JPH07263768A - ジョセフソン接合処理方法 - Google Patents

ジョセフソン接合処理方法

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JPH07263768A
JPH07263768A JP6077752A JP7775294A JPH07263768A JP H07263768 A JPH07263768 A JP H07263768A JP 6077752 A JP6077752 A JP 6077752A JP 7775294 A JP7775294 A JP 7775294A JP H07263768 A JPH07263768 A JP H07263768A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温超伝導薄膜結晶粒界型ジョセフソン接合
のジョセフソン電流のバラツキを減少させうるジョセフ
ソン接合処理方法を提供する。 【構成】 高温超伝導薄膜による結晶粒界を利用したジ
ョセフソン接合Jを形成した後、常温環境下でこのジョ
セフソン接合Jを酸素ガスにマイクロ波を照射するなど
してプラズマ雰囲気中に暴露しながら定電流源等により
微小電流を流し、電圧をモニターすることによりその時
のジョセフソン接合の抵抗値のプラズマ暴露時間に対す
る経時変化をモニターし、任意のプラズマ暴露時間経過
後にプラズマ暴露を停止することにより、超伝導状態時
のジョセフソン接合のジョセフソン電流値の初期値を増
大又は減少させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体あるいは生物体か
ら発生する磁場の計測を行うための医療用診断装置、材
料の透磁率を測定するための物性測定装置、磁気的な信
号伝送のインターフェイスのための通信装置に用いるS
QUID(Superconducting QuantumInterference Devi
ce :超伝導量子干渉デバイス)、ジョセフソンコンピ
ュータを構築するためのジョセフソン素子等においてジ
ョセフソン効果を発揮するジョセフソン接合の処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ジョセフソン効果を発揮するジョ
セフソン接合として、図3に示すような、高臨界温度超
伝導材料であるイットリウム・バリウム・銅酸化物(Y
Ba2Cu37-r など。以下、「YBaCu酸化物」
という。)などにより形成されたものも知られている。
この種のジョセフソン接合は、図3に示すように、基板
11上に、広幅部14と狭幅部15を有するYBaCu
酸化物薄膜12を形成し、狭幅部15にYBaCu酸化
物の結晶粒界13を設け、この結晶粒界13をジョセフ
ソン接合として利用するもの(結晶粒界型ジョセフソン
接合)である。したがって、このYBaCu酸化物薄膜
結晶粒界型ジョセフソン接合は、マイクロブリッジ型ジ
ョセフソン接合のように、サブミクロン寸法のくびれ
(マイクロブリッジ)を形成する必要はなく、図6に示
すように、広幅部14に対し相対的に断面積の小さい幅
数マイクロメートルの狭幅部15にジョセフソン接合を
形成することができる。上記のYBaCu酸化物薄膜結
晶粒界型ジョセフソン接合には、図7に示す3種類のも
のが知られている。1つは「ステップ・エッジ型ジョセ
フソン接合」と呼ばれるものであり、図7(A)の13
A1 および13A2 に示すように、基板11A表面の一
部をエッチングして段差を設け、その上全面に高温超伝
導薄膜であるYBaCu酸化物薄膜12Aをエピタキシ
ャル成長させることにより、段差部16の上面の凹部に
ステップ・エッジ型ジョセフソン接合13A1 を、凸部
にステップ・エッジ型ジョセフソン接合13A1 を形成
するものである。第2は、「バイクリスタル型ジョセフ
ソン接合」と呼ばれるもので、図7(B)に示すよう
に、結晶方位の異なる2枚の基板11B1 と11B2 を
張り合わせ熱処理を加えて形成した双結晶基板(バイク
リスタル基板)の上に、高温超伝導薄膜であるYBaC
u酸化物薄膜12Bをエピタキシャル成長させることに
より、基板の張り合わせ部分の直上に高温超伝導体の粒
界接合を形成するものである。第3は、「バイエピタキ
シャル型ジョセフソン接合」と呼ばれるもので、図7
(C)に示すように、基板11C上の一部に非常に薄い
シード(種結晶膜)層17を堆積した後、全面に高温超
伝導薄膜であるYBaCu酸化物薄膜12Cをエピタキ
シャル成長させることにより、シード層17の境界上に
超伝導薄膜の結晶配向の違いによる粒界接合を形成する
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の高温超
伝導薄膜による粒界接合型ジョセフソン接合において
は、当該ジョセフソン接合に流れる最大超伝導電流であ
るジョセフソン電流Ic は、ジョセフソン接合である高
温超伝導薄膜結晶粒界の形成プロセスの影響を受け、最
小で2μA(マイクロアンペア)から最大200μA
と、約100倍のバラツキがあった。このようなジョセ
フソン電流Ic のバラツキは、超伝導デバイスの特性に
大きな影響を与えるため、これをできるだけ小さく抑え
る必要があったが、従来は有効な解決手段がなかった。
一方、近年、YBaCu酸化物薄膜によるステップ・エ
ッジ型ジョセフソン接合が形成された後、デバイスを酸
素プラズマ(酸素ガス内に高周波を照射することにより
生成したプラズマ状態)内に曝すと、ジョセフソン電流
値が増大する、という実験結果が知られるようになった
(M.Siegel et al.,"Investigation ofYBCO Step-Edge
Josephson Junctions", Proceedings of ASC'92, Augus
t 24, 1992参照)。本発明は、上記の問題点を解決する
ためになされたものであり、上記の実験結果を応用し
て、高温超伝導薄膜による粒界接合型ジョセフソン接合
のジョセフソン電流のバラツキを減少させうるジョセフ
ソン接合処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本願の第1の発明に係るジョセフソン接合処理方法
は、高温超伝導薄膜による結晶粒界を利用した1個ある
いは複数のジョセフソン接合を形成した後、当該結晶粒
界を利用したジョセフソン接合を常温環境下でプラズマ
雰囲気中に暴露しながら微小電流を流し、その時の電圧
をモニターすることによりその時の前記結晶粒界を利用
したジョセフソン接合の抵抗値の前記プラズマ暴露の経
過時間に対する経時変化をモニターし、任意のプラズマ
暴露時間経過後に前記プラズマ暴露を停止することによ
り、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョセフソン電
流値の初期値を増大又は減少させるように構成される。
また、本願の第2の発明に係るジョセフソン接合処理方
法は、高温超伝導薄膜による1個あるいは複数のステッ
プ・ウェッジ型ジョセフソン接合を形成した後、当該ス
テップ・ウェッジ型ジョセフソン接合を常温環境下でプ
ラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流し、その時
の電圧をモニターすることによりその時の前記ステップ
・ウェッジ型ジョセフソン接合の抵抗値の前記プラズマ
暴露の経過時間に対する経時変化をモニターし、任意の
プラズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露を停止する
ことにより、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョセ
フソン電流値の初期値を増大又は減少させるように構成
される。そして、本願の第3の発明に係るジョセフソン
接合処理方法は、高温超伝導薄膜による1個あるいは複
数のバイクリスタル型ジョセフソン接合を形成した後、
当該バイクリスタル型ジョセフソン接合を常温環境下で
プラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流し、その
時の電圧をモニターすることによりその時の前記バイク
リスタル型ジョセフソン接合の抵抗値の前記プラズマ暴
露の経過時間に対する経時変化をモニターし、任意のプ
ラズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露を停止するこ
とにより、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョセフ
ソン電流値の初期値を増大又は減少させるように構成さ
れる。そして、本願の第4の発明に係るジョセフソン接
合処理方法は、高温超伝導薄膜による1個あるいは複数
のバイエピタキシャル型ジョセフソン接合を形成した
後、当該バイエピタキシャル型ジョセフソン接合を常温
環境下でプラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流
し、その時の電圧をモニターすることによりその時の前
記バイエピタキシャル型ジョセフソン接合の抵抗値の前
記プラズマ暴露の経過時間に対する経時変化をモニター
し、任意のプラズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露
を停止することにより、超伝導状態時のジョセフソン接
合のジョセフソン電流値の初期値を増大又は減少させる
ように構成される。また、本願の第5の発明に係るジョ
セフソン接合処理方法は、高温超伝導薄膜による結晶粒
界を利用した1個あるいは複数のジョセフソン接合を含
むSQUIDを形成した後、当該結晶粒界を利用したジ
ョセフソン接合を常温環境下でプラズマ雰囲気中に暴露
しながら微小電流を流し、その時の電圧をモニターする
ことによりその時の前記結晶粒界を利用したジョセフソ
ン接合の抵抗値の前記プラズマ暴露の経過時間に対する
経時変化をモニターし、任意のプラズマ暴露時間経過後
に前記プラズマ暴露を停止することにより、超伝導状態
時のジョセフソン接合のジョセフソン電流値の初期値を
増大又は減少させるように構成される。
【0005】
【作用】上記構成を有する本願発明によれば、高温超伝
導薄膜による結晶粒界を利用したジョセフソン接合、例
えばステップ・エッジ型ジョセフソン接合、バイクリス
タル型ジョセフソン接合、あるいはバイエピタキシャル
型ジョセフソン接合などを形成した後、常温環境下でこ
の結晶粒界を利用したジョセフソン接合をプラズマ雰囲
気中に暴露しながら微小電流を流し、その時の電圧をモ
ニターすることによりその時の結晶粒界を利用したジョ
セフソン接合の抵抗値のプラズマ暴露経過時間に対する
経時変化をモニターし、任意のプラズマ暴露時間経過後
にプラズマ暴露を停止することにより、超伝導状態時の
ジョセフソン接合のジョセフソン電流値の初期値を増大
又は減少させることができる。したがって、ジョセフソ
ン接合形成時にばらついていたジョセフソン電流値を所
定の値に収束させることができる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説
明する。図1は、本発明の第1実施例であるプラズマ処
理装置の構成を示した図である。
【0007】図に示すように、このプラズマ処理装置1
は、1個のジョセフソン接合J1 を含むサンプルS1 を
載置する電極4と、このサンプルS1 の上方に配置され
サンプルS1 に高周波を照射するための電極3と、これ
らのサンプルS1 及び電極3,4を密閉格納する容器2
を備えている。
【0008】上記の電極3には、マッチングボックス6
を介して高周波源であるRF(Radio Frequency :高周
波)パワー電源5が接続されている。また、RFパワー
電源5の他端、及び電極4は接地されている。
【0009】また、上記のサンプルS1 には、上記ジョ
セフソン接合J1 の両端に4個の端子T1 〜T4 が設け
られており、端子T1 とT4 は定電流源7に接続され、
端子T2 とT3 は電圧計8に接続されている。したがっ
て、電圧計8の値を読み取れば、ジョセフソン接合J1
の抵抗値Rは算出できる。上記の定電流源7の電流値は
非常に微小である。そして、上記の容器2には、酸素ガ
ス供給装置9と真空ポンプ10が配管によって接続され
ている。
【0010】次に、上記のプラズマ処理装置1によるサ
ンプルS1 のジョセフソン接合J1の処理方法について
説明する。まず、サンプルS1 を室温環境下に設置し、
真空ポンプ10により容器2内の空気を吸引し容器2内
を真空状態にする。次いで、酸素ガス供給装置9から酸
素ガス(O2 )を供給し、容器2内を酸素ガスで充填す
る。
【0011】次に、RFパワー電源5をONさせ、電極
3から電極4に向けて高周波を発射する。このようにす
ると、容器2内の酸素ガスが高周波によってプラズマ状
態となる。このとき発生する酸素ラジカルは、サンプル
S1 内のジョセフソン接合J1 に吸収され、多結晶YB
aCu酸化物の結晶粒界状態を変化させる。
【0012】この結果、ジョセフソン接合J1 のジョセ
フソン電流Ic の値は変化するが、このことは、ジョセ
フソン接合J1 における抵抗値が変化することに対応し
ている。このジョセフソン接合抵抗値の変化には、図2
(A)又は図2(B)に示す2種類の変化があることが
実験によって明らかになった。
【0013】図2(A)に示す例は、縦軸に示すジョセ
フソン接合抵抗値Rがかなり大きい場合であり、これは
すなわちジョセフソン電流Ic の値が過小な方へばらつ
いていることを示している。このようなサンプルAの場
合は、上記の酸素プラズマ状態に曝すと、横軸に暴露時
間Tをとった図2(A)のようにジョセフソン接合抵抗
値Rが変化する。すなわち、暴露時間Tが8分以下の場
合はジョセフソン接合抵抗値Rは減少し、暴露時間Tが
8分の時にジョセフソン接合抵抗値Rは最小となり、暴
露時間Tが8分を超えるとジョセフソン接合抵抗値Rは
増大する。このような挙動をしめすのは、多結晶YBa
Cu酸化物結晶粒界形成時に、酸素が不足していたた
め、酸素プラズマ中に曝すと酸素プラズマを吸収すると
考えられる。
【0014】上記のジョセフソン接合抵抗値Rの変化
を、このジョセフソン接合J1 を構成するYBaCu酸
化物の臨界温度以下の環境、例えば、77Kにおけるジ
ョセフソン電流値Ic で見てみると、図2(C)におけ
る曲線Aのようになる。すなわち、暴露時間Tが8分以
下の場合はジョセフソン電流値Ic は増大し、暴露時間
Tが8分の時にジョセフソン電流値Ic は最大となり、
暴露時間Tが8分を超えるとジョセフソン電流値Ic は
減少する。
【0015】一方、ジョセフソン接合のジョセフソン電
流値Ic は、過大な方へもばらつくことがある。このよ
うな場合の例として、図2(B)に示すように、縦軸に
示すジョセフソン接合抵抗値Rがかなり小さい場合があ
る。このようなサンプルBの場合は、上記の酸素プラズ
マ状態に曝すと、横軸に暴露時間Tをとった図2(B)
のようにジョセフソン接合抵抗値Rが変化する。すなわ
ち、暴露時間Tが4分以下の場合はジョセフソン接合抵
抗値Rは減少し、暴露時間Tが4分の時にジョセフソン
接合抵抗値Rは最小となり、暴露時間Tが4分を超える
とジョセフソン接合抵抗値Rは増大する。このような挙
動をしめすのは、多結晶YBaCu酸化物結晶粒界形成
時に、酸素が過大であったため、ある程度以下の分圧の
酸素ガスのプラズマ状態では、酸素プラズマは吸収され
ず、逆に排出されると考えられる。
【0016】上記のジョセフソン接合抵抗値Rの変化
を、このジョセフソン接合J1 を構成するYBaCu酸
化物の臨界温度以下の環境、例えば、77Kにおけるジ
ョセフソン電流値Ic で見てみると、図2(C)におけ
る曲線Bのようになる。すなわち、暴露時間Tが4分以
下の場合はジョセフソン電流値Ic は増大し、暴露時間
Tが4分の時にジョセフソン電流値Ic は最大となり、
暴露時間Tが4分を超えるとジョセフソン電流値Ic は
減少し、暴露時間Tが8分の時にサンプルBのジョセフ
ソン電流値Ic はサンプルAの最大ジョセフソン電流値
と一致し、暴露時間Tが8分を超えるとサンプルBのジ
ョセフソン電流値Ic はさらに減少する。
【0017】上記より、ジョセフソン接合J1 の抵抗値
Rは、ジョセフソン接合J1 を流れる電流値と電圧値が
わかれば算出できる。また、サンプルS1 中のジョセフ
ソン接合の品質が酸素過多型か酸素過小型かの違いは、
暴露時間Tに対するジョセフソン接合抵抗値Rの変化曲
線を監視すれば判明する。
【0018】したがって、上記の酸素プラズマ状態にお
いて、暴露時間Tに対する電圧計8の経時変化を読み取
れば、ジョセフソン接合抵抗値Rの経時変化を算出する
ことができ、図2(A)あるいは図2(B)のようなグ
ラフを得ることができる。
【0019】この場合に、ある暴露時間Tでプラズマ暴
露を停止、すなわち、上記RFパワー電源5をOFFす
れば、ジョセフソン接合J1 へのプラズマの吸収は停止
し、ジョセフソン電流Ic はそれ以上変化しなくなる。
このことを利用して、ジョセフソン電流値Ic を所定の
値に収束させることが可能となる。
【0020】一つの実験例としては、基板としてSrT
iO3 (100)基板を使用し、高温超伝導薄膜として
厚さが2000オングストロームのイットリウム・バリ
ウム・銅酸化物(YBa2 Cu37-r など)を用い、
基板段差が2000オングストロームのステップ・エッ
ジ型ジョセフソン接合において、RFパワー電源の出力
を100ワット(2ワット/cm2 )とし、酸素ガス分
圧を0.4torr(0.4mmHg)とした場合、図
2(C)に示すように、サンプルAでは、初期のジョセ
フソン電流値Ic が2μAであったものが、8分のプラ
ズマ処理により100μAに増大し、サンプルBでは、
初期のジョセフソン電流値Ic が130μAであったも
のが、8分のプラズマ処理により100μAに減少した
例を挙げる。
【0021】また、他の実験例としては、バイクリスタ
ル基板として結晶方位が24°ずれた2枚のSrTiO
3 (100)基板を合わせたものを使用し、高温超伝導
薄膜として厚さが2000オングストロームのイットリ
ウム・バリウム・銅酸化物(YBa2 Cu37-r
ど)を用いたバイクリスタル型ジョセフソン接合におい
て、RFパワー電源の出力を100ワット(2ワット/
cm2 )とし、酸素ガス分圧を0.4torr(0.4
mmHg)とした場合、図3に示すように、サンプルC
では、初期のジョセフソン電流値Ic が1μAであった
ものが、8分のプラズマ処理により80μAに増大し、
サンプルDでは、初期のジョセフソン電流値Ic が12
0μAであったものが、8分のプラズマ処理により80
μAに減少した例を挙げる。
【0022】さらに他の実験例として、バイエピタキシ
ャル基板としてCeO2 のシード層を設けたSrTiO
3 (100)基板を使用し、高温超伝導薄膜として厚さ
が2000オングストロームのイットリウム・バリウム
・銅酸化物(YBa2 Cu37-r など)を用いたバイ
エピタキシャル型ジョセフソン接合において、RFパワ
ー電源の出力を100ワット(2ワット/cm2 )と
し、酸素ガス分圧を0.4torr(0.4mmHg)
とした場合、図4に示すように、サンプルEでは、初期
のジョセフソン電流値Ic が20μAであったものが、
8分のプラズマ処理により90μAに増大し、サンプル
Fでは、初期のジョセフソン電流値Ic が100μAで
あったものが、8分のプラズマ処理により90μAに減
少した例を挙げる。
【0023】このように、常温環境下で結晶粒界型ジョ
セフソン接合をプラズマ雰囲気中に曝しながら微小電流
を流し、その電圧をモニターすることによりその時のジ
ョセフソン接合の抵抗値変化をモニターし、任意のプラ
ズマ暴露時間経過後にプラズマ暴露を停止することによ
り、超伝導状態のジョセフソン接合のジョセフソン電流
値Ic の初期値を増大又は減少することができる。
【0024】次に図5に、本発明の第2実施例であるプ
ラズマ処理装置の構成を示す。図に示すように、この第
2実施例は、上記の第1実施例におけるサンプルS1 上
のジョセフソン接合個数が1個であったのに対し、通常
のdcSQUIDのように2個のジョセフソン接合J1
,J2 を含むサンプルS2 を処理対象とするものであ
る。この第2実施例の場合は、サンプルS2 のジョセフ
ソン接合J2 ,J3 を含むSQUIDループLの両端に
4個の端子T5 〜T8 が設けられており、端子T5 とT
8 が定電流源7に接続され、端子T6 とT7 が電圧計8
に接続されている点を除き上記第1実施例と同様であ
る。この第2実施例の場合も、上記第1実施例の場合と
同様に、ジョセフソン接合J2 ,J3 に微小電流を流し
ながらRFパワー電源5をONさせ電極3から電極4に
向けて高周波を発射すると、容器2内の酸素ガスが高周
波によってプラズマ状態となり、このとき発生する酸素
ラジカルがサンプルS2 内のジョセフソン接合J2 ,J
3 に吸収又は排出されて多結晶YBaCu酸化物の結晶
粒界状態を変化させるので、その電圧をモニターするこ
とによりその時のジョセフソン接合の抵抗値変化をモニ
ターし、任意のプラズマ暴露時間経過後にプラズマ暴露
を停止すれば、超伝導状態のジョセフソン接合のジョセ
フソン電流値Ic の初期値を増大又は減少させジョセフ
ソン電流値Ic を所定の値に収束させることができる。
また、まったく同様にしてジョセフソン接合が3個以上
含まれる場合にも本発明は応用可能である。
【0025】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではない。上記実施例は、例示であり、本発明の特
許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な
構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる
ものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】例えば、上記実施例においては、ステップ
・エッジ型ジョセフソン接合としてSrTiO3 (10
0)基板を使用し高温超伝導薄膜としてYBa2 Cu3
7- r を用いた例を説明したが、これには限定されず、
他の材料により基板と高温超伝導薄膜を形成してもよ
い。また、上記実施例においては、バイクリスタル型ジ
ョセフソン接合としてSrTiO3 (100)基板を使
用し高温超伝導薄膜としてYBa2 Cu37-r を用い
た例を説明したが、これには限定されず、他の材料によ
り基板と超伝導薄膜を形成してもよい。例えば、バイク
リスタル基板としては、MgO,YSZ(イットリウム
安定化ジルコニア)などを用いてもよく、高温超伝導薄
膜としてBiSrCaCuOなどを用いてもよい。そし
て、上記実施例においては、バイエピタキシャル型ジョ
セフソン接合としてCeO2 のシード層を設けたSrT
iO3 (100)基板を使用し高温超伝導薄膜としてY
Ba2 Cu37-r を用いた例を説明したが、これには
限定されず、他の材料により基板と超伝導薄膜を形成し
てもよい。例えば、バイエピタキシャル基板としてAl
23 基板を用いてMgOのシード層を形成し、基板全
面をSrTiO3 薄膜のバッファ(緩衝)層で覆った
後、YBaCu酸化物薄膜をエピタキシャル成長させる
ようにしてもかまわない。上記のバッファ層としてはC
eO2 やYSZなどを用いてもよい。また、MgOをシ
ード層としたビスマス系超伝導薄膜によるバイエピタキ
シャル接合も可能である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、上記構成を有する
本発明によれば、高温超伝導薄膜による結晶粒界を利用
したジョセフソン接合、例えばステップ・エッジ型ジョ
セフソン接合、バイクリスタル型ジョセフソン接合、あ
るいはバイエピタキシャル型ジョセフソン接合などを形
成した後、常温環境下で結晶粒界を利用したジョセフソ
ン接合をプラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流
し、その時の電圧をモニターすることによりその時の結
晶粒界を利用したジョセフソン接合の抵抗値のプラズマ
暴露経過時間に対する経時変化をモニターし、任意のプ
ラズマ暴露時間経過後にプラズマ暴露を停止することに
より、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョセフソン
電流値の初期値を増大又は減少させることができる。し
たがって、ジョセフソン接合形成時にばらついていたジ
ョセフソン電流値を所定の値に収束させることができ
る、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるプラズマ処理装置の
構成を示す図である。
【図2】図1に示すプラズマ処理装置の動作を説明する
図(1)である。
【図3】図1に示すプラズマ処理装置の動作を説明する
図(2)である。
【図4】図1に示すプラズマ処理装置の動作を説明する
図(3)である。
【図5】本発明の第2実施例であるプラズマ処理装置の
構成を示す図である。
【図6】従来のYBaCu酸化物薄膜型ジョセフソン接
合の構成を示す図である。
【図7】粒界接合型ジョセフソン接合の構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 プラズマ処理装置 2 容器 3,4 電極 5 RFパワー電源 6 マッチングボックス 7 定電流源 8 電圧計 9 酸素ガス供給装置 10 真空ポンプ 11,11A〜11C 基板 12 YBaCu酸化物薄膜 13 結晶粒界 13A1 ,13A2 ステップ・エッジ型ジョセフソン接
合 13B バイクリスタル型ジョセフソン接合 13C バイエピタキシャル型ジョセフソン接合 14 広幅部 15 狭幅部 16 段差 17 シード層 J1 〜J3 ジョセフソン接合 L SQUIDループ S1 ,S2 サンプル T1 〜T8 端子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温超伝導薄膜による結晶粒界を利用し
    た1個あるいは複数のジョセフソン接合を形成した後、
    当該結晶粒界を利用したジョセフソン接合を常温環境下
    でプラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流し、そ
    の時の電圧をモニターすることによりその時の前記結晶
    粒界を利用したジョセフソン接合の抵抗値の前記プラズ
    マ暴露の経過時間に対する経時変化をモニターし、任意
    のプラズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露を停止す
    ることにより、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョ
    セフソン電流値の初期値を増大又は減少させることを特
    徴とするジョセフソン接合処理方法。
  2. 【請求項2】 高温超伝導薄膜による1個あるいは複数
    のステップ・エッジ型ジョセフソン接合を形成した後、
    当該ステップ・エッジ型ジョセフソン接合を常温環境下
    でプラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流し、そ
    の時の電圧をモニターすることによりその時の前記ステ
    ップ・エッジ型ジョセフソン接合の抵抗値の前記プラズ
    マ暴露の経過時間に対する経時変化をモニターし、任意
    のプラズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露を停止す
    ることにより、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョ
    セフソン電流値の初期値を増大又は減少させることを特
    徴とするジョセフソン接合処理方法。
  3. 【請求項3】 高温超伝導薄膜による1個あるいは複数
    のバイクリスタル型ジョセフソン接合を形成した後、当
    該バイクリスタル型ジョセフソン接合を常温環境下でプ
    ラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流し、その時
    の電圧をモニターすることによりその時の前記バイクリ
    スタル型ジョセフソン接合の抵抗値の前記プラズマ暴露
    の経過時間に対する経時変化をモニターし、任意のプラ
    ズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露を停止すること
    により、超伝導状態時のジョセフソン接合のジョセフソ
    ン電流値の初期値を増大又は減少させることを特徴とす
    るジョセフソン接合処理方法。
  4. 【請求項4】 高温超伝導薄膜による1個あるいは複数
    のバイエピタキシャル型ジョセフソン接合を形成した
    後、当該バイエピタキシャル型ジョセフソン接合を常温
    環境下でプラズマ雰囲気中に暴露しながら微小電流を流
    し、その時の電圧をモニターすることによりその時の前
    記バイエピタキシャル型ジョセフソン接合の抵抗値の前
    記プラズマ暴露の経過時間に対する経時変化をモニター
    し、任意のプラズマ暴露時間経過後に前記プラズマ暴露
    を停止することにより、超伝導状態時のジョセフソン接
    合のジョセフソン電流値の初期値を増大又は減少させる
    ことを特徴とするジョセフソン接合処理方法。
  5. 【請求項5】 高温超伝導薄膜による結晶粒界を利用し
    た1個あるいは複数のジョセフソン接合を含むSQUI
    Dを形成した後、当該結晶粒界を利用したジョセフソン
    接合を常温環境下でプラズマ雰囲気中に暴露しながら微
    小電流を流し、その時の電圧をモニターすることにより
    その時の前記結晶粒界を利用したジョセフソン接合の抵
    抗値の前記プラズマ暴露の経過時間に対する経時変化を
    モニターし、任意のプラズマ暴露時間経過後に前記プラ
    ズマ暴露を停止することにより、超伝導状態時のジョセ
    フソン接合のジョセフソン電流値の初期値を増大又は減
    少させることを特徴とするジョセフソン接合処理方法。
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