JPH0723718Y2 - 自動車用電子制御装置の故障診断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、自動車に搭載されている各種電子装置の故
障診断を正確かつ迅速に行い得る自動車用電子制御装置
の故障診断装置に関するものである。

〔従来の技術〕

第６図は、従来の自動車用電子制御装置の故障診断装置
のブロック図である。この第６図における１は、自動車
用電子制御装置の故障診断装置（以下、単に故障診断装
置と呼ぶ）、2a,2bは、車載の電子制御装置である。

故障診断装置１と電子制御装置2a,2bは、コネクタ３を
介して、通信線4a,4bで結ばれている。

また、5a,5bは、センサ6a,6bは、アクチュエータであ
る。センサ5aとアクチュエータ6aはそれぞれ信号線8
a₁，8a₂およびコネクタ7aを介して電子制御装置2aに接
続されている。

同様にして、センサ5b、アクチュエータ6bは信号線8
b₁，8b₂およびコネクタ7bを介して、電子制御装置2bに
接続されている。

このような、従来の自動車用電子制御装置の故障診断装
置においては、次のような機能をもつ。車載の電子制御
装置の信号系統に異常が起きたとき、その系統を記憶し
ておき、故障診断装置１を接続したときに、その故障コ
ードを表示する「自己診断機能」たとえば、電子制御装
置2aがセンサ5aの系統からの信号に異常があると、自己
診断し、故障診断装置１に表示した場合でも、センサ5a
の不良か、信号線8a₁の断線か、コネクタ7aの接触不良
かは不明である。

次に、センサ系統から電子制御装置への入力信号を故障
診断装置へ表示する「データリスト機能」、たとえば、
センサ5aからの出力信号は信号線8a₁，コネクタ7aを介
して、電子制御装置2aへ入力される。

故障診断装置１は、信号線4aを介して、電子制御装置2a
内の図示しないRAMに記憶されたデータをシリアル通信
で読み取り、物理量変換した後、表示している。

このように、従来の故障診断装置１においては、電子制
御装置2a、あるいは2bへの入力信号をベースに、故障診
断、データの取得を行っているため、センサ5a,5b、コ
ネクタ7a,7b、信号線8a₁，8a₂，8b₁，8b₂、電子制御装
置2a,2bなど個々の部品単体でのデータ取得をするに
は、オシロスコープ，サーキットテスタなど、別の計測
器のデータと比較する必要があった。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の自動車用電子制御装置の故障診断装置は以上のよ
うに構成されているので、故障診断装置１では、車載の
電子制御装置2a,2bを介したセンサアクチュエータなど
の電子装置のデータしか取られず、電子装置の出力値な
どを直接測定するには、他の測定器を用いる必要があ
り、互いの機器間におけるデータの同期性が乏しくな
り、自動車の故障診断において、困難が伴っていた。

この考案は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、一つの故障診断装置において、車載の電子制
御装置を介した電子装置のデータと、電子制御装置を介
さず、直接電子装置から得た測定データとが採取可能で
あるとともに、互いのデータの相関関係を容易に解析で
き、故障診断を正確に、かつ迅速に行える自動車用電子
制御装置の故障診断装置を得ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案に係る自動車用電子制御装置の故障診断装置
は、車載のセンサ，アクチュエータなどの電子装置のデ
ータ、各種診断結果を、車載の電子制御装置を介して通
信することにより、故障診断する機能の他に、電子制御
装置を介さずに直接電子装置の出力値などを測定できる
機能をもたせた故障診断装置を設けたものである。

〔作用〕

この考案における故障診断装置において、電子制御装置
を介した電子装置のデータと、この電子装置の直接のデ
ータとを同一の故障診断装置で互いのデータにおいて同
期性をもって採用して相関関係の解析を行う。

〔実施例〕

以下、この考案の自動車用電子制御装置の故障診断装置
の実施例を図について説明する。第１図はその一実施例
の構成を示すブロック図である。この第１図において、
符号１〜8b₂で示す部分は第６図で示した従来例と同様
であり、この第１図において、第６図と同一部分には同
一符号を付すのみにとどめ、その重複説明を避け、第６
図とは異なる部分を主体に述べる。

この第１図を第６図と比較しても明らかなように、この
第１図では、符号９〜14で示す部分が第６図の構成に新
たに付加された部分であり、この第１図の実施例の特徴
をなす部分である。

すなわち、９は電圧、10は電流、11は抵抗であり、電子
装置のデータとしての物理量である。また、12はグラン
ド、13,14はそれぞれオシロスコープ用プローブであ
る。

第２図はセンサ5aとして、スロットルセンサを使用した
場合の実施例を示している。この第２図において、15は
ポテンショメータで、スロットル開度を検出するのに、
電源電圧を抵抗で分圧した値を用いている。第３図は、
スロットルセンサの出力電圧特性を示している。

次に、動作について説明する。スロットルセンサ5aの出
力データを採取したいとき、一つはスロットルセンサ5a
からの出力信号を、信号線8a₁、コネクタ7aを介して、
電子制御装置2a内に入力して、この電子制御装置2a内の
記憶手段としてのRAMに記憶するとともに、このRAMに記
憶したデータを故障診断装置１がシリアル通信で読み取
り、物理量変換したものである。

もう一つは、スロットルセンサ5aの出力を、直線Ａ点
で、故障診断装置１の電圧計またはオシロスコープの電
圧測定機能で電圧９を電気量として測定したものであ
る。その測定結果を表示したグラフが、第４図，第５図
である。

第４図においては、Ｘ軸に直接測定したスロットルセン
サ5aにおけるＡ点の電圧、Ｙ軸に電子制御装置2aを介し
て得たスロットルセンサ5aの出力電圧を示しており、一
定時間毎のデータをプロットしており、相関関係がよく
判る。

また、第５図において、直接測定したスロットルセンサ
5aにおけるＡ点の電圧と、電子制御装置2aを介して得た
スロットルセンサ5aの出力電圧とを、時系列の変化とし
て同一グラフ上で比較できるように表示している。

すなわち、第５図の実線は第２図のＡ点の電圧を示し、
破線は電子制御装置2aからのスロットルセンサ5aの出力
電圧を示している。

なお、上記実施例では、スロットルセンサ5aの出力デー
タについての測定例について説明したが、インジェクタ
の燃料噴射時間などアクチュエータ6a、あるいは6bの出
力データ、スタータの電流値やバッテリ電圧などの電装
品の出力データ、スイッチのON,OFF検出などについて測
定しても、上記実施例と同様の効果を奏する。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案によれば、車載の電子制御装置
を介して得る電子装置のデータ以外に、直接電子装置を
測定したデータも同一故障診断装置で、採取可能にした
ので、互いのデータ間の相関関係を解析するのも容易に
なり、故障診断を正確にかつ短時間で実施することが可
能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による自動車用電子制御装
置の故障診断装置のブロック図、第２図は同上実施例に
おけるセンサとしてスロットルセンサを使用した場合の
スロットルセンサと、その周辺の構成を示すブロック
図、第３図は第２図の実施例におけるスロットルセンサ
の出力特性図、第４図および第５図はそれぞれ第１図の
自動車用電子制御装置の故障診断装置における出力例を
示す図、第６図は従来の自動車用電子制御装置の故障診
断装置のブロック図である。 １……自動車用電子制御装置の故障診断装置、2a,2b…
…電子制御装置、5a,5b……センサ、6a,6b……アクチュ
エータ。 なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車載のセンサと、アクチュエータと、上記
   センサのデータ、アクチュエータのデータ、あるいは各
   種診断結果を記憶手段に保持する車載の電子制御装置
   と、この電子制御装置と通信して、上記記憶手段に保持
   された上記データからあるいは上記各種診断結果から故
   障診断する機能を有するとともに上記車載のセンサ、ア
   クチュエータの出力値を直接指示値あるいは、時間に関
   する電気量の関数として測定できる機能とを有し、互い
   のデータあるいは測定値の相関関係を、表示、解析する
   故障診断装置とを備えた自動車用電子制御装置の故障診
   断装置。