JPH07289022A - 育花用シート - Google Patents

育花用シート

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JPH07289022A
JPH07289022A JP8198394A JP8198394A JPH07289022A JP H07289022 A JPH07289022 A JP H07289022A JP 8198394 A JP8198394 A JP 8198394A JP 8198394 A JP8198394 A JP 8198394A JP H07289022 A JPH07289022 A JP H07289022A
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博一 加藤
Norio Yamashita
典男 山下
Yasunari Tozaki
康成 戸崎
Yoshio Hayashi
好夫 林
Masayasu Sumii
正康 住井
Norio Koike
法雄 小池
Kazuya Sodegaki
一也 袖垣
Kazuhiro Tanaka
一弘 田中
Kaoru Tsuda
薫 津田
Makoto Taguchi
誠 田口
Tadahiko Kobayashi
忠彦 小林
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  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 雑草の生育を効果的に抑制した状態で草花の
種子の発芽及び育成を行うことができ、しかも施工が容
易で手入れが簡単な育花用シートを提供する。 【構成】 育花用シート1は花の種子3及び肥料4を保
持する不織布2と、不織布2と共同して種子3及び肥料
4を挟持する保水材5と、種子3、肥料4及び保水材5
を不織布2上に固定するネット7とから構成されてい
る。不織布2は麻とレーヨンを混紡(80:20)した
ものが使用され、雑草の生育を抑制する厚さとするため
目付けが50〜150g/m2 となっている。種子3は
不織布2の上面に複数個ずつ離散した状態で配置されて
いる。保水材5には破砕された籾殻が使用されている。
ネット7はテープ状のビスコースレーヨンで形成され、
ポリビニールアルコール製のフィルム6を介して不織布
2に接合されている。ネット7はその目が種子3から発
芽した芽を通しうる大きさに形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は育花用シートに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、地方行政による事業として、地域
に適した花の育成が提案されている。しかしながら、こ
の事業の推進には多くの人手が必要であるため、その進
展ははかばかしくなかった。このような事情のため、簡
便な作業で花を育成することができるものが要望されて
いた。
【0003】従来より、植物の育成の簡便化を計るもの
として、植物の種子を予めシート状に固定しておく植生
板が例えば、実公昭63−829号公報にて開示されて
いる。図4に示すように、この植生板20は、重ねられ
た3枚の紙21の間に形成される2つの空隙の一方に種
子22が挟持され、他方の空隙に肥料23等の土壌改良
材が挟持されている。そして、このように形成された植
生板は上下の紙21が溶着され、複数の区画に区分形成
されている。又、紙21の上面には、帯状に編まれた藁
24が合成樹脂製のネット25にて固定されている。こ
の植生板は法面に配置され、種子の発芽、生育により法
面の土壌を根で補強するようになっている。
【0004】又、上記の他に、図5に示すような植生シ
ート30が提案されている。この植生シート30は薄い
不織布31の上に種子(例えば、芝種子)32及び肥料
33が配置され、この上に種子32及び肥料33を覆う
薄紙34が水溶性フィルム35にて接着されている。こ
の植生シート30も法面の補強等に使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の植生
板を育花用シートに適用するには不都合がある。例え
ば、植生板の主目的は法面を保護することにあるため、
植生板を配置した箇所に草が生えてその根で土壌を補強
するとともに緑化が行われれば、植生板に含まれた種子
以外の植物(雑草)が生育するのも好ましいことにな
る。しかし、育花用シートでは雑草が育成するのは好ま
しくなく、それを抑制する必要があるが、従来の植生板
には雑草の育成を抑制する効果はない。又、実公昭63
−829号公報に開示された植生板ではネットが合成樹
脂製のため、施工後に植物がある程度まで生育した段階
でネットを回収しなければならず、余分な労力を要する
という問題がある。
【0006】又、雑草の生育を抑制するため図5に示す
植生シート30で、不織布を厚くすることが考えられ
る。不織布が薄い場合は植生シート30を地面に配置し
た状態で不織布上に配置された種子に土壌からの水分の
供給が良好に行われる。しかし、不織布を厚くすると不
織布上に配置された種子に土壌からの水分の供給が不十
分となり植物の生育が阻害されるという問題がある。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は雑草の生育を効果的に抑
制した状態で草花の種子の発芽及び育成を行うことがで
き、しかも施工が容易で手入れが簡単な育花用シートを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明では、雑草の生育を抑制する厚
さに形成された生分解性不織布からなる基材の上面に、
花の種子及び肥料を配置するとともに生分解性素材から
なる保水材を配置し、その上に前記基材と共同して前記
種子、肥料及び保水材を挟持する生分解性素材からなる
被覆材を設けた。
【0009】又、請求項2に記載の発明では、前記種子
及び肥料を基材上に離散した状態で配置するとともにそ
の上を前記保水材にて同じく離散した状態で覆い、前記
被覆材を保水材が配置されていない箇所で基材と接合し
た。
【0010】又、請求項3に記載の発明は、前記被覆材
は生分解性素材製のネットで構成され、水溶性フィルム
を介して基材に接合されるとともに、その目を前記種子
から発芽した芽が通過し得る大きさとした。
【0011】
【作用】請求項1に記載の発明の育花用シートを土壌に
載置すると、基材により遮光されて育花用シートの下方
には雑草の発芽及び生育に十分な光が届かなくなる。
又、発芽した場合も基材が芽の通過を妨げるため、雑草
の生育が抑制される。基材は雨水、灌水及び土壌からの
水分を吸収して種子の発芽及び生育に必要な水分を種子
あるいは根に供給する。基材の保水性(吸水性)は不充
分であるが、保水材が種子の発芽及び生育に必要な水分
を保水し、種子の生育に必要な水分が十分に供給され
る。保水材は土壌水分の蒸散を防止する作用もなす。発
芽した種子は、その根が基材を構成する不織布を突き抜
けて土壌に根をはるとともに、芽が被覆材を通過する。
種子、肥料及び保水材は被覆材にて覆われているため、
運搬時における基材からの移動や育花用シートを施工
後、風による飛散が防止される。さらに、全ての構成物
が生分解性であり、土壌に設置された後、育花用シート
は自然に分解する。
【0012】請求項2に記載の発明の育花用シートで
は、保水材が離散的に配置され基材と被覆材とが直接接
合されている箇所において自由に屈曲可能となる。従っ
て、請求項1に記載の発明の作用に加えて、育花用シー
トを折り畳んだりロール状に巻くことができ、保管、取
り扱い及び施工が容易となる。
【0013】又、請求項3に記載の発明によれば、請求
項2に記載の発明の作用に加えて、ネットが育花用シー
トの補強作用を果たす。従って、育花用シートの運搬、
取り扱いがより容易となるとともに、施工性もより向上
する。又、発芽した芽はネットの目を通過して上方へ伸
びる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図1〜
図3に従って説明する。図1,2に示すように、育花用
シート1は花の種子3及び肥料4を保持する基材として
の不織布2と、不織布2と共同して種子3及び肥料4を
挟持する保水材5と、種子3、肥料4及び保水材5を不
織布2上に固定する被覆材としてのネット7とから構成
されている。
【0015】不織布2は微生物により分解される生分解
性素材で構成されている。生分解性素材としては、麻、
綿、レーヨン、ポリカプロラクトンあるいはそれらを混
紡したものが使用される。この実施例ではカード落ちの
麻とレーヨンを混紡(80:20)した不織布2が使用
されている。不織布2は雑草の生育を抑制する厚さとす
るため及び施工時に土との密着性を良くするために、目
付けが50〜150g/m2 となっている。又、不織布
2の上面は黒色の顔料にて染色されている。
【0016】花の種子3は不織布2の上面に複数個ずつ
離散した状態で配置されている。種子3が配置される間
隔は、花の種類により適宜設定される。又、不織布2の
上面には粒状に形成された肥料4が分散された状態で配
置されている。種子3は同種のものだけに限らず、同じ
箇所に複数種の種子3を配置してもよい。
【0017】保水材5も生分解性素材で構成されてい
る。保水材5としては籾殻、くん炭(籾殻を蒸焼きにし
たもの)、稲藁、ピートモスが使用可能である。この実
施例では保水材5として1mm程度の大きさに破砕した
籾殻が使用されている。保水材5は離散的に配置された
各種子3を完全に覆うように配置されている。保水材5
の量は100〜500g/m2 で好ましくは300〜4
00g/m2 である。
【0018】ネット7は水溶性フィルムとしてのPVA
(ポリビニルアルコール)製のフィルム6を介して不織
布2の上面に接着されている。ネット7は生分解性素材
であるビスコースレーヨンを幅広の帯状に紡出したテー
プにより、その目が種子3から発芽した芽を通しうる大
きさのネット状に形成されている。ネット7は染料にて
黒色に染色されている。
【0019】次に前記の育花用シート1の製造方法を説
明する。育花用シート1を製造するには、先ず図3
(a)に示すように、ニードルパンチ法により製造され
ロール状に巻かれた不織布2を徐々に繰り出しながらス
プレー11の下方を通過させ、その片面に黒色の顔料を
PVA水溶液に混合した溶液を吹きつける。そして、こ
の不織布2を乾燥機12で乾燥した後、ロール状に巻き
取る。次に、図3(b)に示すように、不織布2の染色
側を上面として徐々に繰り出し、3個のホッパー13,
14,15の下方を順に通過させる。ホッパー13には
種子3が、ホッパー14には肥料4が、ホッパー15に
は保水材5がそれぞれ貯留されている。ホッパー13,
14,15は不織布2の移動方向と直交する方向に延び
るように形成され、ホッパー13,15には所定間隔を
おいて供給口が形成されている。ホッパー14にはほぼ
不織布2の幅に等しい長さを有する供給口が形成されて
いる。そして、ホッパー13からは間欠的に種子3が供
給され、その下方を通過する不織布2の上面に所定の間
隔で種子3が配置される。ホッパー14からはほぼ連続
的に肥料4が供給され、その下方を通過する不織布2の
上面に肥料4がほぼ平均的に配置される。ホッパー15
からはその下方を通過する不織布2上の種子3を覆うよ
うに、所定量の保水材5が間欠的に供給される。
【0020】次にノズル16から不織布2上にその幅全
体にわたって水が噴霧された後、PVA製のフィルム6
が不織布2上に積層される。PVAのフィルム6はロー
ル状に巻き取られているものから順次繰り出される。フ
ィルム6はその下面が不織布2の上面に噴霧された水に
て溶解した状態で不織布2上に積層される。次にノズル
17からフィルム6の上面にその幅全体にわたって水が
噴霧され、フィルム6の上面が噴霧された水にて溶解し
た後、ネット7が積層される。ネット7はロール状に巻
き取られているものから順次繰り出される。次にプレス
ローラ18により全体が軽くプレスされた後、乾燥機1
8で乾燥されて、ロール状に巻き取られる。この結果、
不織布2とネット7とがフィルム6を介して接着され、
種子3、肥料4及び保水材5がネット7及び不織布2に
挟持された状態で不織布2に保持される。ネット7の素
材がテープ状に形成されているため、フィルム6に確実
に接着される。
【0021】フィルム6は市販のPVAフィルムが使用
できる。PVAフィルムとして厚さが0.017mm、
0.025mm及び0.040mmの3種類のものを使
用して剥離強度を調べた。その結果、厚さが増すにつれ
て剥離強度は増すが、厚いフィルムの場合は水を噴霧し
たときにフィルム表面と裏面との均一な濡れが起こら
ず、反る現象が生じた。しかし、厚さが0.017mm
の場合には良好な作業性でしかも剥離強度も十分であっ
た。
【0022】以上のように構成された育花用シート1
は、保水材5が所定間隔で離散的に配置され、保水材5
が配置されていない箇所はネット7がフィルム6を介し
て不織布2に接着されているため自由に屈曲する。そし
て、ロール状態で保管及び運搬されるため、保管スペー
スの確保及び取り扱いが容易となる。又、種子3、肥料
4及び保水材5はフィルム6により、不織布2上の所定
位置に保持される。
【0023】育花用シート1を施工する際は、施工箇所
の地面をならした後、ロール状の育花用シート1を施工
する花壇等の土壌の端部から転がしながら所定の長さだ
け繰り出す。そして、その位置で切断して所定位置に配
置し、風等で飛ばないように適宜固定した後、灌水す
る。育花用シート1を転がさずに予め所定長さに切断
し、その育花用シート1を適宜固定してもよい。この
際、育花用シート1の不織布2は目付けが50〜150
g/m2 であるため、土壌に多少の凹凸があっても土壌
と良く密着する。
【0024】育花用シート1が設置されると、不織布2
及び保水材5は施工時の灌水を吸収して保持し、種子の
発育及び生育に必要な水分を種子あるいは根に供給す
る。又、不織布2及び保水材5は雨水を吸収して保持す
る。不織布2の保水性は土壌に比較して不十分である
が、保水材5がそれを補い、種子3には生育に必要な水
分が供給される。そして、保水材5が土壌からの水分の
蒸散を防止するため、保水材5の下方に位置する不織布
2及び土壌が乾燥から守られ、外気が乾燥した状態でも
種子3の周囲にある程度の水分が確保される。この結
果、種子3には生育に必要な水分が安定して与えられる
ため、良好な生育が促され発芽率が高くなる。又、保水
材5及び不織布2が通気性を有しており、呼吸が良好に
行われるため、生育が良好に行われる。
【0025】又、育花用シート1の下の土壌は、不織布
2等により遮光され十分な光が届かなくなるため、雑草
の生育が抑制される。しかも、この実施例では不織布2
が黒色に着色されているため遮光度が高くなり、雑草の
生育が一層抑制される。さらに、雑草が発芽した場合
も、不織布2が芽の通過を妨げるため、その生育が抑制
される。
【0026】又、フィルム6は灌水及び雨水により溶解
する。フィルム6が溶解した後は、保水材5及び肥料4
がネット7にて覆われる。この際、ネット7の繊維が幅
広のテープ状に広がっているため、保水材5及び肥料4
の離散が効果的に抑制される。さらに、種子3が芽を保
水材5から出した際は、芽がネット7の目の間を通過す
るため、その生育が阻害されることはない。
【0027】又、不織布2、ネット7が生分解性材料で
形成されるとともに、フィルム6が水溶性材料で形成さ
れているため、土壌の上で分解又は溶解する。この結
果、育花用シート1の施工後に各部材の回収を行う必要
が無くなるため、人手の省力化できるとともに環境の汚
染を防ぐことができる。
【0028】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のよ
うに構成することもできる。 (1) 種子3を不織布2の上面に平均的に配置すると
ともに、保水材5のみを上記実施例のように離散した状
態で配置してもよい。
【0029】又、種子3を不織布2の上に平行する複数
の帯状に配置するとともに、保水材5を種子3を覆うよ
うに同様な帯状に配置してもよい。この場合も、ネット
7がフィルム6にて不織布2に保水材5が配置されてい
ない箇所で接着されるため、育花用シート1を自由に屈
曲することができる。従って、保管、取り扱い及び施工
が容易になる。
【0030】又、被覆材としてネット7の代わりに紙を
用いてもよい。この場合、紙は灌水や雨水にて叩解し、
花の芽の生育を阻害しないものとする。又、この場合、
不織布2と紙との接着を澱粉糊で行ってもよい。
【0031】(2)又、種子3を平均的に分散させると
ともに、保水材5を全ての種子3を覆うように配置して
もよい。この場合、不織布2とネット7あるいは紙とを
ところどころで縫合して一体化する。
【0032】(3) 不織布2として麻(100
%)、麻とレーヨンの混紡(80:20)、麻とレ
ーヨンの混紡(50:50)、レーヨン(100
%)、綿とレーヨンと混紡(80:20)、綿(1
00%)の保水性を調べた結果、初期の保水量は以下の
順で小さくなった。
【0033】>>>>> 綿(100%)及び綿とレーヨンの混紡は麻、レーヨン
及び両者の混紡の場合に比べて、著しく低かった。
【0034】そして、保水した不織布2を放置した場合
単位時間の当たりに失われる水分量は〜は同等であ
り、はこの3つの場合よりも大きかった。レーヨン
(100%)は水濡れが良く速やかに吸水するが、繊維
自身が弱いため水に濡れるとその厚さが極端に薄くな
る。この結果、不織布2全体としての吸水量が少なくな
る。しかし、麻との混紡にすることにより、不織布2が
嵩高の状態に保持され、吸水量が増えると考えられる。
綿は油成分が強いため、はっ水性が大きく水に濡れにく
い。麻も同様であるが、繊維自身が綿に較べて太く、不
織布にした状態で水が入り込む空間が形成されるため、
吸水量が大きくなると思われる。
【0035】従って、基材の不織布2としては、麻とレ
ーヨンの混紡(80:20)、麻(100%)、麻とレ
ーヨンの混紡(50:50)が適している。 (4) 保水材の濡れやすさ及び透水性の目安となる初
期の吸水に要する時間を調べた実験の結果は以下のよう
になった。
【0036】くん炭<籾殻(破砕中)<籾殻(破砕大)
<籾殻(破砕小)<籾藁<籾殻(未処理) この場合、籾殻の破砕大は1mm以上に、破砕中はほぼ
0.6〜1mm、破砕小はほぼ0.6mm以下に破砕し
たものである。さらに、稲藁は数ミリに破砕したものを
使用した。
【0037】又、保水特性を調べた実験の結果によれ
ば、初期の保水量は以下のようになった。 籾殻(破砕小)>くん炭>籾殻(破砕中)>籾殻(破砕
大)>籾藁 この結果、生分解性保水材としては籾殻を1mm程度に
破砕したものが最も適している。
【0038】又、ピートモスははっ水性が非常に大きい
ため、初期の吸水量が比較的少なくなる。同様の理由
で、破砕しない籾殻も吸水量が少ない結果となった。保
水性が土壌と同程度に良い保水材を使用した場合は、種
子3から出た根が不織布2を通って土壌に向かわず、保
水材5内部のみで成長する結果となる場合がある。そし
て、その状態で日照りにより保水材5が乾燥すると、生
育中の植物が枯れてしまう結果となる。従って、保水材
5としては土壌よりは保水性が若干劣る材料が適してい
る。
【0039】又、蒸散による水分の喪失の度合いを調べ
た実験結果によると、くん炭がやや時間当たりの水分喪
失の度合いが大きいがその他はほとんど差がなかった。 (5) 遮光性向上を目的として不織布2を黒色で染色
したが、黒色以外の色、例えば、茶色、緑色、赤色、黄
色等の色で染色してもよい。各色の付着量に対する遮光
度を調べた実験の結果によれば、目付けが66g/m2
の試料で行った場合、付着量が10〜30%で遮光度は
87〜92%を示した。黄色は遮光効果が低かった。な
お、付着量が0のとき遮光度は82%であった。
【0040】又、先染により黒色に染めたレーヨンを使
用した不織布2は目付けが70g/m2 のときに遮光度
が98%を示した。すなわち、遮光性を上げるには先染
の素材を使用するのが好ましい。
【0041】さらに、不織布2に対する着色材の付着量
と通気抵抗の関係を調べた結果、通気抵抗は着色材の付
着量に依存しないことが分かった。即ち、遮光性の向上
は空間が塞がれることにより得られたのではなく、不織
布2の着色により得られたことが確認された。
【0042】着色は遮光性を向上させる目的ではなく、
花が咲くまでの美観の向上を目的としても使用できる。
例えば、種々の色に着色された育花用シート1を所定の
大きさ(例えば30m×90cm)に規格化し、色の異
なる育花用シート1を組み合わせて施工する。又、育花
用シート1に配置されている種子3の種類、施工時期、
花の咲く時期等の区別のために異なる色に着色してもよ
い。
【0043】(6) 種子3から出た根の通過を許容す
る大きさの目を有する荒い織物又は編み地と不織布2と
を重ねて、ニードルパンチにより絡ませて一体化して不
織布2の補強を行ってもよい。不織布2で前記織物又は
編み地を挟んだ状態でニードルパンチにより絡ませて一
体化してもよい。この場合、育花用シート1の強度が向
上し、保管、取り扱い及び施工が容易になる。これら織
物としては、レーヨン、綿、麻等による交織地、又は縦
編み地が適している。
【0044】又、織物や編み地の代わりに、ネットを用
いてもよい。 (7) 種子3、肥料4及び保水材5をフィルム6のみ
で覆うことにより不織布2に一体化するように構成して
もよい。この場合、製造コストを低減することができ
る。
【0045】以下、特許請求の範囲に記載された技術的
思想の外に、前述した実施例で把握される技術的思想を
効果とともに記載する。 (1) 請求項1又は請求項2で、被覆材を水分の吸収
により叩解される紙材とする。この構成によれば、細か
く破砕した保水材5を確実に固定保持することができ
る。
【0046】(2) 請求項1、請求項2及び技術的思
想1のいずれかで基材を着色する。この構成によれば、
雑草の生育をより抑制することができる。 (3) 請求項1又は請求項2で基材は、ネットで補強
されている。この構成によれば、取り扱い性及び施工性
をより向上させることができる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、雑草の生育を効果的に抑制した状態で草
花の種子の発芽及び育成を行うことができ、しかも施工
が容易で手入れを簡単にすることができる。
【0048】又、請求項2に記載の発明によれば、第1
の発明の効果に加えて、基材と被覆材が直接接合される
箇所で自由に屈曲されるため、保管、取り扱い及び施工
を容易にすることができる。
【0049】又、請求項3に記載の発明によれば、第1
の発明又は第2の発明の効果に加えて、被覆材が育花用
シートの補強を行うため、運搬、取り扱い及び施工性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施例としての育花用シ
ートを示す概略斜視図である。
【図2】育花用シートの模式断面図である。
【図3】(a)は不織布の染色工程を示す模式図であ
り、(b)は育花用シートの製造工程を示す模式図であ
る。
【図4】従来例の植生板を示す断面図である。
【図5】同じく、植生用シートを示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
2…基材としての不織布、3…種子、4…肥料、5…保
水材、6…水溶性フィルム、7…ネット。
フロントページの続き (72)発明者 小池 法雄 岐阜県岐阜市福光南町3丁目20番地 (72)発明者 袖垣 一也 岐阜県岐阜市下奈良3丁目21番地12号 (72)発明者 田中 一弘 岐阜県高山市漆垣内町371番地 (72)発明者 津田 薫 岐阜県吉城郡古川町増島町16丁目45番地 (72)発明者 田口 誠 岐阜県吉城郡古川町向町3丁目7番22号 (72)発明者 小林 忠彦 岐阜県瑞浪市明賀台1丁目59番地

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雑草の生育を抑制する厚さに形成された
    生分解性不織布からなる基材(2)の上面に、花の種子
    (3)及び肥料(4)を配置するとともに生分解性素材
    からなる保水材(5)を配置し、その上に前記基材
    (2)と共同して前記種子(3)、肥料(4)及び保水
    材(5)を挟持する生分解性素材からなる被覆材を設け
    た育花用シート。
  2. 【請求項2】 前記種子(3)及び肥料(4)を基材
    (2)上に離散した状態で配置するとともにその上を前
    記保水材(5)にて同じく離散した状態で覆い、前記被
    覆材を保水材(5)が配置されていない箇所で基材
    (2)と接合した請求項1に記載の育花用シート。
  3. 【請求項3】 前記被覆材は生分解性素材製のネット
    (7)で構成され、水溶性フィルム(6)を介して基材
    (2)に接合されるとともに、その目を前記種子(3)
    から発芽した芽が通過し得る大きさとした請求項2に記
    載の育花用シート。
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