JPH07276223A - 回転工具及びそのクランプ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転工具の交換による回転工具先端の回転の
振れを防ぎ、高い研削精度を得ることができるととも
に、自動交換装置による交換作業に適した回転工具及び
そのクランプ機構を提供する。 【構成】 ホーニングツール１が、マニシングセンタ２
に設けられたクランプ機構３によって保持されるブラケ
ット４と、このブラケット４に軸受５を介して回転可能
に支持されたツール本体６とを備えている。ツール本体
６と工作機械２のスピンドル１０とがカップリングで連
結される。ホーニングツール１を交換した際、工作機械
２のスピンドル１０の中心軸に対してホーニングツール
１の中心軸が傾いていたとしても、ホーニングツール１
に回転力を与えたときのツール本体６の先端の回転の振
れを防ぐことができ、ＡＴＣによるホーニングツール１
の交換が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は回転工具及びそのクラ
ンプ機構に関し、特にホーニング加工を行うためのホー
ニングツール等の回転工具及びそのクランプ機構に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、工作機械のスピンドルに装着され
るホーニングツールとしては、特公昭54-11034号公報や
特開平3-234462号公報等に開示されたものが知られてい
る。

【０００３】このホーニングツールは砥石拡張部材を内
蔵し、前記砥石拡張部材はスピンドルの砥石拡張ロッド
に連結され、前記砥石拡張ロッドによって前記砥石拡張
部材が上下動し、砥石の拡張と収縮とが行われる。

【０００４】また、ホーニングツールのテーパシャンク
（円錐面）は工作機械のスピンドルの円錐穴に挿入さ
れ、この状態でホーニングツールがスピンドルに保持さ
れている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、ホ
ーニングツールは、砥石の摩耗による砥石の拡張限界時
期が来たとき、又は径の異なる円筒内周面をホーニング
するとき、交換される。この交換作業はＡＴＣ（automa
tic tool changer）を用いて自動的に行われている。

【０００６】ところが、前述のようにホーニングツール
の円錐面がスピンドルの円錐穴に挿入され、この状態で
ホーニングツールがスピンドルに保持されるので、ホー
ニングツールの交換の際に、例えばホーニングツールの
円錐面とスピンドルの円錐穴との間に切り粉が入り込む
などして、スピンドルの回転伝達部材の中心軸に対して
ホーニングツールの中心軸が傾くことがある。

【０００７】この状態で回転が伝わるとホーンヘッドの
先端が大きく振れ、高い加工精度が得られないという問
題があった。

【０００８】このホーンヘッド先端の回転の振れを防ぐ
には交換の度にスピンドルの中心軸とホーニングツール
の中心軸の傾きとの同心度の微調整を行う方法がある
が、これではＡＴＣによるホーニングツールの交換作業
は著しく効率の悪いものとなり、高精度加工での事実上
ＡＴＣによるホーニングツールの交換作業は不可能であ
る。

【０００９】この発明はこのような事情に鑑みてなされ
たもので、その課題は交換による回転工具の先端の回転
の振れを防ぎ、高い加工精度を得ることができるととも
に、自動工具交換装置による交換作業に適した回転工具
及びそのクランプ機構を提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め請求項１記載の発明の回転工具は、スピンドルを有す
る工作機械に着脱可能な回転工具において、前記工作機
械に設けられたクランプ機構によって保持されるブラケ
ットと、このブラケットに軸受を介して回転可能に支持
された回転工具本体とを備え、前記回転工具本体と前記
工作機械のスピンドルとがカップリングで連結される。

【００１１】また、請求項２記載の発明の回転工具は、
前記工作機械がホーニング盤である。

【００１２】更に、請求項３記載の発明の回転工具のク
ランプ機構は、回転工具を工作機械に固定するためのク
ランプ機構において、前記工作機械に形成された支持部
と、前記工作機械に取り付けられ、前記支持部に前記回
転工具を押しつけるアクチュエータとを備え、前記支持
部と前記アクチュエータとで前記回転工具の外周面を３
点支持する。

【００１３】また、請求項４記載の発明の回転工具のク
ランプ機構は、回転工具を工作機械に固定するためのク
ランプ機構において、前記工作機械に形成されたＶ溝
と、前記工作機械に取り付けられ、前記Ｖ溝に前記回転
工具を押圧して前記回転工具を保持するアクチュエータ
とを備えている。

【００１４】更に、請求項５記載の発明の回転工具のク
ランプ機構は、前記工作機械が自動工具交換装置である
また、請求項６記載の発明の回転工具のクランプ機構
は、前記工作機械がマニシングセンタであり、前記回転
工具が前記マニシングセンタに着脱可能なホーニングツ
ールである

【００１５】

【作用】前述のように、回転工具が、工作機械に設けら
れたクランプ機構によって保持されるブラケットと、こ
のブラケットに軸受を介して回転可能に支持されたツー
ル本体とを備え、ツール本体と工作機械のスピンドルと
が剛体としては分離され、回転力のみがカップリングで
伝達される構造なので、回転工具を交換した際、工作機
械のスピンドルの中心軸に対して回転工具の中心軸が傾
いていたとしても、ツール製作時に同軸度の精度をベア
リングのハウジングとツール本体との間で設定してある
ため、回転工具に回転力を与えてもツール本体先端の回
転の振れ防止の精度を保つことができる。

【００１６】また、回転工具のクランプ機構を、工作機
械に形成されたＶ溝などの支持部と、工作機械に取り付
けられ、Ｖ溝に回転工具を押圧して回転工具を保持する
アクチュエータとで構成したので、工作機械に対する回
転工具の着脱（交換）が容易になるとともに、取付精度
が向上する。

【００１７】

【実施例】以下この発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１８】図１はこの発明の一実施例に係るホーニン
グツールの取付け状態を示す縦断面図である。ホーニン
グツール（回転工具）１は、工作機械２に設けられたク
ランプ機構３によって保持されている。

【００１９】前記ホーニングツール１は、円筒状のブラ
ケット４と、ブラケット４に軸受５を介して回転可能に
支持されたツール本体６とを備えている。ブラケット４
の上端面には、軸受５に与圧を与える与圧調節部材７が
ネジ８で取り付けられている。与圧調節部材７によって
軸受５の外レース５ａに軸方向の力が加わり、軸受５が
歪むことによりツール本体６の外周面と軸受５の内レー
ス５ｂとの密着力が高まり、ガタが除去される。

【００２０】ツール本体６は、砥石６ａと、砥石６ａを
拡張させるウエッジ（図示せず）とを有している。アタ
ッチメント本体６の上端部には、スピンドルハウジング
９内に収容されたスピンドル１０の凸部１０ａと嵌合
し、回転を伝達するための凹部６ｂが設けられている。
凸部１０ａと凹部６ｂとでカップリングを構成する。

【００２１】図２はこの発明の一実施例に係るホーニン
グツールのクランプ機構３を上方から見た概略構成図、
図３は図２のＡ−Ａ線に沿う矢視図である。

【００２２】クランプ機構３は、工作機械２のＶブロッ
ク２ａに形成されたＶ溝１１と、このＶ溝１１にホーニ
ングツール１を押し付けるアクチュエータ１２とを備え
ている。Ｖブロック２ａのＶ溝１１には、図３に示すよ
うに、複数の超硬チップ１３が配設されている。エアシ
リンダ１２はブロック２ｂに取付けられ、ブロック２ｂ
はＶブロック２ａに固定されている。アクチュエータ１
２は、エアシリンダ１２ａと、ツール本体６を半径方向
へ押圧するプランジャ１２ｂとを備えている。プランジ
ャ１２ｂにはコイルバネ１４が巻装され、ホーニングツ
ール１を押圧する方向へプランジャ１２ｂを常時付勢す
る。図示しないエア供給源からエアシリンダ１２ａ内に
エアが供給され、エアシリンダ１２ａ内の圧力がコイル
バネ１４の付勢力を越えるとプランジャ１２ｂが引っ込
む。

【００２３】この実施例のホーニングツール１によれ
ば、上述のように、円筒状のブラケット４と、このブラ
ケット４に軸受５を介して回転可能に支持されたツール
本体６とでホーニングツール１を構成したので、ホーニ
ングツール１を交換した際、工作機械２のスピンドル１
０の中心軸に対してホーニングツール１の中心軸が傾い
ていたとしても、ホーニングツール１に回転力を与えた
ときのツール本体６の先端の回転の振れは起きず、高い
加工精度を得ることができる。

【００２４】なお、ホーニングツール１の中心軸の傾き
は被加工物を支持する公知のフローティング支持機械に
より、許容される。また、ホーニングツール１を交換し
た際の取付精度の微調整が不要になるので、図示しない
ＡＴＣによる交換が可能になり、作業効率が向上する。

【００２５】更に、ホーニングツール１を上述のクラン
プ機構３によって工作機械２に装着するようにしたの
で、ホーニングツール１の着脱が容易になり、ＡＴＣに
よる交換作業の効率が一層向上する。

【００２６】なお、前述の実施例では、クランプ機構３
のアクチュエータ１２としてエアシリンダ１２ａを用い
た場合について述べたが、これに代え、油圧シリンダや
電磁アクチュエータ等を用いるようにしてもよい。ま
た、クランプ機構として、テーパシャンクやコレットチ
ャック等を用いるようにしてもよい。

【００２７】また、前述の実施例では、軸受５としてア
ンギュラ形玉軸受を用いた場合について述べたが、これ
に代え、コロ軸受を用いるようにしてもよい。

【００２８】更に、前述の実施例では、この発明をホー
ニングツール１に適用した場合について述べたが、ドリ
リング、リーマー及びタッピング等の回転工具に適用す
るようにしてもよい。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明の回転工具
によれば、回転工具を交換した際、工作機械のスピンド
ルの中心軸に対して回転工具の中心軸が傾いていたとし
ても、回転工具に回転力を与えたときのツール本体先端
の回転の振れを防ぐことができるので、高い加工精度を
得ることができるとともに、交換後の取付精度の微調整
が不要になり、その結果自動工具交換装置による交換が
可能になり、作業効率が向上する。

【００３０】また、回転工具のクランプ機構を、工作機
械に形成されたＶ溝などの支持部と、工作機械に取り付
けられ、Ｖ溝に回転工具を押圧して回転工具を保持する
アクチュエータとで構成したので、工作機械に対する回
転工具の着脱（交換）が容易になるとともに、取付精度
も向上し、自動工具交換装置による回転工具の交換作業
の効率が一層向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの発明の一実施例に係るホーニングツ
ールの取付け状態を示す縦断面図である。

【図２】図２はこの発明の一実施例に係るホーニングツ
ールのクランプ機構を上方から見た概略構成図である。

【図３】図３は図２のＡ−Ａ線に沿う矢視図である。

【符号の説明】

１ ホーニングツール（回転工具） ２ 工作機械 ３ クランプ機構 ４ ブラケット ５ 軸受 ６ ツール本体 １０ スピンドル １１ Ｖ溝 １２ アクチュエータ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スピンドルを有する工作機械に着脱可能
   な回転工具において、前記工作機械に設けられたクラン
   プ機構によって保持されるブラケットと、このブラケッ
   トに軸受を介して回転可能に支持された回転工具本体と
   を備え、前記回転工具本体と前記工作機械のスピンドル
   とがカップリングで連結されることを特徴とする回転工
   具。
2. 【請求項２】 前記工作機械がホーニング盤であること
   を特徴とする請求項１記載の回転工具。
3. 【請求項３】 回転工具を工作機械に固定するためのク
   ランプ機構において、前記工作機械に形成された支持部
   と、前記工作機械に取り付けられ、前記支持部に前記回
   転工具を押しつけるアクチュエータとを備え、前記支持
   部と前記アクチュエータとで前記回転工具の外周面を３
   点支持することを特徴とする回転工具のクランプ機構。
4. 【請求項４】 回転工具を工作機械に固定するためのク
   ランプ機構において、前記工作機械に形成されたＶ溝
   と、前記工作機械に取り付けられ、前記Ｖ溝に前記回転
   工具を押圧して前記回転工具を保持するアクチュエータ
   とを備えていることを特徴とする回転工具のクランプ機
   構。
5. 【請求項５】 前記工作機械が自動工具交換装置である
   ことを特徴とする請求項３記載の回転工具のクランプ機
   構。
6. 【請求項６】 前記工作機械がマニシングセンタであ
   り、前記回転工具が前記マニシングセンタに着脱可能な
   ホーニングツールであることを特徴とする請求項４記載
   の回転工具のクランプ機構。