JPH0725548A - 高速巻取ボビン - Google Patents

高速巻取ボビン

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JPH0725548A
JPH0725548A JP16696093A JP16696093A JPH0725548A JP H0725548 A JPH0725548 A JP H0725548A JP 16696093 A JP16696093 A JP 16696093A JP 16696093 A JP16696093 A JP 16696093A JP H0725548 A JPH0725548 A JP H0725548A
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JP
Japan
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bobbin
thread
holding
yarn
main body
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Application number
JP16696093A
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English (en)
Inventor
Koji Minoshima
幸治 蓑島
Manji Minoshima
万治 蓑島
Sadatoshi Matsushita
貞利 松下
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FUTABA BOBIN KK
Chiyoda Kogyo Co Ltd
Original Assignee
FUTABA BOBIN KK
Chiyoda Kogyo Co Ltd
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Publication date
Application filed by FUTABA BOBIN KK, Chiyoda Kogyo Co Ltd filed Critical FUTABA BOBIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用回数を増加し、かつ、再生を可能とする
とともに、成形金型の製造を容易にして製造コストを低
減し、更に、全自動高速巻取機においても、円滑なボビ
ン交換作業を可能にする。 【構成】 軸方向一端部の回転方向Rの所定角度範囲に
複数の凹部12を設け、凹部12間の境界部13に二段
V溝状の挾持溝14を切削加工等により形成する。挾持
溝14の両端には、V溝状の案内溝17,18を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速巻取ボビンに関する
ものであり、特に、ポリエステルまたはナイロン等の合
成繊維糸等の糸の巻取りに供され、糸の端部を挾持自在
な糸巻取部を軸方向一端部に設けた高速巻取ボビンに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、従来の高速巻取ボビンは、紙を
何層にも巻重ね、その層間を化学接着剤を使用して接着
して円筒状に形成した紙管を使用している。この紙管
は、例えば、高速全自動巻取機等の糸巻取用の駆動軸に
装着され、その軸方向一端部の外周面に糸の基端部を固
着し、その糸を外周面にトラバースして巻取るものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の高速巻取ボビン
は、上記のように構成され、耐熱性等を考慮して、殆ど
100%近く紙管を使用しているが、この紙管を製造す
るための接着剤は合成樹脂からなるため、古くなった紙
管を再生紙として利用することが困難である。また、紙
管を焼却すると、焼却時に紙管の製造に使用した接着剤
が有毒ガスを発生して公害の原因となる可能性があるた
め、焼却処分も困難である。そこで、最近は埋立てによ
り廃棄処分を行なっているが、これが大きなゴミ問題を
生じる可能性がある。
【0004】また、紙管は紙からできており吸水性があ
るため、水分を含むと軟化し、強度が不足して糸の巻締
力に耐えられず、結果として、その使用回数の減少につ
なっがることになる。このため、廃棄処分となる紙管が
増加し、結果的に上記の廃棄処分等に関する諸問題の増
加につながっている。しかも、紙管は吸水により膨脹す
るため、寸法精度に誤差が生じて寸法が安定せず、使用
に差支える可能性がある。したがって、場合によって
は、紙管を乾燥室に入れて所定の寸法精度を確保する作
業が必要になり、その作業が煩雑となって全体の作業性
を低下し、不都合となる可能性がある。
【0005】更に、紙管は薄い紙を何層にも貼り合わせ
て形成されているため、両端部が層間剥離等を起こす
と、この剥離した紙片が糸に接触し、糸切れの原因にな
る可能性がある。なお、金属製の管を高速巻取ボビンと
した場合にも、小さな金属片による糸切れの可能性があ
る。
【0006】よって、使用回数を増加し、かつ、耐用期
間経過後は100%に近い再生が可能な高速巻取ボビン
の開発が望まれている。
【0007】ここで、高速巻取ボビンを合成樹脂により
円筒状に形成することが考えられる。しかし、合成樹脂
により高速巻取ボビンを形成した場合、高速巻取ボビン
の軸方向一端部に、糸の基端部を挾持して固着するため
の断面略V字状の挾持溝を形成する必要があるが、合成
樹脂は、その表面で糸が滑り易く、円滑な糸の挾持固着
が行なえない可能性がある。また、糸の基端部を確実に
挾持固着できるよう、高速巻取ボビンに断面略V字状の
挾持溝を正確に成形するためには、成形金型のコストが
莫大なものとなり、製造コストの点で課題が残されてい
る。特に、糸が極細糸の場合は、かかる課題が更に大き
なものとなる。
【0008】更に、高速巻取ボビンを高速全自動巻取機
に使用する場合、所定量の糸の巻取をほぼ完了した満巻
ボビンに、高速全自動巻取機からの糸を引続き若干量巻
き取る一方、空ボビンによりその糸を拾って満巻ボビン
との間で糸を緊張して切断し、その後、空ボビンの挾持
溝にその切断された糸端を自動で巻取る必要がある。よ
って、空ボビンの挾持溝は、かかる一連のボビン交換作
業を円滑に行なえるように、糸切断時には糸の緊張に必
要な挾持力を有し、かつ、その後の糸端の巻取を可能に
する摩擦力及び挾持力等を備えることが要求される。
【0009】そこで、本発明は、使用回数が増加すると
ともに、成形金型の製造を容易にして製造コストを低減
し、更に、全自動高速巻取機においても、円滑なボビン
交換作業を可能にする高速巻取ボビンの提供を課題とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかる
高速巻取ボビンは、合成樹脂により円筒状に形成され、
糸の巻取りを自在としたボビン本体と、前記ボビン本体
の軸方向の一端部の周方向の所定角度範囲にわたって、
所定の間隔毎に連続形成した複数の凹部と、前記凹部間
で形成された境界部と、前記境界部に形成され、前記一
端部の周方向に沿って延び、糸を挾持自在な細溝状をな
す挾持溝とを有する糸挾持部とを具備するものである。
【0011】請求項2の発明にかかる高速巻取ボビン
は、合成樹脂により円筒状に形成され、糸の巻取りを自
在としたボビン本体と、前記ボビン本体の軸方向一端部
の周方向の所定角度範囲に延設された保持凹部と、前記
保持凹部に装着保持されて前記保持凹部の側面に弾性的
に圧接される装着体からなり、前記保持凹部の側面と前
記装着体との間で糸を挾持自在な糸挾持部とを具備する
ものである。
【0012】請求項3の発明にかかる高速巻取ボビン
は、請求項1または請求項2の発明において、更に、前
記ボビン本体の前記糸挾持部の周方向の延長線上の所定
角度位置に設けられ、前記ボビン本体に巻き取られた糸
と前記ボビン本体との間に空隙を形成する糸取凹部を具
備するものである。
【0013】請求項4の発明にかかる高速巻取ボビン
は、合成樹脂により円筒状に形成され、糸の巻取りを自
在としたボビン本体と、前記ボビン本体の軸方向一端部
の周方向の所定角度範囲に延設された糸を挾持自在な糸
挾持部と、前記ボビン本体の前記糸挾持部の周方向の延
長線上の所定角度位置に設けられ、前記ボビン本体に巻
き取られた糸と前記ボビン本体との間に空隙を形成する
糸取凹部とを具備するものである。
【0014】
【作用】請求項1の発明においては、ボビン本体を合成
樹脂により形成したため、従来の紙管における水分吸収
による寸法精度の誤差、強度不足等の不具合を解消でき
る。また、軸方向一端部の周方向の所定角度範囲にわた
って所定間隔で凹部を複数配置して、その凹部間の境界
部に糸を挾持自在な挾持溝を形成したため、正確かつ微
細な加工を必要とする挾持溝を、成形後に切削等の二次
加工により形成することができ、成形金型自体の構成
は、挾持溝を除いた部分の形成を行なうだけの簡単なも
のとすることができる。そして、全自動高速巻取機に使
用された場合、挾持溝を有する糸挾持部が、糸を挾持溝
に食込ませて確実に挾持するため、満巻ボビンとの間で
の糸の緊張による糸の切断及びその後の糸端の挾持が円
滑かつ良好に行なわれる。加えて、軸方向一端部に複数
配置された凹部により、ボビン使用後における端部の残
糸の除去作業が容易となる。
【0015】請求項2の発明においては、ボビン本体を
合成樹脂により形成したため、従来の紙管における水分
吸収による寸法精度の誤差、強度不足等の不具合を解消
できる。また、前記ボビン本体の軸方向一端部の周方向
の所定角度範囲に延設された保持凹部と、前記保持凹部
に装着保持されて前記保持凹部の側面に弾性的に圧接さ
れる装着体とから糸挾持部を構成し、前記保持凹部の側
面と前記装着体との間で糸を挾持自在としたため、正確
かつ微細な加工を必要とする挾持溝を、予め成形時に形
成する必要はなく、成形金型自体の構成は、ボビン本体
または装着体の形成を行なうだけの簡単なものとするこ
とができる。そして、全自動高速巻取機に使用された場
合、糸挾持部が、保持凹部側面と装着体との間で糸を確
実に挾持して、満巻ボビンとの間での糸の緊張による糸
の切断及びその後の糸端の挾持を円滑に行なう。加え
て、ボビン本体の保持凹部から装着体を取外すことによ
り、ボビン使用後における端部の残糸の除去作業を容易
に行なうことができる。また、糸の切断及び挾持時にお
ける摩耗等により、ボビン本体より早期に疲弊する可能
性のある装着体のみを、単独で交換することができるた
め、ボビン本体をその耐用期間一杯まで使用することが
できる。更に、装着体を適宜交換することにより、糸の
番手に合わせて、糸の切断及び食込み挾持のための挾持
力の調整を行なうことができる。また、高速巻取ボビン
に巻き取る糸の番手の変更に応じて、新しい金型を製作
する必要はなく、装着体を必要種類用意しておけば足り
るため、その分のコスト上昇だけで抑えることができ、
全体のコストの低減に貢献することができる。
【0016】請求項3の発明においては、請求項1また
は請求項2の発明と同様の作用が得られる。また、ボビ
ン交換した後の空ボビンには、糸挾持部に糸端を挾持さ
れた糸が、ボビン本体の一端部に数周巻き回された状態
で残っており、この残糸は次回の糸の巻き取りのため
に、ボビン本体から取除く必要があるが、このとき、糸
取凹部の糸とボビン本体との間に所定の空隙が形成さ
れ、その空隙内に作業者が指等を挿入可能となってい
る。その結果、その空隙内に指等を差込むことにより、
空隙部分の糸に簡単かつ確実に指等を掛けることがで
き、糸の除去を容易に行なうことができる。
【0017】請求項4の発明においては、ボビン本体を
合成樹脂により形成したため、従来の紙管における水分
吸収による寸法精度の誤差、強度不足等の不具合を解消
できる。また、全自動高速巻取機に使用された場合、ボ
ビン本体の軸方向一端部の周方向の所定角度範囲に延設
した糸挾持部が、糸を確実に挾持する。その結果、満巻
ボビンとの間での糸の緊張による糸の切断及びその後の
糸端の挾持が円滑かつ良好に行なわれる。加えて、ボビ
ン交換した後の空ボビンには、糸挾持部に糸端を挾持さ
れた糸が、ボビン本体の一端部に数周巻き回された状態
で残っており、この残糸は次回の糸の巻き取りのため
に、ボビン本体から取除く必要があるが、このとき、糸
取凹部の糸とボビン本体との間に所定の空隙が形成さ
れ、その空隙内に作業者が指等を挿入可能となってい
る。その結果、その空隙内に指等を差込むことにより、
空隙部分の糸に簡単かつ確実に指等を掛けることがで
き、糸の除去を容易に行なうことができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0019】図1は本発明の第一実施例の高速巻取ボビ
ンの正面図、図2は図1のA−A線断面図である。図3
は本発明の第一実施例の高速巻取ボビンの糸挾持部を示
す展開図である。図4は本発明の第一実施例の高速巻取
ボビンの糸挾持部の要部拡大断面図であり、(a)は案
内溝、(b)は導入溝、(c)は挾持溝を示す。
【0020】図1において、本実施例の高速巻取ボビン
のボビン本体10は、熱可塑性合成樹脂として熱可塑性
強化プラスチックを使用し、射出成形機によって円筒状
に成形加工したものであり、糸挾持部11及び糸巻取部
15を一体的に備える。このボビン本体10成形用の合
成樹脂としては、糸の巻締力に耐え得る強度を有し、か
つ、完全再生利用可能なプラスチックが用いられてい
る。なお、本発明の合成樹脂としては、熱可塑性合成樹
脂の他にフェノール樹脂等の熱硬化性合成樹脂等も使用
可能であり、本発明は、糸の巻締力に耐え得るものであ
る限りにおいて、その材料を限定するものではなく、そ
の他種々の合成樹脂材料を使用することができる。
【0021】前記糸挾持部11は、ボビン本体10の軸
方向一端部の回転方向(周方向)Rの所定角度範囲にわ
たって、所定間隔毎に連続形成した複数の凹部12と、
前記凹部12間で形成された境界部13と、前記境界部
13に形成され、前記一端部の周方向に沿って延び、糸
Yを挾持自在な細溝状の挾持溝14とからなる。前記糸
巻取部15は、ボビン本体10の糸挾持部11以外の所
定部位、即ち、軸方向両端部を除く中央部分に設けら
れ、表面に糸Yの巻取を自在とされている。なお、糸巻
取部15は、例えば、その表面にローレット加工等の滑
り止め加工を施すこともある。
【0022】図2に示すように、前記糸挾持部11の各
凹部12は、所定深さの有底の略四角凹状に形成される
とともに、各境界部13の表面は糸巻取部15の表面と
面一とされている。前記隣接する凹部12間に形成され
る各境界部13の突出角度は、ボビン交換時の糸Yの食
込み及び糸切り等を最適な状態で行なえるよう、放射方
向に対して若干傾斜する角度とされている。また、前記
挾持溝14は、図4の(c)に示すように、表面側に位
置する所定角度の略V溝状をなす広角部14aと、内部
側に位置し、広角部14aより鋭角の略V溝状をなす狭
角部14bとから、所定深さの二段V溝状に形成されて
いる。そして、挾持溝14は、各境界部13の中央部を
ボビン本体10の回転方向Rに沿って同一線状に延びて
いる。
【0023】なお、上記隣接する凹部12間に形成され
る各境界部13の形状または突出方向等は、ボビン交換
時の糸Yの食込み及び糸切り等を最適な状態で行なえる
限りにおいて、ボビン本体10の放射方向に延びるよう
形成する等、適宜変更してもよい。
【0024】図3に示すように、糸挾持部11の回転方
向R基端側(図3中左側)には基端側案内溝17が、糸
挾持部11の回転方向R先端側には先端側案内溝18
が、それぞれ、ボビン本体10の回転方向Rに沿って前
記挾持溝14と同一線状に延びるよう所定長さ延設され
ている。図1及び図4の(a)に示すように、基端側案
内溝17は、その回転方向R基端側において、ボビン本
体10の表面側から挾持溝14の深さと略同一深さまで
傾斜して延び、先端側を前記挾持溝の基端側に接続して
いる。また、先端側案内溝18は、その回転方向R基端
側において挾持溝14の先端側と接続するとともに、先
端側において凹部12の深さと略同一深さからボビン本
体10の表面側に傾斜して延びている。なお、前記基端
側案内溝17の深さを、先端側案内溝18と同様、凹部
13と略同一深さとしてもよい。
【0025】更に、糸挾持部11の回転方向R基端側の
少くとも1以上の境界部13には、図4の(b)に示す
ように、糸Yの挾持溝14への導入及び食込みを容易に
する導入溝19が形成される。この導入溝19は、表面
側に位置し、前記基端側案内溝17より鈍角で挾持溝1
4の広角部14aより鋭角の略V溝状をなす広角部19
aと、内部側に位置し、挾持溝14の狭角部14bより
鈍角で広角部19aより鋭角の略V溝状をなす狭角部1
9bとから、基端側案内溝17及び挾持溝14と略同一
深さの二段V溝状に形成されている。なお、この導入溝
19は、糸Yの挾持溝14への導入及び食込みを円滑に
行なえる限りにおいて省略してもよい。
【0026】次に、上記のように構成された高速巻取ボ
ビンの製造方法について説明する。高速巻取ボビンのボ
ビン本体10を、例えば、所定の外形及び内径並びに肉
厚を有する所定全長の円筒状に形成するには、まず、糸
Yの巻締力に充分耐え得るような合成樹脂を選定し、射
出成形機によって円筒状に成形加工を行なう。この合成
樹脂としては、グラスファイバーまたは無機物粉体等を
混入した6ナイロンまたは66ナイロン等の熱可塑性合
成樹脂またはフェノール樹脂等の熱硬化性合成樹脂等が
使用可能であるが、本発明は、上記したように、糸の巻
締力に耐え得るものである限りにおいて、その材料を限
定するものではなく、無論、その他種々の合成樹脂材料
を使用してもよい。
【0027】このとき、成形金型のキャビティは、糸挾
持部11の凹部12及び境界部13、基端側案内溝17
並びに先端側案内溝18を軸方向一端側に有する円筒状
物を形成する形状とされる。これにより、前記凹部12
及び境界部13並びに両案内溝17,18は、高速巻取
ボビンの射出成形時に、ボビン本体10の軸方向一端部
に形成される。そして、射出成形後に、二次加工として
の切削加工により、前記円筒状物の凹部12間の境界部
13に挾持溝14及び導入溝19を形成する。このと
き、円筒状物には既に凹部12及び境界部13が射出成
形時に形成されているため、微細で精密、かつ、正確な
加工を要する挾持溝14及び導入溝19は、境界部13
にのみ切削加工により形成すればよく、ボビン本体10
表面の全体に切削加工する場合と比較して、挾持溝14
及び導入溝19の加工を容易かつ正確に行なうことがで
きる。
【0028】なお、高速巻取ボビンは、前記両案内溝1
7,18も切削加工により前記挾持溝14及び導入溝1
9と同時に形成してよい。この場合において、射出成形
用の金型のキャビティ形状は、軸方向一端部に凹部12
及び境界部13のみを有する円筒状とすればよい。この
場合、金型の構成をより簡単にして、そのコストを低減
することができる。
【0029】以下、上記のように構成された高速巻取ボ
ビンを使用した高速全自動巻取機におけるボビン交換作
業について説明する。
【0030】図5は本発明の高速巻取ボビンのボビン交
換作業を示す概略図である。
【0031】まず、図5の(a)に示すように高速巻取
ボビンのボビン本体10の糸巻取部15に糸Yが所定量
巻き取られ、満巻ボビン10Aとされると、下方に待機
する空ボビン10Bが、満巻ボビン10Aと同方向に回
転加速開始して、(b)及び(c)に示すように、図中
一点鎖線で示すボビン交換のための回動軌跡Tを上方に
旋回移動する。これと同調して、満巻ボビン10Aも回
動軌跡Tを下方に移動する。一方、(c)において、満
巻ボビン10Aへトラバースして巻き取られる糸Yは、
ガイド32により、ボビン本体10の一端部の糸挾持部
11に対向する位置へと案内される。そして、(d)に
示す位置に空ボビン10Bがきたときに、空ボビン10
Bは、その一端部を満巻ボビン10Aに巻き取られてい
る糸Yに接触させて、糸Yを付勢する。このとき、糸挾
持部11が、糸Yに強く接触して、その回転方向R基端
側の基端側案内溝17から、導入溝19及び挾持溝14
へと糸Yを食込ませ、挾持溝14の狭角部14bにより
挾持するとともに、回転方向R先端側の先端側案内溝1
8に案内する。
【0032】更に、(e)に示すように、空ボビン10
Bの旋回に伴って、糸Yが満巻ボビン10Aと空ボビン
10Bとの間で緊張する。このとき、満巻ボビン10A
と空ボビン10Bは同方向に回転するため、(f)に示
すように、満巻ボビン10A及び空ボビン10B間で糸
Yが反対方向に引張られて切断される。そして、切断さ
れた糸Yの端部が、空ボビン10Bの糸挾持部11に数
回巻き回されて挾持固着される。その後、(g)に示す
ように、空ボビン10Bが、タッチローラ31に接触し
て回転を継続し、糸Yを糸巻取部11に巻き取るととも
に、満巻ボビン10Aは回転停止して下方に保持され
る。
【0033】このように、上記実施例の高速巻取ボビン
は、熱可塑性合成樹脂としての熱可塑性強化プラスチッ
クにより円筒状に形成されたボビン本体10を具備し、
軸方向一端部の回転方向(周方向)Rの所定角度範囲に
わたって、所定間隔毎に連続形成した、所定深さの有底
の略四角凹状をなす複数の凹部12と、前記凹部12間
で形成された境界部13と、前記一端部の回転方向Rに
沿って同一線上を延びるよう前記境界部13に形成さ
れ、糸Yを挾持自在な細溝としての二段V溝状の挾持溝
14とから糸挾持部11を構成し、前記ボビン本体10
の糸挾持部11以外の所定部位を糸Yを巻取自在な糸巻
取部15としたものである。
【0034】したがって、上記実施例は、ボビン本体1
0を熱可塑性合成樹脂としての熱可塑性強化プラスチッ
クにより形成したため、従来の紙管における水分吸収に
よる寸法精度の誤差、強度不足等の不具合を解消でき
る。その結果、使用回数を増加して、製品寿命を延長
し、コストを低下することができる。また、耐用期間経
過後は、その原材料である熱可塑性合成樹脂は、溶融等
による再加工により再利用でき、従来例の紙管のよう
に、焼却または廃棄等を考慮する必要がない。その結
果、再生が可能となり、原材料の使用量を低減し、か
つ、公害の発生を未然防止して、昨今の要請である省資
源及びリサイクルによる環境保護に貢献することができ
る。更に、軸方向一端部の回転方向Rの所定角度範囲に
わたって所定間隔毎に凹部12を連続的に複数配置し
て、その凹部12間の境界部13に糸Yを挾持自在な挾
持溝14を形成したため、正確かつ微細な加工を必要と
する挾持溝14を、成形後に切削等の二次加工により形
成することができ、成形金型自体の構成は、挾持溝14
を除いた部分の形成を行なうだけの簡単なものとするこ
とができる。その結果、成形金型のコストを低減し、製
造コストを削減することができる。また、金型に挾持溝
14形成用の精密加工を施す必要がないため、金型自体
の寿命を延ばすことができ、一層成形金型のコストを低
減し、製造コストを削減することができる。
【0035】そして、本実施例の高速巻取ボビンは、全
自動高速巻取機に使用された場合、挾持溝14を有する
糸挾持部11が、糸Yを挾持溝14に食込ませて確実に
挾持するため、満巻ボビン10Aとの間での糸Yの緊張
による糸Yの切断及びその後の糸端の挾持が円滑かつ良
好に行なわれる。その結果、全自動高速巻取機において
も、円滑なボビン交換作業を行なうことができる。加え
て、軸方向一端部に複数配置された凹部12により、ボ
ビン使用後における端部の残糸の除去作業が容易とな
る。その結果、空ボビン10Bの再供給を迅速に行なっ
て作業効率を向上することができる。
【0036】また、上記実施例の高速巻取ボビン10
は、挾持溝14の回転方向R基端側に基端側案内溝17
及び導入溝19を設けたため、挾持溝14への糸Yの案
内及び導入並びに糸Yの食込みを、一層円滑かつ確実に
行なうことができる。更に、挾持溝14の回転方向R先
端側にも先端側案内溝18を設けたため、挾持溝14に
挾持した糸Yを更に案内して、糸Yの脱落等を効果的に
防止することができる。
【0037】次に、本発明による第二実施例を以下に説
明する。なお、第二実施例においては上記第一実施例と
の相違点のみを説明し、上記第一実施例と同一の構成に
ついては図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】図6は本発明の第二実施例の高速巻取ボビ
ンの正面図、図7は本発明の第二実施例の高速巻取ボビ
ンの側面図である。図8は本発明の第二実施例の高速巻
取ボビンの糸挾持部を示す展開図である。
【0039】図6乃至図8において、本実施例の高速巻
取ボビンは、第一実施例と同様の熱可塑性合成樹脂を使
用し、射出成形機によって略円筒状に成形加工したボビ
ン本体41と、ボビン本体41に装着される装着体43
とを備える。
【0040】ボビン本体41の軸方向一端部には、高速
巻取ボビンの回転方向(周方向)Rの所定角度範囲にわ
たって有底の保持凹部42が延設されている。また、保
持凹部42の表面の回転方向Rの所定位置(本実施例で
は両端及び中央)には、軸方向に延びる有底の係止凹部
42aが形成されている。一方、前記装着体43は、ボ
ビン本体41の保持凹部42に密嵌して装着可能な形状
及び寸法の略湾曲板状をなし、前記保持凹部42の係止
凹部42aと対応する内面位置には、係止凹部42a内
に密嵌保持される係合凸部44を一体形成している。装
着体43は、その幅方向一側に空隙を介して略波板状の
弾性部45を一体形成している。前記装着体43の弾性
部45は、熱可塑性合成樹脂より波板状をなし、また、
空隙を介して装着体43に一体形成されているため、そ
の厚さ方向へ弾性変形自在となっている。これにより、
装着体43をボビン本体41の保持凹部42に組付けた
ときに、装着体43の弾性部45が保持凹部42の対向
する側面に弾性的に圧接し、保持凹部42の側面との間
で糸Yを弾性的に挾持自在となっている。
【0041】前記装着体43は、ボビン本体41と同様
の熱可塑性合成樹脂により、射出成形等によって所定形
状に形成され、また、ボビン本体41の保持凹部42へ
の装着体43の組付けは、プラスチックの特徴を生かし
て行なわれる。即ち、線膨張を利用したり、或いは弾力
性を利用して組付ける。また、線膨張及び弾力性の両方
を利用して組付けてもよい。即ち、保持凹部42に装着
体43を挿入することにより、図6及び図7のように、
保持凹部42の係止凹部42aと装着体43の係合凸部
44とが嵌合し、装着体43の表面がボビン本体41の
表面と面一となる。なお、ボビン本体41と装着体43
との組付けは、例えば、ボビン本体41を低温室で冷却
し、装着体43を高温室で加熱して、両者を各々の部屋
から取出して素早く組付け、常温に戻すことにより行な
われ、これにより両者が完全に一体化され、その離脱が
防止される。
【0042】前記ボビン本体41の保持凹部42と、保
持凹部42に装着保持される装着体43とから、前記保
持凹部42の側面と装着体43との間で糸Yを挾持自在
な本実施例の糸挾持部が構成されている。また、前記ボ
ビン本体41の前記保持凹部42以外の所定部位に糸Y
を巻取自在な糸巻取部46が設けられている。
【0043】上記のように構成された高速巻取ボビン
は、第一実施例の高速巻取ボビンと同様、高速全自動巻
取機に使用され、円滑なボビン交換を可能にする。
【0044】このとき、ボビン交換時の回転により、ボ
ビン本体41及び装着体43は一体となって高速で回動
するが、ボビン本体41の保持凹部42の係止凹部42
aと装着体43の係合凸部44とが確実に噛合い、装着
体43はボビン本体41の保持凹部42に強固に装着さ
れているため、装着体43とボビン本体41との間で滑
り等が生ずることはなく、使用中に装着体43が保持凹
部42内を位置ずれしたり、保持凹部42から脱落した
りすることもない。
【0045】このように、上記実施例の高速巻取ボビン
は、ボビン本体41を熱可塑性合成樹脂により円筒状に
形成するとともに、前記ボビン本体41の軸方向一端部
の周方向の所定角度範囲に延設された有底の保持凹部4
2と、前記保持凹部42に装着保持されて前記保持凹部
42の側面に弾性部45を弾性的に圧接させる装着体4
3とから糸挾持部を構成して、前記保持凹部42の側面
と前記装着体43の弾性部45との間で糸Yを挾持自在
とし、前記ボビン本体41の前記保持凹部42以外の所
定部位に糸Yを巻取自在な糸巻取部46を設けたもので
ある。
【0046】したがって、上記実施例は、ボビン本体4
1を熱可塑性合成樹脂により形成したため、従来の紙管
における水分吸収による寸法精度の誤差、強度不足等の
不具合を解消できる。その結果、使用回数を増加して、
製品寿命を延長し、コストを低下することができる。ま
た、耐用期間経過後は、その原材料である熱可塑性合成
樹脂は、溶融等による再加工により再利用でき、従来例
の紙管のように、焼却または廃棄等を考慮する必要がな
い。その結果、再生が可能となり、原材料の使用量を低
減し、かつ、昨今の要請である省資源及びリサイクルに
よる環境保護に貢献することができる。更に、前記ボビ
ン本体41の軸方向一端部の周方向の所定角度範囲に延
設された保持凹部42と、前記保持凹部42に装着保持
されて前記保持凹部42の側面に弾性的に圧接される弾
性部45を有する装着体43とから糸挾持部を構成し、
前記保持凹部42の側面と前記装着体43の弾性部45
との間で糸Yを挾持自在としたため、正確かつ微細な加
工を必要とする挾持溝を、予め成形時に形成する必要は
なく、成形金型自体の構成は、ボビン本体41または装
着体43の形成を行なうだけの簡単なものとすることが
できる。その結果、成形金型のコストを低減し、製造コ
ストを削減することができる。また、金型に挾持溝形成
用の精密加工を施す必要がないため、金型自体の寿命を
延ばすことができ、一層成形金型のコストを低減し、製
造コストを削減することができる。
【0047】そして、全自動高速巻取機に使用された場
合、糸挾持部が、保持凹部42側面と装着体43の弾性
部45との間で糸Yを確実に挾持して、満巻ボビン10
Aとの間での糸Yの緊張による糸Yの切断及びその後の
糸端の挾持を円滑に行なう。その結果、全自動高速巻取
機においても、円滑なボビン交換作業を行なうことがで
きる。加えて、ボビン本体41の保持凹部42から装着
体43を取外すことにより、ボビン使用後における端部
の残糸の除去作業を容易に行なうことができる。その結
果、空ボビン10Bの再供給を迅速に行なって作業効率
を向上することができる。また、糸Yの切断及び挾持時
における摩耗等により、ボビン本体41より早期に疲弊
する可能性のある装着体43のみを、単独で交換するこ
とができるため、ボビン本体41をその耐用期間一杯ま
で使用することができる。その結果、再生回数を減少し
て、コストを一層低減することができる。更に、装着体
43を適宜交換することにより、糸Yの番手に合わせ
て、糸Yの切断及び食込み挾持のための挾持力の調整を
行なうことができる。その結果、不意の糸の不挾持等を
防止して、ボビン交換作業を確実かつ円滑に行なうこと
ができ、作業効率を向上することができる。また、高速
巻取ボビンに巻き取る糸Yの番手の変更に応じて、新し
い金型を製作する必要はなく、装着体43を必要種類用
意しておけば足りるため、その分のコスト上昇だけで押
えることができ、全体のコストの低減に貢献することが
できる。
【0048】次に、本発明による第三実施例を以下に説
明する。なお、第三実施例においては上記第一実施例と
の相違点のみを説明し、上記第一実施例と同一の構成に
ついては図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】図9は本発明の第三実施例の高速巻取ボビ
ンの正面図、図10は図9のB−B線断面図である。
【0050】第三実施例は、第一実施例の高速巻取ボビ
ンのボビン本体10の糸挾持部11の周方向の延長線上
の所定角度位置に、ボビン本体10に巻き取られた糸Y
とボビン本体10との間に空隙を形成する糸取凹部51
を設けたものである。その他の構成は第一実施例の高速
巻取ボビンと同様である。前記糸取凹部51は、図9及
び図10に示すように、作業者が指或いは治具を挿入し
て糸取凹部51上の糸Yに指を掛けることができるよ
う、その平面をボビン本体10の一端縁から中央に向か
って凹設した略半円状とするとともに、その断面を湾曲
凹状としている。また、糸取凹部51は、糸挾持部11
の周方向反対側の所定角度位置(図示の例では略中央位
置)に設けられている。しかし、本発明においては、糸
取凹部51の形状及び配置構成は図示の例に限定される
ものではなく、糸の除去を容易にする限りにおいて、そ
の形状を平面略半橢円形状としたり、断面略四角凹状と
したり、或いは、ボビン本体10の一端縁から開放する
切欠き形状とすることなく、糸Yに対向する位置にのみ
凹設する等、他の種々の形状及び配置構成としてもよ
い。
【0051】本実施例は、上記のように、第一実施例の
高速巻取ボビンに糸取凹部51を設けたため、第一実施
例と同様の作用及び効果が得られる。また、ボビン交換
した後の空ボビン10Bには、糸挾持部11に糸端を挾
持された糸Yが、ボビン本体10の一端部に数周巻き回
された状態で残っており、この残糸は次回の糸Yの巻き
取りのために、ボビン本体10から取除く必要がある
が、このとき、糸取凹部51の糸Yとボビン本体10の
糸取凹部51底面との間に所定の空隙が形成され、その
空隙内に作業者が指等を挿入可能となっている。その結
果、その空隙内に指等を差込むことにより、空隙部分の
糸Yに簡単かつ確実に指等を掛けることができ、糸Yの
除去を容易に行なうことができる。
【0052】ところで、上記第一実施例の糸挾持部11
の凹部12は有底の四角凹状に形成されているが、本発
明を実施する場合には、これに限定されるものではな
く、挾持溝14の加工形成を容易にすべく機能するもの
であればよく、例えば、角丸四角凹状等、適宜他の形状
に変更してもよい。また、境界部13に形成する挾持溝
14の形状も、第一実施例で図示したもの以外に、ボビ
ン交換時に、糸Yを確実に挾持し、かつ、満巻ボビン1
0Aと空ボビン10Bとの間で糸切りを可能にする限り
において、略二段U溝状等、他の形状とすることができ
る。同様に、上記第一実施例の両案内溝17,18また
は導入溝19の形状を適宜変更してもよい。即ち、上記
第一実施例の糸挾持部11の前記境界部13を形成する
構成として、前記有底の凹部12の代わりに、ボビン本
体10の一端部を厚さ方向に貫通する貫通凹部として構
成してもしてもよい。この場合、金型の製作がより容易
となる。更に、前記挾持溝14は、その深さを徐々に大
きくしたり、或いは、小さくしたりする等、深さに変化
をつけて形成してもよい。この場合、糸Yの番手、糸Y
の接触圧、または挾持溝14の広角部14aまたは狭角
部14bの角度等の諸条件を考慮して、その深さを決定
する。これは、導入溝19と挾持溝14または案内溝1
7,18との関係についても同様である。この場合にお
いて、挾持溝14の広角部14a及び狭角部14bのそ
れぞれの深さにも、前記諸条件を考慮して変化をつける
構成としてもよい。
【0053】更に、上記第二実施例の装着体43の弾性
部45は、略波板状に形成されているが、本発明を実施
する場合には、これに限定されるものではなく、保持凹
部42の側面との間で弾性的に糸Yを挾持可能な限りに
おいて、他の形状を採用してもよい。また、保持凹部4
2に装着体43を保持する係止凹部42aと係合凸部4
4も、他の位置に設ける等、適宜その構成を変更しても
よい。
【0054】また、上記第三実施例の糸取凹部51は、
第一実施例の高速巻取ボビンに具体化したが、これを第
二実施例の高速巻取ボビンに具体化してもよい。
【0055】なお、上記各実施例の高速巻取ボビンは、
高速全自動巻取機に使用する場合について説明したが、
これをその他の巻取機に使用することも無論可能であ
る。
【0056】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明の高速巻
取ボビンは、合成樹脂により円筒状に形成され、糸の巻
取りを自在としたボビン本体と、前記ボビン本体の軸方
向の一端部の周方向の所定角度範囲にわたって、所定の
間隔毎に連続形成した複数の凹部と、前記凹部間で形成
された境界部と、前記境界部に形成され、前記一端部の
周方向に沿って延び、糸を挾持自在な細溝状をなす挾持
溝とを有する糸挾持部とを具備するものである。
【0057】したがって、ボビン本体を合成樹脂により
形成したため、従来の紙管における水分吸収による寸法
精度の誤差、強度不足等の不具合を解消できる。その結
果、使用回数を増加して、製品寿命を延長し、コストを
低下することができる。また、軸方向一端部の周方向の
所定角度範囲にわたって所定間隔で凹部を複数配置し
て、その凹部間の境界部に糸を挾持自在な挾持溝を形成
したため、正確かつ微細な加工を必要とする挾持溝を、
成形後に切削等の二次加工により形成することができ、
成形金型自体の構成は、挾持溝を除いた部分の形成を行
なうだけの簡単なものとすることができる。その結果、
成形金型のコストを低減し、製造コストを削減すること
ができる。また、金型に挾持溝形成用の精密加工を施す
必要がないため、金型自体の寿命を延ばすことができ、
一層成形金型のコストを低減し、製造コストを削減する
ことができる。そして、全自動高速巻取機に使用された
場合、挾持溝を有する糸挾持部が、糸を挾持溝に食込ま
せて確実に挾持するため、満巻ボビンとの間での糸の緊
張による糸の切断及びその後の糸端の挾持が円滑かつ良
好に行なわれる。その結果、全自動高速巻取機において
も、円滑なボビン交換作業を行なうことができる。加え
て、軸方向一端部に複数配置された凹部により、ボビン
使用後における端部の残糸の除去作業が容易となる。そ
の結果、空ボビンの再供給を迅速に行なって作業効率を
向上することができる。
【0058】請求項2の発明にかかる高速巻取ボビン
は、合成樹脂により円筒状に形成され、糸の巻取りを自
在としたボビン本体と、前記ボビン本体の軸方向一端部
の周方向の所定角度範囲に延設された保持凹部と、前記
保持凹部に装着保持されて前記保持凹部の側面に弾性的
に圧接される装着体からなり、前記保持凹部の側面と前
記装着体との間で糸を挾持自在な糸挾持部とを具備する
ものである。
【0059】したがって、ボビン本体を合成樹脂により
形成したため、従来の紙管における水分吸収による寸法
精度の誤差、強度不足等の不具合を解消できる。その結
果、使用回数を増加して、製品寿命を延長し、コストを
低下することができる。また、前記ボビン本体の軸方向
一端部の周方向の所定角度範囲に延設された保持凹部
と、前記保持凹部に装着保持されて前記保持凹部の側面
に弾性的に圧接される装着体とから糸挾持部を構成し、
前記保持凹部の側面と前記装着体との間で糸を挾持自在
としたため、正確かつ微細な加工を必要とする挾持溝
を、予め成形時に形成する必要はなく、成形金型自体の
構成は、ボビン本体または装着体の形成を行なうだけの
簡単なものとすることができる。その結果、成形金型の
コストを低減し、製造コストを削減することができる。
また、金型に挾持溝形成用の精密加工を施す必要がない
ため、金型自体の寿命を延ばすことができ、一層成形金
型のコストを低減し、製造コストを削減することができ
る。そして、全自動高速巻取機に使用された場合、糸挾
持部が、保持凹部側面と装着体との間で糸を確実に挾持
して、満巻ボビンとの間での糸の緊張による糸の切断及
びその後の糸端の挾持を円滑に行なう。その結果、全自
動高速巻取機においても、円滑なボビン交換作業を行な
うことができる。加えて、ボビン本体の保持凹部から装
着体を取外すことにより、ボビン使用後における端部の
残糸の除去作業を容易に行なうことができる。その結
果、空ボビンの再供給を迅速に行なって作業効率を向上
することができる。また、糸の切断及び挾持時における
摩耗等により、ボビン本体より早期に疲弊する可能性の
ある装着体のみを、単独で交換することができるため、
ボビン本体をその耐用期間一杯まで使用することができ
る。その結果、再生回数を減少して、コストを一層低減
することができる。更に、装着体を適宜交換することに
より、糸の番手に合わせて、糸の切断及び食込み挾持の
ための挾持力の調整を行なうことができる。その結果、
不意の糸の不挾持等を防止して、ボビン交換作業を確実
かつ円滑に行なうことができ、作業効率を向上すること
ができる。また、高速巻取ボビンに巻き取る糸の番手の
変更に応じて、新しい金型を製作する必要はなく、装着
体を必要種類用意しておけば足りるため、その分のコス
ト上昇だけで押えることができ、全体のコストの低減に
貢献することができる。
【0060】請求項3の発明にかかる高速巻取ボビン
は、請求項1または2の発明において、更に、前記ボビ
ン本体の前記糸挾持部の周方向の延長線上の所定角度位
置に設けられ、前記ボビン本体に巻き取られた糸と前記
ボビン本体との間に空隙を形成する糸取凹部を具備する
ものである。
【0061】したがって、ボビン交換した後の空ボビン
には、糸挾持部に糸端を挾持された糸が、ボビン本体の
一端部に数周巻き回された状態で残っており、この残糸
は次回の糸の巻き取りのために、ボビン本体から取除く
必要があるが、このとき、糸取凹部の糸とボビン本体と
の間に所定の空隙が形成され、その空隙内に作業者が指
等を挿入可能となっている。その結果、その空隙内に指
等を差込むことにより、空隙部分の糸に簡単かつ確実に
指等を掛けることができ、糸の除去を容易に行なうこと
ができる。
【0062】請求項4の発明にかかる高速巻取ボビン
は、合成樹脂により円筒状に形成され、糸の巻取りを自
在としたボビン本体と、前記ボビン本体の軸方向一端部
の周方向の所定角度範囲に延設された糸を挾持自在な糸
挾持部と、前記ボビン本体の前記糸挾持部の周方向の延
長線上の所定角度位置に設けられ、前記ボビン本体に巻
き取られた糸と前記ボビン本体との間に空隙を形成する
糸取凹部とを具備するものである。
【0063】したがって、ボビン本体を合成樹脂により
形成したため、従来の紙管における水分吸収による寸法
精度の誤差、強度不足等の不具合を解消できる。また、
全自動高速巻取機に使用された場合、ボビン本体の軸方
向一端部の周方向の所定角度範囲に延設した糸挾持部
が、糸を確実に挾持する。その結果、満巻ボビンとの間
での糸の緊張による糸の切断及びその後の糸端の挾持が
円滑かつ良好に行なわれる。加えて、ボビン交換した後
の空ボビンには、糸挾持部に糸端を挾持された糸が、ボ
ビン本体の一端部に数周巻き回された状態で残ってお
り、この残糸は次回の糸の巻き取りのために、ボビン本
体から取除く必要があるが、このとき、糸取凹部の糸と
ボビン本体との間に所定の空隙が形成され、その空隙内
に作業者が指等を挿入可能となっている。その結果、そ
の空隙内に指等を差込むことにより、空隙部分の糸に簡
単かつ確実に指等を掛けることができ、糸の除去を容易
に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第一実施例の高速巻取ボビンの
正面図である。
【図2】図2は図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は本発明の第一実施例の高速巻取ボビンの
糸挾持部を示す展開図である。
【図4】図4は本発明の第一実施例の高速巻取ボビンの
糸挾持部の要部拡大断面図であり、(a)は案内溝、
(b)は導入溝、(c)は挾持溝を示す。
【図5】図5は本発明の高速巻取ボビンのボビン交換作
業を示す概略図である。
【図6】図6は本発明の第二実施例の高速巻取ボビンの
正面図である。
【図7】図7は本発明の第二実施例の高速巻取ボビンの
側面図である。
【図8】図8は本発明の第二実施例の高速巻取ボビンの
糸挾持部を示す展開図である。
【図9】図9は本発明の第三実施例の高速巻取ボビンの
正面図である。
【図10】図10は図9のB−B線断面図である。
【符号の説明】
10 ボビン本体 11 糸挾持部 12 凹部 13 境界部 14 挾持溝 15 糸巻取部 41 ボビン本体 42 保持凹部 43 装着体 46 糸巻取部 51 糸取凹部 Y 糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松下 貞利 岐阜県岐阜市長良真生町3丁目22番地 双 葉ボビン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂により円筒状に形成され、糸の
    巻取りを自在としたボビン本体と、 前記ボビン本体の軸方向の一端部の周方向の所定角度範
    囲にわたって、所定の間隔毎に連続形成した複数の凹部
    と、前記凹部間で形成された境界部と、前記境界部に形
    成され、前記一端部の周方向に沿って延び、糸を挾持自
    在な細溝状をなす挾持溝とを有する糸挾持部とを具備す
    ることを特徴とする高速巻取ボビン。
  2. 【請求項2】 合成樹脂により円筒状に形成され、糸の
    巻取りを自在としたボビン本体と、 前記ボビン本体の軸方向一端部の周方向の所定角度範囲
    に延設された保持凹部と、前記保持凹部に装着保持され
    て前記保持凹部の側面に弾性的に圧接される装着体から
    なり、前記保持凹部の側面と前記装着体との間で糸を挾
    持自在な糸挾持部とを具備することを特徴とする高速巻
    取ボビン。
  3. 【請求項3】 更に、前記ボビン本体の前記糸挾持部の
    周方向の延長線上の所定角度位置に設けられ、前記ボビ
    ン本体に巻き取られた糸と前記ボビン本体との間に空隙
    を形成する糸取凹部を具備する請求項1または請求項2
    記載の高速巻取ボビン。
  4. 【請求項4】 合成樹脂により円筒状に形成され、糸の
    巻取りを自在としたボビン本体と、 前記ボビン本体の軸方向一端部の周方向の所定角度範囲
    に延設された糸を挾持自在な糸挾持部と、 前記ボビン本体の前記糸挾持部の周方向の延長線上の所
    定角度位置に設けられ、前記ボビン本体に巻き取られた
    糸と前記ボビン本体との間に空隙を形成する糸取凹部と
    を具備することを特徴とする高速巻取ボビン。
JP16696093A 1993-07-06 1993-07-06 高速巻取ボビン Pending JPH0725548A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019003195A1 (en) * 2017-06-29 2019-01-03 Toray Opelontex Co., Ltd. PACKAGING REINFORCED BODY OF ELASTIC THREAD
CN109335877A (zh) * 2018-12-04 2019-02-15 庞芹祥 一种低纤度纺丝专用筒管
US11305962B2 (en) 2017-06-29 2022-04-19 Toray Opelontex Co., Ltd. Elastic yarn wound body package

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