JPH07242572A - ジメチルヘプタトリアコンタンおよびその類似体の製造方法 - Google Patents

ジメチルヘプタトリアコンタンおよびその類似体の製造方法

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JPH07242572A
JPH07242572A JP3458594A JP3458594A JPH07242572A JP H07242572 A JPH07242572 A JP H07242572A JP 3458594 A JP3458594 A JP 3458594A JP 3458594 A JP3458594 A JP 3458594A JP H07242572 A JPH07242572 A JP H07242572A
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mixture
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mmol
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JP3458594A
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Inventor
Kenji Mori
謙治 森
Keisuke Matsuyama
恵介 松山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 以下の式I: 【化1】 [式中、aおよびcはそれぞれ独立して8〜16の整数
であり、bは8〜12の整数である]で示されるジメチ
ルヘプタトリアコンタンおよびその類似体の製造方法で
あって、式II: 【化2】 で示されるジケトン化合物を出発原料とし、グリニヤー
ル試薬と反応させることを特徴とする方法が提供され
る。 【効果】 本方法により、ツエツエバエの1種の雌の性
フェロモンであると考えられている化合物およびその類
似体を簡便かつ効率的に、また大量に製造することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ツエツエバエの1種
Glossina tachinoidesの雌の性フェロモンであるとし
て平面構造が提案されている化合物 ジメチルヘプタト
リアコンタンおよびその類似体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アフリカでトリパノソーマ原虫を媒介す
ることから害虫とされているツエツエバエの1種 Glos
sina tachinoidesの雌の性フェロモンは、スペクトルに
より、下記式IIIで示される化合物と推定されて
いる。
【化3】 : l=11、m=11、n=11 : l=9、 m=11、n=13 : l=9、 m=9、 n=15 上記化合物は天然からの抽出および単離ではごく微量し
か得られず、また過去に合成した例はない。
【0003】類似の11,21−ジメチルペンタトリア
コンタンの立体異性体混合物については、下記の様に合
成されている。即ち、中央メチレン鎖部の原料にWitti
g塩を用い、2種類のメチルケトンとのWittig反応によ
って3種のジエンを合成し、水素添加の後にガスクロマ
トグラフィーで分取している[D.A.Carlsonら,J.Chem.E
col. 10, 429-450 (1984)]。
【化4】 しかし、ガスクロマトグラフィー分取によるこの方法で
は目的産物を大量に製造することができない。また、高
価なWittig試薬を用いるなど実用的な方法ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、.tachino
idesの性フェロモンと推定されている上記式IIIで示さ
れる化合物およびその類似体を簡便に効率よく、
また大量に製造する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、以下の
式I:
【化5】 [式中、aおよびcはそれぞれ独立して8〜16の整数
であり、bは8〜12の整数である]で示される化合物
の製造方法であって、(1)aとcが同一である場合に
は、式II:
【化6】 [式中、bは上記定義に同じである]で示されるジケトン
化合物をグリニヤール試薬:Me(CH2)aMgX[式中、
aは上記定義に同じであり、Xはハロゲン原子である]
と反応させ、その生成物を脱水、次いで水素添加して式
Iで示される化合物を得るか;または(2)aとcが異な
る場合には、上記式IIで示されるジケトン化合物の一方
のケトンをアセタール化して保護し、他方の遊離ケトン
を第1のグリニヤール試薬:Me(CH2)aMgX[式中、
aおよびXは上記定義に同じである]と反応させ、その
生成物を脱水し、次いで先に保護したケトンを脱アセタ
ール化して遊離ケトンとし、このケトンを第2のグリニ
ヤール試薬:Me(CH2)cMgX[式中、cおよびXは上
記定義に同じである]と反応させ、その生成物を脱水、
次いで水素添加して式Iで示される化合物を得る;こと
からなる方法が提供される。
【0006】さらに詳しくは、aとcが同一である上記
式Iで示される化合物は、以下の反応式1に示すように
製造することができる(反応式中、a、bおよびXは上
記定義に同じである)。
【化7】 即ち、ジケトン化合物(II)をグリニヤール試薬:Me(C
2)aMgXと反応させ、次いで水で処理してジアルコー
ル化合物(IV)を得る。このジアルコール化合物(IV)を脱
水してアルケン化合物(V)を得、次いでこのアルケン化
合物(V)に水素添加して式Iで示される化合物を得る。
【0007】また、aとcが異なっている上記式Iで示
される化合物は、以下の反応式2に示すように製造する
ことができる(エチレングリコールによるアセタール化
を例にとって示す)(反応式中、a、b、cおよびXは上
記定義に同じである)。
【化8】 即ち、ジケトン化合物(II)の一方のケトンをアセタール
化して化合物(VI)を得る。この化合物(VI)の遊離ケトン
を第1のグリニヤール試薬:Me(CH2)aMgXと反応さ
せ、次いで水で処理して化合物(VII)を得る。この化合
物(VII)を脱水して化合物(VIII)を得る。次いで、脱ア
セタール化を行なって化合物(IX)を得る。この化合物(I
X)を第2のグリニヤール試薬:Me(CH2)cMgXと反応
させ、次いで水で処理して化合物(X)を得る。この化合
物(X)を脱水して化合物(XI)を得る。次いで、この化合
物(XI)に水素添加して式Iで示される化合物を得る。
【0008】本方法で用いるグリニヤール試薬は周知の
方法で調製することができる。ハロゲン原子としては塩
素、臭素およびヨウ素が挙げられるが、臭素を用いるの
が好ましい。ケトンとグリニヤール試薬の反応は通常の
方法に従って行ってよい。反応に用いるケトン:グリニ
ヤール試薬のモル比は1:5〜10の範囲内であってよ
い。ジケトンを用いる場合には、グリニヤール試薬の量
を上記の2倍量としてよい。反応溶媒はグリニヤール反
応で一般に使用される溶媒、例えばテトラヒドロフラン
(THF)、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、エ
チレングリコールジメチルエーテルなどであってよい。
反応温度は0℃〜室温であってよく、このような条件下
で反応は1〜5時間で完結する。
【0009】ケトンのアセタール化は、ケトンとアルコ
ールを酸触媒の存在下に加熱することによって行うこと
ができる。アセタール化に用いるアルコールとしては、
任意の1価アルコールおよび2価アルコールを挙げるこ
とができるが、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノールなどの低級1価アルコールならびにエチ
レングリコール、プロピレングリコールなどの2価アル
コールが好ましい。通常、ケトンに対して過剰量のアル
コールを用いる。酸触媒としては、塩酸、硫酸、p-トル
エンスルホン酸、酢酸、臭化水素酸などを挙げることが
できる。反応溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの非プロトン性溶媒であってよい。反応温度は40〜
80℃であってよく、このような条件下で反応は1〜5
時間で完結する。本方法においてはジケトンの片方だけ
がアセタール化されたモノアセタール体が必要となる。
このモノアセタール体は、ジケトンをビスアセタール化
し、このビスアセタール体とほぼ等モル量のジケトンの
アセタール交換によって得るのが効率的である。ジケト
ンのビスアセタール化は、オルトギ酸トリメチルおよび
酸触媒の存在下にエチレングリコールを用いて行うのが
好ましい。この場合、ジケトン:CH(OMe)3:HO
(CH2)2OHのモル比は1:7〜12:7〜12の範囲
内であってよい。オルトギ酸トリメチルを用いる場合に
は、やや減圧下で反応を行い、生成するメタノールを除
去しながら行うのが好ましい。一方、脱アセタール化
は、酸水溶液中で加熱して加水分解することによって行
うことができる。酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、臭化
水素酸などを挙げることができる。反応溶媒は水単独で
あってもよいし、また、THF、ジオキサン、アセトニ
トリルなどの極性溶媒と水の混合溶媒であってもよい。
反応温度は40〜80℃であってよく、このような条件
下で反応は1〜5時間で完結する。
【0010】アルコール化合物の脱水反応は、例えば、
塩基性触媒の存在下に無水メタンスルホン酸と反応させ
ることによって行うことができる。この場合、反応に用
いるアルコール:Ms2O:塩基性触媒のモル比は1:4
〜7:8〜15の範囲内であってよい。ジオールを用い
る場合には、試薬の量を上記の2倍量としてよい。塩基
性触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリ
ンなどを挙げることができる。反応溶媒は、クロロホル
ム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トル
エン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、THFなどであ
ってよい。反応温度は0℃〜室温であってよく、このよ
うな条件下で反応は5分〜1時間で完結する。
【0011】アルケン化合物に対する水素添加は、触媒
の存在下に反応液を水素雰囲気下に置くことによって行
うことができる。触媒としては、PtO2、Pt/C、Rh
-Al23などの金属触媒を挙げることができる。また、
塩酸、酢酸などの酸触媒を加え、酸性条件下で水素添加
を行う。水素は1〜数気圧添加する。反応溶媒は、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素、メタノー
ル、エタノールなどのアルコール、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチルなどのエステル、および水であって
よい。反応温度は20〜40℃であってよく、このよう
な条件下で反応は5〜24時間で完結する。
【0012】aとcが異なる式Iの化合物を製造する際
には、上記反応式2に示すように式IIのジケトンの片方
だけを保護しなければならないが、片方だけを選択的に
保護するのは困難であり、また単離するのも困難であ
る。本発明者らは、式IIのジケトン化合物のアセタール
化、グリニヤール試薬との反応、所望の生成物の単離を
次のように効率的に行なった。即ち、ジケトンに対し、
オルトギ酸トリメチルおよびp-トルエンスルホン酸の存
在下、エチレングリコールによってエチレンアセタール
化し、ビスアセタール体へと導いた。これをほぼ1当量
のジケトンとp-トルエンスルホン酸の存在下にアセター
ル交換を行ない、ビスアセタール、モノアセタール、ジ
ケトンの約1:2:1の混合物を得た。この混合物とグ
リニヤール試薬(1,2−ジブロモエタン触媒により系内
で発生)を反応させ、生成したビスアセタール体、ヒド
ロキシアセタール、ジオールの分離不可能な混合物を無
水メタンスルホン酸とトリエチルアミンにより脱水し、
所望のオレフィニックアセタールを取り、未反応のビス
アセタールを回収した。
【0013】このように行なうことにより、特に後記実
施例3で用いた2,12−トリデカンジオンについて
は、対応するビスアセタールとのアセタール交換の後、
シリカゲルクロマトグラフィーによりジケトンを若干回
収することができ、2等量のグリニヤール試薬と反応し
て無駄になる分を減らすことができた。変換効率は、
2,14−ペンタデカンジオン ビス-エチレンアセター
ルからオレフィニックアセタールが36%とれた。ビス
アセタールの回収を考慮すれば収率は45%である(実
施例2)。また、2,12−トリデカンジオン ビス-エチ
レンアセタールからはオレフィニックアセタールが44
%とれ、ジケトンおよびビスアセタールの回収を考慮す
れば収率は66%であった(実施例3)。
【0014】本方法における出発原料である上記式IIで
示される化合物は、以下の反応式3のように製造するこ
とができる(反応式中、bは上記定義に同じである)。
【化9】 即ち、塩基の存在下でジブロミドにアセト酢酸エチルを
付加し、得られたジエステル化合物をアルカリでけん化
し、次いで酸で脱炭酸させて式IIの化合物を得る。
【0015】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。以下の実施例において、IRは日本分光(Diff
raction Grating Infrared Spectrophotometer) A
−102で、NMRはBruker AC300およびJEO
L JNM−EX90で、MSはJEOL DX303
で、屈折率はAtago NAR−1Tで、融点はYanaco m
icro-melting point apparatusでそれぞれ測定した。
【0016】実施例1 13,25−ジメチルヘプタト
リアコンタン() 本化合物を以下の反応式4に従って合成した。
【化10】
【0017】中間体として化合物のジケトンの合成が
必要である。化合物のジブロミドへのアセト酢酸エチ
ルの付加反応を用いるわけであるが、溶媒と塩基を種々
検討した結果、アセトン溶媒中で炭酸カリウムを塩基と
して用いたとき(塩基の溶解度を上げるため、溶媒中に
DMFを少量加えた)が最も優れた結果を与えた。ま
た、臭化物よりヨウ化物の方が反応性が高いことから、
反応液中でヨウ素置換を行った[K.Moriら, Tetrahedron
37, 3221 (1981)]。付加反応の結果生じた化合物
ジエステルをアルカリでけん化した後、酸で脱炭酸して
ジケトンを得た[Organic Syntheses Collective Volu
me 3, 317]。
【0018】ジケトンと側鎖のカップリングは以下のよ
うに行なった。ジケトンに大過剰のグリニヤール試薬
を反応させ、ジオールを得た。これは若干の不純物
(ジケトンの片方だけで反応が起こったヒドロキシケト
ンやグリニヤール試薬によってケトンが還元され、わず
かに残っていたブロミドとO−アルキル化を起こしたエ
ーテル)を含んでいたので、そのまま脱水反応にかけ
た。脱水条件としてはオキシ塩化リンでは微量のクロリ
ドが残ったので(これはDBUと一夜煮沸しても完全に
はハロゲンを除けなかった)、水酸基を無水メタンスル
ホン酸によってメシル化した後に脱メシル酸を行おうと
した。ここで幸運なことに、反応時に生じるメシル酸の
トラップ剤に用いたトリエチルアミンによって速やかに
脱メシル酸反応が起こったので、大過剰のトリエチルア
ミンを加えることにより、反応は一工程で進行した。得
られたジエン混合物に対する接触還元については、パ
ラジウム−炭素触媒では若干二重結合が残ったので、酸
化白金触媒を触媒能を高める酸性条件下で用い、標的化
合物を得た。化合物から5工程で38%であった。
【0019】A.2,12−ジ(1−オキソエチル)トリ
デカン二酸ジエチル(5) この実験はアルゴン雰囲気で行った。1,9−ジブロモ
ノナン() 1.5ml(7.38mmol)、アセト酢酸エチル
5.6ml(43.9mmol)、ヨウ化ナトリウム 2.30g(1
5.3mmol)、炭酸カリウム 8.20g(59.3mmol)、ジ
メチルホルムアミド 5mlを、無水アセトン(無水塩化カ
ルシウムで予備乾燥後、無水塩化カルシウムを入れて蒸
留した)約100mlに懸濁し、44時間加熱還流した。
反応液を水にあけ、ジエチルエーテル(以下、エーテル)
で抽出し、中性になるまで飽和食塩水で洗浄した。無水
硫酸マグネシウムで乾燥させ、まず回転式エバポレータ
ーでエーテルを留去した後、真空ポンプ(4mmHg、40
℃)でアセト酢酸エチルも留去した。残留物をシリカゲ
ルクロマトグラフィーで精製した。収量2.071g(収
率73%)。IR νmax (フィルム) cm-1:2990
(m)、2930(s)、2850(s)、1740(s)、171
0(s)、1640(m)、1460(m)、1360(s)、12
40(s)、1180(s)、1150(s)、1020(m)、8
60(m)、720(w)1 H NMR δ(ppm):1.27(br.,20H)、1.82
(m,4H)、2.22(s,6H)、3.39(t,2H,J=7.
3Hz)、4.20(q,4H,J=7.1Hz)13 C NMR δ(ppm):14.0、27.3、28.1、2
8.6、29.2、29.3、59.9、61.2、169.
9、203.3 nD 19.3=1.4566 元素分析(%):C65.32(理論値65.60)、H9.
34(理論値9.43)
【0020】B.2,14−ペンタデカンジオン(6) 化合物 2.097g(5.45mmol)、水酸化ナトリウム
1.07g(26.8mmol)、水10ml、メタノール1mlを
1時間加熱還流した。放冷後、氷冷しながら濃硫酸0.
75ml(14.1mmol)を水1.5mlに溶解した溶液を徐々
に加え、さらに30分加熱還流した。反応液からエーテ
ル抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫
酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をヘキ
サンから再結晶した。収量1.060g(収率81%)。 IR νmax (KBr) cm-1:2930(s)、2870
(s)、1700(s)、1470(m)、1410(m)、138
0(m)、1360(m)、1260(m)、1200(m)、11
65(m)、720(m)1 H NMR δ(ppm):1.26(br.s,14H)、1.56
(m,4H)、2.13(s,6H)、2.41(t,4H,J=7.
4Hz)13 C NMR δ(ppm):23.9、29.2、29.4、2
9.5、29.8、43.8、209.4 融点:77〜78℃ 元素分析(%):C74.83(理論値74.95)、H1
1.67(理論値11.73)
【0021】C.ジエン混合物(8) グリニヤール反応はアルゴン雰囲気で行った。削状マグ
ネシウム 441mg(18.1mmol)を無水THF(金属ナ
トリウムとベンゾフェノンを溶解させて蒸留した)7ml
に懸濁し、1,2−ジブロモエタン 0.2mlの約半分を
攪拌しながら加えた。残りの1,2−ジブロモエタンと
1−ブロモドデカン 3.9ml(15.1mmol)を無水TH
F10mlに溶解した溶液を徐々に加え、熱湯中で30分
間攪拌した。化合物 388mg(1.61mmol)を無水T
HF20mlに溶解した溶液を徐々に加え、室温で約2時
間攪拌した。反応液を氷−飽和塩化アンモニウム水にあ
け、エーテルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫
酸マグネシウムで乾燥させた。濃縮して、シリカゲルク
ロマトグラフィーで精製した。収量772mg。粗製の化
合物 772mgを無水塩化メチレン(4Åモレキュラー
シーブで2回乾燥)15mlに溶解し、トリエチルアミン
4.0mlを加えた。反応液を氷浴で冷却し、無水メタン
スルホン酸2.27gを徐々に加え、室温で5分間攪拌し
た。反応液を水にあけ、エーテルで抽出した。飽和塩化
アンモニウム水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮して、シリ
カゲルクロマトグラフィーで精製した。収量559mg
(化合物から2工程で収率64%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2920(s)、2850
(s)、1640(m)、1460(m)、1370(m)、885
(m)、720(m)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,6H,J=6.7Hz)、
1.26(br.s)、1.57(s)、1.66(s)、1.93〜
2.01(m)、4.68(s)、5.11(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、22.7、29.4、2
9.6、29.7、31.9、39.7、124.6、13
5.1 nD 21.6=1.4671 元素分析(%):C85.93(理論値85.95)、H1
4.02(理論値14.05) 注: 混合物につき、1H NMRについてはプロトン数を
省き(末端メチル基は例外)、13C NMRについては吸
収のあったケミカルシフトをすべて記述した。
【0022】D.13,25−ジメチルヘプタトリアコ
ンタン(1) 化合物 105mgをn−ヘキサン(以下、ヘキサン)1.
8mlに溶解させ、特級酢酸0.2mlを加えた。酸化白金
13mgを加え、水素雰囲気下、室温で18時間攪拌し
た。反応液をセライト濾過し、濾液を飽和重曹水、飽和
食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、
濃縮した。収量110mg(定量的)。 IR νmax (KBr) cm-1:2980(m)、2920
(s)、2850(s)、1460(s)、1380(m)、720
(m)1 H NMR δ(ppm):0.83(d,6H,J=6.4Hz)、
0.88(t,6H,J=6.7Hz)、1.08(m,2H)、1.
26(br.s,66H)13 H NMR δ(ppm):14.1、19.7、22.7、2
7.1、29.4、29.7、30.0、31.9、32.
7、37.1 MS m/z:168(12)、169(7)、196(100
%、基準ピーク;C1428 +)、197(48)、350
(14)、351(9)、379(70;C2755 +)、53
3(15)、548(5;M+) 融点:42℃ 元素分析(%):C85.33(理論値85.32)、H1
4.75(理論値14.68)
【0023】実施例2 11,23−ジメチルヘプタト
リアコンタン() 本化合物を以下の反応式5に従って合成した。
【化11】
【0024】中央の部分はジケトンをそのまま使え
る。左右のアルキル鎖の長さが異なるので、ジケトンの
2つのカルボニル基のうち片方だけを保護しなければな
らないが、2つのカルボニル基がまったく同じ環境にあ
り、選択的に保護するのは不可能である。またアセター
ル化してもほとんど極性は変わらず、1当量の試薬を用
いてシリカゲルクロマトグラフィーで単離するのも困難
であった(単離収率は最高12%であったが、これも純
粋かどうかはわからない)。さらにジケトン、モノアセ
タール体、ビスアセタール体の混合物をそのままグリニ
ヤール反応にかけても、アルキル鎖が長いためカルボニ
ル基が水酸基になったことによる極性の増大を相殺して
しまい、ジオール、ヒドロキシケトンアセタール体、ビ
スアセタール体の分離は困難であった。そこでさらに1
工程進め、脱水反応後にジエン混合物、ケトアルケンア
セタール体混合物、ビスアセタール体の3種の混合物に
なった時点で分離することとした。1当量の試薬を用い
てアセタール化すると、確率的にはモノアセタール体が
50%生じるが、平衡の位置は実験条件に大きく左右さ
れる。そこで、一度両カルボニル基ともアセタール化
し、しかる後に1等量のジケトンと平衡化をおこない、
モノアセタール体をほぼ50%で得る戦略をとった。ア
セタール化の条件は、オルトギ酸トリメチルのジメチル
アセタール部分をエチレングリコールによってエチレン
アセタールと交換し、さらに減圧下これをジケトンとの
アセタール交換に用いた[B.Glatzら,J.Am.Chem.Soc. 1
01, 2171 (1979)]。この条件でジケトンにエチレンア
セタールをかけ、ビスアセタール体を得た。これを1
当量の化合物と平衡させ、モノアセタール体10を化
合物と化合物との混合物としてグリニヤール反応に
供した。化合物10をn−テトラデシルマグネシウムブ
ロミドとグリニヤール カップリングさせ、保護された
ヒドロキシケトン11を化合物由来のジオールと化合
との混合物として得た(当初短い方の側鎖からカッ
プリングさせたが、後に長い方の側鎖がどうしてもつか
なかったので、順番を逆にしたところ良好な結果を与え
た)。この混合物を脱水し、保護されたケトアルケン混
合物12を化合物から3工程36%で得た(化合物
から化合物11の工程で化合物を回収できたので、
回収考慮の収率は45%であった)。
【0025】化合物12を脱保護して得たケトアルケン
混合物13にn−デシルマグネシウムブロミドをカップ
リングさせ、ヒドロキシアルケン混合物14とした。混
合物14を脱水してジエン混合物15とした後、水素添
加して標的化合物を得た。化合物から10工程14
%であった(回収考慮のときには18%)。
【0026】A.2,14−ペンタデカンジオン ビス-
エチレンアセタール(9) 化合物 161mg(0.670mmol)、オルトギ酸トリメ
チル 0.70ml(6.40mmol)、エチレングリコール
0.35ml(6.28mmol)、p−トルエンスルホン酸−水
和物3mgを、無水ベンゼン(回転式エバポレーターで水
を共沸除去した)5mlに溶解させた。実験は調圧弁付き
のアスピレーターでメタノールを留去しながら行った。
45℃で1時間加熱した後、調圧弁を閉じ、53℃に昇
温してベンゼン、オルトギ酸トリメチルも留去した。反
応液を放冷した後にエーテルを加え、飽和重曹水、飽和
食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。
濃縮してシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。収
量203mg(収率92%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:3010(m)、2950
(s)、2880(s)、1470(m)、1380(m)、125
0(m)、1220(s)、1070(s)、950(m)、860
(m)、730(w)1 H NMR δ(ppm):1.27(br.s,18H)、1.31
(s,6H)、1.55(m,4H)、3.93(s,8H)13 C NMR δ(ppm):23.7、24.1、29.5、2
9.6、29.9、39.2、64.6、110.2 nD 19.7=1.4560 元素分析(%):C69.54(理論値69.48)、H1
1.00(理論値11.04)
【0027】B.オレフィニックアセタール混合物(1
2) 化合物 512mg(1.56mmol)と化合物 372mg
(1.55mmol)の混合物を無水ベンゼン約20mlに溶解
し、p−トルエンスルホン酸10mgを加えて2時間加熱
還流した。反応液を放冷後、エーテルを加え、抽出し
た。エーテル層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無
水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。化合物
化合物、化合物10の混合物を得た。グリニヤール反
応はアルゴン雰囲気で行った。削状マグネシウム0.3
8g(15.6mmol)を無水THF5mlに懸濁し、1,2−
ジブロモエタン0.2ml(2.32mmol)の約半分を加え
た。残りの1,2−ジブロモエタンと1−ブロモテトラ
デカン3.8ml(12.8mmol)を無水THF5mlに均一に
溶解した溶液を徐々に加えた。湯浴で温度を約50℃に
保ちながら約30分間攪拌した。反応液を氷・塩で−5
℃に冷却し、上記混合物を無水THF20mlに溶解させ
た溶液を徐々に加え、次いで室温で3時間攪拌した。反
応液を氷・飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、エーテ
ルで抽出した。飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルクロ
マトグラフィーによって化合物11と化合物、および
化合物由来のジオールの混合物をとった(収量1.10
5g)。上記混合物を無水塩化メチレン24mlに溶解さ
せ、トリエチルアミン3ml(21.5mmol)を加えた。反
応液を氷浴で冷却し、無水メタンスルホン酸1.616g
(9.28mmol)を徐々に加え、室温で5分間攪拌した。
反応液を水にあけ、エーテルで抽出した。飽和食塩水で
洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮し、シ
リカゲルクロマトグラフィーで精製した。収量521mg
(化合物から3工程で収率36%)。また、化合物
199mg回収したので回収考慮の収率は化合物から4
5%であった。 IR νmax (フィルム) cm-1:2920(s)、2850
(s)、1640(w)、1460(m)、1380(m)、125
0(m)、1220(m)、1120(m)、1060(s)、95
0(m)、890(m)、860(m)、720(w)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,3H,J=5.5Hz)、
1.26(br.s)、1.31(s,3H)、1.67(s)、1.9
3〜1.99(m)、3.93(s,4H)、4.69(s)、5.1
1(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、22.7、23.4、2
3.7、24.1、27.9、28.0、29.4、29.
6、29.7、29.9、31.9、39.2、39.7、
64.6、98.0、110.2、124.6 nD 18.2=1.4642 元素分析(%):C80.47(理論値80.11)、H1
3.03(理論値13.00)
【0028】C.オレフィニックケトン混合物(13) 化合物12 234mg(0.503mmol)を無水THF6ml
に溶解させ、酢酸5mlと水1.2mlを加えて3時間加熱
還流した。反応液を飽和重曹水にあけ、エーテルで抽出
した。飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。濃縮してシリカゲルクロマトグラ
フィーで精製した。収量208mg(収率98%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2930(s)、2850
(s)、1720(s)、1640(w)、1450(s)、136
0(s)、1160(m)、750(m)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,3H,J=6.5Hz)、
1.26(br.s)、1.57(s)、1.67(s)、1.92〜
2.01(m)、2.13(s,3H)、2.41(t,2H,J=
4.5Hz)、4.69(s)、5.11(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、15.9、22.7、2
3.4、23.9、27.8、27.9、28.0、28.
1、29.2、29.3、29.4、29.5、29.6、
29.7、29.9、30.1、31.8、31.9、36.
1、39.7、43.9、114.3、124.5、12
4.6、209.4 nD 17.3=1.4631 元素分析(%):C82.98(理論値82.79)、H1
3.33(理論値13.41)
【0029】D.オレフィニックアルコール混合物(1
4) この実験はアルゴン雰囲気で行った。削状マグネシウム
111mg(4.57mmol)を無水THF2mlに懸濁し、1,
2−ジブロモエタン0.15ml(1.74mmol)の約半分を
加えた。これに、1−ブロモデカン0.54mlを無水T
HF3mlに溶解させた溶液と残りの1,2−ジブロモエ
タンを均一にして徐々に加えた。熱湯中で1時間攪拌し
た後、放冷した。この反応液に、化合物13 193mg
(0.261mmol)を無水THF25mlに溶解させた溶液
を徐々に加え、室温で1時間攪拌した。反応液を飽和塩
化アンモニウム水にあけ、エーテルで抽出した。飽和食
塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮
してシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。収量2
45mg(収率95%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:3380(m)、2940
(s)、2860(s)、1650(w)、1470(s)、138
0(m)、930(w)、890(w)、720(m)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,6H,J=6.4Hz)、
1.14(s,3H)、1.26(br.s)、1.40(m,4H)、
1.57(s)、1.66(s)、1.93〜2.01(m)、4.6
8(s)、5.11(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、15.9、22.7、2
3.4、23.9、27.0、27.8、27.9、28.
0、29.3、29.4、29.5、29.6、29.7、
29.9、30.1、30.3、31.8、31.9、36.
1、39.7、41.9、72.8、124.6 nD 17.5=1.4681 元素分析(%):C82.65(理論値83.20)、H1
3.89(理論値13.96) HRMS m/z(M−H2O):544.5898(理論値5
44.5947)
【0030】E.ジエン混合物(15) 化合物14 168mg(0.298mmol)を無水塩化メチレ
ン4mlに溶解し、トリエチルアミン0.5ml(3.59mmo
l)を加えた。これに、無水メタンスルホン酸0.30g
(1.72mmol)を徐々に加えた。室温で5分間攪拌し
た。反応液を水にあけ、エーテルで抽出した。飽和食塩
水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮し
てシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。収量13
1mg(収率81%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2940(s)、2860
(s)、1650(w)、1460(s)、1380(m)、890
(m)、720(m)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,6H,J=6.6Hz)、
1.26(br.s)、1.57(s)、1.66(s)、1.67
(s)、1.93〜2.02(m)、4.69(s)、5.12(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、22.7、23.4、2
7.8、27.9、28.0、29.3、29.4、29.
6、29.7、29.9、31.8、31.9、36.1、
39.7、124.6、135.1 nD 17.9=1.4678 元素分析(%):C85.94(理論値85.95)、H1
4.00(理論値14.05)
【0031】F.11,23−ジメチルヘプタトリアコ
ンタン(2) 化合物15 87mg(0.160mmol)をヘキサン1.8ml
に溶解し、特級酢酸0.2mlを加えた。酸化白金4mgを
加え、水素雰囲気下、室温で21時間攪拌した。反応液
をセライト濾過し、濾液を飽和重曹水、飽和食塩水で洗
浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。収
量84mg(収率96%)。 IR νmax (KBr) cm-1:2940(s)、2860
(s)、1470(m)、1380(m)、730(m)1 H NMR δ(ppm):0.83(d,6H,J=6.4Hz)、
0.88(t,6H,J=6.6Hz)、1.08(m,2H)、1.
26(br.s,66H)13 C NMR δ(ppm):14.1、19.7、22.7、2
7.1、29.4、29.7、30.0、31.9、32.
8、37.1 MS m/z:57(100%、基準ピーク)、141(1
2)、168(52;C1224 +)、169(26)、196
(10)、197(7)、224(51;C1632 +)、22
5(30)、322(8)、323(7)、351(32;C
2551 +)、378(10)、379(6)、407(39;
2959 +)、533(15)、548(6;M+) 融点:40℃ 元素分析(%):C85.43(理論値85.32)、H1
4.52(理論値14.68)
【0032】実施例3 11,21−ジメチルヘプタト
リアコンタン() 本化合物を以下の反応式6に従って合成した。
【化12】
【0033】化合物と全く同様にしてジブロミド16
よりジケトン18を経由して化合物を合成した。ビス
アセタール体19からモノアセタール体20への平衡化
の際に、シリカゲルクロマトグラフィーを行い、化合物
18(および化合物19)を若干回収できた。即ち、ジオ
ールからジエン混合物として無駄になる分を減らすこと
ができ、グリニヤール反応、脱水後の化合物19の回収
と合わせ回収考慮の収率を向上させることができた。全
収率は化合物16より10工程で22%であった(回収
を考慮すると34%)。
【0034】A.2,10−ジ(1−オキソエチル)ウン
デカン二酸ジエチル(17) この実験はアルゴン雰囲気で行なった。ヨウ化ナトリウ
ム8.8g(58.7mmol)、炭酸カリウム30g(217mmo
l)、DMF15mlを無水アセトン約300ml中で攪拌
し、アセト酢酸エチル20ml(157mmol)を加えた。こ
こへ1,7−ジブロモヘプタン3.2ml(18.7mmol)を
徐々に加え、14時間加熱還流後、放冷した。反応液を
水にあけ、エーテルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、
無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。回転式エバポレー
ターで溶媒を留去後、真空ポンプで引いて熱をかけてア
セト酢酸エチルも留去した。残留物をシリカゲルクロマ
トグラフィーで精製した。収量5.507g(収率82
%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2990(m)、2940
(s)、2860(s)、1740(s)、1710(s)、164
0(m)、1460(s)、1360(s)、1240(s)、11
90(s)、1150(s)、1020(m)、860(m)、72
0(m)1 H NMR δ(ppm):1.27(br.,16H)、1.82(b
r.,4H)、2.22(s,6H)、3.38(t,2H,J=7.
4Hz)、4.19(q,4H,J=7.1Hz)13 C NMR δ(ppm):14.1、27.3、28.1、2
8.7、29.0、29.2、59.9、61.3、169.
9、203.3 nD 17.2=1.4561 元素分析(%):C63.67(理論値64.02)、H9.
08(理論値9.04)
【0035】B.2,12−トリデカンジオン(18) 化合物17 7.857g(22.0mmol)と水酸化ナトリウ
ム4.6g(5.22mmol)を水40mlとメタノール10ml
の混合液に入れ、30分間加熱還流した。放冷後、氷冷
しながら濃硫酸3.1ml(5.82mmol)を水6.2mlに溶
解させた溶液を徐々に加えた。再び30分間加熱還流さ
せ、放冷した。反応液からエーテル抽出を行い、飽和重
曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで
乾燥し、濃縮した。粗生成物をヘキサンから再結晶して
精製した。収量4.073g(収率87%)。 IR νmax (KBr) cm-1:2940(s)、2920
(s)、2860(s)、1700(s)、1470(m)、141
0(m)、1370(m)、1355(m)、1270(m)、12
05(m)、1160(m)、720(m)1 H NMR δ(ppm):1.27(br.s,10H)、1.56
(m,4H)、2.13(s,6H)、2.41(t,4H,J=5.
9Hz)13 C NMR δ(ppm):23.8、29.1、29.2、2
9.3、29.8、43.8、209.3 融点:67〜68℃ 元素分析(%):C73.36(理論値73.54)、H1
1.45(理論値11.39)
【0036】C.2,12−トリデカンジオン ビス-エ
チレンアセタール(19) 化合物18 2.239g(10.5mmol)を無水ベンゼン3
0mlに溶解し、エチレングリコール5.6ml(100mmo
l)、オルトギ酸トリメチル11.2ml(102mmol)、p−
トルエンスルホン酸一水和物36mgを加え、アスピレー
ターでゆるく引きながら(メタノールを留去しながら)5
5℃で3時間加熱した後、調圧弁を閉じ、ベンゼン、オ
ルトギ酸トリメチルも留去した。反応液を放冷してエー
テルで希釈した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した。濃縮して、シリカゲルクロマトグラ
フィーで精製した。収量3.129g(収率99%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:3010(m)、2970
(s)、2880(s)、1470(m)、1380(s)、123
0(s)、1150(m)、1070(s)、950(m)、870
(m)、730(w)1 H NMR δ(ppm):1.28(br.s,14H)、1.31
(s,6H)、1.42(m,4H)、3.93(s,8H)13 C NMR δ(ppm):23.7、24.1、29.5、2
9.6、29.8、39.2、64.6、110.2 nD 18.2=1.4561 元素分析(%):C68.39(理論値67.97)、H1
0.77(理論値10.73)
【0037】D.オレフィニックアセタール混合物(2
2) 化合物19 3.069g(10.2mmol)と化合物18 2.
155g(10.1mmol)を無水ベンゼン35mlに溶解し、
p−トルエンスルホン酸一水和物39mgを加え、1時間
加熱還流した。反応液を放冷後、エーテルを加え、飽和
重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウム
で乾燥し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに
かけ、化合物19を327mg、化合物18を333mg回
収するとともに、化合物18、化合物19、化合物22
の混合物を4.627gとった。グリニヤール反応はアル
ゴン雰囲気で行った。削状マグネシウム2.25g(92.
6mmol)を無水THF30mlに懸濁し、1,2−ジブロモ
エタン0.8ml(9.28mmol)の約半分を加えた。残りの
1,2−ジブロモエタンと1−ブロモヘキサデカン24m
l(78.5mmol)を無水THF25mlに均一に溶解させた
溶液を徐々に加えた。熱湯中で1時間攪拌後、放冷し
た。上記混合物を30mlの無水THFに溶解した溶液を
徐々に加え、室温で2時間攪拌した。反応液を氷−飽和
塩化アンモニウム水にあけ、エーテルで抽出した。飽和
塩化アンモニウム水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。回転式エバポレ
ーターで溶媒を留去した後、5mmHg、120℃でn−ヘ
キサデカンも留去した。シリカゲルクロマトグラフィー
で化合物21と化合物19、および化合物18由来のジ
オールの混合物をとった(粗収量7.33g)。上記混合物
を無水塩化メチレン45mlに溶解させ、トリエチルアミ
ン9ml(64.6mmol)を加えた。反応液を氷浴し、無水
メタンスルホン酸5.03g(23.9mmol)を徐々に加え
た後、室温で10分間攪拌した。反応液を水にあけ、エ
ーテルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。濃縮してシリカゲルクロマトグラ
フィーで精製した。収量4.138g(化合物19から3
工程で収率44%)。また化合物19を1.266g回収
したので、先の回収分と合わせ回収考慮の収率は化合物
19から66%であった。 IR νmax (フィルム) cm-1:2960(s)、2870
(s)、1650(w)、1470(m)、1380(m)、126
0(w)、1230(w)、1130(w)、1080(m)、95
0(w)、890(w)、860(w)、730(s)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,3H,J=5.5Hz)、
1.26(br.s)、1.31(s,3H)、1.48(s)、1.6
7(s)、1.91〜2.00(m)、3.93(s,4H)、4.6
9(s)、5.11(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、15.8、22.7、2
3.4、23.7、24.1、27.8、27.9、28.
0、28.1、29.3、29.4、29.5、29.6、
29.7、29.9、30.1、31.7、31.9、36.
1、39.2、39.7、64.6、108.6、110.
2、124.5、125.5、135.2、135.4、1
50.3 nD 17.7=1.4655 元素分析(%):C80.52(理論値80.11)、H1
3.17(理論値13.00)
【0038】E.オレフィニックケトン混合物(23) 化合物22 3.837g(8.26mmol)をTHF60mlに
溶解し、酢酸50mlと水13mlを加え、3時間加熱還流
した。反応液を飽和重曹水にあけ、エーテルで抽出し
た。飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥させた。濃縮してシリカゲルクロマトグラ
フィーで精製した。収量3.473g(定量的)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2930(s)、2870
(s)、1720(s)、1640(w)、1470(s)、136
0(s)、1170(s)、890(m)、730(s)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,3H,J=6.6Hz)、
1.26(br.s)、1.57(s)、1.66(s)、1.92〜
2.01(m)、2.13(s,3H)、2.41(t,2H,J=
7.4Hz)、4.68(s)、5.10(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、15.9、22.7、2
3.4、23.9、27.8、27.9、28.0、28.
1、29.2、29.3、29.4、29.5、29.6、
29.7、29.9、30.1、30.3、31.8、31.
9、36.1、39.7、41.9、43.8、124.
5、124.6、125.2、125.3、135.1、1
35.2、150.5、209.4 nD 17.8=1.4618 元素分析(%):C82.95(理論値82.79)、H1
3.67(理論値13.41)
【0039】F.オレフィニックアルコール混合物(2
4) この実験はアルゴン雰囲気で行った。削状マグネシウム
2.29g(94mmol)を無水THF30mlに懸濁した。
1,2−ジブロモエタン0.8ml(9.28mmol)の約半分
を加え、残りの1,2−ジブロモエタンと1−ブロモデ
カン15ml(72.3mmol)を無水THF25mlに均一に
溶解し、徐々に加えた。熱湯中で1時間攪拌した後、化
合物23 3.244g(7.71mmol)をTHF25mlに溶
解した溶液を徐々に加えた。室温で1時間攪拌した。反
応液を氷−飽和塩化アンモニウム水にあけ、エーテルで
抽出した。飽和塩化アンモニウム水、飽和重曹水、飽和
食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。回
転式エバポレーターで溶媒を留去した後、真空ポンプで
引いて熱をかけ、n−デカンも留去した。残留物をシリ
カゲルクロマトグラフィーで精製した。収量3.723g
(収率86%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:3380(m)、2950
(s)、2880(s)、1640(w)、1470(s)、138
0(m)、730(m)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,6H,J=6.6Hz)、
1.14(s,3H)、1.26(br.s)、1.42(m,4H)、
1.66(s)、1.93〜2.01(m)、4.68(s)、5.1
1(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、15.9、22.7、2
3.4、23.9、27.0、27.8、27.9、28.
0、29.3、29.5、29.7、29.9、30.1、
30.3、31.6、31.9、36.1、39.7、41.
9、72.8、124.5 nD 17.7=1.4638 元素分析(%):C83.53(理論値83.20)、H1
3.91(理論値13.96)
【0040】G.ジエン混合物(25) 化合物24 3.638g(6.46mmol)を無水塩化メチレ
ン30mlに溶解し、トリエチルアミン10.5ml(75.
3mmol)を加えた。反応液を氷冷し、無水メタンスルホ
ン酸5.87g(33.7mmol)を徐々に加えて、室温で5
分攪拌した。反応液を水にあけ、ヘキサンで抽出した。
飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。濃縮してシリカゲルクロマトグラフィーで精製し
た。収量3.179g(収率90%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2930(s)、2870
(s)、1640(w)、1470(s)、1380(m)、890
(m)、720(m)1 H NMR δ(ppm):0.88(t,6H,J=6.6Hz)、
1.26(br.s)、1.57(s)、1.66(s)、1.93〜
2.04(m)、4.68(s)、5.11(t)13 C NMR δ(ppm):14.1、15.9、22.7、2
3.4、27.8、27.9、28.0、28.1、29.
3、29.4、29.5、29.6、29.7、29.9、
30.2、31.8、31.9、36.1、39.7、10
8.3、124.6 nD 17.1=1.4668 元素分析(%):C86.07(理論値85.95)、H1
4.06(理論値14.05)
【0041】H.11,21−ジメチルヘプタトリアコ
ンタン(3) 化合物25 3.069g(5.63mmol)を蒸留ヘキサン2
9.7mlに溶解し、特級酢酸3.3mlを加えた。酸化白金
41mgを加え、水素雰囲気下、室温で7時間半攪拌し
た。反応液をセライト濾過し、飽和重曹水を加え、攪拌
した。飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。濃縮してシリカゲルクロマトグラ
フィーで精製した。収量3.092g(収率93%)。 IR νmax (フィルム) cm-1:2940(s)、2860
(s)、1460(s)、1380(m)、720(m)1 H NMR δ(ppm):0.83(d,6H,J=6.4Hz)、
0.88(t,6H,J=6.6Hz)、1.07(m,2H)、1.
26(br.s,66H)13 C NMR δ(ppm):14.1、19.7、22.7、2
7.1、29.4、29.7、30.0、31.6、31.
9、32.8、37.1 MS m/z:57(100%、基準ピーク)、141(1
1)、168(56;C1224 +)、169(24)、224
(8)、225(6)、252(43;C1836 +)、253
(27)、294(7)、295(6)、323(34;C23
47 +)、378(9)、379(7)、407(39;C29
59 +)、533(15)、548(6;M+) nD 17.3=1.4598 元素分析(%):C85.71(理論値85.32)、H1
4.63(理論値14.68)
【0042】
【発明の効果】.tachinoidesの性フェロモンと推定さ
れている化合物を、立体異性体混合物の形ではあるが、
容易かつ大量に提供することができた。これら化合物の
誘引活性を利用して同ハエを駆除することができる。ま
た、本方法を用いて類似の構造を持つ他の分枝アルカン
も製造することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式I: 【化1】 [式中、aおよびcはそれぞれ独立して8〜16の整数
    であり、bは8〜12の整数である]で示される化合物
    の製造方法であって、 (1)aとcが同一である場合には、式II: 【化2】 [式中、bは上記定義に同じである]で示されるジケトン
    化合物をグリニヤール試薬:Me(CH2)aMgX[式中、
    aは上記定義に同じであり、Xはハロゲン原子である]
    と反応させ、その生成物を脱水、次いで水素添加して式
    Iで示される化合物を得るか;または(2)aとcが異な
    る場合には、上記式IIで示されるジケトン化合物の一方
    のケトンをアセタール化して保護し、他方の遊離ケトン
    を第1のグリニヤール試薬:Me(CH2)aMgX[式中、
    aおよびXは上記定義に同じである]と反応させ、その
    生成物を脱水し、次いで先に保護したケトンを脱アセタ
    ール化して遊離ケトンとし、このケトンを第2のグリニ
    ヤール試薬:Me(CH2)cMgX[式中、cおよびXは上
    記定義に同じである]と反応させ、その生成物を脱水、
    次いで水素添加して式Iで示される化合物を得る;こと
    からなる方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010037298A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 Toho Earthtech Inc 脂肪族ジケトンの製造方法

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