JPH07217544A - ピストン型液圧装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シャフトシールの交換を容易にすると共に、
部品点数を増加させることなく多種類の機械装置への取
付けを可能にする。 【構成】 斜板式ピストンポンプのハウジング１の端面
に設けた凹部１ａに、内輪を回転軸２０に圧入したボー
ルベアリング３を挿入してスナップリング４Ａ，４Ｂに
より固定した後、回転軸２０を挿通してシャフトシール
２を挿入し、取付ボルト８によりハウジング１に取り付
けられたアダプタ５を介して固定する。アダプタ５のフ
ランジ部外周面に係合面５ａを形成し、ハウジング１を
別体の機械装置に取り付けた時、上記係合面５ａが上記
機械装置の取付面に係合し得る大きさ，形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、シリンダブロックの
回転に伴いピストンを往復運動させて流体の吸入及び吐
出を行うピストンポンプや、流体圧によってピストンを
往復運動させ、このピストンの往復運動をシリンダブロ
ックの回転に変換するピストンモータ等のピストン型液
圧装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から産業機械や車両の動力伝達機構
として用いられるこの種のピストン型液圧装置として、
斜板式又は斜軸式あるいはラジアル式のピストンポンプ
やピストンモータ等が知られている。図４は一般に用い
られている斜板式ピストンポンプの一例を示す縦断面図
であり、装置本体を構成するハウジング１の内部に回転
自在に組み込まれたシリンダブロック１０の中心から同
一ピッチ円上に、その回転中心軸Ａと平行に複数のシリ
ンダボア１１が設けてあり、回転中心軸Ａと同軸上に設
けた主軸である回転軸２０の回転に同動するシリンダブ
ロック１０の回転に伴い、上記シリンダボア１１内でそ
れぞれのピストン１２が往復運動して流体を吸入及び吐
出する構造となっている。

【０００３】このような斜板式のピストンポンプでは、
各ピストン１２の一方の端部が斜板３０に摺接しながら
公転することによってピストン１２の往復運動を行わせ
ているが、この時、その吐出工程ではピストン１２が吐
出圧力によって斜板３０に押圧され、吸入工程では、斜
板３０と摺接するシュープレート３２がピストン１２の
一端球状部１２ａに装着されたピストンシュー３１を引
張って斜板３０の面に沿わせている。

【０００４】そして、各ピストン１２は公転中の半回転
間は吸い込み方向に、残りの半回転は吐出方向にストロ
ーク運動することになるので、装置本体１のシリンダブ
ロック１０に摺接する端面に、シリンダブロック１０の
シリンダボア１１に対応したピッチ円上に流体供給用と
流体排出用のキドニーポート４１，４２を有する弁板４
０を固設し、その一方の面４０ａを上記シリンダブロッ
ク１０の端面１０ａに摺接させることにより、連続的な
ポンプ作用を得ることができる。

【０００５】ハウジング１の弁板４０と反対側の端面
（図で右側）に形成した凹部１ａには、回転軸２０を囲
繞してハウジング１の内部の液体を密封するための封入
部材であるシャフトシール２を挿着してある。このシャ
フトシール２は、ボールベアリング３を介して弾性を有
するＣ形のスナップリング４Ａ，４Ｂによりハウジング
１に固定されている。

【０００６】図５は、その封入部分の構成を異にする他
の従来例を示すものであり、その他の構成は図４に示し
たものと同様である。この例では、ボールベアリング３
とシャフトシール２との位置を図４に示したものと逆に
し、シャフトシール２を保持部材４Ｃ及びスナップリン
グ４Ａによりハウジング１に固定している。

【０００７】一方、斜軸式のピストンポンプでは、シリ
ンダブロックと回転伝達軸とがユニバーサルリンクによ
って相対角度可変に連結され、回転伝達軸の端部に設け
たピストン案内板とピストンとはピストンロッドで連結
され、シリンダブロックと回転伝達軸との傾きによって
ピストンを往復運動させており、その液体封入部の構成
は上記のいずれかと同様である。

【０００８】なお、ピストンモータの構造はピストンポ
ンプとほぼ同様であって作動原理が逆となる。すなわ
ち、シリンダブロックのシリンダボア内に供給した作動
流体の圧力によってピストンを往復運動させ、このピス
トンの運動をシリンダブロックの回転に変換するもので
ある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のピストン型液圧装置にあっては、長期間の使
用によりその封入部材が劣化して装置本体内部の液体が
密封できなくなった場合、前者では封入部材交換のため
に多数の部品の着脱が必要になり、多くの労力と時間と
を要するという問題点がある。

【００１０】一方、後者は保持部材を取り外して封入部
材を交換した後、上記保持部材を再取付けすればすむの
で封入部材の交換は比較的簡単であるが、両者とも液圧
装置を他の機械装置に取り付けるには、別個に両者を位
置を合わせて一体的に結合させるための係合部材を必要
とするものであった。

【００１１】その際、液圧装置を取り付ける相手の機械
装置の取付部の大きさや形状は千差万別であるので、両
者を結合させるには、取付部分の大きさや形状を異にし
た装置本体（ハウジング）を複数種類用意したり、取付
部分だけ別部品にして複数種類用意したりする必要があ
り、部品点数が大幅に増加してその管理が著しく煩雑に
なり、さらにそれらは部品形状としては他の部品に比べ
て大形であるという不都合があった。

【００１２】この発明は上記の点に鑑みてなされたもの
であり、封入部材の交換が容易で形状が小さくコストも
安く、且つ最小の部品点数で多様な取付部を有する機械
装置への取付けを可能とするピストン型液圧装置を提供
することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、装置本体と、この装置本体に回転自在に
装着された回転軸と、この回転軸を囲繞して上記装置本
体内部に液体を密封する封入部材と、この封入部材を上
記装置本体に固定する保持部材と、上記回転軸の回転に
同動して回転するシリンダブロックと、このシリンダブ
ロックに設けたシリンダボア内に摺動自在に嵌挿された
ピストンとを有し、上記シリンダブロックの回転に伴う
上記ピストンの変位によって生じる容量変化を用いて流
体の送還を行うピストン型液圧装置において、上記保持
部材が、上記装置本体を別体の機械装置に取り付けるた
めの係合手段を有するピストン型液圧装置を提供するも
のである。

【００１４】

【作用】この発明によるピストン型液圧装置は上記のよ
うに構成することにより、封入部材が劣化して内部の液
体を密封できなくなった場合には、保持部材だけを取り
外すことにより、封入部材を交換することができるの
で、保守性はきわめて良好である。

【００１５】また、上記の保持部材が、装置本体を別体
の機械装置に取り付けるための係合手段を有しているの
で、取付部分の異なる装置本体を複数種類用意したり、
別個に取付部材を複数種類用意したりする必要がなく、
保持部材の係合手段の形状を変更するだけですみ、部品
点数を最小に抑えることが可能になる。

【００１６】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて具
体的に説明する。図１は、この発明の第１実施例である
斜板式ピストンポンプの封入部材固定部を拡大して示す
一部断面図であり、その他の構成は図４及び図５に示し
たものと同様である。

【００１７】この第１実施例では、装置本体を構成する
ハウジング１の端面に形成した凹部１ａに、ボール３ｂ
の内周側を支持する内輪３ａを回転軸２０に圧入してボ
ールベアリング３を挿入し、弾性を有するＣ形のスナッ
プリング４Ａ，４Ｂを凹部１ａの内周面及び回転軸２０
の外周面に設けた円周溝にそれぞれ嵌着することによ
り、ボールベアリング３の外輪３ｃ及び内軸３ａを軸線
方向に移動不能に固定する。

【００１８】次いで、ハウジング１の内部に液体を密封
するための封入部材であるゴムシール材２ａとそれを保
持するスチール製のアングル部材２ｂ及びスプリング２
ｃを備えた周知のばね入りシャフトシール２を回転軸２
０を挿通して凹部１ａ内に挿入し、その保持部材である
アダプタ５を複数の取付ボルト８によりハウジング１に
取り付けて固定する。そして、アダプタ５のフランジ部
外周面を係合面５ａとし、この係合面５ａにより、この
ピストンポンプを取り付けるべき別体の図示しない機械
装置の取付部に嵌合し得る係合手段を構成する。

【００１９】このような構成によれば、長期間の使用に
よりシャフトシール２が劣化してハウジング１の内部に
液体を密封できなくなった場合には、取付ボルト８を螺
脱してアダプタ５を取り外し、キー２１を回転軸２０か
ら除去した状態でシャフトシール２を新品と交換した
後、アダプタ５を取付ボルト８によりハウジング１に固
定し、キー２１を回転軸２０に取り付ければよく、シャ
フトシール２の取換え作業はきわめて容易であって保守
性は良好である。

【００２０】また、アダプタ５のフランジ部外周面を相
手装置の取付部との係合面に充当させたので、取付部の
大きさ，形状等が異なる相手装置への取付けのために、
取付部の形状が異なる複数種のハウジングを用意した
り、取付部分だけを別部品にして複数種用意したりする
必要がなく、シャフトシールの固定に本来必要なアダプ
タを複数種用意するだけで済み、部品点数を最小にする
ことができる。

【００２１】次に、図２は、この発明の第２実施例の液
体封入部分のみを拡大して示す一部断面図である。この
第２実施例では、シャフトシール２をハウジング１に固
定するための保持部材であるアダプタ６のフランジ部
に、相手装置の取付部に嵌合する係合面６ａを形成する
と共に、その外側に相手装置への取付ボルト８が挿通す
る複数のボルト孔６ｂを設け、係合面６ａの大きさだけ
でなく、取付ボルト８の位置，個数，大きさ等を変更す
ることにより、複数種の機械装置への取付けを可能とす
る。なお、その他の構成は図１に示した第１実施例と同
様である。

【００２２】この第２実施例によれば、アダプタ６に相
手装置の取付部に嵌合する係合面６ａを設けると共に相
手装置との取付手段も設けたので、取付けに必要な部品
点数を一層減少させることが可能になる。

【００２３】さらに、図５は、この発明の第３実施例の
液体封入部分のみを拡大して示す一部断面図である。こ
の第３実施例は、ピストンポンプを複数台連結し、１台
のピストンポンプにより複数の液体を吐出させるように
したものであり、シャフトシール２をハウジング１に固
定するアダプタ７をほぼ円筒状に形成し、その両端にフ
ランジ部７ａ，７ｂを形成してそれぞれのフランジ部７
ａ，７ｂにボルト孔７ｃ，７ｄを設け、フランジ部７
ａ，７ｂにより別体の２部材を結合させるための係合手
段を構成する。

【００２４】そして、これらのボルト孔７ｃ，７ｄを挿
通する取付ボルト８により、このピストンポンプのハウ
ジング１を別体の他のピストンポンプのハウジング１′
に取り付けると共に、それぞれの回転軸２０，２０′を
軸継手９によりキー又はスプライン結合により回転方向
に同動するように連結する。

【００２５】上記の構成によれば、アダプタ７にハウジ
ング１とハウジング１′とを結合させるための係合手段
を設けたので、両ハウジング１，１′を結合するために
別個の部材を設ける必要はなく、両回転軸２０，２０′
を連結する軸継手９を追加するだけでピストンポンプを
複数台連結することができ、そのために必要な部品の増
加を最小限に抑えることが可能になる。

【００２６】なお、上記の各実施例においては、この発
明を斜板式ピストンポンプに実施した場合について説明
したが、この発明はそれに限るものではなく、斜軸式や
ラジアル式の各ピストンポンプ、あるいはこれらとほぼ
同様の構成からなる斜板式，傾軸式，ラジアル式の各ピ
ストンモータ等のすべてのピストン型液圧装置に何ら支
障なく実施することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上述べたように、この発明によるピス
トン型液圧装置は、封入部材を保持部材により装置本体
に固定するようにしたので、封入部材の交換が容易にな
って保守性が向上する。同時に、保持部材が別体の機械
装置に取り付けるための係合手段を有するようにしたの
で、別体の各種機械装置の取付部の大きさ，形状に係合
し得る各種取付部を有するピストン型液圧装置を部品点
数を増加させることなく供給することができ、部品管理
が簡単になると共に、多様な機械装置への取付けが可能
になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１実施例の封入部材固定部を示す
一部断面図である。

【図２】この発明の第２実施例の封入部材固定部を示す
一部断面図である。

【図３】この発明の第３実施例の封入部材固定部を示す
一部断面図である。

【図４】従来の斜板式ピストンポンプの一例を示す縦断
面図である。

【図５】従来の斜板式ピストンポンプの他の例を示す縦
断面図である。

【符号の説明】

１：ハウジング（装置本体） ２：シャフトシール（封入部材） ５，６，７：アダプタ（保持部材） ５ａ，６ａ：嵌合面（係合手段） ７ａ，７ｂ：フランジ部（係合手段） ９：軸継手 １０：シリンダブロック １１：：シリンダボア １２：ピストン ２０，２０′：回転軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 装置本体と、該装置本体に回転自在に装
   着された回転軸と、該回転軸を囲繞して前記装置本体内
   部に液体を密封する封入部材と、該封入部材を前記装置
   本体に固定する保持部材と、前記回転軸の回転に同動し
   て回転するシリンダブロックと、該シリンダブロックに
   設けたシリンダボア内に摺動自在に嵌挿されたピストン
   とを有し、前記シリンダブロックの回転に伴う前記ピス
   トンの変位によって生じる容量変化を用いて流体の送還
   を行うピストン型液圧装置において、 前記保持部材が、前記装置本体を別体の機械装置に取り
   付けるための係合手段を有することを特徴とするピスト
   ン型液圧装置。