JPH0725881B2 - 末端不飽和基を有する芳香族ポリアミドオリゴマー及びその製造方法 - Google Patents

末端不飽和基を有する芳香族ポリアミドオリゴマー及びその製造方法

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JPH0725881B2
JPH0725881B2 JP1158022A JP15802289A JPH0725881B2 JP H0725881 B2 JPH0725881 B2 JP H0725881B2 JP 1158022 A JP1158022 A JP 1158022A JP 15802289 A JP15802289 A JP 15802289A JP H0725881 B2 JPH0725881 B2 JP H0725881B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は耐熱性合成樹脂、特に熱硬化性を付与した耐熱
性芳香族ポリアミドとして有用なオリゴマー及びその製
造方法に関する。
[従来の技術] プラスチック工業の需要が高度化するにつれて、特殊な
物質を持つ工業素材が必要とされるようになり、この傾
向は産業部門の高度化と相まって急速に展開しつつあ
る。
耐熱性向上の要求は、プラスチック、フィルム、繊維、
ラミネート、積層板、接着剤等耐熱性を要求される分野
の工業材料に耐熱性を付与し、市場を拡大すること及び
新しい機能をもって広範な新しい分野への進出を計るた
めでもある。
このような要求に対し、芳香族ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド等エンジ
ニヤリングプラスチックと呼ばれる一群の合成樹脂が既
に開発され、従来の合成樹脂とは異なった新規な機能を
有するプラスチックとして工業生産され、新しい需要分
野を開拓しつつあり、アラミドの名称で知られている芳
香族ポリアミドはその中の一つである。
芳香族ポリアミドとしては、デュ・ポン社で開発された
ポリパラフェニレンテレフタルアミド(商品名:ケプラ
ー)、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(商品名:
ノーメックス又はHT−1)はその代表的なタイプであ
る。
これらのポリアミド類は、そのすべてが熱可塑性合成樹
脂に分類されるもので、オリゴマーを熱硬化させるタイ
プのポリアミド類は未だ見出されていなかった。
このため、通常の熱可塑性合成樹脂に比して高融点を有
するとは言え、温度の上昇に伴い、硬度、強度等の低下
は避けられず、軟化点以上での使用は事実上不可能であ
った。
熱硬化性の芳香族ポリアミドがなかった理由としては、
一般的に融点が従来の熱可塑性合成樹脂に比して充分高
かったこと、また不飽和結合の導入は成形工程中に好ま
しからざるゲル涸を惹起する危険が多いと判断されてい
たためと考える。
[発明が解決しようとする課題] 芳香族ポリアミドは、かなりの高温においても比較的安
定であり、電気特性、機械的強度も優れており、化学的
安定性も高く優れた耐熱性高分子である。
本発明はこれらの性質を失わずに、更に高温における機
械的強度、化学的安定性を高めることを目的としたもの
である。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは成形材料として、あるいは積層板として成
形加工する場合に、比較的融点が低く、加熱、加圧下で
所望の形状に成形可能であり、しかも比較的緩和な条件
で硬化でき、硬化後充分な耐熱性、機械的強度および化
学的安定性等を有する芳香族ポリアミドを得るために、
ラジカル重合可能なビニル基またはイソプロペニル基置
換アニリン、芳香族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸
ジハライドをハロゲン化水素受容体の存在下で反応させ
て一般式 で表わされる末端不飽和基を有する不飽和ポリアミドオ
リゴマーを得、このものはラジカル発生触媒の存在下で
硬化可能であり、この硬化した芳香族ポリアミドは前記
の優れた性質を有することを見出し、本発明を完了する
に至った。
本発明の末端不飽和基を有する芳香族ポリアミドオリゴ
マーは、一例として次の反応式によって示すことができ
る。
反応を円滑に進行させるために、副生する塩化水素の受
容体が必要であって、一般的には第3級アミン又は苛性
アルカリの使用が便利である。
この場合のnは1から15、好ましくは3ないし7程度の
値が成形性の容易さから有利であり、この段階での高分
子化は特に必要でない。この反応は一般にアミン類を水
相に、酸クロライドを水に溶解しない不活性有機溶媒に
混合して、界面重縮合反応を行なうか、あるいは両者を
不活性有機溶媒に溶解し、低温で縮合させる低温溶液重
縮合反応により行なうことができる。
本発明に使用できる芳香族ジアミンとしては、例えばメ
タフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメ
タン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジ
メチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジ
アミノジフェニルエーエル、3,4′−ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,
4′−ジアミノジフェニルスルホン、ジアニシジン、2,4
−トルイレンジアミン、2,4/2,6−トルイレンジアミン
混合物、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
などが利用可能であり、二種類はそれ以上の混合使用も
可能である。
末端不飽和基を有する芳香族モノアミンとしては、m−
イソプロペニルアニリン、p−イソプロペニルアニリ
ン、o−アミノスチレン、m−アミノスチレン、p−ア
ミノスチレンなどが挙げられるが、末端不飽和ポリアミ
ドオリゴマーを低温で合成可能なこと、生成ポリアミド
オリゴマーの安定性、入手性、価格等の点からm−イソ
プロペニルアニリン、p−イソプロペニルアニリン、p
−アミノスチレンが最も普通に用いられる。なお、この
アミンは遊離のアミンであっても、またハロゲン化水素
酸塩であっても良いが、ハロゲン化水素酸塩の場合は同
時にハロゲン化水素と結合する第3級アミン等の併用が
必要となる。
また、本発明に使用できる芳香族ジカルボン酸ジハライ
ドとしては、芳香族二塩基酸のジクロライドが便利であ
り、例えばテレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジ
クロライド、フタル酸ジクロライドあるいはその混合物
などが代表的である。
実用性から言えば、フタル酸ジクロライドは生成芳香族
ポリアミドの耐熱性が不充分であり、テレフタル酸ジク
ロライドを使用するときは耐熱性は充分であるが、得ら
れる芳香族ポリアミドオリゴマーの融点が高くなって取
扱性が困難になる傾向があり、イソフタル酸ジクロライ
ドが最も良く本発明の目的に合致する。
この合成反応は比較的に化学量論的に反応は進行するの
で、前記[A]式のnを計算した上、必要量の末端不飽
和芳香族モノアミン、芳香族ジアミンおよび芳香族ジカ
ルボン酸ジハライドを反応させればよく、もし精密な調
整を必要とするときは簡単なテストによりそのモル比は
決定できる。
この反応によって得られる芳香族ポリアミドオリゴマー
は既に説明した如く、その組成を容易に選ぶことがで
き、200℃以下の温度で成形可能である。
本発明により合成された不飽和末端基を有する芳香族ポ
リアミドオリゴマーは、熱硬化あるいはラジカル発生触
媒の併用により硬化させることができ、耐熱性を格段に
向上させることが可能となる。
ラジカル発生触媒は制限を加える必要はないが、工業的
にはパーオキサイドタイプが適しており、成形温度が10
0℃以上になる場合はいわゆる高温分解型の、例えばジ
クミルパーオキサイドタイプが用いられる。
使用量は1〜3phrが適当である。
また、不飽和結合と共重合可能なモノマーの併用は、モ
ノマーが芳香族ポリアミドオリゴマーを溶解する場合に
可能であり、特に前記[A]式中のnが小さい値の場合
その適用範囲が広い。モノマーの併用は、縮合系全体の
軟化を促進し、成形性、作業性を良好にする反面、硬化
した芳香族ポリアミドの耐熱性を低下させる傾向がある
ので、目的に応じた添加量とすることが必要である。
本発明による不飽和末端基を有する芳香族ポリアミドオ
リゴマーは、補強剤、フィラー、離型剤、着色剤、低収
縮剤としての他のポリマー等を必要に応じ併用できるこ
とはもちろんである。
次に本発明の理解を助けるために、以下に実施例を示
す。
[実施例] (実施例1) 還流冷却器、滴下濾斗、温度計、攪拌機を備えた1の
四つ口のセパラブルフラスコにイソフタル酸ジクロライ
ド20.3g(0.1モル)、ジメチルフォルムアミド(DMF)1
00gを仕込み、10℃以下に冷却する。
次に3,4′−ジアミノジフェニルエーテル16.67g(0.083
モル)、トリエチルアミン16.87g(0.167モル)、DMF75
gを秤量混合し、セパラブルフラスコに滴下する。続い
てp−イソプロペニルアニリン4.43g(0.033モル)、ト
リエチルアミン3.33g(0.033モル、DMF25gを秤量混合
し、セパラブルフラスコに滴下する。その間、反応混合
物の温度は10℃以下に保つ。滴下終了後、反応混合物の
温度を10℃以下に保ち、2hr.攪拌を継続する。
次に激しく攪拌している大量の水中に反応混合物を徐々
に加え、結晶を析出させる。析出した結晶を吸引濾過
し、水で洗浄後乾燥する。
m.p.170〜185℃、このものの赤外吸収スペクトルを第1
図に示す。
元素分析値は、 C,74.05%;H,4.52%;N,8.13% で論理値は、 C,73.90%;H,4.59%;N.8.21% と良好な一致を示した。
(実施例2〜5) 一般式 で表わした末端不飽和芳香族モノアミン化合物のRの種
類、置換基の位置およびnを変えた以外は実施例1と同
じ操作で不飽和末端基を有する芳香族ポリアミドオリゴ
マーの合成を行なつた。
合成した不飽和末端基を有する芳香族ポリアミドオリゴ
マーのm.p.および元素分析値は次に示す表の通りであ
る。また、それらの赤外線吸収スペクトルを実施例番号
に対応して第2〜5図に示す。
(実施例6) 原料としてイソフタル酸クロライド20.3g(0.1モル)、
3,3′−ジアミノジフェニルスルホン12.4g(0.05モ
ル)、m−イソプロペニルアニリン13.3g(0.1モル)を
用いた以外は実施例1と同じ操作により合成した。
合成した不飽和末端基を有する芳香族ポリアミドオリゴ
マーのm.p.は125〜135℃、このものの赤外吸収スペクト
ルを第6図に示す。
元素分析値は、 C,71.51%;H,5.03%;N,7.08%で論理値は、 C,71.32%;H,4.91%;N,7.24% と良好な一致を示した。
(実施例7) 原料としてイソフタル酸クロライド20.3g(0.1モル)、
ジアニシジン21.35g(0.0875モル)、m−イソプロペニ
ルアニリン3.25g(0.025モル)を用いた以外は実施例1
と同じ操作により合成した。
合成した不飽和末端基を有する芳香族ポリアミドオリゴ
マーのm.p.は145〜160℃、このものの赤外吸収スペクト
ルを第7図に示す。
元素分析値は、 C,71.73%;H,5.01%;N,7.38%で 論理値は、 C,71.67%;H,4.98%;N,7.43% と良好な一致を示した。
(実施例8) イソフタル酸クロライド20.3g(0.1モル)、2,4−;2,6
−混合トルイレンジアミン(80:20)10.17g(0.083モ
ル)、p−アミノスチレン3.97g(0.033モル)を用いた
以外は実施例1と同じ操作を行なった。
合成した不飽和末端基を有する芳香族ポリアミドオリゴ
マーのm.p.は190〜205℃、このものの赤外吸収スペクト
ルを第8図に示す。
元素分析値は、 C,73.11%;H,4.95%;N,10.21%で 論理値は、 C,72.97%;H,4.91%;N,10.32% と良好な一致を示した。
[効 果] 従来の芳香族ポリアミドは熱可塑性樹脂であったため、
耐薬品性、電気的特性等に優れた性質を備えていたにも
かかわらず、高温における強度が著しく低下して使用分
野に制限を受けていた。
本発明はこれらの欠点を改良し、同じ芳香族ポリアミド
でありながら加工性の優れた熱硬化性の芳香族ポリアミ
ドの原料として使用可能な新規な末端不飽和基を有する
芳香族ポリアミドオリゴマーを開発することに成功し
た。
このオリゴマーは低温で合成でき、また重合可能な二重
結合を有するにもかかわらず、比較的安定であって成形
工程中でのゲル化もなく且つラジカル発生触媒の作用に
より簡単に硬化できる優れた性質を有するものである。
このオリゴマーを硬化した芳香族ポリアミドは、高温で
あっても強度の低下を起こさない耐熱性に優れた芳香族
ポリアミドである。
【図面の簡単な説明】
第1〜8図は、それぞれ対応する実施例1〜8において
製造した芳香族ポリアミドオリゴマーの赤外吸収スペク
トル図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [但し、式中A、A′はラジカル重合可能なビニル基又
    はイソプロペニル基(A=A′でも可)、Rは水素原子
    又は低級アルキル基、R1,R2は2価の芳香族基、nは1
    〜15の任意の数値である。] で表わされる末端不飽和基を有す芳香族ポリアミドオリ
    ゴマー。
  2. 【請求項2】ラジカル重合可能なビニル基又はイソプロ
    ペニル基置換アニリン、芳香族ジアミン及び芳香族ジカ
    ルボン酸ジハライドを、モル比2:n:n+1(但しnは1
    〜15)の割合でハロゲン化水素受容体の存在下で反応す
    ることよりなる請求項1記載の芳香族ポリアミドオリゴ
    マーの製造方法。
JP1158022A 1989-06-19 1989-06-19 末端不飽和基を有する芳香族ポリアミドオリゴマー及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH0725881B2 (ja)

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