JPH0725740Y2 - 腕時計の日の裏支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、裏輪列を地板の表側に表輪列とともに配置
する腕時計に適用することができる。詳しくは、そのよ
うな腕時計にあって、裏輪列の構成部品の１つである日
の裏車の支持構造に関する。

従来の技術 近年、腕時計において、極薄のムーブメントにおいて
も、小型化の要請や自動組立の容易化などのため、小鉄
車・日の裏車・筒車などの裏輪列を地板の表側に表輪列
とともに配置するものがある。

この種の腕時計にあっては、従来日の裏車はたとえば第
２図に示す如く支持されていた。図中符号（１）は、二
番受である。二番受（１）には、ピン（２）の拡径部
（2a）が圧入される。ピン（２）の外周には、日の裏車
（３）が、その円筒軸部（3a）内に該ピン（２）を挿入
して回転自在に取り付けられる。日の裏車（３）は、歯
車部（3b）が地板（４）上に載置され、該地板（４）の
表側で前述したピン（２）の拡径部（2a）との間で軸方
向のアガキを規制して配置される。

考案が解決しようとする問題点 ところが、上述したような従来の日の裏支持構造では、
日の裏車（３）の中心をピン（２）が貫通するから、日
の裏車（３）の円筒軸部（3a）を小さくつくることがで
きず、日の裏車（３）が大きくなり、ひいては腕時計全
体の小型化にも支障があった。

そこで、この考案の目的は、上述した種類の腕時計にあ
って、日の裏車の支持構造を改良し、上記した欠点を解
消して、極薄のままで、日の裏車を小型にし、ひいては
腕時計全体の小型化を図ることにある。

問題点を解決するための手段 そのため、この考案による日の裏支持構造は、地板（1
5）の表側（イ）に二番受（10）を挾んで輪列受（13）
を設け、前記二番受（10）でパイプ（11）を支持し、そ
のパイプ（11）に日の裏車軸（12a）を通して日の裏車
（12）を設け、その日の裏車（12）を前記パイプ（11）
と前記輪列受（13）とで回転自在に支持し、その軸方向
の動きを前記パイプ（11）と前記地板（15）とで規制す
ることを特徴とする。

作用 そして、パイプ（11）内面で案内して日の裏車（12）を
回転自在に支持するものである。

実施例 以下、第１図に示す実施例にしたがい、この考案につい
て具体的かつ詳細に説明する。

図中符号（10）は二番受である。二番受（10）には、パ
イプ（11）をその鍔部（11a）がざぐり段部（10a）に当
たるまで圧入固着する。パイプ（11）には日の裏車軸
（12a）を挿入し、日の裏車（12）を回転自在に支持す
る。図示実施例では、日の裏車軸（12a）は、パイプ（1
1）を貫通後先端が輪列受（13）のブッシュ（14）で支
持される。他方、図示のとおり、日の裏車（12）の歯車
部（12b）は、地板（15）の環状レール（15a）上に載置
する。そして、日の裏車（12）を該地板（15）の表側
（イ）に配置し、日の裏車（12）の軸方向のアガキをパ
イプ（11）との間で規制する。この日の裏車（12）は、
歯車部（12b）を二番車（16）と、カナ部（12c）を筒車
（17）とそれぞれ噛み合わす。筒車（17）は、中心に二
番車（16）の円筒状軸部（16a）を挿入し、その外周に
重ねて取り付ける。二番車（16）は、その軸部（16a）
内にポスト（18）を挿入し、円筒状の該ポスト（18）の
外周で回転自在に支持する。ポスト（18）は、その鍔部
（18a）がざぐり段部（10b）に当たるまで圧入して二番
受（10）に取り付ける。そして、そのポスト（18）内に
は、四番車軸（19a）を挿入し、輪列受（13）との間で
四番車（19）を回転自在に支持する。

故に、この考案では、パイプ（11）の内面で案内し、日
の裏車（12）は地板（15）の表側（イ）で回転自在に支
持されることとなる。

考案の効果 したがって、この考案によれば、地板の表側に日の裏車
を配置するとともに、その日の裏車のカナ部を地板の縦
断面内において筒車と噛み合わせるから、ムーブメント
を薄型化し、しかも二番受で支持するパイプに日の裏車
軸を通して日の裏車を設けるから、日の裏車軸を細くし
て日の裏車の外径を小さくし、ムーブメント外形を小さ
くし、結局腕時計全体の小型化を図ることができる。

たとえば上述した実施例で、パイプ（11）の内径を0.30
mm、輪列受（13）のブッシュ（14）の孔径を0.25mmとす
ることにより、日の裏車（12）のカナ（12c）部の歯底
径を0.25mmとすることが可能となり、この考案によれ
ば、近年の小型腕時計の主流である51/2型ムーブメント
の製作を容易とすることができる。

また、日の裏車をパイプと輪列受とで回転自在に支持
し、その軸方向の動きをパイプと地板とで規制するか
ら、日の裏車軸の支持長さを長くして日の裏車の倒れを
小さくし、微少モジュールである日の裏車においてガタ
の発生を最小限とすることができる。

また、この考案によれば、地板上に日の裏車を乗せ、順
次二番車、二番受、輪列受と組込むことにより、組立て
も容易であり、組立性を損うこともない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による日の裏支持構造を示す腕時計の
輪列部分の断面図、第２図は従来の日の裏支持構造を示
す同部分の断面図である。 （10）……二番受（歯車受） （11）……パイプ （12）……日の裏車 （12a）……日の裏車軸 （13）……輪列受 （15）……地板 （イ）……地板の表側

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】地板の表側に二番受を挾んで輪列受を設
   け、前記二番受でパイプを支持し、そのパイプに日の裏
   車軸を通して日の裏車を設け、その日の裏車を前記パイ
   プと前記輪列受とで回転自在に支持し、その軸方向の動
   きを前記パイプと前記地板とで規制するとともに、該日
   の裏車のカナ部を前記地板の縦断面内において筒車と噛
   み合わせてなる、腕時計の日の裏支持構造。