JPH07198844A - 水中物体位置計測装置及び物体位置計測装置及び遠隔投下装置 - Google Patents

水中物体位置計測装置及び物体位置計測装置及び遠隔投下装置

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JPH07198844A
JPH07198844A JP5336055A JP33605593A JPH07198844A JP H07198844 A JPH07198844 A JP H07198844A JP 5336055 A JP5336055 A JP 5336055A JP 33605593 A JP33605593 A JP 33605593A JP H07198844 A JPH07198844 A JP H07198844A
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JP
Japan
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sonar
underwater object
hydrophone
depth
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Application number
JP5336055A
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English (en)
Inventor
Kazuo Aso
和男 麻生
Shigeharu Kawai
滋晴 河合
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Mitsubishi Precision Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Precision Co Ltd
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Publication date
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コストアップを招くことなく自由な位置計測
海域で効率的に水中物体の位置を計測することのできる
水中物体位置計測装置を得る。 【構成】 複数のブイモニタ装置13の位置情報を得る
自己位置計測装置と、水中物体31からのソナー情報を
得るソナー装置と、位置情報及びソナー情報を送受信す
る送受信装置131と、位置情報及びソナー情報に基づ
いて水中物体の位置計測処理を行う位置計算装置とを備
え、ソナー装置は、複数のハイドロフォン14のアレイ
と、ハイドロフォンの最下部に装着されたセンサ部15
及び保持分離装置18を介した重錘16と、遠隔操作に
より重錘部を投下させる遠隔投下装置とを有し、センサ
部は、ハイドロフォンの最下部の深度、水温、塩分及び
方位傾度を検出してソナー情報に重畳させる。又、遠隔
投下装置によりブイモニタ装置の揚収時に重錘部を切り
離す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ハイドロフォン及び
浮遊式のブイモニタ装置を用いて潜水艇等の水中物体の
位置を計測する装置、及びセンサ部を用いた物体計測装
置、及びスリップを用いた遠隔投下装置に関し、特にコ
ストアップを招くことなく自由な位置計測海域で効率的
に位置計測可能な水中物体位置計測装置、及び任意位置
の物体を計測可能な物体位置計測装置、及び操作が容易
で確実な遠隔投下装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11は従来の海中設置式の水中物体位
置計測装置を説明するための斜視図であり、図におい
て、11は海面、71は位置計測装置(後述する)を有
し海面11上を航行する船舶、72は海底である。
【0003】31は海中を浮遊する例えば潜水艇等の水
中物体であり、船舶71に搭載された計測装置本体と関
連する位置計測用要素、即ち時計装置(図示せず)と、
超音波発信器即ちピンガ311と、航走データ等を記録
する記録装置81とが搭載されている。
【0004】14は水中物体31からのソナー情報を感
知するハイドロフォン(音響センサ)であり、海面11
と海底72との間の例えば3カ所に複数個ずつ垂直に装
備されている。14aは海面11側のハイドロフォン、
14bは海底72側のハイドロフォンである。ここで
は、便宜的に2個のハイドロフォン14a及び14bを
示したが、1個、もしくは3個以上のハイドロフォン1
4a、14b、14c…が等間隔で設けられる場合もあ
る。
【0005】13は各々ブイ式の送信装置即ちアンテナ
131を有する位置計測用のブイモニタ装置であり、海
面11上に位置して各ハイドロフォン14a及び14b
を一定の深度に保つと共に、水中物体31から発せられ
たソナー情報を位置計測装置を有する船舶等71に伝え
る。
【0006】17は各ハイドロフォン14a及び14b
とブイモニタ装置13とを連接する信号ケーブル即ちリ
ード線、73は海底72に位置決め固定されてハイドロ
フォン14を水中に係留するための錨である。なお、図
11の例では、ブイ式の送信装置のアンテナ131から
位置計測装置を有する船舶71等に対して、ソナー情報
等を電波で伝送したが、図示しない海底ケーブルを通し
て電気的に陸上等に設置された計測装置本体82に伝送
する場合もあり得る。
【0007】図12〜図14は従来の水中物体31に搭
載された位置計測装置の構成要素を示し、図12は航走
データ等の記録装置81を示す外観図、図13は磁気カ
セットテープに記録されるデータを示す機能ブロック
図、図14は航走データ等を記録解析する記録解析装置
を示すブロック図である。
【0008】図12において、(a)はデータ記録部を
含む記録部外筒、(b)はデータ記録部に設置される磁
気カセットテープであり、記録装置81は、以下の要素
811〜813から構成されている。811は水中物体
31の一部を構成する記録部外筒、812は記録部外筒
811に内蔵されたデータ記録部、813はデータ記録
部812に装着される磁気カセットテープである。
【0009】又、図13に示すように、データ記録部8
12は、各種データを記録するための磁気カセットテー
プ813と、水中物体31の時間データを取得する時間
計測部813aと、深度データを取得する水深検出部8
13bと、コースピッチ角及び旋回率データを取得する
舵機方位検出部813cと、速力データを取得する推進
器回転検出部813dとを備えている。
【0010】図14において、82は航走データ等の記
録解析を行う記録解析装置であり、以下の要素821〜
824から構成されている。821は磁気テープ入出力
部およびキーボードからなるデータ入力再生部、822
はコンピュータからなるデータ解析処理部であり、デー
タ入力再生部821は、磁気カセットテープ813に記
録されている航走データをデータ解析処理部822に入
力すると共に、磁気カセットテープ813内の記録デー
タを生データとして再生する。
【0011】823はデータ解析処理部822に接続さ
れた解析表示部であり、CRTディスプレイ又はX−Y
プロッタ等からなり、計測された水中物体31の位置及
び航跡等を表示する。824はデータ解析処理部822
に接続された解析記録部であり、水中物体31の位置及
び航跡等を記録するフロッピィディスク等からなる。
【0012】次に、図15〜図18の説明図を参照しな
がら、図11〜図14に示した従来の水中物体位置計測
装置の動作について説明する。まず、水中物体31に対
する水平面の位置情報の計測について説明すると、音波
検知器となる複数のハイドロフォン14を図11のよう
に予め海中に設置し、相互の距離位置を計測しておく。
【0013】一方、計測対象となる水中物体31には前
述の時計装置及びピンガ311等が取付けられており、
ピンガ311からの超音波(ピンガ音)は、一定の時間
で発信される。各ハイドロフォン14は、ピンガ音を受
信し、リード線17を介してブイモニタ装置13に伝送
し、アンテナ131から電波信号として船舶71上の位
置計測装置本体(図示せず)に送信する。
【0014】従って、船舶71上の位置計測装置本体
は、ピンガ音が各ハイドロフォン14に到達する時間を
計測し、この時間に音速を乗じることにより、ハイドロ
フォン14から水中物体31上のピンガ311までの距
離を計算することができる。従来より、この計算方法に
基づき、例えば図15に示す三角測量法により水中物体
31の位置を計測する手法がある。
【0015】図15において、12a〜12cは3カ所
に設置されたブイモニタ局であり、それぞれ、ブイモニ
タ装置13及びハイドロフォン14から構成されてい
る。41は各ブイモニタ局12a〜12cによって受信
されるピンガ311からの音響パルスであり、それぞ
れ、図示したように矩形波等からなっている。
【0016】又、水中物体31に対する垂直面の位置情
報の計測については、水中物体31に水圧センサ(図示
せず)を取り付け、ピンガ311からの信号に深度(水
圧)情報を重畳させ、これを船舶71に設置された計測
装置本体が受信し、計測装置本体内のデータ解析処理部
822が深度を解読することによって垂直面位置を計測
する方法もある。
【0017】更に、図14の記録解析装置82に含まれ
るデータ解析処理部822は、データ記録部812内の
磁気カセットテープ813に記録された時間データ81
3a、深度データ813b、コース・ピッチ・旋回率デ
ータ813c及び速力データ813dに基づき、例えば
図16に示すアルゴリズムを用いて、図17及び図18
に示すように水中物体31の位置及び航跡を算出し、こ
れを解析表示部823に表示する。
【0018】図16において、ΔRiは或る時刻の航走
開始点O(XYZ空間の原点)からΔt秒経過後の水中
物体31の航走距離、Xi、Yi及びZiは航走距離Δ
RiのX軸、Y軸及びZ軸上の座標値、θiは航走距離
ΔRiのX−Y平面上でのコース角、Φiは航走距離Δ
RiのX−Y平面に対するピッチ角である。又、Z軸方
向の座標値Ziは水深Diに相当する。
【0019】ここで、船舶71のスクリュー回転数をr
i[rpm]、速力係数をk、旋回率をωi[Deg/
sec]、初期コース角をθo、各Δt秒間での水深を
Di、最終的な水深をDとすれば、船舶71の速力Vi
[kT]、航走距離ΔRi、コース角θi[Deg]及
びピッチ角Φi[Deg]は、それぞれ、以下のように
表わされる。
【0020】Vi=ri・k ΔRi=Vi・Δt θi=θo+Σωi・Δt Φi=sin-1ΔZi/ΔRi
【0021】又、水中物体31をXYZ空間に投影した
各座標値Xi、Yi及びZi、並びに、水中物体31の
最終的な三次元座標X、Y及びZは、それぞれ、以下の
ように表わされる。
【0022】Xi=ΔRi・cosΦi・cosθi Yi=ΔRi・cosΦi・sinθi Zi=Di X=ΣXi Y=ΣYi Z=D
【0023】図17は垂直面(深度)の航跡を示す説明
図であり、横軸は時間スケール、縦軸は海面11からの
深度、Oは水中物体31の航走開始点である。ここで
は、水中物体31は、海面11から急激に潜入した後、
一定の深度xxを航走した航跡をとった場合を示してい
る。又、航跡曲線上のx印は、時刻xxにおける水中物
体31の位置であり、このように水中物体31の位置を
連続して計測することにより、図17の航跡が得られ
る。
【0024】又、図18は水平面の航跡を示す説明図で
あり、横軸は東(E)方向の距離、縦軸は北(N)方向
の距離を示す。ここでは、X−Y(E−N)平面上を水
中物体31が航走開始点Oからほぼ直進で北東に航走し
た航跡をとった場合を示している。又、航走開始点O
は、位置及び方位線データで表わされる。
【0025】尚、航跡曲線上に刻まれたスケールは時間
スケールである。又、航跡曲線上のx印は、時刻xxに
おける水中物体31の水平面位置であり、各計測位置を
連続してトレースすることにより、図18の航跡が得ら
れる。
【0026】このように、ブイモニタ装置13及びハイ
ドロフォン14からなる3カ所のブイモニタ局12a〜
12cを介して、船舶71内の位置計測装置本体により
水中物体31の航跡が得られる。しかしながら、複数カ
所にブイモニタ局12a〜12cを設置する際に、予め
相互の位置を正確に知る必要がある。
【0027】又、図19に示すように、もし錨73を用
いない場合には、矢印で示す海潮流によってハイドロフ
ォン14の位置がずれてしまい、水中物体31の位置を
正確に計測することができなくなってしまう。ここで
は、1個のブイモニタ装置13が5個のハイドロフォン
14a〜14eを有する場合を示す。
【0028】そこで、図11のように錨73によりハイ
ドロフォン14の位置を一定に保持しているが、各錨7
3を海底72に固定させ、更に水中物体31の位置計測
後に揚収するためには、海底72の地理条件が制約され
るうえ、多大の時間及び労力がかかりコストアップにつ
ながる。特に、深い海域や荒天時において、これらの作
業が著しく困難になることは明らかである。
【0029】例えば、ハイドロフォン14で受信された
水中物体31からの超音波信号をブイモニタ装置13か
ら電波信号として船舶71上の位置計測装置本体に送信
するためには、アンテナ131を海面11上に浮上させ
なければならない。このとき、海面11並びに海底72
の深さに合わせてリード線17を調整し、ハイドロフォ
ン14の深度を調整する必要がある。
【0030】従って、海潮流等の影響が少ない水深の限
定された海域を選定する必要があり、効率的な位置計測
を運用することはできない。又、ピンガ音の送信タイミ
ングに対して受信タイミングを同期させて水中物体31
の航跡を得るために、水中物体31に位置計測装置とし
ての機能を搭載する必要があり、時計装置、深度センサ
及びピンガ311を取り付ける必要があった。
【0031】更に、水中物体31に搭載された位置計測
装置は、水中物体31を揚収して陸上の施設に持ち帰っ
た後で、航跡の確認のために用いられる。即ち、記録部
外筒811を水中物体31から分離し、磁気カセットテ
ープ813に記録された航走データを記録解析装置82
のデータ入力再生部821から入力すると共に、水中物
体31の初期の位置及び方位線データである航走開始点
Oを入力し、航走データとリンクさせながら水中物体3
1の位置を算出する。この場合、水中物体31の位置計
測には長い時間を必要とし、リアルタイムに水中物体3
1の位置及び航跡を計測することはできない。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】従来の水中物体位置計
測装置は以上のように、ハイドロフォン14を設置する
際に、各ハイドロフォン14の正確な位置を予め計測す
る必要があるうえ、ブイモニタ局12a〜12cの設置
及び揚収に多大な時間を必要とし、コストアップにつな
がるという問題点があった。
【0033】又、各ブイモニタ局12a〜12cにおい
て、海域条件に応じたリード線17の長さ調整及びハイ
ドロフォン14の深度調整を必要とするうえ、海域を選
定する必要があり、効率的な計測運用が実現することが
できないという問題点があった。又、同期信号を受信し
て航跡を算出するために、水中物体31にピンガ311
等を搭載する必要があるという問題点があった。
【0034】更に、ハイドロフォン14を揚収する際
に、安全性や負荷軽減のために錨73を切り離すことが
望ましいが、一般に市販されているスリップ(図示せ
ず)を介在させた場合、スリップ保持リンクをハンマで
叩いて外す必要があり、多大な労力を要するという問題
点があった。
【0035】この発明の請求項1〜請求項4は、上記の
ような問題点を解決するためになされたもので、コスト
アップを招くことなく自由な位置計測海域で効率的に水
中物体の位置(航跡)を計測することのできる水中物体
位置計測装置を得ることを目的とする。
【0036】又、この発明の請求項5は、コストアップ
を招くことなく自由な位置計測域で効率的に物体の位置
を計測することのできる物体位置計測装置を得ることを
目的とする。
【0037】又、この発明の請求項6及び請求項7は、
重錘部を容易に且つ確実に投下することのできる遠隔投
下装置を得ることを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る水中物体位置計測装置は、海上に敷設された浮遊体か
らなる複数のブイモニタ装置と、陸上又は船上等に設置
された計測装置本体とを備え、ブイモニタ装置は、ブイ
モニタ装置の位置情報を得るための自己位置計測装置
と、水中物体からのソナー情報を得るためのソナー装置
と、位置情報及びソナー情報を電波信号によって送信す
る送信装置とを有し、計測装置本体は、電波信号を受信
する受信装置と、位置情報及びソナー情報に基づいて水
中物体の位置計測処理を行う位置計算装置とを有し、ソ
ナー装置は、ブイモニタ装置に吊下された複数のハイド
ロフォンのアレイと、ハイドロフォンの最下部に装着さ
れたセンサ部と、センサ部の下部に保持分離装置を介し
て装着された重錘部と、保持分離装置を遠隔操作で分離
して重錘部を投下させる遠隔投下装置とを有し、センサ
部は、ハイドロフォンの最下部の深度、水温、塩分及び
方位傾度を検出してソナー情報に重畳させるものであ
る。
【0039】又、この発明の請求項2に係る水中物体位
置計測装置は、請求項1において、計測装置本体は、ソ
ナー情報の到達時間情報を得るための時計計測器と、位
置情報及び到達時間情報に基づいて水中物体の位置計測
を行う位置計算手段とを含み、位置計算手段は、拡大円
交点収れん点算出アルゴリズムを用い、最初に到達した
ソナー情報を基準として、各ブイモニタ装置からのソナ
ー情報の第1の到達時間差を計測し、第1の到達時間差
に水中音速を乗じて各ハイドロフォンから水中物体まで
の第1の距離を算出し、各ハイドロフォンを中心とする
第1の円の半径を各第1の距離から微小距離ずつ増分
し、各第1の円が交わる交点又は最小に収れんした面を
水中物体の水平面位置とすると共に、ハイドロフォンの
アレイのうちの最初に到達したソナー情報を基準とし
て、各深度毎のアレイ中の各ハイドロフォンに対する水
中物体からのソナー情報の第2の到達時間差を計測し、
第2の到達時間差に水中音速を乗じてアレイ中の各ハイ
ドロフォンから水中物体までの第2の距離を算出し、ア
レイ中の各ハイドロフォンを中心とする第2の円の半径
を第2の距離から微小距離ずつ増分し、各第2の円が交
わる交点又は最小に収れんした2つの面のうち、ソナー
情報の音速線方向側の面を水中物体の深度位置とするも
のである。
【0040】又、この発明の請求項3に係る水中物体位
置計測装置は、請求項2において、自己位置計測装置は
GPSを含み、計測装置本体は、正確に地理位置の判明
している既知の基準局で計測した基準局からの総合誤差
データを受信し、位置計算手段は、水平面位置又は深度
位置が有限な面をもって1点に交わらない場合、GPS
に基づいて計測されたブイモニタ装置の位置誤差につい
ては、総合誤差データに基づいて、人工衛星からの時計
及び軌道誤差、電離層及び対流圏誤差、マルチパス誤差
並びに意図的誤差等を補正し、ハイドロフォンの水平面
位置誤差及び深度位置誤差については、センサ部からの
深度情報及び方位傾度情報並びに重錘部の重量に基づい
て偏位誤差を補正し、ソナー情報の音速線誤差について
は、センサ部からの深度情報、水温情報及び塩分情報に
基づいて各計測海域の水中音速を計算し、水中物体から
のソナー情報が水中音速の異なる媒質中を伝ぱんする際
に生ずる音速線傾路及び屈折率を解析して総合的な音速
線を算出し、水中物体及びハイドロフォン間の幾何学的
な直線距離を算出し、時計計測器によって計測された到
達時間情報に基づいて直線距離を伝ぱんしたときの音速
線を再構成し、時計計測器の誤差については、GPSの
人工衛星から送信される時刻情報又は所定の時刻情報に
基づいて校正し、ブイモニタ装置からのソナー情報が計
測装置本体内の時計計測器に届くまでの総合遅延誤差を
補正し、幾何学的な直線距離から深度成分を補正し、ハ
イドロフォンから水中物体までの真の水平距離を計測
し、水中物体の深度位置及び水平面位置を総合的に誤差
補正して計測するものである。
【0041】又、この発明の請求項4に係る水中物体位
置計測装置は、請求項2又は請求項3において、位置計
算手段は、深度位置については、ブイモニタ装置の数と
同数の深度位置情報を取得し、水平面位置については、
複数のブイモニタ装置を1組として、1つのブイモニタ
装置に吊下されたハイドロフォンの数と同数の水平面位
置情報を取得し、それぞれ複数の深度位置情報及び水平
面位置情報に基づく統計的手法により、水中物体の深度
位置及び水平面位置を算出するものである。
【0042】又、この発明の請求項5に係る物体位置計
測装置は、計測対象となる物体のソナー情報及び自己の
位置情報を送信する複数の送信装置と、送信手段からの
情報を受信して物体の位置を計測する計測装置本体とを
備え、送信装置は、自己の位置情報を得るための自己位
置計測装置と、物体からのソナー情報を得るためのソナ
ー装置と、位置情報及びソナー情報を電波信号によって
送信する送信信号処理装置とを有し、計測装置本体は、
電波信号を受信する受信装置と、電波信号に含まれる情
報に基づいて物体の位置計測処理を行う位置計算装置と
を有し、ソナー装置は、ソナー情報を得るための複数の
ソナーセンサ部と、ソナーセンサ部の少なくとも一部に
装着されたセンサ部とを有し、センサ部は検出情報をソ
ナー情報に重畳させるものである。
【0043】又、この発明の請求項6に係る遠隔投下装
置は、保持分離装置を介して装着された重錘部を、保持
分離装置を遠隔操作することにより投下させる遠隔投下
装置であって、保持分離装置は、重錘部の落下を防止す
るための係合状態を維持するスリップ保持リンクを有す
るスリップと、スリップ保持リンクの係合状態を保持す
ると共に、所望のタイミングで係合状態を解除して重錘
部を落下させるためのスリップ保持分離部とを有し、ス
リップ保持分離部は、任意に操作可能な遠隔投下スイッ
チと、遠隔投下スイッチの操作に応答して駆動される応
動部とを有し、応動部は、遠隔投下スイッチの操作に応
答してスリップ保持リンクの係合状態を解除するもので
ある。
【0044】又、この発明の請求項7に係る遠隔投下装
置は、保持分離装置を介して装着された重錘部を、保持
分離装置を遠隔操作することにより投下させる遠隔投下
装置であって、保持分離装置は、重錘部の落下を防止す
るための係合状態を維持するスリップ保持リンクを有す
るスリップと、スリップ保持リンクの係合状態を保持す
ると共に、所望のタイミングで係合状態を解除して重錘
部を落下させるためのスリップ保持分離部とを有し、ス
リップ保持分離部は、所定時間の経過により動作するタ
イマと、タイマの動作に応答して駆動される応動部とを
有し、応動部は、タイマの動作に応答してスリップ保持
リンクの係合状態を解除するものである。
【0045】
【作用】この発明の請求項1においては、自由な海域で
複数のブイモニタ装置を敷設し且つ重錘部で位置決めし
て、位置情報、ソナー情報及びセンサ情報を送信し、こ
れらの情報に基づいて水中物体の位置を正確に計測し、
揚収時に重錘部を切り離す。
【0046】又、この発明の請求項2においては、ソナ
ー情報の受信時間差に基づく円を作成し、拡大円交点収
れん点算出アルゴリズムにより水中物体の位置を正確に
算出する。
【0047】又、この発明の請求項3においては、GP
S誤差、算出位置誤差、音速線誤差、時計計測器誤差及
びシステム遅延誤差を総合的に補正し、水中物体の位置
を更に正確に算出する。
【0048】又、この発明の請求項4においては、複数
のブイモニタ装置及び複数のハイドロフォンに基づい
て、水平面方向及び水深方向の複数の算出位置を求め、
統計的手法により水中物体の位置を更に正確に算出す
る。
【0049】又、この発明の請求項5においては、自由
な位置計測域にソナーセンサ部及びセンサ部を配設し、
効率的に物体の位置を計測する。
【0050】又、この発明の請求項6においては、海上
等に位置した遠隔投下スイッチの操作するのみで、容易
に且つ確実にスリップ保持リンクを外して重錘部を落下
させ、揚収負荷を軽減させる。
【0051】又、この発明の請求項7においては、予め
設定した所望時間経過後にタイマを動作させ、遠隔的に
且つ自動的にスリップ保持リンクを外して重錘部を落下
させ、揚収負荷を軽減させる。
【0052】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1(請求項1〜請求
項4に対応)を図について説明する。図1はこの発明の
実施例1の要部を示す側面図であり、11、13、13
1、14、17及び31は前述と同様のものである。
又、海底72は、図面よりも下に存在し、図示しない
が、海面11には図11と同様の船舶71が存在するも
のとする。
【0053】この場合、水中物体31からのソナー信号
(音響エネルギ)を電気エネルギに変換するハイドロフ
ォン14は、所定間隔(例えば、リード線17の長さに
相当する50m程度)のアレイ方式からなり、例えば5
個のハイドロフォン14a〜14eにより構成されてい
る。尚、ハイドロフォン14は、配列数が多ければ多い
ほど位置計測精度(特に、深度位置に関して)が向上す
るが、少なくとも4個以上のアレイで構成される。
【0054】又、ブイモニタ装置13は、海面11上で
の浮遊移動と無関係に自己の位置を正確に計測するため
の衛星航法装置(後述する)が搭載され、アンテナ13
1には受信アンテナ(後述する)も含まれているものと
する。
【0055】15は最下部のハイドロフォン14eの下
に設けられたセンサ部であり、水圧(深度)、温度、塩
分、方位傾度等をそれぞれ検出する複数のセンサから構
成されている。16はセンサ部15の下に設けられたブ
ロック塊等からなる重錘であり、ハイドロフォン14が
海潮流によって図19のように偏位するのを抑制する。
18はセンサ部15と重錘16との間に挿入されたスリ
ップ保持分離装置であり、ハイドロフォン14を揚収す
るときの作業を円滑にするために重錘16を分離する。
【0056】図2及び図3は図1内のスリップ保持分離
装置18を具体的に示すもので、図2はスリップ保持分
離装置18内の機械的構成部を示す側面図、図3は図2
内のスリップ保持分離部として勘合される遠隔操作部を
回路図と共に示す説明図である。
【0057】図2において、24は機械的に重錘16の
保持及び分離を行うスリップである。25はスリップ2
4の下部で重錘16を支持するスイブルであり、海潮流
等に起因する重錘16の回転エネルギを遮断し、上方の
リード線17によじれ等の悪影響を与えないようにす
る。
【0058】26はスリップ24の上部に設けられたス
リップ保持分離部ホルダであり、スリップ24及び重錘
16の保持分離を遠隔的に行うスリップ保持分離部(図
3と共に後述する)が勘合される。尚、このスリップ保
持分離部は、止めピン242及びハンマの代わりに設け
られ、海中にあって手動分離が困難な重錘16を遠隔操
作で分離可能にするためのものである。
【0059】スリップ保持分離部ホルダ26は、スリッ
プ保持分離部を固定する止めネジ部261と、スリップ
保持分離部が勘合されると共に止めネジ部261が係止
される支え金262とから構成されている。
【0060】又、スリップ24は、上端及び下端に設け
られたシャックル241と、止めピン242と、止めピ
ン242を介して上端のシャックル241に係止される
スリップ保持リンク243と、スリップ保持リンク24
3及び下端のシャックル241に係合された投下レバー
244(いずれも市販品)とから構成されている。
【0061】上端のシャックル241はスリップ保持分
離部ホルダ26に接続され、下端のシャックル241は
スイブル25の上端索具に接続されている。止めピン2
42は、スリップ保持リンク243が外れないように、
スリップ24を切り離すとき以外は投下レバー244の
上端穴に固定されている。スリップ保持リンク243
は、投下レバー244及び下部のシャックル241を介
して係合された重錘16による下方の回転エネルギを防
止するためのストッパとしても機能する。
【0062】スリップ24を用いて手動で重錘16を分
離する場合は、まず止めピン242を抜き取り、スリッ
プ保持リンク243をハンマ等で下端部分から上方に叩
いて投下レバー244の上端に外せばよい。
【0063】一方、スリップ保持分離部ホルダ26に勘
合されるスリップ保持分離部は、図3に示すように、本
体となるスリップ保持分離部21と、スリップ保持分離
部21内のピストンを作動させるピストン作動部22
と、ブイモニタ装置13上にスイッチ部が設けられてピ
ストン作動部22を駆動するための遠隔操作部23とか
ら構成され、市販のスリップ24と組み合わせて遠隔操
作可能となっている。スリップ保持分離部21及びピス
トン作動部22は、遠隔操作部23の動作に応答する応
動部を構成している。この場合、図2内の止めピン24
2は不要となり、スリップ保持リンク243は、スリッ
プ保持分離部21内の取り外し用ツメ218まで延長さ
れる。
【0064】スリップ保持分離部21は、以下の要素2
11〜219から構成されている。211は重錘16の
分離時に流体(この場合、後述するスクイブガス)が導
入される下部ストッパ、212は下部ストッパ211に
対向配置されて流体(例えば、高圧気体)が充填された
上部ストッパ、213は各ストッパ211及び212の
間で動作するピストン、214は上部ストッパ212に
設けられて流体(気体)の連通状態をオンオフ制御する
電磁バルブ、215は電磁バルブ214を介して上部ス
トッパ212の上部に設けられたガス抜き筒である。
【0065】216はピストン213の下部中央に固定
されたピストンロット、217はピストンロット216
の下端に固定された一対のアーム、218はアーム21
7の下端部に設けられてスリップ保持リンク243の上
端を保持する一対の取り外し用ツメ、219はピストン
213の上端右側部分に平行となるように上部ストッパ
212に設けられた流路である。流路219は、上部ス
トッパ212内の流体が液体の場合に用いられ、電磁バ
ルブ214と同様の電磁バルブ(図示せず)により、所
定圧の液抜き室(図示せず)への連通状態がオンオフ制
御される。
【0066】上部ストッパ212の機能は、図2におけ
る止めピン242に相当し、下部ストッパ211及びピ
ストン213〜取り外し用ツメ218の機能は、重錘1
6を手動で分離するときに図2内のスリップ保持リンク
243を上方に叩くハンマに相当する。
【0067】下部ストッパ211は、非動作時には外壁
の上端でピストン213を保持し、ピストン213と一
体の取り外し用ツメ218に係止されたスリップ保持リ
ンク243が下方に脱落しないようにする。上部ストッ
パ212は、充填された流体の圧力により取り外し用ツ
メ218を下方に保持し、遠隔操作によってピストン2
13が上方に押し上げられ得るとき以外は、スリップ2
4及び重錘16を分離させないようにする。
【0068】重錘16を分離するときに動作するピスト
ン作動部22は、電磁バルブ214及びスクイブ(後述
する)の駆動電源となる電池221と、電池221に直
列接続された水圧スイッチ222及び投下スイッチ22
3と、スクイブガスを発生するスクイブハウジング22
4と、スクイブハウジング224に収納されて各スイッ
チ222及び223を介して通電点火される一対のスク
イブ225と、発生したスクイブガスをスリップ保持分
離部21に導入するガス筒226とから構成されてい
る。
【0069】水圧スイッチ222は、水圧が所定値以上
に達したときにオン(閉成)する。又、電池221は、
水圧スイッチ222を介して電磁バルブ214の両端間
にも接続されている。従って、所定の水深に達した後
は、電磁バルブ214が開放されて、所望のタイミング
で重錘16を分離することができる。
【0070】スクイブ225の点火によりスリップハウ
ジング224から発生したスクイブガスは、ガス筒22
6を通過して下部ストッパ211側からピストン213
の下部にあたり、電磁バルブ214が開放されている場
合にはピストン213を上方に押しあげるようになって
いる。
【0071】ここでは、スクイブガスによってピストン
213の動作エネルギを得る場合を示したが、図示しな
い電磁バルブと高圧空気、蒸気又は油圧等とを組み合せ
てピストン213の動作エネルギとしてもよい。
【0072】遠隔操作部23は、ブイモニタ装置13に
設けられた遠隔投下スイッチ231と、遠隔投下スイッ
チ231を介してリレー(後述する)の駆動電源となる
電池232aと、遠隔投下スイッチ231及び電池23
2aからなる直列回路を選択的に接続する接続プラグ2
33と、所定時間経過後にオンにするタイマ234と、
タイマ234を介してリレーの駆動電源となる電池23
2bと、接続プラグ233を介して電池232a又は2
32bの給電により励磁されるリレー235とから構成
されている。
【0073】遠隔投下スイッチ231は、ブイモニタ装
置13を揚収する際、ブイモニタ装置13側からの遠隔
操作によって重錘16を切り離すようになっている。接
続プラグ233は、遠隔投下スイッチ231又はタイマ
234のいずれかを含む直列回路と選択的に接続され
る。電池232aは遠隔投下スイッチ231をオンにし
たとき、又、電池232bは予め設定された時間になっ
てタイマ234がオンにしたとき、リレー235を励磁
して投下スイッチ223をオンにする。
【0074】例えば、スイッチ方式の場合、遠隔投下ス
イッチ231の接続端子となる凸部は、小型ブイ(図示
せず)に取り付けた防水用の接続プラグ233の凹部に
接続される。又、タイマ方式の場合、タイマ234の接
続端子となる凸部が接続プラグ233に接続され、タイ
マ234を含む直列回路はブイモニタ装置13の匡体内
に収納される。
【0075】尚、タイマ234を含む直列回路は、所定
の動作時間(例えば、水中物体の位置計測に必要な2日
程度)を初期設定しさえすればよいので、ブイモニタ装
置13に設置されなくてもよく、ハイドロフォン14の
近傍に設置されてもよい。
【0076】次に、図3に示した遠隔操作式のスリップ
保持分離部を図2のスリップ24に組み合わせたときの
動作について説明する。ここでは、上部ストッパ212
内の充填流体が高圧気体であって、下部ストッパ211
に導入される流体がスクイブガスの場合を例にとって説
明する。
【0077】まず、水中物体31の位置計測作業を行う
ために重錘16及びハイドロフォン14を海中に沈める
と、一定深度に達した時点で水圧スイッチ222がオン
となり、電磁バルブ214は、電池221からの給電に
より開放動作する。これにより、上部ストッパ212内
の高圧気体はガス抜き筒215に連通して放出され、ピ
ストン213は上昇可能な状態となる。これは、図2内
の止めピン242を手動で抜く手続きに相当し、スリッ
プ保持リンク243は、取り外し可能な状態となる。
【0078】即ち、水圧スイッチ222は、ブイモニタ
装置13を海面11に投入するときに、船舶71上など
で誤って遠隔投下スイッチ231に触れてしまい、誤操
作したとしても、ハイドロフォン14及び重錘16が一
定深度まで沈んでいなければ重錘16を分離させないよ
うにしている。尚、上部ストッパ212内の充填流体が
液体の場合は、流路219に設けられた電磁バルブ(図
示せず)を開放し、流路219を介して上部ストッパ2
12内の液体が自然に流出できる構造にする。
【0079】一方、投下スイッチ223は、遠隔投下ス
イッチ231をオンにしたとき、もしタイマ234が作
動した場合のみオンとなり、電池221は、水圧スイッ
チ222及び投下スイッチ223がオンになったときの
みスクイブ225を点火する。スクイブハウジング22
4内で並列接続されたスクイブ225は、電池221か
ら給電されたときのみ点火され、スクイブハウジング2
24から高圧ガスを発生させる。尚、スクイブ225の
並列構造は、いずれか一方に不具合が生じたとしても確
実に点火作動させることができる。
【0080】水中物体31の位置計測作業が終了して、
遠隔投下スイッチ231がオンにされると、スクイブ2
25の通電によりスクイブハイジング224から発生し
た高圧ガスは、ガス筒226を通過してピストン213
を上方に押し上げる。これにより、スリップ保持リンク
243が上方に押し上げられ、重錘16は分離される。
従って、容易且つ迅速にハイドロフォン14等を揚収す
ることができる。
【0081】尚、スリップ保持分離部21(図3)は、
市販品のスリップ24(図2)において投下レバー24
4を重錘16の重さにより下方に回転運動させて脱落さ
せる操作を遠隔的又は自動的に行うものである。
【0082】即ち、止めピン242を抜いてスリップ保
持リンク243をハンマで上方に移動させる代わりに、
スリップ保持リンク243を係止するための取り外し用
ツメ218を保持する上部ストッパ212内の流体を逃
がし、スクイブガスでピストン213を押上げることに
より、取り外し用ツメ218に対向しているスリップ保
持リンク243を上方に移動させる。
【0083】このとき、流体を逃がすための電磁バルブ
214は、ブイモニタ装置13が海上に設定されて水圧
スイッチ222がオンになったときに作動し、高圧のス
クイブガスを発生させる遠隔投下スイッチ231(又
は、タイマ234)は、ブイモニタ装置13の揚収時
に、作業員の意志により(又は、自動的に)動作する。
このとき、取り外し用ツメ218に対向しているスリッ
プ保持リンク243は、あたかもハンマで叩かれたよう
に上方に移動し、スリップ24の投下レバー244を作
動させて重錘16を切り離す。
【0084】次に、図4〜図6を参照しながら、図1の
アレイ方式からなるハイドロフォン14による受信時間
差を用いた位置計測方法について説明する。図4は拡大
円交点収れん点算出アルゴリズムのうちの水平面位置を
算出するための幾何学的な説明図、図5は水平面位置の
算出動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0085】図4において、A〜Dは水中の4カ所に吊
下されたブイモニタ装置13a〜13d(以下、13で
総称する)及びハイドロフォン14の水平面上の位置
(既知)、Ehは水中物体31の位置(未知)である。
各ブイモニタ装置13のハイドロフォン14は、水中物
体31が発信する音響パルスを受信するようになってい
る。尚、ブイモニタ装置13の設置数は、多ければ多い
ほど位置計測精度(特に水平面位置に関して)が向上す
るが、少なくとも4カ所以上に設置される。
【0086】又、Cwは水中での音速、t1〜t3は各
位置B〜Dにあるハイドロフォン14の受信遅れ時間、
drは水中物体31の位置Ehを中心とする外接円半径
である。ここでは、水中における音速Cwが一様である
ものとし、又、各水平面位置A〜Dにあるハイドロフォ
ン14の深度位置がそれぞれ同一であって、且つ、水中
物体31の深度位置がハイドロフォン14のアレイ範囲
内の深度とほぼ同一であるものと仮定する。
【0087】図5は水中物体31が発信した音響パルス
を各位置A〜Dのハイドロフォン14が受信するタイミ
ングを示す。いま、位置Aにあるブイモニタ装置13a
のハイドロフォン14が最初に時刻t0で水中物体31
の発信パルスを受信し、これに続いて、各位置B〜Dに
あるブイモニタ装置13b〜13dのハイドロフォン1
4が時刻t1〜t3でそれぞれ発信パルスを受信したと
する。
【0088】このとき、発信パルスを最初に受信したハ
イドロフォン14及び時刻t0が基準となり、各時刻t
1〜t3は基準時刻t0からの遅れ時間となる。ここ
で、水中での音速Cwを用い、各位置B、C及びDを中
心として、図4に示すように、それぞれ、Cw×t1、
Cw×t2、及びCw×t3の円を作図する。これらの
円は、求めようとする水中物体31の位置Ehを中心と
して、位置Aのハイドロフォン14を通る半径drの円
に外接する。
【0089】従って、X−Y平面上での各位置B〜Dの
座標をそれぞれ(Xb、Yb)、(Xc、Yc)、(X
d、Yd)とすると、図4内の各円の方程式は、それぞ
れ、以下の式で表わされる。
【0090】 (X−Xb)2+(Y−Yb)2=(Cw・t1)2 (X−Xc)2+(Y−Yc)2=(Cw・t2)2 (X−Xd)2+(Y−Yd)2=(Cw・t3)2
【0091】従って、計測対象となる水中物体31の位
置Ehは、上記3つの円の半径にそれぞれ外接円半径d
rを加えた以下の3つの円の共通交点となる。
【0092】 (X−Xb)2+(Y−Yb)2=(Cw・t1+dr)2 (X−Xc)2+(Y−Yc)2=(Cw・t2+dr)2 (X−Xd)2+(Y−Yd)2=(Cw・t3+dr)2
【0093】即ち、例えばコンピュータを用いて、外接
円半径drと一致するように、微小単位Δdrずつ増加
し、共通交点Ehを算出すればよい。尚、水中物体31
の水平面位置Ehは、垂直方向に配列されたハイドロフ
ォン14の数(例えば、5個)だけ算出され得るので、
これらの平均値を求めて計測精度を向上させてもよい。
【0094】図6は拡大円交点収れん点算出アルゴリズ
ムのうちの垂直(深度)面位置を算出するための幾何学
的な説明図である。図6において、a〜eは水中物体3
1から発信する音響パルスを受信するハイドロフォン1
4a〜14eの垂直面の位置であり、これらはリード線
17の長さから既知である。Evは水中物体31の垂直
面の位置(未知)である。
【0095】いま、例えば時刻t0において、位置cに
あるハイドロフォン14cが水中物体31からの発信パ
ルスを最初に受信したとすると、前述と同様にハイドロ
フォン14c及び時刻t0が基準となる。その後、各位
置a、b、d及びeにあるハイドロフォン14a、14
b、14d及び14eに対する発信パルスの到着時刻t
1、t2、t3及びt4を計測する。
【0096】そして、水中での音速Cwを用い、各位置
a、b、d及びeを中心として、それぞれ、Cw×t
1、Cw×t2、Cw×t3及びCw×t4を半径とす
る円を作図する。又、水平面位置Ehを計測する場合と
同様に、水中物体31の深度位置Evを各円の共通交点
から算出する。尚、垂直面位置Evは、ブイモニタ装置
13の設置数(例えば、4個)だけ算出され得るので、
これらの平均値を求めて計測精度を向上させてもよい。
【0097】こうして、収れん演算により算出される交
点としては、実際の水中物体31の深度位置Evのみな
らず、ハイドロフォン14を中心とした対称位置にも得
られる。従って、これら2点のうち、水平面位置Ehに
より得られた方位又はアスペクト(音速線)方位を水中
物体31の位置とする。
【0098】尚、上記アルゴリズムで各交点が1点に交
わらない場合には、最小に収れんした面を概略水中物体
31の水平面位置Eh及び垂直面(深度)位置Evと
し、以降、センサ部15からの各種情報を用いて、後述
する誤差補正方法に基づいて限りなく各位置Eh及びE
vを収れんさせる。
【0099】図7はこの発明の実施例1によるブイモニ
タ装置13及びハイドロフォン14の機能構成を示すブ
ロック図である。図7において、51は自己位置計測装
置であり、受信アンテナ511及び位置計測部512か
ら構成される。受信アンテナ511は、人工衛星を利用
した衛星航法装置(GPS)の電波を受信し、位置計測
部512は、受信アンテナ511で受信された電波に含
まれる位置情報から、ブイモニタ装置13の位置を計測
する。
【0100】52は船舶71に受信データを送信するデ
ータ送信装置であり、送信アンテナ521及びデータ送
信部522から構成される。受信アンテナ511及び送
信アンテナ521は、ブイモニタ装置13上のアンテナ
131により構成される。
【0101】53は各種データ処理を行う信号処理部で
あり、受信アンテナ511及び位置計測部512を介し
た位置情報と、ハイドロフォン14を介した音響受信信
号と、センサ部15からの各種データとを入力し、デー
タ送信部522及び送信アンテナ521を介して処理デ
ータを船舶71上の位置計測装置に送信する。又、信号
処理部53は、自己位置計測装置51及びデータ送信装
置52の各一部を構成している。
【0102】水中物体31の位置計測精度を向上させる
ために必要なセンサ部15は、深度センサ15a、温度
センサ15b、塩分センサ15c及び方位傾度センサ1
5dから構成される。各センサ15a〜15dからの検
出情報は、ハイドロフォン14から得られるソナー情報
と共に信号処理部53に送出され、ソナー情報に重畳さ
れて送信アンテナ521から位置計測装置本体側に送信
される。
【0103】深度センサ15aは、ブイモニタ装置13
の投入時に各水深に対する温度、塩分及び方位傾度デー
タを各センサ15b〜15dから取り込む。又、方位傾
度センサ15dは、ハイドロフォン14が海潮流によっ
て偏位しているか否かを計測する。
【0104】温度センサ15b及び塩分センサ15c並
びに深度センサ15aから得られる温度データ及び塩分
データ並びに深度データは、音速計算に使用されるほ
か、音線の屈折等を補正する際のデータとして使用され
る。深度センサ15a及び方位傾度センサ15dから得
られる深度データ及び方位傾度データは、ハイドロフォ
ン14及び水中物体31の位置計測精度を向上させるた
めに使われる。
【0105】図8は船舶71上の位置計測装置本体の機
能構成を示すブロック図である。図8において、55は
データ受信装置であり、各ブイモニタ装置13の送信ア
ンテナ521(図7)からの電波を受信する受信アンテ
ナ551と、受信アンテナ551からの受信信号を各種
データとして受信するデータ受信部552と、受信され
た各種データを処理する信号処理部553とから構成さ
れている。
【0106】データ受信装置55は、GPS基準局から
送信されてきた地理位置総合誤差データも受信する。信
号処理部553は、インタフェース(図示せず)を含
み、送信アンテナ521からの電波信号によって送信さ
れたソナー情報、ブイ位置情報、深度、温度、塩分及び
方位傾度情報と、GPS基準局から送られてきた地理位
置総合誤差データとを解析処理し、コンピュータ(後述
する)に入力する。
【0107】56は種々の演算処理等を行うためのコン
ピュータ装置であり、CPUとなるコンピュータ56
1、時間計測を行う時計計測器562と、コンピュータ
561で用いられるソフトウエア及びデータ等を記録す
る情報記録部563と、データ入力及びオペレーション
を実効する入力部564と、水中物体31の位置及び計
測データ等を表示するデータ表示部565とから構成さ
れている。
【0108】コンピュータ561は、データ受信装置5
5を介して各ブイモニタ装置13の位置情報及び各ブイ
モニタ装置13に伝送されたソナー情報を取り込み、時
計計測器562からの時間情報に基づいて時間計測(図
5参照)すると共に、GPS基準局からの地理位置総合
誤差データに基づいて補正演算を行い、各ブイモニタ装
置13の正確な位置を算出する。又、コンピュータ56
1は、前述と同様に、拡大円交点収れん点算出アルゴリ
ズムに基づいて水中物体31の位置を算出する。
【0109】このようにブイモニタ装置13及び水中物
体31の位置計測精度を向上させるため、時計計測器5
62は、GPSの人工衛星から送信されてくる時刻情
報、又は、郵政省通信総合研究所名崎無線送信所(茨城
県三和町)から送られてくる時刻情報に基づいて、自己
の時計計測器の時刻を校正する時刻校正機能(図示せ
ず)を含んでいる。
【0110】次に、図1、図7及び図8を参照しなが
ら、この発明の実施例1におけるデータ処理動作につい
て説明する。一般に、図1のようにブイモニタ装置13
を設置して水中物体31の位置を計測する場合、ブイモ
ニタ装置13の位置に対してハイドロフォン14の各位
置が重要な問題となる。
【0111】即ち、海面11上のブイモニタ装置13
は、海潮流等によるドリフトの影響をうけても、自己位
置計測装置51によって時々刻々のブイ位置情報が得ら
れるため、現在位置を取得することができる。しかし、
ブイモニタ装置13の下に吊下されているハイドロフォ
ン14は、もし重錘16を設置しなければ、風浪や海潮
流等の影響によって図19に示したように必ずしも真下
に位置するとは限らない。従って、この発明の実施例で
は、重錘16を取り付けることにより、ハイドロフォン
14がブイモニタ装置13の真下に位置するようにして
いる。
【0112】ここで、図19におけるハイドロフォン1
4の位置の偏位誤差の要因を考えると、偏位誤差要因
は、海面11上のブイモニタ装置13の風圧抵抗Ra
と、海面11下のブイモニタ装置13、リード線17、
ハイドロフォン14、センサ部15、スリップ保持分離
装置18及び重錘16に及ぼす総合流圧抵抗Rfとから
なることが分かる。このうち、風圧抵抗Raは、以下の
算出式で表わされる。
【0113】Ra=K・A・V2
【0114】但し、風圧抵抗Raは合成風圧力[kg]
であり、Kは抵抗係数、Aはブイモニタ装置の海面11
上の正面投影面積[m2]、Vは風速[m/sec]
(ブイモニタ装置13と空気との相対速度)である。
又、総合流圧抵抗Rfは、以下の算出式で表わされる。
【0115】Rf=Kμ・S・Vf2
【0116】但し、総合流圧抵抗Rfは摩擦抵抗[k
g]であり、Kμは摩擦係数、Sは浸水部表面積
[m2]、Vfは流速[Kt(ノット)]である。
【0117】従って、図1においては、垂直方向に加わ
る重錘16の重さ[kg]が分かれば、重錘16の重さ
と上記各式の合成ベクトル量とから、ハイドロフォン1
4の位置の偏位誤差を求めることができる。従って、重
錘16が重いほど偏位誤差が減少することから、重錘1
6によってハイドロフォン14の位置精度が向上するこ
とが分かる。
【0118】しかし、その反面、位置計測終了時にブイ
モニタ装置13及びハイドロフォン14を揚収する場合
には、重錘16により作業が困難となってしまう。そこ
で、揚収時の作業軽減を実現するために、前述したよう
に、遠隔投下スイッチ231の操作又はタイマ234の
動作により、重錘16を分離している。
【0119】ここで、上記演算結果(計測位置)に対す
るセンサ情報に基づく補正の必要性について説明する。
図9は一般的なスネルの法則に従う音速線を示す説明図
であり、Cw1及びCw2は各海水層における音速、点
P1及びP2間を結ぶ実線は音速線の屈折距離、点P1
及びP2間を結ぶ破線は音速線の真の直線距離、θ1及
びθ2は音速線と各海水層の界面との成す角度である。
ここで、スネルの法則より、以下の式が成り立つ。
【0120】Cw1/cosθ1=Cw2/cosθ2
【0121】一般に、水温又は塩分が高いほど水中音速
Cwは高くなる。図9の場合、例えば、上部の海水層の
水温又は塩分が中間層よりも高く、Cw1>Cw2であ
るため、図示したように、θ1<θ2となっている。従
って、音響パルスの遅れ時間から算出された距離は屈折
距離(実線)を表わしており、真の直線距離(破線)を
求めるために補正する必要があることが分かる。
【0122】又、水中音速Cwは水温及び塩分のほか水
圧にも依存し、水圧が高い(深い)ほど水中音速Cwは
高くなる。図10は水圧(水深)に依存した深海におけ
る音速線を示す説明図であり、d1及びd2は各点P1
及びP2の水深位置、Cw10及びCw20は各点P1
及びP2の水圧に対応した水中音速である。
【0123】この場合、水深に比例して水圧が連続的に
高くなるので、点P1からP2への音速線は、実線で示
すように円弧状の曲線距離となる。従って、水温及び塩
分の場合と同様に、真の直線距離(破線)を求めるため
に、演算された水深を水圧に応じて補正する必要がある
ことが分かる。
【0124】次に、図7及び図8と共に、図4〜図6並
びに図9及び図10の説明図を参照しながら、拡大円交
点収れん点算出アルゴリズムによる位置計測処理動作に
ついて更に詳細に説明する。前述したように、図4及び
図5は水中物体31の水平面方向の位置を計測する場合
の説明図、図6は深度を計測する場合の説明図である。
【0125】この発明においては、水中物体31の位置
を計測する際、ハイドロフォン14に最初に到達した音
を基準にして、他のハイドロフォン14に到達した時刻
を計測して位置を算出するため、水中物体31側にタイ
マ機能を搭載する必要がなく、場合によってはピンガ3
11(図11参照)をも必要としない。従って、水中物
体31の装備に関係なく、水中物体31の位置を計測す
ることができる。
【0126】なぜなら、この発明によるブイモニタ装置
13は、パッシブシステムであるため、水中物体31が
発生する種々のパッシブシグニチュアを検知し、その点
及び時刻を基準にして時間計測することにより位置を算
出できるからである。
【0127】検知可能なパッシブシグニチュアとして
は、例えば、水中物体31が発生する機械装置の振動に
よる機械雑音、船体表面を流れる水流の乱れが発生する
フローノイズ、回転するプロペラ翼面が発生するキャビ
テーションノイズ、及び、不均一なウエーキ(航跡)内
でプロペラ翼が回転したときの推力変動に伴うプロペラ
ノイズ等の個々、又は、総合的な音響的特徴があげられ
る。
【0128】上述の位置算出アルゴリズムは、船舶71
等に搭載された計測装置本体(図8参照)において、ブ
イモニタ装置13からの電波信号に含まれたソナー情
報、ブイ位置情報、及び各種センサ情報を受信し、コン
ピュータ561により実行される。もし、上記拡大円交
点収れん点算出アルゴリズムに基づく水中物体31の位
置Eh及び深度Evが有限な面をもって1点に交わらな
い場合には、その誤差を計測して補正し、以下のように
1点に収れんさせる。
【0129】まず、GPS、特にデファレンシャル(差
分)GPSシステムを利用した位置誤差の補正について
述べる。一般に、GPSを用いて計測したブイモニタ装
置13の位置誤差には、人工衛星からの時計及び軌道誤
差、電離層及び対流圏誤差、マルチパス誤差並びに意図
的誤差等の総合誤差が含まれる。これらの誤差を補正す
るためには、正確に位置が判明している既知の基準局で
位置計測し、総合誤差を未知の計測点(この場合、船舶
又は陸上等に設置された計測装置本体)に情報伝達し、
各ブイモニタ装置13からの計測値を更新し、高精度な
地理位置を測定すればよい。
【0130】又、ハイドロフォン14の深度及び位置誤
差は、ブイモニタ装置13のセンサ部15で検出されて
電波信号として送信された深度、方位傾度情報、風浪情
報、重錘16等の重量に基づいて、更に微小な偏位誤差
を求めることにより補正される。これにより、ブイモニ
タ装置13からみたハイドロフォン14の深度及び位置
を高精度に計測して誤差を補正することができる。
【0131】又、音速線誤差(図9及び図10参照)
は、以下のように補正することができる。まず、センサ
部15からの深度、水温、塩分等の各情報に基づいて各
計測海域の音速を計算すると共に、水中物体31からの
ソナー信号が媒質中を伝ぱんする際に生ずる音速線傾度
及び屈折率を算出する。続いて、水中物体31及びハイ
ドロフォン14の間の幾何学的な直線距離(破線)を算
出し、精密な時計計測器562によって計測された時間
情報に基づいて、真の直線距離で伝ぱんした場合の音速
線を再構成する。
【0132】即ち、時計計測器562によって計測され
る時間情報は、水中物体31から屈曲してハイドロフォ
ン14に届いたソナー信号の到達時間情報であり、この
ソナー信号到達時間を補正することによって、高精度な
水中物体31の位置を計測することができる。
【0133】又、時計計測器562の誤差は、GPSの
人工衛星から送信されてくる時刻情報、又は、郵政省通
信総合研究所名埼無線送信所(茨城県三和町)から送信
されてくる時刻情報に基づいて、時計計測器562の時
刻を校正することができる。これにより、水中物体31
の位置を計測するのに必要な、ソナー信号到達時間の高
精度な計測が可能となる。
【0134】又、ハイドロフォン14から受信されて電
気信号に変換されたソナー情報は、ブイモニタ装置13
のシステムを経由し、電波信号として船舶71上の計測
装置本体の受信アンテナ551に届き、再び電気信号と
して時計計測器562に届くまでに総合遅延誤差を含ん
でいるが、この遅延誤差は、予め知られた時間情報によ
り補正することができる。これにより、高精度な水中物
体31の位置を計測することができる。
【0135】又、図9及び図10のように幾何学的な直
線距離(破線)から深度成分を補正し、真の水平距離を
計測するための誤差補正を行うことができる。以上のよ
うに、GPSによる位置誤差補正、ハイドロフォン14
の深度及び位置誤差補正、音速線誤差補正、時計計測器
562の誤差補正、システムの遅延誤差補正、並びに、
深度成分の誤差補正を用いて、総合的に誤差を補正し、
水中物体31の深度位置Ev及び水平面位置Ehを正確
に計測することができる。
【0136】更に、位置計測装置本体のコンピュータ5
61(図8参照)は、拡大円交点収れん点算出アルゴリ
ズム(図4〜図6参照)に基づいて、水中物体31の深
度位置Ev及び水平位置Ehを計測するが、深度位置に
ついては、1つのブイモニタ装置13で1つの深度デー
タが得られるので、ブイモニタ装置13の数だけの深度
情報が得られる。
【0137】又、水平位置については、各ブイモニタ装
置13毎に吊下されたハイドロフォン14のうち、同一
深度にある4つのハイドロフォン14を組み合わせて1
つの水平位置データを得るので、海上に敷設した例えば
4つのブイモニタ装置13を1組として、各ブイモニタ
装置13に吊下されたハイドロフォン14の数だけの位
置情報が得られる。
【0138】従って、深度位置及び水平位置に関するそ
れぞれ複数の位置情報に基づいて、統計的手法により水
中物体31の深度位置及び水平面位置を確率的に算出す
ることができる。例えば、各々5つの共通の深度を有す
るハイドロフォン14a〜14e(図1参照)を装備し
たブイモニタ装置13を4個敷設した場合、5つの水平
位置データと4つの深度データが得られる。
【0139】ここで、統計的手法について述べると、例
えば日本規格協会発行の「JISハンドブック品質管理
編、最新版」を用いて、以下のように、水中物体31の
位置サンプルの特性値xの平均値xaを求めることがで
きる。
【0140】xa=(x1+x2+x3…+xn)/n
【0141】ここで、nは位置サンプルの大きさであ
り、この場合、水平位置データで「5」(各ブイモニタ
装置13に装備されたハイドロフォン14の数)、深度
データで「4」(ブイモニタ装備13の敷設数)とな
る。又、不偏分散の平方根であるサンプルの標準偏差s
は、以下のように表わされる。
【0142】s=√V
【0143】ここで、平方和Sをその自由度(n−1)
で割った不偏分散Vは、以下のように表わされる。
【0144】V=S/(n−1)
【0145】又、各特性値xと平均値xaとの差の二乗
和である平方和Sは、以下のように表わされる。
【0146】 S=(x1−xa)2+(x2−xa)2+(x3−xa)2…+(xn−xa)2 =Σxi2−(Σxi)2/n=Σxi2−xa
【0147】但し、上式中、各総和項(Σ)の変数i
は、i=1〜nである。こうして、統計的パラメータに
基づいて、更に上記ハンドブック等を使用し、水中物体
31の深度位置及び水平面位置を確率的に推定及び検定
することができる。
【0148】以上のように、ブイモニタ装置13に自己
位置計測装置51を設け、位置計測装置本体に時計計測
器562を設けると共に、種々の誤差補正等を行うこと
により、水中物体31にピンガ311(図11参照)等
を搭載せずに、正確な位置計測を行うことができる。
又、海潮流等によるリード線17の偏位を防止するため
の重錘16を切り離すことにより、揚収作業労力を軽減
することができる。又、上記算出アルゴリズムにより、
潜水艇のような対象物体31でなくとも、任意の水中音
波を発生する例えば魚などの位置を計測することもでき
る。
【0149】実施例2.(請求項6及び請求項7に対
応) 上記実施例1では、ハイドロフォン14の偏位誤差を減
少させるために重錘16を取り付け、又、揚収時の作業
を円滑にするために、市販品のスリップ24と組み合わ
せたスリップ保持分離部21によって重錘16を切り離
したが、スリップ24及びスリップ保持分離部21から
なる装置を他の用途に応用することができる。例えば、
通常、船舶71が錨を投下する際にスリップ24をハン
マで叩き人力で切り離しているが、上述のように遠隔操
作により切り離してもよい。
【0150】実施例3.又、スクイブハウジング224
からの高圧ガスによってピストン213を動かすエネル
ギを得たが、電磁弁と組み合わせた高圧空気、又は、蒸
気、油圧等からエネルギを得てもよい。
【0151】実施例4.(請求項5に対応) 又、コンピュータ561と組み合わせた拡大円交点収れ
ん点算出アルゴリズムを水中物体31の位置算出に用い
たが、計測用センサ及び計測場所を変えることによって
他の場所(即ち、地中又は空中)において飛行物体又は
事象等の位置計測に使用することができる。
【0152】実施例5.又、位置データの転送に電波信
号を用いたが、有線又は光ケーブルで接続してもよい。
更に、転送された位置データに基づいて計測対象物体の
速度及び加速度を算出してもよい。
【0153】
【発明の効果】以上のようにこの発明の請求項1によれ
ば、海上に敷設された浮遊体からなる複数のブイモニタ
装置と、陸上又は船上等に設置された計測装置本体とを
備え、ブイモニタ装置は、ブイモニタ装置の位置情報を
得るための自己位置計測装置と、水中物体からのソナー
情報を得るためのソナー装置と、位置情報及びソナー情
報を電波信号によって送信する送信装置とを有し、計測
装置本体は、電波信号を受信する受信装置と、位置情報
及びソナー情報に基づいて水中物体の位置計測処理を行
う位置計算装置とを有し、ソナー装置は、ブイモニタ装
置に吊下された複数のハイドロフォンのアレイと、ハイ
ドロフォンの最下部に装着されたセンサ部と、センサ部
の下部に保持分離装置を介して装着された重錘部と、保
持分離装置を遠隔操作で分離して重錘部を投下させる遠
隔投下装置とを有し、センサ部は、ハイドロフォンの最
下部の深度、水温、塩分及び方位傾度を検出してソナー
情報に重畳させ、重錘部で海上に位置決めされた複数の
ブイモニタ装置からの位置情報、ソナー情報及びセンサ
情報に基づいて水中物体の位置を正確に計測し、ブイモ
ニタ装置の揚収時に重錘部を切り離すようにしたので、
コストアップを招くことなく自由な位置計測海域で効率
的に水中物体の位置を計測することのできる水中物体位
置計測装置が得られる効果がある。
【0154】又、この発明の請求項2によれば、請求項
1において、計測装置本体は、ソナー情報の到達時間情
報を得るための時計計測器と、位置情報及び到達時間情
報に基づいて水中物体の位置計測を行う位置計算手段と
を含み、位置計算手段は、拡大円交点収れん点算出アル
ゴリズムを用い、最初に到達したソナー情報を基準とし
て、各ブイモニタ装置からのソナー情報の第1の到達時
間差を計測し、第1の到達時間差に水中音速を乗じて各
ハイドロフォンから水中物体までの第1の距離を算出
し、各ハイドロフォンを中心とする第1の円の半径を各
第1の距離から微小距離ずつ増分し、各第1の円が交わ
る交点又は最小に収れんした面を水中物体の水平面位置
とすると共に、ハイドロフォンのアレイのうちの最初に
到達したソナー情報を基準として、各深度毎のアレイ中
の各ハイドロフォンに対する水中物体からのソナー情報
の第2の到達時間差を計測し、第2の到達時間差に水中
音速を乗じてアレイ中の各ハイドロフォンから水中物体
までの第2の距離を算出し、アレイ中の各ハイドロフォ
ンを中心とする第2の円の半径を第2の距離から微小距
離ずつ増分し、各第2の円が交わる交点又は最小に収れ
んした2つの面のうち、ソナー情報の音速線方向側の面
を水中物体の深度位置とし、水中物体の水平面位置及び
深度位置を正確に算出するようにしたので、コストアッ
プを招くことなく自由な位置計測海域で効率的且つ高精
度に水中物体の位置を計測することのできる水中物体位
置計測装置が得られる効果がある。
【0155】又、この発明の請求項3によれば、請求項
2において、自己位置計測装置はGPSを含み、計測装
置本体は、正確に地理位置の判明している既知の基準局
で計測した総合誤差データを受信し、位置計算手段は、
水平面位置又は深度位置が有限な面をもって1点に交わ
らない場合、GPSに基づいて計測されたブイモニタ装
置の位置誤差については、総合誤差データに基づいて、
人工衛星からの時計及び軌道誤差、電離層及び対流圏誤
差、マルチパス誤差並びに意図的誤差等を補正し、ハイ
ドロフォンの水平面位置誤差及び深度位置誤差について
は、センサ部からの深度情報及び方位傾度情報並びに重
錘部の重量に基づいて偏位誤差を補正し、ソナー情報の
音速線誤差については、センサ部からの深度情報、水温
情報及び塩分情報に基づいて各計測海域の水中音速を計
算し、水中物体からのソナー情報が水中音速の異なる媒
質中を伝ぱんする際に生ずる音速線傾路及び屈折率を解
析して総合的な音速線を算出し、水中物体及びハイドロ
フォン間の幾何学的な直線距離を算出し、時計計測器に
よって計測された到達時間情報に基づいて直線距離を伝
ぱんしたときの音速線を再構成し、時計計測器の誤差に
ついては、GPSの人工衛星から送信される時刻情報又
は所定の時刻情報に基づいて校正し、ブイモニタ装置か
らのソナー情報が計測装置本体内の時計計測器に届くま
での総合遅延誤差を補正し、幾何学的な直線距離から深
度成分を補正し、ハイドロフォンから水中物体までの真
の水平距離を計測し、水中物体の深度位置及び水平面位
置を総合的に誤差補正して計測し、GPS誤差、算出位
置誤差、音速線誤差、時計計測器誤差及びシステム遅延
誤差を総合的に補正するようにしたので、水中物体の位
置を更に正確に算出することのできる水中物体位置計測
装置が得られる効果がある。
【0156】又、この発明の請求項4によれば、請求項
2又は請求項3において、位置計算手段は、深度位置に
ついては、ブイモニタ装置の数と同数の深度位置情報を
取得し、水平面位置については、複数のブイモニタ装置
を1組として、1つのブイモニタ装置に吊下されたハイ
ドロフォンの数と同数の水平面位置情報を取得し、それ
ぞれ複数の深度位置情報及び水平面位置情報に基づく統
計的手法により、水中物体の深度位置及び水平面位置を
算出するようにしたので、水中物体の位置を更に正確に
算出することのできる水中物体位置計測装置が得られる
効果がある。
【0157】又、この発明の請求項5によれば、計測対
象となる物体のソナー情報及び自己の位置情報を送信す
る複数の送信装置と、送信手段からの情報を受信して物
体の位置を計測する計測装置本体とを備え、送信装置
は、自己の位置情報を得るための自己位置計測装置と、
物体からのソナー情報を得るためのソナー装置と、位置
情報及びソナー情報を電波信号によって送信する送信信
号処理装置とを有し、計測装置本体は、電波信号を受信
する受信装置と、電波信号に含まれる情報に基づいて物
体の位置計測処理を行う位置計算装置とを有し、ソナー
装置は、ソナー情報を得るための複数のソナーセンサ部
と、ソナーセンサ部の少なくとも一部に装着されたセン
サ部とを有し、センサ部は検出情報をソナー情報に重畳
させるようにしたので、コストアップを招くことなく自
由な位置計測域で効率的に物体の位置を計測することの
できる物体位置計測装置が得られる効果がある。
【0158】又、この発明の請求項6によれば、保持分
離装置を介して装着された重錘部を、保持分離装置を遠
隔操作することにより投下させる遠隔投下装置であっ
て、保持分離装置は、重錘部の落下を防止するための係
合状態を維持するスリップ保持リンクを有するスリップ
と、スリップ保持リンクの係合状態を保持すると共に、
所望のタイミングで係合状態を解除して重錘部を落下さ
せるためのスリップ保持分離部とを有し、スリップ保持
分離部は、任意に操作可能な遠隔投下スイッチと、遠隔
投下スイッチの操作に応答して駆動される応動部とを有
し、応動部は、遠隔投下スイッチの操作に応答してスリ
ップ保持リンクの係合状態を解除し、重錘部を落下させ
て揚収負荷を軽減させるようにしたので、重錘部を容易
に且つ確実に投下することのできる遠隔投下装置が得ら
れる効果がある。
【0159】又、この発明の請求項7によれば、保持分
離装置を介して装着された重錘部を、保持分離装置を遠
隔操作することにより投下させる遠隔投下装置であっ
て、保持分離装置は、重錘部の落下を防止するための係
合状態を維持するスリップ保持リンクを有するスリップ
と、スリップ保持リンクの係合状態を保持すると共に、
所望のタイミングで係合状態を解除して重錘部を落下さ
せるためのスリップ保持分離部とを有し、スリップ保持
分離部は、所定時間の経過により動作するタイマと、タ
イマの動作に応答して駆動される応動部とを有し、応動
部は、タイマの動作に応答してスリップ保持リンクの係
合状態を解除し、重錘部を落下させて揚収負荷を軽減さ
せるようにしたので、重錘部を容易に且つ確実に投下す
ることのできる遠隔投下装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1によるブイモニタ装置側の
構成を示す側面図である。
【図2】図1内のスリップ保持分離装置の具体的構成を
示す拡大側面図である。
【図3】図2内のスリップ保持分離部の構成を回路図と
共に示す拡大側面図である。
【図4】この発明の実施例1による水中物体の水平面位
置を算出するための拡大点交点収れん点算出アルゴリズ
ムを示す説明図である。
【図5】この発明の実施例1による拡大点交点収れん点
算出アルゴリズムに用いられる時間計測動作を示すタイ
ミングチャートである。
【図6】この発明の実施例1による水中物体の深度位置
を算出するための拡大点交点収れん点算出アルゴリズム
を示す説明図である。
【図7】この発明の実施例1によるブイモニタ装置側の
機能構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施例1による位置計測装置本体側
の機能構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施例1におけるスネルの法則に基
づく水中音速線路の距離補正処理を示す説明図である。
【図10】この発明の実施例1における深度の違いに基
づく水中音速線路の距離補正処理を示す説明図である。
【図11】従来の水中物体位置計測装置の概略的な外観
を示す斜視図である。
【図12】従来の水中物体位置計測装置の計測対象とな
る水中物体に搭載された記憶装置の構成を示す外観図で
ある。
【図13】図12の記憶装置の機能構成を示すブロック
図である。
【図14】従来の水中物体位置計測装置の位置計測装置
本体側の機能構成を示すブロック図である。
【図15】従来の水中物体位置計測装置における水中物
体から複数のブイモニタ装置へのソナー情報の伝達状態
を示す説明図である。
【図16】従来の水中物体位置計測装置における距離算
出アルゴリズムを示す説明図である。
【図17】一般的な水中物体の深度方向の航跡を示す説
明図である。
【図18】一般的な水中物体の水平面方向の航跡を示す
説明図である。
【図19】重錘部のないブイモニタ装置における海潮流
によるハイドロフォンの偏位状態を示す側面図である。
【符号の説明】
11 海面 13 ブイモニタ装置 131 アンテナ 14、14a〜14e ハイドロフォン(ソナー装置) 15 センサ部 15a 深度センサ 15b 温度センサ 15c 塩分センサ 15d 方位傾度センサ 16 重錘 18 スリップ保持分離装置 21 スリップ保持分離部 213 ピストン 22 ピストン作動部 225 スクイブ 23 遠隔操作部 231 遠隔投下スイッチ 234 タイマ 24 スリップ 243 スリップ保持リンク 31 水中物体 51 自己位置計測装置 511 受信アンテナ 52 送信装置 521 送信アンテナ 53 信号処理部 55 受信装置 56 位置計算装置 561 コンピュータ(位置計算手段) 562 時計計測器 71 船舶 Cw、Cw0〜Cw2、Cw10、Cw20 水中音速 t0〜t3 到達時間情報 Cw×(t1〜t4) 円の半径 Eh 水平面位置 Ev 深度位置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海上に敷設された浮遊体からなる複数の
    ブイモニタ装置と、陸上又は船上等に設置された計測装
    置本体とを備え、 前記ブイモニタ装置は、前記ブイモニタ装置の位置情報
    を得るための自己位置計測装置と、水中物体からのソナ
    ー情報を得るためのソナー装置と、前記位置情報及び前
    記ソナー情報を電波信号によって送信する送信装置とを
    有し、 前記計測装置本体は、前記電波信号を受信する受信装置
    と、前記位置情報及び前記ソナー情報に基づいて前記水
    中物体の位置計測処理を行う位置計算装置とを有し、 前記ソナー装置は、前記ブイモニタ装置に吊下された複
    数のハイドロフォンのアレイと、前記ハイドロフォンの
    最下部に装着されたセンサ部と、前記センサ部の下部に
    保持分離装置を介して装着された重錘部と、前記保持分
    離装置を遠隔操作で分離して前記重錘部を投下させる遠
    隔投下装置とを有し、 前記センサ部は、前記ハイドロフォンの最下部の深度、
    水温、塩分及び方位傾度を検出して前記ソナー情報に重
    畳させることを特徴とする水中物体位置計測装置。
  2. 【請求項2】 前記計測装置本体は、前記ソナー情報の
    到達時間情報を得るための時計計測器と、前記位置情報
    及び前記到達時間情報に基づいて前記水中物体の位置計
    測を行う位置計算手段とを含み、 前記位置計算手段は、拡大円交点収れん点算出アルゴリ
    ズムを用い、 最初に到達したソナー情報を基準として、各ブイモニタ
    装置からのソナー情報の第1の到達時間差を計測し、 前記第1の到達時間差に水中音速を乗じて前記各ハイド
    ロフォンから前記水中物体までの第1の距離を算出し、 前記各ハイドロフォンを中心とする第1の円の半径を前
    記各第1の距離から微小距離ずつ増分し、 前記各第1の円が交わる交点又は最小に収れんした面を
    前記水中物体の水平面位置とすると共に、 前記ハイドロフォンのアレイのうちの最初に到達したソ
    ナー情報を基準として、各深度毎の前記アレイ中の各ハ
    イドロフォンに対する前記水中物体からのソナー情報の
    第2の到達時間差を計測し、 前記第2の到達時間差に前記水中音速を乗じて前記アレ
    イ中の各ハイドロフォンから前記水中物体までの第2の
    距離を算出し、 前記アレイ中の各ハイドロフォンを中心とする第2の円
    の半径を前記第2の距離から微小距離ずつ増分し、 前記各第2の円が交わる交点又は最小に収れんした2つ
    の面のうち、前記ソナー情報の音速線方向側の面を前記
    水中物体の深度位置とすることを特徴とする請求項1の
    水中物体位置計測装置。
  3. 【請求項3】 前記自己位置計測装置はGPSを含み、 前記計測装置本体は、正確に地理位置の判明している既
    知の基準局で計測した前記基準局からの総合誤差データ
    を受信し、 前記位置計算手段は、前記水平面位置又は前記深度位置
    が有限な面をもって1点に交わらない場合、 前記GPSに基づいて計測された前記ブイモニタ装置の
    位置誤差については、前記総合誤差データに基づいて、
    人工衛星からの時計及び軌道誤差、電離層及び対流圏誤
    差、マルチパス誤差並びに意図的誤差等を補正し、 前記ハイドロフォンの水平面位置誤差及び深度位置誤差
    については、前記センサ部からの深度情報及び方位傾度
    情報並びに前記重錘部の重量に基づいて偏位誤差を補正
    し、 前記ソナー情報の音速線誤差については、前記センサ部
    からの深度情報、水温情報及び塩分情報に基づいて各計
    測海域の水中音速を計算し、前記水中物体からのソナー
    情報が水中音速の異なる媒質中を伝ぱんする際に生ずる
    音速線傾路及び屈折率を解析して総合的な音速線を算出
    し、前記水中物体及び前記ハイドロフォン間の幾何学的
    な直線距離を算出し、前記時計計測器によって計測され
    た到達時間情報に基づいて前記直線距離を伝ぱんしたと
    きの音速線を再構成し、 前記時計計測器の誤差については、前記GPSの人工衛
    星から送信される時刻情報又は所定の時刻情報に基づい
    て校正し、 前記ブイモニタ装置からのソナー情報が前記計測装置本
    体内の時計計測器に届くまでの総合遅延誤差を補正し、 前記幾何学的な直線距離から前記深度成分を補正し、前
    記ハイドロフォンから前記水中物体までの真の水平距離
    を計測し、 前記水中物体の深度位置及び水平面位置を総合的に誤差
    補正して計測することを特徴とする請求項2の水中物体
    位置計測装置。
  4. 【請求項4】 前記位置計算手段は、前記深度位置につ
    いては、前記ブイモニタ装置の数と同数の深度位置情報
    を取得し、前記水平面位置については、前記複数のブイ
    モニタ装置を1組として、1つのブイモニタ装置に吊下
    されたハイドロフォンの数と同数の水平面位置情報を取
    得し、それぞれ複数の深度位置情報及び水平面位置情報
    に基づく統計的手法により、前記水中物体の深度位置及
    び水平面位置を算出することを特徴とする請求項2又は
    請求項3の水中物体位置計測方法。
  5. 【請求項5】 計測対象となる物体のソナー情報及び自
    己の位置情報を送信する複数の送信装置と、前記送信手
    段からの情報を受信して前記物体の位置を計測する計測
    装置本体とを備え、 前記送信装置は、前記自己の位置情報を得るための自己
    位置計測装置と、前記物体からのソナー情報を得るため
    のソナー装置と、前記位置情報及び前記ソナー情報を電
    波信号によって送信する送信信号処理装置とを有し、 前記計測装置本体は、前記電波信号を受信する受信装置
    と、前記電波信号に含まれる情報に基づいて前記物体の
    位置計測処理を行う位置計算装置とを有し、 前記ソナー装置は、前記ソナー情報を得るための複数の
    ソナーセンサ部と、前記ソナーセンサ部の少なくとも一
    部に装着されたセンサ部とを有し、 前記センサ部は検出情報を前記ソナー情報に重畳させる
    ことを特徴とする物体位置計測装置。
  6. 【請求項6】 保持分離装置を介して装着された重錘部
    を、前記保持分離装置を遠隔操作することにより投下さ
    せる遠隔投下装置であって、 前記保持分離装置は、前記重錘部の落下を防止するため
    の係合状態を維持するスリップ保持リンクを有するスリ
    ップと、前記スリップ保持リンクの係合状態を保持する
    と共に、所望のタイミングで前記係合状態を解除して前
    記重錘部を落下させるためのスリップ保持分離部とを有
    し、 スリップ保持分離部は、任意に操作可能な遠隔投下スイ
    ッチと、前記遠隔投下スイッチの操作に応答して駆動さ
    れる応動部とを有し、 前記応動部は、前記遠隔投下スイッチの操作に応答して
    前記スリップ保持リンクの係合状態を解除することを特
    徴とする遠隔投下装置。
  7. 【請求項7】 保持分離装置を介して装着された重錘部
    を、前記保持分離装置を遠隔操作することにより投下さ
    せる遠隔投下装置であって、 前記保持分離装置は、前記重錘部の落下を防止するため
    の係合状態を維持するスリップ保持リンクを有するスリ
    ップと、前記スリップ保持リンクの係合状態を保持する
    と共に、所望のタイミングで前記係合状態を解除して前
    記重錘部を落下させるためのスリップ保持分離部とを有
    し、 スリップ保持分離部は、所定時間の経過により動作する
    タイマと、前記タイマの動作に応答して駆動される応動
    部とを有し、 前記応動部は、前記タイマの動作に応答して前記スリッ
    プ保持リンクの係合状態を解除することを特徴とする遠
    隔投下装置。
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