JPH07194152A - 振動波モータの摩擦部材の形成方法 - Google Patents

振動波モータの摩擦部材の形成方法

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JPH07194152A
JPH07194152A JP5335922A JP33592293A JPH07194152A JP H07194152 A JPH07194152 A JP H07194152A JP 5335922 A JP5335922 A JP 5335922A JP 33592293 A JP33592293 A JP 33592293A JP H07194152 A JPH07194152 A JP H07194152A
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friction
curing
resin
film
epoxy resin
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JP5335922A
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Ichiro Chiba
一郎 千葉
Yutaka Maruyama
裕 丸山
Yoshimi Kuroda
由巳 黒田
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Sumico Lubricant Co Ltd
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Canon Inc
Sumico Lubricant Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は振動波モータのコストを安価とし、
かつ耐久性も向上させようとするものである。 【構成】 本発明の振動波モータは、振動体もしくは振
動体と加圧接触した移動体の接触部に、厚さの薄い膜状
の摩擦材を塗布法により形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性体に設けられた電
気−機械エネルギー変換素子に電気エネルギーを供給す
ることにより、振動子を超音波で振動させ、振動子の質
点上円又は楕円運動させることで、振動子に押圧した移
動体を摩擦駆動させる振動波モータの摩擦駆動面を形成
する摩擦部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に振動波モータは、振動体の表面粒
子に円又は楕円運動を励起せしめ、これに押圧された移
動体を摩擦駆動するものである。従って、振動体及び移
動体の加圧接触部に摩擦係数の大きなものを摩擦材とし
て設ける方が効率よく振動波モータの出力を取り出す為
に望ましく、又、摩擦材の摩耗がそのままモータの耐久
寿命につながる為、摩耗の少ない材料が望ましい。その
為、従来から種々の有機材料、無機材料及び金属材料が
提案されてきたが、高摩擦係数で安定し、長寿命を保ち
かつコストの安い摩擦材はほとんどないのが現状であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】振動波モータの出
力は、摩擦力に依存しているので、高出力を得る為、通
常市販の摩擦係数の高い材料を摩擦材として使用する
と、摩耗が激しく、それによる摩擦材自身の形状の変化
や摩耗粉の発生等による悪影響により、起動トルクが低
下したり、回転数が変動するなどのモータ特性の劣化が
起り、耐久寿命が短くなるという欠点があった。又、耐
久性を高める為、PTFEのような自己潤滑性のある材
料を単体で摩擦材として使用すると摩擦係数が小さく高
出力が得られないという欠点があった。又、通常の硬い
無機充填材を含有するエンジニアリングプラスチックを
摩擦材として使用すると、摩耗粉が摩擦材自体をかえっ
て摩耗させ、やはりモータ特性の劣化を引き起こし、寿
命が短くなるという欠点があった。更に従来の樹脂摩擦
材は、一般に耐熱性の高いエンジニアリングプラスチッ
クを圧縮成形や射出成形により製造し、機械加工により
所定の寸法に仕上げシート状にし、振動体や移動体に接
着、さらに摩擦材表面の研磨加工を行い使用している。
このように手間のかかる製造方法のため製造コストを高
いものにしていた。
【0004】また、この方法で作った摩擦材は接着剤を
用いて接着するため厚さ5μ〜10μm以上の接着層を
有しまた、更に摩擦材の厚さを薄くすると更にコスト高
を招くのでどうしても50μm以上の厚さを有してい
た。そして、このような厚みを有すると樹脂材の機械的
特性や振動特性が振動体や移動体へ影響を与え、振動体
や移動体の振動を減衰させたりそれらの摩擦材の接触部
の状態にも変化を与え、このため新たな樹脂又は複合樹
脂材を摩擦材として利用する際には、これらの摩擦材の
機械的特性や振動特性を充分に把握し、接触部の寸法形
状などを改めて計算するなど設計をやり直す必要もあ
り、モータの開発に多大な時間を要していた。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、移動
体又は振動体の少なくとも一方の摩擦接触部分に、少な
くとも熱硬化性樹脂を母材として含有した、摩擦材を塗
布法により形成したものである。
【0006】又、更に摩擦係数を上げ、さらに耐摩耗性
を上げる為、前記摩擦材に耐熱性のある充填材として耐
熱性のある樹脂粉砕品を混合したものである。
【0007】又、更に寿命を延ばす為に前記摩擦材に固
体潤滑材を混合したものである。
【0008】
【実施例】図1は本発明による振動波モータの一実施例
を示す正断面図である。本構成は、棒形状の振動子11
と、振動子11の上部端面に当接する移動体であるロー
タ1とを基本的な構成部材とし、振動子11の電気−機
械変換素子としてのリング状の圧電素子3、4、5、6
の位置的位相差、及び不図示の電極板より該圧電素子に
印加する交流電圧の時間的位相差を適当に選択すること
により、振動子11の駆動面10の表面粒子に円又は楕
円運動を形成し、この駆動面10に当接するロータ1を
回転駆動するものである。即ち、振動子11に発生した
進行性振動波によりロータ1を駆動するものである。振
動子11は、表面にSiC粒子を含むNiメッキをほど
こした金属の中空の振動子構造体2、8の間に、駆動用
圧電素子3、4、5、6、振動子11の振動状態検出用
の、電気−機械変換素子としての圧電素子7を配置し、
振動子構造体8側から構造体8の中空部に挿入した締結
ボルト9を中空状振動子構造体2のめねじ部に螺着する
ことにより、圧電素子3〜7を挟持固定して一体的な振
動子11を構成している。又ロータ1は振動子11の駆
動面10に、周知の不図示の加圧手段により、例えば3
00gwの荷重で加圧接触し、摩擦力が得られるように
なっている。そして、ロータ1と振動子11の摩擦接触
面のロータ1側に液状の潤滑の塗料を、エアスプレーに
より吹き付け、その後、後述するような熱処理を行い、
硬化させ厚さ30〜40μmの膜を形成させた。しかる
後にこのモータを回転数350rpm、付加トルク9g
f・cmにて連続駆動試験を行った。
【0009】図2a、bは図1のA部を拡大した図であ
り、ロータ1に塗布し硬化したエポキシ樹脂12と振動
子11の駆動面10の接触部を拡大して示した図であ
り、駆動面10上には直径φ9mmの円周状に、幅0.
1mmの穴起10A(図2a参照)があり、その表面に
は炭化ケイ素粉末の含有したニッケル無電解メッキを付
けている。そして、突起10Aがエポキシ樹脂12と加
圧され接触している。エポキシ樹脂12はロータ11に
スプレー法により塗膜を形成し、硬化後約20μmまで
研磨して平坦に仕上げている。
【0010】図3は前述の条件のもとでの10万回転
後、図2のエポキシ樹脂12の摩耗深さ13(図2b参
照)と硬化時間、硬化温度の関係を示したものである。
本実験では、どの硬化時間、硬化温度でも摩擦係数は約
0.7で、かなり高い値を示した。一般に塗料用の高温
焼付型のエポキシ樹脂で適当とされる硬化条件は、18
0℃で30分間程度とされているが、この条件では図3
のように、摩耗も多く振動波の摩擦材としてはあまり良
い材料ではない。むしろ硬化時間を長くし、硬化温度も
高くした方が摩耗が少なくなることがわかった。一般に
焼付型のエポキシ樹脂では、硬化温度が高いほど耐熱性
が良く、ガラス転移温度も上昇し、機械的な性質も変化
するとされている。この理由は、エポキシ樹脂の特性は
硬化反応により形成される橋かけ密度と関係しているた
めと言われている。このため摩擦材として有利な特性
は、一般の塗料を硬化条件よりも硬化時間を長くし、硬
化温度を高くした方が適しているものと思われる。ただ
し、硬化温度が高すぎたり、硬化時間が長すぎたりする
と、図3をみてもわかるように摩耗は増える。これはエ
ポキシ樹脂の熱により劣化のためと思われる。
【0011】なお、本実験はエポキシ樹脂として一般的
なビスフェノールA型エポキシ樹脂を、硬化剤として硬
化温度の高いポリアミンを使った例を示したが、他の種
類のエポキシ樹脂、硬化剤でも一般に推奨されている硬
化条件よりも硬化時間を長くし、硬化温度は高めにして
硬化させた方が摩擦材の摩耗特性は良くなった。
【0012】また、上記の例ではエポキシ樹脂に対する
摩擦材として、炭化ケイ素粉末の含有したニッケル無電
解メッキを使用したが、エポキシ樹脂やその他の高分子
材料である摩擦材に対する相手側の摩擦材の材質の選択
の余地は広い。今までの実験では、エポキシ樹脂やその
他の高分子材料よりもある程度硬い材料であれば、図2
に示したように摩擦駆動時に軟らかいエポキシ樹脂やそ
の他の高分子材料の方の摩耗のみ進行するので安定した
摩耗状態となる。例えば、クロムなどの硬質メッキ、ア
ルミナなどの酸化物セラミックス、その他、窒化チタン
などの窒化物セラミックスの蒸着、溶射などの各種コー
ティング、金属の窒化、焼入れによる硬化処理でも良
い。しかし、軟らかいアルミなどの金属では、アルミの
摩耗が起り発生した摩耗粉が、相手のエポキシ樹脂に付
着して、摩擦係数が不安定になったり、アルミ側の摩耗
が更に進行するなど振動波モータとして致命的な状態に
なった。
【0013】なお、本例で使用したロータ1はアルミで
あり、スプレーコーティングを行う際には、密着力が悪
く、コーティングが剥離し易い。そのためアルミには、
ショットブラストでコーティング面の粗度を荒し、アル
マイト処理を行いコーティングしたエポキシ樹脂との密
着度を上げている。
【0014】以上、本例では熱硬化性樹脂としてエポキ
シ樹脂を用いた例を示したが、他の熱硬化性樹脂である
フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリイミドアミド樹脂など、耐熱性が高く、強度も比較
的高い樹脂でも摩擦材として塗布して利用は可能であ
る。ただし、エポキシ樹脂が前述のごとく、摩擦係数が
最も大きくなった。耐摩耗性からみると、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂の方が好ましいが、多少摩擦
係数が小さい傾向にあった、過酷な条件ではポリイミド
樹脂、ポリアミドイミド樹脂の方がより適していると思
われる。
【0015】次に、耐摩耗性を更に向上させるため、前
述のエポキシ樹脂に充填材を添加して実験を行った。今
までの実験から、樹脂材料に硬度の高いアルミナなどの
無機物を添加し、摩擦材として使用すると発生した摩耗
粉の中にも無機物が含まれるため、この摩耗粉が言わば
砥粒となって樹脂材料を攻撃し摩擦を更に進ませること
がわかった。また、樹脂材料に鉄粉などの凝着性のある
金属粉末を添加すると、同様に摩耗が進む他に樹脂材料
や接触する相手側の材料にも金属粉末を含んだ摩耗粉が
付着し易く、摩擦係数は不安定となったり激しい摩耗を
生じ易い。
【0016】そこで、充填材として無機材料や金属材料
に比べれば比較的軟らかい有機材料をできれば充填材と
して適した形態である粉末として使えれば摩擦材として
適していると予想された。種々材料を検討した結果粉砕
して粉末化し易い様に、フィルム状の高分子材料に注目
した。高分子フィルムは各種材質のものが市販されてい
るが、従来から摩擦材の材質として耐熱性の高い方が望
ましいと予想されていることから、耐熱性の高い市販の
フィルム材を入手して検討を行った。
【0017】方法としては、市販のフィルムを入手し、
インペラーミルにより粗粉砕後、ジェットミルを使って
微粉砕を行い、できた粉末を前述の液状のエポキシ樹脂
塗料の中に投入、充分に粉末と混合し、エアスプレーに
よりロータの摩擦接触部に塗布後、210℃1時間で焼
付けた。
【0018】入手したフィルムは、耐熱性が高い材料と
いう意味でガラス転移温度と長期耐熱温度に着目して選
定した。具体的には、ガラス転移温度、長期耐熱温度と
も約100℃以上のポリフェニレンサルファイド(PP
S)(東レ・フィリッフス製)、ポリサルフォン(PS
F)(東レ合成フィルム製)、ポリエーテルイミド(P
EI)(住友ベークライト製)、ポリエーテルサルフォ
ン(PES)(住友ベークライト製)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)(住友ベークライト製)、ポ
リイミド(PI)(東レ、デュポン製、宇部興産製)の
厚さ25〜50μmのフィルムを使った。そして、前述
と同様の条件で振動波モータを用いて評価した結果、ほ
ぼガラス転移温度の高い材質ほど安定した性能が得ら
れ、摩擦係数も安定していた。
【0019】同様に耐摩耗性については、機械的な性質
も多少影響するものと予想されるが、基本的にはガラス
転移温度の高い方が好ましいと判断できた。更に、この
傾向は前述の条件よりも厳しい振動モータの回転数やト
ルクならびに摩擦材同士の面圧など負荷が大きくなれば
なるほどはっきりした結果になった。現在までの検討の
結果では、ガラス転移温度が最も高く、引張り強さが大
きく、伸びの小さいなど機械的性質も優れたポリイミド
が最も適していた。ただし、フィルムのコストを考慮す
ると、逆にポリイミドが最も高価であることから、選定
すべきフィルム材料は振動モータの負荷や仕様により最
終的に決めるべきと思われる。
【0020】なお、フィルムから粉砕した粉末は、スプ
レーコーティングを行うため、塗布前で大きくても約1
0μm以下にして使用した。エポキシ樹脂との混合比と
しては、あまり少なすぎると粉末の効果がみられず、多
すぎるとスプレーコーティング作業上や塗膜の性質上適
当でない。実際には、エポキシ樹脂に対し重量比で5%
〜70%にして検討した。
【0021】なお、エポキシ樹脂に添加する高分子粉末
は、前述のようにフィルムを粉砕して製造する方法もあ
るが、あらかじめ、製造当初から粉砕状の材料を用いて
も良い。例えば、このようなものとして、市販されてい
る全芳香族ポリエステル粉末(エコノール、住友化学)
なども使用できる。また、粉砕に手間がかかるが、耐熱
性樹脂成形品から粉末化しても良い。さらに別の耐熱性
のある充てん材としてシリコーン化合物、炭素繊維、チ
タン酸カリなどを添付しても耐摩耗性を上げるのに効果
を有する。
【0022】しかしながら、エポキシ樹脂にフィルム材
から作った粉末を添加しても、例えば、エポキシ樹脂硬
化条件210℃、1時間と比べ、最も良い効果のあった
ポリイミド粉末を添加した摩擦材(同条件で硬化)で
も、前述の図3と比較して、摩耗量は1/5〜1/10
程度になったものの、さらに長時間の耐久性が必要であ
るような振動モータの要求もあり、より耐摩耗性の向上
も必要となった。そこで、耐摩耗性を更に向上させ、モ
ータとしての耐久性を上げるために潤滑性のある材料を
エポキシ樹脂に混ぜ検討を行った。自己潤滑性を有する
固体潤滑材として、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、二
硫化タングステン、黒鉛、窒化ほう素などを用いてみ
た。これらの自己潤滑性材料を添加すると、基本的に摩
擦係数が下がるものの耐摩耗性は明らかに向上する。そ
して、これらの材料は比較的軟らかいためか、多量に混
合すると摩耗量が増え始めかえって摩耗し易くなった。
混合する量としては摩擦摺動表面に潤滑膜を連続して形
成できる。できるだけ少量を含んでいることが望ましい
と思われる。実際、添加する固体潤滑剤の影響は大き
く、少量でも急激に摩擦係数が0.2〜0.3以下に下
がった。これは摩擦摺動面に固体潤滑剤の膜が存在して
摺動性を上げた結果と思われる。検討した自己潤滑材の
うち、少量で最も摩擦係数を下げる効果があったのはフ
ッ素樹脂であった。
【0023】以下、更に詳しく実施例を示す。
【0024】市販の焼付け型で一般的なビスフェノール
A型エポキシ樹脂(エピコート、油化シェルエポシキ
製)に硬化剤として脂肪族ポリアミンを用い溶剤希釈し
たものをロータの摩擦面にスプレーコーティングし、硬
化温度210℃、硬化時間1時間で硬化させた。硬化後
の膜厚は約30μmとした。その後、表面を研磨加工
し、平面度並び表面あらさを上げ、最終的に膜厚は約2
0μmにした。ラップ加工後の摩擦材の平面度は1〜2
μm以下、表面あらさは0.5μm以下とした。
【0025】次に、上記のエポキシ樹脂の塗料の中に、
厚さ25μmのポリイミドフィルム(カプトン、東レ・
デュポン製)をインペーラミルで粗く粉砕した後、ジェ
ットミルで微粉砕した粉末を、エポキシ樹脂に対し重量
比で5〜70%を混合したポリイミド粉末の最終的な粒
径は平均粒径1〜5μm、最大粒径で10μm以下とし
た。
【0026】他の条件はエポキシ樹脂単体と同様に、塗
布後、熱硬化を行い表面の研磨加工を行った。
【0027】更に、固体潤滑剤としてフッ素樹脂粉末
(PTFE、平均粒径1〜2μm)の市販品を使用し、
エポキシ樹脂の溶液とポリイミド粉末を添加したエポキ
シ樹脂の溶液にエポキシ樹脂に対して重量比で5〜60
%まで変化させ混合し、他の条件は前述と同様に塗布
後、熱硬化を行い、表面の研磨加工を行った。
【0028】以上の条件で作ったサンプルを前述の振動
モータに組み込み摩擦係数、一定時間運転後の摩耗深さ
についてまとめたグラフが図4である。摩擦係数はロー
タの保持トルクを測定し、摩擦材の摩擦係数に換算し
た。
【0029】図4に示すように、摩擦係数に関して従来
の摩擦材に比べエポキシ樹脂単独でも高い約0.7を示
す。ポリイミド粉末の量が増えても、摩擦係数はあまり
変化しなかった。フッ素樹脂粉末は10%程度でも摩擦
係数は下がり始め、25%以上になると約0.2になっ
た。一方、摩耗に関してポリイミド粉末の量が増えるに
つれて、摩耗はかなり少なくなる。しかし量が増え過ぎ
ると摩耗は増え始めた。フッ素樹脂粉末は、更に摩耗が
減った。ただし、同様に混合比が増えすぎるとかえって
摩耗は増えた。この結果、ポリイミド粉末とフッ素樹脂
粉末を適当な比率で混ぜたものが最も少ない摩耗深さと
なった。
【0030】この結果から、振動モータの耐久仕様の短
いものには、エポキシ樹脂にポリイミド粉末を混ぜた摩
擦材が、高耐久性を要求する振動モータには、エポキシ
樹脂にフッ素樹脂を混ぜたものか、更にポリイミド粉末
を混ぜたものが適していると判断された。これらの混合
比は振動モータの仕様に対して決めるべきであろう。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、移
動体又は振動体の少なくとも一方の摩擦接触部分に、熱
硬化性樹脂を母材として含有した摩擦材を塗布法により
形成し、更に必要な場合には前記摩擦材に充填材又は潤
滑材として耐熱性高分子材料の粉末や固体潤滑剤を混ぜ
た摩擦材を振動モータに使うことにより、(1)塗布法
によるため、薄い膜状に付けられ、振動体や移動体に与
える影響を少なくできる。(2)熱硬化性樹脂を主成分
としコストの高い耐熱性高分子材料は粉末として添加し
ているので、塗布法と併せ、摩擦材の製造コストは大変
安価である。(3)熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂と
耐熱性高分子材料の組み合わせは、今まで公表されてい
る摩擦材と比べて、摩擦係数がかなり高く、かつ、耐摩
耗性も優れている。これらの結果、本発明による摩擦材
を使用した振動波モータの性能及び耐久性が向上し、強
いては振動波モータの用途拡大につながる可能性があ
る。
【0032】なお、ロータ1が固定され、振動子11が
振動波によって移動するタイプのモータにも本発明は適
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による振動波モータの一実施例の正断面
図。
【図2】本発明による摩擦材を塗布したロータとこれに
接触する振動体を示している図。
【図3】エポキシ樹脂の硬化条件と摩耗の関係を示した
図。
【図4】本発明によるエポキシ樹脂、耐熱性高分子粉末
並びに固体潤滑剤を混ぜたエポキシ樹脂の摩擦係数と摩
耗の関係を示した図。
【符号の説明】
1 接触体としてのロータ 2、8 振動子構造体 3、4、5、6 駆動用圧電素子 7 振動検出用圧電素子 9 締結ボルト 10 振動子駆動面(ロータと振動子の摩擦接触面) 11 振動子 12 塗布した摩擦材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 由巳 三重県員弁郡員弁町大字上笠田字北野2480 住鉱潤滑剤株式会社三重研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動波を発生する振動体と、該振動体と
    摩擦接触し、該振動波によって前記振動体と相対移動す
    る接触体とを有する振動波モータの摩擦部材の形成方法
    において、 前記接触体、又は、振動体の少なくとも一方の摩擦接触
    部分に、熱硬化性樹脂を主成分とした摩擦部材を塗布法
    により形成したことを特徴とする振動波モータの摩擦部
    材の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記摩擦部材としてエポキシ樹脂を用い
    たことを特徴とする請求項1記載の振動波モータの摩擦
    部材の形成方法。
JP5335922A 1993-12-28 1993-12-28 振動波モータの摩擦部材の形成方法 Pending JPH07194152A (ja)

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