JPH07231244A - 狭帯域ディジタルフィルタ及びスペクトル分析器及びドップラ周波数推定器及び地殻同定器及び地磁気同定器及び地殻推定器及び地磁気推定器 - Google Patents

狭帯域ディジタルフィルタ及びスペクトル分析器及びドップラ周波数推定器及び地殻同定器及び地磁気同定器及び地殻推定器及び地磁気推定器

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JPH07231244A
JPH07231244A JP2151294A JP2151294A JPH07231244A JP H07231244 A JPH07231244 A JP H07231244A JP 2151294 A JP2151294 A JP 2151294A JP 2151294 A JP2151294 A JP 2151294A JP H07231244 A JPH07231244 A JP H07231244A
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filter
spectrum analyzer
narrow band
frequency
crust
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JP2151294A
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Yasuo Tachibana
康夫 立花
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理対象たるデータの点数に依存しない実行
時間を有するスペクトル分析器を提供する。 【構成】 各タップの構成が、三角関数と、複素変数指
数関数と、絶対値が1以下の実係数べき乗と、の積で与
えられる狭帯域有限インパルス応答型ディジタルフィル
タを用いる。このようなディジタルフィルタを用いて、
スペクトル分析器を構成することにより、タップに依存
しない実行時間が実現できる。また、フィルタの初期状
態が、一定時間経過後には無視することができるので、
初期条件を所定の条件に設定する必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信号成分の分析に関す
るものであり、特に、極めて長時間にわたって変動する
信号の振動成分を分析し、その変動を予測するような理
学計測システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】地質学の分野において取り扱われる信号
は比較的変動が緩やかである。また、このような地質学
的な変動は、極めて長期間にわたるのが通常である。そ
の結果、扱う信号は全てディジタル信号として取り扱わ
れ、そのスペクトル分析等もディジタル信号処理により
行われている。
【0003】信号の中の信号成分の分析、すなわちスペ
クトル分析においては、従来より各種の方法が試みられ
ている。これらを分類すると以下の3種類となる。
【0004】第一の方法は、観測された信号、もしくは
その相関関数をフーリエ変換して、その振動成分を分離
する方法である。
【0005】第二の方法は、観測された信号を、狭帯域
フィルタバンクに入力し、その振動成分を分離する方法
である。
【0006】第三の方法は、観測された信号をモデルで
表現して、そのモデルの有するスペクトルを算出するこ
とにより、観測された信号の振動成分を分離する方法で
ある。 以上の各方法に対して更に種々の工夫を施した
手法が提案されている。
【0007】上記第一の方法においては、まず、ある時
間区間での観測データに対して有限フーリエ変換が適用
される。この適用は、実際には、高速フーリエ変換FF
Tにより行われる。
【0008】この場合、一度に処理可能なデータの個数
は、理論的には、計算機のハードウェアにのみ依存し、
それ以外のその他の制限はない。しかし、通常は、2の
13乗から、2の15乗程度が事実上の限界である。す
なわち、一度に処理可能なデータの個数は実際には80
00〜32000個程度が上限となる。
【0009】上記第二の方法は、狭帯域ディジタルフィ
ルタを用いているので、そのフィルタのタップ数は、事
実上1000個以下である。
【0010】また、上記第三の方法は、モデルの設定に
よって結果が大きく変化してしまう。例えば、特開平4
ー221777号公報には、計測器としてのスペクトル
分析器に用いられている方法の例が示されている。特
に、地質的変動を対象として長時間の観測に対して振動
成分を見い出すには、統計学的時系列モデル、すなわ
ち、上記三番目の手法が用いられることが多い。
【0011】地球の地殻変動に対する検討としては、M
akio Ishiguro、”ABayesian
Approach to the Analysis
of Data of Crustral Movem
ents”、測地学会誌、第27巻、第4号、pp:2
56−262、1981に代表的な方法が記載されてい
る。
【0012】また、本発明の主題となる第二の方法の基
礎となる帯域フィルタに関しては、本願出願人が、昭和
61年12月27日に出願した特許出願がある。この特
許出願においては、本発明の基礎となる狭帯域フィルタ
の高速計算法が与えられている。すなわち、タップ数が
10万以上となるような狭帯域有限インパルス応答型デ
ィジタルフィルタであって、その係数を、三角関数と複
素変数指数関数との積で与えたディジタルフィルタが記
載されている。このような構成により、そのディジタル
フィルタは、実際の動作が自己回帰型となり、1サンプ
ル周期当たりの計算速度をタップ数に依存しないように
することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】地質変動に現れる極め
て接近したスペクトルの分離を実施しようとすると、長
時間でかつ極めて大きな点数の処理をする必要がある。
例えば、地球の潮汐の起潮力は、極めて近接した振動成
分を有することが知られている。したがって、地殻歪
み、海面潮位等のスペクトルの分析では、10万〜10
0万点以上のデータの処理が必要である。その結果、従
来の方法ではその計算に多大な労力を要してしまうとい
う問題がある。
【0014】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、処理の対象となるデータの点数に依
存しない実行時間を有するスペクトル分析器を実現する
ことである。また、併せて、極めて近接した振動成分を
分離可能なフィルタバンクによるスペクトル分析器を提
供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】第一の本発明は上記課題
を解決するために、各タップの係数が、三角関数と、複
素変数指数関数と、絶対値が1以下の実係数べき乗と、
の積で与えられている狭帯域有限インパルス応答型ディ
ジタルフィルタであって、自己回帰型フィルタとして動
作することを特徴とする狭帯域ディジタルフィルタであ
る。
【0016】第二の本発明は上記課題を解決するため
に、狭帯域ディジタルフィルタを用いて、入力信号のス
ペクトルを分析するスペクトル分析器において、前記狭
帯域ディジタルフィルタは、前記第一の本発明の狭帯域
ディジタルフィルタであることを特徴とするスペクトル
分析器である。
【0017】第三の本発明は上記課題を解決するため
に、複数の狭帯域ディジタルフィルタを用いて、入力信
号のスペクトルを分析するスペクトル分析器において、
前記各狭帯域ディジタルフィルタの出力信号にそれぞれ
所定の複素係数を乗算する複数の乗算器と、前記複数の
乗算器の出力信号を加算し、その総和を算出する加算器
と、を含み、前記各狭帯域ディジタルフィルタは、前記
第一の本発明の狭帯域ディジタルフィルタであることを
特徴とするスペクトル分析器。
【0018】第四の本発明は上記課題を解決するため
に、第三の本発明のスペクトル分析器において、前記複
数の狭帯域ディジタルフィルタは、全て同一の周波数位
相特性を有していることを特徴とするスペクトル分析器
である。
【0019】第五の本発明は上記課題を解決するため
に、第三の本発明のスペクトル分析器において、前記複
数の狭帯域ディジタルフィルタは、所定の周波数位相特
性を有する一個以上の第一の狭帯域ディジタルフィルタ
と、前記所定の周波数位相特性よりも90度位相が進ん
でいる特性を有する一個以上の第二の狭帯域ディジタル
フィルタと、を含むことを特徴とするスペクトル分析器
である。
【0020】第六の本発明は上記課題を解決するため
に、第三の本発明のスペクトル分析器において、前記複
数の狭帯域ディジタルフィルタは、低域通過フィルタ
と、振幅特性が周波数の1次式で表される1次フィルタ
と、前記低域通過フィルタと前記1次フィルタとの出力
信号の比を算出する比算出手段と、を含むことを特徴と
するスペクトル分析器である。
【0021】第七の本発明は上記課題を解決するため
に、連続単振動を移動対象に照射し、その反射波を利用
することにより前記移動対象の速度を測定するドップラ
ー速度計測器において、第六の本発明のスペクトル分析
器を含み、前記スペクトル分析器は、前記連続単振動と
前記反射波との差の周波数帯域を通過帯域とするフィル
タを有し、ドップラシフト周波数とその振幅及び位相と
を出力することを特徴とするドップラ周波数推定器であ
る。
【0022】第八の本発明は上記課題を解決するため
に、第三の本発明のスペクトル分析器において、前記複
数の狭帯域ディジタルフィルタは、低域通過フィルタ
と、振幅特性が周波数のN次式で表されるフィルタと、
を含み、更に、前記複数の狭帯域ディジタルフィルタの
複数の出力信号に所定の行列を作用させる行列変換器
と、を有することを特徴とするスペクトル分析器であ
る。但し、前記Nは1から所定の正の整数までの全ての
正の整数を採る。
【0023】第九の本発明は上記課題を解決するため
に、第八の本発明のスペクトル分析器を含む地殻同定器
において、前記スペクトル分析器は、地殻信号を入力
し、地殻信号の単振動の振幅と位相を出力することを特
徴とする地殻同定器である。
【0024】第十の本発明は上記課題を解決するため
に、第八の本発明のスペクトル分析器を含む地磁気同定
器において、前記スペクトル分析器は、地球上定点での
地磁気の絶対値を入力し、前記地磁気の周波数の推定値
と振幅と位相とを出力することを特徴とする地磁気同定
器である。
【0025】第十一の本発明は上記課題を解決するため
に、第八の本発明のスペクトル分析器において、前記行
列変換器の出力信号に基づいて、外部から指定された指
定時間後の未来の前記入力信号を推定する振動推定器、
を含むことを特徴とするスペクトル分析器である。
【0026】第十二の本発明は上記課題を解決するため
に、第十一の本発明のスペクトル分析器を含む地殻推定
器において、前記スペクトル分析器は、地殻信号を入力
し、この地殻信号の前記指定時間後の未来の値を推定す
ることを特徴とする地殻推定器である。
【0027】第十三の本発明は上記課題を解決するため
に、第十一の本発明のスペクトル分析器を含む地磁気推
定器において、前記スペクトル分析器は、地球上定点で
の地磁気の絶対値を入力し、前記指定時間後のこの地磁
気の変動を推定することを特徴とする地磁気推定器であ
る。
【0028】
【作用】第一の本発明の狭帯域ディジタルフィルタは、
タップに依存しない計算時間で、1サンプル当たりの計
算をすることができる。また、実係数べき乗を係数の設
定に用いているため、十分な時間が経過した後では、初
期条件の影響が出力には現れない。
【0029】第二の本発明のスペクトル分析器は、上記
第一の本発明の狭帯域ディジタルフィルタを用いている
ため、同様の作用を有する。
【0030】第三の本発明のスペクトル分析器は、上記
第一の本発明の狭帯域ディジタルフィルタを複数個用い
て、所定の複素係数を掛けてから、各狭帯域ディジタル
フィルタの出力信号の総和を採ったので、低域通過フィ
ルタ等の構成が容易に実現できる。
【0031】第四の本発明のスペクトル分析器は、複数
の上記第一の本発明の狭帯域ディジタルフィルタを、全
て同一の周波数位相特性を有するように、構成したの
で、低域フィルタ、もしくは周波数の1次式、2次式、
3次式の多項式で表される振幅特性を有するフィルタを
得ることができる。
【0032】第五の本発明のスペクトル分析器は、第四
の本発明のスペクトル分析器の複数の上記第一の本発明
の狭帯域ディジタルフィルタに、さらに、その狭帯域デ
ィジタルフィルタとは位相特性が90度異なる狭帯域デ
ィジタルフィルタを備えているので、ヒルベルト変換な
どの周波数振幅特性を有するフィルタ群を構成すること
が可能である。
【0033】第六の本発明のスペクトル分析器は、低域
通過フィルタと、振幅特性が周波数の一次関数である1
次フィルタとのそれぞれの出力信号の比を算出するの
で、所定帯域内の単一の単振動成分の周波数、振幅、位
相を推定することができる。
【0034】第七の本発明のドップラ周波数推定器は、
ゆっくり進行する移動体の音響データなどに現れるドッ
プラシフト周波数を推定できる。
【0035】第八の本発明のスペクトル分析器によれ
ば、所定の通過特性の低域フィルタと、振幅特性が周波
数の1次、2次、更に所定次数までの多項式で表される
フィルタを構成でき、それらにより、所定帯域内のフィ
ルタの所定次数に1つ加えた分の単振動成分の周波数、
振幅、位相を分離して推定できる。
【0036】第九の本発明の地殻同定器によれば、地殻
歪み、傾斜、重力、海面潮位等の地質学上で地殻信号の
単振動成分の振幅と位相を推定できる。
【0037】第十の本発明の地磁気同定器によれば、地
磁気の絶対値の単振動成分の周波数と振幅と位相を推定
できる。
【0038】第十一の本発明のスペクトル分析器は、振
動推定器により、入力信号の将来の値を推定することが
できる。
【0039】第十二の本発明の地殻推定器によれば、地
殻歪み、傾斜、重力、海面潮位等の地質学上で地殻信号
の単過去の観測値からスペクトルを推定しそれを用いて
所定時間未来の地殻の変動を予測できる。
【0040】第十三の本発明の地殻推定器によれば、地
磁気の過去の観測値からそのスペクトルを推定しそれを
用いて所定時間未来の地磁気の変動を予測できる。
【0041】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面に基づい
て説明する。
【0042】実施例1 1には、本発明の好適な実施例であるスペクトル分析器
の構成ブロック図が示されている。図1に示されている
ように、本実施例1のスペクトル分析器は、第1の合成
フィルタ1と、第2の合成フィルタ2と、第Pの合成フ
ィルタ3とを備えている。図1に示されているように、
これらの合成フィルタには、入力信号X(t)が供給さ
れている。ここで、tは時間を表す。
【0043】なお、tをt=n・Ts(nは整数、Ts
はサンプリング周期)と表した場合、xnを、信号X
(t)の、時刻t=n・Tsにおける信号の値を表すも
のとして使用する。また、nの代わりにkを使用して表
すこともある。
【0044】これらの合成フィルタ群からの出力信号y
p(n)(p=0,1・・・、p−1)(n=0、1、
・・・)は、全て周波数分離器4に供給される。
【0045】個々で、pは合成フィルタの個数であり、
nは整数である。
【0046】周波数分離器4は、周波数分離行列を、上
記出力信号yp(n)(p=0,1・・・、p−1)
(n=0、1、・・・)に乗算し、スペクトル分離信号
Yp(n)(p=1、・・・、p)(n=0、1、・・
・)を出力する。
【0047】また、図1において、θp(p=0,1・
・・、p−1)は、p番目のスペクトルを表し、a(0
≦a≦π)は合成フィルタ帯域の下限を表し、b(0≦
a<b≦π)は合成フィルタ帯域の上限を表す。そし
て、zはz変換の変数を表し、Fp(z)(p=0,1
・・・、p−1)は、p番目の合成フィルタを表す。
【0048】また、本実施例1において、入力信号xn
は、既知のp個のスペクトルθp(p=0,1・・・、
p−1)からなる信号である。そして、それぞれのスペ
クトルθpの振幅及び位相は不明であるとする。
【0049】本実施例において特徴的なことは各合成フ
ィルタ1、2、3の出力信号yp(n)が、周波数分離
器4において、周波数分離行列と乗算されることであ
る。この乗算の結果、周波数分離器4の出力信号Yp
(n)(p=1、・・・、p)(n=0、1、・・・)
は、各周波数成分を表す。
【0050】第1の合成フィルタ1の作用を説明する。
一般にディジタルフィルタの周波数特性は、伝達関数F
0(z)の周波数特性として与えられる。信号のサンプ
リング周期Tsに対して、周波数をfとすると規格化周
波数θは、
【数1】 により、定義され、その有効範囲は、
【数2】 である。そして、第1の合成フィルタ1の伝達関数F0
(z)の周波数特性は、f0(exp(iθ))で与え
られる。第2の合成フィルタ2や、第3の合成フィルタ
3については、それぞれ、
【数3】 で表される。すなわち、図1の第1の合成フィルタ1か
ら、第pの合成フィルタ3までで表したp個のいわゆる
フィルタバンクによって、入力信号の周波数成分の多項
式で表される信号が、周波数分離器4から出力されるこ
とになる。なお、上記式(3)〜(5)において、定数
Dは、信号の遅れを示す実数である。上記(3)〜
(5)によって表されるディジタルフィルタを設計する
ことは可能である。例えば、N.K.Bose、”Di
gital Filter”、North−Holla
nd、1985等に掲載されている有限インパルス型の
ディジタルフィルタの設計法が利用可能である。
【0051】入力信号xnのスペクトルθp(p=1、
・・・、p)は、既知であり、
【数4】 で表されるものとする。このとき、合成フィルタの周波
数特性は上記(3)〜(5)によって表されるので、こ
れらの合成フィルタの出力信号は、
【数5】 で表される。この式(7)は、行列を用いて書き直せ
ば、
【数6】 となる。ここで、行列Tを、
【数7】 で定義し、これを周波数分離行列と呼ぶことにする。こ
の周波数分離行列を用いると、上記式(8)は、
【数8】 と表すことができ、各単振動が分離できることが理解さ
れよう。
【0052】実施例2 図2は、本発明の好適な実施例2であるスペクトル分析
器の主要部である合成フィルタの構成ブロック図であ
る。本実施例2における合成フィルタは、上記実施例1
における合成フィルタに工夫を加えたものである。図2
に示されているように、本実施例2のスペクトル分析器
は、第1の基礎狭帯器フィルタ5と、第2の基礎狭帯器
フィルタ6と、第Rの基礎狭帯器フィルタ7とを備えて
いる。また、それぞれの基礎狭帯器フィルタ5、6、7
に対して、第1の合成フィルタ振幅パラメータ設定手段
8や、第2の合成フィルタ振幅パラメータ設定手段9
や、第rの合成フィルタ振幅パラメータ設定手段10が
備えられている。なお、各設定手段8、9、10におい
て設定される合成フィルタ振幅パラメータは図2に示さ
れているように、Ar(r=1、2、・・・、R)で表
され、合成フィルタ周波数パラメータは、ar(r=
1、2、・・・、R)で表される。
【0053】更に、上記パラメータ設定手段8、9、1
0の出力信号は、合成フィルタ加算器11によって、総
計が計算され、最終出力信号Ykが出力される。なお、
yk(k=0、1、・・・、R)は合成フィルタの出力
であり、Rは合成フィルタパラメータの個数を表す。更
に、図2中において、f(z;ar)(r=1、2、・
・・、R)で示されているものは、合成フィルタのパル
ス伝達関数である。
【0054】図2において、第1及び第2及び第Rの基
礎狭帯器フィルタ5、6、7に対応して設けられている
合成フィルタ周波数パラメータar(r= 1、2、・
・・、R)は、不等式
【数9】 を満たすものとする。この合成周波数パラメータar
(r= 1、2、・・・、R)を適当に選ぶことによ
り、第1及び第2及び第Rの基礎狭帯器フィルタ5、
6、7のパルス伝達特性f(z;ar)(r=1、2、
・・・、R)は、それぞれ中心周波数をarとし、その
帯域が互いに重ならないように、かつ、位相特性が全て
上記(3)式のような線形位相特性を有するように設定
されている。すなわち、全てのフィルタの遅れ時間がそ
ろっている構造とすることができる。
【0055】第1及び第2及び第Rの基礎狭帯器フィル
タ5、6、7のパルス伝達特性f(z;ar)(r=
1、2、・・・、R)の位相特性は、
【数10】 のように表される。ここで、fr(θ)(r=1、2、
・・・、R)は、振幅を表し、θの実関数である。この
実関数のグラフの例が図3に示されている。図3から理
解されるように、第1及び第2及び第Rの基礎狭帯器フ
ィルタ5、6、7の特性は、各帯域が互いに重ならない
ように設定されている。
【0056】具体的な手法については、上述したBos
eや、本願出願人の先の特許出願に記載されている。
【0057】さて、基礎狭帯器フィルタを、図2に示さ
れているような構成とした場合、その振幅特性は、
【数11】 のようになる。実数列Ar(r=1、2、・・・、R)
を適当に定めると、上述した式(3)、(4)、(5)
のような特性のフィルタが容易に実現可能である。実施
例3 図4には、本発明の好適な実施例4のスペクトル分析器
の主要部である基礎狭帯域フィルタの構成ブロック図が
示されている。
【0058】本実施例3は、上記実施例2における基礎
狭帯域フィルタを求めるための発明に関するものであ
る。図4において、Mは、0または正の整数であるとす
る。
【0059】図4に示されているように、基礎狭帯域フ
ィルタは、シフトレジスタ12と、第1の基礎自己回帰
フィルタ13と、第2の基礎自己回帰フィルタ14と、
第(M+1)の基礎自己回帰フィルタ15とを備えてい
る。また、本実施例4の基礎狭帯域フィルタは、上記第
1及び第2及び第(M+1)の基礎自己回帰フィルタ1
3、14、15のそれぞれに対応して、基礎狭帯域フィ
ルタ第1パラメータ設定手段16と、基礎狭帯域フィル
タ第2パラメータ設定手段17と、基礎狭帯域フィルタ
第(M+1)パラメータ設定手段18と、が備えられて
いる。
【0060】このような構成によって、入力信号Xk
(k=0、1、2、・・・)は、シフトレジスタ12に
一旦蓄えられてから、第1及び第2及び第(M+1)の
基礎自己回帰フィルタ13、14、15に供給されてい
る。そして、各基礎自己回帰フィルタ13、14、15
の出力信号は、それぞれ対応する基礎狭帯域フィルタ第
1及び第2及び第(m+1)パラメータ設定手段16、
17、18に供給される。 これらの基礎狭帯域フィル
タ第1及び第2及び第(m+1)パラメータ設定手段1
6、17、18の出力信号は、基礎狭帯域フィルタ加算
器20において総計が採られた後、基礎狭帯域フィルタ
集約パラメータ設定手段19に供給される。 この基礎
狭帯域フィルタ集約パラメータ設定手段19において
は、図4に示されているように、フィルタ基礎パラメー
タαと、ウィンドウ次数M、随伴フィルタパラメータa
(m)(m=0、1、2、・・・、M)が使用されてい
る。
【0061】図5は、図4に示されている基礎自己回帰
フィルタ13、14、15の詳細な構成ブロック図であ
る。図5に示されているように、本実施例3の基礎自己
回帰フィルタ13、14、15は、基礎自己回帰フィル
タ第1パラメータ設定手段21と、基礎自己回帰フィル
タ第2パラメータ設定手段22と、を有している。
【0062】また、本実施例3の基礎自己回帰フィルタ
13、14、15は、図5に示されているように、基礎
自己回帰フィルタ加減算器23と、基礎自己回帰フィル
タ加算器24とを含んでいる。また、図5中において、
uk(k=0、1、2、・・・)は、基礎自己回帰フィ
ルタ13、14、15の出力信号であり、ρは緩和係数
を表し、Nはフィルタのタップ数である。
【0063】本実施例3における基礎狭帯域フィルタ
は、上述した本出願人が出願した昭和61年12月27
日付けの特許出願「信号処理装置」の中にその基本形が
示されている。
【0064】しかし、この基本形による構成では、フィ
ルタの初期条件を適切に選択しないと、その初期条件の
影響が永久にフィルタの中に残存してしまうという問題
があった。この問題を解決するために、基礎自己回帰フ
ィルタの構成を工夫した発明に係る実施例が本実施例3
である。
【0065】すなわち、本実施例において特徴的なこと
は、
【数12】 の如き緩和パラメータを挿入し、完全な自己回帰型のフ
ィルタを構成したことである。なお、ここでρ=1と設
定することにより上記特許出願「信号処理装置」に示さ
れているフィルタと同様の構成となる。このような構成
とした場合は、見かけ上は自己回帰型となっているが、
実際には、このフィルタの安定性を示す特性方程式の特
性根はz−平面上で単位円の上に位置しているため、初
期条件の影響がそのフィルタの出力値にいつまでも残存
してしまう恐れがある。ρを、0<ρ<1の範囲で選択
すれば、特性方程式の特性根は、単位円の内部に位置す
るため、初期条件の影響は、時間の経過とともに減衰す
ることになる。
【0066】但し、本実施例によれば、上述した(3)
式は満足しない。したがって、完全な線形位相特性のフ
ィルタとはならないが、ρを十分1に近い値に設定すれ
ば、実用上は上記(3)式を近似的に満足させることが
可能である。
【0067】実施例4 本実施例4は、上記実施例3における基礎自己回帰フィ
ルタを基礎自己回帰微分フィルタに置き換えたものであ
る。このような構成とすることにより、任意の振幅特性
の微分フィルタまたはヒルベルト変換を構成することが
可能である。
【0068】図6には、本実施例4の特徴的な構成であ
る基礎自己回帰微分フィルタの構成ブロック図が示され
ている。図6に示されているように、本実施例4の基礎
自己回帰微分フィルタは、シフトレジスタ25と、基礎
自己回帰微分フィルタ第1パラメータ設定手段26と、
基礎自己回帰微分フィルタ第2パラメータ設定手段27
と、を有している。
【0069】また、本実施例4の基礎自己回帰微分フィ
ルタは、図6に示されているように、基礎自己回帰微分
フィルタ加減算器28、29、30と、基礎自己回帰フ
ィルタ加算器31とを含んでいる。また、図6中におい
て、xk(k=0、1、2、・・・)は、上記実施例と
同様に、基礎自己回帰微分フィルタへの入力信号であ
り、wk(k=0、1、2、・・・)は、基礎自己回帰
微分フィルタの出力信号である。また、上記実施例と同
様に、ρは緩和係数を表し、Nはフィルタのタップ数で
ある。
【0070】本実施例4においては、上記実施例3にお
ける基礎自己回帰フィルタを、基礎自己回帰微分フィル
タと置き換えて構成した。このように、基礎自己回帰フ
ィルタの代わりに基礎自己回帰微分フィルタを用いて構
成して得られた基礎狭帯域フィルタを、本文では特に、
上記実施例3と区別するために基礎狭帯域微分フィルタ
と呼ぶ。この基礎狭帯域微分フィルタを、上記実施例2
における基礎狭帯器フィルタとして用いると、
【数13】 のような特性の合成フィルタが得られる。ここで、Fa
bs(θ)は、θの実関数で与えられる振幅特性であ
る。このようなフィルタ形は、微分フィルタ、ヒルベル
ト変換等を表す。このようにして得られたフィルタを、
上記実施例2における合成フィルタと区別するために、
本文においては合成微分フィルタと呼ぶ。実施例5 本実施例5は、上記実施例2もしくは3における(3)
及び(4)式で表される特性のフィルタF0(z)と、
F1(z)とを用いて、通過帯域内にある単振動の周波
数を特定する分析器に関するものである。
【0071】本実施例5に係る分析器の構成ブロック図
が図7に示されている。図7に示されているように、本
実施例6に係る分析器は、帯域通過フィルタ32と、帯
域比例フィルタ33と、割り算器34と、定数器35
と、加算器36と、を含んでいる。なお、上記実施例と
同様に、xk(k=0、1、2、・・・)は入力信号で
ある。
【0072】但し、uk(k=0、1、2、・・・)
は、フィルタF0(z)の出力信号であり、vk(k=
0、1、2、・・・)は、フィルタF1(z)の出力信
号である。また、Ykは、特定周波数の信号を表す。な
お、割り算器34においては、uk/vkが計算され
る。
【0073】但し、vkが0の場合は、この割り算器3
4は0を出力する。
【0074】例えば、入力信号xk(k=0、1、2、
・・・)が、
【数14】 のように与えられると、上記uk及びvkは、
【数15】 のように表される。その結果、Ykは、
【数16】 と表される。
【0075】このように、本実施例5によれば、単振動
の周波数を取り出すことが可能である。
【0076】実施例6 本実施例6は、地質学上の地殻信号のスペクトル分析器
に関するものである。図8には、本実施例に係る地殻信
号のスペクトル分析器の構成ブロック図が示されてい
る。図8に示されているように、本実施例6に係る地殻
信号のスペクトル分析器は、上記実施例1に示されてい
るスペクトル分析器37と、第1の振幅位相推定器38
と、第2の振幅位相推定器39と、第pの振幅位相推定
器40とを含んでいる。
【0077】また、y1(k)は、スペクトル分析器3
7の第1の出力信号であり、y2(k)は、スペクトル
分析器37の第2の出力信号であり、yp(k)は、ス
ペクトル分析器37の第pの出力信号である。
【0078】また、w1(k)は、第1の振幅位相推定
器38の推定振幅出力信号であり、w2(k)は、第2
の振幅位相推定器39の推定振幅出力信号であり、wp
(k)は、第pの振幅位相推定器40の推定振幅出力信
号である。
【0079】また、z1(k)は、第1の振幅位相推定
器38の推定位相出力信号であり、z2(k)は、第2
の振幅位相推定器39の推定位相出力信号であり、zp
(k)は、第pの振幅位相推定器40の推定位相出力信
号である。
【0080】なお、上記実施例と同様に、xk(k=
0、1、2、・・・)は入力信号である。また、本実施
例6においては、正の整数pは377を表すものとす
る。
【0081】地殻の地殻歪み、傾斜、重力、海面潮位等
は、月と太陽の引力を受けて規則的に変化している。こ
れは377個のスペクトルで表される起潮力(Maki
oIshiguro、”A Bayesian App
roach to theAnalysis of D
ata of Crustral Movement
s”、測地学会誌、第27巻、第4号、pp:256−
262、1981に、詳しい説明が記載されている)に
よって、引き起こされる。この起潮力が地球の場所によ
り異なる岩盤や海洋の周辺環境によって周波数領域で変
形されて観測されるものである。
【0082】本実施例6においては、あらかじめ判明し
ている377個のスペクトルの振幅と、位相とを推定す
る装置である。すなわち、本実施例6に係る地殻信号の
スペクトル分析器の入力信号xkは、
【数17】 のように表される。この式(20)において、Cpとδ
p(p=1、2、・・・、P)とは、未知の実数であ
る。上記実施例1のスペクトル分析器からは、
【数18】 が出力される。第1の振幅位相推定器38では、入力信
号Yk(1)の最大値と最小値とを測定し、その最大値
と最小値との差の半分を、振幅推定値wk(1)とし
て、出力する。一方、位相は、基準信号
【数19】 を利用することにより、
【数20】 を計算することにより求める。第2及び第pの振幅位相
推定器39、40の作用も全く同様である。
【0083】実施例7 本実施例7は、上記実施例6で得られる地質学上の地殻
変化のスペクトルにより地殻信号の推定を行う地殻信号
推定器に関するものである。
【0084】図9には、本実施例に係る地殻信号推定器
41の構成を表す説明図が示されている。図9におい
て、W1は、第1のスペクトル振幅推定値を表し、W2
は、第2のスペクトル振幅推定値を表し、WPは、第P
のスペクトル振幅推定値を表す。また、Z1は、第1の
スペクトル位相推定値を表し、Z2は、第2のスペクト
ル位相推定値を表し、ZPは、第Pのスペクトル位相推
定値を表す。また、Xk(k=0、1、2、・・・)は
地殻推定値を表す。
【0085】まず、上記実施例6におけるスペクトルの
振幅と位相の推定値とが適当な時間間隔で取り出され
る。これらが、スペクトル振幅推定値W1、W2、・・
・、WP、及び、スペクトル位相推定値Z1、Z2、・
・・、ZPである。これらを入力した地殻信号推定器4
1は、
【数21】 を計算することにより地殻(信号)を推定する。
【0086】実施例8 本実施例8は、地磁気の変化のスペクトルを分析する地
磁気同定器に関するものである。
【0087】図10には、本実施例8の地磁気同定器の
構成ブロック図が示されている。図10に示されている
ように、本実施例の地磁気同定器は、第1の実施例6に
よるスペクトル分析器42と、第2の実施例6によるス
ペクトル分析器43と、第1のパワー推定器44と、第
2のパワー推定器45と、を含んでいる。更に、本実施
例の地磁気同定器は、最適スペクトル判別器46を有し
ている。
【0088】また、図10において、W1(k)は、第
1の実施例6によるスペクトル分析器42の出力信号の
第1成分振幅を表し、WP(k)は、第1の実施例6に
よるスペクトル分析器42の出力信号の第P成分振幅を
表し、W’1(k)は、第2の実施例6によるスペクト
ル分析器43の出力信号の第1成分振幅を表し、W’2
(k)は、第2の実施例6によるスペクトル分析器43
の出力信号の第P成分振幅をそれぞれ表す。また、ξは
第1のパワー推定器44の出力信号を表し、ξ’は第2
のパワー推定器45の出力信号をそれぞれ表す。またη
は、最適スペクトル判別器46の出力信号である。
【0089】地磁気は、地殻信号のようにそのスペクト
ルの周波数分布が固定されているというものではない。
したがって、地磁気が静穏の時と、磁気嵐のように激し
く変化をしている時とでは、スペクトルの周波数分布も
変化する。しかし、静穏な時であれば、ほぼその周波数
分布は定まっている。したがって、静穏日の時には上記
(20)式と同様に、
【数22】 のように表される。但し、上述した地殻信号推定器の場
合とは、Pもθpも全く異なる値である。更に、磁気嵐
の場合は、上記(24)式とは別のスペクトル合成式
【数23】 が成立する。この式において、P’、θp’、δp’は
(24)式におけるP、θp、δpとは異なる値であ
る。
【0090】そして、このパラメータP、θp、δpに
より実施例6のスペクトル分析器を作ったものが、第1
の実施例6によるスペクトル分析器42であり、パラメ
ータP、θp、δpにより実施例6のスペクトル分析器
を作ったものが、第2の実施例6によるスペクトル分析
器43である。第1の実施例6によるスペクトル分析器
42の出力信号が第1のパワー推定器44に供給されて
おり、第1のパワー推定器44においてはパワーξが、
【数24】 のように計算される。同様にして、第2のパワー推定器
45においてはパワーξ’が、
【数25】 のように計算される。最適スペクトル判別器46は、
【数26】 のように、ηが求められる。すなわち、第1の実施例6
によるスペクトル分析器42からの推定値と、第2の実
施例6によるスペクトル分析器43から空の推定値と
の、いずれの推定値が最適であるのかを判断するのであ
る。
【0091】本実施例8においては、2つの周波数分布
の場合について説明したが、2以上の周波数分布の場合
に拡張できることは言うまでもない。
【0092】実施例9 本実施例9は、上記実施例8のスペクトル推定器空の推
定値を用いて、地磁気の値を推定する地磁気推定器に関
するものである。
【0093】図11には、本実施例9に係る地磁気推定
器の構成ブロック図が示されている。図11に示されて
いるように、本実施例9の地磁気推定器は、実施例8に
よる地磁気スペクトル推定器47と、地磁気推定器48
とを含んでいる。
【0094】スペクトル推定器47からは、スペクトル
分布の番号ηと、それに対応する振幅推定値Wp(k)
(p=1、2、・・・、P k=0、1、・・・)と、
位相推定値Zp(k)とが出力される。地磁気推定器4
8においては、分布番号ηを元にして、周波数分布θp
(p=1、2、・・・、P)を検知する。この結果、
【数27】 を計算することにより、地磁気を推定する。
【0095】実施例10 本実施例10は、上記実施例5の単振動周波数推定器を
用いてドップラ信号を検出する装置に関するものであ
る。
【0096】本実施例10に係るドップラ信号検出装置
の構成ブロック図が図12に示されている。図12に示
されているように、本実施例10のドップラ信号検出器
は、複素共益掛け算器49と、実施例5の単振動周波数
推定器50と、を含んでいる。ここで、複素共役掛け算
器49は、入力信号Xkと、入力信号Xkの複素共役数
とを乗算するものである。
【0097】ドップラ信号は、発信源と、受信点との間
の相対速度に基づいて生じる信号である。したがって、
単振動の音波信号を、運動物体に照射し、その反射波を
観測することによりドップラ信号が検出されるのであ
る。ここにおいて、発信源が正規化角周波数σの単振動
を発信するものとして、
【数28】 と表す。このとき受信した信号は、相対距離が減少する
ときには、ドップラシフト周波数をθとすると、
【数29】 と表される。したがって、送信波skと、受信波xkと
の共役複素数の積を作ると、
【数30】 となる。ここで、Conjg()は、共役複素数を示
す。上記(31)式で与えられる信号を、上述した実施
例5の周波数推定器に供給することにより、ドップラシ
フト周波数θを推定することが可能である。
【0098】
【発明の効果】以上述べたように、第一の本発明によれ
ば、1サンプル周期当たりの計算時間をタップ数に依存
しないように、しかも、フィルタの初期条件によらずに
動作することを可能とする効果を有する。
【0099】また、第二の本発明によれば、上記第一の
本発明の狭帯域ディジタルフィルタを用いているため、
第一の本発明と同様の効果を有するスペクトル分析器が
得られる。
【0100】また、第三の本発明によれば、低域通過フ
ィルタ等の構成が容易なスペクトル分析器が構成できる
という効果を有する。
【0101】第四の本発明による合成フィルタにより、
フィルタバンク型スペクトル分析器で必要となる同じ位
相特性を持ち、低域フィルタなどの任意の周波数特性を
有するディジタルフィルタを構成できるという効果を有
する。
【0102】第五の本発明によれば、微分フィルタ等の
任意の振幅特性を有するディジタルフィルタが構成でき
るという効果を有する。
【0103】第六の本発明によれば、所定の帯域に含ま
れる単振動の周波数を分離することができるという効果
を有する。
【0104】第七の本発明によれば、連続単振動を移動
対象に照射し、その反射波を使用して対象の速度を測定
するドップラ速度計測器において、ドップラシフト周波
数、振幅及び位相を測定することが可能となる効果を有
する。
【0105】第八の本発明によれば、非常に近接し、し
かも等間隔に並んでいないようなスペクトルの信号に関
しても、観測信号を構成する整数個の単振動の振幅と位
相を明確に分離することが可能となる効果を有する。
【0106】第九の本発明によれば、地球上の定点での
地殻歪み、傾斜、重力、潮位等のいわゆる地質学上でい
う地殻信号を構成する単振動の振幅と位相とを推定でき
るという効果を有する。
【0107】第十の本発明によれば、地球上の定点での
地磁気の絶対値の単振動成分の周波数、振幅、位相を推
定できるという効果を有する。
【0108】第十一の本発明によれば、振動推定器によ
り、将来の値を予測可能なスペクトル分析器が得られる
という効果を有する。
【0109】第十二の本発明によれば、地球上の定点で
の地殻歪み、傾斜、重力、潮位等のいわゆる地質学上で
いう地殻信号の指定した時間だけ未来の地殻変動を推定
できるという効果を有する。
【0110】第十三の本発明によれば、地球上の定点で
の地磁気の指定した時間だけ未来の地磁気の変動を推定
できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例であるスペクトル分析器
の構成ブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施例である合成フィルタ分析
器の構成ブロック図である。
【図3】本発明の好適な実施例の基本狭帯域フィルタの
構成ブロック図である。
【図4】本発明の好適な実施例の基礎狭帯域フィルタの
構成ブロック図である。
【図5】本発明の好適な実施例の基礎自己回帰フィルタ
の構成ブロック図である。
【図6】本発明の好適な実施例の基礎自己回帰微分フィ
ルタの構成ブロック図である。
【図7】本発明の好適な実施例の単振動周波数特定器の
構成ブロック図である。
【図8】本発明の好適な実施例の地殻信号スペクトル分
析器の構成ブロック図である。
【図9】本発明の好適な実施例の地殻信号推定器の構成
ブロック図である。
【図10】本発明の好適な実施例の地磁気スペクトル分
析器の構成ブロック図である。
【図11】本発明の好適な実施例の地磁気推定器の構成
ブロック図である。
【図12】本発明の好適な実施例のドップラ信号検出器
の構成ブロック図である。
【符号の説明】
1 第1の合成フィルタ 2 第2の合成フィルタ 3 第Pの合成フィルタ 4 周波数分離器 5 第1の基礎狭帯器フィルタ 6 第2の基礎狭帯器フィルタ 7 第Rの基礎狭帯器フィルタ 8 第1の合成フィルタ振幅パラメータ設定手段 9 第2の合成フィルタ振幅パラメータ設定手段 10 第rの合成フィルタ振幅パラメータ設定手段 11 合成フィルタ加算器 12 シフトレジスタ 13 第1の基礎自己回帰フィルタ 14 第2の基礎自己回帰フィルタ 15 第(M+1)の基礎自己回帰フィルタ 16 基礎狭帯域フィルタ第1パラメータ設定手段 17 基礎狭帯域フィルタ第2パラメータ設定手段 18 基礎狭帯域フィルタ第(M+1)パラメータ設定
手段 19 基礎狭帯域フィルタ集約パラメータ設定手段 20 基礎狭帯域フィルタ加算器 21 基礎自己回帰フィルタ第1パラメータ設定手段 22 基礎自己回帰フィルタ第2パラメータ設定手段 23 基礎自己回帰フィルタ加減算器 24 基礎自己回帰フィルタ加算器 25 シフトレジスタ 26 基礎自己回帰微分フィルタ第1パラメータ設定手
段 27 基礎自己回帰微分フィルタ第2パラメータ設定手
段 28、29、30 基礎自己回帰微分フィルタ加減算器 29 基礎自己回帰微分フィルタ加減算器 30 基礎自己回帰微分フィルタ加減算器 31 基礎自己回帰微分フィルタ加算器 32 通過帯域フィルタ 33 帯域比例フィルタ 34 割り算器 35 定数器 36 加算器 37 実施例1に示されているスペクトル分析器 38 第1の振幅位相推定器 39 第2の振幅位相推定器 40 第Pの振幅位相推定器 41 地殻信号推定器 42 第1の実施例6によるスペクトル分析器 43 第2の実施例6によるスペクトル分析器 44 第1のパワー推定器 45 第2のパワー推定器 46 最適スペクトル判別器 47 地磁気スペクトル推定器 48 地磁気推定器 49 複素共役掛け算器 50 実施例5の単振動周波数推定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 17/06 Z 8842−5J

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各タップの係数が、三角関数と、複素変
    数指数関数と、絶対値が1以下の実係数べき乗と、の積
    で与えられている狭帯域有限インパルス応答型ディジタ
    ルフィルタであって、自己回帰型フィルタとして動作す
    ることを特徴とする狭帯域ディジタルフィルタ。
  2. 【請求項2】 狭帯域ディジタルフィルタを用いて、入
    力信号のスペクトルを分析するスペクトル分析機におい
    て、 前記狭帯域ディジタルフィルタは、前記請求項1記載の
    狭帯域ディジタルフィルタであることを特徴とするスペ
    クトル分析器。
  3. 【請求項3】 複数の狭帯域ディジタルフィルタを用い
    て、入力信号のスペクトルを分析するスペクトル分析器
    において、 前記各狭帯域ディジタルフィルタの出力信号にそれぞれ
    所定の複素係数を乗算する複数の乗算器と、 前記複数の乗算器の出力信号を加算し、その総和を算出
    する加算器と、 を含み、前記各狭帯域ディジタルフィルタは、前記請求
    項1記載の狭帯域ディジタルフィルタであることを特徴
    とするスペクトル分析器。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のスペクトル分析器におい
    て、 前記複数の狭帯域ディジタルフィルタは、全て同一の周
    波数位相特性を有していることを特徴とするスペクトル
    分析器。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のスペクトル分析器におい
    て、 前記複数の狭帯域ディジタルフィルタは、所定の周波数
    位相特性を有する一個以上の第一の狭帯域ディジタルフ
    ィルタと、 前記所定の周波数位相特性よりも90度位相が進んでい
    る特性を有する一個以上の第二の狭帯域ディジタルフィ
    ルタと、を含むことを特徴とするスペクトル分析器。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のスペクトル分析器におい
    て、 前記複数の狭帯域ディジタルフィルタは、 低域通過フィルタと、 振幅特性が周波数の1次式で表される1次フィルタと、 前記低域通過フィルタと、前記1次フィルタとの出力信
    号の比を算出する比算出手段と、を含むことを特徴とす
    るスペクトル分析器。
  7. 【請求項7】 連続単振動を移動対象に照射し、その反
    射波を利用することにより前記移動対象の速度を測定す
    るドップラー速度計測器において、請求項6記載のスペ
    クトル分析器を含み、 前記スペクトル分析器は、前記連続単振動と前記反射波
    との差の周波数帯域を通過帯域とするフィルタを有し、 ドップラシフト周波数とその振幅及び位相とを出力する
    ことを特徴とするドップラ周波数推定器。
  8. 【請求項8】 請求項3記載のスペクトル分析器におい
    て、 前記複数の狭帯域ディジタルフィルタは、 低域通過フィルタと、 振幅特性が周波数のN次式で表されるフィルタと、を含
    み、更に、 前記複数の狭帯域ディジタルフィルタの複数の出力信号
    に所定の行列を作用させる行列変換器と、を有すること
    を特徴とするスペクトル分析器。但し、前記Nは1から
    所定の正の整数までの全ての正の整数を採る。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のスペクトル分析器を含む
    地殻同定器において、 前記スペクトル分析器は、地殻信号を入力し、地殻信号
    の単振動の振幅と位相を出力することを特徴とする地殻
    同定器。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のスペクトル分析器を含
    む地磁気同定器において、 前記スペクトル分析器は、地球上定点での地磁気の絶対
    値を入力し、前記地磁気の周波数の推定値と振幅と位相
    とを出力することを特徴とする地磁気同定器。
  11. 【請求項11】 請求項8記載のスペクトル分析器にお
    いて、 前記行列変換器の出力信号に基づいて、外部から指定さ
    れた指定時間後の未来の前記入力信号を推定する振動推
    定器、 を含むことを特徴とするスペクトル分析器。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のスペクトル分析器を
    含む地殻推定器において、 前記スペクトル分析器は、地殻信号を入力し、この地殻
    信号の前記指定時間後の未来の値を推定することを特徴
    とする地殻推定器。
  13. 【請求項13】 請求項11記載のスペクトル分析器を
    含む地磁気推定器において、 前記スペクトル分析器は、地球上定点での地磁気の絶対
    値を入力し、前記指定時間後のこの地磁気の変動を推定
    することを特徴とする地磁気推定器。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001042798A1 (en) * 1999-12-07 2001-06-14 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson Analysing signals
JP2014106122A (ja) * 2012-11-28 2014-06-09 Shimadzu Corp 磁気検知システム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001042798A1 (en) * 1999-12-07 2001-06-14 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson Analysing signals
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