JPH07200009A - 位置決め装置 - Google Patents
位置決め装置Info
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- JPH07200009A JPH07200009A JP33749293A JP33749293A JPH07200009A JP H07200009 A JPH07200009 A JP H07200009A JP 33749293 A JP33749293 A JP 33749293A JP 33749293 A JP33749293 A JP 33749293A JP H07200009 A JPH07200009 A JP H07200009A
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- Japan
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- control
- positioning
- compensator
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- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
- Feedback Control In General (AREA)
- Control Of Position Or Direction (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 位置決め性能とロバスト性を高い次元で両立
させた位置決め装置を提供すること。 【構成】 位置決め物体1は駆動手段によって駆動され
る。その際、位置決め物体1の変位はリニアエンコーダ
などの位置計測手段3によって検出され、指令値rと位
置計測手段3の出力rとの偏差eが、制御対象7の物理
特性の位置依存性を考慮したロバストサーボ安定化補償
器13に導かれ、駆動手段6への指令値uが生成され
る。ここで、ロバスト安定化補償器13においては、構
造的な不確かさを含む動特性の集合がディスクリプタ形
式で表現され、パラメータ可変手段11によってチュー
ニングパラメータが可変とされる。
させた位置決め装置を提供すること。 【構成】 位置決め物体1は駆動手段によって駆動され
る。その際、位置決め物体1の変位はリニアエンコーダ
などの位置計測手段3によって検出され、指令値rと位
置計測手段3の出力rとの偏差eが、制御対象7の物理
特性の位置依存性を考慮したロバストサーボ安定化補償
器13に導かれ、駆動手段6への指令値uが生成され
る。ここで、ロバスト安定化補償器13においては、構
造的な不確かさを含む動特性の集合がディスクリプタ形
式で表現され、パラメータ可変手段11によってチュー
ニングパラメータが可変とされる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は精密位置決め装置に関す
るものであり、特にステッパ等の半導体露光装置の位置
決め制御系に好適な精密位置決め装置に関する。
るものであり、特にステッパ等の半導体露光装置の位置
決め制御系に好適な精密位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】産業機器や情報機器における位置決め技
術は、機器の複雑化・高度化・微細化に伴い、高精度化
・高速化が進んでいる。半導体製造装置である「ステッ
パ」を例にとれば、近年の半導体素子の急速な高集積度
化により、要求される位置決め精度は現状でおよそ十ナ
ノメートルにも達しており、さらに数年以内にナノメー
トルオーダの位置決め精度が必要になると予想されてい
る。しかもスループット向上のために、こうした高精度
の位置決めをより高速に行う必要がある。
術は、機器の複雑化・高度化・微細化に伴い、高精度化
・高速化が進んでいる。半導体製造装置である「ステッ
パ」を例にとれば、近年の半導体素子の急速な高集積度
化により、要求される位置決め精度は現状でおよそ十ナ
ノメートルにも達しており、さらに数年以内にナノメー
トルオーダの位置決め精度が必要になると予想されてい
る。しかもスループット向上のために、こうした高精度
の位置決めをより高速に行う必要がある。
【0003】こうした高速・高精度の位置決め技術を確
立するため、PID制御に代表される従来の「古典制御
理論」に代わり、最近では「現代制御理論」を用いた制
御手法が提案されている。
立するため、PID制御に代表される従来の「古典制御
理論」に代わり、最近では「現代制御理論」を用いた制
御手法が提案されている。
【0004】現代制御理論の特徴は、制御対象をその内
部の状態である「状態変数」を用いた「状態空間モデ
ル」として扱い、主として時間領域で理論展開がなされ
る点にある。これによって、多入出力系など、それまで
の古典制御理論では扱えなかった領域を扱えるように
し、時間領域の評価関数を最小にする「最適制御」も確
率された。
部の状態である「状態変数」を用いた「状態空間モデ
ル」として扱い、主として時間領域で理論展開がなされ
る点にある。これによって、多入出力系など、それまで
の古典制御理論では扱えなかった領域を扱えるように
し、時間領域の評価関数を最小にする「最適制御」も確
率された。
【0005】しかし、こうした最適制御に代表される現
代制御理論は、「制御対象の状態空間モデルが正確に分
かっているときには有効な設計法であるが、制御対象が
変動を受けた場合や制御対象のモデル化に誤差があった
場合には必ずしも有効ではない」という問題点がある。
実際の制御に際しては、変動や誤差は必ず存在するた
め、こうした「不確かさ」に対しても、制御系の安定性
が確保されることが重要である。
代制御理論は、「制御対象の状態空間モデルが正確に分
かっているときには有効な設計法であるが、制御対象が
変動を受けた場合や制御対象のモデル化に誤差があった
場合には必ずしも有効ではない」という問題点がある。
実際の制御に際しては、変動や誤差は必ず存在するた
め、こうした「不確かさ」に対しても、制御系の安定性
が確保されることが重要である。
【0006】そこで近年、こうした現代制御理論を発展
させたものとして、制御対象の不確かさを考慮した「ロ
バスト(頑健)制御理論」が急速に進展しつつある。特
に、不確かさの最悪ケースを想定して、最悪状況下での
制御系の安定化を図る制御手法は、その不確かさを含め
たモデルに対し、関連するH無限大ノルムを最小にする
安定化補償器を求める、いわゆる「H無限大制御問題」
を解くことによって得られることが明らかにされ、理論
的な進展が進むと共に、実際の制御に応用され始めてい
る。
させたものとして、制御対象の不確かさを考慮した「ロ
バスト(頑健)制御理論」が急速に進展しつつある。特
に、不確かさの最悪ケースを想定して、最悪状況下での
制御系の安定化を図る制御手法は、その不確かさを含め
たモデルに対し、関連するH無限大ノルムを最小にする
安定化補償器を求める、いわゆる「H無限大制御問題」
を解くことによって得られることが明らかにされ、理論
的な進展が進むと共に、実際の制御に応用され始めてい
る。
【0007】一般にH無限大制御を含めたロバスト制御
問題においては、制御対象のノミナルモデルだけでな
く、不確かさのモデルも重要であり、近年のロバスト制
御に関する多くの研修によって、不確かさの見積りが閉
ループ系の性能に大きな影響を与えることがわかってき
た。
問題においては、制御対象のノミナルモデルだけでな
く、不確かさのモデルも重要であり、近年のロバスト制
御に関する多くの研修によって、不確かさの見積りが閉
ループ系の性能に大きな影響を与えることがわかってき
た。
【0008】これは図2に示すようなシーソーに例える
ことができる。
ことができる。
【0009】図2(a)のように、不確かさの見積りが
大きいと、閉ループ系のロバスト性は向上するが、達成
できる性能は悪化して、応答の遅い、保守的な制御系と
なってしまう。
大きいと、閉ループ系のロバスト性は向上するが、達成
できる性能は悪化して、応答の遅い、保守的な制御系と
なってしまう。
【0010】また逆に図2(b)のように、不確かさの
見積りが不十分であれば、閉ループ系のロバスト性は不
十分なものとなり、場合によっては不安定となってしま
う。そこで、必要なロバスト性を保証しつつ、性能を向
上させるためには、図2(c)のように、実際の不確か
さを適切に見積もらなければならない。
見積りが不十分であれば、閉ループ系のロバスト性は不
十分なものとなり、場合によっては不安定となってしま
う。そこで、必要なロバスト性を保証しつつ、性能を向
上させるためには、図2(c)のように、実際の不確か
さを適切に見積もらなければならない。
【0011】不確かさのモデルは、大きく分けて「構造
的不確かさ」と「非構造的不確かさ」に分類できる。
的不確かさ」と「非構造的不確かさ」に分類できる。
【0012】構造的な不確かさとは、例えば本発明のよ
うな位置決め装置でよく用いられる、ノミナルモデルが
うな位置決め装置でよく用いられる、ノミナルモデルが
【0013】
【外1】 で与えられるリニアモータを例にとれば、Tmin <T<
Tmax 、Kmin <K<Kmax のように、制御対象の構造
に依存した不確かさを表すモデルである。
Tmax 、Kmin <K<Kmax のように、制御対象の構造
に依存した不確かさを表すモデルである。
【0014】これに対して非構造的な不確かさとは、そ
の代表的なものの一つである、「乗法的不確かさ」と呼
ばれる不確かさΔ(S)であれば、次のようなもの
の代表的なものの一つである、「乗法的不確かさ」と呼
ばれる不確かさΔ(S)であれば、次のようなもの
【0015】
【外2】 つまり、制御対象の内部状態に依存しない不確かさを表
すモデルである。
すモデルである。
【0016】このうち、非構造的な不確かさは、特に取
り扱いが容易であることから、これまでH無限大制御に
よるロバスト制御系設計によく用いられてきた。
り扱いが容易であることから、これまでH無限大制御に
よるロバスト制御系設計によく用いられてきた。
【0017】しかし、非構造的不確かさでは、実際の物
理パラメータ変動との関係が不明確なために、不確かさ
の見積りを適切に設定することが難しく、安定性を確保
するために保守的な見積りとなってしまうことが多い。
したがって得られる結果も図2(a)の場合のような、
保守的な結果になる、という問題点があった。
理パラメータ変動との関係が不明確なために、不確かさ
の見積りを適切に設定することが難しく、安定性を確保
するために保守的な見積りとなってしまうことが多い。
したがって得られる結果も図2(a)の場合のような、
保守的な結果になる、という問題点があった。
【0018】こうしたことから、特に(1)式のように
制御対象の物理構造が明らかな場合には、構造的な不確
かさを用いてロバスト安定化を図るほうが、非構造的な
不確かさを用いる場合よりも高性能な制御系を構成でき
る。
制御対象の物理構造が明らかな場合には、構造的な不確
かさを用いてロバスト安定化を図るほうが、非構造的な
不確かさを用いる場合よりも高性能な制御系を構成でき
る。
【0019】さて、構造的な不確かさを含む制御対象に
対するロバスト制御問題に対しては、状態空間モデルに
基づいて「2次安定化」という手法が提案されている。
これは有界時変パラメータ変動に対し、2次形式リアプ
ノフ関数を構成し、ロバスト安定化を図るものである。
対するロバスト制御問題に対しては、状態空間モデルに
基づいて「2次安定化」という手法が提案されている。
これは有界時変パラメータ変動に対し、2次形式リアプ
ノフ関数を構成し、ロバスト安定化を図るものである。
【0020】そこで以下では構造的な不確かさを用いた
ロバスト安定化のための手法である、2次安定化につい
て、さきのリニアモータを用いて説明する。
ロバスト安定化のための手法である、2次安定化につい
て、さきのリニアモータを用いて説明する。
【0021】まず(1)式の制御対象の状態空間モデル
を、次式で与える。
を、次式で与える。
【0022】 x(t)=Ax(t)+Bu(t) (3) y(t)=Cx(t)
【0023】
【外3】 このシステムに対して、次のような不確かさを持つ集合
Σを考える。
Σを考える。
【0024】
【外4】 ここで、Φ∈Rn×k,ΨA ∈Rp×n,ΨB ∈Rp×mは不
確かさの構造、大きさを表す行列である。
確かさの構造、大きさを表す行列である。
【0025】また、Γ(t)∈Rk×pは、不確かさを表
す時変行列が、各要素はルベーグ可測であるとし、ΓT
(t)Γ(t)<I;t>0を満たしているとする。さ
らにu(t)=0とする。
す時変行列が、各要素はルベーグ可測であるとし、ΓT
(t)Γ(t)<I;t>0を満たしているとする。さ
らにu(t)=0とする。
【0026】このとき適当な正定行列P>0と整数α>
0が存在し、2次形式V(x)=xT Pxの軌道に沿っ
た時間微分が、任意の許容される不確かさΓ(t)に対
して、 V(x)<−α||x||2 (6) を満たすならば、システムΣは2次安定であり、集合Σ
に属する全てのシステムを安定化できることが知られて
いる。
0が存在し、2次形式V(x)=xT Pxの軌道に沿っ
た時間微分が、任意の許容される不確かさΓ(t)に対
して、 V(x)<−α||x||2 (6) を満たすならば、システムΣは2次安定であり、集合Σ
に属する全てのシステムを安定化できることが知られて
いる。
【0027】さらにこの2次安定化を達成する補償器
は、以下で述べる「標準H無限大問題」を解くことによ
って得られる。
は、以下で述べる「標準H無限大問題」を解くことによ
って得られる。
【0028】標準H無限大問題とは、H無限大制御の扱
う領域が、「H無限大ノルムを最小化する制御問題」と
いう、極めて広い領域を有するため、これらを統一的に
扱い、なおかつそれぞれの設計手法を統一的に求める枠
組みを与えるものであり、「一般化プラント」とは、標
準問題のための、制御対象のモデルを含む状態空間表現
である。
う領域が、「H無限大ノルムを最小化する制御問題」と
いう、極めて広い領域を有するため、これらを統一的に
扱い、なおかつそれぞれの設計手法を統一的に求める枠
組みを与えるものであり、「一般化プラント」とは、標
準問題のための、制御対象のモデルを含む状態空間表現
である。
【0029】具体的には、図3で表され、その状態方程
式が(7)式で与えられるような、入出力信号が外生入
力w、制御入力u、制御出力z、観測出力yからなる
「一般化プラント」において、外生入力wから制御出力
zまでのH無限大ノルムをγ以下にするように安定化補
償器K(s)を求めるのが「標準問題」である。
式が(7)式で与えられるような、入出力信号が外生入
力w、制御入力u、制御出力z、観測出力yからなる
「一般化プラント」において、外生入力wから制御出力
zまでのH無限大ノルムをγ以下にするように安定化補
償器K(s)を求めるのが「標準問題」である。
【0030】
【外5】
【0031】そして、(5)式で与えられる構造的不確
かさを持つ制御対象に対し、2次安定化を達成する安定
化補償器の存在条件は、一般化プラントが(8)式で与
えられる標準問題において、γ=1で可解であることと
等価なことが知られている。
かさを持つ制御対象に対し、2次安定化を達成する安定
化補償器の存在条件は、一般化プラントが(8)式で与
えられる標準問題において、γ=1で可解であることと
等価なことが知られている。
【0032】 B1=Φ,B2 =B,C1 =ΨA ,C2 =C, D11=D21=0,D12=ΨB ,D22=0 (8) したがって、G(s)が(7)、(8)式で与えられる
一般化プラントにおいて、wからzまでのH無限大ノル
ムを1以下にするプロパーな補償器K(s)を(もし存
在すれば)求めればよい。
一般化プラントにおいて、wからzまでのH無限大ノル
ムを1以下にするプロパーな補償器K(s)を(もし存
在すれば)求めればよい。
【0033】一般に標準H無限大制御問題の解法とし
て、2つのリカッチ方程式を解く方法がすでに確率され
ているので、これによって不確かさを含む集合Σに属す
る全てのシステムを安定化する補償器K(s)を求める
ことができるわけである。
て、2つのリカッチ方程式を解く方法がすでに確率され
ているので、これによって不確かさを含む集合Σに属す
る全てのシステムを安定化する補償器K(s)を求める
ことができるわけである。
【0034】
【本発明が解決しようとしている問題点】しかしなが
ら、上記従来の技術では、以下のような問題点があっ
た。
ら、上記従来の技術では、以下のような問題点があっ
た。
【0035】1)一般に用いられている構造的不確かさ
は、状態空間表現上のパラメータ変動を扱っている。こ
うしたモデルは、確かに状態空間の構造を反映した不確
かさを表している。しかし、状態空間自体は、必ずしも
実際の物理構造を反映したものではない。システムの状
態空間表現は、モデリングによって得られる微分方程式
に対し、冗長な変数の消去、代入などの操作を行うこと
によって得られるが、この変換は実プラントの構造を歪
めてしまうものとなる。このため、状態空間上で表現さ
れたパラメータ変動は、必ずしも実パラメータの変動に
即した表現とはなり得ない。
は、状態空間表現上のパラメータ変動を扱っている。こ
うしたモデルは、確かに状態空間の構造を反映した不確
かさを表している。しかし、状態空間自体は、必ずしも
実際の物理構造を反映したものではない。システムの状
態空間表現は、モデリングによって得られる微分方程式
に対し、冗長な変数の消去、代入などの操作を行うこと
によって得られるが、この変換は実プラントの構造を歪
めてしまうものとなる。このため、状態空間上で表現さ
れたパラメータ変動は、必ずしも実パラメータの変動に
即した表現とはなり得ない。
【0036】例えば、(3)式で与えられるシステムら
において、時定数T、トルク定数Kが、それぞれ以下の
ように変動すると仮定する。
において、時定数T、トルク定数Kが、それぞれ以下の
ように変動すると仮定する。
【0037】0.7<T<1.3 1.0<K<2.0 (9) このとき、a=1/T、b=K/Tとすると、a、bは
それぞれ次のように変動すると考えられる。
それぞれ次のように変動すると考えられる。
【0038】0.76<a<1.43 0.76<b<2.86 (10) a、bの変動はそれぞれ1/T、K/Tの変動、すなわ
ち、Tの変動及び直線K=mTの傾きmの変動を表して
いる。よって、これらのパラメータの変動領域をT−K
平面に示すと図4のようになる。図から明らかなよう
に、実パラメータの変動を状態空間の変動として表す
と、必ずしもその変動をタイトに表現できない。したが
って、従来の方法では、図2(a)の場合のように、不
確かさの見積りが大きくなり、保守的なシステムとなっ
てしまう。
ち、Tの変動及び直線K=mTの傾きmの変動を表して
いる。よって、これらのパラメータの変動領域をT−K
平面に示すと図4のようになる。図から明らかなよう
に、実パラメータの変動を状態空間の変動として表す
と、必ずしもその変動をタイトに表現できない。したが
って、従来の方法では、図2(a)の場合のように、不
確かさの見積りが大きくなり、保守的なシステムとなっ
てしまう。
【0039】2)制御系においては、基本仕様である、 i)内部安定性 に加え、 ii)望ましい過渡特性 iii)望ましい定常特性 を持つことが要求される。また、これらの特性が制御対
象のモデルの不確かさやパラメータ変動に対しても頑健
であるという、 iv)ロバスト性 も重要である。従来のH無限大制御では、使用i)に対
応する内部安定性と使用ii)に対応する望ましい過渡
特性、及びそれらのロバスト性について考慮している。
しかし、使用iii)の望ましい定常特性及びそのロバ
スト性の要請については陽に取り扱っていなかった。
象のモデルの不確かさやパラメータ変動に対しても頑健
であるという、 iv)ロバスト性 も重要である。従来のH無限大制御では、使用i)に対
応する内部安定性と使用ii)に対応する望ましい過渡
特性、及びそれらのロバスト性について考慮している。
しかし、使用iii)の望ましい定常特性及びそのロバ
スト性の要請については陽に取り扱っていなかった。
【0040】この要請の最も典型的な例は、ステップ状
の目標信号や外乱入力に対して(例えば制御対象のモデ
ルの不確かさや、パラメータ変動があっても)、定常偏
差のないフィードバック制御系を実現することである。
このような制御系は「1型のロバスト制御系」と呼ば
れ、一巡伝達性に積分器を有する制御系である。そして
多くの実際的な制御系設計においてこの1型のロバスト
サーボ系は重要である。
の目標信号や外乱入力に対して(例えば制御対象のモデ
ルの不確かさや、パラメータ変動があっても)、定常偏
差のないフィードバック制御系を実現することである。
このような制御系は「1型のロバスト制御系」と呼ば
れ、一巡伝達性に積分器を有する制御系である。そして
多くの実際的な制御系設計においてこの1型のロバスト
サーボ系は重要である。
【0041】しかしながら、従来のH無限大制御問題で
は、以下の理由から、1型のロバストサーボ系を構成で
きなかった。
は、以下の理由から、1型のロバストサーボ系を構成で
きなかった。
【0042】すなわち、標準H無限大制御が可能である
ための条件のひとつとして、
ための条件のひとつとして、
【0043】
【外6】 が列フルランク、かつ
【0044】
【外7】 が行フランク;∀ω (11) を満たす必要があるためである。
【0045】最適制御では、制御対象P(s)に積分器
を付加した拡大系を構成し、この拡大系に最適レギュレ
ータ理論を適用する方法が、通常よく用いられている。
を付加した拡大系を構成し、この拡大系に最適レギュレ
ータ理論を適用する方法が、通常よく用いられている。
【0046】しかしこの方法をH無限大制御問題に適用
しようとすると、拡大系が原点s=0に極を持つため、
上記の条件が成立しなくなるのである。したがって、最
適制御のときのように、積分器を含んだ拡大系を作り、
それに対して標準問題を解くことはできない。
しようとすると、拡大系が原点s=0に極を持つため、
上記の条件が成立しなくなるのである。したがって、最
適制御のときのように、積分器を含んだ拡大系を作り、
それに対して標準問題を解くことはできない。
【0047】また一般に、制御系の設計では、その設計
指針となるべきチューニングパラメータとその効果が、
ある程度明確になっていることが重要である。そして設
計者はこうしたチューニングパラメータを用いて、目的
に合致した適切な制御系を、少ない試行錯誤で実現する
ことができるわけである。
指針となるべきチューニングパラメータとその効果が、
ある程度明確になっていることが重要である。そして設
計者はこうしたチューニングパラメータを用いて、目的
に合致した適切な制御系を、少ない試行錯誤で実現する
ことができるわけである。
【0048】しかし、これまで報告されてきた、くつか
のH無限大制御の設計技術においては、こうした観点か
ら確立されたものはなく、従来のH無限大制御の設計技
術を用いて、実際に適切な制御系を構成することは困難
であった。
のH無限大制御の設計技術においては、こうした観点か
ら確立されたものはなく、従来のH無限大制御の設計技
術を用いて、実際に適切な制御系を構成することは困難
であった。
【0049】3)位置決め制御装置において、特に位置
決め物体の可動範囲が長い場合には、位置決め物体及び
その駆動手段からなる制御対象の特性は、「位置依存
性」を有する場合が多い。
決め物体の可動範囲が長い場合には、位置決め物体及び
その駆動手段からなる制御対象の特性は、「位置依存
性」を有する場合が多い。
【0050】例えばリニアモータの時定数トルク定数を
とってみても、それらの特性がある特定の場所で特に大
きい値を示したり、近似的に位置の関数として与えられ
ることもある。こうした制御対象に対しては、位置決め
物体の各位置における動特性を把握し、できるだけ不確
かさを的確に見積ることによって、適切な制御特性を引
き出すことが期待できる。ところがこのような位置依存
性を有する制御対象に対して、従来技術をそのまま用い
て安定化補償器を構成すると、やはり不確かさを大きく
見積る結果となり、結果として保守的なシステムとなっ
てしまう。
とってみても、それらの特性がある特定の場所で特に大
きい値を示したり、近似的に位置の関数として与えられ
ることもある。こうした制御対象に対しては、位置決め
物体の各位置における動特性を把握し、できるだけ不確
かさを的確に見積ることによって、適切な制御特性を引
き出すことが期待できる。ところがこのような位置依存
性を有する制御対象に対して、従来技術をそのまま用い
て安定化補償器を構成すると、やはり不確かさを大きく
見積る結果となり、結果として保守的なシステムとなっ
てしまう。
【0051】また、ステッパのXYステージのように、
制御対象の動特性の位置依存性が明らかな場合もある。
図5は典型的なXYステージである。この図において、
位置決め物体であるXYステージは、Y方向には双胴型
のY方向リニアモータによって移動し、X方向にはY方
向のリニアモータのムーバに固定されたX方向リニアモ
ータによって移動する。そしてこのようなステージにお
いては、その慣性モーメントなどの物理特性が、Xステ
ージの位置に依存する。しかも、Xステージの変位の関
数として与えらるため、こうした場合にも不確かさの見
積りを適切に見積もることによって、適切な制御特性を
引き出すことが期待できる。しかしながら、こうした制
御物体において、従来の技術によって不確かさの集合を
与え、安定化補償器を構成すると、やはり保守的なシス
テムとなってしまう。
制御対象の動特性の位置依存性が明らかな場合もある。
図5は典型的なXYステージである。この図において、
位置決め物体であるXYステージは、Y方向には双胴型
のY方向リニアモータによって移動し、X方向にはY方
向のリニアモータのムーバに固定されたX方向リニアモ
ータによって移動する。そしてこのようなステージにお
いては、その慣性モーメントなどの物理特性が、Xステ
ージの位置に依存する。しかも、Xステージの変位の関
数として与えらるため、こうした場合にも不確かさの見
積りを適切に見積もることによって、適切な制御特性を
引き出すことが期待できる。しかしながら、こうした制
御物体において、従来の技術によって不確かさの集合を
与え、安定化補償器を構成すると、やはり保守的なシス
テムとなってしまう。
【0052】さらに、従来の古典制御を用いた場合に
は、不確かさに対する安定性を定量的に明らかにするこ
とができず、補償器のパラメータ設定は、調整者の試行
錯誤に頼るところが大である。したがって、さきのステ
ッパにおけるXYステージのように制御物体の特性の位
置依存性が大きい場合には、全ての位置で均一な制御特
性を得ることが難しかった。
は、不確かさに対する安定性を定量的に明らかにするこ
とができず、補償器のパラメータ設定は、調整者の試行
錯誤に頼るところが大である。したがって、さきのステ
ッパにおけるXYステージのように制御物体の特性の位
置依存性が大きい場合には、全ての位置で均一な制御特
性を得ることが難しかった。
【0053】
【問題を解決するための手段】上記従来の技術における
問題点を解決するために、本発明では以下の手段を用い
る。
問題点を解決するために、本発明では以下の手段を用い
る。
【0054】(手段1)位置決め物体及び制御手段にお
ける、構造的な不確かさを適切に記述するために、ディ
スクリプタ形式によって、前記位置決め物体及び制御手
段における構造的な不確かさを含む動特性の集合を表現
する。
ける、構造的な不確かさを適切に記述するために、ディ
スクリプタ形式によって、前記位置決め物体及び制御手
段における構造的な不確かさを含む動特性の集合を表現
する。
【0055】そして前記ディスクリプタ形式の一般化プ
ラントにおける、外生入力から制御出力までのH無限大
ノルムを最小にし、かつ前記一般化プラントを安定化す
る、前記一般化プラントに対する安定化補償器を用い
て、前記位置決め物体の制御のための安定化補償器の一
部として、前記一般化プラントに対する安定化補償器を
含むことを第一の手段として用いる。
ラントにおける、外生入力から制御出力までのH無限大
ノルムを最小にし、かつ前記一般化プラントを安定化す
る、前記一般化プラントに対する安定化補償器を用い
て、前記位置決め物体の制御のための安定化補償器の一
部として、前記一般化プラントに対する安定化補償器を
含むことを第一の手段として用いる。
【0056】すなわち本発明では、リニアモータにおけ
る従来の状態空間表現による状態方程式が、(3)、
(4)式で与えられるのに対して、 Ex(t)=Ax(t)+Bu(t) (12) y(t)=Cx(t)
る従来の状態空間表現による状態方程式が、(3)、
(4)式で与えられるのに対して、 Ex(t)=Ax(t)+Bu(t) (12) y(t)=Cx(t)
【0057】
【外8】 で与えられるディスクリプタ形式の表現を用いる。
【0058】そしてこのディスクリプタ表現を用いて制
御対象、すなわち位置決め物体及び制御手段の構造的な
不確かさを含んだ集合
御対象、すなわち位置決め物体及び制御手段の構造的な
不確かさを含んだ集合
【0059】
【外9】 を、
【0060】
【外10】 として表す。これをブロックで表すと、図6のようにな
る。
る。
【0061】そして、この構造的な不確かさを含んだ集
合
合
【0062】
【外11】 を含み、
【0063】
【外12】 に対して2次安定化を達成するロバスト補償器を構成す
るような形で、一般化プラントを構成する。それは、状
態空間表現における2次安定のための一般化プラントで
ある(7)、(8)次式を拡張した形で、以下のような
一般化プラント
るような形で、一般化プラントを構成する。それは、状
態空間表現における2次安定のための一般化プラントで
ある(7)、(8)次式を拡張した形で、以下のような
一般化プラント
【0064】
【外13】 A0=E-1A,B1=E-1Φ、B2=E-1B,C1=ΨA−
ΨE E-1A,C2=C,D11=−ΨE E-1Φ,D21=
0,D12=ΨB−ΨE E-1B,D22=0 (16) の外生入力wS から制御量zS までのH無限大ノルム
を、1以下で、かつできるだけ小さくするようにすれば
よい。
ΨE E-1A,C2=C,D11=−ΨE E-1Φ,D21=
0,D12=ΨB−ΨE E-1B,D22=0 (16) の外生入力wS から制御量zS までのH無限大ノルム
を、1以下で、かつできるだけ小さくするようにすれば
よい。
【0065】したがって、一般化プラントの外生入力に
wS を、制御出力にzS を、それぞれ含む形で一般化プ
ラントを構成する。
wS を、制御出力にzS を、それぞれ含む形で一般化プ
ラントを構成する。
【0066】そして、この一般化プラントに対して、外
生入力から制御出力までのH無限大ノルムを最小にし、
かつ一般化プラントを安定化する、一般化プラントに対
する安定化補償器を用いて、前記位置決め物体の制御の
ための安定化補償器の一部として、前記ディスクリプタ
形式による一般化プラントに対する安定化補償器を含む
ことを第一の手段として用いるわけである。
生入力から制御出力までのH無限大ノルムを最小にし、
かつ一般化プラントを安定化する、一般化プラントに対
する安定化補償器を用いて、前記位置決め物体の制御の
ための安定化補償器の一部として、前記ディスクリプタ
形式による一般化プラントに対する安定化補償器を含む
ことを第一の手段として用いるわけである。
【0067】(手段2)(11)式のランク条件を満た
すサーボ系を構成し、かつ適切なチューニングパラメー
タを与えるために、前記ディスクリプタ形式を用いた一
般化プラントにおいて、前記状態観測手段による状態観
測出力端に、積分器及び適当な正数αによってα倍する
比例ゲインを並列に接続して、前記積分器の出力と前記
比例ゲインの出力を加算したものを、前記動特性の集合
を含む前記ディスクリプタ形式の一般化プラントの状態
観測出力とし、前記状態観測手段による状態観測出力端
へ適切な重みを乗じた後に加えられる入力を、前記一般
化プラントの外生入力の一部として備え、前記積分器か
らの出力に適切な重みを乗じた出力と、前記制御指令信
号に適切な重みを乗じた出力とを、前記一般化プラント
の制御出力の一部として備えるように構成する。
すサーボ系を構成し、かつ適切なチューニングパラメー
タを与えるために、前記ディスクリプタ形式を用いた一
般化プラントにおいて、前記状態観測手段による状態観
測出力端に、積分器及び適当な正数αによってα倍する
比例ゲインを並列に接続して、前記積分器の出力と前記
比例ゲインの出力を加算したものを、前記動特性の集合
を含む前記ディスクリプタ形式の一般化プラントの状態
観測出力とし、前記状態観測手段による状態観測出力端
へ適切な重みを乗じた後に加えられる入力を、前記一般
化プラントの外生入力の一部として備え、前記積分器か
らの出力に適切な重みを乗じた出力と、前記制御指令信
号に適切な重みを乗じた出力とを、前記一般化プラント
の制御出力の一部として備えるように構成する。
【0068】そして、前記ディスクリプタ形式を用いた
一般化プラントにおける、外生入力から制御出力までの
H無限大ノルムを最小にし、かつ前記一般可プラントを
安定化する、前記一般化プラントに対する安定化補償器
を用いて、前記一般化プラントに対する安定化補償器と
前記積分器と前記比例ゲインによって、前記位置決め物
体の制御たのめの安定化補償器を構成することを第二の
手段として用いる。
一般化プラントにおける、外生入力から制御出力までの
H無限大ノルムを最小にし、かつ前記一般可プラントを
安定化する、前記一般化プラントに対する安定化補償器
を用いて、前記一般化プラントに対する安定化補償器と
前記積分器と前記比例ゲインによって、前記位置決め物
体の制御たのめの安定化補償器を構成することを第二の
手段として用いる。
【0069】(手段3)これに加え、制御対象の物理特
性の位置依存性に対応するために、ディスクリプタ表現
による位置決め物体及び制御手段の構造的な不確かさを
含む動特性の集合を、位置決め物体の変位をパラメータ
とした関数もしくはテーブルとする。
性の位置依存性に対応するために、ディスクリプタ表現
による位置決め物体及び制御手段の構造的な不確かさを
含む動特性の集合を、位置決め物体の変位をパラメータ
とした関数もしくはテーブルとする。
【0070】そしてこの位置決め物体の変位をパラメー
タとしたディスクリプタ形式の一般化プラントから得ら
れる、位置決め物体の制御のための安定化補償器を、位
置決め物体の変位をパラメータとする関数もしくはテー
ブルとして切り替える。
タとしたディスクリプタ形式の一般化プラントから得ら
れる、位置決め物体の制御のための安定化補償器を、位
置決め物体の変位をパラメータとする関数もしくはテー
ブルとして切り替える。
【0071】つまり制御対象の位置依存性を考慮したロ
バストサーボ安定化補償器を用いて制御系を構成するこ
とを第三の手段として用いる。
バストサーボ安定化補償器を用いて制御系を構成するこ
とを第三の手段として用いる。
【0072】
【作用】上記従来の問題を解決するための手段によって
本発明は、以下に示す作用を有する。
本発明は、以下に示す作用を有する。
【0073】1)(12)式で与えられるディスクリプ
タ形式のシステム表現は、(3)式で与えられる従来の
状態空間表現に対して、xの項に係数Eがかかっている
点に特長がある。このディスクリプタ表現は、 1.プロパーでないシステムを表現できる。 2.プラントを物理的に自然に表現できる。 という2つの特徴を有している。そしてこの2つめの特
徴に注目すれば、ディスクリプタ形式によって、制御対
象の実パラメータをディスクリプタ形式表現上でのパラ
メータとして、そのまま表現することができる。つまり
ディスクリプタ形式表現上でのパラメータ変動として、
プラントのパラメータ変動に即した不確かさの表現を得
ることが可能となるわけである。
タ形式のシステム表現は、(3)式で与えられる従来の
状態空間表現に対して、xの項に係数Eがかかっている
点に特長がある。このディスクリプタ表現は、 1.プロパーでないシステムを表現できる。 2.プラントを物理的に自然に表現できる。 という2つの特徴を有している。そしてこの2つめの特
徴に注目すれば、ディスクリプタ形式によって、制御対
象の実パラメータをディスクリプタ形式表現上でのパラ
メータとして、そのまま表現することができる。つまり
ディスクリプタ形式表現上でのパラメータ変動として、
プラントのパラメータ変動に即した不確かさの表現を得
ることが可能となるわけである。
【0074】したがって、従来のロバストH無限大制御
系で問題であった、「不確かさの見積りが適切に設定で
きず、必要な制御性能を確保できない」という問題点を
解決するものである。
系で問題であった、「不確かさの見積りが適切に設定で
きず、必要な制御性能を確保できない」という問題点を
解決するものである。
【0075】リニアモータのように、変動するパラメー
タが2つの場合、状態空間表現の(5)式あるいはディ
スクリプタ表現の(14)式において許容されるパラメ
ータの変動領域は楕円になる。そして(5)式で与えら
れる、従来の状態空間モデルを用いた制御対象の不確か
さを含む集合と、(14)式で与えられる、ディスクリ
プタ形式を用いた制御対象の不確かさを含む集合を模式
的に表したのが図7である。図7から明らかなように、
ディスクリプタ形式を用いた場合には、パラメータの変
動領域を覆う最小の楕円を選ぶことができる。
タが2つの場合、状態空間表現の(5)式あるいはディ
スクリプタ表現の(14)式において許容されるパラメ
ータの変動領域は楕円になる。そして(5)式で与えら
れる、従来の状態空間モデルを用いた制御対象の不確か
さを含む集合と、(14)式で与えられる、ディスクリ
プタ形式を用いた制御対象の不確かさを含む集合を模式
的に表したのが図7である。図7から明らかなように、
ディスクリプタ形式を用いた場合には、パラメータの変
動領域を覆う最小の楕円を選ぶことができる。
【0076】したがって、(手段1)で述べた第一の手
段によって、上記ディスクリプタ表現を用いた制御対象
の不確かさを含む一般化プラントを構成し、補償器を構
成することによって、従来の状態空間モデルを用いた場
合に比べて、適切なロバストと高い制御性能を実現する
ことができる。
段によって、上記ディスクリプタ表現を用いた制御対象
の不確かさを含む一般化プラントを構成し、補償器を構
成することによって、従来の状態空間モデルを用いた場
合に比べて、適切なロバストと高い制御性能を実現する
ことができる。
【0077】2)さらに、(手段1)及び(手段2)を
ブロック図で示すと、図13のようになる。この図で、
破線内がディスクリプタ形式による制御対象の不確かさ
を含む一般化プラントであり、
ブロック図で示すと、図13のようになる。この図で、
破線内がディスクリプタ形式による制御対象の不確かさ
を含む一般化プラントであり、
【0078】
【外14】 は一般化プラントに対する安定化補償器である。またW
S 及びZS は、(手段1)で述べた、制御対象の不確か
さに対するロバスト安定のための外生入力及び制御出力
である。
S 及びZS は、(手段1)で述べた、制御対象の不確か
さに対するロバスト安定のための外生入力及び制御出力
である。
【0079】そして、これまでのH無限大制御技術では
満たせなかった、サーボ系における(11)式のランク
条件を満たすために、適切な重みである正則行列
満たせなかった、サーボ系における(11)式のランク
条件を満たすために、適切な重みである正則行列
【0080】
【外15】 によって重みづけられた積分器の状態を、新たな制御出
力
力
【0081】
【外16】 として付け加えている。このように一般化プラントを設
定すると、前記ランク条件は自動的に満たされ、1型の
サーボ系を構成することができる。
定すると、前記ランク条件は自動的に満たされ、1型の
サーボ系を構成することができる。
【0082】また、
【0083】
【外17】 は偏差の積分に対する重みでもあるから、この
【0084】
【外18】 を大きくすることで、応答を早くすることができる。同
様にして考えれば、図13の重みQ1/2 、
様にして考えれば、図13の重みQ1/2 、
【0085】
【外19】 R1/2 、Nは設計のためのチューニングパラメータであ
り、これらのパラメータの定性的な特性は表1のように
なる。
り、これらのパラメータの定性的な特性は表1のように
なる。
【0086】
【表1】
【0087】このように第二の手段によって、ディスク
リプタ形式による一般化プラントに対する重みをチュー
ニングパラメータとして用い、そのパラメータの効果を
上の表のように定性的に明らかにすることによて、適切
なロバスト性と高い位置決め性能を有するロバストサー
ボ制御系を簡便に設計することが可能になる。これは従
来のH無限大制御による技術では実現できなかったもの
である。
リプタ形式による一般化プラントに対する重みをチュー
ニングパラメータとして用い、そのパラメータの効果を
上の表のように定性的に明らかにすることによて、適切
なロバスト性と高い位置決め性能を有するロバストサー
ボ制御系を簡便に設計することが可能になる。これは従
来のH無限大制御による技術では実現できなかったもの
である。
【0088】3)これに加えて、(手段3)によって、
位置決め物体の変位に依存した物理特性の変動を、「不
確かさ」として与えずに、「制御物体の位置に依存した
関数もしくはテーブル」として与え、各変位におけるロ
バストサーボ安定化補償器を、制御物体の位置に依存し
た関数もしくはテーブルとして連続的に変化させるか、
もしくは切り替えることによって、位置決め物体の物理
特性の位置依存性が強い場合にも、従来の技術に比べ、
全面に渡って安定かつ適切な制御特性を確保する、いわ
ゆる制御対象の位置依存性を考慮したロバストサーボ安
定化補償器を実現するものである。
位置決め物体の変位に依存した物理特性の変動を、「不
確かさ」として与えずに、「制御物体の位置に依存した
関数もしくはテーブル」として与え、各変位におけるロ
バストサーボ安定化補償器を、制御物体の位置に依存し
た関数もしくはテーブルとして連続的に変化させるか、
もしくは切り替えることによって、位置決め物体の物理
特性の位置依存性が強い場合にも、従来の技術に比べ、
全面に渡って安定かつ適切な制御特性を確保する、いわ
ゆる制御対象の位置依存性を考慮したロバストサーボ安
定化補償器を実現するものである。
【0089】図8はその効果を模式的に表したものであ
る。すなわち図8(a)の楕円が本発明の特徴である、
ディスクリプタ表現を用いて制御対象の不確かさわ表現
し、なおかつ制御対象の位置依存性を考慮して、不確か
さを制御対象の変位yに応じて切り替えたときの不確か
さの集合である。これに対して、図8(b)に示す楕円
が従来の技術による不確かさの集合である。
る。すなわち図8(a)の楕円が本発明の特徴である、
ディスクリプタ表現を用いて制御対象の不確かさわ表現
し、なおかつ制御対象の位置依存性を考慮して、不確か
さを制御対象の変位yに応じて切り替えたときの不確か
さの集合である。これに対して、図8(b)に示す楕円
が従来の技術による不確かさの集合である。
【0090】このように、第三の手段によれば、制御対
象の物理特性が位置依存性を有する場合にも、従来の技
術にくらべて不確かさを適切に表現でき、季節なロバス
ト性と高い制御性能を有するロバストサーボ系が構成で
きるわけである。
象の物理特性が位置依存性を有する場合にも、従来の技
術にくらべて不確かさを適切に表現でき、季節なロバス
ト性と高い制御性能を有するロバストサーボ系が構成で
きるわけである。
【0091】
【実施例】リニアモータを用いた1軸の位置決め装置を
例にとって、本発明の特徴である、制御対象の位置依存
性を考慮したロバストサーボ安定化補償器による位置決
め装置とその効果を具体的に説明する。
例にとって、本発明の特徴である、制御対象の位置依存
性を考慮したロバストサーボ安定化補償器による位置決
め装置とその効果を具体的に説明する。
【0092】図1は本発明の一実施例に係る位置決め制
御装置であり、この図において1は位置決め物体、2は
駆動回路、3は位置決め物体1の状態観測手段である位
置計測手段、4はリニアモータ、5はリニアガイド、6
は駆動回路2及びリニアモータ4及びリニアガイド5か
ら構成される駆動手段、7は位置決め物体1及び駆動手
段6及び位置計測手段3から構成される制御対象、8は
一般化プラントに対するロバスト安定化補償器、9は比
例ゲイン、10は積分器、11はパラメータ可変手段、
12は一般化プラントに対するロバスト安定化補償器8
及び比例ゲイン9及び積分器10から構成される制御対
象7に対するロバストサーボ安定化補償器、13はパラ
メータ可変手段11及び制御対象7に対するロバストサ
ーボ安定化補償器12から構成される、制御対象7の物
理特性の位置依存性を考慮した、制御対象7に対するロ
バストサーボ安定化補償器である。
御装置であり、この図において1は位置決め物体、2は
駆動回路、3は位置決め物体1の状態観測手段である位
置計測手段、4はリニアモータ、5はリニアガイド、6
は駆動回路2及びリニアモータ4及びリニアガイド5か
ら構成される駆動手段、7は位置決め物体1及び駆動手
段6及び位置計測手段3から構成される制御対象、8は
一般化プラントに対するロバスト安定化補償器、9は比
例ゲイン、10は積分器、11はパラメータ可変手段、
12は一般化プラントに対するロバスト安定化補償器8
及び比例ゲイン9及び積分器10から構成される制御対
象7に対するロバストサーボ安定化補償器、13はパラ
メータ可変手段11及び制御対象7に対するロバストサ
ーボ安定化補償器12から構成される、制御対象7の物
理特性の位置依存性を考慮した、制御対象7に対するロ
バストサーボ安定化補償器である。
【0093】上記構成において、位置決め物体1は駆動
手段6によって駆動される。その際、位置決め物体1の
変位は位置決め物体1の状態観測手段であるリニアエン
コーダなどの位置計測手段3によって検出され、指令値
rと位置計測手段3の出力yとの変さeが、制御対象7
の物理特性の位置依存性を考慮したロバストサーボ安定
化補償器13に導かれ、駆動手段6への制御指令値uが
生成される。
手段6によって駆動される。その際、位置決め物体1の
変位は位置決め物体1の状態観測手段であるリニアエン
コーダなどの位置計測手段3によって検出され、指令値
rと位置計測手段3の出力yとの変さeが、制御対象7
の物理特性の位置依存性を考慮したロバストサーボ安定
化補償器13に導かれ、駆動手段6への制御指令値uが
生成される。
【0094】まず本発明の特徴のひとつであるディスク
リプタ形式とその効果について説明する。制御対象7の
ノミナルモデルは(1)式で与えられるので、その時定
数T、及びトルク定数Kをステップ応答から求める必要
がある。ここで、単位ステップ応答y(t)を考える
と、次式で与えられる。
リプタ形式とその効果について説明する。制御対象7の
ノミナルモデルは(1)式で与えられるので、その時定
数T、及びトルク定数Kをステップ応答から求める必要
がある。ここで、単位ステップ応答y(t)を考える
と、次式で与えられる。
【0095】 y(t)=K(t−T(1−e-t/T)) (17) よってt→∞ではy(t)は y(t)=K(t−T) (18) となるから、その傾きとt軸切片からパラメータT、K
を求めることができる。
を求めることができる。
【0096】実際にステップ電圧を0.3Vから0.9
Vまで0.2Vづつ変化させてステップ応答を求めた一
例を図9に示す。ただし縦軸のスケールは、リニアエン
コーダからなる位置計測手段3の計測パルス数によって
表してあり、その分解能は5μ/パルスである。そして
位置決め物体1の初期変位は全て0であり、応答はそれ
ぞれのステップ電圧で規格化してある。この応答から、
ステップ電圧に応じて非線形性が現れてくることがわか
る。すなわち、入力電圧が大きいほど過渡特性は遅くな
り、時定数が大きくなっている。
Vまで0.2Vづつ変化させてステップ応答を求めた一
例を図9に示す。ただし縦軸のスケールは、リニアエン
コーダからなる位置計測手段3の計測パルス数によって
表してあり、その分解能は5μ/パルスである。そして
位置決め物体1の初期変位は全て0であり、応答はそれ
ぞれのステップ電圧で規格化してある。この応答から、
ステップ電圧に応じて非線形性が現れてくることがわか
る。すなわち、入力電圧が大きいほど過渡特性は遅くな
り、時定数が大きくなっている。
【0097】つぎに、制御対象7の不確かさを表現する
ために、ステップ電圧を ステップ電圧:0.1,0.2,…1.0(V) のように変化させて、パラメータT、Kの分布、すなわ
ち制御対象7の不確かさを求めた。ただし、制御対象7
の物理特性の位置依存性を考慮するために、図8(a)
のように位置決め物体1の可動範囲を複数の領域に分割
し、それぞれの領域においてパラメータT、Kの分布を
求めている。
ために、ステップ電圧を ステップ電圧:0.1,0.2,…1.0(V) のように変化させて、パラメータT、Kの分布、すなわ
ち制御対象7の不確かさを求めた。ただし、制御対象7
の物理特性の位置依存性を考慮するために、図8(a)
のように位置決め物体1の可動範囲を複数の領域に分割
し、それぞれの領域においてパラメータT、Kの分布を
求めている。
【0098】図10は、第一の領域におけるパラメータ
T、Kの分布の一例を示したものである。ただし、T、
Kは電圧印加後0.03秒から0.1秒までの区間を最
小2乗法で直線回帰をすることによって求めた。破線に
よる楕円は、このパラメータT、Kの分布をもとにし
て、本発明の特徴であるディスクリプタ形式によって、
第一の領域における不確かさを含む制御対象7の集合を
表現したものである。以下ではこの楕円の決定方法につ
いて説明する。
T、Kの分布の一例を示したものである。ただし、T、
Kは電圧印加後0.03秒から0.1秒までの区間を最
小2乗法で直線回帰をすることによって求めた。破線に
よる楕円は、このパラメータT、Kの分布をもとにし
て、本発明の特徴であるディスクリプタ形式によって、
第一の領域における不確かさを含む制御対象7の集合を
表現したものである。以下ではこの楕円の決定方法につ
いて説明する。
【0099】まず、T、が次のように変動すると仮定す
る。
る。
【0100】 T=T0 +ΔT1γ1 (t)+ΔT2γ2 (t) K=K0 +ΔK1γ1 (t)+ΔK2γ2 (t) (19) ただし、γ1 (t)、γ2 (t)は次の関係を満たす時
変パラメータである。
変パラメータである。
【0101】 [γ1 (t)γ2 (t)]T [γ1 (t)γ2 (t)]<I (20) このとき、制御対象の不確かさを含む集合は、次のよう
に表すことができる。
に表すことができる。
【0102】
【外20】
【0103】図10に示すような、不確かさの領域を覆
う楕円を、(21)式によって設定することで、不確か
さの同定を行うことができる。この楕円は5点の計測点
を通る楕円である。そしてこの楕円から、(19)式の
パラメータを具体的に次のように定めることができる。
う楕円を、(21)式によって設定することで、不確か
さの同定を行うことができる。この楕円は5点の計測点
を通る楕円である。そしてこの楕円から、(19)式の
パラメータを具体的に次のように定めることができる。
【0104】T=7.666813×10−3+6.0
87826×10-3γ1 (t)+9.670536×4
-4γ2 (t) K=5.190992×104 +(−8.84180
6)×10-2γ1 (t)+6.658430×103 γ
2 (t) (22)
87826×10-3γ1 (t)+9.670536×4
-4γ2 (t) K=5.190992×104 +(−8.84180
6)×10-2γ1 (t)+6.658430×103 γ
2 (t) (22)
【0105】これらのパラメータと(20)式から、
【0106】
【外21】 の各行列を次のように設定することができる。
【0107】
【外22】
【0108】また、従来の状態空間を用いた場合には、
(4)式からもわかるように1/T、K/Tの分布を調
べて1/T、K/T空間における楕円を構成し、その結
果からの実際のT、Kのパラメータ空間に変換する必要
がある。すなわち図11に示すように、1/T、K/T
のグラフにデータをプロットし、そのうちの5点のデー
タを用い、1/T−K/T空間において適切な楕円領域
を求める。
(4)式からもわかるように1/T、K/Tの分布を調
べて1/T、K/T空間における楕円を構成し、その結
果からの実際のT、Kのパラメータ空間に変換する必要
がある。すなわち図11に示すように、1/T、K/T
のグラフにデータをプロットし、そのうちの5点のデー
タを用い、1/T−K/T空間において適切な楕円領域
を求める。
【0109】そしてこれをT−K領域に変換し、前述の
ディスクリプタ形式による変動領域と比較したのが図1
2である。
ディスクリプタ形式による変動領域と比較したのが図1
2である。
【0110】このように従来の状態空間を用いて適切な
領域を求めても、図12に示す実際のパラメータ空間で
は不必要に大きな領域となってしまうことがわかる。こ
れに対して本発明の特長のひとつであるディスクリプタ
表現によれば、実際のパラメータ空間で適切な領域を設
定できる。したがって、構成される制御系も、適切なロ
バスト性を高い制御性能を有することになる。
領域を求めても、図12に示す実際のパラメータ空間で
は不必要に大きな領域となってしまうことがわかる。こ
れに対して本発明の特長のひとつであるディスクリプタ
表現によれば、実際のパラメータ空間で適切な領域を設
定できる。したがって、構成される制御系も、適切なロ
バスト性を高い制御性能を有することになる。
【0111】次に、これも本発明の特徴とひとつである
ロバストサーボ安定化補償器12について説明する。
ロバストサーボ安定化補償器12について説明する。
【0112】前述のように、従来のH無限大制御による
ロバスト制御系では、 ・(11)式の条件を満たさなくなることから、サーボ
系を構成することが難しいこと。および ・適切なチューニングパラメータによって制御系の設計
を行う技術が確立していないこと。という問題があっ
た。
ロバスト制御系では、 ・(11)式の条件を満たさなくなることから、サーボ
系を構成することが難しいこと。および ・適切なチューニングパラメータによって制御系の設計
を行う技術が確立していないこと。という問題があっ
た。
【0113】そこで本発明では、先に示した図13の破
線枠に示すようなディスクリプタ形式を用いた一般化プ
ラントを用いる。
線枠に示すようなディスクリプタ形式を用いた一般化プ
ラントを用いる。
【0114】すなわち、位置観測手段3の観測出力を、
積分器10および適当な整数αによってα倍する比例ゲ
イン9を並列に接続し、前記積分器10の出力と前記比
例ゲイン9の出力を加算したものを一般化プラントの状
態観測出力ye とする。
積分器10および適当な整数αによってα倍する比例ゲ
イン9を並列に接続し、前記積分器10の出力と前記比
例ゲイン9の出力を加算したものを一般化プラントの状
態観測出力ye とする。
【0115】そして、一般化プラントの制御出力とし
て、ロバスト安定のための制御出力ZS に加えて、積分
器10の出力に重み
て、ロバスト安定のための制御出力ZS に加えて、積分
器10の出力に重み
【0116】
【外23】 をかけた
【0117】
【外24】 および、制御指令信号uに重みR1/2をかけたzuを新た
に制御出力に加える。
に制御出力に加える。
【0118】さらに一般化プラントの外生入力として、
ロバスト安定のための外生入力wSに加えて、位置計測
手段3の出力端へ、重みNを乗じて加えられる入力を新
たな外生入力we を新たに外生入力として加える。
ロバスト安定のための外生入力wSに加えて、位置計測
手段3の出力端へ、重みNを乗じて加えられる入力を新
たな外生入力we を新たに外生入力として加える。
【0119】この新たな一般化プラントにおいては、
(11)式の条件を自動的に満たすので、外生信号wか
ら制御料zまでのH無限大ノルムを最小にするロバスト
安定化補償器8によって、従来の技術では難しかったロ
バストサーボ系を構成することができるわけである。
(11)式の条件を自動的に満たすので、外生信号wか
ら制御料zまでのH無限大ノルムを最小にするロバスト
安定化補償器8によって、従来の技術では難しかったロ
バストサーボ系を構成することができるわけである。
【0120】このとき、実際のロバストサーボ安定化補
償器12は、一般化プラントに対するロバスト安定化補
償器8を含む形で、制御対象7の観測出力yから制御入
力uまで、つまり一般化プラントに対するロバスト安定
化補償器8及び積分器10及び比例ゲイン9による伝達
特性
償器12は、一般化プラントに対するロバスト安定化補
償器8を含む形で、制御対象7の観測出力yから制御入
力uまで、つまり一般化プラントに対するロバスト安定
化補償器8及び積分器10及び比例ゲイン9による伝達
特性
【0121】
【外25】 で与えられる。
【0122】なお、図13の一般化プラントにおいて、
αの影響は新しい制御料ye にしか現れていないので、
実際のロバストサーボ安定化補償器12はαの設定に依
存しない。すなわち、(24)式の分子の(s+α)
は、
αの影響は新しい制御料ye にしか現れていないので、
実際のロバストサーボ安定化補償器12はαの設定に依
存しない。すなわち、(24)式の分子の(s+α)
は、
【0123】
【外26】 の極によって相殺されることを付記しておく。
【0124】また、図13においては、(11)式の条
件を満たすために付加した重み
件を満たすために付加した重み
【0125】
【外27】 の他にも各入出力に対する重みがある。これは先にも述
べたように、チューニングパラメータとして、先の表1
に示した特性を持つ。そしてこれによって、適切な特性
を有する制御系を、容易に実現するものである。
べたように、チューニングパラメータとして、先の表1
に示した特性を持つ。そしてこれによって、適切な特性
を有する制御系を、容易に実現するものである。
【0126】そこで、この重みの設定とその効果につい
て、さらに具体的に示す。例えばQ1/2 、
て、さらに具体的に示す。例えばQ1/2 、
【0127】
【外28】 などを、以下のチューニングパラメータkp 、ki 、k
d 、kr 、kn によって与えるものとする。
d 、kr 、kn によって与えるものとする。
【0128】
【外29】
【0129】このとき、それぞれのパラメータに対し
て、先の表1よりもさらに具体的な性質として、次のよ
うな性質が挙げられる。
て、先の表1よりもさらに具体的な性質として、次のよ
うな性質が挙げられる。
【0130】kp :kp を大きくすると、中間周波数帯
から高周波域に対して、ゲインが上がる傾向がある。ま
た、ステップ応答は速くなる。
から高周波域に対して、ゲインが上がる傾向がある。ま
た、ステップ応答は速くなる。
【0131】ki :ki を大きくすると、低周波域から
中間周波数帯にかけて、ゲインが上がる傾向にある。ス
テップ応答は速くなるが、オーバーシュートは大きくな
る傾向がある。
中間周波数帯にかけて、ゲインが上がる傾向にある。ス
テップ応答は速くなるが、オーバーシュートは大きくな
る傾向がある。
【0132】kd :kd を大きくすると、低周波のゲイ
ンが下がり、高周波域のゲインが上がる。ステップ応答
の立ち上がりは遅くなる。また、制御入力の変化が小さ
く、微小入力が長時間時持続する。
ンが下がり、高周波域のゲインが上がる。ステップ応答
の立ち上がりは遅くなる。また、制御入力の変化が小さ
く、微小入力が長時間時持続する。
【0133】kr :kr を大きくすると、制御入力の収
束が速く、滑らかで速いステップ応答が得られる。
束が速く、滑らかで速いステップ応答が得られる。
【0134】kn :kn を大きくすると、位相余裕、ゲ
イン余裕共に大きくなり、ロバスト性が向上する。
イン余裕共に大きくなり、ロバスト性が向上する。
【0135】このように本発明では、従来のH無限大ロ
バスト制御系では(11)式の条件を満たさなかったた
めに実現できなかったサーボ系を構成し、望ましい定常
特性を持たせることができる。またこれに加えて、適切
な重みによる外生入力及び制御出力によって、適切な特
性を有する制御系を、容易に実現することができる。す
なわち、望ましい1型のロバストサーボ安定化補償器
を、容易に構成することができるわけである。これは本
発明の特長のひとつである。
バスト制御系では(11)式の条件を満たさなかったた
めに実現できなかったサーボ系を構成し、望ましい定常
特性を持たせることができる。またこれに加えて、適切
な重みによる外生入力及び制御出力によって、適切な特
性を有する制御系を、容易に実現することができる。す
なわち、望ましい1型のロバストサーボ安定化補償器
を、容易に構成することができるわけである。これは本
発明の特長のひとつである。
【0136】次に、これも本発明の特長のひとつである
位置依存性を考慮したロバストサーボ安定化補償器13
について説明する。
位置依存性を考慮したロバストサーボ安定化補償器13
について説明する。
【0137】先に述べたように、従来技術では、制御対
象7の物理特性の位置依存性がある場合に、これを考慮
した、適切な不確かさの集合を用いたロバストサーボ制
御系を構成すことができなかった。そこで本発明では、
位置決め物体1の不確かさを含む動特性の集合を、前記
位置決め物体1の変位yS をパラメータとした、関数も
しくはテーブルとして一般化プラントを構成する。そし
て各々の変位における位置決め物体1に対するロバスト
サーボ安定化補償器12を求めて、位置決め物体1の変
位をパラメータとする関数もしくはテーブルとしてロバ
ストサーボ安定化補償器12を切り替えることを特長と
している。
象7の物理特性の位置依存性がある場合に、これを考慮
した、適切な不確かさの集合を用いたロバストサーボ制
御系を構成すことができなかった。そこで本発明では、
位置決め物体1の不確かさを含む動特性の集合を、前記
位置決め物体1の変位yS をパラメータとした、関数も
しくはテーブルとして一般化プラントを構成する。そし
て各々の変位における位置決め物体1に対するロバスト
サーボ安定化補償器12を求めて、位置決め物体1の変
位をパラメータとする関数もしくはテーブルとしてロバ
ストサーボ安定化補償器12を切り替えることを特長と
している。
【0138】本実施例では、制御対象7の特性の位置依
存性は、位置決め物体1の変位ySの関数として表しに
くいため、位置決め物体1の可動範囲を複数の領域に分
割し、それぞれの領域において(21)−(23)式で
与えられるようなディスクリプタ形式における不確かさ
の集合を求めている。そしてそれぞれの領域における一
般化プラントからそれぞれの領域のロバストサーボ安定
化補償器12を求め、パラメータ可変手段7を用いてこ
れらを切り替える、いわゆる制御対象7の物理特性の位
置依存性を考慮したロバストサーボ安定化補償器13を
構成する。
存性は、位置決め物体1の変位ySの関数として表しに
くいため、位置決め物体1の可動範囲を複数の領域に分
割し、それぞれの領域において(21)−(23)式で
与えられるようなディスクリプタ形式における不確かさ
の集合を求めている。そしてそれぞれの領域における一
般化プラントからそれぞれの領域のロバストサーボ安定
化補償器12を求め、パラメータ可変手段7を用いてこ
れらを切り替える、いわゆる制御対象7の物理特性の位
置依存性を考慮したロバストサーボ安定化補償器13を
構成する。
【0139】これによって、従来の技術に比べて不確か
さを適切に表現できるため、適切なロバスト性と固い制
御性能を実現するわけである。
さを適切に表現できるため、適切なロバスト性と固い制
御性能を実現するわけである。
【0140】次に数値実験によって本発明の効果を具体
的に示す。
的に示す。
【0141】数値実験では、 a)本発明の特長である、位置決め物体1の可動範囲を
複数の領域に分割し、それぞれの領域において、ディス
クリプタ形式を用いて不確かさの集合を記述して(すな
わち図8(a)の楕円)ロバストサーボ安定器補償器2
3を求め、これを切り替える、すなわち位置依存性を考
慮したロバストサーボ安定化補償器13による方法。
複数の領域に分割し、それぞれの領域において、ディス
クリプタ形式を用いて不確かさの集合を記述して(すな
わち図8(a)の楕円)ロバストサーボ安定器補償器2
3を求め、これを切り替える、すなわち位置依存性を考
慮したロバストサーボ安定化補償器13による方法。
【0142】b)従来の技術である、状態空間表現によ
る不確かさの集合(すなわち図8(b)の楕円)を用い
たサーボ安定化補償器による方法。の2つの制御系の比
較を行う。
る不確かさの集合(すなわち図8(b)の楕円)を用い
たサーボ安定化補償器による方法。の2つの制御系の比
較を行う。
【0143】なお、(24)式のチューニングパラメー
タは以下のように設定した。
タは以下のように設定した。
【0144】まず、a)のディスクリプタ形式につい
て、基準となるチューニングパラメータを次のように選
ぶ。
て、基準となるチューニングパラメータを次のように選
ぶ。
【0145】(DF Type0)kp =0,Ki =
0.01,kd =0,kr =0,kn=0.1 (2
6)
0.01,kd =0,kr =0,kn=0.1 (2
6)
【0146】ただし、このパラメータは、あくまで制御
対象を安定化するだけの基本設定であり、望ましい特性
を持たすためには、基本設定からチューニングアップを
図らなければならない。そこで、この(DF Type
0)のパラメータ設定に対して、その中のあるパラメー
タkx (x=p,i,d,r,n)を最適化(標準問題
が可解となるパラメータのうち、最大のものを最適とす
る。)した。また状態空間については、ディスクリプタ
形式の基本設定である(DF Type0)のゲイン特
性と、ほぼ同じゲイン特性を持つように定めたものであ
る。これを(SS Type0)とすると、以下のよう
な設定となる。
対象を安定化するだけの基本設定であり、望ましい特性
を持たすためには、基本設定からチューニングアップを
図らなければならない。そこで、この(DF Type
0)のパラメータ設定に対して、その中のあるパラメー
タkx (x=p,i,d,r,n)を最適化(標準問題
が可解となるパラメータのうち、最大のものを最適とす
る。)した。また状態空間については、ディスクリプタ
形式の基本設定である(DF Type0)のゲイン特
性と、ほぼ同じゲイン特性を持つように定めたものであ
る。これを(SS Type0)とすると、以下のよう
な設定となる。
【0147】(SS Type0)kp =0,Ki =1
0,kd =0,kr =0,kn =0.0035 (2
7) そして、ディスクリプタ形式と同様にしてkx (x=
p,i,d,r,n)を最適化し、比較を行った。
0,kd =0,kr =0,kn =0.0035 (2
7) そして、ディスクリプタ形式と同様にしてkx (x=
p,i,d,r,n)を最適化し、比較を行った。
【0148】その一例として、kp を最適化としたとき
の、(DF Type p)及び(SS Type
p)の結果を示す。図14は一巡伝達特性、図15はス
テップ応答であり、比較のために基本設定である(DF
Type0)及び(SS Type0)も併せて示し
ている。
の、(DF Type p)及び(SS Type
p)の結果を示す。図14は一巡伝達特性、図15はス
テップ応答であり、比較のために基本設定である(DF
Type0)及び(SS Type0)も併せて示し
ている。
【0149】図14より、従来の技術を用いた制御系の
位相余裕、ゲイン余裕は、本発明の一巡伝達特性よりも
大きな値となっていることがわかる。したがって、従来
技術の方がより高いロバスト性を有していることになる
が、逆にそれだけ制御性能を犠牲にした制御系であるこ
とがわかる。これは、従来の技術では、不確かさの見積
りをタイトに設定できず、必要以上に大きく設定してし
まうことから生じる。
位相余裕、ゲイン余裕は、本発明の一巡伝達特性よりも
大きな値となっていることがわかる。したがって、従来
技術の方がより高いロバスト性を有していることになる
が、逆にそれだけ制御性能を犠牲にした制御系であるこ
とがわかる。これは、従来の技術では、不確かさの見積
りをタイトに設定できず、必要以上に大きく設定してし
まうことから生じる。
【0150】これに対して、本発明では、制御対象7の
物理特性の位置依存性を考慮し、位置決め物体1の位置
に応じたディスクリプタ表現による適切な不確かさの集
合を用い、対応するロバストサーボ安定化補償器12を
切り替えるので、適切なロバスト性を有し、かつ高い制
御性能を有するバランスのとれたロバストサーボ制御系
が実現できる。
物理特性の位置依存性を考慮し、位置決め物体1の位置
に応じたディスクリプタ表現による適切な不確かさの集
合を用い、対応するロバストサーボ安定化補償器12を
切り替えるので、適切なロバスト性を有し、かつ高い制
御性能を有するバランスのとれたロバストサーボ制御系
が実現できる。
【0151】図15より、従来の技術では、最適化を施
した(SS Type p)においても応答はアンダー
シュートとなり、保守的な特性となっているの対し、本
発明による(DF Type p)の制御系の応答はサ
ーボ系として適切な特性を示していることがわかる。
した(SS Type p)においても応答はアンダー
シュートとなり、保守的な特性となっているの対し、本
発明による(DF Type p)の制御系の応答はサ
ーボ系として適切な特性を示していることがわかる。
【0152】つぎに本発明の特長である、位置依存性を
考慮したロバストサーボ安定化補償器13による実験結
果を示す。
考慮したロバストサーボ安定化補償器13による実験結
果を示す。
【0153】図16は位置決め物体1の初期位置を0に
設定し、指令値rを r:1000,2000,3000,4000(Pul
se) に設定したときのステップ応答を指令値rで規格化した
ものである。
設定し、指令値rを r:1000,2000,3000,4000(Pul
se) に設定したときのステップ応答を指令値rで規格化した
ものである。
【0154】また、図17は指令値rを1000に設定
し、位置決め物体1の初期位置y0を、複数の領域であ
る、 y0 :0,2000,4000,6000 (Puls
e) に設定したときのステップ応答を指令値rで規格化した
ものである。
し、位置決め物体1の初期位置y0を、複数の領域であ
る、 y0 :0,2000,4000,6000 (Puls
e) に設定したときのステップ応答を指令値rで規格化した
ものである。
【0155】ただし、チューニングパラメータは、各領
域共に kp =30,Ki =0.1,kd =0.1,kr =30
00,kn =0.001 (28) に設定した。これは、本発明の特長であるチューニング
パラメータとその効果から、応答を早くするにはkp 、
ki 、kd を大きくし、kd 、kn を小さくすると良い
ことがわかっているので、これを考慮して、数回の試行
によって選定したものである。そしてこのパラメータで
設計したロバストサーボ安定化補償器12を、サンプリ
ング周期1msで双一次変換して実装した。
域共に kp =30,Ki =0.1,kd =0.1,kr =30
00,kn =0.001 (28) に設定した。これは、本発明の特長であるチューニング
パラメータとその効果から、応答を早くするにはkp 、
ki 、kd を大きくし、kd 、kn を小さくすると良い
ことがわかっているので、これを考慮して、数回の試行
によって選定したものである。そしてこのパラメータで
設計したロバストサーボ安定化補償器12を、サンプリ
ング周期1msで双一次変換して実装した。
【0156】こうした設計が、少ない試行で行えるのは
本発明の特長である、一般化プラントの重みをチューニ
ングパラメータとして用い、かつその効果を明らかにし
た技術によるものであり、従来の技術では達成できない
ものである。
本発明の特長である、一般化プラントの重みをチューニ
ングパラメータとして用い、かつその効果を明らかにし
た技術によるものであり、従来の技術では達成できない
ものである。
【0157】図16、図17より実機実験によって本発
明を用いた制御系では、目標値rあるいは初期位置y0
に依存せずに、サーボ系として適切な特性が得られてい
る。言い換えれば、高い制御性能と適切なロバスト特性
を有した制御系を実現していることがわかる。これは従
来の技術では達成できないものである。
明を用いた制御系では、目標値rあるいは初期位置y0
に依存せずに、サーボ系として適切な特性が得られてい
る。言い換えれば、高い制御性能と適切なロバスト特性
を有した制御系を実現していることがわかる。これは従
来の技術では達成できないものである。
【0158】以上説明した実施例によれば、以下に示す
効果がある。
効果がある。
【0159】1)ディスクリプタ形式の一般化プラント
によって、適切な構造的な不確かさの見積りを記述し、
これを用いたロバスト安定化補償器によって、従来のH
無限大制御系で問題であった、「不確かさの見積りが適
切に設定できず、必要な制御性能を確保できない」とい
う問題点を解決するものである。
によって、適切な構造的な不確かさの見積りを記述し、
これを用いたロバスト安定化補償器によって、従来のH
無限大制御系で問題であった、「不確かさの見積りが適
切に設定できず、必要な制御性能を確保できない」とい
う問題点を解決するものである。
【0160】2)(11)式のランク条件を満たすため
の制御出力及び、制御系のチューニングを容易にするた
めの、重みを有する制御出力及び外生入力を備えた一般
可プラントによって、従来のH無限大制御では実現でき
なかった、1型のロバストサーボ系が実現でき、なおか
つチューニングパラメータによる適切な制御系の実現を
容易にするものである。
の制御出力及び、制御系のチューニングを容易にするた
めの、重みを有する制御出力及び外生入力を備えた一般
可プラントによって、従来のH無限大制御では実現でき
なかった、1型のロバストサーボ系が実現でき、なおか
つチューニングパラメータによる適切な制御系の実現を
容易にするものである。
【0161】3)位置決め物体及び制御手段の変位に依
存した物理特性の変動を、「制御物体の位置に依存した
関数もしくはテーブル」として与え、各変位におけるロ
バストサーボ安定化補償器を、制御物体の位置に依存し
た関数もしくはテーブルとして、連続的に変化させる
か、もしくは切り替えることによって、位置決め物体の
物理特性の位置依存性が強い場合にも、従来の技術に比
べ、全面にわたって安定かつ適切な制御特性を確保す
る、いわゆる制御対象の位置依存性を考慮したロバスト
サーボ安定化補償器を実現するものである。
存した物理特性の変動を、「制御物体の位置に依存した
関数もしくはテーブル」として与え、各変位におけるロ
バストサーボ安定化補償器を、制御物体の位置に依存し
た関数もしくはテーブルとして、連続的に変化させる
か、もしくは切り替えることによって、位置決め物体の
物理特性の位置依存性が強い場合にも、従来の技術に比
べ、全面にわたって安定かつ適切な制御特性を確保す
る、いわゆる制御対象の位置依存性を考慮したロバスト
サーボ安定化補償器を実現するものである。
【0162】なお、上記実施例では1軸の位置決め装置
の例を説明したが、図5に示すXYステージや、ロボッ
トアームなど、一般の位置決め制御などにも全く同様に
本発明を実施することが可能である。例えばXYステー
ジにおいては、先に説明したように、制御対象の物理特
性が、ステージ変位の関数として記述できるので、本発
明によれば、ロバストサーボ安定化補償器をステージ変
位の関数として実現することによって、更に適切な不確
かさの表現を与えることができ、したがってより適切な
ロバスト性と制御特性を有する制御系を実現できる。
の例を説明したが、図5に示すXYステージや、ロボッ
トアームなど、一般の位置決め制御などにも全く同様に
本発明を実施することが可能である。例えばXYステー
ジにおいては、先に説明したように、制御対象の物理特
性が、ステージ変位の関数として記述できるので、本発
明によれば、ロバストサーボ安定化補償器をステージ変
位の関数として実現することによって、更に適切な不確
かさの表現を与えることができ、したがってより適切な
ロバスト性と制御特性を有する制御系を実現できる。
【0163】ロボットアームについても同様である。
【0164】次に上記説明した位置決め装置を含む露光
装置を利用したデバイスの製造方法の実施例を説明す
る。該露光装置は上記位置決め装置によってマスクに対
してウエハを位置決めしてマスクパターンをウエハに露
光転写するものである。
装置を利用したデバイスの製造方法の実施例を説明す
る。該露光装置は上記位置決め装置によってマスクに対
してウエハを位置決めしてマスクパターンをウエハに露
光転写するものである。
【0165】図19は微小デバイス(ICやLSI等の
半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、
マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1
(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ス
テップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形
成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製
造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記
用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術に
よってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ
5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4にょって
作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であ
り、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、
パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ス
テップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デ
バイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行
う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これ
が出荷(ステップ7)される。
半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、
マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1
(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ス
テップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形
成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製
造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記
用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術に
よってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ
5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4にょって
作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であ
り、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、
パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ス
テップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デ
バイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行
う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これ
が出荷(ステップ7)される。
【0166】図19は上記ウエハプロセスの詳細なフロ
ーを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸
化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶
縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ
上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオ
ン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ1
5(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ス
テップ16(露光)では上記説明した位置決め装置によ
ってマスクに対してウエハを位置決めして、マスクの回
路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現
像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エ
ッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取
る。ステップ19(レジス剥離)ではエッチングが済ん
で不要となったレジストを取り除く。これらのステップ
を繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パ
ターンが形成される。本実施例の製造方法を用いれば、
従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを高
い生産性が製造することができる。
ーを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸
化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶
縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ
上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオ
ン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ1
5(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ス
テップ16(露光)では上記説明した位置決め装置によ
ってマスクに対してウエハを位置決めして、マスクの回
路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現
像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エ
ッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取
る。ステップ19(レジス剥離)ではエッチングが済ん
で不要となったレジストを取り除く。これらのステップ
を繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パ
ターンが形成される。本実施例の製造方法を用いれば、
従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを高
い生産性が製造することができる。
【0167】
【発明の効果】本発明によれば、位置決め性能とロバス
ト性を高い次元で両立させた位置決め装置を提供するこ
とができる。又、この位置決め装置をデバイス製造に利
用すれば、デバイスの集積度と生産性を高い次元で両立
させることができる。
ト性を高い次元で両立させた位置決め装置を提供するこ
とができる。又、この位置決め装置をデバイス製造に利
用すれば、デバイスの集積度と生産性を高い次元で両立
させることができる。
【図1】本発明の特長を最も良く表す位置決め装置の一
実施例を示す図。
実施例を示す図。
【図2】制御性能とロバスト性能の関係を示す図。
【図3】標準H無限大制御問題における一般化プラント
を示す図。
を示す図。
【図4】状態空間における不確かさの集合と実パラメー
タ空間における不確かさの関係を示す図。
タ空間における不確かさの関係を示す図。
【図5】XYステージの一例を示す図。
【図6】ディスクリプタ形式を用いた不確かさを含む制
御対象のブロック図。
御対象のブロック図。
【図7】状態空間における不確かさの集合を含む楕円と
実パラメータ空間における不確かさを含む楕円の関係を
示す図。
実パラメータ空間における不確かさを含む楕円の関係を
示す図。
【図8】本発明の特長である位置依存性を考慮した不確
かさを含む楕円と従来の技術による不確かさを含む楕円
の関係を示す図。
かさを含む楕円と従来の技術による不確かさを含む楕円
の関係を示す図。
【図9】制御対象のステップ応答を示した図。
【図10】パラメータT、Kの分布と本発明の特長であ
るディスクリプタ形式による不確かさの集合を含む楕円
を示した図。
るディスクリプタ形式による不確かさの集合を含む楕円
を示した図。
【図11】パラメータK/T、1/Tの分布と本発明の
特長であるディスクリプタ形式による不確かさの集合を
含む楕円を示した図。
特長であるディスクリプタ形式による不確かさの集合を
含む楕円を示した図。
【図12】ディスクリプタ形式と状態空間の不確かさを
含む楕円を比較した図。
含む楕円を比較した図。
【図13】本発明の特長であるロバストサーボ制御系の
ブロック図。
ブロック図。
【図14】数値実験における一巡伝達特性を示した図。
【図15】数値実験におけるステップ応答を示した図。
【図16】目標値rを変えてステップ動作させたときの
応答を示した図。
応答を示した図。
【図17】位置決め物体の初期位置を変えてステップ動
作させたときの応答を示した図。
作させたときの応答を示した図。
【図18】デバイスの製造フローを示す図。
【図19】ウエハプロセスの詳細なフローを示す図。
1 位置決め物体 2 駆動回路 3 位置計測手段 4 リニアモータ 5 リニアガイド 6 駆動手段 7 制御対象 8 一般化プラントに対するロバスト安定化補償器 9 比例ゲイン 10 積分器 11 パラメータ可変手段 12 構成される制御対象7に対するロバストサーボ安
定化補償器 13 制御対象の物理特性の位置依存性を考慮した制御
対象に対するロバストサーボ安定化補償器
定化補償器 13 制御対象の物理特性の位置依存性を考慮した制御
対象に対するロバストサーボ安定化補償器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/68 G
Claims (5)
- 【請求項1】 物体を位置決め駆動する駆動手段と、前
記物体の変位状態を観測する状態観測手段と、前記状態
観測手段による状態観測信号と制御目標値によって、前
記駆動手段への制御指令信号を生成する、前記物体の制
御のための安定化補償器とを備えた位置決め装置におい
て、 ディスクリプタ形式によって、前記物体及び制御手段に
おける構造的な不確かさを含む動特性の集合を表現し、 前記ディスクリプタ形式による動特性の集合を含む一般
化プラントにおける、外生入力から制御出力までのH無
限大ノルムを最小にし、かつ前記ディスクリプタ形式に
よる一般化プラントを安定化する、前記一般化プラント
に対する安定化補償器を用いて、 前記物体の制御のための安定化補償器の一部として、前
記ディスクリプタ形式による一般化プラントに対する安
定化補償器を含むことを特徴とする位置決め装置。 - 【請求項2】 前記状態観測手段による状態観測出力端
に、積分器及び比例ゲインを並列に接続して、前記積分
器の出力と前記比例ゲインの出力を加算したものを前記
ディスクリプタ形式による一般化プラントの状態観測出
力とし、 前記状態観測手段による状態観測出力端へ、適切な重み
を乗じた後に加えられる入力を、前記ディスクリプタ形
式による一般化プラントの外生入力の一部として備え、 前記積分器からの出力に適切な重みを乗じた出力と、前
記制御指令信号に適切な重みを乗じた出力とを、前記デ
ィスクリプタ形式による一般化プラントの制御出力の一
部として備えるように構成して、 前記ディスクリプタ形式による一般化プラントにおけ
る、外生入力から制御出力までのH無限大ノルムを最小
にし、かつ前記ディスクリプタ形式による一般化プラン
トを安定化する、前記ディスクリプタ形式による一般化
プラントに対する安定化補償器を用いて、前記ディスク
リプタ形式による一般化プラントに対する安定化補償器
と、前記積分器と前記比例ゲインによって、前記物体の
制御のための安定化補償器を構成することを特徴とする
請求項2の前記位置決め装置。 - 【請求項3】 請求項1又は2の位置決め装置によって
基板の位置決めを行う装置と、 該位置決めされた基板に露光を行う露光装置と、を有す
ることを特徴とする露光システム。 - 【請求項4】 物体の状態を検出した結果と制御目標値
とによって制御信号を生成して、この制御信号によって
物体の位置決め制御を行う位置決め方法であって、ディ
スクプリタ形式で表現された構造的な不確かさを含む動
特性の集合を用いて前記制御信号を生成することを特徴
とする位置決め方法。 - 【請求項5】 前記集合は、物体の変位をパラメータと
した関数もしくはテーブルとして構成され、前記ディス
クリプタ形式による一般化プラントに対する安定化補償
器を含む前記物体に対する安定補償器を、前記物体の変
位をパラメータとする関数もしくはテーブルとして切り
替えることを特徴とする請求項4の位置決め方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33749293A JPH07200009A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 位置決め装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33749293A JPH07200009A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 位置決め装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07200009A true JPH07200009A (ja) | 1995-08-04 |
Family
ID=18309164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33749293A Withdrawn JPH07200009A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 位置決め装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07200009A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10163100A (ja) * | 1996-11-28 | 1998-06-19 | Nikon Corp | 投影露光装置及び投影露光方法並びに走査露光方法 |
JP2010093256A (ja) * | 2008-10-09 | 2010-04-22 | Asml Netherlands Bv | 位置決めシステム、方法、及びリソグラフィ装置 |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP33749293A patent/JPH07200009A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10163100A (ja) * | 1996-11-28 | 1998-06-19 | Nikon Corp | 投影露光装置及び投影露光方法並びに走査露光方法 |
JP2010093256A (ja) * | 2008-10-09 | 2010-04-22 | Asml Netherlands Bv | 位置決めシステム、方法、及びリソグラフィ装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010306 |