JPH07197249A - 薄膜形成装置および方法 - Google Patents

薄膜形成装置および方法

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Publication number
JPH07197249A
JPH07197249A JP75794A JP75794A JPH07197249A JP H07197249 A JPH07197249 A JP H07197249A JP 75794 A JP75794 A JP 75794A JP 75794 A JP75794 A JP 75794A JP H07197249 A JPH07197249 A JP H07197249A
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JP
Japan
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gas
target
thin film
substrate
gas introduction
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JP75794A
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English (en)
Inventor
Masahiko Morishita
昌彦 森下
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板上に形成される薄膜の特性分布の制御が
容易な薄膜形成装置および方法を得る。 【構成】 ターゲット3と基板5との間に混合プロセス
ガスを導入する複数のガス導入口12a〜12dを備
え、プロセスガスの混合比をガス導入口のターゲットに
対する位置に対応して選択して基板5上に形成される薄
膜の厚さ等を所定の分布にした薄膜形成装置および方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体基板(ウエハ
ー)上に薄膜を形成する薄膜形成装置および薄膜形成方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の薄膜形成装置の概略断面図
であり、図8は図7の線X−Xに沿った概略断面図であ
る。これらの図に示す従来の薄膜形成装置は、スパッタ
チャンバーである真空槽1と、この真空槽1内にターゲ
ット3を支持するターゲット支持装置2とを備えてい
る。ターゲット支持装置2は、負の電圧が印加されるカ
ソード部である。ターゲット支持装置2の内部には、タ
ーゲット3の近くに磁界を形成するためのマグネット
(図示してない)が設けられており、マグネットは図示
してない公知の手段により軸Aを中心にターゲット3に
対して回転できる。
【0003】薄膜形成装置はまた、その上に薄膜を形成
すべき半導体ウエーハー等の基板5を、ターゲット支持
装置2上に支持されたターゲット3に対して離間して対
向した位置に支持する基板支持装置4を備えている。基
板支持装置4は、薄膜形成のための混合プロセスガスを
真空槽1内に導入するガス通路8を備えている。ガス通
路8の一端は真空槽1の外部で混合プロセスガスを供給
するガス供給源8aに接続されており、他端は基板支持
装置4上の基板5の背面に沿って延びて基板5の周囲に
開口している。このガス通路8から真空槽1内に導入さ
れる混合プロセスガスの流れは矢印9で示してある。
【0004】薄膜形成装置は更に、基板支持装置4によ
り支持された基板5の薄膜を形成すべき基板表面とター
ゲット3との間の空間に、矢印7で示す如く混合プロセ
スガスを導入するガス導入管6を備えている。ガス導入
管6の一端は真空槽1の外部で混合プロセスガス供給源
6bに接続されており、他端は図8に最も良く示されて
いるように真空槽1内で二股に分岐して、分岐した先端
にそれぞれガス導入口6aを備えている。真空槽1には
排気口10が設けられていて、排気口10に接続された
排気ポンプ10aにより、ガス導入管6およびガス通路
8から真空槽1に導入されたプロセスガスを排気できる
ようにしてある。この排気されるガスの流れを矢印11
で示してある。
【0005】次に一例として、反応性スパッタにてTi
N膜を形成する場合の図7および図8に示す従来の薄膜
形成装置の動作を説明する。まず、薄膜形成装置の真空
槽1内部で、チタンのターゲット3をターゲット支持装
置2に取付け、基板支持装置4には薄膜を形成すべき基
板5を取付る。ターゲット3と基板5との間に電圧を印
加して電界を発生させ、また、ターゲット支持装置2の
マグネット(図示してない)によりターゲット3と基板
5との間に電界と直交する磁場を発生させる。このとき
ターゲット支持装置2内のマグネットをその中心軸Aを
中心として回転させる。
【0006】このように、真空槽1内に電界と磁界を発
生させた状態で、ガス導入管6及びガス通路8からスパ
ッタリングガスであるアルゴン(Ar)と反応ガスであ
る窒素(N2)との混合プロセスガス(例えば、Ar5
0%+N250%など)を真空槽1内に導入する。この
とき、図7及び図8に示すように、二股のガス導入管6
のガス導入口6aから導入されたプロセスガスは、矢印
7で示す如く、ターゲット3の両側縁部から図で上方向
に流れ、ターゲット3の中央部に向かって曲がり、ター
ゲット3の中央部の表面に沿って下方に流れ、真空槽1
の底部に設けられた排気口10から排気される。また、
ガス通路8から基板5の背面を通り、基板5の周囲から
真空槽1内部に供給された矢印9で示すプロセスガスの
流れは、薄膜の厚さ等の膜質調整及び基板5の温度調整
をするために用いられ、ガス導入管6から導入されたプ
ロセスガスと共に排気口10から排気される。このよう
に、真空槽1は、混合プロセスガスが真空槽1内を矢印
7および9により示す如く流れて、ターゲット3および
半導体ウエハ等の基板5の表面上で一様に分布するよう
に構成されている。
【0007】真空槽1内に供給された混合プロセスガス
中の正の荷電粒子であるアルゴンイオンは、電界により
加速されてターゲット3に衝突させられ、ターゲット3
の表面から電子と共に原子や分子をたたき出す。このよ
うにしてたたき出された原子や分子は、後に説明する如
く放電により生じた化学的活性に富む窒素ラジカルと反
応した後、基板5上に付着して窒化チタン膜を形成す
る。
【0008】荷電粒子により同時にたたき出された電子
は、磁界により螺旋運動することになり、特定の空間内
に閉じ込められて、混合プロセスガス中のAr原子との
衝突回数が増え、ターゲット付近に高密度のプラズマが
発生する。この高密度のプラズマのために、電子と混合
プロセスガスの原子との衝突確率が高くなり、低い圧力
でも放電が持続できるようになる。また、ターゲット支
持装置2のマグネット(図示してない)をターゲット3
に対して回転させるので、マグネットによる磁界がター
ゲット3に対して相対的に回転し、ターゲット3に対す
る磁界分布の均一性が高くなる。
【0009】このようなスパッタリングにより基板5上
に形成される薄膜の膜厚分布は、ターゲット3と基板5
との間の磁界分布、ターゲット3と基板5との間の距
離、プロセス混合ガスの混合比およびターゲットの形状
など多数の要素によって変化するので、これら多数の要
素を適切に選択して、薄膜の膜厚、シート抵抗、比抵
抗、配向性、結晶性、密度などの特性の分布が一様にな
るようにしている。
【0010】しかしながら、このように設計されて膜厚
分布が一様になるようにした薄膜形成装置であっても、
ターゲット3の材質(アルミニウム、チタン、タングス
テンシリサイド等)に応じて膜厚分布が変化してしまう
ため、ターゲット3の材質を変えた場合には、ターゲッ
ト3と基板5との間の磁界分布、混合ガスの混合比、タ
ーゲット3と基板5との間の距離を変化させる必要が生
じる。
【0011】マグネットおよびその周辺部の磁気特性を
調整して適切な磁界分布を形成し、一様な膜厚の分布特
性を得ようとする場合には、磁気特性調整作業は、実際
に薄膜を形成して膜厚の分布を確認しながら試行錯誤で
行わねばならないため、非常に時間と費用の掛かる作業
であり、それにも拘わらず完全に一様な膜厚分布を得る
のは非常に困難である。また、この磁気特性の調整によ
りその磁界が不均一になるため、均一磁界の場合には図
10(a)に示す如く一様に削られるターゲット3が図
10(b)に示すように不均一に削られて凹凸ができ、
形成される膜厚の分布が不均一になり、ターゲット3の
頻繁な交換が必要となり、作業効率が低下する。更に、
真空槽内に導入する混合プロセスガスの混合比を変える
ことも、試行錯誤によるために調整作業に時間および費
用が掛かり望ましくはない。また、ターゲット3と基板
5との間の距離を調整することも次のような問題があ
り、ターゲット3の材質によっては調整が満足すべきも
のでなくなる場合がある。
【0012】即ち、ターゲット3と基板5との間の距離
1乃至d3と膜厚分布との関係を示す図9に於いて、図
9(b)のように混合プロセスガスの混合比が最適に調整
され、ターゲット3と基板5との間の距離が適正な距離
2の場合には、膜厚は同図の右側のグラフに示すよう
に基板5の表面上の位置に拘わらずほぼ一様になり、均
一の膜厚分布が得られる。なお、図9のグラフの横軸は
基板5の表面上の位置を示し、横軸の数字の具体的な位
置は、図9(d)に示すように、中心が(3)、周辺が(1)、
(5)、(6)、(9)、それらの中間が(2)、(4)、(7)、(8)で
ある。また、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)は直線上にあ
り、また、(6)、(7)、(3)、(8)、(9)も直線上にある。
そして、これらの直線は互いに直交している。一方、図
9(a)のようにターゲット3と基板5との距離がd1(d
1<d2)の場合には、薄膜の膜厚は同図の右側のグラフ
に示すように基板5の中心で薄く、周辺で厚くなる(グ
ラフの形状は凹)。これに対し、図9(c)のようにター
ゲット3と基板5との距離がd3(d3>d2)の場合に
は、同図の右側のグラフに示すように基板5の中心で厚
く、周辺で薄くなる(グラフの形状は凸)。したがっ
て、最適に設計され、他の条件を最適に調整した薄膜形
成装置であっても、ターゲット3と基板5との距離を最
適に選択する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ターゲット
3の材質により、例えばアルミニウム、チタン、タング
ステンシリサイド等のいずれであるかによって、これら
の金属ラジカルの質量の違いのために、図9(b)に示す
如き最適の状態が、ターゲット3と基板5との間の距離
の調整可能範囲内に存在しなくなり、図9(a)あるいは
図9(b)の状態で薄膜形成をしなければならなくなり、
この距離をいかに調整しても例えば凸状のグラフで表さ
れる膜厚分布しか得られなくなることが起こる。このよ
うな場合には、図9(a)あるいは図9(b)の状態で薄膜形
成をしなければならなくなり、ターゲット3と基板5と
の間の距離の調整だけでは所望の膜厚分布を得ることが
できないことになる。
【0014】このように、ターゲットと基板との間の距
離、磁界の特性、プロセスガスの混合比等を調整すると
いう従来行われていた膜厚分布の調整方法によると、薄
膜形成装置の調整に多くの時間および労力を必要とし、
それでもなお満足すべき薄膜分布が得られない場合があ
ったという解決すべき課題があった。
【0015】この発明は、このような課題を解決するた
めになされたもので、基板上に形成される薄膜の膜厚等
の特性について所望の分布を得るために、少ない労力と
比較的短時間の作業で薄膜の所望の分布を得ることがで
きる薄膜形成装置および薄膜形成方法を得ることを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の薄膜形成
装置に於いては、真空槽と、真空槽内にターゲットを支
持するターゲット支持装置と、薄膜を形成すべき基板を
真空槽内でターゲットに対向離間して支持する基板支持
装置と、ターゲットと基板との間にプロセスガスを導入
するガス導入管であって、ターゲットの表面上に一様に
分布する複数の表面位置に対応する位置に設けられたガ
ス導入口を有し、このガス導入口からプロセスガスをタ
ーゲット表面上に導入するガス導入管と、ガス導入管に
接続され、ガス導入口から真空槽内に導入されるプロセ
スガス中のスパッタリングガス供給量を、ターゲット表
面の複数の位置に対応してそれぞれ選択して、ターゲッ
ト上の上記スパッタリングガスの供給量分布を調整する
供給量調整装置とを備えた薄膜形成装置とを備えてい
る。
【0017】請求項2の薄膜形成装置に於いては、供給
量調整装置が、混合プロセスガス中のスパッタリングガ
スの混合比をそれぞれガス導入口に対して選択する混合
比調整装置である。
【0018】請求項3の薄膜形成装置に於いては、供給
量調整装置が、スパッタリングガスの流量をそれぞれガ
ス導入口に対して選択する流量調整装置である。
【0019】請求項4の薄膜形成装置に於いては、供給
量調整装置が、混合プロセスガス中のスパッタリングガ
スの混合比をそれぞれガス導入口に対して選択し、かつ
スパッタリングガスの流量をそれぞれガス導入口に対し
て選択した混合比・流量調整装置である。
【0020】請求項5の薄膜形成装置に於いては、基板
支持装置が、基板を、ターゲットと基板とを結ぶ軸心を
中心に回転させる回転装置を備えている。
【0021】請求項6の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入管が、各々ガス導入口を有してそれぞれ独立して移
動可能な複数のガス導入管である。
【0022】請求項7の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入管が、ターゲット表面上に同心状に配置された複数
のリング状のガス導入管である。
【0023】請求項8の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入管がターゲットに接続され、複数のガス導入口が、
ターゲットに形成されている。
【0024】請求項9の薄膜形成方法に於いては、真空
槽内にターゲットと薄膜を形成すべき基板とを対向離間
させて支持し、ターゲットと基板との間で、ターゲット
表面に略々一様に分布する複数の位置に対応した位置に
プロセスガスを導入し、プロセスガス中のスパッタリン
グガスの供給量を、ターゲット表面の複数の位置に対応
してそれぞれ選択して、ターゲット上のスパッタリング
ガスの供給量分布を調整する。
【0025】請求項10の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの供給量分布の調整が、スパッタリン
グガスの混合プロセスガス中の混合比をそれぞれガス導
入口に対して選択して行なわれる。
【0026】請求項11の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの供給量分布の調整が、スパッタリン
グガスの流量をそれぞれガス導入口に対して選択して行
われる。
【0027】請求項12の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの供給量分布の調整が、スパッタリン
グガスの混合プロセスガス中の混合比をそれぞれガス導
入口に対して選択して行われ、かつスパッタリングガス
の流量をそれぞれガス導入口に対して選択して行われ
る。
【0028】請求項13の薄膜形成方法に於いては、基
板を、ターゲットと基板とを結ぶ軸心を中心に回転させ
る。
【0029】
【作用】請求項1記載の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入口から導入されるプロセスガス中のスパッタリング
ガス供給量を、ターゲット表面の複数の位置に対応して
それぞれ選択して、ターゲット上のスパッタリングガス
の供給量分布を調整する供給量調整装置とを備え、スパ
ッタリングガスの供給量分布を調整して基板上の膜厚分
布等を調整する。
【0030】請求項2の薄膜形成装置に於いては、混合
比調整装置が、混合プロセスガス中のスパッタリングガ
スの混合比をそれぞれガス導入口に対して選択し、混合
比分布が調整される。
【0031】請求項3の薄膜形成装置に於いては、流量
調整装置が、スパッタリングガスの流量をそれぞれガス
導入口に対して選択できる。
【0032】請求項4の薄膜形成装置に於いては、混合
比と流量の両者を調整し、混合プロセスガス中のスパッ
タリングガスの混合比と、スパッタリングガスの流量と
をそれぞれガス導入口に対して選択できる。
【0033】請求項5の薄膜形成装置に於いては、基板
支持装置に設けた回転装置が、基板を、ターゲットと基
板とを結ぶ軸心を中心に回転させ得る。
【0034】請求項6の薄膜形成装置に於いては、各々
ガス導入口を有してそれぞれ独立して移動可能な複数の
ガス導入管を、ターゲット表面に対して径方向に移動さ
せることができる。
【0035】請求項7の薄膜形成装置に於いては、ター
ゲット表面に対して同心状に配置された複数のリング状
のガス導入管からプロセスガスが導入される。
【0036】請求項8の薄膜形成装置に於いては、プロ
セスガスがターゲットに形成された複数のガス導入口か
ら導入される。
【0037】請求項9の薄膜形成方法に於いては、プロ
セスガス中のスパッタリングガスの供給量を、ターゲッ
ト表面の複数の位置に対応してそれぞれ選択して、ター
ゲット上のスパッタリングガスの供給量分布を調整し、
もって基板上に所望の特性の薄膜を形成する。
【0038】請求項10の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの混合プロセスガス中の混合比をそれ
ぞれガス導入口に対して選択する。
【0039】請求項11の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの流量をそれぞれガス導入口に対して
選択する。
【0040】請求項12の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの混合プロセスガス中の混合比をそれ
ぞれガス導入口に対して選択し、かつスパッタリングガ
スの流量をそれぞれガス導入口に対して選択する。
【0041】請求項13の薄膜形成方法に於いては、基
板を、ターゲットと基板とを結ぶ軸心を中心に回転させ
る。
【0042】
【実施例】
実施例1.図1は本発明の薄膜形成装置の概略断面図で
あり、図2は図1の線Y−Yに沿った概略断面図であ
る。薄膜形成装置は、スパッタチャンバーである真空槽
1と、この真空槽1内にターゲット3を支持するターゲ
ット支持装置2とを備えている。ターゲット支持装置2
は、後に説明する荷電粒子を衝突させてそこから原子や
分子を放出させるターゲット3を支持し、負の電圧が印
加されるカソード部である。ターゲット支持装置2の内
部には、ターゲット3の近くに磁界を形成するためのマ
グネット(図示してない)が設けられており、マグネッ
トは図示してない公知の手段により軸Aを中心にターゲ
ット3に対して回転できる。
【0043】薄膜形成装置はまた、その上に薄膜を形成
すべき半導体ウエーハー等の基板5を、ターゲット支持
装置2上に支持されたターゲット3に対して離間して対
向した位置に支持する基板支持装置4を備えている。基
板支持装置4は、薄膜形成のための混合プロセスガスを
真空槽1内に導入するガス通路8を備えている。ガス通
路8の一端は真空槽1の外部で混合プロセスガスを供給
するガス供給源8aに接続されており、他端は基板支持
装置4上の基板5の背面に沿って延びて基板5の周囲に
開口している。このガス通路8から真空槽1内に導入さ
れる混合プロセスガスの流れは矢印9で示してある。基
板支持装置4はまた、真空槽1に対して軸A回りに回転
可能に支持されており、基板支持装置4を基板5と共に
回転させる回転装置8bに連結されている。この回転装
置8bは、基板5をターゲット3の背面に設けられてい
るマグネット(図示してない)に対して相対的に回転さ
せ、ターゲット3から放出される原子や分子に対して基
板5上にガス導入管16の影ができないようにするため
のものである。
【0044】薄膜形成装置は更に、基板支持装置4によ
り支持された基板5の薄膜を形成すべき基板表面とター
ゲット3との間の空間に、矢印7で示す如く混合プロセ
スガスを導入するガス導入管16を備えている。真空槽
1には排気口10が設けられていて、排気口10に接続
された排気ポンプ10aにより、ガス導入管16および
ガス通路8から真空槽1に導入されたプロセスガスを排
気できるようにしてある。このガスの流れを矢印11で
示してある。
【0045】この実施例のガス導入管16は、図2に最
も良く示されている如く、ターゲット3あるいは基板5
の表面に対して平行な面内で互いに90°離間して半径
方向に延びた第1乃至第4のガス導入管16a、16
b、16cおよび16dを備えている。これらのガス導
入管16a乃至16dの外端は、それぞれ混合プロセス
ガス中のスパッタリングガスの供給量、例えば混合プロ
セスガスの混合比および流量を独立して調整するための
供給量調整装置17を介してプロセスガス供給源18に
接続されている。プロセスガス供給源18は、アルゴン
タンク18aと窒素タンク18bとを備えている。供給
量調整装置17は複数の公知のバルブを図示の如く組み
合わせたバルブ装置で良く、この供給量調整装置17の
各バルブを適切に組み合わせて開閉することにより、真
空槽1内に供給される混合プロセスガスの混合比を調整
する混合比調整装置として使用することも、混合プロセ
スガス中のスパッタリングに寄与するスパッタリングガ
スの流量を調整する調整装置として使用することも、ま
た、これらを組み合わせて混合プロセスガスの混合比お
よび流量を調整する調整装置として使用することもでき
る。
【0046】また、これらのガス導入管16a乃至16
dの内端は入子式に伸縮可能になっていて、各ガス導入
管16a乃至16dの先端がそれぞれターゲット3の表
面に対して独立して径方向に移動できるようにされてい
る。
【0047】ガス導入管16a乃至16dの内端は、図
2に最も良く示されているように、ターゲット支持装置
2により支持されたターゲットの表面に対してそれぞれ
異なる半径方向位置に設けられていて、それぞれ第1乃
至第4のガス導入口12a、12b,12cおよび12
dを備えている。即ち、第1のガス導入管16aは図2
で上方から(ターゲット3の中心から見て12時方向)
ターゲット3の中心にまで延び、そのガス導入口12a
はターゲット3時の表面の中心に対応した位置に設けら
れている。第2のガス導入管16bは第1のガス導入管
16aに対して90°時計方向に回転した方向(3時方
向)に延びてそのガス導入口12bは中心から半径の約
1/3だけ外側の位置に対応した位置に在り、第3のガ
ス導入管16cは第2のガス導入管16bに対して更に
90°時計方向に回転した方向(6時方向)に延びてそ
のガス導入口12cは中心から半径の約2/3だけ外側
の位置に対応した位置に在り、第4のガス導入管16d
は第3のガス導入管16cに対して更に90°時計方向
に回転した方向(9時方向)に延びてそのガス導入口1
2dはターゲット3の外周部に対応した位置に在る。
【0048】このように構成されたガス導入管16に対
して基板支持装置4によりターゲット3を回転させる
と、各ガス導入口12a乃至12dはそれぞれの位置で
ターゲット3に対して相対的に周方向に移動し、図2に
破線で示す如く互いに等距離離れた4本の同心円の軌跡
を描くことになり、この意味でガス導入口12a乃至1
2dはターゲット表面に対して一様に分布していると言
える。換言すれば、この実施例に於いては、第1乃至第
4のガス導入口12a乃至12dは、ターゲット3上の
一様に分布する複数の表面位置を考えた場合、このター
ゲット表面上の位置に対応する位置に設けられていると
言える。
【0049】ガス導入管16は、ターゲット3からその
中心軸方向に基板5の方向に僅かに、例えば10〜30
mm程度離間した位置に設けられ、また基板5からもそ
の中心軸方向にターゲット3に向かって例えば50mm
以上離間した位置に設けられている。このように基板5
から離すのは、ターゲット3から放出された分子や原子
がガス導入管16により遮られて、基板5上にそのガス
導入管16の「影」ができ、基板5上の薄膜が薄くなっ
てしまうというシャドーイング現象を防止するためであ
る。
【0050】図3(a)に示すように、ガス導入管16
のガス導入口12a乃至12dはターゲット3とは反対
方向即ち基板5側を向いて開いている。これは、ガス導
入口12a乃至12dがターゲット3側を向いている
と、ターゲット3から放出された原子や分子がガス導入
口周囲に付着してガス導入口12a乃至12dをふさい
でしまうため、頻繁にガス導入口12a乃至12dを掃
除する必要が生じ、メンテナンス上問題だからである。
【0051】次に一例として、図1乃至図3に示す本発
明の薄膜形成装置を用いて反応性スパッタリングにより
TiN膜を形成する場合の動作を説明する。まず、薄膜
形成装置の真空槽1内部で、チタンのターゲット3をタ
ーゲット支持装置2に取付け、基板支持装置4には薄膜
を形成すべき半導体ウエハ等の基板5を取付る。ターゲ
ット3と基板5との間に電圧を印加して電界を発生さ
せ、また、ターゲット支持装置2のマグネット(図示し
てない)によりターゲット3と基板5との間に電界と直
交する磁場を発生させる。このときターゲット支持装置
2内のマグネットをその中心軸Aを中心として回転させ
る。
【0052】このように、真空槽1内に電界と磁界を発
生させた状態で、ガス導入管16及びガス通路8からス
パッタリングガスであるアルゴン(Ar)および反応ガ
スである窒素(N2)の混合プロセスガスを真空槽1内
に導入する。このとき、混合プロセスガスは、図1およ
び図2に示す如く、4本のガス導入管16a乃至16d
により構成されるガス導入管16のガス導入口12a乃
至12dから真空槽1内に導入され、基板5の背面を通
るガス通路8を通して基板5の周囲から真空槽1内部に
供給された矢印9で示す混合プロセスガスと共に、ター
ゲット3と基板5との間の空間を通って、真空槽1の底
部に設けられた排気口10から排気される。真空槽1内
に供給された混合プロセスガス中の正電荷を持つアルゴ
ンイオンである荷電粒子は、電界により加速されてター
ゲット3に衝突させられ、ターゲット3の表面から電子
と共にチタン原子や分子をたたき出す。このようにして
たたき出された原子や分子は、後に説明する放電により
生じた化学的活性に富む窒素ラジカルと反応して窒化チ
タンとなり、基板5上に付着して窒化チタン膜を形成す
る。
【0053】荷電粒子によりたたき出された電子は、電
界によって加速され磁界により螺旋運動することにな
り、特定の空間内に閉じ込められて、混合プロセスガス
中のAr原子との衝突回数が増え、ターゲット3付近に
高密度のプラズマが発生する。この高密度のプラズマの
ために、電子と混合プロセスガスの原子との衝突確率が
高くなり、低い圧力でも放電が持続できるようになる。
また、ターゲット支持装置2のマグネットをターゲット
に対して回転させるので、磁界がターゲット3に対して
相対的に回転し、ターゲット3に対する磁界分布の均一
性が高くなる。
【0054】このとき、前述したように薄膜の膜厚ある
いは他の特性、例えばシート抵抗、比抵抗、配向性、結
晶性、密度などを所望通りに調整して、例えば薄膜の膜
厚を一様にしようとする場合に、マグネットの磁場分布
を調整し、またターゲット3と基板5との間の距離を調
整して薄膜形成条件の最適化を行っても、薄膜の膜厚が
充分に一様にならないことがある。この場合、供給され
る混合プロセスガスのターゲット3の単位面積当たりの
供給量が一定であれば、膜厚分布は薄膜形成装置毎のマ
グネットの特性、真空槽1内の混合プロセスガスの混合
比に対応して定まる。このとき膜厚分布は、図4(a)に
示すように基板5の中心(4)において膜厚が薄く、周辺
(1)(7)(8)(13)において膜厚が厚いという凹型の曲線を
なすか、あるいは、逆に図4(b)に示すように凸型の曲
線をなすかのいずれかになる。そして、ガスの混合比の
分布にしたがって膜厚の大小(図4の膜厚分布の曲線で
言えばその上下関係)が決まる。
【0055】すなわち、分布が凹凸いずれの場合であっ
ても、Ar、N2の混合ガスを用いるとき、Arの混合
比が小さくなる(N2の混合比が大きくなる)と成膜速
度(時間当たりに形成される薄膜の厚さ)が下がり、逆
にArの混合比が大きくなる(N2の混合比が小さくな
る)と成膜速度が上がる。例えば、Ar50%+N2
0%、Ar43%+N257%、Ar37%+N263%
およびAr30%+N270%という4種類の混合比の
場合を考えると、図4(a)において膜厚分布はそれぞれ
a、b、c、dの曲線となり、図4(b)においてそれぞ
れe、f、g、hの曲線となる。
【0056】ここで、所望の膜厚分布、例えば図4のB
線で示す如き一様な膜厚分布を得ようとするためには、
供給される混合プロセスガスのターゲット3の単位面積
当たりの流量を一定にして、ターゲット3の位置に対応
してB線と曲線a、b、c、dとの交点に対応するター
ゲット3上の位置で、各曲線a、b、c、dの表す混合
比のプロセスガスをそれぞれ導入すればよい。
【0057】例えば、図4(a)の場合、第1乃至第4の
各ガス導入管16a乃至16dから導入する混合プロセ
スガスの供給量を先に述べたようにターゲット3の面積
当たりで一定となるようにして、ターゲット3の中心
(4)の位置にガス導入口12aを持つ第1のガス導入管
16aにAr50%+N250%の混合比のガスを供給
し、(3)(5)(10)(11)の位置に対応した第2のガス導入口
12bを持つ第2のガス導入管6bに対しAr43%+
257%の混合比のガスを供給し、(2)(6)(9)(12)の位
置に対応した第3のガス導入口12cを持つ第3のガス
導入管16cに対しAr37%+N263%の混合比の
ガスを供給し、最も外側の(1)(7)(8)(13)の位置に対応
する第4のガス導入口12dを持つ第4のガス導入管1
6cに対しては、Ar30%+N270%の混合比のガ
スを供給する。図4(b)の場合には、反対に第1のガス
導入管6aに対しAr30%+N270%の混合比のガ
スを供給し、第2のガス導入管6bに対しAr37%+
263%の混合比のガスを供給し、第3のガス導入管
6cに対しAr43%+N257%の混合比のガスを供
給し、第4のガス導入管6cに対しAr50%+N2
0%の混合比のガスを供給する。このように、図4の特
性に基づいて、ガスの混合比を基板5上の膜厚が同じ値
になるように調整して、第1乃至第4のガス導入管16
に対し混合プロセスガスをそれぞれ同時に流しながらス
パッタリングを行う。
【0058】このようにターゲット3の場所毎のプロセ
スガス混合比を変えることにより、膜厚分布が凹型ある
いは凸型の膜厚分布の曲線をなす場合でも、基板5に形
成される薄膜の膜厚を一様にすることができる。
【0059】以上のように、第1乃至第4のガス導入管
16a乃至16dから真空槽内に供給する混合プロセス
ガスの供給量をターゲット3の単位表面積あたり一定に
維持しながら、それぞれのガス導入管16a乃至16d
から異なった混合比のガスを流すことにより、ターゲッ
ト3の表面に対するスパッタリングガスの供給量分布を
調整することができ、スパッタリングにより形成される
所望の膜質(膜厚を例としたがシート抵抗、比抵抗、配
向性、結晶性、密度なども同様である)を均一あるいは
所望の分布にコントロールすることができ、基板5の表
面の膜質分布が向上する。
【0060】また、第1乃至第4のガス導入管16a乃
至16dから真空槽内に供給する混合プロセスガスの混
合比を各ガス導入管毎に一定に維持しながら、それぞれ
のガス導入管16a乃至16dから異なった供給量のガ
スを流すことにより、基板5の表面に対する反応ガスの
供給量分布を調整することもでき、上述と同様の効果が
得られる。
【0061】また、スパッタの際に基板支持装置4を回
転させて基板5をその中心軸について回転させ、ガス導
入管16a乃至16dによるシャドーイングの影響を小
さくして、基板5上の膜厚分布の不均一をさらに小さく
することができる。基板支持装置4が回転しないと、基
板5とガス導入管16との位置関係が変わらず、基板5
の特定の位置が、ガス導入管16によるシャドーイング
の影響を受け、形成される薄膜は不均一なものになる。
これに対し基板支持装置4を回転させると基板5上に於
けるシャドーイングの影響が平均化され、このような不
都合は軽減される。
【0062】なお、上述のような調整に加えて、混合プ
ロセスガスのうちの反応ガスの供給量の微調整を更に行
う必要がある場合、第1乃至第4のガス導入管16a乃
至16dの入子式部分を伸縮させてそれぞれのガス導入
口12a乃至12dの位置を、図2の矢印に示すように
ターゲット3の半径方向に動かして調整することができ
る。これにより、混合プロセスガスの混合比を微調整す
るよりも簡単な方法によりスパッタリングガスおよび反
応ガスの供給量を微調整することができ、膜厚の調整が
簡単迅速に行える。
【0063】また、この実施例において、ガス導入管1
6が4本の場合を説明しているが、これに限らずガス導
入管16の本数を増やして混合プロセスガスの混合比の
コントロールを微細に行い、基板5上の膜質の微妙な調
整ができるようにすることもできる。
【0064】実施例2.また、図3(b)に示すように、
上記実施例におけるガス導入管16のガス導入口12に
ガス誘導器13を設け、混合プロセスガスをターゲット
3側に導くようにしてもよい。ガス導入管16を通って
ガス導入口12から出た混合プロセスガスはガス誘導器
13により向きを変えられ、矢印7で示す如くターゲッ
ト3側に誘導される。このようにすることにより、スパ
ッタ膜がガス導入口12に形成されてガス導入口12が
つまることを防止しつつ、混合プロセスガスをターゲッ
ト3側に誘導できるので、メンテナンスが容易であると
ともに、ターゲット3付近のプラズマ密度を高め、ター
ゲット3のイオンを多く発生させ、薄膜を効率よく形成
できる。
【0065】実施例3.図5(a)および図5(b)にはこの
発明の更に別の実施例を示す。この実施例に於いてはガ
ス導入管26が概して複数の同心リング状である。即ち
ガス導入管26の第1のガス導入管26aは、ターゲッ
ト3に対する位置で見てターゲット3の略々中央部にま
で延びてそこに第1のガス導入口22aを備えた直管で
あるが、第2乃至第4のガス導入管26b乃至26d
は、ターゲット3に対して同軸で径方向に等間隔に並べ
られた同心円のリング状導管にそれぞれ直管を接続した
ものである。各リング状導管には多数のガス導入口22
b乃至22dが略々一様に分布するように設けられてい
て、ガス導入管26全体でガス導入口22a乃至22d
が略々一様に分布するように構成されている。
【0066】図5(b)は図5(a)の面V−Vにおける概略
断面図であり、この図から明らかな通り、ガス導入口2
2は、スパッタ膜の付着による穴詰まりを防止するた
め、ターゲット3の反対側に設けられている。
【0067】なお、図5(c)に示すように、ガス導入管
26のガス導入口22の部分に実施例2の場合と同様の
ガス誘導器23を設けてもよい。この場合、ガス導入口
22の部分にのみガス誘導器23を設けてもよいし、ガ
ス導入管26のリング状の部分の全体にわたってリング
状のガス導入器23を設けてもよい。
【0068】また、図5に示す実施例に於いては、リン
グ状のガス導入管26は同一平面上に配置されている
が、これらをそれぞれ別々の平面上に配置して、ターゲ
ット3と第1乃至第4ガス導入管26a乃至26dとの
間の距離をそれぞれ異ならしめることもできる。
【0069】この実施例に於いては、リング状のガス導
入管26を用いることにより、ターゲット3の同心円上
における混合プロセスガスの混合比を周方向にほぼ一定
(例えば図4(c)に於ける(1)(8)(7)(13)の位置でのそれ
ぞれの混合比が同じであり、(2)(9)(6)(12)の位置での
それぞれの混合比が同じであり、また(3)(10)(5)(11)の
位置に於けるそれぞれの混合比が同じである)とするこ
とができ、基板5上に形成される薄膜の膜質をより均一
にすることができる。
【0070】実施例4.図6(a)乃至図6(c)に示す実施
例に於いては、ガス導入管がターゲットに接続され、ガ
ス導入口がターゲットに形成されている。即ち、先の実
施例に於けるガス導入管16あるいは26の代わりに、
円板状のターゲット3aに、ターゲット3aの中心に設
けた第1のガス導入口32aを中心にして、3つの同心
円に沿って配列した第2乃至第4の多数のガス導入口3
2b乃至32dが設けられている。これらガス導入口3
2a乃至32dは、例えば0.5〜1mmの直径であ
り、ターゲット3aの裏面で図5に示すものと同様の複
数のリング状のガス導入管(図示してない)に接続され
ていて、先の実施例と同様にターゲット3aの中心から
の距離(半径)に対応して異なった混合比のプロセスガ
スを供給し、ターゲット3aを通して真空槽1内に供給
される混合プロセスガスの混合比分布が一様になるよう
にしてある。
【0071】ここで、ターゲット3aに設けるガス導入
口32a乃至32dは、その軸心がターゲット3aの表
面に対して垂直ではなく、図6(b)に示すように傾いて
いるので、プラズマにより生じて電界により加速されタ
ーゲット3aに略々垂直方向に入射するイオンが、ガス
導入口32を通り抜けて直接カソード部であるターゲッ
ト保持装置2に衝突することがない。即ち、図6(c)に
示す如くガス導入口32がターゲット3aの表面に対し
て垂直に形成されていれば、入射するイオンは矢印33
で示す如く略々垂直であるのでガス導入口32を通り抜
けて直接ターゲット支持装置2に到達する。このイオン
は、カソード部であるターゲット支持装置2を構成する
銅等の材料の原子あるいはターゲット3を固定するため
の接着剤の原子がたたき出され、例えば銅イオン34と
して真空槽1内に入る。このようなターゲット3以外か
らのイオンは形成される薄膜の性質に悪影響を与える。
【0072】これに対し、図6(d)に示す如くガス導入
口32がターゲット3aの表面に対して斜めに設けられ
ていると、矢印33で示す如くイオンはガス導入口32
の傾斜した壁面に衝突して遮られ、直接カソード部2に
到達することはない。すなわち、プラズマにより生じる
イオン34はターゲット3aによるものであり、上記の
不都合は生じない。
【0073】また、ガス導入口32をターゲット3aの
表面に対して傾斜させることにより、印加されている電
界の方向についてみれば、ターゲット3aの表面の凹凸
が軽減されることになり、異常放電を防止することがで
きる。
【0074】なお、図示の例では各ガス導入口32の傾
斜は同じ方向にしてあるが、これに限らず、傾斜の方向
は中心に対称に設けても、またランダムに設けてもよ
い。
【0075】以上のように、ターゲット3aに同心円状
に設けたガス導入口からガスを導入することにより、所
定の混合比のガスをターゲット3aの同心円上に、均一
に分布させることができるとともに、ターゲット3a付
近にプラズマを集中させることができ、薄膜形成が効率
良く行われる。
【0076】なお、以上の説明においてスパッタ装置を
例にとり説明したが、これに限らず、ガスの混合比等に
よって膜質が変化する薄膜形成装置に適用できることは
言うまでもない。例えばCVD法のプラズマTEOS
(テトラエトキシシラン)の場合、TEOSガスとO2
ガスとの混合比を調整することにより、上記実施例と同
様のことができる。その他、O3+O2+TEOS混合ガ
スを用いる層膜間CVD、SiH4+NH3混合ガスを用
いるガラスコートCVD、WF6+H2混合ガスを用いる
メタルCVDの場合も同じである。
【0077】
【発明の効果】以上説明した如く、請求項1記載の薄膜
形成装置に於いては、ターゲットと基板との間にプロセ
スガスを導入するガス導入管であって、ターゲットの表
面上に一様に分布する複数の表面位置に対応する位置に
設けられたガス導入口を有し、このガス導入口からプロ
セスガスをターゲット表面上に導入するガス導入管と、
ガス導入管に接続され、ガス導入口から真空槽内に導入
されるプロセスガス中のスパッタリングガス供給量を、
ターゲット表面の複数の位置に対応してそれぞれ選択し
て、ターゲット上の上記スパッタリングガスの供給量分
布を調整する供給量調整装置とを備えているので、簡単
で短時間の調整作業によりスパッタリングガスの供給量
分布を調整して基板上の膜厚分布等を所望通りに調整で
きる。
【0078】請求項2の薄膜形成装置に於いては、供給
量調整装置が、混合プロセスガス中のスパッタリングガ
スの混合比をそれぞれガス導入口に対して選択する混合
比調整装置であるので、混合プロセスガス中のスパッタ
リングガスの混合比をそれぞれガス導入口に対して選択
して膜厚分布を容易に調整することができる。
【0079】請求項3の薄膜形成装置に於いては、供給
量調整装置が、スパッタリングガスの流量をそれぞれガ
ス導入口に対して選択する流量調整装置であるので、ス
パッタリングガスの流量をそれぞれガス導入口に対して
選択して膜厚分布を正確に調整できる。
【0080】請求項4の薄膜形成装置に於いては、供給
量調整装置が、混合プロセスガス中のスパッタリングガ
スの混合比をそれぞれガス導入口に対して選択し、かつ
スパッタリングガスの流量をそれぞれガス導入口に対し
て選択した混合比・流量調整装置であるので、混合比と
流量の両者を調整し、スパッタリングガスの混合比とス
パッタリングガスの流量とをそれぞれガス導入口に対し
て選択して薄膜分布をより正確に調整できる。
【0081】請求項5の薄膜形成装置に於いては、基板
支持装置が、基板を、ターゲットと基板とを結ぶ軸心を
中心に回転させる回転装置を備えているので、膜厚分布
がより正確に調整できる。
【0082】請求項6の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入管が、各々ガス導入口を有してそれぞれ独立して移
動可能な複数のガス導入管であるので、ガス導入口の位
置をターゲット表面に対して径方向に微調節でき、膜厚
分布の調整がより正確にできる。
【0083】請求項7の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入管が、ターゲット表面上に同心状に配置された複数
のリング状のガス導入管であるので、膜厚分布が正確に
調整できる。
【0084】請求項8の薄膜形成装置に於いては、ガス
導入管がターゲットに接続され、複数のガス導入口が、
ターゲットに形成されているので、ガス導入管が影を作
るシャドウイングが起こらない。
【0085】請求項9の薄膜形成方法に於いては、プロ
セスガス中のスパッタリングガスの供給量を、ターゲッ
ト表面の複数の位置に対応してそれぞれ選択して、ター
ゲット上のスパッタリングガスの供給量分布を調整する
ので、薄膜形成の調整が比較的容易に行い得、膜厚分布
が正確に調整できる。
【0086】請求項10の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの供給量分布の調整が、スパッタリン
グガスの混合比の選択により行なわれるので、調整が容
易である。
【0087】請求項11の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの供給量分布の調整が、スパッタリン
グガスの流量の選択により行われるので、調整が容易で
正確にできる。
【0088】請求項12の薄膜形成方法に於いては、ス
パッタリングガスの供給量分布の調整が、スパッタリン
グガスの混合比と流量との選択により行われるので、調
整がより容易で正確にできる。
【0089】請求項13の薄膜形成方法に於いては、基
板を、ターゲットと基板とを結ぶ軸心を中心に回転させ
るので、シャドウイングが起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による薄膜形成装置の概略断面図であ
る。
【図2】この発明による実施例1のガス導入管の配置を
ターゲットに関連して示す図である。
【図3】この発明による実施例1及び実施例2のガス導
入管先端部の断面図である。
【図4】この発明によるガス導入管に供給する混合プロ
セスガスの混合比の決定方法を説明する図である。
【図5】この発明による実施例3のリング状のガス導入
管を示す図である。
【図6】この発明による実施例4のガス導入口を有する
ターゲットを示す図である。
【図7】従来の薄膜形成装置の概略断面図である。
【図8】従来のガス導入管の配置を示す図である。
【図9】従来の薄膜形成装置における、ターゲット・基
板間の距離と膜厚分布との関係を説明するための図であ
る。
【図10】従来の薄膜形成装置における、ターゲットの
厚みの減少を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 ターゲット支持装置 3、3a ターゲット 4 基板支持装置 5 基板 8b 回転装置 12a〜12d ガス導入口 16 ガス導入管 17 供給量調整装置 22a〜22d ガス導入口 26 ガス導入管 32a〜32d ガス導入口

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽と、上記真空槽内にターゲットを
    支持するターゲット支持装置と、 薄膜を形成すべき基板を上記真空槽内で上記ターゲット
    に対向離間して支持する基板支持装置と、 上記ターゲットと上記基板との間にプロセスガスを導入
    するガス導入管であって、上記ターゲットの表面上の複
    数の表面位置に対応する位置に設けられたガス導入口を
    有し、このガス導入口からプロセスガスをターゲット表
    面上に導入するガス導入管と、 上記ガス導入管に接続され、上記ガス導入口から真空槽
    内に導入される上記プロセスガス中のスパッタリングガ
    ス供給量を、上記ターゲット表面の複数の位置に対応し
    てそれぞれ選択して、上記ターゲット上の上記スパッタ
    リングガスの供給量分布を調整する供給量調整装置とを
    備えた薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 上記供給量調整装置が、混合プロセスガ
    ス中の上記スパッタリングガスの混合比をそれぞれ上記
    ガス導入口に対して選択する混合比調整装置である特許
    請求の範囲第1項記載の薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 上記供給量調整装置が、上記スパッタリ
    ングガスの流量をそれぞれ上記ガス導入口に対して選択
    する流量調整装置である特許請求の範囲第1項記載の薄
    膜形成装置。
  4. 【請求項4】 上記供給量調整装置が、混合プロセスガ
    ス中の上記スパッタリングガスの混合比をそれぞれ上記
    ガス導入口に対して選択し、かつ上記スパッタリングガ
    スの流量をそれぞれ上記ガス導入口に対して選択した混
    合比・流量調整装置である特許請求の範囲第1項記載の
    薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】 上記基板支持装置が、上記基板を、上記
    ターゲットと上記基板とを結ぶ軸心を中心に回転させる
    回転装置を備えてなる特許請求の範囲第1項乃至第4項
    のいずれか記載の薄膜形成装置。
  6. 【請求項6】 上記ガス導入管が、各々上記ガス導入口
    を有してそれぞれ独立して移動可能な複数のガス導入管
    である特許請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか記載
    の薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】 上記ガス導入管が、上記ターゲット表面
    上に同心状に配置された複数のリング状のガス導入管で
    ある特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか記載の
    薄膜形成装置。
  8. 【請求項8】 上記ガス導入管が上記ターゲットに接続
    され、上記複数のガス導入口が、上記ターゲットに形成
    されてなる特許請求の範囲第1項乃至第7項のいずれか
    記載の薄膜形成装置。
  9. 【請求項9】 真空槽内にターゲットと薄膜を形成すべ
    き基板とを対向離間して支持し、上記ターゲットと上記
    基板との間で、上記ターゲット表面に略々一様に分布す
    る複数の位置に対応した位置にプロセスガスを導入し、
    上記プロセスガス中のスパッタリングガスの供給量を、
    上記ターゲット表面の複数の位置に対応してそれぞれ選
    択して、上記ターゲット上の上記スパッタリングガスの
    供給量分布を調整することを特徴とする薄膜形成方法。
  10. 【請求項10】 上記反応ガスの供給量分布の調整が、
    上記スパッタリングガスの混合プロセスガス中の混合比
    をそれぞれ上記ガス導入口に対して選択して行なわれる
    特許請求の範囲第9項記載の薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】 上記反応ガスの供給量分布の調整が、
    上記スパッタリングガスの流量をそれぞれ上記ガス導入
    口に対して選択して行われる特許請求の範囲第9項記載
    の薄膜形成方法。
  12. 【請求項12】 上記スパッタリングガスの供給量分布
    の調整が、上記スパッタリングガスの混合プロセスガス
    中の混合比をそれぞれ上記ガス導入口に対して選択して
    行われ、かつ上記スパッタリングガスの流量をそれぞれ
    上記ガス導入口に対して選択して行われる特許請求の範
    囲第9項記載の薄膜形成方法。
  13. 【請求項13】 上記基板を、上記ターゲットと上記基
    板とを結ぶ軸心を中心に回転させる特許請求の範囲第9
    項乃至第12項のいずれか記載の薄膜形成方法。
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