JPH07230771A - マグネトロン - Google Patents
マグネトロンInfo
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- JPH07230771A JPH07230771A JP29618794A JP29618794A JPH07230771A JP H07230771 A JPH07230771 A JP H07230771A JP 29618794 A JP29618794 A JP 29618794A JP 29618794 A JP29618794 A JP 29618794A JP H07230771 A JPH07230771 A JP H07230771A
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- vanes
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ベインの片側端面だけにストラップリングを設
置し、しかも発振された基本波の周波数スペクトラム
は、サイドローブやスプリアス信号が抑制されて雑音対
策が容易で、かつマグネトロン発振効率を向上したマグ
ネトロンを提供することに有る。 【構成】ベインの片側端面だけにストラップリングを設
置した陽極を用い、陰極ステム側磁極による静磁界より
マイクロ波出力取出部側磁極による静磁界の方を強くす
る、あるいはマイクロ波出力取出部側磁極による静磁界
と陰極ステム側磁極による静磁界とを互いに異らせ、弱
い静磁界の方に対応するエンドシールドの外周部の作用
空間内側方向端面を、ベインの陰極側管軸方向端面より
管軸に沿って作用空間内側に入り込ませた。 【効果】雑音電波の漏洩対策が容易で、かつマグネトロ
ンの発振効率が向上したマグネトロンが得られる。
置し、しかも発振された基本波の周波数スペクトラム
は、サイドローブやスプリアス信号が抑制されて雑音対
策が容易で、かつマグネトロン発振効率を向上したマグ
ネトロンを提供することに有る。 【構成】ベインの片側端面だけにストラップリングを設
置した陽極を用い、陰極ステム側磁極による静磁界より
マイクロ波出力取出部側磁極による静磁界の方を強くす
る、あるいはマイクロ波出力取出部側磁極による静磁界
と陰極ステム側磁極による静磁界とを互いに異らせ、弱
い静磁界の方に対応するエンドシールドの外周部の作用
空間内側方向端面を、ベインの陰極側管軸方向端面より
管軸に沿って作用空間内側に入り込ませた。 【効果】雑音電波の漏洩対策が容易で、かつマグネトロ
ンの発振効率が向上したマグネトロンが得られる。
Description
【産業上の利用分野】本発明は、暗電流の増加を抑制し
マグネトロンの発振効率を向上させ、かつ外部へ放射さ
れるノイズが少ない、電子レンジに好適なマグネトロン
に関する。
マグネトロンの発振効率を向上させ、かつ外部へ放射さ
れるノイズが少ない、電子レンジに好適なマグネトロン
に関する。
【従来の技術】図6は従来のマグネトロンの一例の管軸
を通る断面図を示す。銅を主成分とする陽極円筒2の内
壁から放射状にベイン3が突出して空洞共振器を形成し
ており、陽極円筒2の中央部に陰極1が配設され、その
周囲に円筒状の作用空間が形成されている。陽極円筒と
ベインとは、ホビング加工により一体成形されたもの、
または両者それぞれ別個に製作したものをろう付けした
もの等がある。陰極1は通常トリウムタングステン線を
ヘリカルに巻回して作られ、両端はエンドシールド1
2,13に固定保持されている。特定のベイン3からマ
イクロ波出力を搬出するアンテナ5がマイクロ波出力取
出部8につながっている。また、陽極円筒2の両外端部
に、ベイン3と陰極1とで形成された作用空間に効率良
く磁力線を集中させる磁極4が填め込まれ、エンドシー
ルド12,13の外周部の作用空間内側方向端面は、ベ
イン3の陰極に近接する管軸方向端面より管軸方向に沿
って離れた位置に配設されている。陽極円筒2の上下に
配置され起磁力源となる管軸方向に短い円環状の永久磁
石6と、永久磁石6の外側面に接して管体外側を囲み外
部磁気回路となるヨーク7と、陽極円筒2の端部と永久
磁石6の内側面との間に挾まれた外周縁部と作用空間の
端部近くに伸びた内周縁部とを有する磁極4とによっ
て、作用空間内に管軸方向の静磁界が形成されている。
陽極円筒2など真空外囲器となる部分は安全上から接地
され、陰極1には高い直流負電位が印加されている。陰
極1から接地電位にあるベイン3の先端の方へ電子が吸
引されるが、作用空間には管軸方向に静磁界が形成され
ているため、電子には、磁界と電子の運動方向とに直交
する力が作用し、ベインの先端を円周方向に横切って陰
極側へ戻ろうとする電子も現れ、作用空間内に電子密度
の高い部分と疎な部分が生じ、高電子密度の電子雲が作
用空間内を高速周回して陽極円筒と隣接ベインとで形成
された空洞共振器群内にマイクロ波電気振動が励振され
る。空洞共振器群内の電気振動のうち、最も強く安定し
て発振されるのは、隣接空洞間で逆位相となる所謂πモ
ードの振動である。このπモード振動で同電位(同位
相)となる点を連結して此の振動を一層安定させるため
に、ベインを一つおきに交互に接続する内ストラップリ
ング10と外ストラップリング11とが、ベインの管軸
方向端面に設けられた溝の内部に収納設置されている。
マイクロ波電気振動を、ベインの端面に取付けたアンテ
ナ5によってマイクロ波出力取出部8に導いて、外部
で、例えば電子レンジで食物加熱用に利用する。なお、
陰極1は加熱用給電線を介して陰極ステム9によって支
持されている。現在、数量的に最も大きなマグネトロン
の用途は電子レンジ用であるが、家庭用電気製品の場
合、性能と並んで重要なことは、価格低廉なことであ
る。したがって、電子レンジ用マグネトロンの場合、価
格低減のために種々工夫が凝らされる。上記従来のマグ
ネトロンでは、ベインのマイクロ波出力取出部側端面と
ベインの陰極ステム側端面の両方にストラップリングが
設置されていたが、これが片側端面に設置するだけで済
めば、工数、部品代とも削減できる。しかし、ベインの
片側端面だけにストラップリングを設置して其の他の部
分の構造を従来のままにしておくと、空洞の共振周波数
が高くなり過ぎてしまう。これは、内、外ストラップリ
ング同士、およびベインとそのベインに接続されていな
いストラップリングとの間の静電容量がほぼ半分になっ
てしまうからである。この周波数の上昇を抑制するため
の一つの方法として、特開平4−223026号公報に
は、各ベインのマイクロ波出力取出部側端面のみに管軸
から等距離に溝を刻設して溝の内部に、ベインを1枚お
きに交互に電気的に接続する内、外ストラップリングを
収納させ、かつ各ベインの先端に両隣接ベインの先端側
へ対称に突出し、隣接ベインの突出部と平行平面で対向
する張出部分を設けて、上記静電容量の不足を補う技術
が記載されている。更に他の方法としては、ベインの管
軸方向の幅を狭くしてベインのインダクタンス分を大き
くする方法がある。上記二つの方法を併用する場合は、
ベインの陰極ステム側の端面に、上記張出部分とこれに
続く部分との境界に段差を設けて張出部分以外の部分の
ベインの管軸方向の幅を狭くして、張出部分以外の部分
のベインのインダクタンス分を大きくすることが出来
る。この技術によれば、空洞共振器の静電容量は増加
し、インダクタンス分も増加するので、ストラップリン
グをベインの片側端面だけに設けても、周波数を従来の
ものと同様にすることができる。図7(a)は上記技術
によるマグネトロンの陽極円筒の平面図を、図7(b)
はその断面図を示す。図中、31はベイン3の先端の張
出部分、3aはストラップリング収納溝で、3bは張出
部分とこれに続く部分との境界の段差である。図示のも
のはホビング加工により一体成形したもので、符号を付
けてないアンテナ端部取付け用の溝は、実際は1枚のベ
インだけに必要であるが、旋盤加工で形成するので全て
のベインの端面に形成されている。なお、このようなマ
グネトロン陽極をホビング加工により一体成形すること
は、ホブの形状は多少複雑になるが、材料ブランクの中
央部分で、材料が押出される量が減少するため、ホブに
対する抵抗が減少し、ホブの寿命は長くなる。
を通る断面図を示す。銅を主成分とする陽極円筒2の内
壁から放射状にベイン3が突出して空洞共振器を形成し
ており、陽極円筒2の中央部に陰極1が配設され、その
周囲に円筒状の作用空間が形成されている。陽極円筒と
ベインとは、ホビング加工により一体成形されたもの、
または両者それぞれ別個に製作したものをろう付けした
もの等がある。陰極1は通常トリウムタングステン線を
ヘリカルに巻回して作られ、両端はエンドシールド1
2,13に固定保持されている。特定のベイン3からマ
イクロ波出力を搬出するアンテナ5がマイクロ波出力取
出部8につながっている。また、陽極円筒2の両外端部
に、ベイン3と陰極1とで形成された作用空間に効率良
く磁力線を集中させる磁極4が填め込まれ、エンドシー
ルド12,13の外周部の作用空間内側方向端面は、ベ
イン3の陰極に近接する管軸方向端面より管軸方向に沿
って離れた位置に配設されている。陽極円筒2の上下に
配置され起磁力源となる管軸方向に短い円環状の永久磁
石6と、永久磁石6の外側面に接して管体外側を囲み外
部磁気回路となるヨーク7と、陽極円筒2の端部と永久
磁石6の内側面との間に挾まれた外周縁部と作用空間の
端部近くに伸びた内周縁部とを有する磁極4とによっ
て、作用空間内に管軸方向の静磁界が形成されている。
陽極円筒2など真空外囲器となる部分は安全上から接地
され、陰極1には高い直流負電位が印加されている。陰
極1から接地電位にあるベイン3の先端の方へ電子が吸
引されるが、作用空間には管軸方向に静磁界が形成され
ているため、電子には、磁界と電子の運動方向とに直交
する力が作用し、ベインの先端を円周方向に横切って陰
極側へ戻ろうとする電子も現れ、作用空間内に電子密度
の高い部分と疎な部分が生じ、高電子密度の電子雲が作
用空間内を高速周回して陽極円筒と隣接ベインとで形成
された空洞共振器群内にマイクロ波電気振動が励振され
る。空洞共振器群内の電気振動のうち、最も強く安定し
て発振されるのは、隣接空洞間で逆位相となる所謂πモ
ードの振動である。このπモード振動で同電位(同位
相)となる点を連結して此の振動を一層安定させるため
に、ベインを一つおきに交互に接続する内ストラップリ
ング10と外ストラップリング11とが、ベインの管軸
方向端面に設けられた溝の内部に収納設置されている。
マイクロ波電気振動を、ベインの端面に取付けたアンテ
ナ5によってマイクロ波出力取出部8に導いて、外部
で、例えば電子レンジで食物加熱用に利用する。なお、
陰極1は加熱用給電線を介して陰極ステム9によって支
持されている。現在、数量的に最も大きなマグネトロン
の用途は電子レンジ用であるが、家庭用電気製品の場
合、性能と並んで重要なことは、価格低廉なことであ
る。したがって、電子レンジ用マグネトロンの場合、価
格低減のために種々工夫が凝らされる。上記従来のマグ
ネトロンでは、ベインのマイクロ波出力取出部側端面と
ベインの陰極ステム側端面の両方にストラップリングが
設置されていたが、これが片側端面に設置するだけで済
めば、工数、部品代とも削減できる。しかし、ベインの
片側端面だけにストラップリングを設置して其の他の部
分の構造を従来のままにしておくと、空洞の共振周波数
が高くなり過ぎてしまう。これは、内、外ストラップリ
ング同士、およびベインとそのベインに接続されていな
いストラップリングとの間の静電容量がほぼ半分になっ
てしまうからである。この周波数の上昇を抑制するため
の一つの方法として、特開平4−223026号公報に
は、各ベインのマイクロ波出力取出部側端面のみに管軸
から等距離に溝を刻設して溝の内部に、ベインを1枚お
きに交互に電気的に接続する内、外ストラップリングを
収納させ、かつ各ベインの先端に両隣接ベインの先端側
へ対称に突出し、隣接ベインの突出部と平行平面で対向
する張出部分を設けて、上記静電容量の不足を補う技術
が記載されている。更に他の方法としては、ベインの管
軸方向の幅を狭くしてベインのインダクタンス分を大き
くする方法がある。上記二つの方法を併用する場合は、
ベインの陰極ステム側の端面に、上記張出部分とこれに
続く部分との境界に段差を設けて張出部分以外の部分の
ベインの管軸方向の幅を狭くして、張出部分以外の部分
のベインのインダクタンス分を大きくすることが出来
る。この技術によれば、空洞共振器の静電容量は増加
し、インダクタンス分も増加するので、ストラップリン
グをベインの片側端面だけに設けても、周波数を従来の
ものと同様にすることができる。図7(a)は上記技術
によるマグネトロンの陽極円筒の平面図を、図7(b)
はその断面図を示す。図中、31はベイン3の先端の張
出部分、3aはストラップリング収納溝で、3bは張出
部分とこれに続く部分との境界の段差である。図示のも
のはホビング加工により一体成形したもので、符号を付
けてないアンテナ端部取付け用の溝は、実際は1枚のベ
インだけに必要であるが、旋盤加工で形成するので全て
のベインの端面に形成されている。なお、このようなマ
グネトロン陽極をホビング加工により一体成形すること
は、ホブの形状は多少複雑になるが、材料ブランクの中
央部分で、材料が押出される量が減少するため、ホブに
対する抵抗が減少し、ホブの寿命は長くなる。
【発明が解決しようとする課題】しかし、複数のベイン
のマイクロ波出力取出部側端面のみに複数のベインを一
枚おきに交互に電気的に接続するストラップリングが結
合されたマグネトロン陽極を用いた場合、実際に励振さ
れるマイクロ波振動の基本波の周波数スペクトラムは、
図9に示すように、サイドローブの抑制が十分でなく、
スプリアス信号も目立ち、マグネトロンを機器例えば電
子レンジに取り付けて使用した場合に、外部に放射され
るノイズが多いという問題が生じた。電子レンジでは、
2450MHzのマイクロ波を使用することになってい
るが、その許容使用範囲は2400〜2500MHzで
あり、許容範囲外の電波漏洩は電波法により厳しく規制
されている。従って、ストラップリングをベインの片側
端面だけで済むようにしたマグネトロンにとっても、ノ
イズを抑制減少させることが課題である。また、陰極の
偏心による暗電流の増加を抑制しマグネトロンの発振効
率を向上させることも課題である。本発明は上記従来の
課題を解決し、ストラップリングの設置はベイン端面の
片側だけで済ませながら、ノイズ特に2400〜250
0MHzの範囲外の電波漏洩を十分抑制できるように
し、更に、暗電流の増加を抑制しマグネトロンの発振効
率を向上させることの出来るマグネトロンを提供するこ
とを目的とする。
のマイクロ波出力取出部側端面のみに複数のベインを一
枚おきに交互に電気的に接続するストラップリングが結
合されたマグネトロン陽極を用いた場合、実際に励振さ
れるマイクロ波振動の基本波の周波数スペクトラムは、
図9に示すように、サイドローブの抑制が十分でなく、
スプリアス信号も目立ち、マグネトロンを機器例えば電
子レンジに取り付けて使用した場合に、外部に放射され
るノイズが多いという問題が生じた。電子レンジでは、
2450MHzのマイクロ波を使用することになってい
るが、その許容使用範囲は2400〜2500MHzで
あり、許容範囲外の電波漏洩は電波法により厳しく規制
されている。従って、ストラップリングをベインの片側
端面だけで済むようにしたマグネトロンにとっても、ノ
イズを抑制減少させることが課題である。また、陰極の
偏心による暗電流の増加を抑制しマグネトロンの発振効
率を向上させることも課題である。本発明は上記従来の
課題を解決し、ストラップリングの設置はベイン端面の
片側だけで済ませながら、ノイズ特に2400〜250
0MHzの範囲外の電波漏洩を十分抑制できるように
し、更に、暗電流の増加を抑制しマグネトロンの発振効
率を向上させることの出来るマグネトロンを提供するこ
とを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第1の手段として、本発明は、陽極空洞共振器群を形
成し環状に配設する複数のベインと、アンテナを介して
前記複数のベインのうちの一つに結合されるマイクロ波
出力取出部と、前記複数のベインのマイクロ波出力取出
部側端面のみで前記複数のベインを一枚おきに交互に電
気的に接続するストラップリングと、前記複数のベイン
の先端部を連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前
記陰極の両端に設けられた一対のエンドシールドと、前
記陰極を囲み前記陰極と前記複数のベインの先端部との
間に管軸方向に延在する円筒状の作用空間と、この作用
空間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成
する一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に
位置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して
支持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の管軸方向
両端部における静磁界の強さを互いに異ならせ、前記作
用空間の管軸方向両端部に形成される静磁界のうち少な
くとも弱い方の静磁界の端部側に対応する前記エンドシ
ールドの外周部の前記作用空間の内側方向端面を、前記
複数のベインの前記陰極に近接する管軸方向端面と同一
面にまたはそれより管軸に沿って前記作用空間内側に入
り込ませたことを特徴とする。上記課題を解決するため
の第2の手段として、本発明は、陽極空洞共振器群を形
成し環状に配設する複数のベインと、アンテナを介して
前記複数のベインのうちの一つに結合されるマイクロ波
出力取出部と、前記複数のベインの前記マイクロ波出力
取出部側端面のみで前記複数のベインを一枚おきに交互
に電気的に接続するストラップリングと、前記複数のベ
インの先端部を連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極
と、前記陰極の両端に設けられた一対のエンドシールド
と、前記陰極を囲み、前記陰極と前記複数のベインの先
端部との間に管軸方向に沿って延在する円筒状の作用空
間と、この作用空間の管軸方向両端に位置して管軸方向
の静磁界を形成する一対の磁極と、前記一対の磁極の管
軸方向両外側に位置する永久磁石と、前記陰極を加熱用
給電線を介して支持する陰極ステムとを備え、前記作用
空間の静磁界の強さを、前記陰極ステム側管軸方向端部
よりも前記マイクロ波出力取出部側管軸方向端部におい
て、より強くしたことを特徴とする。
の第1の手段として、本発明は、陽極空洞共振器群を形
成し環状に配設する複数のベインと、アンテナを介して
前記複数のベインのうちの一つに結合されるマイクロ波
出力取出部と、前記複数のベインのマイクロ波出力取出
部側端面のみで前記複数のベインを一枚おきに交互に電
気的に接続するストラップリングと、前記複数のベイン
の先端部を連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前
記陰極の両端に設けられた一対のエンドシールドと、前
記陰極を囲み前記陰極と前記複数のベインの先端部との
間に管軸方向に延在する円筒状の作用空間と、この作用
空間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成
する一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に
位置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して
支持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の管軸方向
両端部における静磁界の強さを互いに異ならせ、前記作
用空間の管軸方向両端部に形成される静磁界のうち少な
くとも弱い方の静磁界の端部側に対応する前記エンドシ
ールドの外周部の前記作用空間の内側方向端面を、前記
複数のベインの前記陰極に近接する管軸方向端面と同一
面にまたはそれより管軸に沿って前記作用空間内側に入
り込ませたことを特徴とする。上記課題を解決するため
の第2の手段として、本発明は、陽極空洞共振器群を形
成し環状に配設する複数のベインと、アンテナを介して
前記複数のベインのうちの一つに結合されるマイクロ波
出力取出部と、前記複数のベインの前記マイクロ波出力
取出部側端面のみで前記複数のベインを一枚おきに交互
に電気的に接続するストラップリングと、前記複数のベ
インの先端部を連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極
と、前記陰極の両端に設けられた一対のエンドシールド
と、前記陰極を囲み、前記陰極と前記複数のベインの先
端部との間に管軸方向に沿って延在する円筒状の作用空
間と、この作用空間の管軸方向両端に位置して管軸方向
の静磁界を形成する一対の磁極と、前記一対の磁極の管
軸方向両外側に位置する永久磁石と、前記陰極を加熱用
給電線を介して支持する陰極ステムとを備え、前記作用
空間の静磁界の強さを、前記陰極ステム側管軸方向端部
よりも前記マイクロ波出力取出部側管軸方向端部におい
て、より強くしたことを特徴とする。
【作用】本発明者は、上記陽極構造を有するマグネトロ
ンのノイズを減少させるために、作用空間の端部の付近
での磁界や電界の分布状況を変化させた場合について試
作、実験を重ねた結果、上記第1の手段のように陰極ス
テム側とマイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界の
強さを異ならせることによって、マグネトロンの動作時
に発生する基本波の周辺の周波数スペクトラムはサイド
ローブおよびスプリアス信号が抑制され、外部へ放射さ
れるノイズを低減できることを見出した。また、陰極フ
ィラメントから放射された熱電子は、磁界に垂直な平面
内で円運動をする。この円の半径Rは数1によって示さ
れる。 R=(m/e)×E/B2…(数1) ここで、 m:電子質量(9.1×10~31kg) e:電荷(−1.6×10~19C) E:電界強度,B:磁束密度 一般的に、作用空間端面の磁界は中央部に比較し弱いの
で、上式より作用空間端部での半径Rは大きくなる。こ
のRがある値以上より大きくなると、フィラメントから
放射された熱電子はアノードベイン先端に衝突するか、
あるいは作用空間外に放出され、マグネトロンの発振効
率を低下させる原因となる暗電流の増加を引き起こす。
この暗電流の増加は陰極軸が偏心しても生じ、更に非対
称磁界分布において、磁界の弱い側は一層暗電流の増加
を助長する。従って、上記のような弱磁界側のエンドシ
ールド外周部をベイン先端部より入り込ませた構成にす
れば、電子はエンドシールド外周部で抑制されるため、
暗電流の増加を防止することができる。また、両方のエ
ンドシールド外周部をベイン先端部より入り込ませた構
成にすれば、電子はエンドシールド外周部で遮蔽される
ため、両側の磁極による磁界の強弱に関係なく暗電流の
増加を抑制することができる。すなわち、暗電流を増加
させることなく両側の磁極の形状を自由に変更できる。
さらに、本発明者は上記陽極構造を有するマグネトロン
のノイズを減少させるために、作用空間の端部付近での
磁界や電界の分布状態を変化させた場合について試作、
実験を重ねた結果、上記第2の手段のように陰極ステム
側磁極による静磁界よりマイクロ波出力取出部側磁極に
よる静磁界を強くしたことによって、マグネトロン動作
時に発生する基本波の周辺の周波数スペクトラムはサイ
ドローブおよびスプリアス信号が抑制され、外部へ放射
されるノイズを低減できることを見出した。したがっ
て、本発明の第2の手段のようにフィラメントの偏芯量
が大きい側、すなわちマイクロ波出力取出部側を強磁界
となるように磁極の形状を構成することにより、上述の
暗電流の増加を抑制することができる。このような構成
とすることにより(1)作用空間両端の磁界の強さを非
対称とすることによりノイズを低減できる。(2)また
陰極を支持する加熱用給電線の一端がステムに固定され
た状態で陰極部が傾斜した場合においても、管軸に対す
る陰極の偏芯量が大となる方、すなわちマイクロ波出力
取出部側の磁界を陰極ステム側磁界より強くすることに
より、暗電流の増加を抑制しマグネトロンの発振効率を
向上させることができる。
ンのノイズを減少させるために、作用空間の端部の付近
での磁界や電界の分布状況を変化させた場合について試
作、実験を重ねた結果、上記第1の手段のように陰極ス
テム側とマイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界の
強さを異ならせることによって、マグネトロンの動作時
に発生する基本波の周辺の周波数スペクトラムはサイド
ローブおよびスプリアス信号が抑制され、外部へ放射さ
れるノイズを低減できることを見出した。また、陰極フ
ィラメントから放射された熱電子は、磁界に垂直な平面
内で円運動をする。この円の半径Rは数1によって示さ
れる。 R=(m/e)×E/B2…(数1) ここで、 m:電子質量(9.1×10~31kg) e:電荷(−1.6×10~19C) E:電界強度,B:磁束密度 一般的に、作用空間端面の磁界は中央部に比較し弱いの
で、上式より作用空間端部での半径Rは大きくなる。こ
のRがある値以上より大きくなると、フィラメントから
放射された熱電子はアノードベイン先端に衝突するか、
あるいは作用空間外に放出され、マグネトロンの発振効
率を低下させる原因となる暗電流の増加を引き起こす。
この暗電流の増加は陰極軸が偏心しても生じ、更に非対
称磁界分布において、磁界の弱い側は一層暗電流の増加
を助長する。従って、上記のような弱磁界側のエンドシ
ールド外周部をベイン先端部より入り込ませた構成にす
れば、電子はエンドシールド外周部で抑制されるため、
暗電流の増加を防止することができる。また、両方のエ
ンドシールド外周部をベイン先端部より入り込ませた構
成にすれば、電子はエンドシールド外周部で遮蔽される
ため、両側の磁極による磁界の強弱に関係なく暗電流の
増加を抑制することができる。すなわち、暗電流を増加
させることなく両側の磁極の形状を自由に変更できる。
さらに、本発明者は上記陽極構造を有するマグネトロン
のノイズを減少させるために、作用空間の端部付近での
磁界や電界の分布状態を変化させた場合について試作、
実験を重ねた結果、上記第2の手段のように陰極ステム
側磁極による静磁界よりマイクロ波出力取出部側磁極に
よる静磁界を強くしたことによって、マグネトロン動作
時に発生する基本波の周辺の周波数スペクトラムはサイ
ドローブおよびスプリアス信号が抑制され、外部へ放射
されるノイズを低減できることを見出した。したがっ
て、本発明の第2の手段のようにフィラメントの偏芯量
が大きい側、すなわちマイクロ波出力取出部側を強磁界
となるように磁極の形状を構成することにより、上述の
暗電流の増加を抑制することができる。このような構成
とすることにより(1)作用空間両端の磁界の強さを非
対称とすることによりノイズを低減できる。(2)また
陰極を支持する加熱用給電線の一端がステムに固定され
た状態で陰極部が傾斜した場合においても、管軸に対す
る陰極の偏芯量が大となる方、すなわちマイクロ波出力
取出部側の磁界を陰極ステム側磁界より強くすることに
より、暗電流の増加を抑制しマグネトロンの発振効率を
向上させることができる。
【実施例】以下に述べる実施例は、ベインの先端部に張
出部を設けたマグネトロン陽極を用いた例で説明してい
るが本発明はこれに限定されるものではない。図8は、
本発明者等が本発明以前に考えた、ベインのマイクロ波
出力取出部側端面に最も近接する磁極の内周縁部を平坦
にした場合であり(本願出願時点では未公開の特願平4
−165689)、図11は図8のA−B線上における
管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、A−B
線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間に位置
する。また、図11の実線は図8に示すようにベインの
マイクロ波出力取出部側端面に最も近接する磁極の内周
縁部を平坦にした場合のA−B線上における管軸方向の
磁界の強さを示し、破線はベインに最も近接する磁極の
作用空間内側方向の先端形状が上下磁極とも同一な場合
のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示す。図
8において、1は陰極、2は陽極円筒、3はベイン、4
11は陽極円筒のマイクロ波出力取出部側に取付けた磁
極、412は陽極円筒の陰極ステム側に取付けた磁極、
5はアンテナであり、磁極411のベイン端面に最も近
接する部分の面は図示のように平坦になっているが、磁
極412にはベインの端面に最も近接する部分の面に突
出部がある。その結果、マグネトロンの基本波の周波数
スペクトラムは図10に示すようになる。従来のマグネ
トロンの場合には基本波のスペクトラムが図9に示した
ようにマイクロ波応用装置に割り当てられている245
0±50MHzの幅を越えてはみ出していたので、マイ
クロ波応用装置側で対策して前記帯域幅に入るようにし
ていたが、本マグネトロンの場合は発振周波数スペクト
ラムのサイドローブやスプリアス信号が図10に示すよ
うに大幅に低減されている。従って、本マグネトロンを
マイクロ波応用装置たとえば電子レンジに利用した場
合、雑音電波漏洩対策が容易になる。しかしながら、マ
グネトロン組立て時の陰極ステム取付け作業により、陰
極を支持する加熱用給電線の一端がステムに固定された
状態で陰極部が傾斜すること、すなわち管軸に対して陰
極が偏心することは避けられない。この時、陰極の偏心
量は当然のことながら図8において、ステムに近いQ点
よりはアンテナに近いP点の方が大きくなる。図8に示
すように、マイクロ波出力取出部側の磁極の、ベインに
最も近接する面が平坦であると、A−B線上における管
軸方向の磁界は図11の実線に示すようになり、P点で
の磁界が弱くなる。この時、図8に示すようにマイクロ
波出力取出部側のエンドシールド12の外周部の作用空
間内側端面と、ベインの、陰極に近接するマイクロ波出
力取出部側端面とが、管軸方向にd3(0.2〜0.4
mm)だけ離れているので、P点で陰極の偏心量が大に
なり暗電流が増加し、このためマグネトロンの発振効率
が低下する。図1は、本発明の第1実施例であり、上下
の磁極の形状は図8と同様で、上磁極411のベインに
最も近接する面が平坦な場合である。磁極411は、陽
極円筒2の端部に支持される大径のフランジ部と、これ
と同心で大径のフランジ部からある距離離れた位置にあ
り、中央に開口が設けらた小径の平面若しくはゆるい曲
面の底面部と、これら大径のフランジ部と小径の底面部
とを連結する漏斗状部とから構成される、切頭円錐台の
容器状をなしている。磁極412は、陽極円筒2の端部
に支持される大径のフランジ部と、これと同心で大径の
フランジ部からある距離離れた位置にあり、小径の平面
若しくはゆるい曲面をなすとともに、その中央部に唇状
に外側に突出する円筒部を有する底面部と、これら大径
のフランジ部と小径の底面部とを連結する漏斗状部とか
ら構成される、切頭円錐台の容器状をなしている。図1
のA−B線上における管軸方向の磁界の強さは、図11
の実線で示すようになる。図11及び後述の図12にお
けるP点は上エンドシ−ルドの下表面とA−B線との交
点、同じくQ点は下エンドシ−ルドの上表面とA−B線
との交点を示す。磁界分布の具体例を示すと、P−Q線
の中点での磁束密度は1700ガウス、P点における磁
束密度とQ点における磁束密度の差は30〜80ガウス
である。すなわちP−Q線の中点での磁束密度の2〜5
パ−セント程度の磁束密度の差がP点とQ点との間に存
在する。ここで、上エンドシールド12の外周部の下端
が図1に示すようにベイン上端よりd1だけ作用空間内
側に入り込んでいる。ここでd1は0〜0.5mmであ
る。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱い点
Pを通過しようとする陰極から放出された電子は上記上
エンドシールド12の外周部の下端で遮蔽されるため、
暗電流の増加が抑制される。ここで図1における具体的
寸法の一例を下記する。 磁極411の底部外形D1=18.00mm 磁極411の底部中央孔の直径D2=9.2mm 磁極412の突出円筒部内径D3=9.2mm 磁極412の突出円筒部外径D4=11.2mm 磁極412の突出円筒部高さH1=1.0mm ベイン先端を連ねた円の直径D5=8.5〜9.5mm ベイン高さH2=9.8mm 陰極外径D6=5.0mm 磁極412の突出円筒部の高さH1は0.5〜1.5m
m、この突出円筒部の半径方向肉厚も0.5〜1.5m
mの範囲に設定すればよいが、好ましくは、これらの寸
法は0.7〜1.3mmが望ましい。突出円筒部を上記
範囲より高くすると発振効率低下や発振不安定現象など
が発生し、一方上記範囲より低くすると発振スペクトル
の改善効果が少なくなる。なお、磁極411,412の
上記形状及び寸法は、それぞれ後述する図2の422,
421、図3の432,431、図4の442,44
1、図5の451,452に示した実施例においても同
様である。更に、陽極空洞共振器群を構成するベインの
枚数が10枚の場合、ベイン先端を連ねた円の直径D5
が8.5〜9.5mmのとき、このベインの軸方向長さ
を9mm以上にすることが有効である。ベインの軸方向
長さが9mm未満のときは発振効率低下や発振不安定が
生じ易くなる。図2は、本発明の第2実施例であり、図
1とは異なり下磁極422のベインに最も近接する面が
平坦な場合である。図12は、図2のA−B線上におけ
る管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、A−
B線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間に位
置する。また、図12の実線は図2に示すように陰極ス
テム側ベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を平坦に
した場合のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを
示し、破線はベインに最も近接する磁極の作用空間内側
方向の先端形状が上下磁極とも同一な場合のA−B線上
における管軸方向の磁界の強さを示す。この場合は、下
磁極422のベインに最も近接する面が平坦であるた
め、Q点の磁界が弱くなり、下エンドシールド13の外
周部の上端が図のようにベイン下端よりd2だけ作用空
間内側に入り込んでいる。ここでd2は0〜0.5mm
である。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱
い点Qを通過しようとする陰極から放出された電子は上
記下エンドシールド13の外周部の上端で遮蔽されるた
め、暗電流の増加が抑制される。図3は、本発明の第3
実施例であり、上下の磁極431,432の形状に関係
なく、上下のエンドシールド12,13の外周部の作用
空間内側方向端面を、ベインの管軸方向の最外側でかつ
陰極に近接する両端面より、それぞれd1,d2だけ作
用空間内側に入り込んでいる。ここでd1,d2はそれ
ぞれ0〜0.5mmである。このような構成にすれば、
作用空間で磁界の弱い点,PあるいはQを通過しようと
する陰極から放出された電子は、上記上エンドシールド
12の外周部の下端,あるいは下エンドシールド13の
外周部の上端で遮蔽されるため、暗電流が抑制される。
また、上下の磁極の作用空間内側方向でベインに最も近
接する先端の形状によりP,Q点の磁界が変化し、この
ため暗電流の増加に影響を与えるが、本実施例では、暗
電流を増加させることなく、磁極先端形状を自由に選択
することができるため、上下磁極によって作られる静磁
界の最適化が図れ、より雑音電波漏洩対策が容易となり
ノイズレベルを改善することが可能となる。なお、上記
d1あるいはd2を0.5mm以上作用空間内側に入り
込ませるとπモードでの安定発振が図れなくなる。図4
は本発明の第4実施例の要部である陽極円筒や磁極を含
む部分の側断面図である。図中、1は陰極、2は陽極円
筒、3はベイン、441は陽極円筒のマイクロ波出力取
出部側に取付けた磁極、442は陽極円筒の陰極ステム
側に取付けた磁極、5はアンテナであり、磁極441は
ベインの端面に最も近接する部分の面に突出部があるの
に対し、磁極442のベイン端面に最も近接する部分の
面は図示のように平坦になっている。その結果、本発明
マグネトロンの基本波の周波数スペクトラムは図10に
示すようになる。従来のマグネトロンの場合には基本波
のスペクトラムが図9に示したようにマイクロ波応用装
置に割り当てられている2450±50MHzの幅を越
えてはみ出していたので、マイクロ波応用装置側で対策
して前記帯域幅に入るようにしていたが、本発明マグネ
トロンの場合は発振周波数スペクトラムのサイドローブ
やスプリアス信号が図10に示すように大幅に低減され
ている。従って、本発明マグネトロンをマイクロ波応用
装置たとえば電子レンジに利用した場合、雑音電波漏洩
対策が容易になる。上記のように、作用空間両端の磁界
の強さを非対称にすることにより雑音電波漏洩対策が容
易にできるが、図4の場合と磁界の強さを逆にした場合
は次のような不都合を生じる。図5は、マイクロ波出力
取出部側のベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を平
坦にした場合である。磁極452にはベインの端面に最
も近接する部分の面に突出部があるのに対し、磁極45
1のベイン端面に最も近接する部分の面は図示のように
平坦になっている。図11は図5のA−B線上における
管軸方向の磁界の強さを示す図であり、図12は、図4
のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示す図で
ある。ここで、A−B線は、ベインの陰極側端部と陰極
軸とのほぼ中間に位置する。また、図11の実線は図5
に示すようにマイクロ波出力取出部側ベイン端に最も近
接する磁極の内周縁部を平坦にした場合のA−B線上に
おける管軸方向の磁界の強さを示し、図12の実線は図
4に示すように陰極ステム側ベイン端に最も近接する磁
極の内周縁部を平坦にした場合のA−B線上における管
軸方向の磁界の強さを示す。図11及び図12における
P点は上エンドシ−ルドの下表面とA−B線との交点、
同じくQ点は下エンドシ−ルドの上表面とA−B線との
交点を示す。磁界分布の具体例を示すと、P−Q線の中
点での磁束密度は1700ガウス、P点における磁束密
度とQ点における磁束密度の差は30〜80ガウスであ
る。すなわちP−Q線の中点での磁束密度の2〜5パ−
セント程度の磁束密度の差がP点とQ点との間に存在す
る。なお、図11および図12の破線はベインに最も近
接する磁極の作用空間内側方向の先端形状が上下磁極と
も同一な場合のA−B線上における管軸方向の磁界の強
さを示す。マグネトロン組立て時の陰極ステム取付け作
業により、陰極を支持する加熱用給電線の一端がステム
に固定された状態で陰極部が傾斜し、管軸に対して陰極
が偏芯することは避けられない。この時、陰極の偏芯量
は当然のことながらステムに近いQ点よりはアンテナに
近いP点の方が大きくなる。図5に示すように、マイク
ロ波出力取出部側の磁極の、ベインに近接する面が平坦
であると、A−B線上における管軸方向の磁界は図11
の実線に示すようになり、P点での磁界が弱くなり、こ
の点で陰極の偏芯量が大になると暗電流が増加し、この
ためマグネトロンの発振効率が低下する。本発明の図4
の構成では、A−B線上における管軸方向の磁界は図1
2の実線に示すようになり、P点での磁界が強くなり、
この点で陰極の偏芯量が大となっても暗電流の増加は抑
制されることになり、したがってマグネトロンの発振効
率が向上する。
出部を設けたマグネトロン陽極を用いた例で説明してい
るが本発明はこれに限定されるものではない。図8は、
本発明者等が本発明以前に考えた、ベインのマイクロ波
出力取出部側端面に最も近接する磁極の内周縁部を平坦
にした場合であり(本願出願時点では未公開の特願平4
−165689)、図11は図8のA−B線上における
管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、A−B
線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間に位置
する。また、図11の実線は図8に示すようにベインの
マイクロ波出力取出部側端面に最も近接する磁極の内周
縁部を平坦にした場合のA−B線上における管軸方向の
磁界の強さを示し、破線はベインに最も近接する磁極の
作用空間内側方向の先端形状が上下磁極とも同一な場合
のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示す。図
8において、1は陰極、2は陽極円筒、3はベイン、4
11は陽極円筒のマイクロ波出力取出部側に取付けた磁
極、412は陽極円筒の陰極ステム側に取付けた磁極、
5はアンテナであり、磁極411のベイン端面に最も近
接する部分の面は図示のように平坦になっているが、磁
極412にはベインの端面に最も近接する部分の面に突
出部がある。その結果、マグネトロンの基本波の周波数
スペクトラムは図10に示すようになる。従来のマグネ
トロンの場合には基本波のスペクトラムが図9に示した
ようにマイクロ波応用装置に割り当てられている245
0±50MHzの幅を越えてはみ出していたので、マイ
クロ波応用装置側で対策して前記帯域幅に入るようにし
ていたが、本マグネトロンの場合は発振周波数スペクト
ラムのサイドローブやスプリアス信号が図10に示すよ
うに大幅に低減されている。従って、本マグネトロンを
マイクロ波応用装置たとえば電子レンジに利用した場
合、雑音電波漏洩対策が容易になる。しかしながら、マ
グネトロン組立て時の陰極ステム取付け作業により、陰
極を支持する加熱用給電線の一端がステムに固定された
状態で陰極部が傾斜すること、すなわち管軸に対して陰
極が偏心することは避けられない。この時、陰極の偏心
量は当然のことながら図8において、ステムに近いQ点
よりはアンテナに近いP点の方が大きくなる。図8に示
すように、マイクロ波出力取出部側の磁極の、ベインに
最も近接する面が平坦であると、A−B線上における管
軸方向の磁界は図11の実線に示すようになり、P点で
の磁界が弱くなる。この時、図8に示すようにマイクロ
波出力取出部側のエンドシールド12の外周部の作用空
間内側端面と、ベインの、陰極に近接するマイクロ波出
力取出部側端面とが、管軸方向にd3(0.2〜0.4
mm)だけ離れているので、P点で陰極の偏心量が大に
なり暗電流が増加し、このためマグネトロンの発振効率
が低下する。図1は、本発明の第1実施例であり、上下
の磁極の形状は図8と同様で、上磁極411のベインに
最も近接する面が平坦な場合である。磁極411は、陽
極円筒2の端部に支持される大径のフランジ部と、これ
と同心で大径のフランジ部からある距離離れた位置にあ
り、中央に開口が設けらた小径の平面若しくはゆるい曲
面の底面部と、これら大径のフランジ部と小径の底面部
とを連結する漏斗状部とから構成される、切頭円錐台の
容器状をなしている。磁極412は、陽極円筒2の端部
に支持される大径のフランジ部と、これと同心で大径の
フランジ部からある距離離れた位置にあり、小径の平面
若しくはゆるい曲面をなすとともに、その中央部に唇状
に外側に突出する円筒部を有する底面部と、これら大径
のフランジ部と小径の底面部とを連結する漏斗状部とか
ら構成される、切頭円錐台の容器状をなしている。図1
のA−B線上における管軸方向の磁界の強さは、図11
の実線で示すようになる。図11及び後述の図12にお
けるP点は上エンドシ−ルドの下表面とA−B線との交
点、同じくQ点は下エンドシ−ルドの上表面とA−B線
との交点を示す。磁界分布の具体例を示すと、P−Q線
の中点での磁束密度は1700ガウス、P点における磁
束密度とQ点における磁束密度の差は30〜80ガウス
である。すなわちP−Q線の中点での磁束密度の2〜5
パ−セント程度の磁束密度の差がP点とQ点との間に存
在する。ここで、上エンドシールド12の外周部の下端
が図1に示すようにベイン上端よりd1だけ作用空間内
側に入り込んでいる。ここでd1は0〜0.5mmであ
る。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱い点
Pを通過しようとする陰極から放出された電子は上記上
エンドシールド12の外周部の下端で遮蔽されるため、
暗電流の増加が抑制される。ここで図1における具体的
寸法の一例を下記する。 磁極411の底部外形D1=18.00mm 磁極411の底部中央孔の直径D2=9.2mm 磁極412の突出円筒部内径D3=9.2mm 磁極412の突出円筒部外径D4=11.2mm 磁極412の突出円筒部高さH1=1.0mm ベイン先端を連ねた円の直径D5=8.5〜9.5mm ベイン高さH2=9.8mm 陰極外径D6=5.0mm 磁極412の突出円筒部の高さH1は0.5〜1.5m
m、この突出円筒部の半径方向肉厚も0.5〜1.5m
mの範囲に設定すればよいが、好ましくは、これらの寸
法は0.7〜1.3mmが望ましい。突出円筒部を上記
範囲より高くすると発振効率低下や発振不安定現象など
が発生し、一方上記範囲より低くすると発振スペクトル
の改善効果が少なくなる。なお、磁極411,412の
上記形状及び寸法は、それぞれ後述する図2の422,
421、図3の432,431、図4の442,44
1、図5の451,452に示した実施例においても同
様である。更に、陽極空洞共振器群を構成するベインの
枚数が10枚の場合、ベイン先端を連ねた円の直径D5
が8.5〜9.5mmのとき、このベインの軸方向長さ
を9mm以上にすることが有効である。ベインの軸方向
長さが9mm未満のときは発振効率低下や発振不安定が
生じ易くなる。図2は、本発明の第2実施例であり、図
1とは異なり下磁極422のベインに最も近接する面が
平坦な場合である。図12は、図2のA−B線上におけ
る管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、A−
B線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間に位
置する。また、図12の実線は図2に示すように陰極ス
テム側ベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を平坦に
した場合のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを
示し、破線はベインに最も近接する磁極の作用空間内側
方向の先端形状が上下磁極とも同一な場合のA−B線上
における管軸方向の磁界の強さを示す。この場合は、下
磁極422のベインに最も近接する面が平坦であるた
め、Q点の磁界が弱くなり、下エンドシールド13の外
周部の上端が図のようにベイン下端よりd2だけ作用空
間内側に入り込んでいる。ここでd2は0〜0.5mm
である。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱
い点Qを通過しようとする陰極から放出された電子は上
記下エンドシールド13の外周部の上端で遮蔽されるた
め、暗電流の増加が抑制される。図3は、本発明の第3
実施例であり、上下の磁極431,432の形状に関係
なく、上下のエンドシールド12,13の外周部の作用
空間内側方向端面を、ベインの管軸方向の最外側でかつ
陰極に近接する両端面より、それぞれd1,d2だけ作
用空間内側に入り込んでいる。ここでd1,d2はそれ
ぞれ0〜0.5mmである。このような構成にすれば、
作用空間で磁界の弱い点,PあるいはQを通過しようと
する陰極から放出された電子は、上記上エンドシールド
12の外周部の下端,あるいは下エンドシールド13の
外周部の上端で遮蔽されるため、暗電流が抑制される。
また、上下の磁極の作用空間内側方向でベインに最も近
接する先端の形状によりP,Q点の磁界が変化し、この
ため暗電流の増加に影響を与えるが、本実施例では、暗
電流を増加させることなく、磁極先端形状を自由に選択
することができるため、上下磁極によって作られる静磁
界の最適化が図れ、より雑音電波漏洩対策が容易となり
ノイズレベルを改善することが可能となる。なお、上記
d1あるいはd2を0.5mm以上作用空間内側に入り
込ませるとπモードでの安定発振が図れなくなる。図4
は本発明の第4実施例の要部である陽極円筒や磁極を含
む部分の側断面図である。図中、1は陰極、2は陽極円
筒、3はベイン、441は陽極円筒のマイクロ波出力取
出部側に取付けた磁極、442は陽極円筒の陰極ステム
側に取付けた磁極、5はアンテナであり、磁極441は
ベインの端面に最も近接する部分の面に突出部があるの
に対し、磁極442のベイン端面に最も近接する部分の
面は図示のように平坦になっている。その結果、本発明
マグネトロンの基本波の周波数スペクトラムは図10に
示すようになる。従来のマグネトロンの場合には基本波
のスペクトラムが図9に示したようにマイクロ波応用装
置に割り当てられている2450±50MHzの幅を越
えてはみ出していたので、マイクロ波応用装置側で対策
して前記帯域幅に入るようにしていたが、本発明マグネ
トロンの場合は発振周波数スペクトラムのサイドローブ
やスプリアス信号が図10に示すように大幅に低減され
ている。従って、本発明マグネトロンをマイクロ波応用
装置たとえば電子レンジに利用した場合、雑音電波漏洩
対策が容易になる。上記のように、作用空間両端の磁界
の強さを非対称にすることにより雑音電波漏洩対策が容
易にできるが、図4の場合と磁界の強さを逆にした場合
は次のような不都合を生じる。図5は、マイクロ波出力
取出部側のベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を平
坦にした場合である。磁極452にはベインの端面に最
も近接する部分の面に突出部があるのに対し、磁極45
1のベイン端面に最も近接する部分の面は図示のように
平坦になっている。図11は図5のA−B線上における
管軸方向の磁界の強さを示す図であり、図12は、図4
のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示す図で
ある。ここで、A−B線は、ベインの陰極側端部と陰極
軸とのほぼ中間に位置する。また、図11の実線は図5
に示すようにマイクロ波出力取出部側ベイン端に最も近
接する磁極の内周縁部を平坦にした場合のA−B線上に
おける管軸方向の磁界の強さを示し、図12の実線は図
4に示すように陰極ステム側ベイン端に最も近接する磁
極の内周縁部を平坦にした場合のA−B線上における管
軸方向の磁界の強さを示す。図11及び図12における
P点は上エンドシ−ルドの下表面とA−B線との交点、
同じくQ点は下エンドシ−ルドの上表面とA−B線との
交点を示す。磁界分布の具体例を示すと、P−Q線の中
点での磁束密度は1700ガウス、P点における磁束密
度とQ点における磁束密度の差は30〜80ガウスであ
る。すなわちP−Q線の中点での磁束密度の2〜5パ−
セント程度の磁束密度の差がP点とQ点との間に存在す
る。なお、図11および図12の破線はベインに最も近
接する磁極の作用空間内側方向の先端形状が上下磁極と
も同一な場合のA−B線上における管軸方向の磁界の強
さを示す。マグネトロン組立て時の陰極ステム取付け作
業により、陰極を支持する加熱用給電線の一端がステム
に固定された状態で陰極部が傾斜し、管軸に対して陰極
が偏芯することは避けられない。この時、陰極の偏芯量
は当然のことながらステムに近いQ点よりはアンテナに
近いP点の方が大きくなる。図5に示すように、マイク
ロ波出力取出部側の磁極の、ベインに近接する面が平坦
であると、A−B線上における管軸方向の磁界は図11
の実線に示すようになり、P点での磁界が弱くなり、こ
の点で陰極の偏芯量が大になると暗電流が増加し、この
ためマグネトロンの発振効率が低下する。本発明の図4
の構成では、A−B線上における管軸方向の磁界は図1
2の実線に示すようになり、P点での磁界が強くなり、
この点で陰極の偏芯量が大となっても暗電流の増加は抑
制されることになり、したがってマグネトロンの発振効
率が向上する。
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、雑
音電波の漏洩対策が容易にでき、かつ暗電流の増加を抑
制してマグネトロンの発振効率を向上させることができ
る。また、ベインに最も近接する磁極の作用空間内側方
向の先端形状を自由に選択することが出来るため、上下
磁極によって作られる静磁界の最適化が図れ、よりノイ
ズレベルを改善することが可能となる。
音電波の漏洩対策が容易にでき、かつ暗電流の増加を抑
制してマグネトロンの発振効率を向上させることができ
る。また、ベインに最も近接する磁極の作用空間内側方
向の先端形状を自由に選択することが出来るため、上下
磁極によって作られる静磁界の最適化が図れ、よりノイ
ズレベルを改善することが可能となる。
【図1】本発明の第1実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図3】本発明の第3実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図4】本発明の第4実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図5】作用空間の両側にある磁極による静磁界の強度
において、マイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界
の方が、陰極ステム側の磁極による静磁界より小さい場
合の、陽極円筒や磁極を含むマグネトロン要部断面図で
ある。
において、マイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界
の方が、陰極ステム側の磁極による静磁界より小さい場
合の、陽極円筒や磁極を含むマグネトロン要部断面図で
ある。
【図6】従来のマグネトロンの一例の管軸を通る断面図
である。
である。
【図7】図7(a)はベインのマイクロ波出力取出部側
端面のみにストラップリングを設置し、ベインの先端に
隣接ベインの先端側へ突出した張出し部分を設け、ベイ
ンの陰極ステム側端面に張出し部分とこれに続く部分と
の境界に段差を設けて張出し部分以外の部分のベインの
管軸方向幅を狭くしたマグネトロン陽極の平面図、図7
(b)はその管軸を通る断面図である。
端面のみにストラップリングを設置し、ベインの先端に
隣接ベインの先端側へ突出した張出し部分を設け、ベイ
ンの陰極ステム側端面に張出し部分とこれに続く部分と
の境界に段差を設けて張出し部分以外の部分のベインの
管軸方向幅を狭くしたマグネトロン陽極の平面図、図7
(b)はその管軸を通る断面図である。
【図8】作用空間の両側にある磁極によって作られる静
磁界の強度において、マイクロ波出力取出部側の磁極に
よって作られる静磁界の方が、陰極ステム側の磁極によ
って作られる静磁界より小さい場合の、陽極円筒や磁極
を含む部分のマグネトロン要部断面図である。
磁界の強度において、マイクロ波出力取出部側の磁極に
よって作られる静磁界の方が、陰極ステム側の磁極によ
って作られる静磁界より小さい場合の、陽極円筒や磁極
を含む部分のマグネトロン要部断面図である。
【図9】従来のベインの片側端面だけにストラップリン
グを設置したマグネトロンの2450MHz帯の基本波
スペクトラムを示す図である。
グを設置したマグネトロンの2450MHz帯の基本波
スペクトラムを示す図である。
【図10】本発明実施例マグネトロンの2450MHz
帯の基本波スペクトラムを示す図である。
帯の基本波スペクトラムを示す図である。
【図11】マイクロ波出力部側ベイン端面に最も近接す
る磁極の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布であ
る。
る磁極の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布であ
る。
【図12】陰極ステム側ベイン端面に最も近接する磁極
の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布である。
の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布である。
1…陰極、 2…陽極円筒、 3…ベイン、 31…ベ
イン先端の張出部分、411,421,431,441
…マイクロ波出力取出部側の磁極、 412,422,
432,442…陰極ステム側の磁極、 12…マイク
ロ波出力取出部側のエンドシールド、 13…陰極ステ
ム側のエンドシールド。
イン先端の張出部分、411,421,431,441
…マイクロ波出力取出部側の磁極、 412,422,
432,442…陰極ステム側の磁極、 12…マイク
ロ波出力取出部側のエンドシールド、 13…陰極ステ
ム側のエンドシールド。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 マグネトロン
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、暗電流の増加を抑制し
マグネトロンの発振効率を向上させ、かつ外部へ放射さ
れるノイズが少ない、電子レンジに好適なマグネトロン
に関する。
マグネトロンの発振効率を向上させ、かつ外部へ放射さ
れるノイズが少ない、電子レンジに好適なマグネトロン
に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は従来のマグネトロンの一例の管軸
を通る断面図を示す。銅を主成分とする陽極円筒2の内
壁から放射状にベイン3が突出して空洞共振器を形成し
ており、陽極円筒2の中央部に陰極1が配設され、その
周囲に円筒状の作用空間が形成されている。陽極円筒と
ベインとは、ホビング加工により一体成形されたもの、
または両者それぞれ別個に製作したものをろう付けした
もの等がある。陰極1は通常トリウムタングステン線を
ヘリカルに巻回して作られ、両端はエンドシールド1
2,13に固定保持されている。特定のベイン3からマ
イクロ波出力を搬出するアンテナ5がマイクロ波出力取
出部8につながっている。また、陽極円筒2の両外端部
に、ベイン3と陰極1とで形成された作用空間に効率良
く磁力線を集中させる磁極4が填め込まれ、エンドシー
ルド12,13の外周部の作用空間内側方向端面は、ベ
イン3の陰極に近接する管軸方向端面より管軸方向に沿
って離れた位置に配設されている。
を通る断面図を示す。銅を主成分とする陽極円筒2の内
壁から放射状にベイン3が突出して空洞共振器を形成し
ており、陽極円筒2の中央部に陰極1が配設され、その
周囲に円筒状の作用空間が形成されている。陽極円筒と
ベインとは、ホビング加工により一体成形されたもの、
または両者それぞれ別個に製作したものをろう付けした
もの等がある。陰極1は通常トリウムタングステン線を
ヘリカルに巻回して作られ、両端はエンドシールド1
2,13に固定保持されている。特定のベイン3からマ
イクロ波出力を搬出するアンテナ5がマイクロ波出力取
出部8につながっている。また、陽極円筒2の両外端部
に、ベイン3と陰極1とで形成された作用空間に効率良
く磁力線を集中させる磁極4が填め込まれ、エンドシー
ルド12,13の外周部の作用空間内側方向端面は、ベ
イン3の陰極に近接する管軸方向端面より管軸方向に沿
って離れた位置に配設されている。
【0003】陽極円筒2の上下に配置され起磁力源とな
る管軸方向に短い円環状の永久磁石6と、永久磁石6の
外側面に接して管体外側を囲み外部磁気回路となるヨー
ク7と、陽極円筒2の端部と永久磁石6の内側面との間
に挾まれた外周縁部と作用空間の端部近くに伸びた内周
縁部とを有する磁極4とによって、作用空間内に管軸方
向の静磁界が形成されている。陽極円筒2など真空外囲
器となる部分は安全上から接地され、陰極1には高い直
流負電位が印加されている。陰極1から接地電位にある
ベイン3の先端の方へ電子が吸引されるが、作用空間に
は管軸方向に静磁界が形成されているため、電子には、
磁界と電子の運動方向とに直交する力が作用し、ベイン
の先端を円周方向に横切って陰極側へ戻ろうとする電子
も現れ、作用空間内に電子密度の高い部分と疎な部分が
生じ、高電子密度の電子雲が作用空間内を高速周回して
陽極円筒と隣接ベインとで形成された空洞共振器群内に
マイクロ波電気振動が励振される。空洞共振器群内の電
気振動のうち、最も強く安定して発振されるのは、隣接
空洞間で逆位相となる所謂πモードの振動である。この
πモード振動で同電位(同位相)となる点を連結して此
の振動を一層安定させるために、ベインを一つおきに交
互に接続する内ストラップリング10と外ストラップリ
ング11とが、ベインの管軸方向端面に設けられた溝の
内部に収納設置されている。マイクロ波電気振動を、ベ
インの端面に取付けたアンテナ5によってマイクロ波出
力取出部8に導いて、外部で、例えば電子レンジで食物
加熱用に利用する。なお、陰極1は加熱用給電線を介し
て陰極ステム9によって支持されている。
る管軸方向に短い円環状の永久磁石6と、永久磁石6の
外側面に接して管体外側を囲み外部磁気回路となるヨー
ク7と、陽極円筒2の端部と永久磁石6の内側面との間
に挾まれた外周縁部と作用空間の端部近くに伸びた内周
縁部とを有する磁極4とによって、作用空間内に管軸方
向の静磁界が形成されている。陽極円筒2など真空外囲
器となる部分は安全上から接地され、陰極1には高い直
流負電位が印加されている。陰極1から接地電位にある
ベイン3の先端の方へ電子が吸引されるが、作用空間に
は管軸方向に静磁界が形成されているため、電子には、
磁界と電子の運動方向とに直交する力が作用し、ベイン
の先端を円周方向に横切って陰極側へ戻ろうとする電子
も現れ、作用空間内に電子密度の高い部分と疎な部分が
生じ、高電子密度の電子雲が作用空間内を高速周回して
陽極円筒と隣接ベインとで形成された空洞共振器群内に
マイクロ波電気振動が励振される。空洞共振器群内の電
気振動のうち、最も強く安定して発振されるのは、隣接
空洞間で逆位相となる所謂πモードの振動である。この
πモード振動で同電位(同位相)となる点を連結して此
の振動を一層安定させるために、ベインを一つおきに交
互に接続する内ストラップリング10と外ストラップリ
ング11とが、ベインの管軸方向端面に設けられた溝の
内部に収納設置されている。マイクロ波電気振動を、ベ
インの端面に取付けたアンテナ5によってマイクロ波出
力取出部8に導いて、外部で、例えば電子レンジで食物
加熱用に利用する。なお、陰極1は加熱用給電線を介し
て陰極ステム9によって支持されている。
【0004】現在、数量的に最も大きなマグネトロンの
用途は電子レンジ用であるが、家庭用電気製品の場合、
性能と並んで重要なことは、価格低廉なことである。し
たがって、電子レンジ用マグネトロンの場合、価格低減
のために種々工夫が凝らされる。上記従来のマグネトロ
ンでは、ベインのマイクロ波出力取出部側端面とベイン
の陰極ステム側端面の両方にストラップリングが設置さ
れていたが、これが片側端面に設置するだけで済めば、
工数、部品代とも削減できる。
用途は電子レンジ用であるが、家庭用電気製品の場合、
性能と並んで重要なことは、価格低廉なことである。し
たがって、電子レンジ用マグネトロンの場合、価格低減
のために種々工夫が凝らされる。上記従来のマグネトロ
ンでは、ベインのマイクロ波出力取出部側端面とベイン
の陰極ステム側端面の両方にストラップリングが設置さ
れていたが、これが片側端面に設置するだけで済めば、
工数、部品代とも削減できる。
【0005】しかし、ベインの片側端面だけにストラッ
プリングを設置して其の他の部分の構造を従来のままに
しておくと、空洞の共振周波数が高くなり過ぎてしま
う。これは、内、外ストラップリング同士、およびベイ
ンとそのベインに接続されていないストラップリングと
の間の静電容量がほぼ半分になってしまうからである。
この周波数の上昇を抑制するための一つの方法として、
特開平4−223026号公報には、各ベインのマイク
ロ波出力取出部側端面のみに管軸から等距離に溝を刻設
して溝の内部に、ベインを1枚おきに交互に電気的に接
続する内、外ストラップリングを収納させ、かつ各ベイ
ンの先端に両隣接ベインの先端側へ対称に突出し、隣接
ベインの突出部と平行平面で対向する張出部分を設け
て、上記静電容量の不足を補う技術が記載されている。
更に他の方法としては、ベインの管軸方向の幅を狭くし
てベインのインダクタンス分を大きくする方法がある。
上記二つの方法を併用する場合は、ベインの陰極ステム
側の端面に、上記張出部分とこれに続く部分との境界に
段差を設けて張出部分以外の部分のベインの管軸方向の
幅を狭くして、張出部分以外の部分のベインのインダク
タンス分を大きくすることが出来る。この技術によれ
ば、空洞共振器の静電容量は増加し、インダクタンス分
も増加するので、ストラップリングをベインの片側端面
だけに設けても、周波数を従来のものと同様にすること
ができる。図7(a)は上記技術によるマグネトロンの
陽極円筒の平面図を、図7(b)はその断面図を示す。
図中、31はベイン3の先端の張出部分、3aはストラ
ップリング収納溝で、3bは張出部分とこれに続く部分
との境界の段差である。図示のものはホビング加工によ
り一体成形したもので、符号を付けてないアンテナ端部
取付け用の溝は、実際は1枚のベインだけに必要である
が、旋盤加工で形成するので全てのベインの端面に形成
されている。
プリングを設置して其の他の部分の構造を従来のままに
しておくと、空洞の共振周波数が高くなり過ぎてしま
う。これは、内、外ストラップリング同士、およびベイ
ンとそのベインに接続されていないストラップリングと
の間の静電容量がほぼ半分になってしまうからである。
この周波数の上昇を抑制するための一つの方法として、
特開平4−223026号公報には、各ベインのマイク
ロ波出力取出部側端面のみに管軸から等距離に溝を刻設
して溝の内部に、ベインを1枚おきに交互に電気的に接
続する内、外ストラップリングを収納させ、かつ各ベイ
ンの先端に両隣接ベインの先端側へ対称に突出し、隣接
ベインの突出部と平行平面で対向する張出部分を設け
て、上記静電容量の不足を補う技術が記載されている。
更に他の方法としては、ベインの管軸方向の幅を狭くし
てベインのインダクタンス分を大きくする方法がある。
上記二つの方法を併用する場合は、ベインの陰極ステム
側の端面に、上記張出部分とこれに続く部分との境界に
段差を設けて張出部分以外の部分のベインの管軸方向の
幅を狭くして、張出部分以外の部分のベインのインダク
タンス分を大きくすることが出来る。この技術によれ
ば、空洞共振器の静電容量は増加し、インダクタンス分
も増加するので、ストラップリングをベインの片側端面
だけに設けても、周波数を従来のものと同様にすること
ができる。図7(a)は上記技術によるマグネトロンの
陽極円筒の平面図を、図7(b)はその断面図を示す。
図中、31はベイン3の先端の張出部分、3aはストラ
ップリング収納溝で、3bは張出部分とこれに続く部分
との境界の段差である。図示のものはホビング加工によ
り一体成形したもので、符号を付けてないアンテナ端部
取付け用の溝は、実際は1枚のベインだけに必要である
が、旋盤加工で形成するので全てのベインの端面に形成
されている。
【0006】なお、このようなマグネトロン陽極をホビ
ング加工により一体成形することは、ホブの形状は多少
複雑になるが、材料ブランクの中央部分で、材料が押出
される量が減少するため、ホブに対する抵抗が減少し、
ホブの寿命は長くなる。
ング加工により一体成形することは、ホブの形状は多少
複雑になるが、材料ブランクの中央部分で、材料が押出
される量が減少するため、ホブに対する抵抗が減少し、
ホブの寿命は長くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、複数のベイン
のマイクロ波出力取出部側端面のみに複数のベインを一
枚おきに交互に電気的に接続するストラップリングが結
合されたマグネトロン陽極を用いた場合、実際に励振さ
れるマイクロ波振動の基本波の周波数スペクトラムは、
図9に示すように、サイドローブの抑制が十分でなく、
スプリアス信号も目立ち、マグネトロンを機器例えば電
子レンジに取り付けて使用した場合に、外部に放射され
るノイズが多いという問題が生じた。
のマイクロ波出力取出部側端面のみに複数のベインを一
枚おきに交互に電気的に接続するストラップリングが結
合されたマグネトロン陽極を用いた場合、実際に励振さ
れるマイクロ波振動の基本波の周波数スペクトラムは、
図9に示すように、サイドローブの抑制が十分でなく、
スプリアス信号も目立ち、マグネトロンを機器例えば電
子レンジに取り付けて使用した場合に、外部に放射され
るノイズが多いという問題が生じた。
【0008】電子レンジでは、2450MHzのマイク
ロ波を使用することになっているが、その許容使用範囲
は2400〜2500MHzであり、許容範囲外の電波
漏洩は電波法により厳しく規制されている。従って、ス
トラップリングをベインの片側端面だけで済むようにし
たマグネトロンにとっても、ノイズを抑制減少させるこ
とが課題である。
ロ波を使用することになっているが、その許容使用範囲
は2400〜2500MHzであり、許容範囲外の電波
漏洩は電波法により厳しく規制されている。従って、ス
トラップリングをベインの片側端面だけで済むようにし
たマグネトロンにとっても、ノイズを抑制減少させるこ
とが課題である。
【0009】また、陰極の偏心による暗電流の増加を抑
制しマグネトロンの発振効率を向上させることも課題で
ある。
制しマグネトロンの発振効率を向上させることも課題で
ある。
【0010】本発明は上記従来の課題を解決し、ストラ
ップリングの設置はベイン端面の片側だけで済ませなが
ら、ノイズ特に2400〜2500MHzの範囲外の電
波漏洩を十分抑制できるようにし、更に、暗電流の増加
を抑制しマグネトロンの発振効率を向上させることの出
来るマグネトロンを提供することを目的とする。
ップリングの設置はベイン端面の片側だけで済ませなが
ら、ノイズ特に2400〜2500MHzの範囲外の電
波漏洩を十分抑制できるようにし、更に、暗電流の増加
を抑制しマグネトロンの発振効率を向上させることの出
来るマグネトロンを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第1の手段として、本発明は、陽極空洞共振器群を形
成し環状に配設する複数のベインと、アンテナを介して
前記複数のベインのうちの一つに結合されるマイクロ波
出力取出部と、前記複数のベインのマイクロ波出力取出
部側端面のみで前記複数のベインを一枚おきに交互に電
気的に接続するストラップリングと、前記複数のベイン
の先端部を連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前
記陰極の両端に設けられた一対のエンドシールドと、前
記陰極を囲み前記陰極と前記複数のベインの先端部との
間に管軸方向に延在する円筒状の作用空間と、この作用
空間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成
する一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に
位置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して
支持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の管軸方向
両端部における静磁界の強さを互いに異ならせ、前記作
用空間の管軸方向両端部に形成される静磁界のうち少な
くとも弱い方の静磁界の端部側に対応する前記エンドシ
ールドの外周部の前記作用空間の内側方向端面を、前記
複数のベインの前記陰極に近接する管軸方向端面と同一
面にまたはそれより管軸に沿って前記作用空間内側に入
り込ませたことを特徴とする。
の第1の手段として、本発明は、陽極空洞共振器群を形
成し環状に配設する複数のベインと、アンテナを介して
前記複数のベインのうちの一つに結合されるマイクロ波
出力取出部と、前記複数のベインのマイクロ波出力取出
部側端面のみで前記複数のベインを一枚おきに交互に電
気的に接続するストラップリングと、前記複数のベイン
の先端部を連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前
記陰極の両端に設けられた一対のエンドシールドと、前
記陰極を囲み前記陰極と前記複数のベインの先端部との
間に管軸方向に延在する円筒状の作用空間と、この作用
空間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成
する一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に
位置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して
支持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の管軸方向
両端部における静磁界の強さを互いに異ならせ、前記作
用空間の管軸方向両端部に形成される静磁界のうち少な
くとも弱い方の静磁界の端部側に対応する前記エンドシ
ールドの外周部の前記作用空間の内側方向端面を、前記
複数のベインの前記陰極に近接する管軸方向端面と同一
面にまたはそれより管軸に沿って前記作用空間内側に入
り込ませたことを特徴とする。
【0012】上記課題を解決するための第2の手段とし
て、本発明は、陽極空洞共振器群を形成し環状に配設す
る複数のベインと、アンテナを介して前記複数のベイン
のうちの一つに結合されるマイクロ波出力取出部と、前
記複数のベインの前記マイクロ波出力取出部側端面のみ
で前記複数のベインを一枚おきに交互に電気的に接続す
るストラップリングと、前記複数のベインの先端部を連
ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前記陰極の両端
に設けられた一対のエンドシールドと、前記陰極を囲
み、前記陰極と前記複数のベインの先端部との間に管軸
方向に沿って延在する円筒状の作用空間と、この作用空
間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成す
る一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に位
置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して支
持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の静磁界の強
さを、前記陰極ステム側管軸方向端部よりも前記マイク
ロ波出力取出部側管軸方向端部において、より強くした
ことを特徴とする。
て、本発明は、陽極空洞共振器群を形成し環状に配設す
る複数のベインと、アンテナを介して前記複数のベイン
のうちの一つに結合されるマイクロ波出力取出部と、前
記複数のベインの前記マイクロ波出力取出部側端面のみ
で前記複数のベインを一枚おきに交互に電気的に接続す
るストラップリングと、前記複数のベインの先端部を連
ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前記陰極の両端
に設けられた一対のエンドシールドと、前記陰極を囲
み、前記陰極と前記複数のベインの先端部との間に管軸
方向に沿って延在する円筒状の作用空間と、この作用空
間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成す
る一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に位
置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して支
持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の静磁界の強
さを、前記陰極ステム側管軸方向端部よりも前記マイク
ロ波出力取出部側管軸方向端部において、より強くした
ことを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明者は、上記陽極構造を有するマグネトロ
ンのノイズを減少させるために、作用空間の端部の付近
での磁界や電界の分布状況を変化させた場合について試
作、実験を重ねた結果、上記第1の手段のように陰極ス
テム側とマイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界の
強さを異ならせることによって、マグネトロンの動作時
に発生する基本波の周辺の周波数スペクトラムはサイド
ローブおよびスプリアス信号が抑制され、外部へ放射さ
れるノイズを低減できることを見出した。
ンのノイズを減少させるために、作用空間の端部の付近
での磁界や電界の分布状況を変化させた場合について試
作、実験を重ねた結果、上記第1の手段のように陰極ス
テム側とマイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界の
強さを異ならせることによって、マグネトロンの動作時
に発生する基本波の周辺の周波数スペクトラムはサイド
ローブおよびスプリアス信号が抑制され、外部へ放射さ
れるノイズを低減できることを見出した。
【0014】また、陰極フィラメントから放射された熱
電子は、磁界に垂直な平面内で円運動をする。この円の
半径Rは数1によって示される。
電子は、磁界に垂直な平面内で円運動をする。この円の
半径Rは数1によって示される。
【0015】R=(m/e)×E/B2…(数1) ここで、 m:電子質量(9.1×10~31kg) e:電荷(−1.6×10~19C) E:電界強度,B:磁束密度 一般的に、作用空間端面の磁界は中央部に比較し弱いの
で、上式より作用空間端部での半径Rは大きくなる。こ
のRがある値以上より大きくなると、フィラメントから
放射された熱電子はアノードベイン先端に衝突するか、
あるいは作用空間外に放出され、マグネトロンの発振効
率を低下させる原因となる暗電流の増加を引き起こす。
この暗電流の増加は陰極軸が偏心しても生じ、更に非対
称磁界分布において、磁界の弱い側は一層暗電流の増加
を助長する。従って、上記のような弱磁界側のエンドシ
ールド外周部をベイン先端部より入り込ませた構成にす
れば、電子はエンドシールド外周部で抑制されるため、
暗電流の増加を防止することができる。
で、上式より作用空間端部での半径Rは大きくなる。こ
のRがある値以上より大きくなると、フィラメントから
放射された熱電子はアノードベイン先端に衝突するか、
あるいは作用空間外に放出され、マグネトロンの発振効
率を低下させる原因となる暗電流の増加を引き起こす。
この暗電流の増加は陰極軸が偏心しても生じ、更に非対
称磁界分布において、磁界の弱い側は一層暗電流の増加
を助長する。従って、上記のような弱磁界側のエンドシ
ールド外周部をベイン先端部より入り込ませた構成にす
れば、電子はエンドシールド外周部で抑制されるため、
暗電流の増加を防止することができる。
【0016】また、両方のエンドシールド外周部をベイ
ン先端部より入り込ませた構成にすれば、電子はエンド
シールド外周部で遮蔽されるため、両側の磁極による磁
界の強弱に関係なく暗電流の増加を抑制することができ
る。すなわち、暗電流を増加させることなく両側の磁極
の形状を自由に変更できる。
ン先端部より入り込ませた構成にすれば、電子はエンド
シールド外周部で遮蔽されるため、両側の磁極による磁
界の強弱に関係なく暗電流の増加を抑制することができ
る。すなわち、暗電流を増加させることなく両側の磁極
の形状を自由に変更できる。
【0017】さらに、本発明者は上記陽極構造を有する
マグネトロンのノイズを減少させるために、作用空間の
端部付近での磁界や電界の分布状態を変化させた場合に
ついて試作、実験を重ねた結果、上記第2の手段のよう
に陰極ステム側磁極による静磁界よりマイクロ波出力取
出部側磁極による静磁界を強くしたことによって、マグ
ネトロン動作時に発生する基本波の周辺の周波数スペク
トラムはサイドローブおよびスプリアス信号が抑制さ
れ、外部へ放射されるノイズを低減できることを見出し
た。
マグネトロンのノイズを減少させるために、作用空間の
端部付近での磁界や電界の分布状態を変化させた場合に
ついて試作、実験を重ねた結果、上記第2の手段のよう
に陰極ステム側磁極による静磁界よりマイクロ波出力取
出部側磁極による静磁界を強くしたことによって、マグ
ネトロン動作時に発生する基本波の周辺の周波数スペク
トラムはサイドローブおよびスプリアス信号が抑制さ
れ、外部へ放射されるノイズを低減できることを見出し
た。
【0018】したがって、本発明の第2の手段のように
フィラメントの偏芯量が大きい側、すなわちマイクロ波
出力取出部側を強磁界となるように磁極の形状を構成す
ることにより、上述の暗電流の増加を抑制することがで
きる。
フィラメントの偏芯量が大きい側、すなわちマイクロ波
出力取出部側を強磁界となるように磁極の形状を構成す
ることにより、上述の暗電流の増加を抑制することがで
きる。
【0019】このような構成とすることにより(1)作
用空間両端の磁界の強さを非対称とすることによりノイ
ズを低減できる。(2)また陰極を支持する加熱用給電
線の一端がステムに固定された状態で陰極部が傾斜した
場合においても、管軸に対する陰極の偏芯量が大となる
方、すなわちマイクロ波出力取出部側の磁界を陰極ステ
ム側磁界より強くすることにより、暗電流の増加を抑制
しマグネトロンの発振効率を向上させることができる。
用空間両端の磁界の強さを非対称とすることによりノイ
ズを低減できる。(2)また陰極を支持する加熱用給電
線の一端がステムに固定された状態で陰極部が傾斜した
場合においても、管軸に対する陰極の偏芯量が大となる
方、すなわちマイクロ波出力取出部側の磁界を陰極ステ
ム側磁界より強くすることにより、暗電流の増加を抑制
しマグネトロンの発振効率を向上させることができる。
【0020】
【実施例】以下に述べる実施例は、ベインの先端部に張
出部を設けたマグネトロン陽極を用いた例で説明してい
るが本発明はこれに限定されるものではない。
出部を設けたマグネトロン陽極を用いた例で説明してい
るが本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】図8は、本発明者等が本発明以前に考え
た、ベインのマイクロ波出力取出部側端面に最も近接す
る磁極の内周縁部を平坦にした場合であり(本願出願時
点では未公開の特願平4−165689)、図11は図
8のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示す図
である。ここで、A−B線は、ベインの陰極側端部と陰
極軸とのほぼ中間に位置する。また、図11の実線は図
8に示すようにベインのマイクロ波出力取出部側端面に
最も近接する磁極の内周縁部を平坦にした場合のA−B
線上における管軸方向の磁界の強さを示し、破線はベイ
ンに最も近接する磁極の作用空間内側方向の先端形状が
上下磁極とも同一な場合のA−B線上における管軸方向
の磁界の強さを示す。
た、ベインのマイクロ波出力取出部側端面に最も近接す
る磁極の内周縁部を平坦にした場合であり(本願出願時
点では未公開の特願平4−165689)、図11は図
8のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示す図
である。ここで、A−B線は、ベインの陰極側端部と陰
極軸とのほぼ中間に位置する。また、図11の実線は図
8に示すようにベインのマイクロ波出力取出部側端面に
最も近接する磁極の内周縁部を平坦にした場合のA−B
線上における管軸方向の磁界の強さを示し、破線はベイ
ンに最も近接する磁極の作用空間内側方向の先端形状が
上下磁極とも同一な場合のA−B線上における管軸方向
の磁界の強さを示す。
【0022】図8において、1は陰極、2は陽極円筒、
3はベイン、411は陽極円筒のマイクロ波出力取出部
側に取付けた磁極、412は陽極円筒の陰極ステム側に
取付けた磁極、5はアンテナであり、磁極411のベイ
ン端面に最も近接する部分の面は図示のように平坦にな
っているが、磁極412にはベインの端面に最も近接す
る部分の面に突出部がある。その結果、マグネトロンの
基本波の周波数スペクトラムは図10に示すようにな
る。従来のマグネトロンの場合には基本波のスペクトラ
ムが図9に示したようにマイクロ波応用装置に割り当て
られている2450±50MHzの幅を越えてはみ出し
ていたので、マイクロ波応用装置側で対策して前記帯域
幅に入るようにしていたが、本マグネトロンの場合は発
振周波数スペクトラムのサイドローブやスプリアス信号
が図10に示すように大幅に低減されている。従って、
本マグネトロンをマイクロ波応用装置たとえば電子レン
ジに利用した場合、雑音電波漏洩対策が容易になる。
3はベイン、411は陽極円筒のマイクロ波出力取出部
側に取付けた磁極、412は陽極円筒の陰極ステム側に
取付けた磁極、5はアンテナであり、磁極411のベイ
ン端面に最も近接する部分の面は図示のように平坦にな
っているが、磁極412にはベインの端面に最も近接す
る部分の面に突出部がある。その結果、マグネトロンの
基本波の周波数スペクトラムは図10に示すようにな
る。従来のマグネトロンの場合には基本波のスペクトラ
ムが図9に示したようにマイクロ波応用装置に割り当て
られている2450±50MHzの幅を越えてはみ出し
ていたので、マイクロ波応用装置側で対策して前記帯域
幅に入るようにしていたが、本マグネトロンの場合は発
振周波数スペクトラムのサイドローブやスプリアス信号
が図10に示すように大幅に低減されている。従って、
本マグネトロンをマイクロ波応用装置たとえば電子レン
ジに利用した場合、雑音電波漏洩対策が容易になる。
【0023】しかしながら、マグネトロン組立て時の陰
極ステム取付け作業により、陰極を支持する加熱用給電
線の一端がステムに固定された状態で陰極部が傾斜する
こと、すなわち管軸に対して陰極が偏心することは避け
られない。この時、陰極の偏心量は当然のことながら図
8において、ステムに近いQ点よりはアンテナに近いP
点の方が大きくなる。図8に示すように、マイクロ波出
力取出部側の磁極の、ベインに最も近接する面が平坦で
あると、A−B線上における管軸方向の磁界は図11の
実線に示すようになり、P点での磁界が弱くなる。この
時、図8に示すようにマイクロ波出力取出部側のエンド
シールド12の外周部の作用空間内側端面と、ベイン
の、陰極に近接するマイクロ波出力取出部側端面とが、
管軸方向にd3(0.2〜0.4mm)だけ離れている
ので、P点で陰極の偏心量が大になり暗電流が増加し、
このためマグネトロンの発振効率が低下する。
極ステム取付け作業により、陰極を支持する加熱用給電
線の一端がステムに固定された状態で陰極部が傾斜する
こと、すなわち管軸に対して陰極が偏心することは避け
られない。この時、陰極の偏心量は当然のことながら図
8において、ステムに近いQ点よりはアンテナに近いP
点の方が大きくなる。図8に示すように、マイクロ波出
力取出部側の磁極の、ベインに最も近接する面が平坦で
あると、A−B線上における管軸方向の磁界は図11の
実線に示すようになり、P点での磁界が弱くなる。この
時、図8に示すようにマイクロ波出力取出部側のエンド
シールド12の外周部の作用空間内側端面と、ベイン
の、陰極に近接するマイクロ波出力取出部側端面とが、
管軸方向にd3(0.2〜0.4mm)だけ離れている
ので、P点で陰極の偏心量が大になり暗電流が増加し、
このためマグネトロンの発振効率が低下する。
【0024】図1は、本発明の第1実施例であり、上下
の磁極の形状は図8と同様で、上磁極411のベインに
最も近接する面が平坦な場合である。
の磁極の形状は図8と同様で、上磁極411のベインに
最も近接する面が平坦な場合である。
【0025】磁極411は、陽極円筒2の端部に支持さ
れる大径のフランジ部と、これと同心で大径のフランジ
部からある距離離れた位置にあり、中央に開口が設けら
た小径の平面若しくはゆるい曲面の底面部と、これら大
径のフランジ部と小径の底面部とを連結する漏斗状部と
から構成される、切頭円錐台の容器状をなしている。磁
極412は、陽極円筒2の端部に支持される大径のフラ
ンジ部と、これと同心で大径のフランジ部からある距離
離れた位置にあり、小径の平面若しくはゆるい曲面をな
すとともに、その中央部に唇状に外側に突出する円筒部
を有する底面部と、これら大径のフランジ部と小径の底
面部とを連結する漏斗状部とから構成される、切頭円錐
台の容器状をなしている。
れる大径のフランジ部と、これと同心で大径のフランジ
部からある距離離れた位置にあり、中央に開口が設けら
た小径の平面若しくはゆるい曲面の底面部と、これら大
径のフランジ部と小径の底面部とを連結する漏斗状部と
から構成される、切頭円錐台の容器状をなしている。磁
極412は、陽極円筒2の端部に支持される大径のフラ
ンジ部と、これと同心で大径のフランジ部からある距離
離れた位置にあり、小径の平面若しくはゆるい曲面をな
すとともに、その中央部に唇状に外側に突出する円筒部
を有する底面部と、これら大径のフランジ部と小径の底
面部とを連結する漏斗状部とから構成される、切頭円錐
台の容器状をなしている。
【0026】図1のA−B線上における管軸方向の磁界
の強さは、図11の実線で示すようになる。図11及び
後述の図12におけるP点は上エンドシ−ルドの下表面
とA−B線との交点、同じくQ点は下エンドシ−ルドの
上表面とA−B線との交点を示す。磁界分布の具体例を
示すと、P−Q線の中点での磁束密度は1700ガウ
ス、P点における磁束密度とQ点における磁束密度の差
は30〜80ガウスである。すなわちP−Q線の中点で
の磁束密度の2〜5パ−セント程度の磁束密度の差がP
点とQ点との間に存在する。
の強さは、図11の実線で示すようになる。図11及び
後述の図12におけるP点は上エンドシ−ルドの下表面
とA−B線との交点、同じくQ点は下エンドシ−ルドの
上表面とA−B線との交点を示す。磁界分布の具体例を
示すと、P−Q線の中点での磁束密度は1700ガウ
ス、P点における磁束密度とQ点における磁束密度の差
は30〜80ガウスである。すなわちP−Q線の中点で
の磁束密度の2〜5パ−セント程度の磁束密度の差がP
点とQ点との間に存在する。
【0027】ここで、上エンドシールド12の外周部の
下端が図1に示すようにベイン上端よりd1だけ作用空
間内側に入り込んでいる。ここでd1は0〜0.5mm
である。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱
い点Pを通過しようとする陰極から放出された電子は上
記上エンドシールド12の外周部の下端で遮蔽されるた
め、暗電流の増加が抑制される。
下端が図1に示すようにベイン上端よりd1だけ作用空
間内側に入り込んでいる。ここでd1は0〜0.5mm
である。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱
い点Pを通過しようとする陰極から放出された電子は上
記上エンドシールド12の外周部の下端で遮蔽されるた
め、暗電流の増加が抑制される。
【0028】ここで図1における具体的寸法の一例を下
記する。
記する。
【0029】 磁極411の底部外形D1=18.00mm 磁極411の底部中央孔の直径D2=9.2mm 磁極412の突出円筒部内径D3=9.2mm 磁極412の突出円筒部外径D4=11.2mm 磁極412の突出円筒部高さH1=1.0mm ベイン先端を連ねた円の直径D5=8.5〜9.5mm ベイン高さH2=9.8mm 陰極外径D6=5.0mm 磁極412の突出円筒部の高さH1は0.5〜1.5m
m、この突出円筒部の半径方向肉厚も0.5〜1.5m
mの範囲に設定すればよいが、好ましくは、これらの寸
法は0.7〜1.3mmが望ましい。突出円筒部を上記
範囲より高くすると発振効率低下や発振不安定現象など
が発生し、一方上記範囲より低くすると発振スペクトル
の改善効果が少なくなる。
m、この突出円筒部の半径方向肉厚も0.5〜1.5m
mの範囲に設定すればよいが、好ましくは、これらの寸
法は0.7〜1.3mmが望ましい。突出円筒部を上記
範囲より高くすると発振効率低下や発振不安定現象など
が発生し、一方上記範囲より低くすると発振スペクトル
の改善効果が少なくなる。
【0030】なお、磁極411,412の上記形状及び
寸法は、それぞれ後述する図2の422,421、図3
の432,431、図4の442,441、図5の45
1,452に示した実施例においても同様である。
寸法は、それぞれ後述する図2の422,421、図3
の432,431、図4の442,441、図5の45
1,452に示した実施例においても同様である。
【0031】更に、陽極空洞共振器群を構成するベイン
の枚数が10枚の場合、ベイン先端を連ねた円の直径D
5が8.5〜9.5mmのとき、このベインの軸方向長
さを9mm以上にすることが有効である。ベインの軸方
向長さが9mm未満のときは発振効率低下や発振不安定
が生じ易くなる。
の枚数が10枚の場合、ベイン先端を連ねた円の直径D
5が8.5〜9.5mmのとき、このベインの軸方向長
さを9mm以上にすることが有効である。ベインの軸方
向長さが9mm未満のときは発振効率低下や発振不安定
が生じ易くなる。
【0032】図2は、本発明の第2実施例であり、図1
とは異なり下磁極422のベインに最も近接する面が平
坦な場合である。図12は、図2のA−B線上における
管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、A−B
線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間に位置
する。また、図12の実線は図2に示すように陰極ステ
ム側ベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を平坦にし
た場合のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示
し、破線はベインに最も近接する磁極の作用空間内側方
向の先端形状が上下磁極とも同一な場合のA−B線上に
おける管軸方向の磁界の強さを示す。この場合は、下磁
極422のベインに最も近接する面が平坦であるため、
Q点の磁界が弱くなり、下エンドシールド13の外周部
の上端が図のようにベイン下端よりd2だけ作用空間内
側に入り込んでいる。ここでd2は0〜0.5mmであ
る。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱い点
Qを通過しようとする陰極から放出された電子は上記下
エンドシールド13の外周部の上端で遮蔽されるため、
暗電流の増加が抑制される。
とは異なり下磁極422のベインに最も近接する面が平
坦な場合である。図12は、図2のA−B線上における
管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、A−B
線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間に位置
する。また、図12の実線は図2に示すように陰極ステ
ム側ベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を平坦にし
た場合のA−B線上における管軸方向の磁界の強さを示
し、破線はベインに最も近接する磁極の作用空間内側方
向の先端形状が上下磁極とも同一な場合のA−B線上に
おける管軸方向の磁界の強さを示す。この場合は、下磁
極422のベインに最も近接する面が平坦であるため、
Q点の磁界が弱くなり、下エンドシールド13の外周部
の上端が図のようにベイン下端よりd2だけ作用空間内
側に入り込んでいる。ここでd2は0〜0.5mmであ
る。このような構成にすれば、作用空間で磁界の弱い点
Qを通過しようとする陰極から放出された電子は上記下
エンドシールド13の外周部の上端で遮蔽されるため、
暗電流の増加が抑制される。
【0033】図3は、本発明の第3実施例であり、上下
の磁極431,432の形状に関係なく、上下のエンド
シールド12,13の外周部の作用空間内側方向端面
を、ベインの管軸方向の最外側でかつ陰極に近接する両
端面より、それぞれd1,d2だけ作用空間内側に入り
込んでいる。ここでd1,d2はそれぞれ0〜0.5m
mである。このような構成にすれば、作用空間で磁界の
弱い点,PあるいはQを通過しようとする陰極から放出
された電子は、上記上エンドシールド12の外周部の下
端,あるいは下エンドシールド13の外周部の上端で遮
蔽されるため、暗電流が抑制される。
の磁極431,432の形状に関係なく、上下のエンド
シールド12,13の外周部の作用空間内側方向端面
を、ベインの管軸方向の最外側でかつ陰極に近接する両
端面より、それぞれd1,d2だけ作用空間内側に入り
込んでいる。ここでd1,d2はそれぞれ0〜0.5m
mである。このような構成にすれば、作用空間で磁界の
弱い点,PあるいはQを通過しようとする陰極から放出
された電子は、上記上エンドシールド12の外周部の下
端,あるいは下エンドシールド13の外周部の上端で遮
蔽されるため、暗電流が抑制される。
【0034】また、上下の磁極の作用空間内側方向でベ
インに最も近接する先端の形状によりP,Q点の磁界が
変化し、このため暗電流の増加に影響を与えるが、本実
施例では、暗電流を増加させることなく、磁極先端形状
を自由に選択することができるため、上下磁極によって
作られる静磁界の最適化が図れ、より雑音電波漏洩対策
が容易となりノイズレベルを改善することが可能とな
る。
インに最も近接する先端の形状によりP,Q点の磁界が
変化し、このため暗電流の増加に影響を与えるが、本実
施例では、暗電流を増加させることなく、磁極先端形状
を自由に選択することができるため、上下磁極によって
作られる静磁界の最適化が図れ、より雑音電波漏洩対策
が容易となりノイズレベルを改善することが可能とな
る。
【0035】なお、上記d1あるいはd2を0.5mm
以上作用空間内側に入り込ませるとπモードでの安定発
振が図れなくなる。
以上作用空間内側に入り込ませるとπモードでの安定発
振が図れなくなる。
【0036】図4は本発明の第4実施例の要部である陽
極円筒や磁極を含む部分の側断面図である。図中、1は
陰極、2は陽極円筒、3はベイン、441は陽極円筒の
マイクロ波出力取出部側に取付けた磁極、442は陽極
円筒の陰極ステム側に取付けた磁極、5はアンテナであ
り、磁極441はベインの端面に最も近接する部分の面
に突出部があるのに対し、磁極442のベイン端面に最
も近接する部分の面は図示のように平坦になっている。
その結果、本発明マグネトロンの基本波の周波数スペク
トラムは図10に示すようになる。従来のマグネトロン
の場合には基本波のスペクトラムが図9に示したように
マイクロ波応用装置に割り当てられている2450±5
0MHzの幅を越えてはみ出していたので、マイクロ波
応用装置側で対策して前記帯域幅に入るようにしていた
が、本発明マグネトロンの場合は発振周波数スペクトラ
ムのサイドローブやスプリアス信号が図10に示すよう
に大幅に低減されている。従って、本発明マグネトロン
をマイクロ波応用装置たとえば電子レンジに利用した場
合、雑音電波漏洩対策が容易になる。
極円筒や磁極を含む部分の側断面図である。図中、1は
陰極、2は陽極円筒、3はベイン、441は陽極円筒の
マイクロ波出力取出部側に取付けた磁極、442は陽極
円筒の陰極ステム側に取付けた磁極、5はアンテナであ
り、磁極441はベインの端面に最も近接する部分の面
に突出部があるのに対し、磁極442のベイン端面に最
も近接する部分の面は図示のように平坦になっている。
その結果、本発明マグネトロンの基本波の周波数スペク
トラムは図10に示すようになる。従来のマグネトロン
の場合には基本波のスペクトラムが図9に示したように
マイクロ波応用装置に割り当てられている2450±5
0MHzの幅を越えてはみ出していたので、マイクロ波
応用装置側で対策して前記帯域幅に入るようにしていた
が、本発明マグネトロンの場合は発振周波数スペクトラ
ムのサイドローブやスプリアス信号が図10に示すよう
に大幅に低減されている。従って、本発明マグネトロン
をマイクロ波応用装置たとえば電子レンジに利用した場
合、雑音電波漏洩対策が容易になる。
【0037】上記のように、作用空間両端の磁界の強さ
を非対称にすることにより雑音電波漏洩対策が容易にで
きるが、図4の場合と磁界の強さを逆にした場合は次の
ような不都合を生じる。
を非対称にすることにより雑音電波漏洩対策が容易にで
きるが、図4の場合と磁界の強さを逆にした場合は次の
ような不都合を生じる。
【0038】図5は、マイクロ波出力取出部側のベイン
端に最も近接する磁極の内周縁部を平坦にした場合であ
る。磁極452にはベインの端面に最も近接する部分の
面に突出部があるのに対し、磁極451のベイン端面に
最も近接する部分の面は図示のように平坦になってい
る。図11は図5のA−B線上における管軸方向の磁界
の強さを示す図であり、図12は、図4のA−B線上に
おける管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、
A−B線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間
に位置する。また、図11の実線は図5に示すようにマ
イクロ波出力取出部側ベイン端に最も近接する磁極の内
周縁部を平坦にした場合のA−B線上における管軸方向
の磁界の強さを示し、図12の実線は図4に示すように
陰極ステム側ベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を
平坦にした場合のA−B線上における管軸方向の磁界の
強さを示す。図11及び図12におけるP点は上エンド
シ−ルドの下表面とA−B線との交点、同じくQ点は下
エンドシ−ルドの上表面とA−B線との交点を示す。磁
界分布の具体例を示すと、P−Q線の中点での磁束密度
は1700ガウス、P点における磁束密度とQ点におけ
る磁束密度の差は30〜80ガウスである。すなわちP
−Q線の中点での磁束密度の2〜5パ−セント程度の磁
束密度の差がP点とQ点との間に存在する。
端に最も近接する磁極の内周縁部を平坦にした場合であ
る。磁極452にはベインの端面に最も近接する部分の
面に突出部があるのに対し、磁極451のベイン端面に
最も近接する部分の面は図示のように平坦になってい
る。図11は図5のA−B線上における管軸方向の磁界
の強さを示す図であり、図12は、図4のA−B線上に
おける管軸方向の磁界の強さを示す図である。ここで、
A−B線は、ベインの陰極側端部と陰極軸とのほぼ中間
に位置する。また、図11の実線は図5に示すようにマ
イクロ波出力取出部側ベイン端に最も近接する磁極の内
周縁部を平坦にした場合のA−B線上における管軸方向
の磁界の強さを示し、図12の実線は図4に示すように
陰極ステム側ベイン端に最も近接する磁極の内周縁部を
平坦にした場合のA−B線上における管軸方向の磁界の
強さを示す。図11及び図12におけるP点は上エンド
シ−ルドの下表面とA−B線との交点、同じくQ点は下
エンドシ−ルドの上表面とA−B線との交点を示す。磁
界分布の具体例を示すと、P−Q線の中点での磁束密度
は1700ガウス、P点における磁束密度とQ点におけ
る磁束密度の差は30〜80ガウスである。すなわちP
−Q線の中点での磁束密度の2〜5パ−セント程度の磁
束密度の差がP点とQ点との間に存在する。
【0039】なお、図11および図12の破線はベイン
に最も近接する磁極の作用空間内側方向の先端形状が上
下磁極とも同一な場合のA−B線上における管軸方向の
磁界の強さを示す。
に最も近接する磁極の作用空間内側方向の先端形状が上
下磁極とも同一な場合のA−B線上における管軸方向の
磁界の強さを示す。
【0040】マグネトロン組立て時の陰極ステム取付け
作業により、陰極を支持する加熱用給電線の一端がステ
ムに固定された状態で陰極部が傾斜し、管軸に対して陰
極が偏芯することは避けられない。この時、陰極の偏芯
量は当然のことながらステムに近いQ点よりはアンテナ
に近いP点の方が大きくなる。
作業により、陰極を支持する加熱用給電線の一端がステ
ムに固定された状態で陰極部が傾斜し、管軸に対して陰
極が偏芯することは避けられない。この時、陰極の偏芯
量は当然のことながらステムに近いQ点よりはアンテナ
に近いP点の方が大きくなる。
【0041】図5に示すように、マイクロ波出力取出部
側の磁極の、ベインに近接する面が平坦であると、A−
B線上における管軸方向の磁界は図11の実線に示すよ
うになり、P点での磁界が弱くなり、この点で陰極の偏
芯量が大になると暗電流が増加し、このためマグネトロ
ンの発振効率が低下する。
側の磁極の、ベインに近接する面が平坦であると、A−
B線上における管軸方向の磁界は図11の実線に示すよ
うになり、P点での磁界が弱くなり、この点で陰極の偏
芯量が大になると暗電流が増加し、このためマグネトロ
ンの発振効率が低下する。
【0042】本発明の図4の構成では、A−B線上にお
ける管軸方向の磁界は図12の実線に示すようになり、
P点での磁界が強くなり、この点で陰極の偏芯量が大と
なっても暗電流の増加は抑制されることになり、したが
ってマグネトロンの発振効率が向上する。
ける管軸方向の磁界は図12の実線に示すようになり、
P点での磁界が強くなり、この点で陰極の偏芯量が大と
なっても暗電流の増加は抑制されることになり、したが
ってマグネトロンの発振効率が向上する。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、雑
音電波の漏洩対策が容易にでき、かつ暗電流の増加を抑
制してマグネトロンの発振効率を向上させることができ
る。また、ベインに最も近接する磁極の作用空間内側方
向の先端形状を自由に選択することが出来るため、上下
磁極によって作られる静磁界の最適化が図れ、よりノイ
ズレベルを改善することが可能となる。
音電波の漏洩対策が容易にでき、かつ暗電流の増加を抑
制してマグネトロンの発振効率を向上させることができ
る。また、ベインに最も近接する磁極の作用空間内側方
向の先端形状を自由に選択することが出来るため、上下
磁極によって作られる静磁界の最適化が図れ、よりノイ
ズレベルを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図3】本発明の第3実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図4】本発明の第4実施例の要部である陽極円筒や磁
極を含む部分の側断面図である。
極を含む部分の側断面図である。
【図5】作用空間の両側にある磁極による静磁界の強度
において、マイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界
の方が、陰極ステム側の磁極による静磁界より小さい場
合の、陽極円筒や磁極を含むマグネトロン要部断面図で
ある。
において、マイクロ波出力取出部側の磁極による静磁界
の方が、陰極ステム側の磁極による静磁界より小さい場
合の、陽極円筒や磁極を含むマグネトロン要部断面図で
ある。
【図6】従来のマグネトロンの一例の管軸を通る断面図
である。
である。
【図7】図7(a)はベインのマイクロ波出力取出部側
端面のみにストラップリングを設置し、ベインの先端に
隣接ベインの先端側へ突出した張出し部分を設け、ベイ
ンの陰極ステム側端面に張出し部分とこれに続く部分と
の境界に段差を設けて張出し部分以外の部分のベインの
管軸方向幅を狭くしたマグネトロン陽極の平面図、図7
(b)はその管軸を通る断面図である。
端面のみにストラップリングを設置し、ベインの先端に
隣接ベインの先端側へ突出した張出し部分を設け、ベイ
ンの陰極ステム側端面に張出し部分とこれに続く部分と
の境界に段差を設けて張出し部分以外の部分のベインの
管軸方向幅を狭くしたマグネトロン陽極の平面図、図7
(b)はその管軸を通る断面図である。
【図8】作用空間の両側にある磁極によって作られる静
磁界の強度において、マイクロ波出力取出部側の磁極に
よって作られる静磁界の方が、陰極ステム側の磁極によ
って作られる静磁界より小さい場合の、陽極円筒や磁極
を含む部分のマグネトロン要部断面図である。
磁界の強度において、マイクロ波出力取出部側の磁極に
よって作られる静磁界の方が、陰極ステム側の磁極によ
って作られる静磁界より小さい場合の、陽極円筒や磁極
を含む部分のマグネトロン要部断面図である。
【図9】従来のベインの片側端面だけにストラップリン
グを設置したマグネトロンの2450MHz帯の基本波
スペクトラムを示す図である。
グを設置したマグネトロンの2450MHz帯の基本波
スペクトラムを示す図である。
【図10】本発明実施例マグネトロンの2450MHz
帯の基本波スペクトラムを示す図である。
帯の基本波スペクトラムを示す図である。
【図11】マイクロ波出力部側ベイン端面に最も近接す
る磁極の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布であ
る。
る磁極の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布であ
る。
【図12】陰極ステム側ベイン端面に最も近接する磁極
の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布である。
の内周縁部の面を平坦にした場合の磁界分布である。
【符号の説明】 1…陰極、 2…陽極円筒、 3…ベイン、 31…ベ
イン先端の張出部分、411,421,431,441
…マイクロ波出力取出部側の磁極、 412,422,
432,442…陰極ステム側の磁極、 12…マイク
ロ波出力取出部側のエンドシールド、 13…陰極ステ
ム側のエンドシールド。
イン先端の張出部分、411,421,431,441
…マイクロ波出力取出部側の磁極、 412,422,
432,442…陰極ステム側の磁極、 12…マイク
ロ波出力取出部側のエンドシールド、 13…陰極ステ
ム側のエンドシールド。
Claims (15)
- 【請求項1】陽極空洞共振器群を形成し環状に配設する
複数のベインと、アンテナを介して前記複数のベインの
うちの一つに結合されるマイクロ波出力取出部と、前記
複数のベインのマイクロ波出力取出部側端面のみで前記
複数のベインを一枚おきに交互に電気的に接続するスト
ラップリングと、前記複数のベインの先端部を連ねる円
のほぼ中央部に位置する陰極と、前記陰極の両端に設け
られた一対のエンドシールドと、前記陰極を囲み前記陰
極と前記複数のベインの先端部との間に管軸方向に延在
する円筒状の作用空間と、この作用空間の管軸方向両端
に位置して管軸方向の静磁界を形成する一対の磁極と、
前記一対の磁極の管軸方向両外側に位置する永久磁石
と、前記陰極を加熱用給電線を介して支持する陰極ステ
ムとを備え、前記作用空間の管軸方向両端部に形成され
る静磁界の強さを互いに異ならせ、前記作用空間の管軸
方向両端部における静磁界のうちの少なくとも弱い方の
静磁界の端部側に対応する前記エンドシールドの外周部
の前記作用空間の内側方向端面を、前記複数のベインの
前記陰極に近接する管軸方向端面と同一面にまたはそれ
より管軸に沿って前記作用空間内側に入り込ませたこと
を特徴とするマグネトロン。 - 【請求項2】前記弱い方の静磁界の端部が前記複数のベ
インの前記マイクロ波出力取出部側管軸方向端面側に形
成されていることを特徴とする請求項1記載のマグネト
ロン。 - 【請求項3】前記弱い方の静磁界の端部が前記複数のベ
インの前記陰極ステム側管軸方向端面側に形成されてい
ることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン。 - 【請求項4】 前記一対の磁極の一方が、逆切頭円錐
台の容器状をなし、中央に開孔を有するそのほぼ平らな
底面が前記複数のベインの前記マイクロ波出力取出部側
管軸方向端面に対向して前記弱い方の静磁界を形成して
いることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン。 - 【請求項5】 前記一対の磁極の他方が逆切頭円錐台の
容器状をなし、その底面の中央に唇状の外側に突出する
円筒部を有し、その円筒部が前記複数のベインの前記陰
極ステム側管軸方向端面に対向していることを特徴とす
る請求項4記載のマグネトロン。 - 【請求項6】 前記一対の磁極の一方が、逆切頭円錐
台の容器状をなし、中央に開孔を有するそのほぼ平らな
底面が前記複数のベインの前記陰極ステム側管軸方向端
面に対向して、前記弱い方の静磁界を形成していること
を特徴とする請求項1記載のマグネトロン。 - 【請求項7】 前記一対の磁極の他方が逆切頭円錐台
の容器状をなし、その底面の中央に唇状の外側に突出す
る円筒部を有し、その円筒部が前記複数のベインの前記
マイクロ波出力取出部側管軸方向端面に対向しているこ
とを特徴とする請求項6記載のマグネトロン。 - 【請求項8】管軸方向に沿って前記作用空間内側に入り
込ませた寸法が 0.5mm 以下であることを特徴とする請
求項1,2,3,4または6記載のマグネトロン。 - 【請求項9】前記一対のエンドシールドの双方の外周部
の前記作用空間内側方向端面を前記複数のベインの前記
陰極に近接する管軸方向端面と同一面にまたはそれより
管軸方向に沿って前記作用空間内側に入り込ませたこと
を特徴とする請求項1記載のマグネトロン。 - 【請求項10】 陽極空洞共振器群を形成し環状に配設
する複数のベインと、アンテナを介して前記複数のベイ
ンのうちの一つに結合されるマイクロ波出力取出部と、
前記複数のベインの前記マイクロ波出力取出部側端面の
みで前記複数のベインを一枚おきに交互に電気的に接続
するストラップリングと、前記複数のベインの先端部を
連ねる円のほぼ中央部に位置する陰極と、前記陰極の両
端に設けられた一対のエンドシールドと、前記陰極を囲
み、前記陰極と前記複数のベインの先端部との間に管軸
方向に沿って延在する円筒状の作用空間と、この作用空
間の管軸方向両端に位置して管軸方向の静磁界を形成す
る一対の磁極と、前記一対の磁極の管軸方向両外側に位
置する永久磁石と、前記陰極を加熱用給電線を介して支
持する陰極ステムとを備え、前記作用空間の静磁界の強
さを、前記陰極ステム側管軸方向端部よりも前記マイク
ロ波出力取出部側管軸方向端部において、より強くした
ことを特徴とするマグネトロン。 - 【請求項11】 前記一対の磁極のうちの前記マイクロ
波出力取出部側に配置される一方の磁極が、逆切頭円錐
台の容器状をなし、その底面の中央に唇状に外側に突出
する円筒部を有し、その円筒部が前記複数のベインの前
記前記マイクロ波出力取出部側管軸方向端面に対向して
いることを特徴とする請求項10記載のマグネトロン。 - 【請求項12】 前記一対の磁極の他方が、逆切頭円
錐台の容器状をなし、中央に開孔を有するそのほぼ平ら
な底面が前記複数のベインの前記陰極ステム側管軸方向
端面に対向していることを特徴とする請求項11記載の
マグネトロン - 【請求項13】前記複数のベインの数が10であり、こ
のベインの管軸方向高さが9mm以上であることを特徴
とする請求項1または10記載のマグネトロン。 - 【請求項14】前記複数のベインの前記陰極側先端と管
軸との中点を管軸に平行に通るA−B線と前記一対のエ
ンドシ−ルドのうちの前記マイクロ波出力取出部側のエ
ンドシ−ルドの下表面との交点をP,前記A−B線と前
記一対のエンドシ−ルドのうちの前記陰極ステム側のエ
ンドシ−ルドの上表面との交点をQとしたとき、前記P
点における管軸方向磁束密度と前記Q点における管軸方
向磁束密度との差が30〜80ガウスであることを特徴
とする請求項1または10記載のマグネトロン。 - 【請求項15】前記複数のベインの前記陰極側先端と管
軸との中点を管軸に平行に通るA−B線と前記一対のエ
ンドシ−ルドのうちの前記マイクロ波出力取出部側のエ
ンドシ−ルドの下表面との交点をP,前記A−B線と前
記一対のエンドシ−ルドのうちの前記陰極ステム側のエ
ンドシ−ルドの上表面との交点をQとしたとき、前記P
点における管軸方向磁束密度と前記Q点における管軸方
向磁束密度との差が、前記P点と前記Q点とを結ぶ線の
中点における管軸方向磁束密度の2〜5パ−セントの範
囲にあることを特徴とする請求項1または10記載のマ
グネトロン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29618794A JPH07230771A (ja) | 1993-12-24 | 1994-11-30 | マグネトロン |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-326832 | 1993-12-24 | ||
JP32683393 | 1993-12-24 | ||
JP32683293 | 1993-12-24 | ||
JP5-326833 | 1993-12-24 | ||
JP29618794A JPH07230771A (ja) | 1993-12-24 | 1994-11-30 | マグネトロン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07230771A true JPH07230771A (ja) | 1995-08-29 |
Family
ID=27338036
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29618794A Pending JPH07230771A (ja) | 1993-12-24 | 1994-11-30 | マグネトロン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07230771A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100399494C (zh) * | 2003-06-30 | 2008-07-02 | 乐金电子(天津)电器有限公司 | 磁控管输入部的屏蔽结构 |
CN105493223A (zh) * | 2013-08-29 | 2016-04-13 | 东芝北斗电子株式会社 | 磁控管 |
-
1994
- 1994-11-30 JP JP29618794A patent/JPH07230771A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100399494C (zh) * | 2003-06-30 | 2008-07-02 | 乐金电子(天津)电器有限公司 | 磁控管输入部的屏蔽结构 |
CN105493223A (zh) * | 2013-08-29 | 2016-04-13 | 东芝北斗电子株式会社 | 磁控管 |
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