JPH07289088A

JPH07289088A - 育苗ポット

Info

Publication number: JPH07289088A
Application number: JP6113543A
Authority: JP
Inventors: Yoshihisa Someya; 善久染谷; Rokuro Miyashita; 六朗宮下; Hiroshi Serizawa; 浩芹沢; Kokichi Kato; 幸吉加藤
Original assignee: Someya KK; Toyo Fiber Co Ltd
Current assignee: Someya KK; Toyo Fiber Co Ltd
Priority date: 1994-04-28
Filing date: 1994-04-28
Publication date: 1995-11-07

Abstract

(57)【要約】【目的】バルカナイズドファイバーもしくはパーチメ
ント紙を素材として、１枚の薄板から、水に湿潤させて
簡単にて成形できるシート状の育苗ポットを得る。【構成】バルカナイズドファイバーもしくはパーチメ
ント紙を用いて形成させた薄板１上に、任意の大きさの
底面部３を形成し、前記底面上の少なくとも一点を中心
とする同心状に、円形、３角形、４角形、多角形もしく
は渦巻状またはその近似の形状に複数本の切り込み４を
刻設し、前記底面の周囲に連続する網目５を持った周壁
部６を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バルカナイズドファイ
バーまたはパーチメント紙を素材に用いて形成され、苗
の育成に使用する育苗ポットに関する。

【０００２】

【従来の技術とその問題点】蔬菜または花樹等園芸作物
の促成栽培に、育苗ポット（鉢）を利用する鉢育苗法が
普及している。鉢育苗法は、ビニールポットに土を入
れ、種を蒔き、土をかぶせて直接苗を作る手法である。
使用される鉢は、近年においては、軟質の塩ビ等で作ら
れたビニール鉢（ポリ鉢ともいう）または半硬質の成形
鉢が使われることが多い。

【０００３】苗は一つの鉢に長く入れておくと、根が鉢
の周囲にバンド状に固まって老化するので、定植するま
でに、１回から数回の移植（鉢上げ）が行なわれる。移
植は、作物により多少の違いはあるものの、本葉２枚の
時、または本葉が４〜５枚のとき行うことが多い。この
ように移植、定植時期の管理や作業にその手間がかか
り、そのうえ作業時には苗の取り出しが不可避であり、
その際に植え傷みを生じさせやすいという問題がある。

【０００４】また、使用するビニール鉢または半硬質の
成形鉢には通気性がなく、また水やりが多すぎると根腐
れをおこしやすい。またこれらビニール鉢または成形鉢
は何れも嵩張る構造であり、非使用時に平板状ないしは
小さく折り畳むことができない点で包装並びに運搬・保
管などの物流上の取扱い並びに販売時の取扱いに不利が
ある。さらにまた従来のビニール鉢、成形鉢は、その大
きさに応じて製造に際しては成形金型を変える必要があ
った。そればかりでなく、不要になったビニール鉢や成
形鉢は、ごみとして廃棄処分されるので、近年のプラス
ックゴミ増加の問題並びに回収、リサイクルの問題等で
改善が望まれている。

【０００５】ところで近年になり、パルプモールド、ピ
ートモス、或いは土中の水分、微生物の作用で分解する
生分解性プラスチックで作られた鉢が開発され、既に一
部は実用に供されている。しかし、上記のものはその製
造時、大きさに応じた成形金型が必要であるという成形
加工上の制約がある上、構造自体が嵩張るものであり、
非使用時に平板状または小さく折り畳むことができない
点で、従来のビニール鉢または成形鉢と同様に、包装並
びに運搬・保管などの物流上の取扱い並びに販売時の取
扱いに関して満足すべき結果を得ていない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】ここにおいて本発明は、
バルカナイズドファイバーもしくはパーチメント紙また
はそれらの加工品からなる薄板上に、任意の大きさの底
面部を形成し、前記底面部上の少なくとも一点を中心と
する同心状に、円形、３角形、４角形、多角形もしくは
渦巻状またはその近似の形状に複数本の切り込みを刻設
し、前記底面部の周囲に連続する網目を持った周壁部を
形成させたシート状の育苗ポットを提案するものであ
る。換言すると本発明は、シートの状態で包装並びに運
搬・保管・販売がなし得、このものを水または温水に湿
潤させると所要のポット形状に容易に展張し成形するこ
とができる育苗ポットを提案するものである。

【０００７】さらにまた本発明は、バルカナイズドファ
イバーもしくはパーチメント紙またはそれらの加工品が
持つ特性、すなわち前記両素材が共に緻密性、剛性、な
らびに成形性に優れた素材であり、かつ親水性を有して
いる点に着目して、このものを素材に用いて形成させた
前記の薄板を、使用に際して、水に湿潤させて展張し成
形することにより、土を入れて播種用ポットとして使用
することができ、さらにその後は従来の育苗ポットと同
様にして使用することができ、しかも土中に植め込んで
使っても、素材が植物繊維であるからそのまま捨てるこ
とができ（埋め殺し可能）、したがって、使用後に取り
出す必要のなく、そのまま廃棄してもゴミ公害の問題を
生じない育苗ポットを得んとしたものである。

【０００８】

【作用】周知のように、バルカナイズドファイバーは、
植物繊維を塩化亜鉛等のセルロース膨潤剤によって表面
膨潤を行った状態で圧着した後、当該膨潤剤を除去する
ことにより製造した繊維板である。ファイバーの素材
は、植物繊維であるから湿度変化による変動はあるが、
化学的に中性で緻密な組織で構成され、優れた機械的強
度と弾力性を有し、耐水性、耐久性等をも具備してい
る。一方、パーチメント紙は、植物繊維で抄紙した紙を
硫酸溶液で処理して製造した紙で、強靱性、耐久性、耐
水性を具備しているばかりでなく、繊維素繊維のもつ親
水性をも有し、しかも緻密な組織で構成され、かつ適度
の加工性を有しているので、本発明においては、前記バ
ルカナイズドファイバーと均等な素材として取り扱うこ
とができるのである。

【０００９】本発明で使用するバルカナイズドファイバ
ーもしくはパーチメント紙は、ピンホールのでない緻密
性に富んだ紙が得られ、しかもその紙は一般の紙、板紙
と比較しても遙かに剛度が高い。通常、幅２〜３ｍｍ、
厚さ０．３５〜０．５ｍｍの薄いシートにしても、普通
の紙では簡単に切れてしまうが、本考案のものではそれ
がない。その上、水または温湯に湿潤させると柔軟化し
自由な形に賦形することができ、かつ乾燥するとその形
を保ち崩れないという優れた成形性を保有している。そ
のため、このバルカナイズドファイバーもしくはパーチ
メント紙またはそれらの加工品からなる薄板上に、任意
の大きさの底面部を形成し、前記底面部上の少なくとも
一点を中心とする同心状に、円形、３角形、４角形、多
角形もしくは渦巻状またはその近似の形状に複数本の切
り込みを刻設し、前記底面部の周囲に連続する網目を持
った周壁部を形成させることができるので、このものを
水に湿潤させて成形すると、従来の育苗ポットに優ると
も劣ることのない育苗ポットが得られるものである。

【００１０】また本発明は、上記したようにバルカナイ
ズドファイバーもしくはパーチメント紙またはそれらの
加工品を素材に用いて形成させた薄板に、上記構成の切
り込みを刻設して底面部と周壁部を形成し、必要に応じ
てフランジを外周に形成させたものであるので、バルカ
ナイズドファイバーの原反もしくはパーチメント紙から
打ち抜き（ダイカット）或いはレーザーカットなどの工
業的な手法により簡単に量産し得る。そればかりでなく
本発明のポットは成形前は薄く、平板であるから配送、
保管にあたりスペースを取らず、包装等物流上の取扱い
並びに販売上も有利である。

【００１１】さらにまた、本発明で用いるバルカナイズ
ドファイバーもしくはパーチメント紙に対しては着色、
印刷も自由に行える。したがって、多種多様なデザイン
の育苗ポットを得ることができ、デザイン変更も自由に
行うことができるのである。

【００１２】

【実施例】次に、本発明を実施例について具体的に説明
する。まず、本発明の素材としてのバルカナイズドファ
イバーを次のようにして得る。使用するパルプとして、
ＮＢＫＰ及びＮＤＳＰをそれぞれ５０％づつ配合した紙
料を用いて、米坪１００ｇ／ｍ²の原紙を抄造する。こ
の原紙３〜４枚を４０度Ｃ、６９度ボーメの塩化亜鉛溶
液に浸漬後、圧搾、加温圧着、空気熟成を経て約３０度
ボーメの塩化亜鉛溶液に浸漬した後、逐次、低濃度の塩
化亜鉛溶液槽にて熟成を行って塩化亜鉛を溶出させる。
ついで、塩酸槽にて酸洗いをした後、水洗槽に送り塩化
亜鉛を除去する。その後に予備乾燥を施してから、メラ
ミンホルマリン樹脂溶液を両面に塗工（固形分換算で１
０ｇ／ｍ²）した上で、シリンダードライヤーにて乾燥
する。さらに、キャレンダー掛けを行って０．３５〜
０．５ｍｍ厚のバルカナイズドファイバー原反を得る。

【００１３】一方、木綿繊維または前記のごとき木材化
学パルプを用いて抄造した原紙を、一例として濃度７
１．５％の濃硫酸で処理した後、完全に水洗いをしてか
ら乾燥させて、本発明に用いるパーチメント紙を抄造す
る。

【００１４】以上のように、厚さ０．３５〜０．５ｍｍ
のバルカナイズドファイバー製原反もしくはパーチメン
ト紙（米坪４５０ｇ／ｍ²）の薄板１を使用し、図１に
示すように、打ち抜き（ダイカット）もしくはレーザー
カットなどの手法により、平面的にみて１枚のシート状
（平板状）をなす製品２を得る。

【００１５】以下、製品２について具体的に説明する
と、バルカナイズドファイバーもしくはパーチメント紙
またはそれらの加工品を用いて形成させた薄板１上に、
任意の大きさの底面部３を形成し、前記底面部上の一点
を中心とする同心状に、円形、またはその近似の形状に
複数本の切り込み４を刻設して、前記底面部の周囲に連
続する網目５を持った周壁部６を形成させ、さらに周壁
部の外周に、フランジ７を設ける。

【００１６】なお図示のものは、正円形状に底面部３を
形成し、前記底面部上の一点を中心とする同心状に、複
数本の円弧状の切り込み４を等分割に形成し、切る部分
と切らない部分とを、いわゆる千鳥状に、交互に形成し
て連続する網目５を持った周壁部６を形成させものであ
るが、底面部３は円形以外に３角形、４角形、多角形で
もよい。またその底面部の少なくとも一点を中心とする
同心状に、円形、３角形、４角形、多角形もしくは渦巻
状またはその近似の形状をした複数本の切り込みを刻設
して、前記底面部の周囲に連続する網目を持った周壁部
を形成させることが可能である。周壁の外周にフランジ
部はあるほうが好ましいが、なくてもよい。

【００１７】図示製品の打ち抜き寸法を具体的に例示す
ると、ポットの口径は直径４０ｍｍ、同心状をした弧状
切り込みの上下の間隔は６ｍｍ、切り残し部分の間隔は
２ｍｍ、溝幅２ｍｍとしている。なおポットの口径、底
面部の寸法、周壁部の深さ、フランジ部の外形寸法は、
必要とされる育苗ポットの大きさに合わせて適宜決定さ
れる。前記同心円状の切り込み幅も、土がこぼれない程
度に広狭調節することができる。間隔を広げるほど網目
を粗くすることができるものである。同心状をなす切り
込みの本数は、最外周から最内周円に向かって、段階的
もしくは連続的に漸減させることを可とする。

【００１８】なお図１に示すものは、矩形状をなした薄
板１に、ほぼ同一形状の一例として４個の円形の育苗ポ
ットを、フランジ部７を介して水平方向に分割可能に連
設した例である。８は分割線である。使用に際しては、
分割線より１個１個切り離して使うことができるように
なっている。図３は薄板１に、角型の育苗ポットを複数
個連設した事例であり、その構成は円形の場合と同じで
ある。このポットも、分割線８より１個１個切り離して
使うことができるようになっている。

【００１９】なお実施例は、バルカナイズドファイバー
の原反の表面にメラミン樹脂を塗工してなるものもので
ある。前記の耐水加工以外にも必要に応じて、例えば防
カビ加工、防菌加工を施したものを使用することができ
る。

【００２０】上記製品を育苗ポットに成形する場合は、
前記のように切り離したシート状のポットを水または温
水に１０〜２０秒程度浸漬した後、３分程度放置して製
品全体に水分が行き渡るようにする。こうすると、製品
全体が皮のように柔軟化する。しかる後、製品の中心部
分（底面部３）と、フランジ部分７を互いに逆方向にゆ
っくり引張ることより展張して、賦形する。こうして所
定の形に賦形しペイパー中の水分が乾燥すると仕上がり
となり、図２に示すような育苗ポット９が成形されるこ
ととなる。

【００２１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明は、バルカナ
イズドファイバーの原反もしくはパーチメント紙から打
ち抜き（ダイカット）或いはレーザーカットなどの工業
的な手法により簡単に量産し得、そればかりでなく本発
明の製品は、成形前は、薄く、平板であるから配送、保
管にあたりスペースを取らず、包装等の物流上の取扱い
も有利である。

【００２２】また、使用するバルカナイズドファイバー
もしくはパーチメント紙は、緻密性に富み、しかも剛度
が高い。その上、水に湿潤させると柔軟化し自由な形に
賦形することができ、かつ乾燥するとその形を保ち崩れ
ないという優れた成形性を保有している。そのため、使
用直前までは偏平なシート状（平板状）にしておくこと
ができ、使用時に水に漬けると皮のように柔軟になりポ
ット成形が可能になる。成形後水分を乾燥すれば、直ち
に育苗ポットして使用することができるのである。

【００２３】ポットに土を入れ、苗を植えて育苗ポット
として使用する場合、そのまま土中に植め込んで使って
も、素材が植物繊維であるからそのまま捨てることがで
き、埋め殺し可能である。また周壁に網目が形成されて
いるから、一つのポットに長く入れておいたときも、根
がポット周囲にバンド状に固まって老化することなく、
網目から根が外に成長できる。また通気性、通水性がよ
く、根腐れをおこしにくい。したがって、苗が傷まず、
使用後に取り出す必要のなく、そのまま廃棄しても土中
に分解してゴミ公害の問題を生じない。

【００２４】さらにまた、本発明で用いるバルカナイズ
ドファイバーもしくはパーチメント紙に対しては、着
色、印刷も自由に行える。したがって、多種多様なデザ
インのポットを得ることができ、デザイン変更も自由に
行うことができるのである。

【００２５】以上述べたように本発明によると、育苗ポ
ットとして、従来のビニールポットや成形ポット（パル
プモールド品を含む）を凌駕する作用効果を有し、近年
のプラスチックゴミ増加の問題点を併せて改善できる効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】周壁のフランジ部を介して水平方向に連設した
本発明たる育苗ポットの一例を示す平面図である。

【図２】同上成形加工後のポットの斜視図である。

【図３】本発明の他の実施例を示した平面図である。

【符号の説明】

１バルカナイズドファイバーもしくはパーチメント紙
から成る薄板２製品３底面部４切り込み５網目６周壁部７フランジ８分割線９ポットの成形状態

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【手続補正書】

【提出日】平成６年５月１６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】さらにまた本発明は、バルカナイズドファ
イバーもしくはパーチメント紙またはそれらの加工品が
持つ特性、すなわち前記両素材が共に緻密性、剛性、な
らびに成形性に優れた素材であり、かつ親水性を有して
いる点に着目して、このものを素材に用いて形成させた
前記の薄板を、使用に際して、水に湿潤させて展張し成
形することにより、土を入れて播種用ポットとして使用
することができ、さらにその後は従来の育苗ポットと同
様にして使用することができ、しかも土中に埋め込んで
使っても、素材が植物繊維であるからそのまま捨てるこ
とができ（埋め殺し可能）、したがって、使用後に取り
出す必要のなく、そのまま廃棄してもゴミ公害の問題を
生じない育苗ポットを得んとしたものである。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００９

【補正方法】変更

【補正内容】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者芹沢浩静岡県沼津市大塚888番地東洋ファイバー株式会社内 (72)発明者加藤幸吉埼玉県越谷市千間台西１−18−１サンライトパストラル２−107

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】バルカナイズドファイバーまたはその加
工品からなる薄板上に、任意の大きさの底面部を形成
し、前記底面部上の少なくとも一点を中心とする同心状
に、円形、３角形、４角形、多角形もしくは渦巻状また
はその近似の形状に複数本の切り込みを刻設し、前記底
面部の周囲に連続する網目を持った周壁部を形成させた
シート状の育苗ポット。
【請求項２】パーチメント紙またはその加工品からな
る薄板上に、任意の大きさの底面部を形成し、前記底面
部上の少なくとも一点を中心とする同心状に、円形、３
角形、４角形、多角形もしくは渦巻状またはその近似の
形状に複数本の切り込みを刻設し、前記底面部の周囲に
連続する網目を持った周壁部を形成させたシート状の育
苗ポット。
【請求項３】周壁部の外周に、フランジを設けている
請求項１記載の育苗ポット。
【請求項４】周壁部の外周に、フランジを設けている
請求項２記載の育苗ポット。
【請求項５】同心状をなす切り込みの本数を、外側の
ものから最内周に向かって段階的もしくは連続的に漸減
させている請求項１、２、３、４または５記載のシート
状の育苗ポット。
【請求項６】一枚の薄板上に、ほぼ同一形状の複数個
の育苗ポットを、各周壁のフランジ部を介して水平方向
に、分割可能に連設してなる請求項１、２、３、４、５
または６記載のシート状の育苗ポット。
【請求項７】薄板全体を水または温水に湿潤させて柔
軟化させ、かつ薄板の中心部と外周部とを互いに逆方向
に引張ることより展張して乾燥し賦形することを特徴と
する請求項１または３記載の育苗ポット。
【請求項８】薄板全体を水にまたは温水に湿潤させて
柔軟化させ、かつ薄板の中心部と外周部とを互いに逆方
向に引張り展張して乾燥することを特徴とする請求項２
または４記載の育苗ポット。