JPH07218698A - 蛍光板およびそれを利用した放射線撮影装置、並びに蛍光板の製造方法 - Google Patents

蛍光板およびそれを利用した放射線撮影装置、並びに蛍光板の製造方法

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JPH07218698A
JPH07218698A JP6008195A JP819594A JPH07218698A JP H07218698 A JPH07218698 A JP H07218698A JP 6008195 A JP6008195 A JP 6008195A JP 819594 A JP819594 A JP 819594A JP H07218698 A JPH07218698 A JP H07218698A
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light
thin film
phosphor layer
fluorescent plate
visible light
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JP6008195A
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Noritaka Sato
則孝 佐藤
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Original Assignee
Sony Corp
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  • Conversion Of X-Rays Into Visible Images (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)
  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 より明るい画像を観測できるようにする。 【構成】 X線B10を、支持体1と光反射層2を介し
て蛍光体層3に入射させる。蛍光体層3より出射された
光を、光学多層薄膜4と鉛ガラス11を介して観測機1
2により観測させる。光学多層薄膜4は、蛍光体層3よ
り出射された光を法線に集中させる。これにより、観測
機12は、より明るい画像を観測することができ、コン
トラスト、鮮鋭度も向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば人体等の生体に
X線、粒子線、γ線などの放射線を外から照射したり、
あるいは、放射性の薬剤を投与して、その内部の状態を
観察する場合に用いて好適な蛍光板およびそれを利用し
た放射線撮影装置、並びに蛍光板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図18は、従来の蛍光板式X線テレビの
一例の構成を示している。図示せぬX線発生装置より放
射されたX線B10が、図示せぬ人体等の生体に照射さ
れる。そして、生体を透過したX線B10は、蛍光板1
0に入射される。
【0003】蛍光板10は、例えば合成樹脂などよりな
る支持体1を有し、そのX線B10の入射側と反対側に
は、蛍光体層3が配置されている。この蛍光体層3は、
例えば希土類蛍光体Gd22S:Tbを有しており、こ
の蛍光体は、X線B10が入射されると、発光(可視
光)B11を発生するようになされている。この光B1
1は、図中右方向の立体角2πの空間に放出されるが、
その放出分布は、ランバート(Lambert)則に従
ったものとなる。
【0004】光B11のうち、蛍光体層3の面に略垂直
な方向に放出される光B11−1は、鉛ガラス11を介
して、ビデオカメラよりなる観測機12に入射される。
この光B11−1の強度は、蛍光体層3に入射されるX
線B10の強度に対応する。そして、この蛍光体層3に
入射されるX線B10の強度は、生体の内部の状態に対
応して変化する。その結果、観測機12により、生体の
内部の状態に対応した画像を観察することができる。
【0005】鉛ガラス11は、X線B10が蛍光板10
を透過して、観測機12(観察者)に照射されるのを抑
制するために設けられている。
【0006】また、蛍光体層3において発生される光
は、観測機12側に対して放出されるだけでなく、その
反対側、即ち、支持体1側にも放出される。この支持体
1側に放出される光は、観測機12により観測すること
ができないため、無駄な光となってしまう。
【0007】そこで、支持体1と蛍光体層3の間には、
光反射層2が設けられている。この光反射層2は、蛍光
体層3より入射された光を反射し、鉛ガラス11側に放
出させる。これにより、観測機12により、より多くの
光(明るい画像)を観測することができるようになされ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の蛍光
板は、輝度とコントラストが低く、かつ、鮮鋭度が充分
でない課題を有していた。
【0009】最初に、輝度が低い原因について説明す
る。輝度が低い原因の1つは、例えば図18に示すよう
に、蛍光体層3より放出された光B11のうち、観測機
12の方向以外の方向に放出される光B11−2により
生起される。即ち、このように、観測機12により補足
されない光B11−2が発生すると、その分だけ、観測
機12により補足される光B11−1の光量が少なくな
る。このため、画像の輝度が低下するのである。
【0010】これを解決するには、例えば光学系を用い
て、光B11−2を集光し、観測機12に入射させるこ
とが考えられる。
【0011】しかしながら、例えば、Fナンバが1.8
のレンズを用いて、拡大率1/40で蛍光板10を観測
すると、蛍光板10からの発光放出分布を考慮すると、
蛍光板10から観測機12側に放出される全ての光のう
ち、観測される光は、5×10-5程度と計算される。即
ち、レンズにより集光しようとしても、その効率は極め
て小さいものとなる。
【0012】そこで、光学系を大きくすることが考えら
れる。例えばX線間接撮影装置においては、大きな凹面
鏡を用いて集光するミラーカメラ(この場合、観測機1
2はスチルカメラ)が考案されている。しかしながら、
このミラーカメラは、装置自身が極めて大きくなるとい
う課題を有している。
【0013】また、コントラストは、図19に示すよう
に、外部から迷光B14が蛍光板10に入射されること
によって低下する。そこで、この場合、蛍光板10と観
測機12を暗箱13の内部に配置し、その内部に迷光B
14が入射しないようにすることで、コントラストの低
下を抑制することが可能である。
【0014】しかしながら、この場合、蛍光板10より
放出された光B11の一部の光(観測機12で補集され
ない光の殆どの光)が、暗箱13の内壁に照射される
と、そこで乱反射され、光B12として、様々な方向に
進行する。そして、この光B12のうちの一部の光B1
3が、蛍光板10に入射される。この光B13は、迷光
と同様に作用するため、コントラストを低下させる。
【0015】そこで、このような場合、暗箱13の内壁
を、つや消し処理したり、あるいは黒色塗料を塗布する
等して、光吸収面とすることが考えられる。
【0016】しかしながら、内壁面を完全吸収面にする
ことは困難であり、光B13は蛍光体層3に入射され、
そこで散乱反射され、光B15として、各方向に進行す
る。この光B15のうち、蛍光板10と垂直な方向(法
線方向)に進行した光B15−1は、観測機12に入射
されるため、本来の光B11−1のコントラストを低下
させる要因となる。
【0017】また、迷光B14を抑制する他の方法とし
て、蛍光板10の観測機12側の面を、蛍光体層3より
発生される光の波長以外の波長領域の光を吸収する染料
で染色する方法(蛍光体層3の中または表面に染料を混
ぜるか、鉛ガラス11がある場合は、その全体または表
面を染色する方法)がある。この場合、光B13による
コントラストの低下を、より効果的に抑制するには、さ
らに、発光波長領域の光も吸収するようにする必要があ
る。しかしながら、そのようにすると、観測すべき光B
11−1も吸収されるため、輝度(画像の明るさ)が低
下してしまう。
【0018】次に、図20を参照して、鮮鋭度の低下の
原因について説明する。
【0019】同図に示すように、蛍光体層3により発生
された光B11−2のうち、一部の光は、鉛ガラス11
の表面で反射され、光B16として再び蛍光体層3に入
射される。この光B16は、蛍光体層3で散乱反射さ
れ、光B17となる。この光B17のうちの一部の光B
17−1は、蛍光板10の法線方向の光となり、観測機
12に入射される。
【0020】このように、鉛ガラス11の表面で反射さ
れた光B16が蛍光体層3に入射され、そこで散乱反射
される過程は繰り返されるが、多重の反射、散乱反射に
より、次第に再入射光は減少する。従って、これらの光
B17は、光B11が発生する場所の近傍において、局
所的に発生するものとなる。このため、この光B17−
1は、画像の鮮鋭度を低下させる要因となる。
【0021】このため、鉛ガラス11を染色し、光B1
6やB17の光量を抑制するようにすることが考えられ
る。しかしながら、そのようにすると、本来の光B11
−1の光量も抑制されていまい、輝度が低下してしまう
課題が発生する。
【0022】そこで、さらに鉛ガラス11の表面に反射
防止処理を施し、光B16の発生を抑制する方法も考え
られるが、その効果は充分なものではない。
【0023】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、輝度とコントラストを改善するとともに、
より大きな鮮鋭度が得られるようにするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の蛍光板は、入射
される放射線を可視光に変換する蛍光板において、入射
される放射線を可視光に変換する蛍光体層(例えば図1
の蛍光体層3)と、蛍光体層の放射線の入射側とは反対
側に配置され、可視光をその法線方向に集中させる光学
多層薄膜(例えば図1の光学多層薄膜4)とを備えるこ
とを特徴とする。
【0025】この蛍光板には、光学多層薄膜の放射線の
入射側と反対側に、放射線の放出を抑制するガラス(例
えば図1の鉛ガラス11)を配置したり、蛍光体層によ
り発生された可視光が、放射線の入射側に放出されるの
を阻止するように、蛍光体層の放射線の入射側に光反射
層(例えば図1の光反射層2)を配置したり、放射線が
入射される側に支持体(例えば図1の支持体1)を配置
し、光反射層を、支持体に形成させることができる。
【0026】光学多層薄膜は、蛍光体層により発生され
る可視光のうち、主ピークの波長の可視光に対して、角
度依存性を有するショートパスフィルタを構成させるよ
うにしたり、バンドパスフィルタを構成するようにする
ことができる。
【0027】光学多層薄膜は、SiO2,Al23,T
iO2,TaO2,Ta25のいずれかにより構成するこ
とができる。
【0028】蛍光体層は、Gd22S:Tb,Gd22
S:Eu,Gd22S:Pr,CsI:Na,CsI:
Tl,La22S:Tb,LaOBr:Tb,ZnCd
S:Agのいずれかにより構成することができる。
【0029】また、このような蛍光板を利用して、放射
線撮影装置を実現することができる。
【0030】本発明の蛍光板の製造方法は、入射される
放射線を可視光に変換する蛍光板の製造方法において、
可視光を透過するガラス板の上に、可視光をその法線方
向に集中させる光学多層薄膜を形成し、光学多層薄膜の
上に、入射される放射線を可視光に変換する蛍光体層を
形成することを特徴とする。
【0031】この蛍光体層の表面を平面平滑化処理し、
その上に、蛍光体層により発生された可視光が、放射線
の入射側に放出されるのを阻止する光反射層を形成する
ことができる。
【0032】また、蛍光体層を形成したガラス板に、支
持体を接合したり、支持体の上に、可視光を反射する光
反射層を形成した後、蛍光体層を形成したガラス板と接
合するようにすることもできる。
【0033】さらに本発明の他の蛍光板の製造方法は、
入射される放射線を可視光に変換する蛍光板の製造方法
において、可視光を透過するガラス板の上に、可視光を
その法線方向に集中させる光学多層薄膜を形成し、支持
体の上に、入射される放射線を可視光に変換する蛍光体
層を形成し、蛍光体層を形成した支持体と、光学多層薄
膜を形成したガラス板を接合することを特徴とする。
【0034】本発明のさらに他の蛍光板の製造方法は、
入射される放射線を可視光に変換する蛍光板の製造方法
において、支持体の上に、入射される放射線を可視光に
変換する蛍光体層を形成し、蛍光体層の表面を平面平滑
化処理し、蛍光体層の上に、可視光をその法線方向に集
中させる光学多層薄膜を形成することを特徴とする。
【0035】この光学多層薄膜を形成した支持体を、さ
らに放射線の通過を抑制するガラス板と接合するように
することもできる。
【0036】また、支持体の上に、蛍光体層を形成する
前に、可視光を反射する光反射層を形成し、光反射層の
上に、蛍光体層を形成するようにしてもよい。
【0037】これらのガラスは鉛ガラスとすることがで
きる。
【0038】
【作用】上記構成の蛍光板およびこれを用いた放射線撮
影装置においては、蛍光体層により発生された可視光
が、光学多層薄膜により、法線方向に集中される。従っ
て、輝度とコントラストを改善し、また、鮮鋭度を向上
させることが可能となる。
【0039】上記構成の蛍光板の製造方法においては、
ガラス板の上に、光学多層薄膜、蛍光体層を順に形成す
ることで、あるいは、支持体の上に、蛍光体層、光学多
層薄膜を順に形成することで、蛍光板が製造される。こ
れにより、確実に、蛍光板を製造することができる。
【0040】あるいはまた、光学多層薄膜と蛍光体層を
順次形成したガラス板に支持体を接合したり、蛍光体層
を形成した支持体と、光学多層薄膜を形成したガラス板
を接合することで製造される。従って、蛍光体層の表面
の平面平滑化処理が不要となり、製造が容易となる。ま
た、個別に製造したものを組み合わせるので、歩留まり
を向上させることができる。
【0041】
【実施例】図1は、本発明の放射線撮影装置の一実施例
の構成を示す図であり、従来における場合と対応する部
分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略す
る。この実施例においては、蛍光板10が光学多層薄膜
4を有していることを特徴とする。この光学多層薄膜4
は、蛍光体層3と鉛ガラス11の間に配置される。その
他の構成は、従来の場合と同様である。
【0042】光学多層薄膜4は、図2に示すように、複
数枚(k枚)の薄膜41乃至4kにより構成される。これ
らの薄膜4iの屈折率niは、低屈折率と高屈折率となる
ように構成される。低屈折率の物質としては、例えば、
二酸化珪素(SiO2)、酸化アルミ(Al23)を用
いることができ、また、高屈折率の物質としては、例え
ば、二酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(TaO2
またはTa25)を用いることができる。
【0043】光反射層2は、例えば高反射率のアルミニ
ウムなどの薄膜や誘電体ミラーにより構成することが可
能であるが、特別に光反射層2を形成するのではなく、
支持体1を、例えば白色の合成樹脂で構成する場合、そ
の表面を、そのまま光反射層2として用いるようにする
ことも可能である。
【0044】本発明に用いる蛍光体としては、従来求め
られてきた基本的な特性、即ち、X線吸収率が良好であ
ること、発光効率が良いこと、発光寿命(残光特性)が
良好であること等に加え、光学多層薄膜4に対する作用
の点から、発光主ピークの全発光に対する割合が大き
く、かつ、それが輝線(波長帯域が狭い光)であること
が望ましい。
【0045】尚、蛍光体層3は、蛍光体粉体を所定の基
板(後述するように、支持体1または光学多層薄膜4を
形成した鉛ガラス11)に塗布して作成したり、あるい
はスパッタリングや蒸着などにより形成することが可能
である。
【0046】蛍光体層3としては、従来の場合と同様
に、希土類蛍光体であるGd22S:Tbの他、Gd2
2S:Eu,Gd22S:Pr,CsI:Na,Cs
I:Tl,La22S:Tb,LaOBr:Tb,Zn
CdS:Agなどを用いることができる。例えばGd2
2S:Tbは、図3に示すような発光スペクトルを有
し、その主発光ピーク波長は545nmであり、緑色の光
となる。
【0047】光学多層薄膜4は、所謂光学干渉フィルタ
を構成するものであり、蛍光体層3の発生する光の主発
光ピーク波長(545nm)の光が入射角0度で入射され
るとき、それをできるだけ減衰せずに(当然、反射も少
なくし)、透過するような特性を有するように作成され
る。
【0048】この光学多層薄膜4の特性は、図4に示す
ように、約560nmより短い波長の光を透過させるショ
ートパスフィルタ型(SPF型)のもの、または、図5
に示すように、主発光ピーク波長(545nm)を中心と
する所定の波長領域の光を透過させるバンドパス型(B
PF型)とする。
【0049】いずれの型のフィルタであるとしても、光
学多層薄膜4は、所望の波長の光を透過するだけでな
く、それ以外の波長の光を、吸収するのではなく、反射
するものであることが好ましい。
【0050】図2に示した薄膜4iの厚さと、その層の
数を適宜調節することで、光学多層薄膜4を所望の特性
に設定することが可能である。この光学多層薄膜4の全
体の厚さは、数μm程度である。
【0051】この光学多層薄膜4は、合成樹脂の支持体
1の表面に、必要に応じて光反射層2を形成し、その上
に蛍光体層3を形成し、その蛍光体層3上に、蒸着、ス
パッタリングあるいは印刷等の手法により形成すること
が可能である。この場合、蛍光体粉体を塗布すること
で、蛍光体層3を形成すると、その表面が粗面となるた
め、平面平滑化処理した上で蛍光体層3上に光学多層薄
膜4を作成するようにする。そして、必要に応じて、光
学多層薄膜4の上に鉛ガラス11を接合する。
【0052】あるいはまた、光学多層薄膜4を、鉛ガラ
ス11の蛍光体層3側に形成することも可能である。即
ち、鉛ガラス11の上に、光学多層薄膜4を形成したも
のと、支持体1の上に光反射層2を必要に応じて形成
し、その上に蛍光体層3を形成したものを用意する。そ
して、両者の光学多層薄膜4を形成した面と、蛍光体層
3の面とを密着させるようにする。
【0053】このとき、構造上、蛍光体層3と光学多層
薄膜4の間に若干の間隙が形成されてしまうことがあ
る。この間隙があると、画像の鮮鋭度が低下することに
なる。しかしながら、蛍光体層3の平面平滑化処理が不
要となるため、製作が容易となる効果がある。また、別
個に用意した支持体1(光反射層2が形成されている)
と、鉛ガラス11(光学多層薄膜4が形成されている)
とを組み合わせるので、歩留まりを向上させることがで
きる。
【0054】さらに、他の例として、例えば、鉛ガラス
11の上に光学多層薄膜4を形成し、その上に蛍光体層
3を形成し、蛍光体層3の表面を平面平滑化処理した
後、そこに、さらに光反射層2を形成するようにするこ
とも可能である。このようにすれば、支持体1が不要に
なり、構成が簡略化され、薄型化が可能となる。
【0055】この他、鉛ガラス11の上に光学多層薄膜
4を形成し、その上に蛍光体層3を形成し、この鉛ガラ
ス11に、必要に応じて光反射層2を形成した支持体1
を接合するようにすることもできる。この場合も、蛍光
体層3の平面平滑化処理が不要となるため、製作が容易
となる効果がある。また、個別に作成したものを組み合
わせるので、歩留まりを向上させることができる。
【0056】以上のように、光反射層2、蛍光体層3お
よび光学多層薄膜4は、種々の方法で形成することが可
能である。
【0057】また、これらの構成のうちの基本(最低必
要なもの)は、蛍光体層3と光学多層薄膜4である。従
って、例えば、図1に示した構成のうち、光反射層2が
無いものでもよい。
【0058】尚、鉛ガラス11は、放射線の放出を抑制
する必要がない場合、省略したり、通常のガラスとする
こともできる。
【0059】次に、図1の実施例の作用について説明す
る。図示せぬ発生手段から発生されたX線B10は、図
示せぬ人体等の生体に照射される。この生体を透過した
X線B10は、支持体1および光反射層2を殆ど減衰す
ることなく通過し、蛍光体層3に入射される。X線B1
0は、蛍光体層3によりその大部分が吸収される。この
とき、蛍光体層3の蛍光体は、入射するX線強度に比例
した光B11を発生する。即ち、X線画像が蛍光体層3
によって可視光の画像に変換される。
【0060】X線の一部は、蛍光体層3、さらに光学多
層薄膜4を通過した後、鉛ガラス11に入射されるが、
そこで略吸収される。これにより、観察者(観測機1
2)がX線の被曝から保護される。
【0061】蛍光体層3により発生された光は、大きく
分けて、蛍光体層3のX線入射側(図1において左側)
と、観測側、即ち、観測機12の存在する側(図1にお
いて右側)に進む。図1において左方向に進んだ光は、
光反射層2により反射され、図中右方向に進行方向が反
転される。これにより、観測機12により、より多くの
光(明るい画像)を観測することが可能となる。
【0062】蛍光体層3の光放出側面(観測側の面)は
散乱面であるため、光学多層薄膜4が存在しない場合に
おいては、上述したように、ランバート則に従って、図
6の黒い菱形で示すように光が放出される。
【0063】尚、図6において矢印は、X線B10の入
射方向を示し、円周上の数字は、放出される光の角度を
表し、径方向の数字は、光量(分光感度(量子効率)が
発光波長領域で、一定の観測機で計測した光量)を表し
ている。
【0064】また、図6(後述する図13、図14、図
15も同様)は、0度の線を含む水平断面における右側
の90度の範囲のみを示しているが、実際には、0度の
線を中心として、360度回転したような分布となる。
【0065】しかしながら、本実施例においては、蛍光
体層3の前面に光学多層薄膜4が配置されているため、
この光学多層薄膜4の作用により、光の放出分布特性
が、図6において、黒い四角または白い四角で示したよ
うになる。
【0066】図6において、黒い四角は、光学多層薄膜
4を、図4に示すように、SPF型の特性に設定した場
合のものであり、白い四角は、図5に示すように、BP
F型の特性に設定した場合のものである。いずれの特性
に設定した場合においても、光学多層薄膜4を設けない
場合(図6において、黒い菱形で示す場合)に比べて、
光が蛍光板10の法線方向に集中するようになっている
ことが判る。換言すれば、鋭い指向性を有するようにな
っていることが判る。
【0067】次に、この分布が法線方向に集中する原理
について説明する。
【0068】光学多層薄膜4は、光の入射角度に対応し
て、その透過率(従って反射率)の特性が変化する。即
ち、光学多層薄膜4は、透過率の角度依存性を有する。
【0069】図7は、光学多層薄膜4をSPF型とした
場合における透過率スペクトルを表している。図7に示
すように、入射角度が大きくなると、光学多層薄膜4の
透過率(反射率)の特性は、短波長シフトを起こす。換
言すれば、光学多層薄膜4は、光の主ピークの波長(5
45nm)において、このような透過率(反射率)が入射
角度によって変化するように(角度依存性を有するよう
に)形成されている。図7の実施例においては、入射角
度が0度から30度の範囲においては、約90%前後の
透過率を有するが、入射角度が45度以上となると、透
過率は50%以下に低下している。
【0070】従って、主ピーク付近の波長(緑色の光)
は、蛍光体層3から光学多層薄膜4に入射する入射角度
が小さいものは、光学多層薄膜4を透過し、略同一の角
度で蛍光板10(鉛ガラス11)から放出される。
【0071】しかしながら、蛍光体層3から光学多層薄
膜4に対して、大きな入射角度で入射した光は、その波
長が主ピーク付近の光であったとしても、光学多層薄膜
4を透過できず、反射され、蛍光体層3へ戻される。こ
の戻された光は、蛍光体層3の蛍光体で散乱反射され
る。そして、再び光学多層薄膜4へ様々な角度で入射す
る。このような一連の過程が繰り返され、最終的に蛍光
板10から空間への光放出特性は、大きな出力角の光が
少なく、小さい出力角の光が多くなるものとなる。即
ち、図6に示すように、蛍光板10の法線に集中して光
が放出されることになる。
【0072】蛍光板10の法線方向への光の集中化によ
り、蛍光板10の正面での輝度(画像の明るさ)が従来
における場合より向上する。図6に示すように、SPF
型の光学多層薄膜4を用いた場合(黒い四角で示す場
合)、蛍光板10の法線方向(0度の方向)において
は、光学多層薄膜4を用いない場合(黒い菱形の場合)
に比べて、輝度は約40%程度高くなる。また、BPF
型の場合(白い四角の場合)も、従来の場合(黒い菱形
の場合)より法線方向の輝度が大きくなっている。
【0073】ところで、蛍光体層3の蛍光体は、図3に
示すように、主ピーク以外の波長の光も発生する。図3
の実施例においては、400nm付近の青色の光も発生し
ている。このような主ピーク以外の波長の光に対する光
学多層薄膜4の作用は、光学多層薄膜4の型によって異
なる。
【0074】即ち、例えば図4に示すように、光学多層
薄膜4をSPF型に設定した場合、この、より短い波長
の領域の光(青色光)では、図7に示すように、入射角
度依存性が少なくなる。従って、主ピークの波長の光の
ように法線方向に集中した光は殆ど得られない。その結
果、この波長の光は、光学多層薄膜4が設けられていな
い従来の場合と同様にふるまう。
【0075】一方、光学多層薄膜4を、図5に示すよう
に、BPF型に設定した場合、主ピークの波長の光は、
SPF型の場合と同様にふるまう。これに対して、主ピ
ーク以外の波長の光は、光学多層薄膜4を通過すること
ができない。従って、主ピーク以外の波長の光に起因す
る悪影響が、SPF型の場合より少なくなり(理想的に
は、全くなくなり)、コントラストの点で有利となる。
但し、図6に示すように、光学多層薄膜4の特性をBP
F型にすると、主ピーク以外の波長の光が観測されない
分、輝度の点では、SPF型にした場合に比べて劣るこ
とになる。
【0076】次に、コントラストの向上と鮮鋭度の向上
の原理について説明するが、いずれも略共通の原理とな
る。両者の差は、光の反射による悪影響が、光学多層薄
膜4による作用が現れる光の主ピーク波長に関し、蛍光
板10の面積に対し、マクロ的(全体的)に現れるか、
ミクロ的(局所的)に現れるかの差となる。
【0077】図8は、コントラストの向上の原理を説明
するものである。同図に示すように、外部からの迷光B
14は、蛍光板10、鉛ガラス11、および観測機12
を、暗箱13の内部に収容することで抑制することがで
きる。これにより、コントラストが向上する。この点
は、従来の場合と同様である。
【0078】また、図8に示すように、蛍光体層3より
放出された光B11のうち、法線方向から大きく外れた
角度に放出された光が、暗箱13の内壁に照射される
と、そこで反射され、光B12−2として、各方向に進
行する。そのうちの一部が光B13として蛍光体層3に
戻されると、光B13はそこで散乱反射される。この散
乱反射された光の一部は、不要な光(本来、観測機12
で観測される必要のない光)となるため、コントラスト
が低下する要因となる。
【0079】しかしながら、上述したように、本実施例
においては、光学多層薄膜4が設けられている結果、光
B11は法線に集中することになる。このため、暗箱1
3の内壁により反射される光B12−2、従って、光B
13の光量は、従来の場合に比べて少ないものとなり、
コントラストの改善が実現される。
【0080】さらにまた、上述したように、光学多層薄
膜4は角度依存性を有し、大きな入射角度で入射した光
B13を、光B20として、そこで反射する。その結
果、戻る光B13が蛍光体層3に達せず、そこで散乱反
射されることが抑制されるので、コントラストが改善さ
れる。
【0081】図9は、鮮鋭度の向上の原理を表してい
る。図9に示すように、光B11のうち、一部の光が鉛
ガラス11の表面で反射され、光B16として、光学多
層薄膜4側に戻される。そして、この光B16が蛍光体
層3に達すると、そこで散乱反射される。これが光B1
7−1として、観測機12により観測されると、鮮鋭度
が低下する要因となる。
【0082】しかしながら、上述した場合と同様に、光
B11は法線方向に集中されており、鉛ガラス11の表
面で反射され、戻される光B16から発生される光B1
7−1の発光点からの広がりが小さくなるから、鮮鋭度
の低下が抑制される。
【0083】また、戻る光B16のうち、入射角が大き
いものは、光B18として光学多層薄膜4で反射され易
く、蛍光体層3には入射され難い。従って、鮮鋭度の低
下が抑制される。
【0084】光学多層薄膜4がSPF型の場合、上述し
たように、主ピークの波長の光において、図8と図9に
示した原理に従って、コントラストと鮮鋭度の向上が期
待される。
【0085】これに対して、より短い波長(例えば、4
00nm)の光においては、光学多層薄膜4の透過率が角
度依存性を有しないため、図8と図9に示したようなコ
ントラストと鮮鋭度の向上を期待することが困難であ
る。しかしながら、主ピークの波長の光において、図8
と図9に示した原理に従ってコントラストと鮮鋭度の向
上を実現することができるため、結局、総合的に、従来
の場合に比べて、コントラストと鮮鋭度の向上を実現す
ることが可能となる。
【0086】一方、光学多層薄膜4をBPF型とした場
合、通過される主ピークの波長の光に対しては、SPF
型の短波長の光に対する作用と同様に、集中と角度依存
性に起因して、図8と図9に示すようなコントラストと
鮮鋭度の向上を期待することができる。
【0087】一方、主ピーク付近以外の波長の光は、蛍
光体層3に侵入することが困難となり、その殆どは光学
多層薄膜4で反射される。従って、その分だけ、コント
ラストと鮮鋭度が向上する。即ち、上述したように、B
PF型のものは、SPF型のものに比べ、輝度の点では
劣るが、コントラストと鮮鋭度の点で有利となる。
【0088】ところで、光学多層薄膜4を設けると、集
中化の過程において、光学多層薄膜4で反射され、蛍光
体層3へ戻される光が発生する。このような光が存在す
ると、鉛ガラス11からの反射光がある場合のように、
鮮鋭度の劣化の要因となる恐れがある。しかしながら、
鉛ガラス11は、その厚さが通常約5mmであるのに対
し、光学多層薄膜4は数μmであり、非常に薄い。従っ
て、光学多層薄膜4により反射された光による蛍光体層
3の発光点からの光の広がりは、実質的に無視すること
ができる。このため、光学多層薄膜4の厚さによる鮮鋭
度の低下は、従来の場合に比べれば、殆ど無視すること
ができる。
【0089】次に、光学多層薄膜4により構成するSP
F型の光学干渉フィルタの具体例について説明する。
【0090】本発明における光学干渉フィルタで重要な
ことは、透過率と反射率を加算したとき、略100%と
なるようにすることである。即ち、減衰をできるだけ抑
制することである。また、次に重要なことは、透過率
(または反射率)が入射角度依存性を有することであ
る。この2つの特性から、角度放出分布を蛍光板面の法
線方向に集中させることが可能となる。
【0091】光学干渉フィルタは、一般的に入射角度を
0度として使用するものなので、入射角度0度における
透過率が50%となる波長で、その特性が規定される。
発明者は、透過率50%の波長が、586nm(SPF
3)、574nm(SPF4)、560nm(SPF5)ま
たは551nm(SPF6)の4種類の光学干渉フィルタ
を試作した。図10乃至図12は、このうちの、透過率
50%の波長が、586nm(SPF3)、574nm(S
PF4)、または560nm(SPF5)の光学干渉フィ
ルタの透過率スペクトルを表している。
【0092】また、図13には、図10乃至図12に示
す光学干渉フィルタの545nmの波長における透過率の
角度依存性を表している。図中、白い四角が図10の、
黒い菱形が図11の、また白い菱形が図12の、それぞ
れ特性に対応している。尚、この図13には、さらに透
過率50%の波長が551nmである光学干渉フィルタ
(SPF6)の特性も、黒い三角で示されている。
【0093】図13に示すように、SPF3,SPF4
またはSPF5においては、入射角度が小さい角度の範
囲で、透過率が約94%と高い値となっている。これに
対して、入射角度が大きい角度範囲においては、透過率
が数%と低い値となっている。しかしながら、SPF6
のように、透過率50%の波長を545nmの値に近づけ
過ぎると、入射角が0度であったとしても、主発光ピー
ク波長の透過率の値そのものが小さくなってしまう。
【0094】これに対して、例えば波長が415nmであ
る光について考察すると、図10乃至図12に示すよう
に、角度依存性が殆ど存在しないことになる。換言すれ
ば、この波長の光に対しては、光学干渉フィルタが存在
しない場合と同様となる。
【0095】このように設計した光学多層薄膜4(光学
干渉フィルタ)を、蛍光体層3と組み合わせると、所定
の波長における放出角度分布は、理論的には次のように
なる。
【0096】即ち、蛍光体層3からの光の放出角度範囲
をI0cosθとするとき、光学多層薄膜4を介して放出さ
れる光の放出角度分布は、次式で表される。
【0097】
【数1】
【0098】これに対して、上述したSPF3乃至SP
F6の光学多層薄膜4を、蛍光体層3に実際に組み合わ
せた場合の発光放出角度分布を図示すると、図14に示
すようになる。図中、白の四角がSPF3を用いた場合
の分布であり、黒の菱形がSPF4を用いた場合の分布
であり、白の菱形がSPF5を用いた場合の分布であ
り、黒の三角がSPF6を用いた場合の分布である。ま
た、黒の四角は、光学多層薄膜4を設けない場合の分布
を示している。尚、この図14の径方向の値は、光量
(分光感度(量子効率)が発光波長領域で、一定の観測
機で計測した光量)を表している。
【0099】光学多層薄膜4を設けない場合(黒の四角
の場合)、即ち、従来のものでは、どの波長の光に対し
ても、その発光角度分布はcos型となる。これに対し
て、光学干渉フィルタ(光学多層薄膜4)を備えた場
合、その放出角度分布は、フィルタ毎に異なる。また、
ある1つのフィルタにおいても、波長によって、放出角
度分布は異なる。
【0100】このような発光放出角度分布の光を、所定
の分光感度の観測機12により観測すると、分光感度が
一定の場合、全ての波長の光の角度放出分布の単純な積
分(平均)となる。図14は、このような観測結果に基
づいている。
【0101】図14の角度分布をcos(5度)の値で正
規化すると、図15に示すようになる。尚、図15にお
いて、白の三角はcosθを表している。
【0102】単に、より高い輝度やコントラストを得る
ためには、図14の発光放出角度分布が、より鋭い指向
性を有するものであるような光学干渉フィルタが好まし
い。即ち、50%波長位置が、545nmに近いもの程好
ましい。しかしながら、光学多層薄膜4を、どのような
特性に設定すればよいのかは、それが組み込まれた蛍光
板を用いる装置の目的、条件等により変化する。換言す
れば、蛍光板だけを考えても、光学多層薄膜4(光学干
渉フィルタ)の特性を決定することはできない。そこで
次に、使用目的に対応した光学多層薄膜の具体例につい
て説明する。
【0103】いま、簡単のため、例えば図16に示すよ
うに、蛍光板10が、半径30cmの円板状であり、蛍光
板10から観測機12までの距離が80cmであるとする
と、その半画角は約20度となる(蛍光板10が矩形で
ある場合は、その対角線の長さから、半画角が決定され
る)。観測機12のレンズの直径は、例えば10cm以下
のものとする。観測機12の分光感度(量子効率)は、
蛍光体の発光波長の範囲においては一定であるとする。
また、蛍光板10は、観測機12を中心とする内球面や
フレネル面ではなく、平面であるものとする。さらに、
X線は、蛍光板10の全面に均一に照射され、蛍光体層
3は一様に発光しているものとする。この場合、上述し
た光の放出角度が、観測機12から蛍光板10を観測す
る角度に対応することになる。
【0104】例えば、蛍光板10の全面を均一に明るく
観測したい場合、光の角度分布が0度乃至20度(半画
角)の範囲において、cos型になっていればよい。従っ
て、図15に示した実施例においては、SPF4を用い
たもの(図15において、黒の菱形で表されているも
の)が適していることが判る。
【0105】SPF5(図15において、白の菱形で表
されているもの)を用いたものは、15度までは、ほぼ
cos型(図15において、白の三角で表されているも
の)と同様の相対光量を有しているが、20度において
は、cos型より小さくなっているので、この目的のため
には、あまり好ましいものではない。即ち、20度(画
面の周辺部)においては、0度(画面の中心部)の場合
に比べて暗くなる。従って、蛍光板10は、従来のもの
より明るいものの(図14の黒の四角で示す20度の値
と、白の菱形で示す20度の値とを比較して明らかなよ
うに、従来のものよりは明るいが)、中心部に比べる
と、周辺部が暗く観測されてしまうことになる。
【0106】図17は、このことを模式的に表してい
る。同図に示すように、法線方向に光が集中し過ぎる
と、観測機12は、蛍光板10の中心部の光としては法
線方向の光を検出するが、周辺部の光としては法線から
離れた角度の光を検出する。このため、中心部は明るく
とも、周辺部が暗く観測されてしまうことになる。
【0107】また、SPF3を用いたもの(白の四角で
示すもの)と、SPF6を用いたもの(黒の三角で示す
もの)は、中心部から周辺部になるに従って、次第に暗
く観測されるので、やはり、目的のためには、あまり好
ましくない。
【0108】一方、蛍光板10を、明るさの均一性は問
わず、従来のもの(光学多層薄膜4を用いないもの)よ
りは明るく観測したい場合、図14に示すように、SP
F6(黒の三角で示すもの)以外のSPF3(白の四角
で示すもの)、SPF4(黒の菱形で示すもの)、また
はSPF5(白の菱形で示すもの)を用いたものは、い
ずれも半画角20度の範囲において、従来の場合(黒の
四角で示すもの)より明るくなっている。従って、これ
らのいずれをも、この目的のために使用することが可能
である。但し、SPF3を用いたものは、SPF4およ
びSPF5を用いたものに比べ、より均一性が劣ってい
る。
【0109】さらに、所定の領域の中心部分だけでも、
非常に明るく観測したい場合においては、その中心部分
の半画角に相当する角度範囲に、光が集中していればよ
い。周辺部においては、例えば従来における場合と同等
の明るさ(光学多層薄膜4を用いない場合と同等の明る
さ)であれば充分となる。この場合、図14に示すよう
に、SPF6を用いたものとするのがよい。
【0110】あるいはまた、具体的には図示していない
が、周辺部が従来のものより暗くなっても、中心部さえ
より一層明るくなればよいのであれば、図14におい
て、さらに集中化(指向性化)された分布のものを選ぶ
ようにすればよい。また、関心のある所定の領域が均一
に明るい必要があるのであれば、その範囲において、図
13の透過率が平坦な角度範囲のもの(図14の分布が
cos型に近いもの)を設定するようにする。
【0111】このように、光学多層薄膜4の特性は、目
的に応じて設計される。但し、光学多層薄膜4の材料や
層数、層の厚さにより、透過率50%の波長位置が同じ
光学多層薄膜でも、その透過率スペクトルの角度依存性
が異なるもの(シフト量が異なるもの)を作ることが可
能である。従って、ここで示したような光学多層薄膜4
の透過率50%の波長位置だけに基づいて、光学干渉フ
ィルタを設計するのではない。重要なことは、使用され
る装置の目的に対応して、蛍光体の主な発光ピーク波長
で透過率の角度依存性を持つように設計することであ
る。
【0112】以上、本発明を蛍光板式X線テレビに用い
た場合を例として説明したが、本発明は、透視装置、間
接撮影装置(ミラーカメラ)等の放射線診断装置を始
め、光、熱、応力、電圧等の各種の読み出し方法によっ
て放出される輝尽蛍光を、光学多層薄膜により光検出器
方向に集中させ、感度の向上とコントラストの向上を図
るようにしたイメージングプレートに適用することがで
きる。
【0113】あるいはイメージングインテンシファイア
のように、放射線を可視光に直接変換するのではなく、
放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電子線に変
換し、その電子線をさらに可視光に変換する装置(本明
細書においては、このように、放射線が直接的に可視光
に変換される装置はもとより、間接的に可視光に変換さ
れる装置も、放射線を可視光に変換する装置とする)に
も適用が可能である。
【0114】さらに、これらの医療用機器の他、非破壊
検査X線テレビ等の非医療用の放射線撮影装置にも適用
することが可能である。
【0115】
【発明の効果】以上の如く本発明の蛍光板およびそれを
利用した放射線撮影装置によれば、蛍光体層より放出さ
れた光を、光学多層薄膜により法線方向に集中させるよ
うにしたので、より明るい画像を観測することができ、
コントラストあるいは鮮鋭度の向上を図ることが可能と
なる。
【0116】また、本発明の蛍光板の製造方法によれ
ば、ガラス板の上に、光学多層薄膜、蛍光体層を順に形
成することで、あるいは、支持体の上に、蛍光体層、光
学多層薄膜を順に形成することで、蛍光板が製造され
る。これにより、確実に、蛍光板を製造することができ
る。
【0117】あるいはまた、光学多層薄膜と蛍光体層を
順次形成したガラス板に支持体を接合したり、蛍光体層
を形成した支持体と、光学多層薄膜を形成したガラス板
を接合することで製造される。従って、蛍光体層の表面
の平面平滑化処理が不要となり、製造が容易となる。ま
た、個別に製造したものを組み合わせるので、歩留まり
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光板を応用した蛍光板式X線テレビ
の構成を示す図である。
【図2】図1の光学多層薄膜4の構成例を示す図であ
る。
【図3】図1の蛍光体層3の発光特性を示す図である。
【図4】図1の光学多層薄膜4のフィルタ特性を説明す
る図である。
【図5】図1の光学多層薄膜4の他のフィルタ特性を説
明する図である。
【図6】図4と図5に示した特性の光学多層薄膜4を用
いた蛍光板の発光放出角度分布を説明する図である。
【図7】図1の光学多層薄膜4の透過率スペクトルの角
度依存性を説明する図である。
【図8】コントラスト向上を説明する図である。
【図9】鮮鋭度向上を説明する図である。
【図10】図1の光学多層薄膜4をSPF型とした場合
の透過率スペクトルを示す図である。
【図11】図1の光学多層薄膜4を他のSPF型とした
場合の透過率スペクトルを示す図である。
【図12】図1の光学多層薄膜4をさらに他のSPF型
とした場合の透過率スペクトルを示す図である。
【図13】図10乃至図12に示した特性の角度特性を
説明する図である。
【図14】図1の蛍光体層3と各種の特性の光学多層薄
膜4を組み合わせた場合の光の角度分布特性を説明する
図である。
【図15】図14の特性をcos(5度)で正規化した場
合の図である。
【図16】半画角を説明する図である。
【図17】正面に光が集中し過ぎた場合の作用を説明す
る図である。
【図18】従来の放射線撮影装置の構成を示す図であ
る。
【図19】図18の例においてコントラストの低下の原
理を説明する図である。
【図20】図18の例において鮮鋭度の低下の原理を説
明する図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 光反射層 3 蛍光体層 4 光学多層薄膜 10 蛍光板 11 鉛ガラス 12 観測機

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射される放射線を可視光に変換する蛍
    光板において、 入射される前記放射線を前記可視光に変換する蛍光体層
    と、 前記蛍光体層の前記放射線の入射側とは反対側に配置さ
    れ、前記可視光をその法線方向に集中させる光学多層薄
    膜とを備えることを特徴とする蛍光板。
  2. 【請求項2】 前記光学多層薄膜の前記放射線の入射側
    と反対側に配置された、前記放射線の放出を抑制するガ
    ラスをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の
    蛍光板。
  3. 【請求項3】 前記ガラスは鉛ガラスであることを特徴
    とする請求項2に記載の蛍光板。
  4. 【請求項4】 前記蛍光体層により発生された前記可視
    光が、前記放射線の入射側に放出されるのを阻止するよ
    うに、前記蛍光体層の前記放射線の入射側に配置された
    光反射層をさらに備えることを特徴とする請求項1,2
    または3に記載の蛍光板。
  5. 【請求項5】 前記放射線が入射される側に配置された
    支持体をさらに備え、前記光反射層は、前記支持体に形
    成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    かに記載の蛍光板。
  6. 【請求項6】 前記光学多層薄膜は、前記蛍光体層によ
    り発生される前記可視光のうち、主ピークの波長の可視
    光に対して、その透過率の特性が、角度依存性を有する
    ショートパスフィルタを構成することを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載の蛍光板。
  7. 【請求項7】 前記光学多層薄膜は、前記蛍光体層によ
    り発生される前記可視光のうち、主ピークの波長の可視
    光に対して、その透過率の特性が、角度依存性を有する
    バンドパスフィルタを構成することを特徴とする請求項
    1乃至5のいずれかに記載の蛍光板。
  8. 【請求項8】 前記光学多層薄膜は、SiO2,Al2
    3,TiO2,TaO2,Ta25のいずれかにより構成
    されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか
    に記載の蛍光板。
  9. 【請求項9】 前記蛍光体層は、Gd22S:Tb,G
    22S:Eu,Gd22S:Pr,CsI:Na,C
    sI:Tl,La22S:Tb,LaOBr:Tb,Z
    nCdS:Agのいずれかにより構成されていることを
    特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の蛍光板。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至9のいずれかに記載
    の蛍光板を利用したことを特徴とする放射線撮影装置。
  11. 【請求項11】 入射される放射線を可視光に変換する
    蛍光板の製造方法において、前記可視光を透過するガラ
    ス板の上に、前記可視光をその法線方向に集中させる光
    学多層薄膜を形成し、 前記光学多層薄膜の上に、入射される前記放射線を前記
    可視光に変換する蛍光体層を形成することを特徴とする
    蛍光板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記蛍光体層の表面を平面平滑化処理
    し、 その上に、前記蛍光体層により発生された前記可視光
    が、前記放射線の入射側に放出されるのを阻止する光反
    射層を形成することを特徴とする請求項11に記載の蛍
    光板の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記蛍光体層を形成した前記ガラス板
    に、支持体を接合することを特徴とする請求項11に記
    載の蛍光板の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記支持体の上に、前記可視光を反射
    する光反射層を形成した後、前記蛍光体層を形成した前
    記ガラス板と接合することを特徴とする請求項13に記
    載の蛍光板の製造方法。
  15. 【請求項15】 入射される放射線を可視光に変換する
    蛍光板の製造方法において、 前記可視光を透過するガラス板の上に、前記可視光をそ
    の法線方向に集中させる光学多層薄膜を形成し、 支持体の上に、入射される前記放射線を前記可視光に変
    換する蛍光体層を形成し、 前記蛍光体層を形成した前記支持体と、前記光学多層薄
    膜を形成した前記ガラス板を接合することを特徴とする
    蛍光板の製造方法。
  16. 【請求項16】 入射される放射線を可視光に変換する
    蛍光板の製造方法において、 支持体の上に、入射される前記放射線を前記可視光に変
    換する蛍光体層を形成し、 前記蛍光体層の表面を平面平滑化処理し、 前記蛍光体層の上に、前記可視光をその法線方向に集中
    させる光学多層薄膜を形成することを特徴とする蛍光板
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記光学多層薄膜を形成した前記支持
    体を、さらに前記放射線の通過を抑制するガラス板と接
    合することを特徴とする請求項16に記載の蛍光板の製
    造方法。
  18. 【請求項18】 前記支持体の上に、前記蛍光体層を形
    成する前に、前記可視光を反射する光反射層を形成し、 前記光反射層の上に、前記蛍光体層を形成することを特
    徴とする請求項15,16または17に記載の蛍光板の
    製造方法。
  19. 【請求項19】 前記ガラスは鉛ガラスであることを特
    徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載の蛍光
    板。
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