JPH07223668A - 物品包装具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 底部に溜まることのある水分と被包装物とが
直接接することなく、しかも製造が簡単容易で、経済的
に極めて有利であり、ユーザーにおいては煩雑な作業を
全く必要とせず、簡単に物品を包装することができる包
装具であって、保管および輸送時にはシート状のままで
積み重ねが可能で場所を取らないこと。 【構成】 合成樹脂発泡体を主体とする軟質のシート状
物２１よりなり、被包装物品の底部が載置される円形の
中央座部２２と、前記中央座部の上面側に形成された放
射状凹溝部２５と、前記中央座部を上方に持ち上げかつ
該中央座部の下降とともに内方へ反転するように、当該
中央座部から下部外方へ傾斜をもって延設された反転傾
斜部２３と、前記反転傾斜部より外方へ形成された包着
部２４とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は包装具に関し、特には
個別の被包装物品をワンタッチでソフトに包み込むこと
ができる軟質の包装具に関する。

【０００２】

【従来の技術】果実や装飾品あるいは日用品または精密
製品もしくは各種部品等をその衝撃や表面部の損傷から
守るために、該被包装物品の外側のほぼ全体を個別的に
軟らかく包み込む各種の包装材が知られている。本出願
人は、先に、例えば桃やメロン等の果実等をワンタッチ
でソフトに包み込むことができる軟質の合成樹脂発泡体
よりなるシート状包装材を提案した（例えば特願平５−
２４９８５１号）。

【０００３】しかるに、この種の軟質の合成樹脂発泡体
よりなるシート状包装材にあっては、被包装物品等から
発散された水分あるいは付着した水分が保管あるいは輸
送中に包装材底部に溜まり、被包装物を傷ませたりする
おそれがある。

【０００４】一方、このような問題を解消するものとし
て網目状包装材が挙げられるが、しかしながら、この網
目状包装材は、特殊な押出成形によって連続的に製造さ
れた後、適宜の長さに切断して形成されるため、製造に
おいては大掛かりな成形設備を必要としコストが高くな
る嫌いがある。一方、これを使用するユーザーにおいて
も、該網目状包装材の開口網目部を開いて物品を所定位
置に押し込み収容するという煩雑な作業を必要とする。
さらに、この網目状包装材を保管、輸送する場合には折
り畳んでなされるとはいえ、相当にかさばり、保管およ
び輸送上の不利がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な問題点に鑑み提案されたものであって、包装材底部に
溜まることのある水分と被包装物とが直接接することが
ないシート状の物品包装具を提案するものである。ま
た、この発明は、製造が簡単容易で、経済的に極めて有
利なシート状包装具を提供することを目的とする。さら
に、この発明は、ユーザーにおいて、煩雑な作業を全く
必要とせず、簡単に物品を包装することができる包装具
を提供することを目的とする。さらにまた、この発明
は、保管および輸送時にはシート状のままで積み重ねが
可能で場所を取らない包装具を提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
合成樹脂発泡体を主体とする軟質のシート状物よりな
り、被包装物品の底部が載置される円形の中央座部と、
前記中央座部の上面側に形成された放射状凹溝部と、前
記中央座部を上方に持ち上げかつ該中央座部の下降とと
もに内方へ反転するように、当該中央座部から下部外方
へ傾斜をもって延設された反転傾斜部と、前記反転傾斜
部より外方へ形成された包着部とからなることを特徴と
する物品包装具に係る。

【０００７】

【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を実施例を
説明する。図１はこの発明の包装具の一例を示す平面
図、図２はその側面図、図３はその底面図、図４は図１
の４−４線で切断した断面図、図５は図１の５−５線で
切断した放射状凹溝部の拡大断面図、図６は中央座部の
他の例を示す拡大断面図、図７は図１に示す包装具の反
転状態を示す側面図、図８は中央座部と反転傾斜部の境
界に形成された薄肉部の一例を示す拡大端面図、図９は
同じく他の薄肉部の例を示す拡大端面図、図１０は別の
薄肉部の例を示す拡大端面図、図１１は包着部が円形に
形成された包装具の平面図、図１２は図１１の１２−１
２線で切断した断面図、図１３は図１１に示した包装具
の反転状態を示す側面図、図１４はこの発明の包装具の
製造に使用されるシート状物の断面図、図１５はこの発
明の包装具を成形する真空成形型の断面図、図１６は前
記成形型によって得られた成形品の断面図である。

【０００８】図１ないし図４に示したように、この発明
の包装具２０は合成樹脂発泡体を主体とする軟質のシー
ト状物２１よりなり、中央座部２２とその外側に一体に
延設された反転傾斜部２３および包着部２４からなる。

【０００９】まず、この発明の包装具２０に用いられる
軟質のシート状物２１としては、果物などの被包装物品
の表面を傷を付けることなく軟らかく包み込む柔軟性の
あるシート材が使用される。例えばポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどからなる
合成樹脂発泡体を主体とするシート材は好適な材料であ
る。なお、被包装物品の必要に応じ、合成樹脂発泡体に
他の発泡または非発泡シート材あるいは網目材等を積層
貼着した複合積層シート材を用いても良い。

【００１０】中央座部２２は、包装具２０のほぼ中央部
分に形成され、その上面側は被包装物品の底部が載置さ
れる物品載置面３０を形成する。図示した実施例では、
この中央座部２２は略円形に形成されているが、被包装
物品との関係で、必要に応じて略楕円形状、略三角形
状、略四角形状、略多角形状等とすることができる。

【００１１】中央座部２２上側（物品載置面３０）に
は、当該座部に溜まることのある水分を収容する線状の
放射状凹溝部２５が設けられている。この放射状凹溝部
２５は、図１のように、中央座部２２の中心部から外側
に直線状に形成される。放射状凹溝部２５の深さは２な
いし３ミリ程度で幅は５ミリ程度で十分である。なお、
図５の拡大断面図のように凹溝部２５の両壁部２５Ａ，
２５Ｂをゆるやかな傾斜面とすると座部２２面の排水性
はさらによくなる。

【００１２】また、図４の断面図および図６の拡大断面
図からよく理解されるように、この放射状凹溝部２５の
中心部分を外周部よりも低く構成して、迅速かつ効率的
に排水させることもできる。この場合には図６に示した
ように、中央座部外周部２２Ａが被包装物品Ｔを保持す
る物品載置面３０を構成するため、該物品Ｔと排水され
た水Ｗとが接触することはない。

【００１３】さらに、図１および図３並びに図４に示さ
れるように、放射状凹溝部２５の中心部に貫通孔３２を
設けて、放射状凹溝部２５内に溜まった水を外部に排出
するようにしてもよい。

【００１４】さらにまた、中央座部２２上面側外周に放
射状凹溝部２５と連通する外周溝部３４を設けて中央座
部外周部の排水性を向上させればより効果的である。

【００１５】次に、反転傾斜部２３の説明をすると、こ
の反転傾斜部２３は、図４の断面図のように、前記中央
座部２２を上方に持ち上げかつ該中央座部２２の下降と
ともに内方へ反転するように、当該中央座部２２から下
部外方へ傾斜をもって延設される。この反転傾斜部２３
は、持ち上げられた中央座部２２に被包装物品を載置し
その底部を押しつけ下方へ下降する際に反転（裏返り）
するようになだらかな傾斜をもってドーム状に構成され
ている。

【００１６】なお、この反転傾斜部２３には、当該部分
に腰強さを付与して内側方向への反転を確実にかつ効果
的に行なわせるために、該傾斜部２３に沿って放射状の
縦リブ２７を形成することが好ましい。この放射状縦リ
ブ２７は、このほかに、反転後における被包装物品の下
部近傍における緩衝性および保温性（保冷性）を高める
メリットもある。

【００１７】さらに、この反転傾斜部２３の内側方向へ
の反転を確実にかつ効率良く行なわしめるための手段と
して、中央座部２２と反転傾斜部２３との境界部に沿っ
て環状の薄肉部２９を形成することが効果的である。す
なわち、図４の断面図からよく理解されるように、中央
座部２２と反転傾斜部２３との境界部に形成された略円
形の薄肉部２９によって、中央底部２２の押し下げＤの
際に、この薄肉部２９が折り目となって反転傾斜部２３
の反転が確実かつ効率よく行なわれることができる。な
お、この環状薄肉部２９は図８のように包装具の外側表
面２０ａに形成されたもののほか、図９のように内側表
面２０ｂに形成されるもの２９Ａ、あるいは図１０のよ
うに内外両側表面２０ａ，２０ｂに形成されるもの２９
Ｂがある。

【００１８】包着部２４は、図１ないし図４に示したよ
うに、前記反転傾斜部２３より外方へ複数枚が放射状に
かつ一体に延設され、図のような開いた花弁状に形成さ
れる。この包着部２４は、被包装物品の形状、大きさに
応じて適宜の数、幅、長さ、形状に形成される。なお、
包着部２４は物品の上部を包み込むことができるよう
に、望ましくはその先端が上方に湾曲する凹面状に形成
される。そして、この包着部２４は、前記反転傾斜部２
３の反転に伴って内方へ閉じ、その結果図７のように、
被包装物品の周囲をすっぽりと包み込むのである。

【００１９】また、この包着部２４にもその長手方向に
リブ２８を設けることもできる。このリブ２８は当該包
着部２４に腰強さを付与するとともに、包装時における
被包装物品の側面ならびに上部における緩衝性および保
温性（保冷性）を高めるメリットがある。なお、この包
着部２４のリブ２８と前記した反転傾斜部２３の縦リブ
２７とは図１ないし図４のように連続して形成されても
よい。

【００２０】この発明の包装具の包着部は、上記包装具
２０のように複数の花弁形状の包着片から成る包着部２
４の他に、図１１および図１２に示す包装具６０の包着
部６４のように、反転傾斜部６３より外方へ円形状にか
つ一体に延設して形成することもできる。なお、これら
の図において符号６１はシート状物、６２は中央座部、
６５は放射状凹溝部、６７は反転傾斜部６３に設けられ
た放射状リブ、６９は薄肉部、７２は貫通孔、７４は外
周溝部である。

【００２１】この包着部６４は、反転傾斜部６３の反転
に伴って内方へ傾斜しつつ、図１３のように先端部を被
包装物品の大きさ、形状に合わせて折り畳み、被包装物
品の周囲をすっぽりと包み込むのである。なお、図のよ
うに、包着部６４の長手方向にリブ６８を設けた場合に
は、前期包装具２０で述べた機能に加えて、反転傾斜部
６３の反転に伴う包着部先端の折り畳みを容易にすると
いう折りしろとしての効果がさらに付け加えられる。

【００２２】この発明の包装具は、公知の成形方法によ
って製造されるが、成形性および経済性などの点から真
空成形が好適で有利ある。図１４ないし図１６はその製
造例を示したものである。図１４に示した合成樹脂発泡
体からなる軟質シート基材４０は公知の手段によってシ
ート状に成形されたものであって、あらかじめ熱せられ
適宜に軟化されて真空成形型５０に配される。

【００２３】真空成形型５０は、図１５に示されるよう
に、下型５１と上型５２とからなり、所定の中央座部、
反転傾斜部および包着部の形状を規定する型面５３，５
４を備えている。下型５１には、その型面５３に開口す
る複数の真空吸引孔５５が設けられ、型外に設けられた
真空ポンプなどの真空源５６に連結されている。加熱に
よって軟化された軟質シート基材４０は下型５１の型面
５３上に載置され、前記真空吸引孔５５によってその型
面５３上に密着されるとともに、上型５２の型面５４に
よって押圧されて所定の形状を有するシート状物４１に
成形される。そして、図１６のように、成形後該シート
状物４１をプレスなどによってその外周を切断して、包
装具４２を得る。符号Ｃは切断線である。

【００２４】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
包装具によれば、中央座部上側に設けられた放射状凹溝
部が、当該中央座部（物品載置面）に溜まった水分を収
容するため、該水分と被包装物品とが直接接することは
ない。また、該包装具上に果実や装飾品あるいは日用品
または精密製品もしくは各種部品等の被包装物品を載置
しつつ反転傾斜部を反転するだけで、ワンタッチで該物
品を包装することによって、簡単かつ確実に包装するこ
とができる。さらに、この発明の包装具は、実施例で述
べたように、真空成形によって簡便かつ大量に製造する
ことができ、大変経済的である。しかも、積み重ねが可
能であるため収納、保管および輸送時に広いスペースを
必要とせず極めて有利に用いることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の包装具の一例を示す平面図である。

【図２】この発明の包装具の側面図である。

【図３】この発明の包装具の底面図である。

【図４】図１の４−４線で切断した断面図である。

【図５】図１の５−５線で切断した放射状凹溝部の拡大
断面図である。

【図６】中央座部の他の例を示す拡大断面図である。

【図７】図１に示す包装具の反転状態を示す側面図であ
る。

【図８】中央座部と反転傾斜部の境界に形成された薄肉
部の一例を示す拡大端面図である。

【図９】他の薄肉部の例を示す拡大端面図である。

【図１０】別の薄肉部の拡大端面図である。

【図１１】包着部が円形に形成された包装具の平面図で
ある。

【図１２】図１１の１２−１２線で切断した断面図であ
る。

【図１３】図１１に示した包装具の反転状態を示す側面
図である。

【図１４】この発明の包装具の製造に使用されるシート
状物の断面図である。

【図１５】この発明の包装具を成形する真空成形型の断
面図である。

【図１６】前記成形型によって得られた成形品の断面図
である。

【符号の説明】

２０ 包装具 ２１ 軟質のシート状物 ２２ 中央座部 ２３ 反転傾斜部 ２４ 包着部 ２５ 放射状凹溝部 ２７ 放射状リブ ２８ リブ ２９ 薄肉部 ３０ 物品載置面 ３２ 貫通孔 ３４ 外周溝部 ４０ シート状基材 ５０ 真空成形型

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂発泡体を主体とする軟質のシー
   ト状物よりなり、 被包装物品の底部が載置される円形の中央座部と、 前記中央座部の上面側に形成された放射状凹溝部と、 前記中央座部を上方に持ち上げかつ該中央座部の下降と
   ともに内方へ反転するように、当該中央座部から下部外
   方へ傾斜をもって延設された反転傾斜部と、 前記反転傾斜部より外方へ形成された包着部とからなる
   ことを特徴とする物品包装具。
2. 【請求項２】 請求項１において、放射状凹溝部の中心
   部分が他の凹溝部分より低く形成された物品包装具。
3. 【請求項３】 請求項１または２において、放射状凹溝
   部の中心部分に貫通孔が形成された物品包装具。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３のいずれかにおいて、
   中央座部の上面側外周に放射状凹溝部と連通する外周溝
   部が形成された物品包装具。