JPH07242537A - 抗炎症活性物質の製造方法および抗炎症剤 - Google Patents

抗炎症活性物質の製造方法および抗炎症剤

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JPH07242537A
JPH07242537A JP3447994A JP3447994A JPH07242537A JP H07242537 A JPH07242537 A JP H07242537A JP 3447994 A JP3447994 A JP 3447994A JP 3447994 A JP3447994 A JP 3447994A JP H07242537 A JPH07242537 A JP H07242537A
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JP
Japan
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carbon atoms
compound
alkoxy
substituted
hydroxy
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Application number
JP3447994A
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English (en)
Inventor
Akio Kobayashi
昭雄 小林
Kazuyoshi Kawazu
一儀 河津
Mitsuru Hirota
満 廣田
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Kibun Foods Inc
Original Assignee
Kibun Foods Inc
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Publication date
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  • Pyrane Compounds (AREA)
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡便で経済的であり、かつ極めて実用性の高い
抗炎症活性物質の製造方法、およびその製造方法によっ
て得られる抗炎症活性物質からなる抗炎症剤を提供する
こと。 【構成】フェノール性化合物を過酸化水素の存在下でペ
ルオキシダーゼと反応させることによって抗炎症活性物
質を製造する方法、およびその方法によって得られる化
合物からなる抗炎症剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗炎症活性物質を製造
する方法およびその方法によって得られる化合物からな
る抗炎症剤に関する。
【0002】
【従来の技術】植物は微生物の侵入に対してさまざまな
誘導抵抗反応を示すことが知られている。これは、遺伝
子的に制御されたさまざまな酵素の働きによるものであ
る。ペルオキシダーゼは、そのような誘導抵抗反応の発
現を活性化する酵素の1つであり、フェノール性化合物
を修飾・重合する作用を有することが知られている。し
かしながら、ペルオキシダーゼの働きによって生成する
化合物がいかなる物質でいかなる化学的作用を示すのか
という点については、いまだ十分な検討がなされていな
かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、フェノール性化合物にペルオキシダーゼを作用させ
て得られる化合物の分析を行うことによって、従来にな
い新しい抗炎症活性物質の製造方法を提供することを目
的として検討を進め、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、フェノール性
化合物を過酸化水素の存在下でペルオキシダーゼと反応
させることによって抗炎症活性物質を製造する方法、お
よびその方法によって得られる化合物からなる抗炎症剤
をその内容とする。
【0005】本発明で用いるフェノール性化合物は、芳
香環とそれに結合する水酸基を有する化合物を意味す
る。
【0006】フェノール性化合物として、例えば、以下
の一般式で表されるフェノール誘導体を挙げることがで
きる。
【0007】
【化3】 上式において、Rはアルキル(例えば炭素数1−6のも
の、その中から炭素数1−3のもの、その中からメチ
ル、エチル、イソプロピルを挙げることができる)、ア
ルケニル(例えば炭素数2−6のもの、その中から炭素
数2−3のもの、その中からエチレン、アリル、1−プ
ロペニルを挙げることができる)、アルキニル(例えば
炭素数2−6のもの、その中から炭素数2−3のもの、
その中からアセチレンを挙げることができる)、アルコ
キシ(例えば炭素数1−6のもの、その中から炭素数1
−3のもの、その中からメトキシを挙げることができ
る)、ヒドロキシ、アルデヒド、カルボキシル、カルボ
キシル置換アルキル(例えばアルキル基の炭素数1−6
のもの、その中から炭素数1−3のもの、その中からメ
チレン、エチレンを挙げることができる)、カルボキシ
ル置換アルケニル(例えばアルキル基の炭素数1−6の
もの、その中から炭素数1−3のもの、その中からエチ
レンを挙げることができる)などを挙げることができる
が、これらのみに限定されるものではない。また、nは
0−5である。例えば、nは0−3、その中から1また
は2を挙げることができる。
【0008】化3で表される化合物群の中には、Rが炭
素数1−3のアルキル、炭素数2−3のアルケニル、メ
トキシ、ヒドロキシ、アルデヒド、カルボキシル、カル
ボキシル置換アルキル(アルキルの炭素数は1または
2)またはカルボキシル置換アルケニル(アルケニルの
炭素数は2)であり、nは1、2または3である化合物
群が含まれる。
【0009】化3で表される化合物群の中で、Rのうち
の少なくとも1つがアルコキシ(例えば炭素数1−6の
もの、その中から炭素数1−3のもの、その中からメト
キシを挙げることができる)である化合物は有用であ
る。その中に含まれる化合物群として、Rのうちの1つ
または2つがアルコキシ(例えば炭素数1−6のもの、
その中から炭素数1−3のもの、その中からメトキシを
挙げることができる)であり、他のRとしてアルデヒド
を有していてもよい化合物群を挙げることができる。さ
らにその中に含まれる化合物群として、Rの1つがオル
ト−メトキシである化合物群を挙げることができる。
【0010】化3に含まれる好ましい化合物群として以
下のものを例示することができる。
【0011】
【化4】 (上式において、R1およびR2はそれぞれ独立にOH、
OCH3、CH=CH−CH3、CH2−CH=CH2、C
OOH、CH3、CHO、CH=CH−COOHまたは
CH2CH2COOHである) フェノール性化合物の他の例として、以下の一般式で表
されるフェノール誘導体を挙げることができる。
【0012】
【化5】 上式において、R1−R8のうち少なくとも1つはヒドロ
キシであり、他は水素、アルキル(例えば炭素数1−6
のもの、その中から炭素数1−3のもの、その中からメ
チル、エチル、イソプロピルを挙げることができる)、
アルケニル(例えば炭素数2−6のもの、その中から炭
素数2−3のもの、その中からエチレン、アリル、1−
プロペニルを挙げることができる)、アルキニル(例え
ば炭素数2−6のもの、その中から炭素数2−3のも
の、その中からアセチレンを挙げることができる)、ア
ルコキシ(例えば炭素数1−6のもの、その中から炭素
数1−3のもの、その中からメトキシを挙げることがで
きる)、ヒドロキシ、アルデヒド、カルボキシル、カル
ボキシル置換アルキル(例えばアルキルの炭素数1−6
のもの、その中から炭素数1−3のもの、その中からメ
チレン、エチレンを挙げることができる)、カルボキシ
ル置換アルケニル(例えばアルキルの炭素数1−6のも
の、その中から炭素数1−3のもの、その中からエチレ
ンを挙げることができる)、糖のカルボニルオキシ(例
えばXyl→GlcーO−)などを挙げることができる
が、これらのみに限定されるものではない。
【0013】化5で表される化合物群の中には、Rは水
素、ヒドロキシ、アルキルまたは糖のカルボニルオキシ
(ただしRのうちの少なくとも1つがヒドロキシであ
る)である化合物群が含まれる。さらにこの化合物群の
中には、Rが水素、ヒドロキシ、メチルまたはXyl→
GlcーO−(ただしRのうちの少なくとも1つがヒド
ロキシである)である化合物群が含まれる。さらにこの
化合物群の中には、Rが水素、ヒドロキシ(Rのうちの
1−4個)、メチル(Rのうちの0または1個)または
Xyl→GlcーO−(Rのうちの0または1個)であ
る化合物群が含まれる。
【0014】化5に含まれる好ましい化合物群として以
下のものを例示することができる。
【0015】
【化6】 (上式において、R1−R6は各々独立にH、CH3、O
HまたはO−gly(s)である。) フェノール性化合物の他の例として、天然または合成フ
ラボノイド類やイソフラボノイド類も挙げることができ
る。また、カテキン類(エーテルまたはエステル結合を
有するか、炭素−炭素結合によって複数のカテキン類が
結合したものを含む)を例示することもできる。さら
に、化7で表される化合物群もフェノール性化合物とし
て例示することができる。
【0016】
【化7】 上式において、点線は二重結合を形成しうることを示
す。XはOまたはH2である。R1−R6のうち少なくと
も1つはヒドロキシであり、他は水素、アルキル(例え
ば炭素数1−6のもの、その中から炭素数1−3のも
の、その中からメチル、エチル、イソプロピルを挙げる
ことができる)、アルケニル(例えば炭素数2−6のも
の、その中から炭素数2−3のもの、その中からエチレ
ン、アリル、1−プロペニルを挙げることができる)、
アルキニル(例えば炭素数2−6のもの、その中から炭
素数2−3のもの、その中からアセチレンを挙げること
ができる)、アルコキシ(例えば炭素数1−6のもの、
その中から炭素数1−3のもの、その中からメトキシを
挙げることができる)、ヒドロキシ、アルデヒド、カル
ボキシル、カルボキシル置換アルキル(例えばアルキル
の炭素数1−6のもの、その中から炭素数1−3のも
の、その中からメチレン、エチレンを挙げることができ
る)、カルボキシル置換アルケニル(例えばアルキルの
炭素数1−6のもの、その中から炭素数1−3のもの、
その中からエチレンを挙げることができる)、糖のカル
ボニルオキシ(例えばRhaβ1→2Glcβ−O
−)、アリール(ヒドロキシまたはアルコキシ置換フェ
ニルなど)、アリールカルボニルオキシ(ヒドロキシ置
換ベンゾイルオキシなど)などを挙げることができる
が、これらのみに限定されるものではない。
【0017】化7で表される化合物群の中には、Rは水
素、ヒドロキシ、糖のカルボニルオキシ、置換または無
置換のアリール、または置換ベンゾイルオキシ(ただし
Rのうちの少なくとも1つはヒドロキシである)である
化合物群が含まれる。さらにこの化合物群の中には、R
が水素、ヒドロキシ、Rhaβ1→2Glcβ−O−、
Rhaβ1→6Glcβ−O−、フェニル、置換フェニ
ル(置換基は1ー3個のヒドロキシ、0または1個のメ
トキシ)、トリヒドロキシベンゾイルオキシ(ただしR
のうちの少なくとも1つはヒドロキシである)である化
合物群が含まれる。さらにこの化合物群の中には、Rの
うちの1−4個がヒドロキシである化合物群が含まれ
る。また、化7で表される化合物群の中には、R5、ま
たはR5とR6が置換または無置換のアリール、または置
換ベンゾイルオキシである化合物群が含まれる。さら
に、R5が1以上のヒドロキシで置換されたフェニルか
無置換のフェニルであり、R1ーR4およびR6のうち少
なくとも1つがヒドロキシである化合物群が含まれる。
さらにこの化合物群の中には、XがOであり、R5が1
または2のヒドロキシで置換されたフェニルであり、R
1ーR4およびR6のうち1−3がヒドロキシである化合
物群(ケルセチン誘導体)が含まれる。
【0018】化7に含まれる好ましい化合物群として以
下のものを例示することができる。
【0019】
【化8】 (上式において、R1−R10はH、OH、OCO−C6
2(OH)3、OCO−C63(OH)2、O−glyま
たはC−glyであり、R11−R14はH、OH、OCH
3、O−gly(s)またはC−glyであり、R15
よびR16はC64OH、C63(OH)2、C62(O
H)3、C6H(OH)4、C6(OH)5、HまたはOH
である。) これらのフェノール性化合物は単独で用いてもよいし、
2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】本発明で用いるペルオキシダーゼの種類は
とくに制限されない。したがって、西洋わさびやインゲ
ンから調製された粗酵素や商業的に入手できるものを用
いることができる。
【0021】フェノール性化合物とペルオキシダーゼと
の反応は、過酸化水素の存在下で行う。過酸化水素の濃
度は、通常1mgあたり1x10-5mol〜1x10-4molとす
るがこれ以外の濃度であっても本発明は実施しうる。ま
た、反応は緩衝液中で行ってもよい。緩衝液としては、
例えばリン酸ナトリウム緩衝液を用いることができる。
反応温度は、ペルオキシダーゼが活性を示す温度とする
ことができるが、通常は25℃前後で行う。反応時間を
長くしたり、濃度を高めたりすることにより、活性の高
い物質を製造することができる。なお、反応の進行は適
当な展開液を用いてTLCにより追跡することができ
る。
【0022】反応生成物は、粗生成物のままでも抗炎症
活性を示すことから、さらに精製することなくそのまま
抗炎症剤として用いることができる。しかし、粗生成物
の中には抗炎症活性が特に強い化合物とそうでない化合
物が混在しているのが一般的であることから、特に抗炎
症活性が強い化合物を精製して使用するのが好ましい。
精製の方法は、カラムクロマトグラフィーなどの当業者
に周知の技術を用いることができる。
【0023】本発明の方法を種々のフェノール性物質に
ついて検討した結果、以下の一般式で表される化合物に
抗炎症活性があることが初めて明らかになった。
【0024】
【化9】 上式において、R1−R4のうち少なくとも1つとR1'−
4'のうち少なくとも1つはアルコキシ(例えば炭素数
1−6のもの、その中から炭素数1−3のもの、その中
からメトキシを挙げることができる)、その他は水素ま
たは置換または無置換のアリールである。化9に含まれ
る化合物群として、R1−R4のうち少なくとも1つとR
1'−R4'のうち少なくとも1つが炭素数1−6のアルコ
キシであり、その他が水素または置換アリール(置換基
は炭素数1−6のアルコキシ、ヒドロキシまたはアルデ
ヒド)である化合物群を挙げることができる。さらにこ
の化合物群に含まれるものとして、R1−R4のうち少な
くとも1つとR1'−R4'のうち少なくとも1つがメトキ
シであり、その他が水素または置換アリール(置換基は
メトキシ、ヒドロキシまたはアルデヒド)である化合物
群を挙げることができる。また、化9に含まれる別の化
合物群としてR1およびR4が炭素数1−6のアルコキ
シ、R2およびR3が水素である化合物群を挙げることが
できる。さらにこの化合物群に含まれるものとして、R
1およびR4がメトキシ、R2およびR3が水素である化合
物群を挙げることができる。また、化9に含まれる別の
化合物群としてR1'が炭素数1−6のアルコキシ、R2'
およびR4'が水素、R3'が置換アリール(置換基は炭素
数1−6のアルコキシ、ヒドロキシまたはアルデヒド)
である化合物群を挙げることができる。さらにこの化合
物群に含まれるものとして、R1'がメトキシ、R2'およ
びR4'が水素、R3'が置換アリール(置換基はメトキ
シ、ヒドロキシまたはアルデヒド)である化合物群を挙
げることができる。
【0025】化9で表される化合物の具体例として以下
のものを挙げることができる。
【0026】
【化10】 本発明の方法を種々のフェノール性物質について検討し
た結果、さらに以下の一般式で表される化合物にも抗炎
症活性があることが初めて明らかになった。
【0027】
【化11】 上式において、Aはアルコキシ(例えば炭素数1−6の
もの、その中から炭素数1−3のもの、その中からメト
キシを挙げることができる)であり、R1−R5は水素、
ヒドロキシ、アルコキシ(例えば炭素数1−6のもの、
その中から炭素数1−3のもの、その中からメトキシを
挙げることができる)または置換または無置換のアリー
ルである。この化合物群に含まれるものとして、Aが炭
素数1−6のアルコキシであり、R1−R5が水素、ヒド
ロキシ、炭素数1−6のアルコキシまたは置換アリール
(置換基はヒドロキシまたは炭素数1−6のアルコキ
シ)である化合物群を挙げることができる。さらに、こ
の化合物群に含まれるものとして、Aがメトキシであ
り、R1−R5が水素、ヒドロキシ、メトキシまたは置換
アリール(置換基はヒドロキシまたはメトキシ)である
化合物群を挙げることができる。さらに、この化合物群
に含まれるものとして、Aがメトキシであり、R1およ
びR5が水素、R2−R4が水素、ヒドロキシ、メトキシ
または置換アリール(置換基はヒドロキシまたはメトキ
シ)である化合物群を挙げることができる。さらに、こ
の化合物群に含まれるものとして、Aがメトキシであ
り、R1およびR5が水素、R3がヒドロキシ、R2および
4が水素、メトキシまたは置換アリール(置換基はヒ
ドロキシ、メトキシ)である化合物群を挙げることがで
きる。化11で表される化合物の具体例として以下のも
のを挙げることができる。
【0028】
【化12】 上述のように、本発明は、従来検討されたことのなかっ
た反応系を用いることにより抗炎症活性物質を製造する
方法を提供するものであり、その方法は簡便で経済的で
あることから極めて実用性の高いものであると期待され
る。さらに、本発明の方法をさまざまなフェノール性物
質について実施検討することによって、従来得られなか
った新しい抗炎症活性物質を製造することが可能である
ため、本発明は当該技術分野に多大な貢献をなすもので
あるといえる。また、本発明の方法によって得られる化
合物は、良好な色を有している場合が多いため、色素や
染色剤としての用途も期待される。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例によって
何ら制限的に解釈されるものではない。
【0030】(実施例1)フェノール性物質としてグア
イアコールを用いて抗炎症活性の変化を検討した。
【0031】グアイアコール5mg、3.5%過酸化水素
20μl、西洋わさびより調製したペルオキシダーゼ
(ナカライ製、PEO−131:I−C級)1ユニット
(Toyoboの定義による。以下同じ)および水5ml
の混合物を、25℃で1時間インキュベーションした。
その後、混合物の一部を取り出し、メタノールを添加し
て酵素を不活性化し濃縮して試料1とした。残りの混合
物は酢酸エチルとブタノールで連続抽出して、酢酸エチ
ル相、ブタノール相および水相に分けた。酢酸エチル相
は硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮することによって試料2
とし、ブタノール相および水相はそれぞれ濃縮して試料
3、試料4とした。また、試料2をn−ヘキサン(4m
l)、ベンゼン(4ml)、酢酸エチル(4ml)およ
びアセトン(10ml)を用いてシリカゲルクロマトグ
ラフィーで精製し、試料5とした。また、試料2をn−
ヘキサン/ベンゼン(1:1)(300ml)、ベンゼ
ン(300ml)、ベンゼン/酢酸エチル(9:1)
(300ml)、ベンゼン/酢酸エチル(8:2)(3
00ml)、ベンゼン/酢酸エチル(7:3)(300
ml)、ベンゼン/酢酸エチル(5:5)(300m
l)、ベンゼン/酢酸エチル(3:7)(300m
l)、酢酸エチル(300ml)、アセトン(300m
l)、メタノール(300ml)を用いてシリカゲルク
ロマトグラフィー(Wakogel C−100:φ
2.0x40cm)を行い、300mlずつ画分をとっ
て順に試料6−15とした。試料6−15とグアイアコ
ールのTLC(ベンゼン/酢酸エチル7:3、UV吸収
254nm)の結果を図1に示す。
【0032】グアイアコールとこれらの試料1−15に
ついて、4種の菌に対する最小阻害濃度(MIC)を調
べた。試験は、被検菌の胞子を胞子発芽用培地(グルコ
ース0.2%、イーストエキストラクト0.1%、NaH
PO4・12H2O 0.37%、クエン0.1%)に懸濁
し、それぞれ試料濃度を1000μg/ml、500μ
g/ml、250μg/ml、125μg/ml、63
μg/mlとして27℃で培養し、24時間後に胞子の
発芽が認められるか否かを顕微鏡で観察することによっ
て行った。結果は表1に示すとおりであった。
【0033】
【表1】 MIC(μg/ml) E.c. B.s. A.c. C.h. グアイアコール >1000 >1000 1000 1000 試料1 >1000 250 1000 500 試料2 >1000 125 500 500 試料3 >1000 250 500 1000 試料4 500 250 >1000 >1000 試料5 >1000 250 500 500 試料6 >1000 >1000 1000 1000 試料7 >1000 >1000 500 1000 試料8 1000 250 250 250 試料9 >1000 63 500 250 試料10 >1000 63 1000 500 試料11 >1000 125 >1000 1000 試料12 >1000 1000 >1000 1000 試料13 >1000 500 1000 1000 試料14 >1000 250 1000 500 試料15 >1000 250 >1000 >1000 表中、E.C.はEscherichia coli
K−12 B.s.はBacillus subtilis A.c.はAspergillus candidus C.h.はCladosporium herbaru
さらに、グアイアコール、試料1−15のそれぞれにつ
いて、以下の方法にしたがって炎症抑制試験を行い阻害
活性を測定した。
【0034】試料(濃度:10μg/μlーメタノール)
を5匹のマウス(CD1:6−15週令)の片耳に20
0μg塗布した。その30分後にテレオシジンB4を0.
5μg両耳に塗布し、7時間おいた。その後、両耳から
直径6mmのディスクを打ち抜き重量を測定し、5匹の平
均値を求めた。阻害活性は以下の式にしたがって計算し
た。
【0035】
【式1】 上式において、(TLB4)は、テレオシジンB4を塗
布した耳から得たディスクの重量を示す。
【0036】(TLB4+TS)は、テレオシジンB4
と試料を塗布した耳から得たディスクの重量を示す。
【0037】(コントロール)は、計算により求めた塗
布前の耳のディスクの重量を示す。テレオシジンB4を
塗布した場合、マウスの耳重量は7時間後に通常2.7
4倍になるという事実に基づき、(TLB4)の値から
計算によって求めたものである。
【0038】なお、市販されている抗炎症剤であるウラ
レン酸(別名グリシヘン酸)200μgを塗布した場合
の阻害活性は47%であり、強力な抗炎症剤であるヒド
ロコルチゾン10μgを塗布した場合の阻害活性は21
%である。
【0039】グアイアコールと粗生成物の阻害活性は以
下の表2に示すとおりであった。また、図2には粗生成
物と試料1−14の阻害活性を示した。
【0040】
【表2】 阻害活性(IE) グアイアコール 8% 粗生成物 34% 試料を分析したところ以下に示す既知化合物が含まれて
おり、これらが抗炎症活性を示していることが判明し
た。
【0041】
【化13】 (実施例2)フェノール物質としてシリンガアルデヒド
を用いて抗炎症活性の変化を検討した。
【0042】シリンガアルデヒド5mg、3.5%過酸化
水素20μl、西洋わさびより調製したペルオキシダー
ゼ(ナカライ製、PEO−131:I−C級)1ユニッ
トおよび水5mlの混合物を、25℃で1時間インキュベ
ーションした。その後、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナト
リウムで乾燥し濃縮することによって粗生成物を得た。
この粗生成物を、ベンゼン・酢酸エチル混合溶媒(7:
3)を用いてキーゼルゲル60 F264(メルク社製)に
よりTLC分析をしたところ、Rf値が0.40(化合
物A)と0.35(化合物B)をはじめとするスポット
が確認された。そこで、この粗生成物を、溶出溶媒とし
てベンゼン・酢酸エチル混合溶媒を用いてシリカゲルク
ロマトグラフィーを行うことによって、以下の構造を有
する既知化合物Aおよび既知化合物Bを単離した。
【0043】
【化14】 シリンガアルデヒド、粗生成物、化合物Aおよび化合物
Bのそれぞれについて、実施例1に記載される抗炎症試
験を行った。それぞれの阻害活性は以下の表3に示すと
おりであった。
【0044】
【表3】 阻害活性(IE) シリンガアルデヒド 1% 粗生成物 12% 化合物A 12% 化合物B 28% (実施例3)フェノール物質としてケルセチンを用いて
抗炎症活性の変化を検討した。
【0045】ケルセチン1000mg、0.6%過酸化水
素40ml、西洋わさびより調製したペルオキシダーゼ
(ナカライ製、PEO−131:III級)400ユニッ
トおよび0.1Mリン酸緩衝液(pH5.8)2,000m
lの混合物を、25℃で1時間インキュベーションし
た。試料1mlをサンプリングのため取り出し、酢酸エチ
ルで抽出し濃縮してTLC分析することによって基質が
残存しているか否かを調べた。基質が残存している場合
は、0.6%過酸化水素40mlとペルオキシダーゼ40
0ユニットを加え、基質がなくなるまで反応させた。そ
の後、再びサンプリングし、基質が残存している場合は
同様に過酸化水素とペルオキシダーゼを添加した。この
操作を合計3回繰返した後、反応液を酢酸エチルで抽出
して粗生成物を得た。
【0046】ケルセチン、粗生成物のそれぞれについ
て、実施例1に記載される抗炎症試験を行った。阻害活
性は以下の表4に示すとおりであった。
【0047】
【表4】 阻害活性(IE) ケルセチン 6% 粗生成物 28%
【図面の簡単な説明】
【図1】試料6−15のTLC分析結果を示した図であ
る。
【図2】試料1−15の炎症阻害活性を示した図であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノール性化合物を過酸化水素の存在下
    でペルオキシダーゼと反応させることによって抗炎症活
    性物質を製造する方法。
  2. 【請求項2】フェノール性化合物を過酸化水素の存在下
    でペルオキシダーゼと反応させることによって得られる
    化合物からなる抗炎症剤。
  3. 【請求項3】式: 【化1】 (上式において、R1ーR4のうち少なくとも1つはアル
    コキシであり、残りは水素である。また、R1'ーR4'の
    うち少なくとも1つはアルコキシであり、残りは水素ま
    たは、置換または無置換のアリールである。)および、
    式: 【化2】 (上式において、Aはアルコキシであり、R1−R5は水
    素、ヒドロキシ、アルコキシまたは、置換または無置換
    のアリールである)で表される化合物からなる群より選
    択される1以上の化合物からなる抗炎症剤。
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