JPH0719268U - 巻取機のトラバース装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リボン巻の防止などのトラバース制御を容易
に行う。 【構成】 糸８のトラバースガイド１１を巻取軸方向ｘ
に往復移動させるための移動手段１２と、その変位量及
び移動速度を適宜変化させて所定の巻取パッケージＰを
形成するための駆動制御手段１３とを備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、巻取機のトラバース装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ダブルツイスターや高速紡績機など、比較的高速で糸を巻き取る巻取機構を有 した繊維機械には、糸をボビンに均一に巻き取るためのトラバース装置が備えら れている。

【０００３】 図４に示すように、従来この種のトラバース装置は、無端螺旋状の溝１が形成 された溝カム２の回転により、その溝１に嵌まって摺動するシュー３を有したロ ッド４を軸方向に往復移動させ、ロッド４に取り付けられたトラバースガイド５ により、糸８を回転するボビン（巻取パッケージ６）に案内するようになってい る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで上記従来のトラバース装置においては、トラバース速度は溝カム２の 回転が変わらないかぎり一定である。このため例えばリボン巻きの防止を行うに は、溝カム２の駆動モータ７を周期的にON-OFFさせるなどして実質的にトラバー ス速度を変化させるようにしていたが、適用範囲に限りがあり、糸速の変化など に対しては対応できなかった。

【０００５】 そこで本考案は、上記事情に鑑み、リボン巻の防止などが容易にできるトラバ ース装置を提供すべく創案されたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、糸のトラバースガイドを巻取軸方向に往復移動させるための移動手 段と、その変位量及び移動速度を適宜変化させて所定の巻取パッケージを形成す るための駆動制御手段とを備えたものである。

【０００７】

【作用】

上記構成によって、駆動制御手段は、予め設定したプログラムに従って移動手 段を駆動させることで、トラバースガイドの位置及び移動速度を制御し、糸を適 正にトラバースさせる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添付図面に従って説明する。

【０００９】 図１は、本考案に係わる巻取機のトラバース装置の一実施例を示したものであ る。このトラバース装置は、糸８のトラバースガイド１１を巻取軸方向ｘに往復 移動させるための移動手段１２と、その変位量及び移動速度を適宜変化させるた めの駆動制御手段１３とにより主として構成されている。

【００１０】 移動手段１２は、軸方向ｘに伸びその方向に復動自在に設けられたロッド１４ と、ロッド１４の基端に設けられた油圧シリンダー１５とで構成されている。油 圧シリンダー１５には駆動部たる油圧ユニット１６が備えられ、ロッド１４に取 り付けられているシリンダー本体１７に適宜な油圧を供給することで、ピストン １８を動かすようになっている。ピストン１８に取り付けられたピストンロッド １９は、ロッド１４と反対側に延出され、先端部２０が固定されている。

【００１１】 駆動制御手段１３は、油圧ユニット１６を作動させるべく信号を出力するコン トローラ２１と、シリンダー本体１７の位置を検出する変位センサー２２と、巻 取パッケージＰを摩擦回転させるフリクションローラ（ドラム）２３の回転を検 出する速度センサー２４とで構成されている。すなわちこれらセンサー２２，２ ４が、トラバースガイド１１の現在位置ｘ₀ 及び糸速ｖ₀ をそれぞれコントロー ラ２１に入力するようになっている。コントローラ２１には、所望の適正な巻取 パッケージＰを形成するためのプログラムが入力されており、このプログラムに 従ってトラバースガイド１１を移動させるべく、検出した時点から単位時間ｔ ₁ （sec ）後の適正な位置ｘ₁ を直ちに計算して、その位置ｘ₁ へ適正速度ｖ ₁ でトラバースガイド１１を移動させるようになっている。

【００１２】 このように構成したことで、例えばリボン巻き防止を行うに際しては、図２に 示すように、トラバース速度Ｖを一定（Ｖ₀ ）とせずに、その上下の値（Ｖ₁ ＜ Ｖ₀ ＜Ｖ₂ ）を適宜周期でとるようなプログラムとする。すなわちトラバース速 度Ｖをこのカーブに従うように増減させれば、リボン巻きが発生することがない 。

【００１３】 そしてリボン巻が発生するのは特定の巻径になった時点であるので、その巻き 量になる時間を糸速・糸の太さ（番手Ｎｅ）・ボビン長などとの関係で予め求め ておき、そのときにのみワインド数Ｗを変えるような制御としてもよい。すなわ ち図３に示すように、基準のワインド数Ｗ₀ に対してリボン巻が発生する時間帯 （Ｔ₁ 〜Ｔ₂ ，Ｔ₂ 〜Ｔ₃ …）を算出し、その区間でワインド数Ｗが少なくなる ようなプログラムとする。例えば、Ｗ₀ ＝3 ワインドからＷ₁ ＝2.8 或いはＷ ₂ ＝2.9 ワインドに移行するようにトラバース速度Ｖを適宜変化させるものとす れば、番手Ｎｅなどの前提的な条件をコントローラ２１に入力するだけで、自動 的に無駄のないリボン巻き防止が達成されるものである。

【００１４】 また巻取パッケージＰの耳高を防止するには、トラバースガイド１１のストロ ークをパッケージＰの幅よりもわずかに狭く、例えば10％程度小さいものとして 、そのストロークを周期的にスライドさせるプログラムとすれば、パッケージＰ の両端の巻き密度が小さくなり、容易に耳くずしが達成される。

【００１５】 このほか、巻き密度を最適にしキク巻を防止するためにトラバース速度Ｖ（綾 角）を巻取時間Ｔの経過に従って適宜変化させる、パッケージＰの糸解舒の際に 糸テンションを一定にするためにコーン巻きにおいて右行と左行とのトラバース 速度Ｖ（ワインド数Ｗ）を変える、といった制御も容易に行うことができる。

【００１６】 なお移動手段としては、本実施例の油圧シリンダーの他、移動位置及び速度が 正確に管理できるものであればよく、例えばソレノイドやモーターを使用したア クチュエータを構成してもよい。そして本考案のトラバース装置は、ロッドに多 数のトラバースガイドを取り付けた一斉トラバースとしても、各錘毎に個々に備 えるものとしてもよい。

【００１７】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、トラバース速度等を自在に変えることができ、 巻取パッケージのリボン巻き防止などを容易に行うことができるという優れた効 果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係わる巻取機のトラバース装置の一実
施例を示した側面図である。

【図２】図１の作用を説明するためのトラバース速度変
化図である。

【図３】図１の他の作用を説明するためのワインド数変
化図である。

【図４】従来の巻取機のトラバース装置を示した側面図
である。

【符号の説明】

８ 糸 １１ トラバースガイド １２ 移動手段 １３ 駆動制御手段 ｘ トラバースガイドの位置（巻取軸方向） Ｖ トラバース速度

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 糸のトラバースガイドを巻取軸方向に往
   復移動させるための移動手段と、その変位量及び移動速
   度を適宜変化させて所定の巻取パッケージを形成するた
   めの駆動制御手段とを備えたことを特徴とする巻取機の
   トラバース装置。