JPH07274987A - バクテリアセルロースの製造方法 - Google Patents

バクテリアセルロースの製造方法

Info

Publication number
JPH07274987A
JPH07274987A JP7609294A JP7609294A JPH07274987A JP H07274987 A JPH07274987 A JP H07274987A JP 7609294 A JP7609294 A JP 7609294A JP 7609294 A JP7609294 A JP 7609294A JP H07274987 A JPH07274987 A JP H07274987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen
bacterial cellulose
oxygen permeable
permeable membrane
membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7609294A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2766182B2 (ja
Inventor
Kiyoshi Toda
清 戸田
Tomoko Asakura
智子 朝倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Polymer Research Co Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bio Polymer Research Co Ltd filed Critical Bio Polymer Research Co Ltd
Priority to JP7609294A priority Critical patent/JP2766182B2/ja
Publication of JPH07274987A publication Critical patent/JPH07274987A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2766182B2 publication Critical patent/JP2766182B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アセトバクター属等に属しバクテリアセルロ
ース産生能を有する微生物を培養することによるバクテ
リアセルロースの製造方法であって、滑らかな表面を有
する酸素透過膜を介して培養液中に酸素を供給すること
を特徴とする前記方法。 【効果】 従来の静置培養よりも高収率でバクテリアセ
ルロースが得られる。所望の形状にバクテリアセルロー
ス・ペリクルを成形することも可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アセトバクター属等に
属しセルロース性物質産生能を有する微生物の培養によ
るセルロース性物質(本明細書中では『バクテリアセル
ロース』という)の製造方法に関する。
【0002】より具体的には、本発明は、滑らかな表面
を有する酸素透過膜を介して酸素を前記微生物の培養液
中に供給することにより、バクテリアセルロースを製造
する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】アセトバクター属等に属する微生物を培
養して、バクテリアセルロースを生産する方法は、特開
昭61−221201号公報及び特開昭62−2659
90号公報等にその記載がある。
【0004】アセトバクター属等に属する微生物は好気
性であり、バクテリアセルロースの製造には、培養液中
に炭素源のみならず、酸素も十分に供給し続ける必要が
ある。
【0005】しかしながら、静置培養法の方が攪拌培養
に比べてセルロース生産性が高いこと及び攪拌培養を行
うとセルロース生産菌が非生産菌に変化してしまう場合
があることから、本発明者らは、既に、特願平5−46
844号に、静置培養に於いて酸素透過性の膜を用いて
培養液の下部から酸素を供給して培養する方法を開示し
た。
【0006】また、特開昭61−152296号公報に
も、バクテリアセルロース産生能を有する微生物の静置
培養によるバクテリアセルロースの製造に於いて、酸素
透過性の膜を介して培養液に酸素を供給することが記載
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来技術においては培養液中に供給される酸素量、即
ち、膜の酸素透過性についての検討はなされているが、
該酸素透過性の膜の表面状態がバクテリアセルロースの
生産性に与える影響に関しては何等の記載もない。
【0008】本発明者らは、前記培養系におけるバクテ
リアセルロースの製造法において、その膜の表面状態が
バクテリアセルロース生産性に影響を与えることに着目
し、鋭意検討した結果、酸素透過膜上の滑らかな表面部
分に、より高収率でバクテリアセルロースが産生される
ことを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アセト
バクター属等に属しバクテリアセルロース産生能を有す
る微生物の培養によるバクテリアセルロースの製造方法
であって、Ra値が0.5μm未満の滑らかな表面を有
する酸素透過膜を介して培養液中に酸素を供給すること
を特徴とする前記方法である。
【0010】本発明の方法に使用される酸素透過膜は、
その培養液と接触する表面のRa値が0.5μm未満で
あることが必要であり、好ましくは0.3μm未満、
0.1μm未満、0.075μm未満、より好ましくは
0.05μm以下である。
【0011】本発明でいう『Ra値』とは、膜表面の
『平均粗さ』を意味し、膜表面の粗荒さを表す数値であ
る。膜表面のRa値が大きいほど、表面が粗荒であり、
小さいほど滑らかな表面であることを意味する。
【0012】このRa値は、以下の記載する方法で当業
者によって容易に測定される。
【0013】即ち、万能表面形状測定機SE−3A[小
坂研究所(株)]を用い、膜表面より任意に選択した2
点間の直線上における凹凸変化を式(1) y=F(x) (1) で表し、これを積分し、2点間の距離l(mm)で徐し
た値、即ち、式2によって表される数値をRa値とし
た。
【0014】
【数1】
【0015】該酸素透過膜の材質としては、成形された
膜が所定のRa値を有する表面を有し、培養液中に酸素
を供給することができるものであれば、任意の材質が使
用できる。
【0016】例えば、材質にはケイ素樹脂、フッ素樹
脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹脂、ビニル系
重合体、シリコンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフ
ルオロエチレン、シリコン−ポリカーボネート共重合
体、ポリアルキルスルホン、直鎖又は分岐状の、二次元
又は三次元のポリシロキサン、天然ゴム、変性ゴム、及
びセルロース誘導体等の天然又は合成の有機・無機高分
子材料、セラミック材料、並びにそれらの複合物等が使
用できる。
【0017】酸素透過膜の膜厚(肉厚)、平均孔径、空
孔率、及び孔の形状についても、該酸素透過膜が所定の
Ra値を有する表面を有し、培養液中に酸素を供給する
ことができるように、当業者によって適宜選択すること
ができる。
【0018】また、前記酸素透過膜は平膜に限らず中空
糸膜等の形状も包含し、また、フィルム及びシートのみ
にとどまらず、本発明を実施するのに十分な酸素透過性
を有するものであれば精密ろ過、限外ろ過、及び透析等
の技術領域で利用されている多孔質膜の名称を有するも
のも使用可能である。
【0019】本発明の所定のRa値を有する表面は、酸
素透過膜基材自体の物理的性質であっても良いが、後処
理又は表面修飾により付加的に与えられた性質であって
も良い。
【0020】一般に、Tダイ、インフレダイを利用した
押出し成形、カレンダー、ドクターナイフによるキャス
ティング成形、キャスティング成形、及びヒートプレス
成形により得られた酸素透過膜に、基材自体の表面が滑
らかであるものが多い。
【0021】後処理及び表面修飾は、これら滑らかな酸
素透過膜表面の滑らかさをより増加させることを目的と
しても良いが、粗荒な酸素透過膜表面を滑らかにするこ
と、及び酸素透過膜表面の一部分の領域のみを滑らかに
することを目的とすることもある。
【0022】前記、後処理及び表面修飾の具体例として
は、被覆層を形成させる処理、プレス処理、ヒートプレ
ス処理、及びラミネート加工処理等が挙げられる。
【0023】被覆層を形成させる処理としては、酸素透
過膜表面上に、被覆層を形成し得る物質の溶液を流延
し、例えばドクターナイフ等で均一に液切りし、乾燥す
るか、もしくは溶媒を抽出する等の方法で形成させるこ
とができる。溶融した前記物質を表面に流延し、冷却す
る方法でも良い。
【0024】これら被覆層を形成し得る物質としては、
ケイ素樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、ウ
レタン樹脂、ビニル系重合体、シリコンゴム、ポリ塩化
ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン−ポリ
カーボネート共重合体、ポリアルキルスルホン、直鎖又
は分岐状の、二次元又は三次元のポリシロキサン、天然
ゴム、変性ゴム、及びセルロース誘導体等の天然又は合
成の有機・無機高分子材料の溶液、並びにそれらの混合
物等が挙げられる。
【0025】溶液を調製する際の溶媒は、例えば、トル
エン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタ
ノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエー
テル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミン系溶媒、二硫化炭素、ジメチルスルホキ
シド等の溶媒が使用可能であり、被覆層の樹脂及び酸素
透過膜の材質に合わせ、当業者によって適宜選択するこ
とができる。
【0026】プレス処理及びヒートプレス処理としては
酸素透過膜の材質、並びに膜厚及び孔径等の性質によっ
て異なるが、通常、0.1kg/cm2 以上の圧力、好
ましくは1〜100kg/cm2 の圧力で酸素透過膜を
圧縮して得ることができる。圧縮の際の温度としては、
酸素透過膜の材質樹脂が分解しない温度であれば任意の
温度で行うことができるが、好ましくは20〜300℃
である。
【0027】ラミネート加工処理としては、酸素透過膜
表面に少なくとも1枚以上の酸素透過膜を更に積層する
ことで行える。積層の際には、圧縮、加熱、溶媒及び接
着剤による処理等、任意の処理方法を用いてより頑強に
積層することが好ましい。
【0028】延伸処理としては、単軸、二軸のいずれの
延伸を行ってもよいが、好ましくは二軸延伸処理であ
る。延伸率は、処理後の酸素透過膜の表面状態及び酸素
透過性等の性質に応じて、当業者によって適宜調節でき
る。
【0029】延伸の際の条件は、酸素透過膜をグリセリ
ン又は流動パラフィン等の液体により湿潤状態として加
熱下で行うことが好ましい。これら液体は揮発性の溶媒
によって抽出することで容易に除去することができる。
【0030】ここで、これらの処理によって酸素透過膜
の酸素透過性が低下することもある。このことは、当業
者にとって自明のことであるため、これらの処理を施す
場合には、処理後の酸素透過膜の酸素透過性について配
意する必要があることはいうまでもない。
【0031】本発明の好ましい実施態様の一つは、滑ら
かな表面を有する酸素透過膜が特定の形状を有するもの
である。
【0032】これらの形状は、先述のような後処理及び
表面修飾の方法により酸素透過膜の一部分の領域を滑ら
かな状態とするのと同時に得ても良いし、滑らかな表面
を有する酸素透過膜自体を所望の形状としても良い。
【0033】このように滑らかな表面を有する酸素透過
膜に特定の形状、即ち、所望の成形物の形状を与えるこ
とで、バクテリアセルロース・ペリクル自体が所望の形
状を有する又は所望に近い形状を有するバクテリアセル
ロースを製造することが可能である。
【0034】これより、バクテリアセルロース・ペリク
ルを成形する際の歩留まりを向上することが可能であ
る。
【0035】成形物の具体例としては、コンタクトレン
ズ、ナタデココ等の半合成食物、及び人工透析用チュー
ブ等が挙げられる。特に、厳密な寸法制御を必要とす
る、使い捨てコンタクトレンズ等の成形に有用である。
【0036】本発明は、このように形状を有するバクテ
リアセルロース、即ちバクテリアセルロース成形物の製
造方法も提供する。
【0037】前記アセトバクター属等に属しバクテリア
セルロース産生能を有する微生物の培養を行う際には、
既に、本発明者らが報告した方法(例えば、特願平5−
46844号及び特願平5−331491号等に記載の
方法)で行うことができる。
【0038】即ち、アセトバクター属等に属しバクテリ
アセルロース産生能を有する微生物を好気的に培養し、
炭素源等を連続的又は間欠的に添加することで、前記微
生物がリボン状フィブリルの網目構造をとるバクテリア
セルロースを生産することにより、培養液の表面にゲル
状の膜として形成されるものである。
【0039】使用される微生物は、酢酸菌が好ましく、
例えば、Acetobactersp.BPR200
1、Acetobacter xylinum ATC
C10245、ATCC23768、ATCC2376
9、ATCC14851、ATCC11142、及びA
TCC10821であり、より好ましくはBPR200
1株及びATCC10245株である。
【0040】培養に用いる炭素源としては、スクロー
ス、グルコース、グルコン酸、フルクトース、マンニト
ール、ソルビトール、ガラクトース、マルトース、エリ
スリット、カドニット、グリセリン、エテレングリコー
ル、プロピレングリコール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、酢酸、酪酸、吉草酸等が単独あるいは
併用して用いられる。更にはこれらのものを含有する澱
粉水解物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビート
搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類を初めとする果汁等が使
用できる。
【0041】培養の際には、これら炭素源を培養液中に
連続的又は間欠的に供給することができる。炭素源は、
好ましくは、連続的に約0.05g/日〜0.30g/
日、更に好ましくは、0.13g/日〜0.20g/
日、最も好ましくは約0.15g/日の割合で培地に添
加する。
【0042】窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム
塩、硝酸塩、尿素、ペプトン等有機あるいは無機の窒素
化合物が挙げられる。
【0043】無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、モ
リブテン酸塩、赤血塩、又はキレート金属類等が使用さ
れる。 アミノ酸等をその生育に要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される有機窒素栄養素を
補添することが必要である。
【0044】有機微量栄養素としてはアミノ酸、ビタミ
ン、脂肪酸、核酸、さらにこれらのものを含有するペプ
トン、カザミノ酸、酵母エキス、豆濃等が使用可能であ
り、この他に2,7,9−トリカルボキシ−1Hピロロ
[2,3−S]−キノリン−4,5−ジオン、ピロロキ
ノリンキノン(PQQ)、イノシトール及び/又はフィ
チン酸もセルロース生成促進因子として添加するとバク
テリアセルロースの生産性向上に効果がある。
【0045】更に、シュクロースを炭素源として用いる
場合には、培地中にインベルターゼを添加するとバクテ
リアセルロースの生産性が向上する。
【0046】培養は、10−50℃の範囲内で行うこと
が可能であり、好ましくは10−40℃、より好ましく
は20−40℃、さらに好ましくは25−35℃で行う
ことが可能である。
【0047】また、培養中のpHとしては、3−7の範
囲内であれば使用可能であるが、好ましくは4−6、よ
り好ましくは5付近のpHである。pHを調整する際に
は、あらゆるアルカリ及び酸を用いることが可能であ
る。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び
炭酸ナトリウム等のアルカリ、並びに酢酸、クエン酸、
塩酸、硫酸及び硝酸等の酸が使用可能である。
【0048】また、培養方法としては、静置培養法によ
ることが好ましいが、適宜、通気攪拌、振盪のいずれの
操作を加えることも可能である。
【0049】酸素は、例えば、酸素濃度5〜100%、
好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜60
%、さらに好ましくは20〜40%の空気として、培養
液中に酸素透過膜を介して供給するが、通常、培養液の
液表面は空気と接触しているため、該気液界面からも酸
素(空気)が供給される。
【0050】これら酸素透過膜を介した培養液への酸素
(空気)の供給は、例えば、酸素透過膜により隔てられ
る培養液と反対側の空間を酸素(空気)により加圧する
こと、該空間内の酸素濃度を高くし、酸素の濃度勾配に
よる拡散によって行うこと、及びこれらの方法の併用に
より実施可能である。
【0051】加圧する際の条件は、酸素透過膜の性質
(例えば、膜厚、親水疎水性のバランス、孔径、及び孔
形状等)により適宜、設定する必要があるが、圧力が酸
素透過膜のバブルポイント(水に対する値)を超える
と、培養液中に泡が発生するため、そのような圧力を超
えない範囲で加圧することが好ましい。
【0052】前記気液界面からの酸素(空気)の供給量
に関しては、微生物の培養を妨げなければ、どのような
条件であって良いが、恒温装置内の自然対流の状態か又
は一定の通量1/100〜2/1VVMの範囲内で静置
培養器中に供給することが好ましい。
【0053】酸素透過膜は、培養液中に酸素を供給でき
ればどのような状態であっても良く、例えば、培養液中
の底部分に位置したり、酸素を含有するキャストとして
培養液中に浸漬させたりすることができる。特に、製袋
した酸素透過膜を用いることが、培養液との接触面積を
大きくすることができるので好ましい。
【0054】本発明の方法によって製造されたバクテリ
アセルロースを単離する際には、本物質中に含まれる菌
体を始めとするバクテリアセルロース以外の物質を取り
除く処理を施す。
【0055】不純物を取り除くためには水洗、加圧脱
水、希酸洗浄、アルカリ洗浄、有機溶媒による処理、次
亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素等の漂白剤による処理、
リゾチーム等の菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸
ソーダ、デオキシコール酸等の界面活性剤による処理、
並びに常温から200℃の範囲の加熱洗浄等の単独及び
併用して施すことによりバクテリアセルロースから不純
物を除去することができる。
【0056】また、本発明でいうバクテリアセルロース
とは、セルロース及びセルロースを主鎖としたヘテロ多
糖を含むもの並びにβ−1,3、β−1,2等のグルカ
ンを含むものである。ヘテロ多糖の場合のグルコース以
外の構成成分は、マンノース、フルクトース、ガラクト
ース、キシロース、アラビノース、ラムノース、グルク
ロン酸等の六炭糖、五炭糖及び有機酸等である。
【0057】尚、これらの多糖は単一物質である場合も
あるし2種以上の多糖が水素結合等により混在しても良
い。
【0058】以下、実施例によって本発明を、詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
【実施例】
(実施例1)20g/Lのグルコースを含むHestr
in−Schramm培地pH6.0に調製し、オート
クレーブ(120℃、20分)滅菌した。
【0060】図1に示した培養器に、表1に示した材質
又は膜厚の異なる10種類の膜を2枚のシリコンパッキ
ン間に挟みセットした。膜と支持板の間には針金メッシ
ュを挟んで通気を確保した。培養液と接触し得る有効膜
面積は14.5cm2 であった。20g/Lのグルコー
スを含んだHestrin−Schramm培地30m
Lを加え、この培地中に酢酸菌(ATCC10245
株)を植菌して綿栓をし、30℃において7日間の培養
した。培養液中への酸素(空気)の供給は、大気圧によ
る拡散により酸素透過膜を介して行った。培養終了後、
それぞれの膜表面に産生したバクテリアセルロースを収
集し、重量を測定した。この結果を表1に示した。
【0061】
【表1】
【0062】これより、バクテリアセルロースはシリコ
ン膜を用いた培養時に最も高い生産量が得られ、シリコ
ン膜の膜厚とバクテリアセルロースの生産量は500μ
m以下でほぼ一定、500μm以上で顕著に減少した。
【0063】酸素透過性の低いポリ塩化ビニリデン膜及
び3000μmのネオプレン膜ではバクテリアセルロー
スの生産が見られなかった。
【0064】以上より、膜の酸素透過性がバクテリアセ
ルロースの生産性の大きな因子であることが確認され
た。また、ここで使用したシリコン膜のRa値(培養液
と接触する面の値)は、0.05μmであった。
【0065】(実施例2)Ra値が0.05μmである
光沢面(表側の面)とRa値が0.71μmであるエン
ボス面(裏側の面)を有する膜厚200μmのシリコン
膜を用意し、そのエンボス面にシリコン被覆剤(信越化
学、液状シリコーンゴム・KE1915をトルエンで希
釈した溶液)を流延・塗布し、ドクターナイフで均一に
液切りした後、乾燥してシリコン被覆膜を得た。このシ
リコン被覆膜の被覆層面のSEM像を、未処理のシリコ
ン膜の光沢面及びエンボス面と合わせ、それぞれ図2、
図3及び図4に示す。これより、光沢面が滑らかである
こと、及びエンボス面が粗荒であること、並びにシリコ
ン被覆処理によって粗荒なエンボス面が滑らかな表面に
改質できることが確認された。
【0066】次に、シリコン被覆膜の被覆層面、並びに
未処理シリコン膜の光沢面及びエンボス面について酸素
の拡散係数を気液相で測定した。結果を図5に示した。
【0067】これより、シリコン被覆処理により膜厚が
増加するものの、シリコン被覆層自体が良好な酸素透過
性を有するため、酸素拡散係数の低下は僅かであること
が分かる。また、これらシリコン膜の酸素拡散係数に
は、異方性(光沢面からの酸素拡散とエンボス面からの
酸素拡散に差が有る現象)は確認されなかった。
【0068】次に、未処理シリコン膜及びシリコン被覆
膜を用いて実施例1と同様にして膜表面にバクテリアセ
ルロースを産生させた。得られたバクテリアセルロース
量を図6に示した。
【0069】未処理シリコン膜の光沢面とエンボス面の
間では、その酸素透過性に有意な差がないにもかかわら
ず、バクテリアセルロースの生産量に有意な差が確認さ
れた。また、シリコン被覆層面(シリコン被覆剤により
滑らかな表面に改質したエンボス面)上でもバクテリア
セルロース生産量が顕著に向上した。以上より、バクテ
リアセルロース生産量は、酸素透過膜の表面状態に大き
く依存し、滑らかな表面上で良好に生産されることが分
かる。
【0070】(実施例3)2枚の滑らかな表面を有する
ポリエチレン製多孔質を、その滑らかな表面が内面とな
るようにヒートシールにより製袋してポリエチレンバッ
グ(以下、『PEB』と記す。)を得た。
【0071】実施例1で調製した培地に、酢酸菌(AT
CC10245株)を植菌し、PEB内に入れ、密封し
た。これを温度30℃で9日間インキュベートし、PE
B内のセルロース生産量、並びに培地中のグルコン酸濃
度、グルコース濃度及びpHを経時的に測定した。この
結果を図7に示した。これより酸素透過性で滑らかな表
面を有する容器を用いて、容器内面に、効率良くバクテ
リアセルロースを生産されることが可能であることが分
かった。
【0072】(実施例4)図8に示される縦152mm
×横152mm、厚さ0.7mmのTortuous airflow S
ilicone Bag (以下、『TSB』と記す。)の表面を実
施例2と同様にしてシリコン被覆処理を施した。
【0073】実施例1と同様の培養系において、前記シ
リコン被覆を施したTSB及び未処理のTSBを、その
全表面が培養液と接触するようにそれぞれ別の培養液中
に浸漬し、これを介して酸素を供給する以外は、実施例
1と同様の手順で培養を行った。ただし、培養の間は、
未処理及びシリコン被覆処理のいずれのTSBもその内
部を汎用のコンプレッサーを用いて空気を通気(圧力損
失0.5kg/cm2で)し続けた。
【0074】14日間の培養後、それぞれのTSB表面
に生産されたバクテリアセルロース重量を測定し、表2
に示した。
【0075】
【表2】
【0076】実施例4の結果は、バクテリアセルロース
の量産の可能性を示唆するものである。
【0077】(実施例5)実施例2と同じシリコン被覆
剤を用いて、シリコン膜のエンボス面に太さ0.3mm
の『BPR』の文字を印刷した。この膜を用いて、実施
例1と同様にしてバクテリアセルロースを製造したとこ
ろ該膜表面上に『BPR』の文字状にバクテリアセルロ
ース・ペリクルが産生した。
【0078】これより、シリコン被覆剤により、滑らか
な表面領域に所望の形状を与えることで、該形状を模写
したバクテリアセルロース・ペリクルを得られることが
分かる。
【0079】
【発明の効果】従来の静置培養よりも高収率でバクテリ
アセルロースが得られる。所望の形状にバクテリアセル
ロース・ペリクルを成形することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス製円筒の培養器。底面の酸素透過膜を介
して培養液中に酸素が供給される。
【図2】シリコン膜のエンボス面を被覆処理して得たシ
リコン被覆層面の走査型電子顕微鏡写真。
【図3】未処理シリコン膜の光沢面(Ra=0.05μ
m)の走査型電子顕微鏡写真。
【図4】未処理シリコン膜のエンボス面(Ra=0.7
1μm)の走査型電子顕微鏡写真。
【図5】シリコン被覆膜及び未処理シリコン膜の酸素の
拡散係数。30℃での測定値(単位×10-10 2
s)である。
【図6】表面状態の異なる酸素透過膜表面上のバクテリ
アセルロース生産量(単位g/m2 )。
【図7】PEB中のバクテリアセルロース生産挙動及び
培地性状の変化。
【図8】TSB内部の概念図である。内部は、6mm幅
の流路が9.5回のサイクルで折り返し設置されてお
り、空気が流れている。表裏の区別は無く、有効膜面積
は、両面で403cm2 である。
【符号の説明】
1 ガラス製円筒 2 酸素透過膜 3 シリコンパッキン 4 ステンレス製メッシュ 5 培地 6 空気 7 支持板 10 空気入口 20 空気出口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセトバクター属等に属しバクテリアセ
    ルロース産生能を有する微生物を培養することによるバ
    クテリアセルロースの製造方法であって、Ra値が0.
    5μm未満の表面を有する酸素透過膜を介して培養液中
    に酸素を供給することを特徴とする前記方法。
  2. 【請求項2】 酸素透過膜の表面のRa値が0.05μ
    m以下である請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 酸素透過膜が被覆層を形成させた酸素透
    過膜である請求項1又は2の方法。
  4. 【請求項4】 酸素透過膜がプレス処理を施した酸素透
    過膜である請求項1又は2の方法。
  5. 【請求項5】 酸素透過膜がヒートプレス処理を施した
    酸素透過膜である請求項1又は2の方法。
  6. 【請求項6】 酸素透過膜がラミネート加工を施した酸
    素透過膜である請求項1又は2の方法。
  7. 【請求項7】 酸素透過膜が延伸処理を施した酸素透過
    膜である請求項1又は2の方法。
  8. 【請求項8】 酸素透過膜上の一部の領域が0.5μm
    未満のRa値を有する表面である請求項1〜7のいずれ
    かの方法。
  9. 【請求項9】 前記一部の領域が成形物の形状を有する
    請求項8の方法。
  10. 【請求項10】 酸素透過膜が成形物の形状を有する請
    求項1〜9のいずれかの方法。
JP7609294A 1994-04-14 1994-04-14 バクテリアセルロースの製造方法 Expired - Lifetime JP2766182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7609294A JP2766182B2 (ja) 1994-04-14 1994-04-14 バクテリアセルロースの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7609294A JP2766182B2 (ja) 1994-04-14 1994-04-14 バクテリアセルロースの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07274987A true JPH07274987A (ja) 1995-10-24
JP2766182B2 JP2766182B2 (ja) 1998-06-18

Family

ID=13595209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7609294A Expired - Lifetime JP2766182B2 (ja) 1994-04-14 1994-04-14 バクテリアセルロースの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2766182B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100405776B1 (ko) * 2000-05-08 2003-11-15 주식회사 엔바이오테크놀러지 미생물 셀룰로오스를 주성분으로 포함하는 웨트 시이트제조방법 및 그 용도 개발
US20050106717A1 (en) * 2003-10-08 2005-05-19 Wilson John R. Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100405776B1 (ko) * 2000-05-08 2003-11-15 주식회사 엔바이오테크놀러지 미생물 셀룰로오스를 주성분으로 포함하는 웨트 시이트제조방법 및 그 용도 개발
US20050106717A1 (en) * 2003-10-08 2005-05-19 Wilson John R. Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials
US9255243B2 (en) * 2003-10-08 2016-02-09 Wilson Wolf Manufacturing Corporation Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials
US9410114B2 (en) 2003-10-08 2016-08-09 Wilson Wolf Manufacturing Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials
US9441192B2 (en) 2003-10-08 2016-09-13 Wilson Wolf Manufacturing Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials
USRE49293E1 (en) 2003-10-08 2022-11-15 Wilson Wolf Manufacturing Cell culture methods and devices utilizing gas permeable materials

Also Published As

Publication number Publication date
JP2766182B2 (ja) 1998-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3184537B2 (ja) 回転ディスクフィルムバイオリアクターを使った微生物セルロース及びその生成方法
Nakanishi et al. On the specific resistance of cakes of microorganisms
Fadeev et al. Fouling of poly [-1-(trimethylsilyl)-1-propyne] membranes in pervaporative recovery of butanol from aqueous solutions and ABE fermentation broth
Lu et al. Structure and properties of bacterial cellulose produced using a trickling bed reactor
Lin et al. Production of bacterial cellulose with various additives in a PCS rotating disk bioreactor and its material property analysis
JPS61152296A (ja) 微生物セルロースの製造
Bhanthumnavin et al. Surface modification of bacterial cellulose membrane by oxygen plasma treatment
Soleimani et al. Design, construction and optimization a flexible bench-scale rotating biological contactor (RBC) for enhanced production of bacterial cellulose by Acetobacter Xylinium
CN106755180A (zh) 一种利用细菌静态发酵制备生物改性细菌纤维素纳滤膜的方法
Auria et al. Influence of growth and high mould concentration on the pressure drop in solid state fermentations
RU2525142C2 (ru) Способ получения целлюлозосодержащего продукта, продукт полученный данным способом
JP2766182B2 (ja) バクテリアセルロースの製造方法
JP2006325534A (ja) 微生物セルロースからなるハニカム状多孔質体とその製造方法
WO1989011783A2 (en) Microbial cellulose composites and processes for producing same
CN104561184B (zh) 一种高效制备高性能细菌纤维素的方法
Gao et al. Technology of fermentation coupling with foam separation for improving the production of nisin using a κ-carrageenan with loofa sponges matrix and an hourglass-shaped column
Divyapriya et al. One-step biosynthesis of a bilayered graphene oxide embedded bacterial nanocellulose hydrogel for versatile photothermal membrane applications
CN108786493A (zh) 一种用于污水处理或海水淡化的滤膜及其制备方法与应用
JP3535194B2 (ja) 微生物セルロースの製造方法
JPH05123182A (ja) 静置培養による微生物セルロースの製造法及びその装置
JPH0568236B2 (ja)
Ida Bacterial Cellulose as Secondary Metabolite: Production, Processing, and Applications
ATE12256T1 (de) Organismus und dessen verwendung zur herstellung von revalorisierten molkenprodukten.
JPH08126697A (ja) 中空状微生物セルロースチューブの製造法
JPH05293343A (ja) ガス分離用複合膜