JPH07188053A - 歯周組織再生促進膜 - Google Patents

歯周組織再生促進膜

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JPH07188053A
JPH07188053A JP5350845A JP35084593A JPH07188053A JP H07188053 A JPH07188053 A JP H07188053A JP 5350845 A JP5350845 A JP 5350845A JP 35084593 A JP35084593 A JP 35084593A JP H07188053 A JPH07188053 A JP H07188053A
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JP
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cell growth
growth factor
membrane
human
promoting
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JP5350845A
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Shinjiro Taniguchi
慎次郎 谷口
Akane Takemura
あかね 武村
Naoki Matsuda
尚樹 松田
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Sunstar Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】薬理学上許容される基剤に血小板由来細胞成長
因子、上皮細胞成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、
トランスフォーミング細胞成長因子またはインシュリン
様細胞成長因子等の細胞成長因子を固定化してなる膜、
特に歯周組織再生促進膜。 【効果】本発明の膜、特に歯周組織再生促進膜は、歯周
組織再生促進作用に格段に優れているのみならず、骨性
癒着や歯根吸収を回避でき、安全性においても優れてい
る。さらに細胞成長因子が固定され、遊離するものでは
ないので、その活性を発揮させるために従来必要とされ
た投与量よりも低用量で歯周組織再生を促すことが可能
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薬理学上許容される基剤
に細胞成長因子を固定化してなる膜に関する。特に、歯
周炎等により破壊された歯周組織を再生し、正常な歯根
と結合組織間の付着を促進する誘導組織再生法に用いる
歯周組織再生促進膜に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り歯周炎の治療の方法として、スケーリング等により機
械的にプラークを除去する方法や抗生物質による化学療
法、また重篤な場合には歯周外科的処置が行なわれてい
る。これらの療法は、いずれも歯周炎の進行を阻止する
には有効な方策であるが、既に破壊された歯周組織を積
極的に修復、再生させるものではなく、臨床症状の改善
はあくまで生体の自己治癒力に依存するものと考えられ
ている。
【0003】歯周組織は硬組織(歯根および歯槽骨)と
軟組織(歯根膜)が線維性の強固な結合により付着する
という他の組織ではみられない構造を有しているが、前
述のような従来の治療方法では、歯根膜が再生する前に
歯肉表面の上皮細胞が歯周ポケット表面を被覆してしま
う(上皮のダウングロースが生じる)ために、歯根膜が
再生できず、このため正常な結合組織の再構築ができな
い。従って、歯周ポケットが容易に再形成され、ひいて
は歯周炎の再発を生じるとともに、高頻度に歯肉の退縮
が生じることになる。また、治療後に骨性癒着や歯根吸
収といった好ましからぬ転帰をたどることも多い。
【0004】これに対し、正常な線維性結合を再生させ
る方法として、生体適合性の高い遮断膜により上皮のダ
ウングロースを抑制する誘導組織再生法(GTR 法)(Ny
manet al. Journal of Periodontal Research, 22, 252
-254, 1987)が提案され、既にこの方法に基づく商品も
開発され、臨床的にも実用化されている(特表平3−5
05684号公報)。
【0005】しかし、このGTR 法は歯根面と歯肉を遮蔽
することによって、歯根膜細胞の増殖する環境を整え歯
根膜細胞自身の治癒力よって歯根膜を再生させる方法で
あるため、術者による成功率の差、および症例による改
善度の差が大きいという欠点を有している。
【0006】そこで細胞成長因子を局所、即ち患部に適
用し、歯根膜細胞の機能を積極的に活用することによる
歯周組織再生法(Lynch et al. Journal of Clinical P
eriodontology, 16, 545-548, 1989)も提案されている
が、動物実験上での有効性は認められているものの、こ
の方法では細胞成長因子が非特異的に作用するため、歯
根膜細胞に隣接する骨芽細胞や破骨細胞の活性化を引き
起こしてしまう。このため骨性癒着や歯根吸収といった
好ましくない症状が発生し、これを防ぐ方策がないため
に、この方法が実際に臨床に応用された例は未だ報告さ
れていない。
【0007】前記問題点を解決するために、GTR 法と細
胞成長因子の併用も試みられている。例えば、細胞成長
因子を吸着被覆した組織再生誘導膜(GTR 膜)に関する
特許(WO90/13302,特表平3−505684
号公報)が開示されているが、この方法では組織再生誘
導膜から遊離した細胞成長因子の非特異的作用に起因す
る、周辺組織の活性化による骨性癒着や歯根吸収の発
生、また、GTR 膜上の細胞成長因子の上を、さらに生体
吸収膜でカバーすることによる細胞成長因子の作用発現
の遅延や、生体吸収膜の素材の生体に対する抗原性の問
題が生じうる。
【0008】一般に、細胞成長因子は細胞膜表面に存在
する特異的受容体と結合し、この受容体を開始点とする
信号伝達経路を介して作用を発現する。細胞成長因子と
結合した受容体はすみやかに細胞内に取り込まれ、リソ
ゾーム内で分解される。近年、この細胞内取り込みの過
程を阻害することにより、遊離の細胞成長因子よりも細
胞増殖作用を増強させるなど、細胞成長因子の作用を変
化させ得ることを示唆する報告がなされている(Liu et
al. Biomaterials, 13, 50-58, 1992)。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは安全性、安定性および有効性に優れる歯周
組織再生用材料につき鋭意研究を重ねた。その結果、G
TR膜に高分子技術を用いて細胞成長因子を固定化し、
細胞成長因子の細胞内への取り込みを阻害する膜を開発
し、この膜が従来のGTR膜に細胞成長因子を吸着被覆
した場合よりも歯周組織再生促進作用に優れているのみ
ならず、骨性癒着や歯根吸収をも回避でき、さらに細胞
成長因子の活性を発揮させるために従来必要とされた投
与量よりも低用量で歯周組織再生を促すことを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、薬理学上許容される基剤
に細胞成長因子を固定化してなる膜、特に細胞成長因子
を固定化してなる歯周組織再生促進膜に関するものであ
る。
【0011】本発明において薬理学上許容される基剤と
は、従来より知られる生体非吸収性基剤および生体吸収
性基剤等が挙げられるが、簡単な処理で容易にカルボキ
シル基を遊離しうる基を有し、かつ歯周組織を被覆でき
る膜状のものである限り特に制限はない。具体的には生
体非吸収性高分子であるニトロセルロース膜やポリメタ
クリル酸メチル膜、あるいは生体吸収性高分子であるポ
リ乳酸膜等が挙げられる。特に、ポリ乳酸膜のように生
体吸収性基剤を用いる場合、膜除去のための再手術を必
要としないという面で好ましい。
【0012】本発明において用いられる細胞成長因子と
は、例えば公知の細胞成長因子であるヒト血小板由来細
胞成長因子(ヒトPDGF)、ヒト上皮細胞成長因子
(ヒトEGF)、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子(ヒト
bFGF)、ヒトトランスフォーミング細胞成長因子
(ヒトTGF)、ヒトインシュリン様細胞成長因子(ヒ
トIGF)等の細胞成長因子等が挙げられる。なかで
も、ヒトPDGFが歯周組織再生促進作用が強く好適で
ある。これらの細胞成長因子は市販されており、例えば
ヒトPDGF、ヒトEGF、ヒトbFGFは、米国GIBC
O 社より入手できる。また、これらの細胞成長因子は、
細胞成長因子としての活性を有する限りにおいて、その
由来は特に限定されるものではなく、遺伝子組み換え技
術により天然由来の配列を有する細胞成長因子またはそ
の改変体を大腸菌等の宿主により産生させたものであっ
ても使用することができる。
【0013】本発明において細胞成長因子の固定化と
は、前記の基剤(膜状の形状としたもの)をアルカリ加
水分解してカルボキシル基を遊離させた後、遊離のカル
ボキシル基と細胞成長因子の有するアミノ基を共有結合
させることにより細胞成長因子を基剤上に結合させるこ
とを指す。ここで、遊離のカルボキシル基と細胞成長因
子の有するアミノ基を共有結合させる方法としては、例
えば、水溶性カルボジイミドを用いる縮合(Liu,et a
l.,Biomaterials,13,50-58,1992)、グルタールアルデヒ
ドを用いる縮合(日本生化学会編, 続生化学実験講座2,
タンパク質の化学下,619-640,1987 )、ブロムシアンを
用いる縮合(Karube,et al,Anal.chem.Acta,106,243(19
79))などの一般的な方法が挙げられる。
【0014】本発明の歯周組織再生促進膜における細胞
成長因子の固定化量は、例えばヒトPDGF、ヒトEG
F、ヒトbFGF、ヒトTGFの場合、基剤の膜1cm2
たり0.1 〜 100ng、好ましくは0.1 〜10ngが、ヒトIG
Fの場合、膜1cm2あたり1〜1000ng、好ましくは1〜10
0 ngである。この場合、固定化する細胞成長因子は、1
種のみでも2種以上を併用して固定化してもよい。
【0015】このようにして細胞成長因子を基剤(膜)
上に固定化することにより得られる膜は、種種の傷、例
えば、擦傷、裂傷、褥瘡、熱傷等の創傷部や、手術後の
患部等を覆うことにより創傷等の回復を促進する効果を
有する。特に、細胞成長因子を基剤(膜)上に固定化す
ることにより得られる歯周組織再生促進膜は、歯周外科
的処置時に直接適用することによる局所的適用が可能で
あり、非特異的作用による骨性癒着や歯根吸収を回避で
きる。さらに使用時には、細胞内への細胞成長因子の取
り込みによる分解を防止でき、その結果細胞成長因子の
活性の長期間持続という優れた効果を得ることができ
る。なお、歯周組織再生促進膜の使用法としては、通常
次のように行う。最初に歯肉を手術により歯から剥離
し、歯根部をきれいにする。その後、膜を歯根部と歯肉
部の間に入れ、歯肉をその上に覆い縫合する。生体吸収
性の膜(ポリ乳酸等)の場合はそのまま放置すればよい
が、テフロン膜(ミリポア膜)のような非吸収性のもの
は、後日再手術を行い、膜を取り出す必要がある。
【0016】使用量は治療すべき症状、部位によって適
宜増減できるが、ニトロセルロース膜、ポリメタクリル
酸メチル膜またはポリ乳酸膜を基剤として用いる場合、
前記のように基剤(膜)1cm2あたりに細胞成長因子が
0.1〜1000ng程度固定化された歯周組織再生促進膜を歯
肉剥離手術を行った後患部に挿入することにより、所望
の歯周組織再生促進効果が発揮される。
【0017】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0018】実施例1 ニトロセルロース膜(ミリポア社製)およびポリ乳酸膜
(ガイドール社製)を70℃において、1N−水酸化ナ
トリウム水溶液に1時間浸してカルボキシル基を遊離さ
せた後、10%クエン酸に一晩浸漬して各膜を中和し
た。膜を取り出し蒸留水で洗浄した後、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩の1mg/ml 水溶液に30℃にて1時間浸漬し、ついで
表1の各細胞成長因子100ng/ml(ヒトIGF−Iのみ1
μg/ml) を含む2−(N−モルフォリノ)エタンスルホ
ン酸緩衝液(pH7.0)に4℃にて4時間浸漬して、
各細胞成長因子を各膜上に固定化した。反応終了後リン
酸緩衝生理食塩水で洗浄し、75% エタノールで滅菌した
後風乾することにより、各細胞成長因子を固定化した滅
菌ニトロセルロース膜およびポリ乳酸膜を本発明の歯周
組織再生促進膜として得た。各膜上に固定化された細胞
成長因子量は、クマシーブルー G250 を用いた比色法で
定量した。その結果を、表1に示す。尚、各細胞成長因
子は、GIBCO(米国)社製のものを用いた。
【0019】
【表1】
【0020】試験例1 各細胞成長因子を固定化したニトロセルロース膜および
ポリ乳酸膜の歯周組織再生促進作用を試験した。以下に
その結果を示す。
【0021】(1)歯根膜線維芽細胞のDNA 合成に対す
る作用 本試験においてニトロセルロース膜(ミリポア社製)、
ポリ乳酸膜(ガイドール社製)の各膜は直径18mmの円形
に切り抜いたものを8枚ずつ用意し、両種の膜のうち各
4枚には実施例1と同様の方法で4種の細胞成長因子
(ヒトPDGF、ヒトEGF、ヒトbFGF、ヒトIG
F−I)各0.2ng を固定化( ヒトIGF−Iのみ2ng)
した。両種の膜の残り各4枚には、各細胞成長因子を含
む2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸緩衝液
(pH7.0)に浸漬し、4種の細胞成長因子各0.5
ng( IGF−Iのみ5ng) を吸着被覆させた。
【0022】直径16mmの組織培養用シャーレ16枚に、
前記のようにして得られた各膜を置き歯根膜線維芽細胞
1.0×105 個播種し、37℃で1 日間インキュベートし、
さらに[3H]−チミジンを1μCi/ml となるように添加
し、2 時間インキュベートした。氷冷したリン酸緩衝生
理食塩水で2 回洗浄した後、氷冷した5%トリクロロ酢酸
で2 回洗浄して細胞を固定した。これに0.25M の水酸化
ナトリウム0.5ml を加え、細胞を溶解しその溶解液を4m
l のシンチレーションカクテルが入ったバイアルに移
し、液体シンチレーションカウンターで放射活性を測定
した。別に、それぞれ同様に処理した細胞をラバー・ポ
リスマンで剥離し、蛍光測定法によりDNA量を定量し、
単位DNA 量あたりのDNA 合成量として算出した。
【0023】尚、対照として未処理の同シャーレ、およ
び比較検体として各々5種の細胞成長因子(ヒトPDG
F、ヒトEGF、ヒトbFGF、ヒトTGF−bet
a、ヒトIGF−I)各5ngを添加( ヒトIGF−Iの
み50ng) した4枚の同シャーレそれぞれに歯根膜線維芽
細胞 1.0×105 個播種し、37℃で1日間培養したものに
ついても前記と同様に単位DNA 量あたりのDNA 合成量を
算出した。次に各検体のDNA 合成促進活性を、未処理細
胞(対照)の単位DNA 量あたりのDNA 合成量を1とした
場合の相対活性として比較を行った。各検体の相対活性
を表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】表2に示すように、歯根膜線維芽細胞にお
けるDNA 合成は、各細胞成長因子をニトロセルロース膜
またはポリ乳酸膜に固定化した本発明の歯周組織再生促
進膜を用いた培養により、それぞれ促進された。とりわ
けニトロセルロース膜およびポリ乳酸膜上に、ヒトPD
GFまたはヒトbFGFを固定化した場合に特に顕著な
促進効果が認められ、細胞成長因子をニトロセルロース
膜またはポリ乳酸膜に吸着させたものよりもより顕著に
DNA 合成を促進することが判明した。
【0026】(2)歯根膜線維芽細胞のコラーゲン合成
に対する作用 本試験においてニトロセルロース膜(ミリポア社製)、
ポリ乳酸膜(ガイドール社製)の各膜は直径37mmの円形
に切り抜いたものを8枚ずつ用意し、両種の膜のうち4
枚には実施例1と同様の方法で4種の細胞成長因子(ヒ
トPDGF、ヒトEGF、ヒトbFGF、ヒトIGF−
I)各0.2ng を固定化( IGF−Iのみ2ng) した。両
種の膜の残り各4枚には各細胞成長因子を含む2−(N
−モルフォリノ)エタンスルホン酸緩衝液(pH7.
0)に浸漬し、4種の細胞成長因子各0.5ng( ヒトI
GF−Iのみ5ng) を吸着させた。
【0027】直径35mmの組織培養用シャーレ16枚に、
前記のようにして得られた各膜を置き歯根膜線維芽細胞
を 6×105 個播種し、37℃で1 日インキュベートし、メ
チオニンを含まない培地に[35S ]- メチオニンを50μ
Ci/ml となるように添加し、2 時間インキュベートし
た。リン酸緩衝生理食塩水で4 回洗浄しメチオニンを含
まない培地1ml を添加しさらに2 時間インキュベートし
培地を回収した。リン酸緩衝生理食塩水1ml で細胞を回
収し、細胞を超音波破砕した後、遠心分離した。回収し
た培地と遠心分離した上清を、一晩透析し凍結乾燥し
た。
【0028】凍結乾燥したタンパク質を5mM の塩化カル
シウムを含むトリス塩酸緩衝液(pH7.4)1ml に溶
解し、その0.5ml をとり1mg/mlのバクテリア由来コラゲ
ナーゼ(シグマ社製)25μlを添加し、2 時間37℃でイ
ンキュベートした。トリクロロ酢酸でタンパク質を沈澱
させ、エーテルで3 回抽出しエーテル中の放射活性を測
定した。別に、それぞれ同様に処理した細胞を、0.15%
トリプシンで剥離し血球計算盤を用いて細胞数をカウン
トし、細胞1 個あたりのコラーゲン合成量を算出した。
【0029】尚、対照として未処理の同シャーレ、およ
び比較検体として各々5種の細胞成長因子各5ngを添加
( IGF−Iのみ50ng) した5枚の同シャーレそれぞれ
に歯根膜線維芽細胞を 6×105 個播種し、37℃で1日
間培養したものについても前記と同様に細胞1 個あたり
のコラーゲン合成量を算出した。次に、各検体のコラー
ゲン合成活性を、未処理細胞(対照)のコラーゲン合成
活性を1 とした場合の相対活性で示した。各検体の相対
活性を表3に示した。
【0030】
【表3】
【0031】表3に示すように、ニトロセルロース膜お
よびポリ乳酸膜上にヒトPDGFを固定化した本発明の
歯周組織再生促進膜は、歯根膜線維芽細胞のコラーゲン
合成能を最も顕著に促進した。
【0032】(3)歯根膜線維芽細胞のヒト血小板由来
細胞成長因子受容体タンパク質の発現に対する作用 本試験においてニトロセルロース膜(ミリポア社製)、
ポリ乳酸膜(ガイドール社製)の各膜は直径102 mmの円
形に切り抜いたものを2枚ずつ用意し、両種の膜の各1
枚には実施例1と同様の方法でヒトPDGF0.2ng を固
定化し、両種の膜の残り各1枚にはPDGFを含む2−
(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸緩衝液(pH
7.0)に浸漬し、ヒトPDGF 0.5ngを吸着させた。
直径100mm の組織培養用のシャーレに、前記のようにし
て得られた各膜を置き歯根膜線維芽細胞を 2×106 個播
種し、37 ℃で1 日インキュベートし、メチオニンを含ま
ない培地4ml 中に[35S ]- メチオニンを20μCi/ml に
なるように添加し、2 時間インキュベートした。リン酸
緩衝生理食塩水で4 回洗浄し、1%トライトンX-100 を1m
l 添加して細胞を破砕し免疫沈降用サンプルとした。得
られた免疫沈降用サンプルを遠心分離して、その上清に
パンソルビン30μlを添加し30分反応させた。反応液を
遠心分離してその上清に再度30μlのパンソルビンを添
加し、15分反応させた。次いで反応液を遠心分離してそ
の上清に、抗ヒト血小板由来細胞成長因子受容体血清を
添加し、室温で1 時間反応させた。
【0033】反応液にプロテインA セファロース(ファ
ルマシア社製)を75μl添加し、室温で1 時間、抗ヒト
血小板由来細胞成長因子受容体抗体と反応させた後遠心
分離した。その沈澱を洗浄して、SDS サンプル緩衝液を
50μl添加し沸騰水浴中で3分加熱し、ヒト血小板由来
細胞成長因子受容体を遊離させた後、7.5%SDS-PAGEでタ
ンパク質を泳動分離した。SDS-PAGEに泳動させる量は、
あらかじめ免疫沈降用サンプルのタンパク質量を定量
し、各レーンにおいて泳動するタンパク質量を同量とし
た。泳動後ゲルを乾燥し、X 線フィルムに48時間感光さ
せて現像し、各レーンのヒト血小板由来細胞成長因子受
容体タンパク質(180kDa)に相当するバンドをデンシト
メーターで測定した。
【0034】尚、対照として未処理の同シャーレ、およ
び比較検体としてヒトPDGF5ngを添加した同シャー
レに歯根膜線維芽細胞を 2×106 個播種し、37℃で1
日間培養したものについても前記と同様にデンシトメー
ター測定値を計測した。
【0035】次に、各検体におけるヒト血小板由来細胞
成長因子受容体タンパク質の発現量を、未処理細胞(対
照)のデンシトメーター測定値を1とした場合の相対活
性で示した。その結果を表4に示した。
【0036】
【表4】
【0037】表4に示すように、歯根膜線維芽細胞によ
るヒト血小板由来細胞成長因子受容体タンパク質の発現
は、ニトロセルロース膜およびポリ乳酸膜上にヒトPD
GFを固定化した本発明の歯周組織再生促進膜により顕
著に促進された。
【0038】(4)イヌ歯肉剥離掻爬手術後の歯周組織
再生過程に対する作用 イヌ歯肉剥離掻爬手術後の歯周組織再生過程に対する本
発明の歯周組織再生促進膜の作用を病理組織学的定量評
価法により検討した。ブラッシング等により健常な歯周
組織を確立したビーグル犬の上下顎小臼歯部に、常法に
従って歯肉剥離掻爬手術を施した。この際、後の病理組
織学的定量化の基準点とするため、歯槽骨の削除を実施
する前後で、根面にノッチと呼ばれる基準点を付与し
た。検体は、ヒトPDGFあるいはヒトbFGFを実施
例1に準じた方法で固定化したニトロセルロース膜およ
びポリ乳酸膜とし、被検部位に誘導組織再生法に準じて
膜を適用した。評価は術後3 ヶ月後に被検部位を採取し
常法により組織標本を作成した後、顕微鏡下で接眼マイ
クロメーターを用いて各部位間の距離を測定し、以下の
式により算出した。なお、この実験において、術後3ヶ
月後の使用済固定化膜と使用前の同じ固定化膜の間で
は、固定化蛋白量に有意差は見られなかった。
【0039】上皮のダウングロース抑制率(%) =〔ノッ
チ下縁からの上皮の再根尖側までの距離〕/〔セメント
エナメル境からノッチ下縁までの距離〕×100 新生セメント質の形成率(%) =〔ノッチ下縁から新生セ
メント質の再歯冠側端までの距離〕/〔セメントエナメ
ル境からノッチ下縁までの距離〕×100
【0040】また、被検部位における骨性癒着率と歯根
吸収率も求めた。表5にその結果を示す。
【0041】
【表5】
【0042】表5に示すように、誘導組織再生法による
歯周組織の再生において、本発明の歯周組織再生促進膜
は優れた歯周組織再生促進効果を示し、とりわけポリ乳
酸膜にヒトPDGFを固定化した場合には、新生セメン
ト質形成を顕著に促進したことが明らかとなった。ま
た、ニトロセルロース膜およびポリ乳酸膜にヒトPDG
Fを固定化した場合には、いずれの被検部位においても
骨性癒着および歯根吸収が発生しなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明の膜、特に歯周組織再生促進膜
は、歯周組織再生促進作用に格段に優れているのみなら
ず、骨性癒着や歯根吸収を回避でき、安全性においても
優れている。さらに細胞成長因子が固定され、遊離する
ものではないので、その活性を発揮させるために従来必
要とされた投与量よりも低用量で歯周組織再生を促すこ
とが可能である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬理学上許容される基剤に細胞成長因子
    を固定化してなる膜。
  2. 【請求項2】 薬理学上許容される基剤に細胞成長因子
    を固定化してなる歯周組織再生促進膜。
  3. 【請求項3】 基剤が生体吸収性基剤又は生体非吸収性
    基剤である請求項2記載の歯周組織再生促進膜。
  4. 【請求項4】 生体吸収性基剤がポリ乳酸膜である請求
    項3記載の歯周組織再生促進膜。
  5. 【請求項5】 細胞成長因子が血小板由来細胞成長因
    子、上皮細胞成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、ト
    ランスフォーミング細胞成長因子、およびインシュリン
    様細胞成長因子からなる群より選択されるものである請
    求項2記載の歯周組織再生促進膜。
JP5350845A 1993-12-27 1993-12-27 歯周組織再生促進膜 Withdrawn JPH07188053A (ja)

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JP5350845A JPH07188053A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 歯周組織再生促進膜

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007099953A1 (ja) * 2006-02-28 2007-09-07 National University Corporation Tokyo Medical And Dental University 歯根形成促進剤及び歯根形成促進方法
EP2329851A4 (en) * 2008-09-05 2013-08-21 Nippon Dental University METHOD FOR THE PRODUCTION OF A TOOTH ROOT PERIODONTAL TISSUE UNIT AND REGENERATED TOOTH

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