JPH07244180A - 核燃料要素 - Google Patents

核燃料要素

Info

Publication number
JPH07244180A
JPH07244180A JP6038295A JP3829594A JPH07244180A JP H07244180 A JPH07244180 A JP H07244180A JP 6038295 A JP6038295 A JP 6038295A JP 3829594 A JP3829594 A JP 3829594A JP H07244180 A JPH07244180 A JP H07244180A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nuclear fuel
oxide
pellet
pellets
uranium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6038295A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Ishimoto
慎二 石本
Koichi Yanai
康一 梁井
Ryoichi Yuda
良一 油田
Masaki Amaya
政樹 天谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Nuclear Fuel Development Co Ltd
Original Assignee
Nippon Nuclear Fuel Development Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Nuclear Fuel Development Co Ltd filed Critical Nippon Nuclear Fuel Development Co Ltd
Priority to JP6038295A priority Critical patent/JPH07244180A/ja
Publication of JPH07244180A publication Critical patent/JPH07244180A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】核燃料被覆管の破損事故時おいて、従来よりも
安全な、核燃料要素を得る。 【構成】核燃料ペレット1における酸素原子の数と金属
原子の数との比が2.00〜2.25の範囲内にあるよう
に、核燃料ペレット1に4価のウランよりも低原子価の
金属の酸化物を固溶し、また、核燃料ペレット1の表面
温度における酸素ポテンシャルが−250kJ/mol
以上に、核燃料ペレット1の中心部における酸素ポテン
シャルが−300kJ/mol以下に、それぞれ維持で
きるようなガス2を、ジルコニウムを主成分とする核燃
料被覆管3に封入してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核分裂性物質を含む酸
化物からなる核燃料ペレットを、ジルコニウムを主成分
とする核燃料被覆管に封入してなる核燃料要素に関す
る。
【0002】
【従来の技術】軽水炉では、二酸化ウランからなる核燃
料ペレット、又は二酸化ウランに可燃性毒物として酸化
ガドリニウムを添加した核燃料ペレットを、ジルコニウ
ムを主成分とする核燃料被覆管に封入した核燃料要素が
多く用いられている。
【0003】従来、核燃料ペレットと核燃料被覆管との
相互作用(PCI)による核燃料要素の破損が問題視さ
れている。PCI破損は、核燃料ペレットと核燃料被覆
管との機械的相互作用(PCMI)に加え、化学的相互
作用(PCCI)で生じた応力腐食割れ(SCC)によ
って発生すると考えられている。(以下、これを一次破
損と略称する。)一次破損では、ピンホール状の割れ、
Xマーク状の割れ、又は軸方向につながる割れが観察さ
れているが、このような割れが核燃料被覆管を貫通した
場合には、冷却水が核燃料被覆管内に侵入して、核燃料
被覆管の内面の水素化、及び核燃料ペレットの酸化膨張
などが発生する。(以下、これを二次破損と略称す
る。)二次破損を回避するには、核燃料ペレット及び核
燃料被覆管の両方に対して、酸化及び腐食の発生を防止
する必要がある。しかし従来では、一次破損対策に重点
がおかれていた。
【0004】すなわち、核燃料被覆管の内面の水素化、
及び過剰の酸化を防止するため、核燃料要素のプレナム
部に水素ゲッタ等を用いる方法が特開昭48−8099
2号公報などに開示され、また、核燃料被覆管の内面を
酸化させて酸化物を形成する方法が特開昭54−425
99号公報などに開示されている。
【0005】更に、核燃料被覆管の内面を酸化物でコー
ティングする方法、及び腐食の原因となる元素のゲッタ
となる物質を核燃料ペレットに添加する方法が、特開昭
55−151291号公報、及び特開昭56−1418
7号公報などに開示されている。
【0006】また、核燃料ペレットの酸素原子の数とウ
ラン原子の数との比(=O/U)を2より大きくした核
燃料ペレットを用い、運転時に過剰の酸素を放出させ、
核燃料被覆管の内面に酸化膜を形成させる方法が、特開
昭53−76299号公報などに開示されている。
【0007】また、核燃料ペレットのO/Uを2.15
〜2.25とし、封入ガスとして炭酸ガスを用い、運転
時に核燃料被覆管の内面に酸化膜を形成させ、かつ運転
時に核燃料ペレットのO/Uを2.15〜2.25に維持
する方法が、特開昭55−152494号公報に開示さ
れている。
【0008】また、2価及び3価の低原子価の金属の酸
化物を二酸化ウランに添加する方法が、特開昭55−8
7993号公報に開示されている。
【0009】更に、二酸化ウランに酸化カルシウムを添
加し、O/Uを2より大きくした核燃料ペレットが特開
昭55−143488号公報に開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の公知例
において、特開昭48−80992号公報、特開昭54
−42599号公報、特開昭55−151291号公
報、及び特開昭56−14187号公報などの場合は、
二次破損に対しては特別に考慮されておらず、核燃料ペ
レットの破損時における核燃料ペレットの酸化及び膨張
の防止対策については述べられていない。
【0011】特開昭53−76299号公報などの場合
は、核燃料被覆管の内面に酸化膜を形成した後は、核燃
料ペレットのO/Uはほぼ2となり、核燃料ペレット
は、従来の核燃料ペレットと同様の動作を示すことにな
る。
【0012】特開昭55−152494号公報の場合
は、二酸化ウランからなる核燃料ペレットの酸素ポテン
シャルは、O/Uの増加に伴い、高くなる。したがっ
て、O/Uの高い核燃料ペレットは、O/Uが2である
従来の核燃料ペレットに比べて耐酸化性を有し、二次破
損に対しても有効である。しかしその反面、O/Uの高
い、二酸化ウランからなる核燃料ペレットでは、高次の
酸化ウラン(U49等)が析出し、体積が膨張したり、
クラックが形成されたりする。
【0013】特開昭55−87993号公報の場合は、
低原子価の金属イオンを固溶して、核分裂生成ガスの拡
散速度を低下させ、核分裂生成ガス(FPガス)の放出
率を低減することを目的としているが、近年、照射下で
は、照射によって拡散が加速され、低原子価の酸化物の
固溶効果が失われることが明らかになってきている。
【0014】また、酸素原子の数と金属原子の数との比
(=O/M)が同じである核燃料ペレットでは、低原子
価の酸化物の固溶量の増加に伴い、酸素ポテンシャルが
高くなることがわかっており、低原子価の酸化物を固溶
する方法は、耐酸化性という点で効果がある。しかし、
通常の燃料運転条件では、低原子価の酸化物を固溶した
二酸化ウランからなる核燃料ペレットは還元され、酸素
ポテンシャルは低下し、二次破損初期の耐酸化性の効果
は低減することになる。
【0015】特開昭55−143488号公報の場合
は、通常の燃料運転条件で還元され、酸素ポテンシャル
が低下してしまうか、又は核燃料ペレットの全体のO/
Uが高いときには特に核燃料ペレット中心部分における
FPガスの拡散が促進され、FPガス放出率を高めてし
まうことになる。更に、非核燃料物質の添加により核分
裂性物質密度は低下し、燃料サイクルコストが増加する
ことになる。
【0016】本発明は、上記のような状況に鑑みなされ
たものであり、核燃料被覆管の破損事故時において、従
来よりも安全な、核燃料要素を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は、次のように
して達成することができる。
【0018】(1)核分裂性物質を含む酸化物からなる
核燃料ペレットを、ジルコニウムを主成分とする核燃料
被覆管に封入してなる核燃料要素において、核燃料ペレ
ットには4価のウランよりも低原子価の金属の酸化物が
固溶され、核燃料ペレットにおける酸素原子の数と金属
原子の数との比が全体平均として2.00〜2.25の範
囲内にあり、核燃料被覆管にはガスが封入され、核燃料
ペレットの表面温度における酸素ポテンシャルが−25
0kJ/mol以上に、核燃料ペレットの中心温度にお
ける酸素ポテンシャルが−300kJ/mol以下に、
それぞれ維持されていること。
【0019】(2)(1)において、核燃料ペレットに
おける4価のウランを除く他のウランイオン及び低原子
価イオンの平均イオン半径が、4価のウランの平均イオ
ン半径よりも小さくなるように、核燃料ペレットにおけ
る、核燃料ペレットに固溶される低原子価の金属の酸化
物の濃度と、酸素原子の数と金属原子の数との比とを組
み合わせてあること。
【0020】
【作用】本発明では、核分裂性物質を含む酸化物よりな
る核燃料ペレットを、ジルコニウムを主成分とする核燃
料被覆管に封入してなる核燃料要素において、耐酸化性
を有する核燃料ペレットを用い、その効果が照射下でも
維持できるようなガスを核燃料ペレット内に封入してあ
る。
【0021】すなわち、核燃料ペレットにおけるO/M
が2.00〜2.25の範囲内にあるように、核燃料ペレ
ットに4価のウランよりも低原子価の金属の酸化物を固
溶し、更に、核燃料被覆管内にガスを封入し、核燃料ペ
レットの表面温度における酸素ポテンシャルが−250
kJ/mol以上に、核燃料ペレットの中心温度におけ
る酸素ポテンシャルが−300kJ/mol以下に、そ
れぞれ維持できるようにしてある。
【0022】したがって、従来の核燃料ペレットに比
べ、特に核燃料ペレットの表面近傍において高酸素ポテ
ンシャルを維持することができ、非核燃料物質の添加に
よる核分裂性物質密度の低下を防止又は抑制することが
できる。
【0023】すなわち、二次破損が生じた場合でも、酸
化の進行速度が遅いか、酸化の反応量が少ないか、又は
酸化しないため、従来の核燃料ペレットに比べて、核燃
料ペレットの健全性を保つことができる。更に、照射中
でも耐酸化性を維持することができる。特に、核燃料ペ
レット表面近傍における耐酸化性が強化され、かつそれ
が維持され、核燃料ペレットの中心部分におけるFPガ
スの拡散速度を従来通りに維持することができる。
【0024】また、固溶する低原子価の酸化物の濃度
と、O/Mとの組合わせを選ぶことにより、核燃料ペレ
ットにおける4価のウランを除く他のウランイオン及び
低原子価イオンの平均イオン半径が、4価のウランのイ
オン半径よりも小さくなるようにしてある。
【0025】したがって、核燃料ペレットの格子定数は
小さくなり、単位体積あたりの金属原子数を増加させる
ことができるので、非核燃料物質である低原子価の金属
の固溶による核分裂密度の低下を防止又は抑制すること
ができる。
【0026】
【実施例】本発明の一実施例を、図1を用いて説明す
る。図1は本発明の一実施例である核燃料要素の要部縦
断面図である。
【0027】本実施例では、核燃料ペレット1には、O
/Mが2.00〜2.25の範囲内にあるように、4価の
ウランよりも低原子価の金属の酸化物を固溶してあり、
また、核燃料ペレット1の表面温度における酸素ポテン
シャルが−250kJ/mol以上に、核燃料ペレット
1の中心部における酸素ポテンシャルが−300kJ/
mol以下にそれぞれなるようなガス2を、ジルコニウ
ムを主成分とする核燃料被覆管3に封入している。
【0028】このような構成になる核燃料要素に二次破
損が生じた場合は、核燃料ペレット1は高酸素ポテンシ
ャルの下にさらされるが、核燃料ペレット1は、照射中
でも、核燃料ペレット1の表面では高酸素ポテンシャル
を維持し、核燃料ペレット1の酸化の進行速度が遅い
か、酸化の反応量が少ないか、又は酸化しないため、従
来の核燃料ペレットに比べて核燃料ペレット1の健全性
を維持し、安全性を高めることができる。
【0029】本実施例では、核燃料ペレット1に固溶す
る低原子価の酸化物として、二酸化ウランに固溶する2
価及び3価の金属のうちの少なくとも一つの酸化物を用
いた。すなわち、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、
酸化ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ランタ
ン、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユーロピウ
ム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロ
シウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウ
ム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウムのうちの少な
くとも一つを用いた。
【0030】このうち、熱中性子吸収断面積が二酸化ウ
ランと同程度か、又は二酸化ウランより小さなものが、
核燃料ペレット1の中性子経済上での効果を示し、それ
らには、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スト
ロンチウム、酸化イットリウム、酸化ツリウムがある。
また、酸化ガドリニウムは、反応度制御用の可燃性毒物
として広く用いられ、近年、酸化ガドリニウムの添加量
が増大する傾向にある。
【0031】なお、核燃料ペレット1における低原子価
の酸化物の固溶量、及びO/Mの増加に伴い、核燃料ペ
レット1の酸素ポテンシャルは高くなるが、低原子価の
酸化物の過剰の固溶は、核分裂性物質密度の低下を招く
ことになる。
【0032】本実施例では、核燃料ペレット1における
4価のウランを除く他のウランイオン、及び低原子価イ
オンの平均イオン半径が、4価のウランのイオン半径よ
りも小さくなるように、低原子価の酸化物の固溶量とO
/Mとを組み合わせた。
【0033】その結果、核燃料ペレット1の格子定数は
小さくなり、単位体積あたりの金属原子数を増加させる
ことができた。特に、酸化物が、金属イオンのイオン半
径と4価のウランのイオン半径との差が4価のウランの
イオン半径、及び5価のウランのイオン半径よりも小さ
な低原子価の場合に、核燃料物質密度の低下の防止及び
抑制に効果的であった。
【0034】また、O/Mの過剰の増加は、高次のウラ
ン酸化物の生成を招くことになり、低原子価の酸化物を
固溶した核燃料ペレットにおける二酸化ウランは、純粋
な二酸化ウランに比べて、比較的広いO/Mで蛍石型の
結晶構造を有すると考えられ、O/Mが2.25を超え
た場合には、二酸化ウランと同様に高次の酸化物を形成
する可能性がある。
【0035】したがって、O/Mは2.25以下である
ことが望ましく、また、従来の二酸化ウランからなる核
燃料ペレットのO/Uがほぼ2であり、同じO/Mをも
つ場合は、低原子価の酸化物を固溶した二酸化ウランか
らなる核燃料ペレットのほうが、酸素ポテンシャルは高
い。したがって、低原子価の酸化物を固溶した核燃料ペ
レットはO/Mが2以上で、従来の核燃料ペレットより
も耐酸化性を示すことになる。
【0036】次に、本実施例における核燃料ペレットの
製造方法について説明する。すなわち、核燃料ペレット
におけるO/Mが2.00〜2.25の範囲内にあるよう
に、核燃料ペレットに4価のウランよりも低原子価の金
属の酸化物を固溶する。次いで、この低原子価の酸化物
粉末と二酸化ウラン粉末とを混合した後、これを成形す
る。更に、この成形したものを、酸素ポテンシャルが−
400kJ/mol以上となる雰囲気中で焼結した後、
核燃料ペレットのO/Mが2.00〜2.25となるよう
な酸素ポテンシャル下で焼鈍する。すなわち、このよう
にして、所要の核燃料ペレットを製造した。
【0037】通常、低原子価の酸化物を固溶した核燃料
ペレットにおける二酸化ウランの焼結速度は、純粋の二
酸化ウランの焼結速度より遅いが、上述のように酸化物
粉末と混合する際、本実施例では、焼結助剤として酸化
アルミニウムと酸化ケイ素との両方を含む混合粉末又は
化合物粉末を少量添加した。その結果、低原子価の酸化
物の固溶性が向上し、核燃料ペレット内に低原子価の金
属が均一に固溶され、かつ、結晶粒径の大きな核燃料ペ
レットが得られた。
【0038】図2は、核燃料ペレットの酸素ポテンシャ
ルに関する本実施例と従来との比較線図であり、横軸に
核燃料ペレットの温度、縦軸に酸素ポテンシャルを、そ
れぞれとっている。
【0039】本実施例の核燃料ペレットの酸素ポテンシ
ャル4は、従来の二酸化ウランからなる核燃料ペレット
の酸素ポテンシャル5における温度依存性の勾配とは、
逆の向きの勾配をもち、かつ核燃料ペレットの全体平均
で高く、特に、核燃料ペレットの表面近傍で著しく高く
なっている。
【0040】二次破損が生じた場合、核燃料被覆管内に
冷却水が侵入し、核燃料ペレットの表面で高圧の水蒸気
が生成すると考えられる。すなわち、水蒸気は、平衡下
では、
【0041】
【化1】 2H2+O2=2H2O ……………………………………(1) の反応における平衡濃度をもつ。二次破損で生じた水蒸
気により核燃料ペレットが酸化した場合には、酸化反応
において同時に生成される水素がジルコニウムと反応
し、破損を更に拡大するものと考えられる。
【0042】従来の二酸化ウランからなる核燃料ペレッ
トの酸素ポテンシャル5は、水蒸気/水素が1のときの
水素−酸素−水蒸気ガスの酸素ポテンシャル6よりも低
くなるので、従来の核燃料ペレットはこのガスで酸化す
ることになる。
【0043】一方、本実施例の核燃料ペレットの酸素ポ
テンシャル4は、水蒸気/水素が1のときの水素−酸素
−水蒸気ガスの酸素ポテンシャル6よりも高温となる中
心部分を除く、核燃料ペレットのほぼ全体にわたって高
くなるので、核燃料ペレットの表面の酸化を防止するこ
とができる。
【0044】また、本実施例の核燃料ペレットの酸素ポ
テンシャル4は、水蒸気/水素が107のときの水素−
酸素−水蒸気ガスの酸素ポテンシャル7よりも核燃料ペ
レットの表面近傍で高くなるので、高圧の水蒸気が生成
した場合でも核燃料ペレットの表面の酸化を防止するこ
とができる。
【0045】核燃料ペレットの表面の酸素ポテンシャル
が−200kJ/mol以上であれば、水蒸気/水素が
108のガスにさらされても核燃料ペレットの表面は酸
化しない。一方、O/Uが2.00の二酸化ウランから
なる核燃料ペレットの中心部の酸素ポテンシャルは−4
00〜−300kJ/molとなる。したがって、少な
くとも従来と同程度のFPガスの拡散挙動を示すには、
核燃料ペレットの中心部の酸素ポテンシャルは−300
kJ/mol以下である必要がある。
【0046】核燃料ペレットの表面の酸素ポテンシャル
を−250kJ/mol以上にし、核燃料ペレットの中
心部の酸素ポテンシャルを−300kJ/mol以下に
するガスとしては、一酸化炭素とヘリウムとの混合ガス
がある。また、一酸化炭素及び一酸化珪素の各ガスのう
ちの少なくとも一つと、酸素、窒素、硫黄、リン、及び
それらの酸化ガスのうちの少なくとも一つとからなるガ
スをあげることができる。
【0047】また、一酸化炭素及び一酸化珪素の各ガス
のうちの少なくとも一つを用いるかわりに、炭素(グラ
ファイト)又は珪素の固体粉末を、核燃料ペレットの表
面に付着させるか、もしくは内部に分散させ、封入ガス
として酸素ガス等を用いることができる。例えば、炭素
(固体)、珪素(固体)、窒素ガス及び酸素ガスを用
い、次のような平衡、すなわち、
【0048】
【化2】 C+0.5Si+0.25N2+O2=CO+0.5SiO+0.5NO…(2) を成立させると、核燃料ペレットの表面近傍における酸
素ポテンシャルは約−200kJ/mol、核燃料ペレ
ット中心部における酸素ポテンシャルは約−350〜−
400kJ/molとなる。
【0049】更に、核燃料被覆管としては、次のような
構成のものが望ましく、本実施例では、そのなかから選
択した。すなわち、それらは、(1)ジルコニウム合金
からなる核燃料被覆管の内面に酸化ジルコニウムの薄膜
を生成させたもの、(2)ジルコニウム合金からなる核
燃料被覆管の内面に酸化ジルコニウムの薄膜をコーティ
ングしたもの、(3)ジルコニウム合金からなる核燃料
被覆管の内面にジルコニウム金属のライナー層を設け、
その表面を酸化させたもの、(4)ジルコニウム合金か
らなる核燃料被覆管の内面にジルコニウム金属のライナ
ー層を設け、その表面に酸化ジルコニウムをコーティン
グしたもの、(5)ジルコニウム合金からなる核燃料被
覆管、又はジルコニウム合金からなる核燃料被覆管の内
面にライナー層を設けたジルコニウム合金からなる核燃
料被覆管の内面に、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム
及び酸化ケイ素などの高低酸素ポテンシャル下で化学的
に安定な酸化物をコーティングしたもの、である。
【0050】また、内面にジルコニウム酸化物を固溶す
る核燃料被覆管では、酸素の拡散係数を小さくする元
素、例えばリン等をジルコニウム酸化物に添加して、耐
酸化性を、より向上させることができる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、核燃料ペレットの酸化
の防止又は抑制が可能となるので、核燃料被覆管の破損
時において、従来よりも安全な、核燃料要素を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の核燃料要素の要部縦断面図
である。
【図2】本発明の一実施例と従来との核燃料ペレットの
酸素ポテンシャルに関する比較線図である。
【符号の説明】
1…核燃料ペレット、2…ガス、3…核燃料被覆管、4
…本発明の一実施例における核燃料ペレットの酸素ポテ
ンシャル、5…従来の二酸化ウランからなる核燃料ペレ
ットの酸素ポテンシャル、6…水蒸気/水素が1のとき
の水素−酸素−水蒸気ガスの酸素ポテンシャル、7…水
蒸気/水素比が107のときの水素−酸素−水蒸気ガス
の酸素ポテンシャル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天谷 政樹 茨城県東茨城郡大洗町成田町2163番地 日 本核燃料開発株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核分裂性物質を含む酸化物からなる核燃
    料ペレットを、ジルコニウムを主成分とする核燃料被覆
    管に封入してなる核燃料要素において、前記核燃料ペレ
    ットには4価のウランよりも低原子価の金属の酸化物が
    固溶され、前記核燃料ペレットにおける酸素原子の数と
    金属原子の数との比が全体平均として2.00〜2.25
    の範囲内にあり、前記核燃料被覆管にはガスが封入さ
    れ、前記核燃料ペレットの表面温度における酸素ポテン
    シャルが−250kJ/mol以上に、前記核燃料ペレ
    ットの中心温度における酸素ポテンシャルが−300k
    J/mol以下に、それぞれ維持されていることを特徴
    とする核燃料要素。
  2. 【請求項2】 前記核燃料ペレットにおける前記4価の
    ウランを除く他のウランイオン及び低原子価イオンの平
    均イオン半径が、前記4価のウランの平均イオン半径よ
    りも小さくなるように、前記核燃料ペレットにおける、
    前記核燃料ペレットに固溶される前記低原子価の金属の
    酸化物の濃度と、酸素原子の数と金属原子の数との比と
    を組み合わせてある請求項1記載の核燃料要素。
JP6038295A 1994-03-09 1994-03-09 核燃料要素 Pending JPH07244180A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6038295A JPH07244180A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 核燃料要素

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6038295A JPH07244180A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 核燃料要素

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07244180A true JPH07244180A (ja) 1995-09-19

Family

ID=12521326

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6038295A Pending JPH07244180A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 核燃料要素

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07244180A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006510900A (ja) * 2002-12-20 2006-03-30 ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー 核燃料棒
EP3843108A4 (en) * 2019-09-25 2022-06-01 Kepco Nuclear Fuel Co., Ltd. NUCLEAR FUEL URANIUM DIOXIDE PELLETS HAVING IMPROVED FISSION GAS CAPACITY AND METHOD FOR MAKING THEM

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006510900A (ja) * 2002-12-20 2006-03-30 ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー 核燃料棒
US7570728B2 (en) 2002-12-20 2009-08-04 Westinghouse Electric Sweden Ab Nuclear fuel rod
JP4708032B2 (ja) * 2002-12-20 2011-06-22 ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー 核燃料棒及び核燃料棒の製造方法
EP3843108A4 (en) * 2019-09-25 2022-06-01 Kepco Nuclear Fuel Co., Ltd. NUCLEAR FUEL URANIUM DIOXIDE PELLETS HAVING IMPROVED FISSION GAS CAPACITY AND METHOD FOR MAKING THEM
US11742097B2 (en) 2019-09-25 2023-08-29 Kepco Nuclear Fuel Co., Ltd. Uranium-dioxide pellet for nuclear fuel having improved nuclear-fission-gas adsorption property, and method of manufacturing same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1319450C (en) Nuclear fuel element having oxidation resistant cladding
RU2735243C2 (ru) Полностью керамическое микроинкапсулированное топливо, изготовленное с выгорающим поглотителем в качестве интенсификатора спекания
US3826754A (en) Chemical immobilization of fission products reactive with nuclear reactor components
US5699396A (en) Corrosion resistant zirconium alloy for extended-life fuel cladding
US10043595B2 (en) Uranium dioxide nuclear fuel pellet having ceramic microcells
EP0502395B2 (en) Method of manufacturing nuclear fuel pellets
US9653188B2 (en) Fabrication method of burnable absorber nuclear fuel pellets and burnable absorber nuclear fuel pellets fabricated by the same
US9378850B2 (en) Method for operating a nuclear reactor and use of a specific fuel rod cladding alloy in order to reduce damage caused by pellet/cladding interaction
JPH07244180A (ja) 核燃料要素
EP1265256B2 (en) Zirconium-alloy clad fuel rods containing metal oxide for mitigation of secondary hydriding
US4681732A (en) Method of and device for the reduction of reactivity of a nuclear reactor core
EP1573748B1 (en) A nuclear fuel rod
Hunt et al. Fission-product release during accidents—an accident management perspective
CN104838446B (zh) 添加至少一种氧化还原体系的作为腐蚀性裂变产物调节剂的氧化物核燃料
EP4036935A1 (en) Sintering additive for forming film capable of improving oxidation resistance of nuclear fuel pellets, and preparation method therefor
JPH01248092A (ja) 核燃料ペレットの製造法
JPH07181278A (ja) 核燃料要素
JPH06230161A (ja) ジルコニウム基合金
JPS58147676A (ja) 核燃料要素
JP3253989B2 (ja) 燃料集合体および混合酸化物燃料棒
JPH04279895A (ja) 核燃料ペレット
JPS63138295A (ja) 核燃料要素
JPH0365873B2 (ja)
JPH0693359A (ja) 耐食性ジルコニウム基合金
JP2001004770A (ja) 核燃料要素