JPH07260866A - 送電線の故障区間評定方法及び電力設備の故障機器評定方法 - Google Patents

送電線の故障区間評定方法及び電力設備の故障機器評定方法

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JPH07260866A
JPH07260866A JP4696694A JP4696694A JPH07260866A JP H07260866 A JPH07260866 A JP H07260866A JP 4696694 A JP4696694 A JP 4696694A JP 4696694 A JP4696694 A JP 4696694A JP H07260866 A JPH07260866 A JP H07260866A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 波形比較のための時間同期が容易な送電線の
故障区間評定方法及び電力設備の故障機器評定方法を提
供する。 【構成】 送電線の架空地線2に沿った複数の観測点で
架空地線に流れる誘導電流の特異変化を検出し、各観測
点毎に誘導電流が特異変化したときを起点tTA,tTB
して誘導電流IA ,IB の波形を観測し、架空地線2に
沿ってこれらの観測波形の違いを調べ、観測波形の違い
が顕著になっている観測点間を故障区間とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、送電線や電力設備内機
器で故障が発生している場所を、送電方向に分布する誘
導電流の波形を比較して評定する方法に係り、特に、波
形比較のための時間同期が容易な送電線の故障区間評定
方法及び電力設備の故障機器評定方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】送電線の故障時には架空地線に大きな誘
導電流が流れる。この誘導電流を検出することにより故
障の発生を知ることができる。送電線に沿って多点で誘
導電流を検出すれば、各点での検出電流を比較して故障
発生位置を隣接し合う検出点間の範囲に特定することが
できる。これを故障区間評定という。図5は送電線の分
岐部を示しており、電源側a、負荷側b、分岐側cの架
空地線GWに電流センサである変流器CTを設けて、お
のおの誘導電流を検出するようになっている。分岐部の
鉄塔dと負荷側bの鉄塔eとの間で故障が発生し故障電
流iが流れたとき、変流器CTで検出される誘導電流は
図6のようになる。このように場所によって誘導電流が
異なっている。
【0003】従来の故障区間評定方法には、各点での検
出電流の電流値の大小関係から評定を行う方法がある。
例えば、図7に示されるように、鉄塔71毎に送電線7
2からの故障電流iによる架空地線の誘導電流を検出
し、その電流値の分布73から、最も電流値の大きい鉄
塔を含む区間を故障区間とする。しかし、送電線の利用
形態や故障の内容によっては、電流値の大小差が明確に
現れないことがあり、その場合、故障区間の評定ができ
ない。
【0004】これに対し、誘導電流の位相を比較して評
定する方法がある。これは誘導電流が故障地点を境にし
て両側で位相が逆転するという特性を利用したものであ
る。即ち、図8に示されるように、両電源の3相送電系
統において、送電線81に故障が発生すると、故障電流
iはその故障地点を挟む両側A,Bの送電線81からi
A ,iB のように反対向きに流れ、これらは互いに位相
が約180°ずれる。従って、架空地線82に誘導され
る電流IA ,IB も互いに位相が約180°ずれる。
【0005】位相を比較するためには各観測点で時間同
期して誘導電流を検出することが必要であるから、光伝
送等の高速伝送を用いたり、高精度(0.1msecオ
ーダー)の基準時計を各観測点に配したりして時間同期
を図っている。例えば、各観測点に電流センサを設けて
誘導電流の波形を観測し、その観測波形のデータを光フ
ァイバを介して一か所に収集する。この場合、各観測点
までの距離にある程度の差があってもデータ伝送が十分
高速であるので、各観測点からほぼ同時に観測波形が収
集でき、実用上問題ない範囲で時間同期がとれ、位相を
比較することができる。また、時間同期をとるため、各
観測点に上記基準時計を置き、観測波形のデータに時刻
データを付加して収集することも考えられる。この場
合、データ伝送帯域が低速であるためにリアルタイムで
の観測波形が得られないときでも、収集した各観測点の
時刻データを用いて時間同期をとり、位相を比較するこ
とができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数観
測点間のデータの時間同期をとるために行う観測波形デ
ータの高速伝送はコストが高くついてしまうといった問
題がある。また、基準時計を各観測点に配する方法によ
る場合においても、基準時計に0.1msecオーダー
の高精度が必要なため、装置が高価になってしまい、ま
た時刻データに合わせて各観測波形のデータの時間同期
をとる過程が必要なため、評定に時間を要するといった
問題がある。
【0007】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、波形比較のための時間同期が容易な送電線の故障区
間評定方法及び電力設備の故障機器評定方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、送電線の架空地線に沿った複数の観測点で
架空地線に流れる誘導電流の特異変化を検出し、各観測
点毎に誘導電流が特異変化したときを起点として誘導電
流の波形を観測し、架空地線に沿ってこれらの観測波形
の違いを調べ、観測波形の違いが顕著になっている観測
点間を故障区間とするものである。
【0009】各観測点毎に誘導電流が特異変化したとき
を基準として誘導電流の位相を求め、位相が反転してい
る観測点間を故障区間としてもよい。
【0010】2つの観測点の観測波形の形態的相違を数
値化し、この数値の大きい観測点間を故障区間としても
よい。
【0011】また、上記送電線を対象とする技術を利用
し、変電所等の電力設備を構成する各機器を順に地線で
結び、この地線に沿った複数の観測点で地線に流れる誘
導電流の特異変化を検出し、各観測点毎に誘導電流が特
異変化したときを起点として誘導電流の波形を観測し、
地線に沿って観測波形の違いを調べ、観測波形の違いが
顕著になっている観測点間の機器を故障機器とするもの
である。
【0012】
【作用】送電線に故障のないときでも架空地線に微弱の
誘導電流が流れるので、各観測点で、常時、誘導電流を
検出することができる。故障が発生すると、故障による
誘導電流が流れるので、誘導電流の変化が大きく現れ
る。各観測点で、この誘導電流の特異変化を検出し、誘
導電流が特異変化したときを起点として誘導電流の波形
を観測する。誘導電流の特異変化は、全観測点において
故障の発生と同時に起きるので、観測波形は全て起点が
同時となる。従って、高速伝送を行わなくても、時刻デ
ータを付加しなくても、時間同期をとって各観測波形を
比較することができる。誘導電流は故障地点を境にして
両側で位相が逆転しているので、故障地点の両側におけ
る同時点の観測波形には相違が生じるが、同じ側の観測
波形には大きな相違がない。架空地線に沿って観測波形
の違いを調べると、観測波形の違いが顕著になっている
観測点間を見出だすことができる。この観測点間が故障
区間である。
【0013】観測波形の違いを位相の違いで調べること
ができる。そして、従来のように位相が反転している観
測点間を故障区間としてもよい。この場合、本発明の構
成では、上記のように、各観測波形は全て起点が同時と
なるから、この起点を基準として直ちに位相を求めるこ
とができる。各観測点で位相を求め、この位相をデータ
として収集すると、観測波形をデータとして収集するよ
りもデータ伝送量が少なくてよい。
【0014】各観測波形の違いは位相の違い以外からも
調べることができる。観測波形から位相を抽出するには
FFT(高速フーリエ変換)等の高度の手法を必要とす
るので、位相を用いないで観測波形の違いを調べること
は有効である。通常、目視による波形比較は、形態的な
比較である。そこで、この目視による波形比較と同様の
結果を得るために、波形の形態的相違を数値化する。た
だし、同時に多数の観測点において相互に形態的な波形
比較を行うのは困難であるから、例えば隣接し合う2つ
の観測点同士で波形比較を行う。形態的な比較のため
に、例えば、同時点での波形の傾き、電流値の正負、或
いは同時間幅での波形面積(電流積分値)を比較して形
態的相違の数値とする。波形が類似していれば、形態的
相違の数値は小さい。波形の違いが顕著であれば、形態
的相違の数値は大きい。従って、2つの観測点毎の形態
的相違の数値を比較し、この数値の大きい観測点間を故
障区間とすることができる。
【0015】上記送電線を対象とする技術を利用し、変
電所等の電力設備において故障機器を評定することがで
きる。この場合、送電線における架空地線の代用として
各機器を順に地線で結び、故障の際に地線に誘導電流が
流れるようにする。以下は、送電線の場合と同様に、こ
の地線に沿った複数の観測点で地線に流れる誘導電流の
特異変化を検出し、各観測点毎に誘導電流が特異変化し
たときを起点として誘導電流の波形を観測し、地線に沿
ってこれらの観測波形の違いを調べ、観測波形の違いが
顕著になっている観測点間の機器を故障機器とする。
【0016】
【実施例】以下本発明の一実施例を添付図面に基づいて
詳述する。
【0017】まず、装置構成を説明する。図2には、送
電線を支持するための鉄塔1が示されている。送電線は
図示省略されている。架空地線2は鉄塔1の最上部に設
けられている。架空地線2に流れる誘導電流を検出する
検出部3が、架空地線2に取り付けられている。このよ
うにして送電線に沿った各鉄塔1に観測点が設けられて
いる。鉄塔1の下部には検出部3に対し光ファイバケー
ブル4で結ばれた評定部5が設けられている。
【0018】なお、図2の鉄塔1は分岐鉄塔であるた
め、架空地線2が3本に別れている。検出部3は各架空
地線2にそれぞれ設けられている。即ち、この鉄塔1に
は鉄塔1を挟んで3つの観測点があり、3つの観測波形
を評定部5で処理することができる。検出部3及び評定
部5の詳細が鉄塔1の脇に図示されている。
【0019】検出部3には、誘導電流を検出するセンサ
として変流器(CT)6が使用され、各変流器6が架空
地線2に装着されている。各変流器6は光データ多重伝
送装置7に接続されており、光データ多重伝送装置7
は、変流器6のアナログ出力をデジタル変換するA/D
変換器、そのデジタルデータを光信号に変換しかつ多重
化して送信するE/O、及び太陽電池から構成されてい
る。
【0020】評定部5は、中央処理装置(CPU)8、
検出部からの通信を受信するO/E9、誘導電流の変化
の検出条件を設定するトリガ設定スイッチ10、サンプ
リング波形を記憶する波形メモリ11、太陽電池12、
液晶表示器を用いた表示装置13、プリンタ14、通常
精度の時計15、RS232C等の規格を有する通信イ
ンタフェース16、図示されない外部伝送用コネクタか
ら構成されている。送電線に沿った各鉄塔1の評定部5
は、通信インタフェース16を介し、送電線を広い範囲
で監視する監視装置(図示せず)にデータ伝送が可能で
ある。
【0021】次に、故障区間評定方法を説明する。
【0022】各観測点において、変流器6は架空地線2
に流れる誘導電流を、常時、検出している。その出力は
光データ多重伝送装置7によって所定のサンプル時間で
デジタル化され、光ファイバケーブル4を介して評定部
5に伝送される。検出データを受け取った評定部5で
は、波形メモリ11が商用周波数の数サイクルに相当す
る所定サンプル個数までの検出データを、順次、更新し
ながら記憶する。波形メモリ11の記憶内容は誘導電流
の最近の数サイクルの波形データとなる。一方、CPU
8は毎回の検出データを予めトリガ設定スイッチ10で
設定されたトリガレベルと比較する。トリガレベルは絶
対値で設定され、正負どちらでも有効である。従って、
検出データが正のトリガレベルを上回ったとき、負のト
リガレベルを下回ったときのいずれでもトリガを発生さ
せる。トリガが発生すると波形メモリ11は、その前後
数サイクルの波形データを記憶保持する。このように、
本実施例においては、誘導電流の絶対値が予め設定した
所定値を越えたことをもって誘導電流の特異変化を捕ら
え、そのトリガ発生の前後の観測波形を得るようになっ
ている。
【0023】図1(a)、図1(b)に、送電線に沿っ
た異なる観測点A,Bにおける観測波形の一部が示され
ている。両波形とも、顕著に大きな誘導電流が急激に発
生しており、そのためにトリガが発生している。それぞ
れのトリガレベルTrは等しく、観測点Aでは+Tr、
観測点Bでは−Trによってトリガが発生し、それぞれ
トリガ発生の前後の数サイクルの観測波形が得られてい
る。両波形の振幅は必ずしも等しくはないので、トリガ
レベルTrがあまり大きいと故障発生からトリガ発生ま
での時間が観測点A,Bで多少ずれるが、トリガレベル
Trを故障のないときの誘導電流には感知しない程度
に、かつ十分に小さく設定することで、故障発生からト
リガ発生までの時間を観測点A,Bで実用上問題ない範
囲でほぼ一致させることができる。両観測波形は、それ
ぞれのトリガ発生を起点として波形メモリ11に記憶保
持したものであるが、故障発生からトリガ発生までの時
間が実用上問題ない範囲でほぼ一致しているので同時の
観測波形となっている。従って、特別な処理を行うまで
もなく時間同期が取れており、爾後の波形比較にそのま
ま使用できる。
【0024】また、図9に示すように、観測点A,Bで
の両波形の振幅が著しく異なる時は、EMTP(汎用過
渡現象解析プログラム)による計算結果等を利用してそ
れらの振幅の比と、トリガレベルTA ,TB の比を揃え
ることにより、観測点A,Bでの故障発生からトリガ発
生までの時間差(tTA−tTB)を減少させることができ
る。
【0025】なお、図1(a)、図1(b)は、故障発
生の時点をグラフの原点にとって描かれており、トリガ
発生による起点はtTA,tTBで示されている。
【0026】図示されるように、故障発生の直後は波形
の乱れが生じているので、これを避け1サイクル以上後
の安定波形を比較するとよい。或いはフィルタにより商
用周波数以外の成分を取り除いてもよい。また、両者の
方法を併用してもよい。図示されるように、起点tTA
TBから1サイクル後の基準点tA とtB とで両観測波
形を見ると、波形の違いは顕著である。図示しなかった
が、他の観測点の観測波形は観測点A又はBいずれかの
観測波形に類似している。従って、観測点AとBとの間
に故障発生地点があることが判り、故障区間が評定され
たことになる。図2の構成の場合、1つの鉄塔1の評定
部5に属する複数の観測点によって評定を行うことによ
り、当該鉄塔1が故障かどうかを自己評定することがで
き、その結果を鉄塔1毎に現地表示することができる。
また、各鉄塔1の評定部5は、通信インタフェース16
を介して観測波形を監視装置に送信し、監視装置は、送
電線に沿って分布する観測波形から違いが顕著な観測点
間を探すことにより、全送電線のどこでも隣接する観測
点に挟まれた故障区間を評定することができる。もちろ
ん、通信インタフェース16の伝送速度が低速であって
も、監視装置が収集した各波形データは時間同期がとれ
ているので、波形の違いを調べることには支障がない。
【0027】観測波形の違いを位相の違いで調べる方法
を説明する。
【0028】CPU8は、起点より1サイクル後の波形
を用い、まず、ソフトウェアフィルタを実行して商用周
波数を中心とする帯域濾波を行う。次いで、FFT演算
プログラムを実行することにより、基準点tA ,tB
基準とした位相を求める。
【0029】各誘導電流をIA ,IB とすると、 IA =IAMsin(2πft+θA ) IB =IBMsin(2πft+θB ) ただし、 IAM,IBM;振幅 θA ,θB ;位相 f;商用周波数 となる。
【0030】この位相θA ,θB は、起点tTA,tTB
基準としたものと等価である。次いで、2つの観測点で
位相反転しているかどうかを調べる。位相反転していれ
ば、その観測点間が故障区間である。この場合も、1つ
の鉄塔1の評定部5に属する複数の観測点によって、当
該鉄塔1が故障かどうかを自己評定することができ、一
方、監視装置に各観測点の位相データを収集し全体的に
故障区間を評定することができる。
【0031】図3は、両電源高抵抗接地系統の送電線の
設備を対象に本発明を実施した結果を示すものであり、
架空地線に沿った電流値分布及び位相分布のグラフであ
る。送電線にはグラフの横軸に図示されたように50の
鉄塔があり、並び順に1番目と50番目が電源側となっ
ている。観測点は鉄塔毎に設けられている。25番目の
鉄塔が故障鉄塔である。実線は短絡故障のときの誘導電
流の電流値分布と地絡故障のときの誘導電流の電流値分
布とを示している。破線は両方のときの位相分布を示し
ている。グラフによれば、位相は故障地点を境にして両
側で略逆転しており、電流値の変化よりも際立ってい
る。従って、位相の違いを調べることにより、容易に故
障区間を評定することができる。
【0032】図4は、片電源高抵抗接地系統の送電線の
設備を対象に本発明を実施した結果を示すものである。
送電線にはグラフの横軸に図示されたように50の鉄塔
があり、並び順に1番目が電源側となっている。観測点
は鉄塔毎に設けられている。25番目の鉄塔が故障鉄塔
である。実線は短絡故障のときの誘導電流の電流値分布
と地絡故障のときの誘導電流の電流値分布とを示してい
る。破線はそれぞれのときの位相分布を示している。地
絡故障の場合、位相は故障地点を境にして両側で略逆転
しており、位相の違いを調べることにより、容易に故障
区間を評定することができる。
【0033】他の実施例を説明する。
【0034】観測波形の違いは位相の違い以外からも調
べることができる。観測波形から位相を抽出するにはF
FT(高速フーリエ変換)等の高度の手法を必要とする
ので、位相を用いないで観測波形の違いを調べることは
有効である。通常、目視による波形比較は、形態的な比
較である。そこで、この目視による波形比較と同様の結
果を得るために、波形の形態的相違を数値化する。ただ
し、同時に多数の観測点において相互に形態的な波形比
較を行うのは困難であるから、例えば隣接し合う2つの
観測点同士で波形比較を行う。形態的な比較のために、
例えば、同時点での波形の傾き、電流値の正負、或いは
同時間幅での波形面積(電流積分値)を比較して形態的
相違の数値とする。図1において、観測点A,Bの観測
波形から、基準点tA ,tB での波形の傾き、電流値の
正負が得られる。また、基準点tA ,tB から半サイク
ルの面積(電流積分値)を求める。図示されるように、
各面積は、SA =SA+−SA-、SB =SB+−SB-であ
る。波形が類似していれば、形態的相違の数値は小さ
い。図1のように波形がほぼ逆転している場合、波形の
傾き、電流値の正負、波形面積のいずれもが相違してお
り、形態的相違の数値は大きい。従って、2つの観測点
毎の形態的相違の数値を比較し、この数値の大きい観測
点間を故障区間とすることができる。
【0035】上記実施例は、誘導電流の特異変化を検知
するために、トリガレベルを設定し、電流値の特異変化
をとらえるようにしたが、波形から故障発生の特徴を示
す特異点を抽出する方法もある。図1に示されるよう
に、故障発生の時点であるグラフの原点は、振幅や極性
が大きく変化する不連続点tXA,tXBを形成している。
波形メモリ11の波形データに対し、移動平均やズレ検
出を行って不連続点を検出する。サンプル時間を1ms
ecとした場合、3〜5サンプル毎の電流値の移動平均
を求めると、振幅が急激に大きくなるところでは移動平
均が急に変化する。この急変化が起きた点を特異点とし
て抽出する。また、波形データの周期を求めると、その
波形周期がズレた点が特異点として抽出される。このよ
うにして検出した特異点を起点として前後の波形データ
を記憶保持し、波形比較する。
【0036】また、上記実施例は、観測波形の違いを調
べるために、位相、形態的相違を数値化し数値比較を行
ったが、AI技術を応用し、直接的に観測波形やその分
布から観測波形の違いが顕著になっている観測点間を求
めてもよい。
【0037】上記送電線を対象とする技術を利用し、変
電所等の電力設備において故障機器を評定することがで
きる。この場合、送電線における架空地線の代用として
各機器を順に地線で結び、故障の際に地線に誘導電流が
流れるようにする。以下は、送電線の場合と同様に、こ
の地線に沿った複数の観測点で地線に流れる誘導電流の
特異変化を検出し、各観測点毎に誘導電流が特異変化し
たときを起点として誘導電流の波形を観測し、地線に沿
って観測波形の違いを調べ、観測波形の違いが顕著にな
っている観測点間の機器を故障機器とする。
【0038】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0039】(1)誘導電流が特異変化したときを起点
として誘導電流の波形を観測しているので、波形比較の
ための時間同期が容易になり、装置構成が簡素化され
る。
【0040】(2)時間同期のための特別の装置が必要
ないので、電流センサを有する従来の装置ハードウェア
を使用して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による誘導電流の観測波形の波形図であ
る。
【図2】本発明を実施するための装置構成を示す構成図
である。
【図3】本発明による架空地線に沿った誘導電流の電流
分布及び位相分布のグラフである。
【図4】本発明による送電線に沿った誘導電流の電流分
布及び位相分布のグラフである。
【図5】送電線の一部を示した斜視図である。
【図6】送電線の各点における誘導電流の波形の波形図
である。
【図7】送電線に沿った故障電流の方向の分布と誘導電
流の電流分布とを示す分布図である。
【図8】故障電流の方向と誘導電流の方向とを示す図で
ある。
【図9】振幅が著しく異なる場合のトリガレベル設定方
法を示すグラフである。
【符号の説明】
2 架空地線 3 検出部 5 評定部 tTA,tTB 起点 tA ,tB 基準点

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送電線の架空地線に沿った複数の観測点
    で架空地線に流れる誘導電流の特異変化を検出し、各観
    測点毎に誘導電流が特異変化したときを起点として誘導
    電流の波形を観測し、架空地線に沿ってこれらの観測波
    形の違いを調べ、観測波形の違いが顕著になっている観
    測点間を故障区間とすることを特徴とする送電線の故障
    区間評定方法。
  2. 【請求項2】 各観測点毎に誘導電流が特異変化したと
    きを基準として誘導電流の位相を求め、位相が反転して
    いる観測点間を故障区間とすることを特徴とする請求項
    1記載の送電線の故障区間評定方法。
  3. 【請求項3】 2つの観測点の観測波形の形態的相違を
    数値化し、この数値の大きい観測点間を故障区間とする
    ことを特徴とする請求項1記載の送電線の故障区間評定
    方法。
  4. 【請求項4】 変電所等の電力設備を構成する各機器を
    順に地線で結び、この地線に沿った複数の観測点で地線
    に流れる誘導電流の特異変化を検出し、各観測点毎に誘
    導電流が特異変化したときを起点として誘導電流の波形
    を観測し、地線に沿ってこれらの観測波形の違いを調
    べ、観測波形の違いが顕著になっている観測点間の機器
    を故障機器とすることを特徴とする電力設備の故障機器
    評定方法。
JP04696694A 1994-03-17 1994-03-17 送電線の故障区間標定方法及び電力設備の故障機器標定方法 Expired - Fee Related JP3198782B2 (ja)

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