JPH07261054A - 光伝送モジュールおよびそれを用いた光伝送装置 - Google Patents

光伝送モジュールおよびそれを用いた光伝送装置

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JPH07261054A
JPH07261054A JP4671294A JP4671294A JPH07261054A JP H07261054 A JPH07261054 A JP H07261054A JP 4671294 A JP4671294 A JP 4671294A JP 4671294 A JP4671294 A JP 4671294A JP H07261054 A JPH07261054 A JP H07261054A
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light beam
light
diffraction grating
optical
optical transmission
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JP4671294A
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Kunikazu Onishi
邦一 大西
Masayuki Inoue
雅之 井上
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】回折格子を用いた光伝送モジュールにおいて、
実用的な光利用効率を得るための光学的手段と、迷光に
よるクロストークを低減する光学的手段を提供するこ
と。 【構成】実用的な光利用効率を得るため、受信光ビーム
となる回折光ビームの回折効率が、送信光ビームとなる
回折光ビームの回折効率よりも高く、少なくとも40%
以上ある回折格子を用いる。その一手段として、格子溝
を鋸歯状化し、かつその溝深さdが、少なくとも以下の
関係式を満たすような回折格子を用いる。 d≧0.3λ/(n0−n1) (1) ただし、λは回折光ビームの波長、n0は前記回折格子
を構成する基板部材のの屈折率、n1は該回折格子に接
する周囲の媒体の屈折率。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバーケーブル
などの端末に接続して情報信号の送・受信に用いられる
光伝送モジュールに関するもので、特に1個のパッケー
ジ内に発光素子と受光素子を設けて双方向伝送を行なう
光伝送モジュール、およびそれを搭載した光伝送装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバーケーブルなどの光伝送路
(以下、簡単のため光ファイバーと記す。)を用いた光
通信システムや光伝送システムにおいて、信号の送・受
信端末に用いられる双方向光伝送用モジュール(以下、
簡単のために光モジュールと記す。)の従来例として
は、例えば特開昭62−229206号公報に記載され
ている例がある。これは、発光素子および発光素子から
の出射光をコリメートするコリメートレンズと、受光素
子および受光素子に光を結合するための集光レンズと、
光ファイバー端末および光ファイバ−から出射した光を
コリメートするための共通ポートレンズと、光を波長に
よって分波合波するためのフィルタを装着したペンタプ
リズムブロックを1個の金属ケース内に収納あるいは接
続した構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例は1個の金属ケース内に収納される光学部品の部品
点数が多くなるという問題がある。また、送信光と受信
光とをペンタプリズムブロックを用いて分離するため、
発光素子と受光素子を空間的に離れた位置でかつ互いに
直行する向きに配置する必要があり、光モジュールの小
型化、低コスト化に対して障害になっている。
【0004】このような問題に対して、発明者は既に、
所定軌跡の格子溝からなる回折格子を発光素子と光ファ
イバー端末間に設けた光モジュールについて出願してい
る。これは、回折格子によって発光素子を発した送信光
ビームを光ファイバー端末に導くとともに、光ファイバ
ー端末を発した受信光ビームを発光素子の近傍に配置さ
れた受光素子に導く構成を示したもので、光モジュール
の小型化、部品点数の削減を実現した発明である。
【0005】ところで、このような回折格子を用いた光
モジュールでは、送信光あるいは受信光の光利用率向上
と、回折格子によって発生する不要な迷光による光学的
クロストークの低減が実用上の重要な課題となる。
【0006】本発明の目的は上記の技術課題を解決した
実用的な光モジュールおよびその光モジュールを用いた
光伝送装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明ではまず第1の発明として、発光素子および
受光素子と、前記発光素子を発した光ビームを所定の光
ファイバーに導く光学素子と、所定軌跡の格子溝からな
る回折格子とを具備した光モジュールにおいて、前記回
折格子として、この回折格子によって回折された後、前
記受光素子に入射する第1の回折光ビームの回折効率
が、この回折格子によって回折された後、前記光伝送路
に入射する第2の回折光ビームの回折効率に対して、同
一またはより高い効率を有する回折格子を用いた。
【0008】さらに第2の発明では、少なくとも前記第
1の回折光ビームの回折効率が、40%以上ある回折格
子を用いた。
【0009】さらに第3の発明では、前記回折格子とし
てその格子溝が鋸歯状の断面形状を有し、かつその格子
溝深さdが、前記第1の回折光ビームの波長λに対し
て、次式の関係を満たす格子を用いた。
【0010】すなわち、 d≧0.3λ/(n0−n1) ただし、n0は前記回折格子を構成する部材の屈折率、
1は該回折格子に接する周囲の媒体の屈折率。
【0011】また第4の発明では、発光素子および受光
素子と、前記発光素子を発した光ビームを所定の光伝送
路に導く光学素子と、所定軌跡の格子溝からなる回折格
子とを所定のホルダー内に配置した光伝送モジュールに
おいて、前記回折格子で生じた各回折光ビームが入射す
る前記光伝送路の端面または前記ホルダーの内面を、そ
の面法線が各面に入射する前記各回折光ビームの光軸に
対して、非平行になるように配置した。
【0012】また第5の発明では、前記光伝送路の端面
または前記ホルダーの内面の前記回折光ビームに対する
光強度反射率を10%以下とした。
【0013】最後に第6の発明では、光通信システムや
光伝送システムに用いられる光伝送装置に前述した各発
明の光モジュールを搭載した。
【0014】
【作用】一般の光通信システムや光伝送システムなど
で、システム内の各光モジュールに到達する受信光ビー
ムの光量を自由に増加させることは、事実上不可能であ
る。したがって各光モジュールにおいては、特に受信光
ビームに対する光利用効率の確保が重要である。そこ
で、本出願の第1の発明のように受信光ビームとして受
光素子に入射する第1の回折光ビームの回折効率が、送
信光ビームとして光伝送路に導かれる第2の回折光ビー
ムの回折効率に対して、同一またはより高い効率を有す
る回折格子を用いる。このような回折格子を用いると、
光モジュールの光利用効率の向上に大きな効果がある。
【0015】さらに第2の発明のように、少なくとも前
記第1の回折光ビームの回折効率を40%以上にするこ
とにより、本発明のように回折格子を用いた光モジュー
ルにおいても、従来の光モジュールとほぼ同程度以上の
光利用効率が得られる。
【0016】また第3の発明は、前記第1および第2の
発明を実現するための具体的な格子溝の形状を示した発
明である。すなわち、回折格子の格子溝を鋸歯状にする
ことにより、受信光ビームとして用いられる第1の回折
光ビームの回折効率を増加させ、逆にそれとは対称な方
向に偏向する回折光ビームの回折効率を減少させること
ができる。そしてさらに、格子溝の溝深さdを上記の関
係式が成り立つように設定することにより、前記第1お
よび第2の発明で述べた必要条件を満足する光モジュー
ル用回折格子を得ることができる。
【0017】次に本出願の第4の発明や第5の発明のよ
うに、回折格子で生じた各回折光ビームが入射する光フ
ァイバー端末やホルダー内面を、その各面法線がそれぞ
れの面に入射する回折光ビームの光軸に対して非平行に
なるように傾斜して配置したり、光強度反射率を10%
以下にすると、各面を反射して受光素子に入射する迷光
を除去し、結果的に光学的クロストークを大幅に低減で
きる。
【0018】最後に本出願の第6の発明では、上記の各
発明で示した光モジュールを光伝送装置に搭載すること
により、小型、低コストを実現した実用的な光伝送装置
を得ることができる。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の第1の実施例を示した光モ
ジュールの断面図である。
【0020】1は、例えば半導体レーザ素子などの発光
素子である。この発光素子1は、送信信号に応じて変調
された駆動電流により、所定の波長を有する光ビーム1
00を発光する。発光素子1を発した光ビーム100は
カバーガラス2に達する。このカバーガラス2の上面ま
たは下面には、位相型回折格子6が設けられている。図
2は、この回折格子6に刻まれる格子溝20の軌跡の一
例を示した平面図である。(格子溝中央部の軌跡が、数
本おきに描かれている。)また図3は、この格子溝20
の断面形状の一例を示した斜視図である。すなわち、回
折格子6には、図2の例に示すような不等間隔で曲線状
あるいは直線状の軌跡を持ち、かつ図3の例に示すよう
な凹凸の断面形状を有する格子溝20が刻まれている。
【0021】このような回折格子6に光ビーム100が
入射すると、回折格子6はこの光ビーム100を回折
し、いくつかの回折光ビームが発生する。そのうち、入
射光ビームに対して光軸が偏向しない0次回折光ビーム
だけが、レンズ3を経て光ビーム104となり、光ファ
イバー4の端面5上に集光されて光ファイバー4内を伝
送していく。(以下では、この光ビーム104を送信光
ビームと記す。)一方、他の光モジュールなどから光フ
ァイバー4内を伝送してこの光モジュールに達し、光フ
ァイバー端面5から出射した光ビーム105(以下、こ
の光ビーム105を送信光ビーム104と区別するた
め、受信光ビームと記す。)は、送信光ビーム104と
は逆の光路をたどり、再びレンズ3を透過して回折格子
6に達する。そして送信時と同様、回折格子6によって
回折され、いくつかの回折光ビームが発生する。このう
ち、+1次回折光ビーム108が発光素子1の近傍に設
けられた受光素子7(例えば、フォトダイオードなど)
の受光面上に集光し、受信信号が検出される。(図1で
は簡単のため、+1次回折光ビーム108以外の回折光
ビームは図示していない。) なお、発光素子1と受光素子7は、図1に示すような柱
状の基台11(以下、サブマウントと記す。)に固定さ
れており、さらにこのサブマウント11は、発光素子1
の光出力をモニターするために用いられる受光素子8と
共に、同一の基台10(以下、ステムと記す。)上に固
定されている。そして、発光素子1、受光素子7および
それらが固定されたサブマウント11と受光素子8は、
開口部にカバーガラス2とレンズ3を設けたパッケージ
12とステム10によって封止されている。さらに、こ
のパッケージ12とステム10は、共に筒状のホルダー
14内に接合固定され、さらにホルダー14の上部に光
ファイバー4が接合固定されている。
【0022】次に、本発明の主要部である回折格子6の
回折効率向上手段について述べる。図1の実施例に代表
されるような回折格子を用いた光モジュールでは、回折
格子6によって、受信光ビーム105(光量をIinとす
る。)から分離し、受光素子7に導かれる+1次回折光
ビーム108(光量をI+1とする。)の回折効率(I+1
/Iin)が、光モジュールの性能を大きく左右する。な
ぜならば、一般の光通信システムあるいは光伝送システ
ムでは、各光モジュールに達する受信光の光量は、送信
側の光モジュールの性能と光モジュール間の伝送距離に
依存して決まるため、受信側が自由に受信光量を増加さ
せることは不可能である。したがって、受信光の光利用
効率はできるだけ高い方が望ましく、一般には、送信光
の効率に対してより高く設定されている場合がほとんど
である。一方、本発明のような回折格子を用いた光モジ
ュールにおける送信時および受信時それぞれの光利用効
率は、レンズ3のカップリング効率と回折格子6の回折
効率(送信時は、0次回折光ビームの効率、受信光は、
+1次回折光ビームの効率)の積にほぼ一致する。した
がって、従来の光モジュールと同等以上の光利用効率を
得るためには、少なくとも+1次回折光ビームの回折効
率を0次回折光ビームの回折効率よりも高くする必要が
ある。
【0023】さらに具体的な数値例をあげると、光モジ
ュールに搭載されているレンズは、一般に倍率が5〜6
倍、光学素子側の開口数が0.5〜0.6であり、光フ
ァイバー端面を発した受信光ビームに対する実効的な結
合効率は、約90%程度である。一方、受信光ビームに
対する光モジュール全体の光利用効率(光ファイバー端
面からの出力光量に対する受信光量の割合)は、従来の
光モジュールの性能を考慮して、少なくとも35%以上
確保する必要がある。このことから、本発明の光モジュ
ールに用いられる回折格子6は、その+1次回折光ビー
ムに対する回折効率が少なくとも40%以上必要であ
る。
【0024】以上述べたことを改めて整理すると、本発
明の光モジュールが従来の光モジュールと同程度以上の
光利用効率を得るためには、次の2点が必要条件にな
る。すなわち、 ア.+1次回折光ビームの回折効率が0次回折光ビーム
の回折効率よりも高い。
【0025】イ.+1次回折光ビームの回折効率が少な
くとも40%以上ある。
【0026】なお、これまでは説明を簡単にするため、
0次回折光ビームを送信光ビーム、+1次回折光ビーム
を受信光ビームにした図1の実施例に限定して記述して
きた。しかし、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば+1次回折光ビームを送信光ビーム、0次回
折光ビームを受信光ビームにした構成や、+1次回折光
ビームを送信光ビーム、−1次回折光ビームを受信光ビ
ームにした構成(あるいはその逆の構成)などでも上記
必要条件を適用することができる。ただし、+1次回折
光ビームを送信光ビーム、0次回折光ビームを受信光ビ
ームにした構成では、これまで述べてきた記述の中の0
次回折光ビームと+1次回折光ビームとを入れ替えて適
用する。また+1次回折光ビームを送信光ビーム、−1
次回折光ビームを受信光ビームにした構成(あるいはそ
の逆の構成)では、これまで述べてきた記述の中の0次
回折光ビームを+1次回折光ビーム(または−1次回折
光ビーム)に、+1次回折光ビームを−1次回折光ビー
ム(または+1次回折光ビームのまま)に入れ替えて適
用すれば良い。つまり本発明は、送信および受信に用い
る各回折光ビームの次数を限定するものではない。なお
以下の記述おいても、簡単のため0次回折光ビームを送
信光ビーム、+1次回折光ビームを受信光ビームにした
図1の実施例に限定して説明を行なう。
【0027】ところで上記ア.イ.の必要条件を実現す
る具体的手段としては、まず第1に回折格子6の格子溝
20の最適設計があげられる。
【0028】例えば図4は、図3に示した格子溝ピッチ
Pと格子溝幅Wの比W/Pが0.5、すなわち凸部と凹
部の溝幅が共に格子溝ピッチの半分である矩形溝の回折
格子について、その格子溝深さdと0次および±1次回
折光ビームの回折効率の関係を示した線図である。ただ
し、回折格子に入射する光ビームの波長は1.3μm、
格子溝を刻んでいる基板の屈折率は1.52とし、空気
中(屈折率1.0)に置かれているものとして計算した
結果である。
【0029】この例のように、凸部と凹部の格子溝幅が
一致した矩形溝を有する回折格子は、0次を除く偶数次
の回折光ビームの光量をゼロにできるので、±1次回折
光ビームを効果的に回折できる。したがって図4中に示
すように、格子溝深さdを約1.25μmにすると、±
1次回折光ビームの回折効率を約40%にできる。ただ
し、この場合は明らかに0次回折光ビームの回折効率が
0%になる。したがって図1の実施例のように、0次回
折光ビームを送信光ビームとして用いる光モジュールに
は、この回折格子を用いることはできない。しかし、前
述したように+1次回折光ビームを送信光ビームに、−
1次回折光ビームを受信光ビームにした構成(またはそ
の逆の構成)の光モジュールには、この回折格子を用い
ることができる。
【0030】なお図4から、格子溝深さdを0.7μm
以下にすると、今度は0次回折光ビームの回折効率が4
0%を越える。このような回折格子は、図1の実施例と
は逆に、0次回折光ビームを受信光ビーム、+1次また
は−1次回折光ビームを送信光ビームとした光モジュー
ルに搭載することができる。
【0031】一方、図1の実施例のように0次回折光ビ
ームを送信光ビームとし、+1次回折光ビームを受信光
ビームとした光モジュールで、上記ア.イ.の必要条件
を実現する有効な一手段として、格子溝の鋸歯状化があ
る。これは、図5に示すように格子溝の断面形状を非対
称な台形または三角形(すなわち、W/Pが0.5以
下)にし、あたかも鋸歯を並べたような断面を持つ格子
溝にする手法である。格子溝をこのような形状にする
と、格子による回折作用と傾斜した格子溝側面での光ビ
ームの屈折作用が相互作用し、結果的に+1次回折光ビ
ームと−1次回折光ビームの回折効率にアンバランスを
発生させることができる。すなわち矩形溝での回折効率
に比べ、+1次回折光ビームの回折効率をより高く、−
1次回折光ビームの回折効率を逆に低くすることができ
る。したがって、この現象を利用して、0次回折光ビー
ムの回折効率を減少させること無く、+1次回折光ビー
ムの回折効率を大幅に向上させることができる。
【0032】図6および図7は、このような鋸歯状の格
子溝を設けた回折格子の格子溝深さdと+1次回折光ビ
ームの回折効率との関係を示した線図である。なお、波
長、基板の屈折率などは図4と同一の条件で計算した。
また、図6はW/P=0.25すなわち台形の格子溝の
場合で、図7はW/P=0.0すなわち三角形の格子溝
の場合である。図から明らかなように、いずれの場合も
上記ア.イ.の必要条件を満たす格子溝深さが存在し、
実用上十分な回折効率が得られる。
【0033】なお、さらに詳しい検討の結果、図5のよ
うに鋸歯状化した回折格子を用いた場合、上記ア.イ.
の必要条件を満たすためには、少なくとも溝深さdが次
式の関係を満足する必要があることが明らかになった。
すなわち、 d≧0.3λ/(n0−n1) (1) ただし、λは回折光ビームの波長、n0は前記回折格子
を構成する基板部材のの屈折率、n1は該回折格子に接
する周囲の媒体の屈折率。
【0034】例えば図6および図7で計算したような鋸
歯状化回折格子の場合は、波長λ=1.3μm,n0
1.52,n1=1.0(空気中)なので、上記(1)
式から少なくとも溝深さdは、0.75μm以上必要で
ある。
【0035】以上述べたように、回折格子の格子溝を鋸
歯状化し、かつ少なくとも上記(1)式の関係を満たす
ように格子溝深さdを設定することにより、0次および
+1次回折光ビームの回折効率を十分確保し、送信光ビ
ームおよび受信光ビームの両方について実用的な光利用
効率を得ることができる。さらに、このように鋸歯状化
した回折格子を用いると、送信光ビームや受信光ビーム
としては用いられず迷光になってしまう−1次回折光ビ
ームの光量を減じる効果があるので、結果的に後述する
ような迷光による光学的クロストークを減少させること
ができる。
【0036】次に、回折格子を用いた光モジュールの光
学的クロストークの低減手段について述べる。図1の実
施例で述べたように、本発明の光モジュールでは受信時
と同様送信時においても、発光素子1から発した光ビー
ム100が回折格子6によって回折され、3本の光ビー
ムを発生する。このうち0次回折光ビームのみが送信光
ビーム104として光ファイバー4の端面5に達し、残
りの回折光は、光モジュールのホルダー内面などを反射
して、迷光となってしまう。また、光ファイバー端面5
に達した送信光ビーム104の一部も光ファイバー4内
へ向かわず、端面5を反射して迷光になってしまう。こ
れらの迷光は光モジュール内を逆行し、回折格子6を経
て受光素子7に入射する可能性がある。このような状態
が起こると、送信信号として他の光モジュールに伝送さ
れる信号が受信されてしまい、これが本来の受信信号に
対する光学的クロストークとなって、受信性能が損なわ
れるという問題が生じる。そこでこのような迷光を受光
素子に入射させず、光学的クロストークを低減する手段
が必要である。
【0037】図8は、本発明の他の一実施例を示した図
で、発明に関係する光モジュール主要部を概略的に描い
た断面図である。なお図1の実施例と同一の部品には、
同一の番号を付した。
【0038】本実施例は、上記した光学的クロストーク
低減手段に関する実施例を示している。すなわち、送信
時に発光素子1を発した光ビーム100は、回折格子6
によって0次回折光ビーム101、+1次回折光ビーム
102および−1次回折光ビーム103に分離される。
このうち、+1次回折光ビーム102および−1次回折
光ビーム103は、レンズ3透過後に光ビーム202お
よび光ビーム203となって、光モジュールのホルダー
14の内面15および16に入射する。この時ホルダー
内面15および16は、その各面法線が各面に入射する
光ビーム202および203の光軸に対して非平行にな
るように設置されている。(図8の例では、所定角度α
およびβだけ傾斜している。)このようにすると、各面
を反射した光ビーム212および213は、それぞれ入
射光ビーム202,203とは、異なる方向に進行す
る。このため、再度レンズ3を経て回折格子6に入射し
ても、その回折光ビームは受光素子7に向かう方向とは
異なる方向に進み、受光素子7には入射しない。同様に
光ファイバー端面5も、そこに入射する送信光ビーム1
04の光軸に対して傾斜している。すなわち、端面5の
面法線も送信光ビーム104の光軸に対して非平行(図
8の例では、所定角度γだけ傾斜している。)にするこ
とにより、端面5を反射した光ビーム114を送信光ビ
ーム104と異なる方向に進行させ、やはり受光素子7
に入射させないようにしている。特に図8に示すよう
に、反射光ビーム114が受光素子7に向かう方向に対
して逆向きに偏向するように端面5を傾斜させると、よ
り効果的に迷光の影響を除去できる。
【0039】このように送信時に各回折光ビームが入射
する光モジュールのホルダー内面や光ファイバー端面
を、入射光軸に対して傾斜させることにより、受光面に
入射する迷光を除去し、光学的クロストークを低減する
ことができる。
【0040】また、このホルダー内面や光ファイバー端
面を傾斜させるのと同様、各面の光強度反射率を低減す
ることによっても、迷光の影響を低減することができ
る。例えば図1に示すような構成の光モジュールにおい
て、上記各反射面の光強度反射率を10%以下にする
と、これらを反射した迷光が全て入射光路と同じ光路を
逆に進行した場合(この場合が、受光素子に入射する迷
光が最も大きくなる。)においても、受光素子に入射す
る迷光の光量を発光素子1の光出力の約2%程度以下に
でき、十分な迷光低減効果がある。なお、このように反
射面の光強度反射率を低減する手段としては、各光ビー
ムの波長に対する光強度反射率が低い酸化膜などを塗布
する手法が一般的である。
【0041】さらに、上記した各回折光ビーム入射面の
傾斜手段やその光強度反射率低減手段は、送信時に各回
折光ビームが入射する光モジュールのホルダー内面1
5,16や光ファイバー端面5に限定されるものではな
く、パッケージ12および発光素子や受光素子が取り付
けられているサブマウント11やステム10の各面ある
いは受光素子7,8の検出面についても、同様の手段が
適用できる。
【0042】図9は、本発明の他の一実施例を示した図
で、本発明の光モジュールを用いた光伝送装置の主要部
を描いた概略断面図およびブロック図である。なお、図
1および図8の実施例と同一の部品には、同一の番号を
付した。
【0043】まず信号受信時には、受光素子7の検出面
上に集光された光ビーム108から所定の受信電流が光
電変換され、送・受信装置60内に設けられた電流−電
圧変換器50a、波形整形器51、復調器52を経て、
受信信号が得られる。
【0044】一方、信号送信時には、まず送信信号が変
調器53に送られ、送信信号によって所定の変調がかけ
られた半導体レーザ駆動信号が出力される。さらにこの
半導体レーザ駆動信号は半導体レーザ駆動装置54に送
られ、この駆動信号に対応した半導体レーザ駆動電流が
半導体レーザ1に供給される。その結果、半導体レーザ
1は、所定の変調がかかった光出力で光ビームを発す
る。
【0045】なお、半導体レーザ駆動装置54には、受
光素子8からの出力信号が電流−電圧変換器50bを経
て入力し、半導体レーザの1の発光出力をフィードバッ
ク制御している。
【0046】また、復調器52および半導体レーザ駆動
装置54には制御装置55が接続され、受信と送信のタ
イミングなどが制御されている。
【0047】以上述べたような光モジュールと送・受信
装置を組み合わせにより、実用的な光伝送装置を実現す
ることができる。
【0048】なお、本発明の光伝送装置は、図9に示し
た実施例に限定されるものではなく、例えば発光素子と
して発光ダイオードなどを用いた光モジュールや、送信
光と受信光の波長が異なる光モジュールを用いた光伝送
装置などにも当然当てはまる。すなわち、本発明の各光
学的手段を用いた光モジュールと所定の送・受信装置を
備えた光伝送装置であればどのような構成でも良い。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明を用いると、
回折格子を用いた双方向光伝送用モジュールの光利用効
率を従来の光モジュールと同等以上の実用的な効率にで
き、さらに光学的クロストークを低減できる。したがっ
て、小型、低コストの双方向光伝送用モジュールの実用
化に大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示した概略断面図であ
る。
【図2】本発明で用いられる回折格子の格子溝軌跡の一
例を示した概略平面図である。
【図3】本発明で用いられる回折格子の格子溝形状の一
例を示した第1の斜視図である。
【図4】本発明の主要部を説明するために回折格子の特
性を示した第1の線図である。
【図5】本発明で用いられる回折格子の格子溝形状の一
例を示した第2の斜視図である。
【図6】本発明の主要部を説明するために回折格子の特
性を示した第2の線図である。
【図7】本発明の主要部を説明するために回折格子の特
性を示した第3の線図である。
【図8】本発明の第2の実施例の主要部を示した概略断
面図である。
【図9】本発明の第3の実施例の主要部を示した概略断
面図およびブロック図である。
【符号の説明】
1…発光素子、 2…カバーガラス、 3…レンズ、 4…光ファイバー、 6…回折格子、 7…受光素子、 20…格子溝。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発光素子および受光素子と、前記発光素子
    を発した光ビームを所定の光伝送路に導く光学素子と、
    所定軌跡の格子溝からなる回折格子とを具備した光伝送
    モジュールにおいて、前記回折格子は、前記光伝送路を
    発した後、該回折格子によって回折されて前記受光素子
    に入射する第1の回折光ビームの回折効率が、前記発光
    素子を発した後、前記回折格子によって回折されて前記
    光伝送路に入射する第2の回折光ビームの回折効率に対
    して、同一または、より高い効率を有していることを特
    徴とする光伝送モジュール。
  2. 【請求項2】発光素子および受光素子と、前記発光素子
    を発した光ビームを所定の光伝送路に導く光学素子と、
    所定軌跡の格子溝からなる回折格子とを具備した光伝送
    モジュールにおいて、前記回折格子は、前記光伝送路を
    発した後、該回折格子によって回折されて前記受光素子
    に入射する第1の回折光ビームの回折効率が、少なくと
    も40%以上であることを特徴とする光伝送モジュー
    ル。
  3. 【請求項3】前記回折格子の格子溝は略鋸歯状の断面形
    状を有し、かつその格子溝深さdが、前記第1の回折光
    ビームの波長λに対して、次式 d≧0.3λ/(n0−n1) ただし、n0は前記回折格子を構成する部材のの屈折
    率、n1は該回折格子に接する周囲の媒体の屈折率、の
    関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の光
    伝送モジュール。
  4. 【請求項4】発光素子および受光素子と、前記発光素子
    を発した光ビームを所定の光伝送路に導く光学素子と、
    所定軌跡の格子溝からなる回折格子とを所定の筐体内に
    配置した光伝送モジュールにおいて、前記回折格子を回
    折した各回折光ビームが入射する前記光伝送路の端面ま
    たは前記筐体の内面が、該各面に入射する前記各回折光
    ビームの光軸に対して非平行の面法線を有することを特
    徴とする光伝送モジュール。
  5. 【請求項5】発光素子および受光素子と、前記発光素子
    を発した所定波長の光ビームを所定の光伝送路に導く光
    学素子と、所定軌跡の格子溝からなる回折格子とを所定
    の筐体内に配置した光伝送モジュールにおいて、前記波
    長の光ビームに対する前記筐体内面の一部または全部の
    光強度反射率が、10%以下であることを特徴とする光
    伝送モジュール。
  6. 【請求項6】請求項1,2,3,4又は5記載の光伝送
    モジュールを搭載したことを特徴とする光伝送装置。
JP4671294A 1993-10-07 1994-03-17 光伝送モジュールおよびそれを用いた光伝送装置 Pending JPH07261054A (ja)

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