JPH07201607A - 誘導電器の静電シールド - Google Patents

誘導電器の静電シールド

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JPH07201607A
JPH07201607A JP102294A JP102294A JPH07201607A JP H07201607 A JPH07201607 A JP H07201607A JP 102294 A JP102294 A JP 102294A JP 102294 A JP102294 A JP 102294A JP H07201607 A JPH07201607 A JP H07201607A
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electrostatic shield
voltage winding
shield
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current loss
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英樹 岡田
Nobuyuki Hashimoto
信行 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】間隔片14との接触面を大きくとりしかも渦電流
損を低減する。 【構成】静電シールド11A の断面形状を中央で2分割し
た凹字状にし、その凹部が高圧巻線1の端部に対向する
ように設け、また、凹部とは反対側の2つの角部を電界
集中を緩和するための丸みを付けた形状とすることによ
って、渦電流損は凹字状の両側の突出部に主に発生する
が、その幅は静電シールドを3分割したときと同等かそ
れよりも小さくすることができるので渦電流損が低減す
る。また、間隔片14との接触面は突出部を橋渡しする橋
渡し部になるので2分割の場合と同等の広い面積にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器やリアクトル
などの誘導電器の巻線が高圧の場合に、巻線端部の電界
集中を緩和して絶縁耐力を改善するために設けられる静
電シールドに関する。
【0002】
【従来の技術】図2は変圧器の巻線配置を示す模式的な
断面図である。この図において、鉄心脚10、低圧巻線2
及び高圧巻線1は同心配置になっていて図の左側の一点
鎖線がその中心軸である。鉄心は周知のように複数本の
鉄心脚とこれらを連結する継鉄とからなるが、この図で
は1本の鉄心脚だけを示してある。これら鉄心と巻線と
は密封容器100 の中に収納されていて、油入器の場合に
は絶縁油、ガス絶縁器の場合にはSF6 (エスエフシッ
クス)と略称される六ふっ化硫黄のガスが封入される。
これらは絶縁媒体とともに冷却媒体をも兼ねるのが実際
である。
【0003】変圧器の運転中には系統に短絡事故がある
と通常の電流に比べて数十倍に達する大電流が巻線に流
れる。このような電流は短絡電流と呼ばれているが、短
絡電流が巻線に流れると巻線には大きな電磁力が働く。
この電磁力に対して巻線は充分耐えるだけの機械的強度
を持っていなければならない。そのために、高圧巻線
1、低圧巻線2はそれぞれコイル押さえ13,23 を介して
圧縮力が与えられた状態に維持される。コイル押さえ1
3,23 は図示しない機構で上部から押し付ける力が与え
られ、巻線の下部は図示しない間隔片が設けられていて
密封容器100 の底から支えられている。
【0004】高圧巻線1の上下端には静電シールド11,1
2 が設けられている。この静電シールド11,12 は図示の
ように内外径の角部が大きな半径の丸みを持つ形状に成
形されたものである。コイル押さえ13は大きな機械力を
与えるために鉄などの金属製で、静電シールド11も後述
の理由で金属製である。静電シールド11,12 が設けられ
ているのは、高圧巻線1の上下端、特にその内外径端の
角部に電界が集中するのを緩和するためのものでそのた
めに前述のように角部を丸めてある。このことはコイル
押さえ13の場合も丸めの半径が異なりはするが同様であ
る。低圧巻線2のコイル押さえ23も高圧巻線1に対向す
る側の角は同じように丸めてある。これらはコンピュー
タによる電界計算に基づいて必要とする丸みの半径など
が決定される。
【0005】静電シールド11,12 を金属製にするのは、
図のような角部に丸みを付けた断面形状のリングの製作
が容易であることが主な理由であるが、特にガス絶縁の
場合、許容温度が高く設定されるので、高温に耐え前述
のように大きな圧縮力にも耐えしかもこのような形状に
容易に加工が可能な絶縁物の入手が困難であるという事
情があることから、非磁性鋼などの金属が使用されるの
が実際である。
【0006】静電シールド11を金属製にすると周知のよ
うにこの静電シールド11には渦電流損が発生する。すな
わち、変圧器が運転中で負荷電流が流れるとこの負荷電
流によって高圧巻線1、低圧巻線2が対向する空間に漏
れ磁束が発生する。この漏れ磁束は電流と同じ周波数を
持った交番磁束なので、これが金属製の静電シールド11
に鎖交すると電磁誘導によって電圧が誘起し渦電流が流
れて渦電流損が発生する。
【0007】単純に一定磁束密度Bの磁界中に幅がd、
厚みがt、抵抗率がρの長方形断面の金属を置くと次式
の渦電流損Wが発生することが知られている。kは周波
数をその中に含む係数である。
【0008】
【数1】 W=kρB2 3 t ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (1) すなわち、渦電流損Wは幅寸法dの3乗に比例する。仮
りにこの金属を幅方向に2分割するとdが2分の1にな
り代わりに個数が2になるので、結果的に全体の損失は
4分の1になる。したがって、変圧器などで漏れ磁界中
に設けられる金属に発生する損失を低減するために前述
のように分割する方法が多く採用される。
【0009】図3は図2の高圧巻線1の上部の拡大断面
図である。この図において、静電シールド11B は2分割
されており、1つの分割部の幅寸法はd1 である。間隔
片14はコイル押さえ13と静電シールド11B との間の絶縁
距離を確保するとともに、圧縮力をコイル押さえ13から
静電シールド11B に伝達するためのものである。間隔片
14の幅がコイル押さえ14や静電シールド11B よりも小さ
いのは後述するように間隔片14と静電シールド11B との
間にくさび状の空間ができないようにするためである。
【0010】図4は図3の静電シールド11B が2分割な
のに対して更に渦電流損を減らすために3分割した静電
シールド11C を示す拡大断面図である。この図におい
て、静電シールド11C は内径側の分割部11C1、中央の分
割部11C2、外径側の分割部11C3の3つの分割部からなっ
ている。分割部11C1の幅寸法はd2 であり、分割部11C3
の幅寸法も同じ値にされるのが普通である。図3の分割
部の幅寸法d1 が静電シールド11の幅寸法の約2分の1
であるのに対して、幅寸法d2 は約3分の1になるので
渦電流損は更に小さくなる。
【0011】分割部11C1を例にとると、間隔片14とこの
分割部11C1との接触面は図のAで示す部分であり、図3
との比較からも明らかなように接触面Aは非常に小さ
い。この小さい面積に圧縮力がかけられるので間隔片14
には局部的に大きな応力がかかることになる。したがっ
て、実際にはこのような静電シールドを3分割する構成
は採用するのが困難なことが多い図5は図4の間隔片14
の幅を大きくしたときの仮想的な拡大断面図である。幅
を大きくした間隔片14C と静電シールド11C の丸め部と
の間にくさび状の空間Bが生ずる。高圧巻線1に高電圧
が印加されたときにこのようなくさび状空間Bに電界が
集中して絶縁強度が低下するという問題が生ずる。電界
が集中するのは間隔片14の誘電率は空間のそれに比べて
数倍と大きく、誘電率が小さい部分に電界が集中すると
いう性質があるためである。
【0012】このように、静電シールド11C の分割部11
C1、11C3と間隔片14との接触面を大きくするために間隔
片14の幅を大きくした間隔片14C とすると、くさび状空
間Bができて絶縁強度を低下させることになるので図5
のような構成を採用するのは実際的ではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、静電シ
ールド11に発生する渦電流損が2分割では大きすぎると
きに3分割し図4の静電シールド11C のようにすると、
分割された両側の分割部11C1及び11C3と間隔片14との接
触面が小さくなり過ぎ、これを避けるために間隔片14の
幅を大きくするとくさび状空間Bができて絶縁強度が低
下することから、静電シールド11を3以上に分割するの
は困難なことが多い。特に高圧巻線1の電圧が高くて角
の丸みの半径が大きいときには実際上不可能になるとい
う問題がある。
【0014】この発明の目的は、このような問題を解決
し、間隔片との接触面を大きくとりしかも渦電流損を低
減することのできる誘導電器の静電シールドを提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明によれば、高圧巻線端部の電界集中を緩和
するために高圧巻線端部に設けられる金属製の静電シー
ルドにおいて、断面形状が中央で2分割された凹字状を
しており、凹部が高圧巻線端部に対向して設けられ、凹
部とは反対側の2つの角部が所定の半径の丸みが付けら
れてなるものとする。また、凹部の中に絶縁材からなる
詰物が挿入されてなるものとする。
【0016】
【作用】この発明の構成において、静電シールドの断面
形状を中央で2分割した凹字状にし、その凹部が高圧巻
線端部に対向するように設け、また、凹部とは反対側の
2つの角部を電界集中を緩和するための丸みを付けた形
状とすることによって、渦電流損は凹字状の両側の突出
部に主に発生するが、その幅寸法は静電シールドを3分
割したときと同等かそれよりも小さくすることができる
ので渦電流損を低減することができる。また、間隔片と
の接触面は両側の突出部を橋渡しする橋渡部になるので
2分割の場合と同等になる。
【0017】また、凹部の中に絶縁材からなる詰物を挿
入して両側の突出部が負担する圧縮力の一部をこの間隔
片に負担させることによって、橋渡部の機械的強度を補
強し、高圧巻線の圧縮力を受ける面積が大きくなって平
等になる。
【0018】
【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施例を示す高圧巻線の端部の拡大断
面図であり、図3と同じ部材には共通の符号を付けて詳
しい説明を省く。この図において、静電シールド11A は
凹字状をしていて図3の静電シールド11B と同様に2分
割してある。図の右側の静電シールド11A1、左側の静電
シールド11A2はそれぞれがL字状をしていて、水平の辺
である橋渡部11A3が互いに先端部を接近させて対向し、
静電シールド11A2の突出部11A4の内径側の面がが高圧巻
線1の内径面に一致するように、静電シールド11A1の突
出部11A4の外径側の面が高圧巻線1の外径面に一致する
ようにそれぞれ配置されていて、全体として凹字状にな
っている。
【0019】静電シールド11A の間隔片14との接触面は
橋渡部11A3であり、その接触面積は図3の静電シールド
11B と同じである。一方、静電シールド11A の幅として
の突出部11A4の幅d3 は図4の幅d2 と同等かそれより
も小さく設定することができる。したがって、静電シー
ルド11A の渦電流損は3分割のときと同等がそれ以下に
低減される。
【0020】橋渡部11A3の幅寸法は大きいが図の上下方
向の厚み寸法が小さいので静電シールド11A に発生する
渦電流損の全体の大きさには余り影響しない。静電シー
ルド11A の高圧巻線1に対向しない側の形状は図3の静
電シールド11B と同じなので静電シールドとしての機能
は全く同じである。橋渡部11A3の下、両側の突出部11A4
の間の空間は凹部11A5を形成しており、間隔片14から橋
渡部11A3に圧縮力がかけらるとその力は突出部11A4に伝
わり間隔片15を会して高圧巻線1に伝わる。このとき、
橋渡部11A3と突出部11A4との結合部で曲げ応力がかか
る。また、間隔片15にかかる圧縮力は突出部11A4の幅寸
法の部分である。このように、静電シールド11A に凹部
11A5を設けたことによって、圧縮力に対する強度が小さ
くなる点があるが、それでも充分の強度を保持するとき
には、凹部11A5を空間のままにしておいてよい。強度が
不充分となるときには、この部分に絶縁材を詰物として
詰めてこの詰物にも圧縮力の伝達を分担させることによ
って静電シールド11A1に生ずる課題な応力を低減するこ
とができる。このときの詰物としては間隔片14,15 と同
じ材質のものでよい。間隔片14,15 は一般に一つ一つが
直方体をした絶縁材を周方向に同じ間隔で複数個を配置
して構成される。したがって、凹部11A5に詰める詰物も
同じような構成を採用することができる。
【0021】
【発明の効果】この発明は前述のように、静電シールド
を中央で2分割した凹字状にすることによって、主に渦
電流損が発生する両端の突出部の幅寸法を小さくするこ
とができるので、静電シールドに発生する渦電流を3分
割したときと同等かそれよりも更に小さくすることがで
きるという効果が得られる。コイル押さえとの間の間隔
片との接触面は凹字状の両端の突出部を橋し渡しする橋
渡部なので、2分割の場合と同等の広い面積を確保する
ことができる。
【0022】また、凹部の中に絶縁材製の詰物片を挿入
して両側の突出部が負担する圧縮力の一部をこの詰物に
負担させることによって、圧縮力によって静電シールド
に生ずる応力を低減することができ、高圧巻線への圧縮
力の伝達面積も広くなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す高圧巻線の上端部の拡
大断面図
【図2】変圧器の巻線配置を示す模式的な断面図
【図3】従来の例を示す高圧巻線の上端部の拡大断面図
【図4】図3とは異なる従来の高圧巻線の上端部の拡大
断面図
【図5】図4の間隔片の幅を大きくした仮想的な拡大断
面図
【符号の説明】
1 高圧巻線 11,11A,11B,11C,12 静電シールド 11A1 静電シールド 11A2 静電シールド 11A3 橋渡部 11A4 突出部 13 コイル押さえ 14,14C,15,16 間隔片

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高圧巻線端部の電界集中を緩和するために
    高圧巻線端部に設けられる金属製の静電シールドにおい
    て、 断面形状が中央で2分割された凹字状をしており、凹部
    が高圧巻線端部に対向して設けられ、凹部とは反対側の
    2つの角部が所定の半径の丸みが付けられてなることを
    特徴とする誘導電器の静電シールド。
  2. 【請求項2】凹部の中に絶縁材からなる詰物が挿入され
    てなることを特徴とする請求項1記載の誘導電器の静電
    シールド。
JP00102294A 1994-01-11 1994-01-11 誘導電器の静電シールド Expired - Lifetime JP3161200B2 (ja)

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