JPH07207313A - 錫めっき鋼板スクラップの溶解方法 - Google Patents

錫めっき鋼板スクラップの溶解方法

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JPH07207313A
JPH07207313A JP235094A JP235094A JPH07207313A JP H07207313 A JPH07207313 A JP H07207313A JP 235094 A JP235094 A JP 235094A JP 235094 A JP235094 A JP 235094A JP H07207313 A JPH07207313 A JP H07207313A
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scrap
furnace
tuyere
gas
dust
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JP235094A
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Hiroaki Ishida
博章 石田
Takaiku Yamamoto
高郁 山本
Hiroyuki Ikemiya
洋行 池宮
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】Snめっき鋼板スクラップを用いて高品位鋼製造
用の低Sn、低S溶銑を製造する。 【構成】筒型炉(1) 下部のコークス充填層(7) に、一次
羽口(3) からO2を吹き込み高温のCOを発生させる。コー
クス充填層(7) 上部のスクラップ充填層(8)内に上昇し
たCOは、二次羽口(4) の吹き込みO2で二次燃焼され、ス
クラップを昇温、溶解する。このとき、二次羽口(4) の
O2吹込み量を調整して、二次燃焼率を50%以上に制御す
ることにより、低温で溶融したSnめっき層は直ちに酸化
され、SnO2濃縮ダストとして炉外に排出除去される。 【効果】従来の脱Sn予備処理工程、合わせ湯工程、溶銑
の脱硫処理工程等を必要とせず、低Sn溶銑が製造でき、
かつ、ダストはSn源として有効利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、羽口を備えた筒型炉
を使用して溶解熱源に電力を用いずにスクラップを溶解
する方法であって、特に錫めっき鋼板のスクラップを有
効に活用して、高品位の転炉鋼相当鋼や特殊鋼の製造に
使用できる錫含有量の少ない溶鉄を製造するとともに、
再利用可能な形で錫が回収できる錫めっき鋼板スクラッ
プの溶解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】日本学術振興会、素材プロセシング69委
員会第1分科会、第2分科会合同研究会における姉崎の
報告(第171 回製鋼技術部会資料) によれば、鋼スクラ
ップの発生量は鋼材の蓄積量の増加とともに年々 100万
トン程度の割合で増加すると予想され、西暦2000年の時
点では市中スクラップ (市中屑) の発生量は約4000万ト
ン/年となり、粗鋼生産量の45%に達すると予想されて
いる。
【0003】現在、市中屑の溶解製品化は大部分が電気
炉で行われている。特に近年は、製品種の拡大とコスト
低減とを図るべく、電気炉でスクラップや不純物希釈用
の直接還元鉄を溶解し、連続鋳造して圧延するという、
いわゆるミニミル方式が採用されつつある。
【0004】一方、一貫製鉄所では、上述のスクラップ
増に対処し、高炉集約化の中で粗鋼生産量の変動に対応
できる鉄源を確保するため、溶解熱源に電力を用いずに
スクラップを溶解する技術開発が進められている。
【0005】近年、消費構造の高級化に伴って、表面処
理鋼の市中屑も増加しつつあり、その一つに錫めっき鋼
板スクラップ (市中屑としては「ぶりき缶屑」と言われ
る)がある。錫(以下、Snと記す)は、製鋼段階で除去
することができない元素であり、しかも、鋼中にSnが0.
04%程度以上残留すると、熱間加工性や靱性等が低下す
るので、Snめっき鋼板スクラップを鉄源として再利用す
る際のSn除去技術が下記のようにいくつか提案されてい
る。
【0006】A法(特開平4−297518号公報参照):上
底吹き転炉にコークスとCu、Sn含有スクラップを装入
し、コークスをO2で燃焼させてCuの融点 (1083℃) 、Sn
の融点(232℃) より高く、Fe製品の融点 (1500℃以上)
より低い1000℃以上の温度に加熱する。この溶解初期に
得られるCu、Snを高濃度に含有する溶湯を炉外に排出
し、炉内に残留した鉄スクラップを、さらに高温加熱し
て溶解した後、通常の製鋼処理を行う。これにより、C
u、Snの合計で 0.1重量%以下あるいは0.05重量%以下
の鋼が製造できる。
【0007】B法(特開平4−198429号公報および同19
8430号公報参照):鋼板表面のめっき部分を除去するた
め、Snめっき鋼板スクラップを 300〜1200℃に加熱して
硫化雰囲気で処理し、SnをSnSに形態変化させ、このSn
Sを機械的に分離あるいは蒸発させる。次に、上底吹き
転炉形式の炉を用い、上吹きO2ジェットが鉄浴に直接接
触しないように鉄浴上にスラグを形成してO2を上吹き
し、適量のSを含有する炭材と、上記硫化雰囲気処理の
Snめっき鋼板スクラップを連続装入して溶解する。これ
により、O2吹き付け点のSポテンシャルが高くなり、低
沸点 (約1230℃) のSnSが形成されるので、Feに対する
Snの優先蒸発が可能となり、Sn含有量が0.05重量%以下
の溶湯が得られ、その後、通常の製鋼処理を行って低Sn
溶鋼が製造できるという。
【0008】C法(特開平5−9600号公報参照):筒型
炉内にコークスと、スクラップまたはスクラップおよび
鉄鉱石とを層状に充填し、各充填層に一次羽口、二次羽
口から支燃性ガスを吹き込んで溶解、還元を行う方法
(特開平1−290711号公報に開示される方法)を用い、
不純物が少ないスクラップを装入した筒型炉で不純物低
含有溶銑を製造し、ぶりき缶屑 (Sn含有量が例えば0.63
重量%) のような不純物が高いスクラップを装入した別
の筒型炉で不純物高含有溶銑を製造する。そして、二基
の炉で製造した溶銑を合わせ湯し、例えば、Sn:0.06重
量%の溶銑を得る。
【0009】なお、上述の特開平4−297518号、特開平
5−9600号および特開平1−290711号の各公報の発明
は、いずれも本出願人の提案に係るものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術には、
それぞれ下記のような問題がある。
【0011】A法:溶解初期に炉外に排出された高濃度
のCu、Sn含有溶湯がロスとなり、ある程度のFeロスは避
けられない。これを有効利用しようとすれば、合わせ湯
による希釈法以外の方法がないので、同時出銑可能な別
の溶解炉が必要となる。また、この方法はバッチ操業に
限定され、連続操業は行えない。
【0012】B法:スクラップ表面のSn除去のため、硫
化雰囲気処理装置を設ける必要があり、この予備処理工
程が溶解工程の前に不可欠である。また、O2吹き付け点
のFe蒸発を抑制するため、上吹きO2ジェットが直接鉄浴
に接触しないようにするには、相当量のスラグを造滓す
る必要がある。この場合、スラグ中の FeOの絶対量が増
加するので、鉄歩留が低下する一方、耐火物損耗が大き
くなる等の問題が生ずる恐れがある。さらに、スラグ脱
硫はほとんど行われず溶湯が加硫されるため、脱硫処理
が必須となる。
【0013】C法:本発明方法と同様の羽口を備えた筒
型炉を用いる溶解法であるが、本質的な脱Sn技術ではな
く、合わせ湯による希釈法であるため、同時出銑可能な
別の溶解炉が必要となる。
【0014】本発明は、製造コスト高を招く電力を使用
せず、また予備処理装置や別の溶解炉を用いずに、Snめ
っき鋼板スクラップを鉄源のスクラップ一部として使用
し、高品位鋼の製造に使用できるSn含有量の少ない銑鉄
を製造する実用的な脱Snプロセスの開発を課題としてな
されたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は次のSnめっき鋼
板スクラップの溶解方法を要旨とする(図1参照)。
【0016】炉上部に原料装入とガス排出用の開口部
(2) を、炉底部および/または下部炉壁に一次羽口(3)
を、上部炉壁に二次羽口(4) をそれぞれ有する筒型炉
(1) を用い、その炉底から一次羽口を含むレベルまでコ
ークスの充填層(7) を形成させ、その上部に二次羽口を
含むレベルまでスクラップを主体とする充填層(8) を形
成させた後、一次羽口から支燃性ガスまたは支燃性ガス
と燃料を、二次羽口から支燃性ガスを吹き込むスクラッ
プの溶解方法であって、上記スクラップの少なくとも一
部としてSnめっき鋼板スクラップを用い、かつ二次羽口
の支燃性ガス吹き込み量を調整して、二次燃焼率を50%
以上に制御しながら溶解することを特徴とするSnめっき
鋼板スクラップの溶解方法。
【0017】なお、上記の二次燃焼率とは、下記の (a)
式で定義されるものである。
【0018】 二次燃焼率=(CO2容量%) /{(CO2容量%) + (CO容量%) }×100 ・・ (a) ただし、(CO2容量%) および (CO容量%) は、いずれも
炉の開口部における排ガス組成を示す。
【0019】本発明方法を実施するには、本出願人が先
に特開平1−290711号公報に開示した図1に示す転炉型
式の筒型炉を用いるのがよい。この筒型炉1は、図示の
ように、炉上部にダスト含有排ガス11の排出と原料の装
入を行うための開口部2を有する。この筒型炉の上方に
は、集塵装置やガスの熱回収設備等に接続する開口部に
着脱可能なダクトが設置されるが、それらは周知の構造
のものでよいので図示は省略してある。
【0020】筒型炉の炉壁下部にはO2含有ガスなどの支
燃性ガスと、必要に応じて微粉炭や重油、天然ガスなど
の液体または気体の燃料を吹き込む一次羽口3、その上
部炉壁にはO2含有ガスなどの支燃性ガスを吹き込む二次
羽口4、炉底には溶銑およびスラグを排出する排出口6
がある。さらに、支燃性ガスやCaO などの脱硫剤を吹き
込むための炉底羽口5を設ける場合もある。
【0021】上記の筒型炉1を用いてSnめっき鋼板スク
ラップを溶解するには、まず、コークスおよび所要の珪
石、石灰石、蛇紋岩、蛍石などの造滓剤を炉内に装入し
て一次羽口3を含むレベルまでコークス充填層7を作
る。次に、Snめっき鋼板スクラップ8-1を単独または自
家発生屑などの低不純物スクラップ8-2、あるいは必要
に応じて鉄鉱石等の鉄源とともに装入して、コークス充
填層7の上部で二次羽口4を含むレベルまでスクラップ
充填層8を形成させる。
【0022】そして、コークス充填層7に一次羽口3か
ら支燃性ガスを吹き込み、下記(1)式の部分燃焼反応
を生じさせ、高温のCOガスを発生させるとともに、コ
ークス充填層7を高温に保つ。
【0023】 C+1/2O2 → CO +29,400 kcal/kmol・C ・・・(1) 上記 (1)式で発生したCOガスは、スクラップ充填層8内
で二次羽口4から吹き込まれる支燃性ガスと下記 (2)式
の二次燃焼反応を起こす。その反応熱により、スクラッ
プが加熱・溶解される。
【0024】 CO+1/2O2 → CO2+67,590 kcal/kmol・CO ・・・(2) このとき、二次羽口4から吹き込む支燃性ガス流量を調
整して、開口部2における二次燃焼率を50%以上に制御
する。そして、Snめっき鋼板スクラップの表層のSnを、
SnO2ダストとして炉外に排出させて回収し、Sn含有量の
少ない銑鉄を製造する。
【0025】
【作用】本発明方法の基本的な思想は、炉下部で発生さ
せたCOガスの二次燃焼率を高く制御することにより、昇
温過程初期の低温時に溶融するSnめっき鋼板スクラップ
の表層のSnを(炉底へ滴下したり、母材に拡散する前
に)酸化させ、SnO2ダストとして炉外に排出して、Sn含
有量の低い銑鉄を低コストで製造することにある。
【0026】以下、本発明方法を詳細に説明する。な
お、実際の溶解には、Snめっき鋼板製の多数の空き缶を
プレスして成形したものが主に用いられるので、以下の
説明では成形品はぶりき缶プレス屑、成形品を構成する
個々の空き缶はぶりき缶屑ということにする。
【0027】本発明方法によるぶりき缶屑から低Sn溶銑
を製造する脱Sn機構はつぎのように考えられる。
【0028】1. 前記 (1)式で発生した高温のCOガス
は、コークス充填層内を上昇し、スクラップ充填層内に
おいて、二次燃焼率が50%以上となるように二次燃焼
(前記 (2)式による) されて、1800〜2000℃の二次燃焼
ガスを生成する。
【0029】2. 二次燃焼ガスは、ぶりき缶プレス屑の
相互間あるいはその内部の空隙を通過してぶりき缶プレ
ス屑を表面から内部にかけて加熱し、ガス温度自体は降
下しながらスクラップ充填層内を上昇する。そして、次
回溶解用のコークス・スクラップ充填層と熱交換して、
排ガス温度 200〜500 ℃で開口部から排出される。
【0030】3. 冷材として炉内に装入されたぶりき缶
屑は、ぶりき缶プレス屑内、あるいはスクラップ充填層
内の存在位置によって昇温速度が異なるが、その表面か
ら昇温を開始する。そして、ぶりき缶屑の表面層温度が
232℃ (Snの融点) に達すると、Snめっき層 (通常、厚
さ40×10-6m 程度) は、直ちに溶融し、ぶりき缶プレス
屑内を通過する二次燃焼ガス中の CO2ガスによって酸化
されて、固相のSnO2薄層がめっき層と母材の接合面から
剥離した状態で形成される。従って、昇温初期に溶融し
たSnが充填層内を滴下して炉底に溜まったり、母材中に
Snが拡散したりして、製造溶銑中にSnが濃縮されるよう
なことはなくなる。
【0031】4. 母材から剥離した固相のSnO2表面薄層
は、スクラップ充填層内の空隙を通過して上昇する高温
の二次燃焼ガスによって加熱され、母材の昇温に優先し
て昇温する。その昇温過程で微粉化した一部のSnO2は二
次燃焼ガスの上昇気流に随伴して上昇し、排ガスダスト
となって開口部から炉外に排出される。母材表面に残存
したSnO2薄層は、母材である鋼材が溶解する前に二次燃
焼ガス生成温度近くまで昇温する。SnO2は1800℃以上で
融解せずに昇華するので、スクラップ充填層内の空隙を
通過してSnO2蒸気が上昇し、上昇中に冷却されて微細な
排ガスダストとなって炉外に排出される。
【0032】このとき、二次羽口の支燃性ガス吹き込み
量が多いほど、二次燃焼ガス生成温度が高くなるので、
SnO2の昇華が促進される。そして、母材が溶融したとき
に溶銑とともに下部のコークス充填層内に流下するSnO2
を少なくすることができる。
【0033】コークス充填層に流下したSnO2は、スラグ
中に溶解し、コークスで還元されてSnになり製造溶銑中
に溶解するが、後述の実施例に示すように、二次燃焼率
50%以上が得られる二次羽口支燃性ガスを吹き込んでSn
O2の昇華を促進することにより、Sn含有率が0.05重量%
以下の溶銑を製造することができる。
【0034】5. 本発明方法では、コークス充填層の上
部にスクラップ充填層が形成され、連続操業ではその上
部にさらにコークス充填層、スクラップ充填層が形成さ
れている。従って、充填層自身が持つフィルター効果、
および充填層内における固気熱交換促進効果による排ガ
ス温度の低下、これに伴う排ガス流速の低下によって炉
外に排出されるダスト量を低く抑えることができる。
【0035】また、二次支燃性ガスは、溶銑浴上に直接
上吹きされていないのでFeのヒュームダストは発生しな
い。従って、SnO2が濃縮されたダストを回収することが
でき、Sn源として有効活用するのが容易になる。
【0036】本発明方法によれば、上記 1〜5 の機構に
基づいてぶりき缶屑表面のSnめっき層をSnO2に形態変化
させて炉外に排出し除去することができる。従って、脱
Sn予備処理工程や合わせ湯工程を追加せず、また高価な
電力を用いずに高品位鋼の製造に使用できるSn含有量の
低い溶銑を製造することができる。ここで、二次支燃性
ガス吹き込み量を調整して二次燃焼率を50%以上に制御
する本発明の要件について説明する。
【0037】溶融点に達したSnが二次燃焼ガス中の CO2
と反応してSnO2となる二次燃焼条件は、下記 (3)、およ
び(4) 式で示される。
【0038】 Sn(液相) +2CO2(気相) = SnO2(固相) +2CO (気相) ・・・(3)
【0039】
【数1】
【0040】ただし、△GO :SnO2生成標準自由エネル
ギー変化 (ジュール) T :温度 (K) 、 R :気体常数(8.314ジュール/モル/K) aSn、aSnO2:それぞれSnおよびSnO2の活量 (純物質の
場合1) PCO、PCO2 :それぞれCOおよびCO2 の分圧 (気圧) (4)式から、ぶりき缶屑表面のSnめっき層が融点 232℃
(T= 505°K) に達したとき、PCO/PCO2 =0.934
、〔PCO2 / (PCO2 +PCO) 〕× 100=51.7%(前記
(a)式の二次燃焼率に相当する) であれば、SnはSnO2
酸化されることがわかる。
【0041】一方、二次燃焼率を高めるとSnの酸化が促
進される。従って、二次支燃性ガス吹き込み量を調整し
て、二次燃焼率を50%以上に制御することにより、融点
到達後直ちにSnめっき層を母材から剥離した状態の固相
のSnO2薄層に形態変化させることができる。そして、引
き続く昇温過程で微粉化された一部のSnO2は排ガスダス
トとなって開口部から炉外に排出される。また、母材が
溶解する直前まで母材上に残存したSnO2薄層は、二次燃
焼ガス生成温度 (1800〜2000℃) に近い温度まで昇温さ
れて昇華し、排ガスダストとなって開口部から炉外に排
出される。このとき、二次燃焼率を高くするほど二次燃
焼ガス温度は高くなるので、SnO2薄層の昇華点到達時期
を早め、昇華速度を大きくすることができる。
【0042】従って、本発明の二次燃焼率の要件は、Sn
めっき鋼板スクラップを使用して、Sn含有量の少ない溶
銑を製造するために不可欠の二次燃焼条件である。
【0043】
【実施例】使用した炉は直径 1.5m、炉底から炉口まで
の高さ 3.6m、内容積 6.0m3の前記図1に示したような
筒型炉である。羽口は、炉底から 0.8m上部の炉壁に一
次羽口を、1.4 mと 2.0m上部の炉壁にそれぞれ下段二
次羽口と上段二次羽口を設けた。すべての羽口は90°間
隔で円周方向に4本づつ配置されている。上、下段二次
羽口は支燃性ガスとN2ガスの切替え吹き込みができるよ
うにしてある。炉底中央部には出銑口が設けられてい
る。
【0044】使用した鉄源は、最大寸法 400mm角、嵩比
重 3.5トン/m3 のSnを含まない所内発生鋼屑 (鉄純度99
%) およびSnめっき鋼板スクラップとして屑中Sn含有量
が0.30%重量%のぶりき缶プレス屑である。
【0045】塊状コークスは粒度20〜70mmのものを使用
した。その組成は表1に示すとおりである。一次羽口か
ら支燃性ガスと同時に吹き込む非塊状燃料としては、 2
00メッシュ篩下が80重量%以上の微粉炭を使用した。そ
の組成も表1に併記した。
【0046】
【表1】
【0047】まず、前記図1に示すような充填層構造の
原料装入を実施した後、一次羽口から1000Nm3/HrのO
2と、150Nm3/Hr のN2で気送された1200 kg/Hrの微粉炭
をコークス充填層に吹き込んで高温のCOガスを発生させ
た。二次羽口からスクラップ充填層に吹き込むO2流量を
調整して、二次燃焼率を50%以上に制御しながら、上記
のCO発生ガスを二次燃焼させてスクラップを溶解する。
溶解が進行してスクラップ充填層高が低くなると、次回
溶解用のコークス、スクラップを装入して充填層を形成
した。このとき、上段二次羽口の前面にはコークスが存
在してスクラップは存在しないので、O2吹き込みをN2
き込みに切換えた。
【0048】下段二次羽口からのO2吹き込みは継続して
行い、スクラップ溶解を完了させた。このようにして、
1回の出銑量 7.5トンの溶銑を連続的に製造した。
【0049】比較例として、二次羽口からのO2吹き込み
を行わず、二次燃焼率を50%未満の低値とした以外は実
施例と同じ条件での溶銑製造を行った。更に、従来例と
して、前記の筒型炉に上吹きランスを設け、一次羽口、
二次羽口を閉止し、炉内に装入された高炉溶銑に1500Nm
3/Hrの酸素を上吹きして、脱炭反応熱により溶銑温度を
高め、脱炭量に見合うコークスを連続的に装入して脱炭
反応を継続させ、ぶりき缶屑を連続的に装入して溶解す
る方法も実施した (以下、この方法を「鉄浴法」とい
う) 。
【0050】表2に操業条件、表3に操業結果を示す。
なお、表3中の脱Sn率、SnO2またはSnSの化学量論生成
量の定義は、それぞれ表3の脚注に示すとおりである。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表3に示すように、従来例ではダスト中に
SnO2は認められず、SnSが存在し、ダスト中のSnS重量
とSnSの化学量論生成量とはほぼ等しくなっている。こ
のことから、従来の鉄浴法の場合、連続装入されるぶり
き缶屑とコークスから鉄浴中に溶解したSnとSが、上吹
きO2の鉄浴上の吹き付け点 (以下、「火点」という)に
おいてSnS (気相) を生成して蒸発し、炉外に排出さ
れて脱Snが起こると判断される。
【0054】SnO2が生成しないのは火点における上吹き
O2の脱炭酸素効率が高いため、二次燃焼率が10%と低い
ことによると考えられる。鉄浴中に濃縮されるSnとSに
比べて、脱Sn、脱Sされる量が少ないので、脱Sn率は37
%と低く、Sn:0.09重量%、S:0.08重量%の溶銑が製
造された。この溶銑は高品位鋼の製造用としては適当で
ない。
【0055】一方、排出ダスト量は85kg/溶銑tと非常
に多い。これは、O2上吹き方式では火点におけるFeの蒸
発による全Feダストが多くなること、および排ガス温度
が充填層方式の実施例の 200〜500 ℃に比べて1500〜20
00℃と高いため、排ガス流速増加によるコークス、造滓
剤装入時のダスト飛散が多くなること、による。従っ
て、ダスト中のSnS含有率は、1重量%と低く、Sn源と
して利用することはできない。
【0056】筒型炉の充填層方式を用い、二次羽口のO2
吹き込み量を調整して、二次燃焼率を制御した比較例お
よび実施例の脱Snと脱Sの効果は次のとおりである。
【0057】表3に示すように、比較例、実施例はいず
れもダスト中にSnO2が存在し、ダスト中のSnO2重量とSn
O2の化学量論生成量とは回収不可能のフード等への付着
不明分を考慮すればほぼ等しくなっている。また、ダス
トのX線回析の結果、SnSの存在は認められなかった。
なお、スラグ中にSnは含まれていなかった。このことか
ら、比較例、実施例では、ぶりき缶屑表面のSnが前述の
機構でSnO2ダストとして炉外に排出されて脱Snが起こっ
たと判断される。
【0058】表2に示すように、二次羽口の吹込みO2
量を、比較例の0Nm3/Hr→ケース1の550Nm3/Hr →ケー
ス2の800Nm3/Hr →ケース3の1000Nm3/Hrと調整してい
くと、吹込みO2流量の増加とともに二次燃焼率は比較例
の16%→ケース1の50%→ケース2の72%→ケース3の
80%と高くなっている。即ち、二次羽口から吹込むO2
量の調整によって二次燃焼率を50%以上に制御できるこ
とが明らかである。
【0059】比較例では二次羽口のO2吹込みを行ってい
ないが、主に開口部で間欠的に生ずるフレームバックに
伴う炉内への空気浸入によると思われる二次燃焼が起こ
り、二次燃焼率が16%になったと考えられる。
【0060】表3に示すように、脱Sn率は比較例が53%
であるのに対し、実施例では74〜84%の高い値が得られ
た。製造された溶銑中のSn含有率は、比較例が0.09重量
%で従来例と同等の値しか得られなかったのに対し、実
施例では0.05〜0.03重量%の低い値が得られた。Sn含有
率0.05重量%の場合でも、次工程の製鋼段階で少量の脱
Snの可能性があるので、製鋼製品に要求される許容限の
Sn ≦0.04%を満たすことができる。
【0061】溶銑中のS含有率は、比較例が0.02重量
%、実施例が0.01重量%であり、従来例の0.08重量%に
比べて低くなっている。従って、溶銑の脱硫処理工程を
省略して高品位鋼の製造に用いることができる。これ
は、筒型炉のコークス充填層に一次羽口からO2を吹き込
んでCOを発生させるため、コークス充填層内は高還元性
雰囲気となり、スラグ脱硫が良好に進行することによ
る。
【0062】ダスト中のSn含有率は比較例の9重量%に
対し、実施例では18〜29重量%の値が得られている。な
お、ダストからのSn回収が工業的に成立しうる濃縮レベ
ルはSnO2 25 重量%程度であり、二次燃焼率50%以上の
SnO2濃縮ダストを配合して、SnO2含有率25重量%以上に
調整すればSn源としてダストの有効利用ができる。
【0063】
【発明の効果】本発明方法によれば、高価な電力を用い
ず、しかも、脱Snの予備処理工程、合わせ湯工程、溶銑
の脱硫処理工程等の工程追加を必要とせず、Snめっき鋼
板スクラップから高品位鋼製造用の低Sn、低S溶銑が製
造できる。また、SnO2が濃縮された排ガスダストはSn源
として有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる筒型炉とその炉内装
入物状態を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1:筒型炉、 2:開口部、 3:一次羽口、
4:二次羽口 5:炉底羽口、 6:排出口、 7:コークス充填層 8:スクラップ充填層、 9:溶銑、 1
0:スラグ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉上部に原料装入とガス排出用の開口部
    を、炉底部および/または下部炉壁に一次羽口を、上部
    炉壁に二次羽口をそれぞれ有する筒型炉を用い、その炉
    底から一次羽口を含むレベルまでコークスの充填層を形
    成させ、その上部に二次羽口を含むレベルまでスクラッ
    プを主体とする充填層を形成させた後、一次羽口から支
    燃性ガスまたは支燃性ガスと燃料を、二次羽口から支燃
    性ガスを吹き込むスクラップの溶解方法であって、上記
    スクラップの少なくとも一部として錫めっき鋼板のスク
    ラップを用い、二次羽口の支燃性ガス吹き込み量を調整
    して、二次燃焼率を50%以上に制御しながら溶解するこ
    とを特徴とする錫めっき鋼板スクラップの溶解方法。
JP235094A 1994-01-14 1994-01-14 錫めっき鋼板スクラップの溶解方法 Pending JPH07207313A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997012065A1 (fr) * 1995-09-27 1997-04-03 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Procede de fusion de ferrailles contenant de l'etain
JP2011500965A (ja) * 2007-10-23 2011-01-06 エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト 転炉の上流加工側でフェロクロム及びフェロニッケルの直接還元炉を用いたステンレス鋼の製造方法

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WO1997012065A1 (fr) * 1995-09-27 1997-04-03 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Procede de fusion de ferrailles contenant de l'etain
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