者の平均的前
腕曲線に近似させてある。パッドは、好ましくは、数カ
所で穴が開けてあり、パッドに通気性を持たせている。
パッドは、比較的堅いが弾力性のある材料でできてお
り、若干の変形は可能であるが自己形状を堅持する程度
に堅くて抗力を呈する（対向する相手側の形状に倣って
順応してしまわない）サポートとなる。

【０００６】

【発明の作用・効果】ベルトは、その上側縁の寸法が下
側縁の寸法より短くなっていて、使用者の腰の回りに配
置されたときパッドが僅かに前方に傾斜するようになっ
ている。これにより、腰背部に対してテンプレート表面
が最適の角度で位置し、使用者において遭遇する通常の
ウエストやヒップの寸法差異にうまく対応でき、腹部の
あらゆる部分にほぼ等しい腹部内圧を提供する。

【０００７】使用に際しては、ベルトを使用者の腰の回
りに装着し、整形パッドを背中下方部位（腰背部）に押
し当てる。腰背部に沿って正しく配置されると、パッド
のテンプレート表面の高い箇所が脊椎に対してほぼ平行
なパスに沿って起立脊椎筋に接し、抗力を呈するがやや
変形可能なサポート面を成す。したがって、テンプレー
ト表面により表される理想的な輪郭形状から腰背部が少
しでもずれようとすると、この整形用パッドに反抗され
る。そのうえ、湾曲しようとすると、背中の固有受容体
（筋肉、靭帯および神経を含む）の自然な傾向により、
滑らかで堅い表面に適応し認容するように反抗される。
さらに、筋肉の弛緩時に、パッド２０は脊柱から一体の
ユニットとして離れようとし、筋肉および靭帯構造が独
自にサポートするのを認容する。これにより、背筋の萎
縮を殆ど低減または排除することができる。

【０００８】この発明の他の実施例では、ベルトには複
数の副ベルト用の輪（ベルト通し）が設けられ、作業人
に使用されるタイプの工具ホルダを種々吊り下げるのに
用いられる。このように、このベルトは、整形用途での
メリットを提供しながら、広く種々の職業での使用に適
応できる。

【０００９】この発明の特質および利点を充分に理解で
きるように、添付図面に照らしながら以下に詳細に説明
する。

【００１０】

【実施例】図面において図１は、この発明の第一の実施
例を図解する。図から分かるように、ベルト１０は、重
ね合わせ端１１，１２および中央部１４を有している。
ベルトの縁は、外側に曲がっており、領域１４の中程で
最大寸法となっている。二つの重ね合わせ端１１、１２
は、対応するファスナの鉤面と受面が付いていて、ベル
トを調節して閉じられるようになっている。狭い幅の副
ベルト１６、１７が副次的な閉成のために設けられてい
る。ベルト１０は、ナイロン織物のような適宜の材料で
生産することができ、好ましくは、周縁部を巡って閉じ
合わされた二重構造とし、その中に図２〜４に示す成型
用パッドを保持できるようにする。

【００１１】図２は、図１の実施例が破線で示す使用者
の腹部の回りに装着され、成型用パッド２０が使用者の
背中下方領域に当てられた状態を示す。ベルト１０は、
ベルトの上側縁に沿う長さが下側縁よりも短くなってい
て、長手方向にテーパが付いて生産されている。その結
果、パッドは、装着されたとき、使用者の腰の外周に直
角に引いた垂直線に対して角度２１を成し、装着者の前
湾曲線に対して収まるようになっている。

【００１２】図３〜４から分かるように、パッド２０
は、一対の反対側の真っ直ぐなエッジ部２２、２３を有
し、アーチ状の周縁エッジ２５，２６へと連なってい
る。各アーチ状の周縁エッジ２５、２６は、パッドの長
手方向のほぼ中央部において中心点から最も隔たるよう
に凸カーブになっている。図４でよく分かるように、パ
ッドは、実質的に平らなベース部２７と、ここではテン
プレート表面と称する作用表面２９を有している。テン
プレート表面２９は、使用者の背中の脊椎部分に合うよ
うな中央窪み領域３０を有する。中央空洞領域３０は、
上端エッジ２５から下端エッジ２６に渡っているが、そ
の両側に隣接して、一対の隆起領域３２、３３が装着者
の背中の起立脊椎筋に接するように設けられている。各
隆起領域は、外側へ向けて徐々に下り勾配になってい
て、本質的に平らな領域３４、３５へとつながってい
る。各平らな領域３４、３５は、さらにそれぞれエッジ
２３、２２へと連なっている。複数の通気穴がパッドを
通して形成されている。

【００１３】パッド２０は、過剰な力が掛からない通常
の使用状態で装着者の背中下方領域の輪郭形状に順応し
ない輪郭形状を呈するような適当な堅さのしかし弾力の
ある材料でできている。パッド２０用の材料としては、
圧縮発泡材料を採用するのがよく、具体的には、以下の
特性を持つエチレンビニルアセテート(ethylene vinyl
acetate)が好ましい 硬度 ３８゜± ３ 密度 ０．２６ｇ／ｃｍ^３ 引っ張り強さ ７ 伸び ４００％ ブローイング（ｂｌｏｗｉｎｇ） １１ パッドは、中央部が楕円形になっていて、長径が約２０
ｃｍ（約８インチ）、短径が約１０ｃｍ（約４インチ）
である。隆起部３２、３３は、中央窪み部３０から約４
ｃｍ（約１．５インチ）離れたところにあって、最大厚
のところが約３ｃｍ（約１＋１／８インチ）の厚さであ
る。窪み領域の厚さは、約２ｃｍ（約３／４インチ）
で、この窪み領域が装着者の脊柱突起の突出を跨ぐよう
になっている。表面の盛り上がった区域３２、３３は、
装着者の平均的前湾曲線にほぼ合わせてあって、適切な
姿勢を維持するのに大変具合よくできている。

【００１４】使用に際しては、パッド２０をベルト１０
の中に入れ、使用者の腰の回りに図２に示すように配置
する。装着中は、パッド２０は角度２１が約７°で収ま
っていて、成型用パッド２０のテンプレート表面２９が
背中下方領域で装着者の背中に押し付けられている。隆
起領域３２、３３は、装着者の皮膚を介して起立脊柱筋
に面接触しており、中央窪み領域３０が脊柱の骨の出っ
張りを収容する。テンプレート表面により表された理想
的な姿勢から背中が乖離しようとすると、パッドは材料
が比較的堅いことによりそのような乖離に反抗する。湾
曲しようとすると、背中の固有受容体（筋肉、靭帯およ
び神経を含む）の自然な傾向により、滑らかで堅い表面
に適応し従うように反抗される。

【００１５】さらに認識されたいことは、筋肉の弛緩時
に、パッド２０は脊柱から一体のユニットとして離れる
ので、筋肉および靭帯構造が独自にサポートするのを認
容する。これにより、背筋の萎縮を殆ど低減または排除
することができる。

【００１６】図５は、この発明の他の実施例を図解する
もので、特に作業人の整形用装具として使うのに適当な
ものである。図から分かるように、ベルトには複数の
（図示では３個）副ベルト用の輪（ベルト通し）４１、
４２、４３が設けられている。これらの輪は、主ベルト
１０に適当な間隔で縫い付けるなど適宜の仕方で取り付
けられていて、これに副ベルト４５を通す。副ベルト４
５は、破線で示すような工具ホルダ４６、４７を吊り下
げるのに用いられる。工具ホルダ４６，４７は、特定の
作業人に必要な工具、例えばプライヤ、ドライバ、ワイ
ヤカッタ、ハンマ等、を携帯できるように適宜のデザイ
ンのものでよい。工具ホルダは、副ベルト４５をホルダ
のフラップに通すことにより取り付けられる。図５に示
すベルト１０は、前述したと同じ整形用パッドを使用す
る。

【００１７】以上から明らかなように、この発明は、装
着者の背中下方領域（腰背部）のための効果的な整形用
パッドを提供する。この装具は、使用に便利でかつ製造
に安価である。ベルトが装着されたとき、パッドは、使
用者の平均的な前湾曲線にほぼ合わせた適切な角度に配
置される。

【００１８】以上に、この発明の好ましい実施例につい
て詳細に説明したが、当業者において種々の修正、変
更、等価構造が考えられよう。例えば、ベルト、収納
部、パッドについて特定の材料を述べたが、要求に応じ
て他の等価な材料を採用してもよい。したがって、以上
の記述および図解は、添付の請求項で定義される発明の
範囲を限定するように解釈されるべきでない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の第一実施例のベルトの一部を閉じ
た斜視図である。

【図２】 腰背部に当てられた状態のパッドを示す図１
の２−２線に沿った側断面図である。

【図３】 整形パッドのテンプレート表面の平面図であ
る。

【図４】 テンプレート表面の輪郭形状を示す図３の４
−４線に沿った断面図である。

【図５】 種々の工具入れを付けて使うのに適したこの
発明の別の実施例の一部切除平面図である。

【符号の説明】

１０…ベルト、１１…重ね合わせ端、１２…重ね合わせ
端、１４…中央部、１６…副ベルト、１７…副ベルト、
２０…パッド、２１…角度、２２…エッジ部、２３…エ
ッジ部、２５…周縁エッジ、２６…周縁エッジ、２７…
ベース部、２９…テンプレート表面、３０…中央窪み領
域、３２…隆起領域、３３…隆起領域、３４…平らな領
域、３５…平らな領域、３８…通気穴、４１…副ベルト
用の輪、４２…副ベルト用の輪、４３…副ベルト用の
輪、４５…副ベルト、４６…工具ケース、４７…工具ケ
ース

Claims (18)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルトと、 ベルトに保持された整形用パッドとを備えてなり、 該パッドは、パッドが腰椎部に押し当てられたとき装着
   者の脊柱突起の突出をを収容するための横切って延びる
   中央谷状部を持って輪郭形状付けされたテンプレート面
   を有するとともに、該中央谷状部の両側に隣接して一対
   の小高くなった隆起領域を有し装着者の起立脊椎筋に接
   するサポートを成し、パッドのテンプレート面はその中
   央領域を通って装着者の平均的な前湾曲線にほぼ合致し
   た垂直面輪郭形状を有し、 該ベルトは、パッドを装着者の腰椎部に最適状態で係合
   するように垂直に対して角度をもって配置するように長
   手方向行くとテーパになっていて、パッドは筋肉弛緩に
   対応して腰椎部から一体ユニットとして離れる傾向を有
   することを特徴とする腰仙部サポート。
2. 【請求項２】 パッドが圧縮発泡材料で作られているこ
   とを特徴とする請求項１に記載の腰仙部サポート。
3. 【請求項３】 パッドがエチレンビニルアセテートで作
   られていることを特徴とする請求項１に記載の腰仙部サ
   ポート。
4. 【請求項４】 エチレンビニルアセテートが約３５度か
   ら約４１度の間の硬度を持つものであることを特徴とす
   る請求項３に記載の腰仙部サポート。
5. 【請求項５】 パッドが中央谷状部の区域で約２３ｃｍ
   （約９インチ）の最大幅となり、上端エッジおよび下端
   エッジが凸状に曲がっていることを特徴とする請求項１
   に記載の腰仙部サポート。
6. 【請求項６】 パッドが小高くなった隆起領域で約３ｃ
   ｍ（約１＋１／８インチ）の厚さであることを特徴とす
   る請求項５に記載の腰仙部サポート。
7. 【請求項７】 中央谷状部におけるパッドの最大厚さが
   約２ｃｍ（約３／４インチ）であることを特徴とする請
   求項５に記載の腰仙部サポート。
8. 【請求項８】 請求項１に記載の腰仙部サポートにおい
   て、 さらに、補助的なホルダ具の取り付けを可能とするため
   に該ベルトによって保持された取付手段を含んでなるこ
   とを特徴とする腰仙部サポート。
9. 【請求項９】 取付手段がベルトの外側表面に取り付け
   られた複数のベルト通し用の輪および該輪に通された副
   ベルトを含んでなることを特徴とする請求項８に記載の
   腰仙部サポート。
10. 【請求項１０】 上側マージンと、 下側マージンと、 互いに反対端に設けられた一対の端部マージンとを有し
    てなり、該上側および下側マージンは各々該一対の端部
    マージンの間に渡っており、該上側および下側マージン
    は各々曲がった輪郭形状を有し、該上側および下側マー
    ジンの間の距離は両端部マージンから内方に向かって増
    大し中央部で最大となり、 該マージンに囲まれた内側は滑らかに輪郭形状付けされ
    たテンプレート面となっており、そこには該上側および
    下側マージンの間に跨る中央谷状部があってパッドが腰
    椎部に押し当てられたとき装着者の脊柱の突起を収容す
    るようになっており、 該中央谷状部の両側に隣接して一対の小高くなった隆起
    領域があって装着者の起立脊椎筋に接するサポートを成
    し、 パッドのテンプレート面はその中央領域を通る滑らかに
    湾曲した生理学上非順応の表面輪郭を有し装着者の前湾
    曲線にほぼ合致させ、適切な脊椎の姿勢を維持するのを
    助けるようになっていることを特徴とする腰仙部サポー
    トシステム用の単体整形用パッド。
11. 【請求項１１】 パッドがエチレンビニルアセテートで
    作られていることを特徴とする請求項１０に記載の整形
    用パッド。
12. 【請求項１２】 テンプレート面が約３５度から約４１
    度の間の硬度を持つものであることを特徴とする請求項
    １１に記載の整形用パッド。
13. 【請求項１３】 パッドが中央谷状部の区域で約２３ｃ
    ｍ（約９インチ）の最大幅となり、上端エッジおよび下
    端エッジが凸状に曲がっていることを特徴とする請求項
    １０に記載の整形用パッド。
14. 【請求項１４】 パッドが小高くなった隆起領域で約３
    ｃｍ（約１＋１／８インチ）の厚さであることを特徴と
    する請求項１３に記載の整形用パッド。
15. 【請求項１５】 中央谷状部におけるパッドの最大厚さ
    が約２ｃｍ（約３／４インチ）であることを特徴とする
    請求項１３に記載の整形用パッド。
16. 【請求項１６】 曲がった上側および下側エッジを有
    し、両エッジは中央領域と端部領域を有し、上側および
    下側領域の間の寸法は端部領域よりも中央領域において
    大きくなった主体部を備えてなり、 主体部は、使用者の腰仙部に押し付けられるためのテン
    プレート面を有し、垂直方向に向いた中央谷状部および
    中央谷状部に隣接して使用者の起立脊柱筋に接するため
    の一対の小高くなった隆起領域を有し、 テンプレート面の小高くなった隆起領域は、適切な脊柱
    の姿勢を維持するのを助けるように使用者の前湾曲線に
    近似した滑らかに曲がった生理学的に非順応な表面を有
    することを特徴とする腰仙部サポートシステム用の整形
    用パッド。
17. 【請求項１７】 主体部が一体片の堅い発泡体であるこ
    とを特徴とする請求項１６に記載の整形用パッド。
18. 【請求項１８】 テンプレートの小高くなった隆起領域
    が約３５度から４１度の硬度を持った堅い発泡材料でで
    きていることを特徴とする請求項１６に記載の整形用パ
    ッド。