JPH07268453A - 熱間圧延で表面疵の発生しないCr−Ni系ステンレス合金の製造方法 - Google Patents

熱間圧延で表面疵の発生しないCr−Ni系ステンレス合金の製造方法

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JPH07268453A
JPH07268453A JP5787694A JP5787694A JPH07268453A JP H07268453 A JPH07268453 A JP H07268453A JP 5787694 A JP5787694 A JP 5787694A JP 5787694 A JP5787694 A JP 5787694A JP H07268453 A JPH07268453 A JP H07268453A
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hot rolling
slab
cal
ferrite
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JP5787694A
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Inventor
Masayuki Abe
阿部  雅之
Tetsuo Takeshita
哲郎 竹下
Masanori Ueda
全紀 上田
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はCr−Ni系ステンレス合金の製造方法
に関し、ヘゲ疵となる微小割れを防止する方法を提供す
る。 【構成】 重量%でCr:16〜35%、Ni:7〜50%を主成
分とするステンレス合金で下式のδ(cal)が−7.5 <δ
(cal)≦4を満足し、連続鋳造時のオッシレーション谷
部のNi偏析部のNi濃度と溶鋼平均Ni濃度の比が1.15以上
の領域が 200μm以下のスラブを使用して、1400〜1200
℃を30℃/S以下で冷却し、1200〜500 ℃を10℃/S以上で
冷却した後、1000℃〜Tγ以下で加熱した後、熱間圧延
を行う製造方法。ここで、δ(cal)=3Creq−2.8Nieq
−19.8。 Tγ=(105+Nieq−39.9Creq)/(0.07−1.95
×10-3Creq)。Creq=Cr+1.5Si +Mo+0.5(Nb+Ti)。
Nieq=Ni+0.5Mn +0.5Cu +30C +30N 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCr−Ni系ステンレス
合金の熱間圧延時のスラブ表面に発生する微細な割れを
防止する製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Cr−Ni系ステンレス合金は高合金で
あるために熱間加工性が悪く、熱間圧延時に割れが発生
しこれを防止するためにさまざまな研究がなされてき
た。特に、耳割れといわれるスラブエッジや熱延板エッ
ジに発生する割れは、製造可否に関わる場合が生じたり
歩留まりを大幅に低下させるなど製造上の大きな問題点
であった。これらの熱延過程で発生する大きな割れにつ
いては従来からさまざまな検討がなされており、今日で
は成分や圧延条件の適正化によって製造不可となること
は少なくなってきている。
【0003】一方、このような製造可否に関わるような
大きな割れとは別に、熱間圧延工程でほとんど検出され
ず、酸洗後や冷延工程のような熱延工程の後工程におい
てはじめて検出されるヘゲ疵といわれるような疵が発生
することがある。このヘゲ疵のような疵は、発生箇所が
熱延板表面であり、表面品質が重要なステンレス合金に
おいては致命的な欠陥であり、再酸洗やグラインダーな
どによる手入れなど精整再工程を必要とし、場合によっ
ては表面品質の点で全く製品化できないなど厚板、薄板
の製造工程でコストアップの大きな要因となっている。
【0004】このような、熱延段階で発見できず酸洗後
や冷延工程段階で発見されるヘゲ疵に対しては、従来、
鋳造工程から熱延及び焼鈍工程に到るまで様々な検討が
なされている。とくに、ヘゲ疵は熱延工程での微細な割
れであるとして割れを防止する観点から、特開昭57−
16153号公報では鋼組成のCr当量、Ni当量を規
制し、δ(cal)=3(Cr+Mo+1.5Si+0.5
Nb)−2.8(Ni+0.5Mn+0.5Cu)−8
4(C+N)−19.8で決まるδ(cal)を4以下にす
ることで熱間加工性を確保する技術が開示されている。
【0005】またδ−フェライトの取扱いについては、
従来δ−フェライトを多量に含有する二相組織のオース
テナイト系ステンレス鋼の耳割れを防止するためにソー
キング(拡散熱処理)を十分に行うことが特開昭59−
35620号公報などに述べられているが、耳割れを防
止しさらにヘゲ疵の原因となる微小な割れに対する防止
するための加熱条件そのものについては開示がない。
【0006】またスラブ組織の観点から、特開昭57−
127554号公報では鋳造段階でオーステナイト系ス
テンレス鋼のN量と鋳造時のタンディシュ温度(ΔT)
の関係を制御し結晶粒の粗大化を防止して熱間加工性を
高める技術が開示されている。表層の組織改善という観
点から特公平2−9651号公報ではオーステナイト系
ステンレス鋼のSi含有量を規制したスラブを加熱炉挿
入前にショットブラストを行うことで表層に加工層を導
入し、加熱時に再結晶させスラブ表層の結晶粒を微細化
させて割れを防止する技術が開示されている。
【0007】また、加熱時のスケールに着目したものと
しては、特公平4−48865号公報ではsol.Alを規
制しスラブ加熱時の酸素濃度を0.5〜5%に規制しヘ
ゲ疵を防止する技術を開示している。しかし、上述の方
法は微細割れ防止の点で完全とはいえないものであっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したCr
−Ni系ステンレス合金の熱間圧延時に発生する微小な
割れやヘゲ疵といわれる疵を改善するにあたり、疵防止
のための工程負荷増なく疵を改善しCr−Ni系ステン
レス合金を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は下記の構成を要旨とする。すなわち重量%で、
C :0.002〜0.08%、 Si:2.0%以
下、Mn:10%以下、 P :0.0
40%以下、S :0.008%以下、 O
:0.005%以下、Cr:16〜35%、
Ni:7〜50%、Mo:0.01〜8%、
Cu:0.01〜4%、N :0.003〜
0.3% さらに必要に応じ下記成分 Al:0.05%以下、Ca:0.001〜0.005
%の1種または2種 Nb:0.01〜1.5%、Ti:0.01〜1.0%
の1種または2種 を選択し残部がFeと不可避的不純物からなり、δ(ca
l)=3(Cr+1.5×Si+Mo+0.5×Nb+
0.5×Ti)−2.8(Ni+0.5×Mn+0.5
×Cu)−84(C+N)−19.8で示されるδ(ca
l)が−7.5<δ(cal)≦4で、連続鋳造時のスラブ
表面の冷却が1400℃から1200℃までを平均冷却
速度で30℃/S以下、1200℃から500℃までの平
均冷却速度を10℃/S以上であり、スラブ表層のオッシ
レーションマーク谷部に存在する平均Ni濃度より1.
15倍以上濃化したNi偏析帯深さがオッシレーション
マーク谷から200μm以下であるスラブを、熱間圧延
に際し1000℃以上かつTγ(℃)=(105+Ni
eq−3.9×Creq)/(0.07−1.95×10-3
×Creq)以下の温度T(℃)で加熱し (ここで、Creq=Cr(%)+1.5×Si(%)+
Mo(%)+0.5×Nb(%)+0.5×Ti(%) Nieq=Ni(%)+0.5×Mn(%)+0.5×C
u(%)+30×C(%)+30×N(%)) スラブ表面の均熱時間をK=10m 分以上とした後、 (ここで、 m=3.22log{(Creq×δs)/T}
+5.25 δs=0.6×δ(cal)+4.5) 熱間圧延を行うことを特徴とする熱間圧延で表面疵の発
生しないCr−Ni系ステンレス合金の製造方法であ
る。
【0010】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。本発明者ら
は、微小な割れやヘゲ疵に対してその防止方法を詳細に
検討した。特に熱間圧延時の割れの発生箇所と鋳片組織
の対応を検討することにより、スラブの割れ発生起点を
明らかにし、その制御方法について検討を加えた。まず
熱間圧延時のスラブ表層で割れる箇所を調査した結果、
割れはγ粒界で割れる場合とδ/γ界面で割れる場合の
2通りあることが判明し、とくにγ粒界の割れはオッシ
レーションマークの谷部に多く、δ−フェライトによる
割れは山部で多くみられ、またγ粒界で割れる場合は粗
大γ粒部で発生する。
【0011】δ−フェライトによる割れを防止するには
δ−フェライトを加熱時に消滅させる必要がある。また
δ−フェライトは直接的に熱間加工性に関係するが、加
熱時のγ粒の成長粗大化にも影響しγ粒の不整(ばらつ
き)を作る原因にもなる。したがって、δ−フェライト
の微小割れに及ぼす影響を取り除くためには、表層に微
細に分散させたのち、加熱時に消滅させかつγ粒の異常
な粗大化を防止する必要がある。
【0012】表層のδ−フェライトを微細に分散させる
ために種々検討した結果、凝固後の冷却速度を変化させ
ることで表層のδ−フェライトは微細になる。特にδ(c
al)が−7.5<δ(cal)≦4で1200℃まで30℃
/S以下で冷却した場合は、1200℃以下の温度域を1
0℃/S以上で冷却すれば表層のδ−フェライトは微細の
まま分散傾向をとることが判明した。1200〜500
℃の温度範囲を10℃/Sよりも緩冷却されるとδ−フェ
ライトは凝集し、分散傾向がなくなる。
【0013】このような状態でδ−フェライトが熱間圧
延に与える影響とヘゲの関係を詳細に検討した。第1に
スラブ表面の微小な割れを防止するためにスラブ表層の
δ−フェライトの消滅挙動に着目して詳細に検討した結
果、スラブ表層(スラブ表面から10mmの平均)のδ−
フェライト量は δs=0.6×δ(cal)+4.5 ここで、δ(cal)=3(Cr+1.5×Si+Mo+
0.5×Nb+0.5×Ti)−2.8(Ni+0.5
×Mn+0.5×Cu)−84(C+N)−19.8 にあり、スラブ表層のδ−フェライトの消滅時間K(mi
n)はCreqとの関係でK分以上が必要なことが判明し
た。 K=10m (分) m=3.22log{(Creq×δs)/T}+5.25 T:加熱温度(℃) Creq=Cr(%)+1.5×Si(%)+Mo(%)
+0.5×Nb(%)+0.5×Ti(%) したがって鋳片成分のCreq、Nieqからスラブ表層の
δ−フェライトによる微細割れ防止のためのδ−フェラ
イト消滅条件を求めることができるようになった。
【0014】またδ−フェライトを微細割れの起点とな
らないようにするためには加熱温度をγ単相となる温度
で加熱することが重要であるが、ステンレス合金は多元
素系のため成分系毎に加熱温度の上限温度を明確に決定
することができなかった。本発明者らは詳細な検討を行
い、加熱温度の不適、特に加熱によるδ−フェライトの
再析出を防止する観点から、δ−フェライトが再析出し
ない温度を実験的に求めCreq、Nieqから次式で示さ
れるγ単相の上限温度を明確にした。 Tγ(℃)=(Nieq−3.9×Creq+105)/
(0.07−1.95×10-3×Creq) したがって、上記のγ単相となるTγ以下の温度でK分
以上加熱することで表層のδ−フェライトを完全に消滅
させることができるδ−フェライトによる微細割れを防
止し、ヘゲ疵発生を大幅に低減することができるように
なった。
【0015】しかし、上述のようにδ−フェライトの影
響を取り除いてもヘゲ疵の発生が見られることがある。
この原因について検討し、δ−フェライト以外の要因を
明らかにした。その結果、割れはオーステナイト粒界に
沿って割れること、割れる箇所はスラブのオッシレーシ
ョンマークの谷部が多いことが判明した。この点につい
て割れと組織の関係を調査した。その結果、オッシレー
ションマーク谷部で割れが発生する箇所には図1に示し
たような形で、オッシレーション谷部にNiが濃縮した
部分が存在することが判明した。このオッシレーション
谷部のNi偏析帯を明確にするためにオッシレーション
谷部のNi濃度を調査したところ、平均Ni濃度(CNi
AVE)に比べて1.15倍以上濃化していることが明らか
となった。このNi濃化領域をNi偏析帯と定義し、オ
ッシレーションマーク谷からの距離をNi偏析帯深さと
して、Ni偏析帯深さとヘゲ疵発生の対応をとると、N
i偏析部の深さが大きいほどヘゲ疵発生頻度が高くなる
ことと、Ni偏析帯深さが200μm以下の場合にヘゲ
疵の発生が著しく低くなることが判明した。
【0016】オッシレーションマーク谷部Ni偏析帯が
ヘゲ疵の原因となる理由としてNiそのものが延性を低
下させることと、Ni偏析部は凝固時の濃化溶鋼である
ため不純物も濃化しており、特にSの濃化が著しい。S
は同時に濃化したMnとMnSを形成したり粒界に偏析
する。したがってNi偏析帯は、局所的に低延性となり
割れが発生し易く熱延時割れが生じ、ヘゲ疵となる。オ
ッシレーションマーク谷部のNi偏析帯深さが200μ
m以下では通常の製造工程、特に加熱工程等でスケール
オフしてしまうために割れが発生せず、ヘゲ疵にならな
いものと考えられる。オッシレーションマーク谷部のN
i偏析帯の深さを200μm以下にするには鋳造時のオ
ッシレーション条件等の適正化が重要であり、オッシレ
ーションストローク、サイクル、及び鋳造速度、並びに
パウダー組成を制御することでオッシレーションマーク
谷部のNi偏析帯が小さくなるようにする。
【0017】図2はSUS304鋼(18.2Cr−
8.5Ni−0.03P−0.005S−0.05C−
0.05N:δ(cal)=3.0)における融点直下50
℃での延性に対する凝固後の冷却速度の影響を調査した
ものであるが冷却速度が早いほど延性は低下し割れが発
生し易いことが判明した。この融点直下の延性と冷却速
度の関係を詳細に検討したところ、融点直下の高温では
オーステナイトよりS,P等の不純物の固溶度が大きい
δ−フェライトが存在することにより不純物の無害化は
促進される。したがって冷却速度が小さいほどδ−フェ
ライトに不純物が拡散する時間があるため冷却速度が小
さいほど不純物の悪影響を抑制し延性が向上する。この
ことからδ(cal)が小さいほど緩冷却の効果が顕著とな
る。特に連続鋳造時のシェルの延性との関係では融点直
下50℃で20%以上の断面収縮率(絞り)があればシ
ェルが割れることなく良好に保たれることから、連続鋳
造によって冷却する場合にモールド内の冷却を緩冷却化
し、δ−フェライトが安定に存在する1200℃までの
温度域を30℃/S以下の冷却速度で冷却することにより
CC鋳片の鋳造時の割れを防止することが可能になる。
【0018】この鋳造時の割れは、直接的には鋳片の無
手入れ化の阻害原因となるが、これとは別に鋳造時のシ
ェルの微細な割れを介して凝固先端の濃化溶鋼が表面に
集積することとなる。この現象はとくに凝固が遅れるオ
ッシレーションマーク谷部で顕著となるからこの凝固先
端の濃化溶鋼の集積を防止してオッシレーションマーク
谷部の偏析帯を低減するため凝固シェルが割れないよう
にすることが重要であり、モールド内でシェルが割れな
いようにスラブ表層の冷却速度を30℃/S以下にするこ
とが重要である。
【0019】この凝固直下の割れ防止技術は凝固後δ−
フェライトが存在する場合であり、本発明の合金系では
−7.5<δ(cal)≦4の場合であり、これより小さい
場合にはオーステナイトが安定となりδ−フェライトが
表層に存在しなくなるため、またδ(cal)が5より大き
くなると緩冷の効果は飽和する。
【0020】以上のように、ヘゲ疵を防止するためには
δ−フェライト起因の割れとオッシレーション谷部Ni
偏析部による割れを防止することが必要であり、連続鋳
造されたスラブのオッシレーションマーク谷部のNi偏
析部深さが200μm以下であり、さらに鋳造時の冷却
速度を制御することにより、ヘゲ疵の原因となる冶金的
弱点を生成させないようにすることができるようになっ
た。
【0021】これらのヘゲ疵防止対策は、次の成分系の
Cr−Ni系ステンレス合金で成り立つ。重量%で、
C:0.002〜0.08%、Si:2.0%以下、M
n:10%以下、P:0.040%以下、S:0.00
8%以下、O:0.005%以下、Cr:16〜35
%、Ni:7〜50%、Mo:0.01〜8%、Cu:
0.01〜4%、N:0.003〜0.3%で、必要に
応じてAl:0.05%以下を添加し、選択元素として
Nb:0.01〜1.5%、Ti:0.01〜1.0%
のうち1種または2種を含有しさらにCaを必要に応じ
て0.001〜0.005%で含有し、残部がFeと不
可避的不純物からなる合金である。
【0022】以下に成分の限定理由を述べる。 C:Cは、ステンレス合金の耐食性に有害であるが強度
の点からはある程度の含有量は必要である。0.002
%未満の極低炭素量では製造コストが高くなる。また
0.08%を超えると耐食性を大幅に劣化させるため、
その成分範囲を0.002%から0.08%とした。 Si:Siはステンレス合金の脱酸元素として使用され
るが、2%を超えて添加しても脱酸効果も飽和し、また
熱間加工性を劣化させヘゲ疵発生の頻度を増加させるの
で2%以下で添加する。
【0023】Mn:Mnはγ安定化元素であり、Niの
代替として添加することが可能であり、脱酸効果もある
ので有効な元素であるが、10%を超えて添加してもそ
の効果が飽和し、耐食性も劣化するため10%以下で添
加する。 Cr:Crはステンレス合金の基本成分であり、耐食性
の点から16%以上の添加が必要である。しかし35%
を超えて添加して耐食性で飽和し、さらに熱間加工性の
点において金属間化合物の析出を促進させ熱間加工性を
劣化させヘゲ疵の原因となるためCrの範囲を16〜3
5%とした。
【0024】Ni:NiはCrとともにステンレス合金
の基本成分であり、本発明ではCr量との関係から7〜
50%の範囲で添加する。7%未満では本発明の合金で
はδ−フェライト量が多量に存在するようになるため本
発明の方法によってもδ−フェライトを制御できず熱間
加工性不良によるヘゲ疵が発生する。またCr量との関
係から本発明においてはNi量は50%以下で十分であ
り、これを超えて添加してもヘゲ疵防止の点で効果は飽
和しコストも高くなるため上限を50%とした。
【0025】Mo:Moは耐食性を確保するための重要
な添加元素であり、0.01%以上の添加で効果がみら
れる。また8%を超えても耐食性は飽和し、さらに金属
間化合物の析出を促進させるため熱間加工性を劣化し本
発明の方法によってもヘゲ疵を防止できなくなるので上
限を8%とした。 N:Nはγ相安定化のために高価なNiの代替として使
用可能で耐食性、強度の観点からも望ましい元素であ
る。しかし0.003%以下にすることは溶製コストを
大きく増加させ、また0.3%を超えて添加してもその
効果は飽和し、さらに固溶度を超えピンホール等をスラ
ブに形成し疵を発生させるため上限を0.3%とした。
【0026】P:Pは耐食性及び熱間加工性の観点から
有害な元素であり、特に鋳造直後の延性を劣化させるた
めスラブ表層の割れ防止の観点から極力低減することが
望ましく、その成分範囲を0.04%以下とした。 S:Sは耐食性及び熱加工性に対して有害な元素であ
り、鋳造直後のスラブ表層の延性及び熱間圧延時の熱間
加工性に大きく影響し、その量により熱間加工性不良に
よるヘゲ疵を発生させるため、含有量は低いほど望まし
い。本発明の方法によっては0.008%を超えるとS
起因による疵が発生しやすくなるので上限を0.008
%とした。 Cu:Cuはステンレス合金の耐食性を向上させ、0.
01%以上で添加するしかし4%を超えて添加してもそ
の効果は飽和し、さらに熱間加工性を劣化させ疵を発生
するようになるので、その添加範囲を0.01〜4%と
する。
【0027】Nb:NbはCを固定し耐食性を向上させ
る効果があるために、必要に応じて0.01%以上1.
5%以下で添加することができる。1.5%を超えて添
加してもその改善効果は飽和し、また熱間加工性を劣化
させ熱間加工性不良による疵を発生させる0.01〜
1.5%で選択添加する。 Ti:TiはNbと同様にCを固定し耐食性を向上させ
る。またCaと共存してOを固定しSi,Mnの酸化物
の生成を抑制する効果があるために、0.01%以上で
添加することができる。また1.0%を超えて添加する
とTiの酸化物による表面疵が多発するので、その範囲
を0.01〜1.0%とした。
【0028】Al:Alは強力な脱酸剤として、脱酸を
強化する場合に添加する。しかし0.05%を超えて添
加をしてもその効果は飽和し、さらにAlの酸化物によ
る表面疵が発生しやすくなるため、その添加量を0.0
5%以下とした。 Ca:Caは強力な脱酸、脱硫剤であり熱間加工性を改
善するのに有効な元素であり、必要に応じて0.005
%の範囲で選択添加される。0.001%以下ではその
効果は顕著でなく、0.005%以上添加しても効果は
飽和する。 O:Oは熱間加工性に著しく有害な元素であり、その含
有量は極力低減することが望ましいために、その含有量
を0.005%以下とした。
【0029】
【実施例】本発明の実施例としてA〜Uに示す合金につ
いて表1に示すプロセス条件でCC鋳片を製造しさらに
表中の加熱条件で加熱後通常条件で熱間圧延し捲取り〜
酸洗〜冷却による薄板を製造する方法、また厚板圧延を
行い酸洗を通常の方法で実施しヘゲ疵の発生状況を評価
した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】本発明法によるA〜M合金はヘゲ疵の発生
がなく良好な成品が得られた。これに対し、N合金はδ
(cal)、加熱温度及び加熱時の均熱時間が本発明の条件
からはずれ、δ−フェライト起因のヘゲ疵が生じた。O
合金はδ(cal)が本発明の条件からはずれδ−フェライ
ト起因のヘゲ疵が生じた。P合金は1400〜1200
℃でのスラブ表面の冷却速度が大きくNi偏析起因のヘ
ゲ疵が生じた。Q合金は1200〜500℃の冷却速度
が小さくヘゲ疵が発生した。R合金加熱温度がδ−フェ
ライトが析出する温度となり、δ−フェライト起因のヘ
ゲ疵が生じた。S合金は加熱時間が短くδ−フェライト
が消滅せずヘゲ疵が発生した。T合金、U合金はオッシ
レーションマーク谷部のNi偏析帯が大きく、オッシレ
ーションマーク谷部延性不良によるヘゲ疵を生じた。こ
のN〜U合金はヘゲ疵が両サイドに著しく発生したこと
により、成品歩留まりの低下ならびにグラインダー等の
救済工程が必要になるなど本発明との差が著しいことが
明確になり、本発明の効果が明らかとなった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、従来熱延工程では発見
されにくく歩留まり低下の大きな原因であった微小割れ
によるヘゲ疵の発生を防止することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は連続鋳造されたスラブの外観概略図、
(b)はスラブ表面のオッシレーションマーク谷部のN
i偏析帯((a)図の点丸印部)を示す断面模式図であ
る。
【図2】融点直下における延性に対する凝固後の冷却速
度の影響を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】またδ−フェライトを微細割れの起点とな
らないようにするためには加熱温度をγ単相となる温度
で加熱することが重要であるが、ステンレス合金は多元
のため成分系毎に加熱温度の上限温度を明確に決定す
ることができなかった。本発明者らは詳細な検討を行
い、加熱温度の不適、特に過熱によるδ−フェライトの
再析出を防止する観点から、δ−フェライトが再析出し
ない温度を実験的に求めCreq、Nieqから次式で示さ
れるγ単相の上限温度を明確にした。 Tγ(℃)=(Nieq−3.9×Creq+105)/
(0.07−1.95×10-3×Creq) したがって、上記のγ単相となるTγ以下の温度でK分
以上加熱することで表層のδ−フェライトを完全に消滅
させることができδ−フェライトによる微細割れを防止
し、ヘゲ疵発生を大幅に低減することができるようにな
った。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】しかし、上述のようにδ−フェライトの影
響を取り除いてもヘゲ疵の発生が見られることがある。
この原因について検討し、δ−フェライト以外の要因を
明らかにした。その結果、割れはオーステナイト粒界に
沿って割れること、割れる箇所はスラブのオッシレーシ
ョンマークの谷部が多いことが判明した。この点につい
て割れと組織の関係を調査した。その結果、オッシレー
ションマーク谷部で割れが発生する箇所には図1に示し
たような形で、オッシレーション谷部にNiが濃縮した
部分が存在することが判明した。このオッシレーション
谷部のNi偏析帯を明確にするためにオッシレーション
谷部のNi濃度を調査したところ、平均Ni濃度に比べ
1.15倍以上濃化していることが明らかとなった。
このNi濃化領域をNi偏析帯と定義し、オッシレーシ
ョンマーク谷からの距離をNi偏析帯深さとして、Ni
偏析帯深さとヘゲ疵発生の対応をとると、Ni偏析部の
深さが大きいほどヘゲ疵発生頻度が高くなることと、N
i偏析帯深さが200μm以下の場合にヘゲ疵の発生が
著しく低くなることが判明した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】この凝固直下の割れ防止技術は凝固後δ−
フェライトが存在する場合であり、本発明の合金系では
−7.5<δ(cal)≦4の場合であり、これより小さい
場合にはオーステナイトが安定となりδ−フェライトが
表層に存在しなくなるため、またδ(cal)がより大き
くなると緩冷の効果は飽和する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】Mn:Mnはγ安定化元素であり、Niの
代替として添加することが可能であり、脱酸効果もある
ので有効な元素であるが、10%を超えて添加してもそ
の効果が飽和し、耐食性も劣化するため10%以下で添
加する。 Cr:Crはステンレス合金の基本成分であり、耐食性
の点から16%以上の添加が必要である。しかし35%
を超えて添加しても耐食性で飽和し、さらに熱間加工性
の点において金属間化合物の析出を促進させ熱間加工性
を劣化させヘゲ疵の原因となるためCrの範囲を16〜
35%とした。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】Nb:NbはCを固定し耐食性を向上させ
る効果があるために、必要に応じて0.01%以上1.
5%以下で添加することができる。1.5%を超えて添
加してもその改善効果は飽和し、また熱間加工性を劣化
させ熱間加工性不良による疵を発生させるので0.01
〜1.5%で選択添加する。 Ti:TiはNbと同様にCを固定し耐食性を向上させ
る。またCaと共存してOを固定しSi,Mnの酸化物
の生成を抑制する効果があるために、0.01%以上で
添加することができる。また1.0%を超えて添加する
とTiの酸化物による表面疵が多発するので、その範囲
を0.01〜1.0%とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 茂 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.002〜0.08%、 Si:2.0%以下、 Mn:10%以下、 P :0.040%以下、 S :0.008%以下、 O :0.005%以下、 Cr:16〜35%、 Ni:7〜50%、 Mo:0.01〜8%、 Cu:0.01〜4%、 N :0.003〜0.3% で残部がFeと不可避的不純物からなり、δ(cal)=3
    (Cr+1.5×Si+Mo+0.5×Nb+0.5×
    Ti)−2.8(Ni+0.5×Mn+0.5×Cu)
    −84(C+N)−19.8で示されるδ(cal)が−
    7.5<δ(cal)≦4で、連続鋳造時のスラブ表面の冷
    却が1400℃から1200℃までを平均冷却速度で3
    0℃/S以下、1200℃から500℃までの平均冷却速
    度を10℃/S以上であり、スラブ表層のオッシレーショ
    ンマーク谷部に存在する平均Ni濃度より1.15倍以
    上濃化したNi偏析帯深さがオッシレーションマーク谷
    から200μm以下であるスラブを、熱間圧延に際し1
    000℃以上かつTγ(℃)=(105+Nieq−3.
    9×Creq)/(0.07−1.95×10-3×Cre
    q)以下の温度T(℃)で加熱し、 (ここで、Creq=Cr(%)+1.5×Si(%)+
    Mo(%)+0.5×Nb(%)+0.5×Ti(%) Nieq=Ni(%)+0.5×Mn(%)+0.5×C
    u(%)+30×C(%)+30×N(%)) スラブ表面の均熱時間をK=10m 分以上とした後、 (ここで、 m=3.22log{(Creq×δs)/T}
    +5.25 δs=0.6×δ(cal)+4.5) 熱間圧延を行うことを特徴とする熱間圧延で表面疵の発
    生しないCr−Ni系ステンレス合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、Al:0.05%以下を含有す
    るスラブを用いた請求項1記載の熱間圧延で表面疵の発
    生しないCr−Ni系ステンレス合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 さらに、Al:0.05%以下、Ca:
    0.001〜0.005%を含有するスラブを用いた請
    求項1記載の熱間圧延で表面疵の発生しないCr−Ni
    系ステンレス合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 さらに、Nb:0.01〜1.5%、T
    i:0.01〜1.0%のうち1種または2種を含有す
    るスラブを用いた請求項1,2あるいは3のそれぞれに
    記載の熱間圧延で表面疵の発生しないCr−Ni系ステ
    ンレス合金の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3561127A4 (en) * 2016-12-23 2019-10-30 Posco AUSTENITIC STAINLESS STEEL WITH EXCELLENT PROCESSABILITY AND SURFACE PROPERTIES AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
CN115896637A (zh) * 2022-12-28 2023-04-04 浦项(张家港)不锈钢股份有限公司 一种超级奥氏体不锈钢热轧卷的制备方法

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