JPH07189910A

JPH07189910A - 密閉型回転電機

Info

Publication number: JPH07189910A
Application number: JP33074793A
Authority: JP
Inventors: Makoto Tsukiji; 真築地; Wataru Mifuji; 亘美藤; Shinji Sato; 伸治佐藤
Original assignee: Mitsubishi Electric Corp
Current assignee: Mitsubishi Electric Corp
Priority date: 1993-12-27
Filing date: 1993-12-27
Publication date: 1995-07-28

Abstract

(57)【要約】【目的】巻線から接地電位へ流れる容量性電流、抵抗
性電流を低減し、信頼性の高い密閉型回転電機を得るこ
とを目的とする。【構成】媒質５が封入され、内部に回転電機の回転子
４、固定子鉄心２及び固定子巻線３を収納する密閉ケー
シング１内周面を誘電・絶縁層７で被覆する。誘電・絶
縁層としてはポリエチレンテレフタレートやポリイミド
などのプラスチックフィルム、誘電・絶縁性の塗料やエ
ポキシ・ポリエステルなどの樹脂硬化物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、絶縁性の液体、気体、
及び冷媒などが封入された状態で使用される密閉型回転
電機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１２は従来の密閉型回転電機の構造を
示す断面図である。図において１は密閉ケーシング、２
は密閉ケーシング１に取り付けられた固定子鉄心、３は
固定子鉄心のスロット部に挿入された固定子巻線、４は
回転子、５は密閉ケーシング１内の空間に充填された絶
縁油、冷媒、絶縁性ガスなどの媒質である。

【０００３】上記のように構成された従来の密閉型回転
電機においては、絶縁や冷却のために密閉ケーシング１
内に満たされた媒質５が強制的にあるいは自然対流によ
り循環しており、固定子巻線３と直接に接触する構造と
なっている。このため、固定子巻線などの充電部分か
ら、固定子巻線絶縁・固定子溝絶縁・媒質などを経由し
て接地電位である固定子鉄心や回転子・密閉ケーシング
へ容量性電流や抵抗性電流が流れる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年の傾向としては、
上記のように構成された密閉型回転電機において、これ
を駆動する電源波形が、数ｋＨｚ〜十数ｋＨｚの高周波
パルスによるインバータ駆動になったり、冷蔵庫や空調
機の圧縮機などでは環境保護の観点から従来よりかなり
絶縁特性が悪い冷媒を媒質として使用せざるを得ない状
況となってきた。このため、巻線の充電部より固定子巻
線絶縁・固定子溝絶縁・媒質などを経由して接地電位へ
流れる容量性電流やそれらの絶縁抵抗値によって決まる
抵抗性電流が増加し、電気用品取締法の基準値が達成出
来ないとか、漏電ブレーカがはたらく、あるいは感電の
危険性が高まるなどの問題点が出てきた。

【０００５】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、例えば充電部分である固定子巻
線と接地電位との間に、新たに誘電・絶縁層を設けるこ
とにより、容量性電流や抵抗性電流を減少させて、信頼
性の高い密閉型回転電機を提供することを目的とするも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる請求項１
の密閉型回転電機は、回転子、固定子及びこれらの巻線
を備え、絶縁油、冷媒、絶縁性ガスなどの媒質が内部を
循環する密閉ケーシング内に収納されるもので、上記密
閉ケーシング内周面を誘電・絶縁層で被覆したものであ
る。

【０００７】さらに、回転子及び固定子鉄心表面の少な
くとも一部を誘電・絶縁層で被覆した。なお、固定子鉄
心表面は固定子鉄心端面、溝内面を含む全表面である。

【０００８】また、請求項３の発明の密閉型回転電機
は、密閉ケーシングを例えばＦＲＰなどの非金属材料に
より形成したものである。

【０００９】また、非金属材料からなる密閉ケーシング
の内周または外周表面を金属で被覆した。

【００１０】そして、請求項５の発明の密閉型回転電機
は、密閉ケーシング内部に、媒質の液面の変動に拘らず
気相空間を維持形成する隔壁を設けるとともに、巻線間
及び口出線・端子との接続部の充電露出部分を上記隔壁
で形成される気相空間に配設し、上記充電露出部分を気
相中に保持するようにしたものである。

【００１１】

【作用】本発明の請求項１の発明においては、誘電・絶
縁層が、巻線導体（充電部）と接地間の静電容量を小さ
くするとともに、絶縁抵抗を大きくし、容量性電流や抵
抗性電流を低減するので、機器の信頼性を高める。

【００１２】また、請求項３の発明においては、密閉ケ
ーシングを例えばＦＲＰなどの非金属材料により形成し
たので、巻線充電部と接地電位との間の静電容量と絶縁
抵抗を改善する。このため、接地電位に流れる容量性電
流と抵抗性電流を著しく低減し、機器の信頼性を高め
る。

【００１３】また、非金属材料からなる密閉ケーシング
の内周または外周表面を金属で被覆したので、透過によ
る媒質量の減少を防ぐことができる。

【００１４】そして、請求項５の発明においては、密閉
ケーシング内部に隔壁を設け、充電露出部分を上記隔壁
で形成される気相空間、気相中に保持するようにしたの
で、巻線充電部と接地電位との間の絶縁抵抗を改善で
き、接地電位に流れる抵抗性電流を低減し、機器の信頼
性を高めることができる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図について説明す
る。実施例１．図１は本発明の実施例１の請求項１に係わる
密閉型回転電機の構成を示す断面図である。図におい
て、１は密閉ケーシング、２は固定子鉄心、３は固定子
巻線、４は回転子、５は媒質で、図１２に示す従来のも
のと同様である。７は密閉ケーシング内周表面全体を被
覆する誘電・絶縁層である。この誘電・絶縁層７を構成
する材料としては、ポリエチレンテレフタレートやポリ
イミドなどのプラスチックフィルム、誘電・絶縁性の塗
料やエポキシ・ポリエステルなどの樹脂硬化物などが適
用できる。

【００１６】以上のように構成された実施例１における
密閉型回転電機においては、誘電・絶縁層７が設けてあ
るので、固定子巻線絶縁・固定子スロット絶縁・媒質を
経由した後、誘電・絶縁層７・密閉ケーシング１を通し
て接地電位に容量性電流や抵抗性電流が流れる。しか
し、誘電・絶縁層７を挿入したことにより、静電容量は
従来の構成の時より小さくなり、また絶縁抵抗は大きく
なるため、上述の電流は小さくなる。例えば、誘電体層
の設定の有無における静電容量と絶縁抵抗の変化をある
機種を例にとって概算すると、表１のようになる。即
ち、静電容量が半分程度になるので容量性電流も半分程
度に、また絶縁抵抗が３〜４桁大きくなるので抵抗性電
流は３〜４桁小さくなる。

【００１７】

【表１】

【００１８】このように誘電・絶縁層は、巻線充電部と
接地電位との間の静電容量と絶縁抵抗を改善するため、
接地電位に流れる容量性電流と抵抗性電流を著しく低減
するので、各種の規格や感電等の危険性を小さくするな
ど、機器の信頼性を高めることができる。

【００１９】実施例２．図２は本発明の実施例２の請求
項１に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、密閉ケーシング１、固定子鉄心２、固
定子巻線３、回転子４、媒質５は上記のものと同様であ
る。この実施例では、誘電・絶縁層７で密閉ケーシング
１内周表面の固定子鉄心２と対向する部分を被覆してい
る。即ち固定子鉄心２と密閉ケーシング１の間に誘電・
絶縁層７を設置している。

【００２０】以上のように構成された実施例２における
密閉型回転電機は、誘電・絶縁層７があるので、固定子
巻線絶縁・媒質・固定子スロット絶縁・密閉ケーシング
１を経由した後、誘電・絶縁層７を通して接地電位に容
量性電流や抵抗性電流が流れる。

【００２１】

【表２】

【００２２】巻線と接地電位との間の静電容量として
は、表２の一例に示すように固定子鉄心部分の寄与が大
きい。このため、固定子鉄心７と密閉ケーシング１の間
に誘電・絶縁層７を挿入したことにより、静電容量は従
来の構成の時より小さくなり、また絶縁抵抗も誘電・絶
縁層７が挿入されたため大きくなり、上述の電流は小さ
くなる。なお、誘電・絶縁層７の設置範囲が小さくなる
ため、内表面全面に誘電・絶縁層７を設けた図１の実施
例１よりも効果はやや劣るものの、巻線と接地電位との
間の静電容量に対する寄与が大きい固定子鉄心部分に設
けているので、少ない設置面積でありながら、容量性電
流や抵抗性電流に対して優れた低減効果を発揮する。ま
た、誘電・絶縁層７を密閉ケーシング１内周表面の固定
子鉄心２との対向部分に被覆するだけであり、製造プロ
セスは容易になる。

【００２３】実施例３．図３は本発明の実施例３の請求
項１に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。この実施例では、誘電・絶縁層７を密閉ケーシング
１内周表面の固定子鉄心２及び固定子巻線３との対向部
分に、即ち固定子鉄心２と固定子巻線３と密閉ケーシン
グ１の間に設置している。

【００２４】以上のように構成された実施例３における
密閉型回転電機は、誘電・絶縁層７があるので、固定子
巻線絶縁・媒質・固定子スロット絶縁を経由した後、誘
電・絶縁層７を通して密閉ケーシング（接地電位）に容
量性電流や抵抗性電流が流れる。巻線と接地電位との間
の静電容量としては固定子鉄心部分の寄与が最も大きい
が、それに次いで固定子巻線端部が大きい。このため、
固定子鉄心７と密閉ケーシング１の間と固定子巻線端部
に相当する部分に対して誘電・絶縁層７を設置したこと
により、静電容量は従来の構成の時より小さくなる。静
電容量としては、密閉ケーシング内周全面に設けたのと
同等となることから、容量性電流の低減には非常に効果
がある。また絶縁抵抗も誘電・絶縁層７が挿入されたた
めやや大きくなり、上述の電流は小さくなる。

【００２５】実施例４．図４は本発明の実施例４の請求
項１に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、密閉ケーシング１、固定子鉄心２、固
定子巻線３、回転子４、媒質５は上記のものと同様であ
る。８は密閉ケーシング内周面、固定子鉄心２と対向す
る部分に密着して設けられた金属板、７は金属板８に塗
布・接着などにより形成された誘電・絶縁層である。通
常、密閉ケーシング１は鉄などの鋳物で作られており、
その表面はかなり凹凸がある。内周面に誘電・絶縁層を
直接形成するためには、予め表面研削などが必要とな
る。この実施例４では、これを避けるため、また被覆厚
さの制御がしやすいなどの理由から、金属板に被覆を形
成したものを固定子鉄心と密閉ケーシング間に設置して
いる。上記実施例と同様、容量性電流や抵抗性電流の低
減効果を発揮する。

【００２６】実施例５．図５は本発明の実施例５の請求
項２に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、密閉ケーシング１、固定子鉄心２、固
定子巻線３、回転子４、媒質５は上記と同様のものであ
る。この実施例では、誘電・絶縁層７で端面、溝内部を
含む固定子鉄心２の全表面、回転子４表面及び密閉ケー
シング内周表面を被覆している。上記実施例と同様に、
容量性電流や抵抗性電流の低減効果を発揮し、機器の信
頼性が向上した。

【００２７】実施例６．図６は本発明の実施例６の請求
項２に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、密閉ケーシング１、固定子鉄心２、固
定子巻線３、回転子４、媒質５は上記と同様のものであ
る。７は固定子鉄心２、回転子３及び密閉ケーシング内
周表面を被覆する誘電・絶縁層である。この実施例で
は、この誘電・絶縁層７は媒質の最大液面よりも高い位
置まで金属露出部を被覆している。

【００２８】以上のように構成された実施例６における
密閉型回転電機は、媒質の最大液面を越えた位置まで誘
電・絶縁層７があるので、固定子巻線絶縁・媒質・固定
子溝絶縁に加えて、誘電・絶縁層７を経由してから、密
閉ケーシング１を通して接地電位に容量性電流や抵抗性
電流が流れる。この時、誘電・絶縁層７を挿入したこと
により、静電容量は従来の構成の時より小さくなり、ま
た絶縁抵抗は大きくなるため上述の電流は小さくなる。
上記実施例と同様、容量性電流や抵抗性電流の低減効果
を発揮し、機器の信頼性が向上する。誘電・絶縁層７
は、固定子鉄心・回転子・密閉ケーシング内側の露出表
面全体を覆っても良いし、媒質の最大液面を勘案して最
大液面以下の部分に設けるなど、それぞれ部分的に被覆
させても良い。

【００２９】実施例７．図７は本発明の実施例７の請求
項３に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、固定子鉄心２、固定子巻線３、回転子
４、媒質５は上記のものと同様である。１１は非金属材
料で形成された密閉ケーシング、この場合は、ガラス繊
維と熱硬化性樹脂を複合させたＦＲＰを用いている。

【００３０】従来、鉄の鋳物等の金属材料により密閉ケ
ーシングが形成されていた時は、固定子巻線絶縁・固定
子溝絶縁・媒質・固定子鉄心を経由した後、密閉ケーシ
ングを通して接地電位に容量性電流や抵抗性電流が流れ
ていた。しかし、実施例７における密閉型回転電機にお
いては、密閉ケーシングをＦＲＰなどの非金属材料によ
り形成しているので、接地電位に対する静電容量は従来
の構成の時よりはるかに小さくなり、また絶縁抵抗は大
きくなるため上述の電流は小さくなる。このように密閉
ケーシングが非金属材料により形成されているので、巻
線充電部と接地電位との間の静電容量と絶縁抵抗を改善
する。このため、接地電位に流れる容量性電流と抵抗性
電流を著しく低減するので、機器の信頼性を高めること
ができる。

【００３１】実施例８．図８は本発明の実施例８の請求
項３に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、固定子鉄心２、固定子巻線３、回転子
４、媒質５は上記のものと同様である。この実施例では
密閉ケーシングを上部ケーシング１ａ、ボディ１ｂ、下
部ケーシング１ｃで構成し、この密閉ケーシングのボデ
ィ１ｂをガラス繊維と熱硬化性樹脂を複合させたＦＲＰ
などの非金属材料を用いて形成している。

【００３２】従来、鉄の鋳物等の金属材料により作られ
ていた密閉ケーシングをＦＲＰ化するにあたり、この実
施例のように部分的に設置することも出来る。ＦＲＰの
製作においては出来るだけ単純な形状が作り易い。ま
た、ボディ１ｂのみＦＲＰとする場合は、絶縁抵抗を大
きくする効果は小さくなるものの、静電容量を小さくす
る効果は損なわない。即ち、この実施例における密閉型
回転電機は、ボディ１ｂを単純な円筒形の非金属材料に
より構成したことにより簡便に製造できるとともに、絶
縁抵抗は若干の改善にとどまるものの、接地電位に対す
る静電容量は従来の構成の時よりはるかに小さくなり、
上述の電流は小さくなり、上記と同様の効果を奏する。

【００３３】実施例９．図９は本発明の実施例９の請求
項４に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図であ
る。図において、固定子鉄心２、固定子巻線３、回転子
４、媒質５は上記のものと同様である。この実施例では
ＦＲＰなどの非金属材料により形成した密閉ケーシング
１１の内周側の表面に金属膜９を被着している。なお、
外部の配管系へつながる部分は被着していない。

【００３４】この実施例においては、密閉ケーシングを
非金属材料により形成しているので、上記実施例７と同
様の効果を奏する。しかも、内周側の表面に金属膜９を
施してあるので、媒質が低分子量の場合でも非金属材料
により形成された密閉ケーシング１１を通して内部の媒
質が透過して、媒質の量が減少していくのを防ぐことが
出来る。このため、接地電位に流れる容量性電流と抵抗
性電流を著しく低減するとともに、透過による媒質量の
減少を防ぐので、機器の長期信頼性を高めることができ
る。

【００３５】実施例１０．図１０は本発明の実施例１０
の請求項４に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図
である。この実施例ではＦＲＰなどの非金属材料により
形成した密閉ケーシング１１の外周側の表面に金属膜９
を被着している。上記実施例９と同様の効果を奏する。

【００３６】実施例１１．図１１は本発明の実施例１１
の請求項５に係わる密閉型回転電機の構成を示す断面図
である。図において、密閉ケーシング１、固定子鉄心
２、固定子巻線３、回転子４、媒質５は上記のものと同
様である。６は端子、１０は密閉ケーシング内の上部の
端子部分に設けられた、媒質５の液面の変動に拘らず気
相空間を維持形成する隔壁である。この隔壁は、媒質の
液面が上昇した場合でもその時の圧力に対応した気圧を
保持しており、点模様で示した部分の空間は気相が保た
れる。固定子巻線間及び巻線と端子・口出し線との接続
部をこの気相部分に配置し、液相部分に金属露出部分が
浸漬しないようにする。

【００３７】以上のように構成された実施例１１におけ
る密閉型回転電機は、接続部分の金属露出部が液体すべ
て気相中で行なわれるため、抵抗率が低い液相の媒質を
経由して流れる抵抗性電流が小さくなる。このように隔
壁を設け、かつ接続部が常に気相中に保持されるように
することによって、巻線充電部と接地電位との間の絶縁
抵抗を改善できるため、接地電位に流れる抵抗性電流を
著しく低減するので、機器の信頼性を高めることができ
る。

【００３８】

【発明の効果】本発明の請求項１の発明においては、回
転子、固定子及びこれらの巻線を備え、絶縁油、冷媒、
絶縁性ガスなどの媒質が内部を循環する密閉ケーシング
内に収納される密閉型回転電機において、上記密閉ケー
シング内周面を誘電・絶縁層で被覆することにより、誘
電・絶縁層が、巻線導体（充電部）と接地間の静電容量
を小さくするとともに、絶縁抵抗を大きくし、容量性電
流や抵抗性電流を低減するので、機器の信頼性を向上で
きる。

【００３９】さらに、回転子及び固定子鉄心表面の少な
くとも一部を誘電・絶縁層で被覆した。

【００４０】また、請求項３の発明においては、密閉ケ
ーシングを例えばＦＲＰなどの非金属材料により形成し
たので、巻線充電部と接地電位との間の静電容量と絶縁
抵抗を改善し、接地電位に流れる容量性電流と抵抗性電
流を著しく低減し、機器の信頼性を高めることができ
る。

【００４１】また、非金属材料からなる密閉ケーシング
の内周または外周表面を金属で被覆したので、透過によ
る媒質量の減少を防ぐことができ、長期信頼性が向上す
る。

【００４２】そして、請求項５の発明においては、密閉
ケーシング内部に、媒質の液面の変動に拘らず気相空間
を維持形成する隔壁を設け、充電露出部分を上記隔壁で
形成される気相空間、気相中に保持するようにしたの
で、巻線充電部と接地電位との間の絶縁抵抗を改善で
き、接地電位に流れる抵抗性電流を低減し、機器の信頼
性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１の請求項１に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図２】本発明の実施例２の請求項１に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図３】本発明の実施例３の請求項１に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図４】本発明の実施例４の請求項１に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図５】本発明の実施例５の請求項２に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図６】本発明の実施例６の請求項２に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図７】本発明の実施例７の請求項３に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図８】本発明の実施例８の請求項３に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図９】本発明の実施例９の請求項４に係わる密閉型回
転電機を示す断面図である。

【図１０】本発明の実施例１０の請求項４に係わる密閉
型回転電機を示す断面図である。

【図１１】本発明の実施例１１の請求項５に係わる密閉
型回転電機を示す断面図である。

【図１２】従来例の密閉型回転電機の構成を示す断面図
である。

【符号の説明】

１密閉ケーシング１ｂＦＲＰからなる密閉ケーシングのボディ２固定子鉄心３固定子巻線４回転子５媒質６端子７誘電・絶縁層８金属板９金属膜１０隔壁１１ＦＲＰからなる密閉ケーシング

【手続補正書】

【提出日】平成６年２月２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１６

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１６】以上のように構成された実施例１における
密閉型回転電機においては、誘電・絶縁層７が設けてあ
るので、固定子巻線絶縁・固定子溝絶縁・媒質を経由し
た後、誘電・絶縁層７・密閉ケーシング１を通して接地
電位に容量性電流や抵抗性電流が流れる。しかし、誘電
・絶縁層７を挿入したことにより、静電容量は従来の構
成の時より小さくなり、また絶縁抵抗は大きくなるた
め、上述の電流は小さくなる。例えば、誘電体層の設定
の有無における静電容量と絶縁抵抗の変化をある機種を
例にとって概算すると、表１のようになる。即ち、静電
容量が半分程度になるので容量性電流も半分程度に、ま
た絶縁抵抗が３〜４桁大きくなるので抵抗性電流は３〜
４桁小さくなる。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２０

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２０】以上のように構成された実施例２における
密閉型回転電機は、誘電・絶縁層７があるので、固定子
巻線絶縁・媒質・固定子スロット絶縁・誘電・絶縁層７
を経由した後、密閉ケーシング１を通して接地電位に容
量性電流や抵抗性電流が流れる。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２２

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２２】巻線と接地電位との間の静電容量として
は、表２の一例に示すように固定子鉄心部分の寄与が大
きい。このため、固定子鉄心２と密閉ケーシング１の間
に誘電・絶縁層７を挿入したことにより、静電容量は従
来の構成の時より小さくなり、また絶縁抵抗も誘電・絶
縁層７が挿入されたため大きくなり、上述の電流は小さ
くなる。なお、誘電・絶縁層７の設置範囲が小さくなる
ため、内表面全面に誘電・絶縁層７を設けた図１の実施
例１よりも効果はやや劣るものの、巻線と接地電位との
間の静電容量に対する寄与が大きい固定子鉄心部分に設
けているので、少ない設置面積でありながら、容量性電
流や抵抗性電流に対して優れた低減効果を発揮する。ま
た、誘電・絶縁層７を密閉ケーシング１内周表面の固定
子鉄心２との対向部分に被覆するだけであり、製造プロ
セスは容易になる。

【手続補正４】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２４

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２４】以上のように構成された実施例３における
密閉型回転電機は、誘電・絶縁層７があるので、固定子
巻線絶縁・媒質・固定子溝絶縁を経由した後、誘電・絶
縁層７を通して密閉ケーシング（接地電位）に容量性電
流や抵抗性電流が流れる。巻線と接地電位との間の静電
容量としては固定子鉄心部分の寄与が最も大きいが、そ
れに次いで固定子巻線端部が大きい。このため、固定子
鉄心７と密閉ケーシング１の間と固定子巻線端部に相当
する部分に対して誘電・絶縁層７を設置したことによ
り、静電容量は従来の構成の時より小さくなる。静電容
量としては、密閉ケーシング内周全面に設けたのと同等
となることから、容量性電流の低減には非常に効果があ
る。また絶縁抵抗も誘電・絶縁層７が挿入されたためや
や大きくなり、上述の電流は小さくなる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転子、固定子及びこれらの巻線を備
え、媒質を封入した密閉ケーシング内に収納される密閉
型回転電機において、上記密閉ケーシング内周面を誘電
・絶縁層で被覆したことを特徴とする密閉型回転電機。
【請求項２】回転子及び固定子鉄心表面の少なくとも
一部を誘電・絶縁層で被覆したことを特徴とする請求項
１記載の密閉型回転電機。
【請求項３】回転子、固定子及びこれらの巻線を備
え、媒質を封入した密閉ケーシング内に収納される密閉
型回転電機において、上記密閉ケーシングを非金属材料
で形成したことを特徴とする密閉型回転電機。
【請求項４】非金属材料からなる密閉ケーシングの内
周または外周表面を金属で被覆したことを特徴とする請
求項３記載の密閉型回転電機。
【請求項５】回転子、固定子及びこれらの巻線を備
え、媒質を封入した密閉ケーシング内に収納される密閉
型回転電機において、上記密閉ケーシング内部に、上記
媒質の液面の変動に拘らず気相空間を維持形成する隔壁
を設けるとともに、上記巻線間及び口出線・端子との接
続部の充電露出部分を上記隔壁で形成される気相空間に
配設し、上記充電露出部分を気相中に保持するようにし
たことを特徴とする密閉型回転電機。