JPH0725679B2 - 眼圧制御剤 - Google Patents

眼圧制御剤

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JPH0725679B2
JPH0725679B2 JP62122377A JP12237787A JPH0725679B2 JP H0725679 B2 JPH0725679 B2 JP H0725679B2 JP 62122377 A JP62122377 A JP 62122377A JP 12237787 A JP12237787 A JP 12237787A JP H0725679 B2 JPH0725679 B2 JP H0725679B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、眼圧制御剤に関する。より詳細にいうと、本
発明は、テトラヒドロコルチゾールを含む、緑内症候群
を始め眼圧増加を治療するための医薬に関する。
(従来の技術) テトラヒドロコルチゾールは、通常のヒトの尿や血清中
に見出されるが、通常の眼から分離されるトラベキュラ
・メッシュワーク(Trabecular Meshwork、TMと略す)
細胞には見出されない通常のコルチゾール代謝中間体で
ある。
コルチゾールは、常のTM細胞によって、ゆっくり新陳代
謝される。しかし、原発広隅角緑内障(POAGと略す)患
者からのTM細胞中には、調節酵素であるデルタ−4−レ
ダクターゼが、異常なほど多く出され、3−オキシドレ
ダクターゼの作用が減殺される。
酵素の平衡異常により、POAGのTM細胞中に、5−αおよ
び5−β−ジヒドロコルチゾールの蓄積を招く。
理論にとらわれるまでもなく、5−β−ジヒドロコルチ
ゾールは、TM細胞に対して有害であり、TMの機能を弱め
る。トラベキュラ・メッシュワークは、房水流出を防ぐ
ための主な部位であるので、TM機能の弱体化は、眼圧の
増加を招く。
テトラヒドロコルチゾールは、未だ不確定の方法で、5
−αまたは5−β−ジヒドロコルチゾールの作用に拮抗
し、かつ、A−リング・レダクターゼ活性の阻害剤とし
ても機能しうるものと見做される。
(発明の目的) 本発明の第1の目的は、眼圧増加を制御し、かつ緑内症
候群に関する進行性視野喪失を遅延させることができ
る、テトラヒドロコルチゾールを含む医薬を提供するこ
とである。
本発明の第3の目的は、局所点眼剤、眼科用ゲル、及び
懸濁液や眼球内投与剤のような他の適当な投与形態で、
局所的に投与しうる薬剤を提供することである。
高くなった眼内圧は、それを下げるのに有効な量のテト
ラヒドロコルチゾールを局所的に投与することにより下
げられる。
従って、上記目的を達成する本発明は、テトラヒドロコ
ルチゾール、或いは眼科学的に許容しうるその塩、及び
テトラヒドロコルチゾール、若しくはその塩に対する薬
学的キャリヤーを含むことを特徴とする眼圧制御剤であ
る。
テトラヒドロコルチゾールを含む本発明の眼圧制御剤
は、ゲル、軟膏、懸濁液、またはその他適当な薬剤形態
にすることができる。
テトラヒドロコルチゾールのあらゆる立体異性体が優れ
た活性を備えているが、最も好適な立体異性体は、3−
α,5−β,および3−α,5−αである。
テトラヒドロコルチゾールに関する解説 テトラヒドロコルチゾール(I)は、周知の化合物であ
る。その分子量は366.5、実験式は、C21H34O5で示され
る。
この化合物は、市販されており、例えば、アメリカ合衆
国ニュージャージー州 バヨンヌ ポストオフィスボッ
クス324に所在するリサーチ・プラス・インコーポレイ
テッド(Research Plus,Inc.)から購入することができ
る。それは、必要に応じ、合成することもできる。
一般的な合成法は、20−セミカルバゾンを生成させるた
め、酢酸テトラヒドロコルチゾールをセミカルバジドと
処理する。これを、溶液中に溶かし、カリウムボロヒド
リドに還元する。次に、それを、塩化メチレン中に懸濁
させてから、塩酸で処理する。生成物は、室温で安定で
あり、特別な貯蔵手段を講じる必要がない。
テトラヒドロコルチゾール(I)は、次のような式で表
わされる。
テトラヒドロコルチゾールは、いくつかの立体異性体で
存在する。すべての立体異性体が活性である。特に、立
体異性に関し、テトラヒドロコルチゾール(I)の場
合、3、5の位置における水酸基と水素の関係位置に係
わっており、それらの位置が、環構造の平面より上方か
若しくは下方であるのか、またはそうでないのかに関係
している。
α位置は、環構造の平面より上方であることを言い、β
は、環構造より下方であることをいう。従って、テトラ
ヒドロコルチゾールは、3−α,5−β;3−α,5−α;3−
β,5−α;3−β,5−βとして存在しうる。本発明におい
て使用しうる構造式(I)で示される好適な異性体は、
3−α,5−β−テトラヒドロコルチゾールである。1〜
5の位置を含んでいるリングが、「A−リング」といわ
れる。
眼に有効なテトラヒドロコルチゾール(I)は、眼に適
用しうる各種の製剤に処方できる。例えば、化合物
(I)を、眼科学的に使用しうる防腐剤、界面活性剤、
粘度強化剤、緩衝剤、塩化ナトリウム、および水と結合
させ、無菌の眼科用水懸濁液を調製する。
無菌の眼科用軟膏を調製するため、有効成分を、鉱油、
液体ラノリン、または白色ワセリンのような適当なベヒ
クル中で、防腐剤と結合させる。
無菌の眼科用ゲル製剤は、類似の眼科薬を調製する発表
されている方法に基づき、有効成分を、米国のビー・エ
フ・グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から入手
しうるカルボキシビニルポリマーであるCarbopol−940
(米国商標)の組合せ物からつくられた親水塩基中で、
懸濁させることによって調製でき、場合によって、防腐
剤および緊張剤が加えられる。
選択される処方の種類は、眼圧増加のように、処置され
る各種の因子、および投与回数に基づいて決められる。
懸濁液、軟膏、およびゲルが、好適な投与形態である。
ステロイド化合物(I)は、通常、これらの薬剤中に、
薬0.05〜5.0重量%の量で含有される。好ましくは、約
0.5〜3.0重量%である。従って、局所投与の際、薬剤
は、臨床医家の判断に基づき、1日につき1〜4回、眼
の表面に若干多目に施される。多投与容器形式のものに
対し、通常、防腐剤を用いるのが望ましいが、それを入
れるのは必須とは限らない。1回分用につくられる本発
明による薬剤は、防腐剤を必要としない。
実施例1〜3 以下、実施例1〜3で、各々、懸濁液、軟膏、及びゲル
の薬剤形態の処方例を述べる。これらの実施例において
用いられているテトラヒドロコルチゾールなる用語は、
構造式(I)で示される前述のあらゆる立体異性体を表
わし、特に好適な立体異性体は、3−α,5−β−テトラ
ヒドロコルチゾールである。
本発明による処置方法は、眼圧を制御する処置が必要と
される際、構造式(I)で示される活性剤の有効量を眼
に対して施す段階を含んでいる。
使用される規定の投与量は、各種の要素、即ち、患者の
年令、性別、体重、病歴、眼圧の正常値からのずれの大
きさに基づいて決められる。通常、製剤は、例えば、眼
球上部に対し点滴薬として数滴を、また眼の底部結膜嚢
に対し0.5〜1cm程度の軟膏若しくはゲルとして、局部的
に投与される。懸濁液は、1日に1〜4回投与し、軟膏
またはゲルは、1日に1回か2回投与する。いくつかの
症例においては、1日1回就寝時、持続型製剤(例え
ば、ポリマーベースのゲル)を投与するのが好ましい。
使用例 以下、本発明の使用例について説明する。ただし、この
使用例は、本発明による方法を限定するものではない。
本使用例では、家兎を用い、テトラヒドロコルチゾール
(I)の活性をインビトロにて実験した。兎の眼とヒト
の眼とは相互に関連しており、ヒトの眼を説明するのに
都合のよいことは公知である。
使用例 最近の研究によれば、幼い兎が、局所性グルココルチコ
イドによる眼圧作用に極めて敏感であると、報告されて
いる。
5−β−ジヒドロコルチゾールは、局所的に投与される
デキサメタゾンの眼圧(IOPと略記する)上昇作用を増
強する。5−β−ジヒドロコルチゾールを用いて増強さ
れる兎のモデルが、抗緑内障剤を判定するのに特に好適
である。その理由は、この代謝中間体が、原発広隅角緑
内障(POAG)における眼の流出領域から採って培養され
た細胞中で蓄積されるからである。
本使用例においては、このモデルを使用する。このモデ
ルは、インヴェスティゲイティブ・オフサルモロジー・
アンド・ビジュアル・サイエンス(Investigative Opht
halmology&Visual Science)(第26巻、393〜395ペー
ジ、1985年3月)に、「5−β−ジヒドロコルチゾー
ル:緑内障における眼圧増加の可能的媒介物質(5−be
tadihydrocortisol:Possible Mediator of the Ocular
Hypertension in Glaucoma)」なる名称の論文で報告さ
れている。本明細書において、これを参照する。
以下に示すように、従来、生物学的に不活性と見做され
ていたコルチゾール代謝中間体である3−α,5−β−テ
トラヒドロコルチゾールは、デキサメタゾンおよび5−
β−ジヒドロコルチゾールの結合体により高血圧症にさ
れた兎の眼圧を、驚異的に低下させる。
2kg足らずのニュージーランド産の幼い白兎を、テスト
動物として使用した。動物のそれぞれの眼に、1日4
回、1週即ち7日、25μのテスト溶液を施した。局所
麻酔(テトラカイン)を行なってから、アルコン・ニュ
ーモトノメータ(Alcon pneumotonometer)(バイオ−
ラド(Bio−Rad)社のディジラブ事業部(Digilab Divi
sion)から入手したO.C.V.M.)を用い、1週に数回、午
後8時から10時の間、IOPを測定した。各動物に対し、
単純平均値を用いた。各グループは、6匹の動物から構
成され、記録データは、各グループの平均IOPである。
ステロイドを、リン酸緩衝溶液(PBS)中に懸濁させ、
テフロン乳棒により均質化した。このようにして、角膜
の刺激を最小にしうる微細ステロイド懸濁液を生成し
た。この実験は、マスクを使って行なった。
図は、0.06%のデキサメタゾンと、0.1%の5−β−ジ
ヒドロコルチゾールおよびベヒクルとしてのPBSとを加
え合わせたものを、23乃至32日間投与した動物の平均眼
圧(IOP)を示すグラフである。
ステロイド混合物で処理した動物は、7乃至10日の間
に、約6mmHgのIOPの増加を示した。これは、前に述べた
所見と同じであった。実験の23日目に、ステロイド混合
物を投与した動物を、3つのグループに分け、第1のグ
ループには、両眼に、デキサメタゾンおよび5−β−ジ
ヒドロコルチゾールを投与し続け(グラフ中の黒い
点)、第2のグループには、同量のデキサメタゾンおよ
び5−β−ジヒドロコルチゾールとともに、1%の3−
α,5−β−テトラヒドロコルチゾールを投与し(グラフ
中の丸い点)、第3のグループは、すべての処理を中止
した(グラフ中の三角の点)。
新しい投薬法を7日目に開始した第2、第3の2つのグ
ループにおける動物は、約5mmHgのIOPの増加を示した。
正方形の点で示された曲線は、PBSからなる対照溶液の
みの場合を示す。
別の3つの実験において、3−α,5−β−テトラヒドロ
コルチゾールを、治療の16日目、20日目、および23日目
に、デキサメタゾンと5−β−DHFとを加え合わせたも
のに付加した場合、本発明になるテトラヒドロコルチゾ
ール(I)を投与されているグループは、3〜5mmHgと
いうIOPの可成りの低下を示した(p<0.05)。眼圧の
低下作用は、テトラヒドロコルチゾール(I)の投与を
開始してから、5〜7日のうちに現われ、かつ実験期間
を通して持続した。
冒頭にも述べたように、テトラヒドロコルチゾール
(I)は、A−リングレダクターゼ作用を競合的に抑制
することにより機能しうるものと見做される。従って、
他のA−リングレダクターゼ阻害剤も、本発明の処理用
組成物において有効に作用しうる。その例として、プロ
ゲステロン、およびテストステロンが挙げられる。投与
量および処置方法は、テトラヒドロコルチゾール(I)
に対して前に述べた通りである。
テトラヒドロコルチゾール(I)のような活性薬剤は、
それ自体で投与でき、また化合物を眼科学的に使用しう
る塩の状態にするか、活性薬剤の作用を破壊しない他の
あらゆる摘切な状態にして投与できる。
【図面の簡単な説明】
図は、さまざまな比較条件の下で、わずらっている眼の
処置前と処置後において、眼圧を比較しうるよう、対照
と、処置された眼とを対比するプロット曲線を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゲーリー ジー ゴードン アメリカ合衆国 ニューヨーク州 10595 バルハナ ニューヨーク メディカル カレッジ エム アール アイ ビルディ ング(番地なし)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テトラヒドロコルチゾール、若しくは眼科
    学的に許容しうるその塩、及びテトラヒドロコルチゾー
    ル、若しくはその塩に対する薬学的キャリヤーを含むこ
    とを特徴とする眼圧制御剤。
  2. 【請求項2】眼圧増加を制御するためのものであること
    を特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の眼圧制
    御剤。
  3. 【請求項3】テトラヒドロコルチゾールの量が、0.05〜
    5.0重量%であることを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項に記載の眼圧制御剤。
  4. 【請求項4】テトラヒドロコルチゾールの量が、0.5〜
    3.0重量%であることを特徴とする特許請求の範囲第
    (3)項に記載の眼圧制御剤。
  5. 【請求項5】制御剤が、点眼懸濁液であることを特徴と
    する特許請求の範囲第(1)項に記載の眼圧制御剤。
  6. 【請求項6】制御剤が、軟膏であることを特徴とする特
    許請求の範囲第(1)項に記載の眼圧制御剤。
  7. 【請求項7】制御剤が、眼科用ゲルであることを特徴と
    する特許請求の範囲第(1)項に記載の眼圧制御剤。
JP62122377A 1986-05-19 1987-05-19 眼圧制御剤 Expired - Lifetime JPH0725679B2 (ja)

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US864610 1986-05-19

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