JPH07279835A - 電磁石式加圧ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的な外部入力を不要にして全体を小型コ
ンパクトに構成可能な電磁石式加圧ポンプを提供できる
ようにする。 【構成】 一方の固定磁石２および他方の固定磁石３を
ハウジング１の両側に設けるとともに、上記ハウジング
１の内部空間に摺動マグネット６を摺動自在に配設して
上記内部空間を一方の加圧室４および他方の加圧室５に
区画し、かつ上記一方の加圧室４および加圧室５に流体
吸入手段と流体排出手段とをそれぞれ設けることによ
り、上記一方の固定磁石２および他方の固定磁石３を所
定の磁極に磁化することで、上記摺動マグネット６を上
記一方の固定磁石２側および他方の固定磁石３側に交互
に摺動させるようにし、上記一方の加圧室４（他方の加
圧室５）内の流体を上記一方の排出口９ｂ（他方の排出
口１０ｂ）より排出するとともに、上記他方の吸入口８
ｂ（一方の吸入口７ｂ）より上記他方の加圧室５（一方
の加圧室４）内に吸入するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電磁石式加圧ポンプに係
わり、特に、ポンプ本体内に加圧空間を形成するととも
に、上記加圧空間の容積を可変することにより内部に吸
入した流体を吸入したり吐出したりするものに用いて好
適なものである。

【０００２】

【従来の技術】周知の通り、加圧ポンプは種々のタイプ
のポンプが実用化されているが、そのうちの一つとして
容積式ポンプがある。上記容積式ポンプとは、ポンプ本
体内に加圧空間を形成しておく。そして、上記加圧空間
内に流体を吸入するとともに、その容積を可変すること
により上記内部に吸入した流体を吸入したり吐出したり
するようにしている。

【０００３】ところで、従来からポンプ内の容積を可変
する方法として、ピストンやフランジャー等を往復運動
させる方法が用いられている。そして、上記往復運動を
行わせるための手段として、蒸気圧や空気圧や油圧等の
ような流体の圧力を利用したり、または電動機によるク
ランク機構が用いられていた。

【０００４】上記のように流体の圧力を利用すると、上
記ピストンやフランジャー等を直接的に往復運動させる
ことができる。しかし、これらの蒸気圧や空気圧や油圧
等を得るには、これらの流体が存在するある一定の条件
下でしか得られない問題がある。

【０００５】それに対し、駆動エネルギーとして電気を
用いると、簡単に入手することができるとともに、クリ
ーンに利用することができる利点がある。しかし、電気
を駆動エネルギーとして用いて電動機を回転させるよう
にしても、上記ピストンやフランジャー等を往復運動さ
せるためには、クランク機構などのメカニズムが必要で
ある。

【０００６】このようなクランク機構などのメカニズム
は、精密機械なので大きな力を加えることが難しく、ま
た、長期間にわたって使用する場合には頻繁に保守点検
を行わなければならない問題があった。

【０００７】このような問題を解決するために、本願の
出願人は図４に示すような「磁石式加圧ポンプ」を先に
考案して出願した。図４に示すように、上記「磁石式加
圧ポンプ」は、ケース５１と、上記ケース５１の中に所
定の間隔を置いて左右に配設された固定マグネット５
２、５３を備えている。

【０００８】これらの固定マグネット５２、５３の周面
には、固定マグネット５２、５３をケース５１に固定す
るためのステー５４が取り付けられているとともに、流
体が通過するための流路６１が形成されている。

【０００９】また、上記左右の固定マグネット５２、５
３間に通されていて、軸受５６によって支持されるとと
もに、任意の回転手段によって回転せしめられるシャフ
ト５５を有している。

【００１０】さらに、上記固定マグネット５２、５３間
において、上記シャフト５５の回転に同期して回転する
とともに、左右に摺動可能に配された回転摺動マグネッ
ト５７を備えている。そして、この回転マグネット５７
の左面Ａと左側固定マグネット５２の右面Ｂとの間が第
１ポンプ室５８として区画される。

【００１１】また、回転摺動マグネット５７の右面Ｃと
右側固定マグネット５３の左面Ｄとの間が第２ポンプ室
５９として区画され、左右の固定マグネット５２、５３
の各々の外側には流路室６０が形成されている。

【００１２】これらの流路室６０の外側には少なくとも
２つのポート６２が形成され、そのポート６２には互い
に開方向が異なる逆止弁６３が配設されている。また、
上記回転摺動マグネット５７と上記左右の固定マグネッ
ト５２、５３の磁極数は同一であり、かつＮ極、Ｓ極が
交互に配置するように設定されている。

【００１３】そして、上記シャフト５５の回転に伴い、
上記回転摺動マグネット５７のある回転位置における回
転摺動マグネット５７の左面Ａのある一定領域の磁極
と、左側固定マグネット５２の右面Ｂの同一領域の磁極
とが反発関係にある時、上記回転摺動マグネット５７の
右面Ｃの同一領域の磁極と右側固定マグネット５３の左
面Ｄの同一領域の磁極とが吸引関係になるように成され
ている。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】上記磁石式加圧ポンプ
によれば、駆動エネルギーとして磁石を用いているの
で、蒸気圧や空気圧を用いることができない現場で用い
ることができるとともに、メカニズムが精密でないの
で、保守点検が容易である。また、磁石の磁力を調節す
ることによりポンプの加圧圧力を簡単に変化させること
ができる利点を有している。

【００１５】しかしながら、上記磁石式加圧ポンプの場
合には、上記回転摺動マグネット５７を回転させるため
に、機械的な外部入力が必要であった。具体的には、上
記回転摺動マグネット５７を回転させるためのモータが
必要であった。このため、装置全体が大きくなってしま
う不都合があった。

【００１６】また、外部入力を上記回転摺動マグネット
５７に伝達するために、シャフト５５をケース５１の外
部に突出させているので、ポンプ内で加圧する流体が外
部に漏れないようにするためのシールを厳重にしなけれ
ばならない問題があった。

【００１７】本発明は上述の問題点にかんがみ、機械的
な外部入力を不要にして全体を小型コンパクトに構成可
能な電磁石式加圧ポンプを提供できるようにすることを
目的とする。

【００１８】

【課題を解決するための手段】本発明の電磁石式加圧ポ
ンプは、ハウジング１と、上記ハウジング１の両側に所
定の間隔を置いて配置された一方の固定磁石２および他
方の固定磁石３よりなる磁力発生手段と、上記一方の固
定磁石２および他方の固定磁石３間における上記ハウジ
ング１内に摺動自在に配設されていて、上記ハウジング
１内の空間を一方の加圧室４および他方の加圧室５に区
画している摺動マグネット６と、上記一方の加圧室４に
設けられている一方の吸入口７ｂ，一方の吸入弁７ａお
よび上記他方の加圧室５に設けられている他方の吸入口
８ｂ，他方の吸入弁８ａよりなる流体吸入手段と、上記
一方の加圧室４に設けられている一方の排出口９ｂ，一
方の排出弁９ａおよび上記他方の加圧室５に設けられて
いる他方の排出口１０ｂ，他方の排出弁１０ａよりなる
流体排出手段とを具備し、上記一方の固定磁石２および
他方の固定磁石３を磁化することにより、上記摺動マグ
ネット６を上記一方の固定磁石２側および他方の固定磁
石３側に交互に摺動させるようにしたことを特徴とする
電磁石式加圧ポンプである。

【００１９】

【作用】本発明は上記技術手段を有するので、摺動マグ
ネット６の一側端面６ａと対面する上記一方の固定磁石
２の中心電極を上記一側端面６ａと異なる磁極に磁化す
るとともに、上記摺動マグネット６の他側端面６ｂと対
面する上記他方の固定磁石３の中心電極を上記他側端面
６ｂと同じ磁極に磁化することにより、上記摺動マグネ
ット６と上記一方の固定磁石２との間に磁気吸着作用を
生じさせるとともに、上記摺動マグネット６と上記他方
の固定磁石３との間に磁気反発作用を生じさせることが
できる。これにより、上記摺動マグネット６を一方の固
定磁石２の方向に摺動させて、上記一方の加圧室４の容
量を減少させるとともに他方の加圧室５の容量を増大さ
せ、上記一方の加圧室４内の流体を上記一方の排出口９
ｂより排出するとともに、上記他方の吸入口８ｂより他
方の加圧室５内に流体を吸入することができる。

【００２０】次に、上記一方の固定磁石２および他方の
固定磁石３の磁極を反転させることにより、上記摺動マ
グネット６を上記他方の固定磁石３の方向に摺動させて
上記他方の加圧室５内の容量を減少させるとともに一方
の加圧室４の容量を増大させるようにすると、上記他方
の加圧室５内の流体を上記他方の排出口１０ｂより排出
することができるとともに、上記一方の吸入口７ｂより
一方の加圧室４内に流体を吸入することができ、加圧ポ
ンプ動作を機械的な回転駆動力なしで実現することがで
きる。

【００２１】

【実施例】次に、図１〜図３を参照して本発明の電磁石
式加圧ポンプの一実施例を詳細に説明する。図におい
て、１はハウジング、２は一方の固定磁石、３は他方の
固定磁石、４は一方の加圧室、５は他方の加圧室、６は
摺動マグネットである。また、７ａは一方の吸入弁、７
ｂは一方の吸入口、８ａは他方の吸入弁、８ｂは他方の
吸入口８ｂ、９ａは一方の排出弁、９ｂは一方の排出
口、１０ａは他方の排出弁、１０ｂは他方の排出口であ
る。

【００２２】ハウジング１は、中空の円柱形に形成され
ていてその両側に一方の固定磁石２が配設されていると
ともに、他方の固定磁石３が配設されている。また、上
記一方の固定磁石２が配設されている側に一方の排出口
９ｂが形成されていて、ここに一方の排出弁９ａが取り
付けられている。さらに、上記他方の固定磁石３が配設
されている側に他方の排出口１０ｂが形成されていて、
ここに他方の排出弁１０ａが取り付けられている。

【００２３】また、上記ハウジング１、一方の固定磁石
２および他方の固定磁石３によって区画された空間は、
流体をポンプ内に吸入して加圧するために用いられるも
のであり、ここに摺動マグネット６が摺動自在に配設さ
れていて、これによりハウジング１内が一方の加圧室４
と他方の加圧室５に区画されている。

【００２４】上記一方の加圧室４には、一方の吸入口７
ｂおよび一方の排出弁９ａが設けられているとともに、
上記他方の加圧室５には、他方の吸入口８ｂおよび他方
の排出弁１０ａが設けられている。そして、上記一方の
吸入口７ｂには一方の吸入弁７ａが設けらているととも
に、上記他方の吸入口８ｂには他方の吸入弁８ａが設け
られている。

【００２５】このように構成された本実施例の電磁石式
加圧ポンプを駆動する場合には、次のようにして行う。
すなわち、先ず、図２に示すように、上記摺動マグネッ
ト６の一側端面６ａと対面する上記一方の固定磁石２の
中心電極を、上記一側端面６ａと異なる磁極に磁化する
とともに、上記摺動マグネット６の他側端面６ｂと対面
する上記他方の固定磁石３の中心電極を、上記他側端面
６ｂと同じ磁極に磁化する。

【００２６】図２の例では、上記摺動マグネット６の一
側端面６ａの磁極がＮ極であり、他側端面６ｂがＳ極な
ので、一方の固定磁石２および他方の固定磁石３の中心
をそれぞれＳ極に磁化している。このように磁化するこ
とにより、上記摺動マグネット６と上記一方の固定磁石
２との間に磁気吸着作用を生じさせることができるとと
もに、上記摺動マグネット６と上記他方の固定磁石３と
の間に磁気反発作用を生じさせることができる。

【００２７】そして、上記磁気吸着作用および磁気反発
作用により、図２中において矢印２０で示したように、
上記摺動マグネット６を一方の固定磁石２の方向に摺動
させることができる。

【００２８】上記摺動マグネット６が一方の固定磁石２
の方向に摺動すると、上記一方の加圧室４の容量を減少
させるとともに、他方の加圧室５の容量を増大させるこ
とができる。これにより、上記一方の加圧室４内に吸入
されていた流体を、矢印２１で示すように、上記一方の
排出口９ｂより排出することができる。また、矢印２２
で示すように、上記他方の吸入口８ｂより他方の加圧室
５内に流体を吸入することができる。

【００２９】次に、図３に示すように、上記一方の固定
磁石２および他方の固定磁石３の磁極を反転させる。図
３の例では、一方の固定磁石２および他方の固定磁石３
の中心をそれぞれＮ極に磁化する。このように磁極を反
転させることにより、上記摺動マグネット６と上記一方
の固定磁石２との間に磁気反発作用を生じさせることが
できるとともに、上記摺動マグネット６と上記他方の固
定磁石３との間に磁気吸着作用を生じさせることができ
る。

【００３０】したがって、図３中において矢印２３で示
したように、上記摺動マグネット６を他方の固定磁石３
の方向に摺動させることができる。これにより、上記他
方の加圧室５内の容量を減少させるとともに一方の加圧
室４の容量を増大させることができる。

【００３１】このため、矢印２４で示すように、上記他
方の加圧室５内の流体を上記他方の排出口１０ｂより排
出することができる。また、矢印２５で示すように、上
記一方の吸入口７ｂより一方の加圧室４内に流体を吸入
することができる。

【００３２】上述したように、一方の固定磁石２および
他方の固定磁石３の磁極を反転させる方法としては、例
えば、交流の低周波を上記一方および他方の固定磁石
２，３を構成するコイルに供給するようにすればよい。
また、ハイレベル期間が５０％のパルス波を上記コイル
に供給するようにしてもよい。

【００３３】なお、上記実施例ではハウジング１の両端
にそれぞれ固定磁石２，３を配設するようにした例を示
したが、上記ハウジング１の周面に励磁コイルを巻い
て、上記ハウジング１の周面から次回を加えるようにし
てもよい。このようにすれば、上記摺動マグネット６の
摺動ストロークを長くとることができる。この場合、一
方の吸入口７ｂおよび他方の排出口１０ｂは、ハウジン
グ１の両端部に設けるようにすればよい。

【００３４】

【発明の効果】本発明は上述したように、駆動エネルギ
ーとして磁石を用いているので、蒸気圧や空気圧を用い
ることができない現場で用いることができるとともに、
精密なメカニズムがないので、保守点検を容易化するこ
とができる。また、磁石の磁力を調節することによりポ
ンプの加圧圧力を簡単に変化させることができる利点を
有している。

【００３５】さらに、機械的な外部入力を加える必要が
ないので、装置構成を小型化することができるととも
に、ポンプ内で加圧する流体が外部に漏れないようにす
るためのシールを簡略化することが可能な電磁石式加圧
ポンプを実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電磁石式加圧ポンプの概略構成を示す
断面図である。

【図２】実施例の電磁石式加圧ポンプの摺動マグネット
が一側方向に移動する原理を説明するための図である。

【図３】実施例の電磁石式加圧ポンプの摺動マグネット
が他側方向に移動する原理を説明するための図である。

【図４】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ 一方の固定磁石 ３ 他方の固定磁石 ４ 一方の加圧室 ５ 他方の加圧室 ６ 摺動マグネット ７ａ 一方の吸入弁 ７ｂ 一方の吸入口 ８ａ 他方の吸入弁 ８ｂ 他方の吸入口 ９ａ 一方の排出弁 ９ｂ 一方の排出口 １０ａ 他方の排出弁 １０ｂ 他方の排出口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング１と、 上記ハウジング１の両側に所定の間隔を置いて配置され
   た一方の固定磁石２および他方の固定磁石３よりなる磁
   力発生手段と、 上記一方の固定磁石２および他方の固定磁石３間におけ
   る上記ハウジング１内に摺動自在に配設されていて、上
   記ハウジング１内の空間を一方の加圧室４および他方の
   加圧室５に区画している摺動マグネット６と、 上記一方の加圧室４に設けられている一方の吸入口７
   ｂ，一方の吸入弁７ａおよび上記他方の加圧室５に設け
   られている他方の吸入口８ｂ，他方の吸入弁８ａよりな
   る流体吸入手段と、 上記一方の加圧室４に設けられている一方の排出口９
   ｂ，一方の排出弁９ａおよび上記他方の加圧室５に設け
   られている他方の排出口１０ｂ，他方の排出弁１０ａよ
   りなる流体排出手段とを具備し、 上記一方の固定磁石２および他方の固定磁石３を磁化す
   ることにより、上記摺動マグネット６を上記一方の固定
   磁石２側および他方の固定磁石３側に交互に摺動させる
   ようにしたことを特徴とする電磁石式加圧ポンプ。