JPH07185593A - 金属キレート錯体を含む廃液の処理方法 - Google Patents

金属キレート錯体を含む廃液の処理方法

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JPH07185593A
JPH07185593A JP5347131A JP34713193A JPH07185593A JP H07185593 A JPH07185593 A JP H07185593A JP 5347131 A JP5347131 A JP 5347131A JP 34713193 A JP34713193 A JP 34713193A JP H07185593 A JPH07185593 A JP H07185593A
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liquid
treatment
waste liquid
precipitate
gas
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JP5347131A
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English (en)
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Hiroshi Ishizuka
弘 石塚
Seiji Suzuki
誠治 鈴木
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Treating Waste Gases (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄及び/又はアルミニウムキレート錯体を含
有する廃液を酸化触媒の存在下で湿式酸化処理し、さら
に生物処理を行う廃水処理プロセスにおいて、酸化触媒
相が早期に閉塞する、有機成分の分解が低級脂肪酸のレ
ベルでストップする、またアンモニア成分は分解されず
に残存してしまう等の欠点のない効率的な廃水処理法を
確立する。 【構成】 キレート化された鉄分及び/又はアルミニウ
ム分をそれぞれ10mg/L以上5000mg/L以下
含む廃液を(1)硫化物アルカリを添加し、沈殿を生成
させ、(2)生成した沈殿を固液分離により除き、
(3)固液分離後の液を酸化触媒の存在下に湿式酸化処
理を行い、(4)続いて生物処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCOD、BOD負荷を持
つような有機、無機化合物とキレート剤により可溶化さ
れた鉄塩及び/又はアルミニウム塩を含有する廃液を無
公害化する処理方法に関する。具体的には鉄及び/又は
アルミニウムを含む鉱石の洗浄廃液、金属の表面加工工
程で生成する廃水、ボイラー洗浄廃液、写真処理工程で
生成する廃液などの無害化処理に適した方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、種々の製造工場等により排出され
る莫大な量の廃液は、有害物質や自然の微生物などで分
解されにくい物質(難分解性物質)が含まれており、一
部で公害という大きな社会問題となっている。特に近年
の水質汚濁防止法や公害規制の強化により、これらの廃
液の廃棄は実質的に不可能となってきており、廃液処理
業者に依託し、貯めておくか、燃焼、海洋投棄するかの
方法によっている。これらの方法ではいずれにしても公
害的な負荷を十分に下げている方法とは言えない。
【0003】公害負荷を下げる方法としては、生物処理
法、電解酸化法、イオン交換法、逆浸透法、化学的処理
法等が知られているが比較的高濃度にCOD成分を含む
廃水にはそれぞれの処理だけでは未だ十分でなかった。
生物処理法、イオン交換法、逆浸透法については、単独
では十分な効果を得ることができない。特に活性汚泥法
に代表される生物処理法は消費エネルギーが少なく、運
転経費は安くすむものの、生分解性の乏しい素材に対し
ての効果はほとんどない。また、電解酸化法、化学酸化
法はその必要電力、薬剤のコストが大きな問題となる。
【0004】さらに比較的高濃度にCOD成分を含む廃
水の無害化処理法として湿式酸化法あるいはチンマーマ
ン法と呼ばれる方法が知られている。これはCOD成分
を含む廃水に対して、高温、高圧下で酸素含有ガスを導
入し、該COD成分を液相酸化によって酸化分解する方
法であるが、反応率が低く、第1に有機成分の分解が多
くはギ酸や酢酸など低級脂肪酸のレベルでストップして
しまうため、有機物を完全に消滅させることはできない
こと、また第2に廃液中にアンモニアが含まれる場合に
これがほとんど分解されずに残存してしまうこと等の問
題点を有していた。
【0005】これらの問題点を解決するべく湿式酸化法
を酸化触媒の存在下で行うことにより、アンモニアの除
去、COD成分処理率の向上をめざした方法も提案され
た。この方法によれば廃液中のアンモニアの濃度を大幅
に減少させることが可能となる。さらにこの方法を施し
た液を生物処理することにより、廃液中の有機成分を二
酸化炭素や水などのレベルにまで完全に分解する方法も
提案されている。しかし金属表面加工廃水、写真処理廃
液のような処理水を酸化触媒を用いて湿式酸化した場
合、酸化触媒が被毒されたり触媒相が閉塞するなどの問
題が生じ、初期の反応効率を維持できないという問題点
を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、廃液を酸化
触媒の存在下で湿式酸化処理し、さらに生物処理を行う
無害化処理プロセスにおいて、上記の問題点を効果的に
解決する新たな方法を提供することを目的としている。
すなわち効率よく安定に廃液のCOD値を低減せしめ、
水質および大気の両面にわたって環境汚染のない、有効
かつ安価な廃液の無害化手段を確立することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々の検討
を行った結果、以下の手段を用いることにより、本発明
の目的が効果的に達成されることを見出した。すなわ
ち、キレート化された鉄分及び/又はアルミニウム分を
それぞれ10mg/L以上5000mg/L以下含む廃
液を以下の工程に従って処理することを特徴とする廃液
の処理方法である。 第1工程:硫化物アルカリを添加し、沈殿を生成させ
る。 第2工程:生成した沈殿を固液分離により除く。 第3工程:沈殿分離後の液について酸化触媒の存在下に
湿式酸化処理を行う。 第4工程:生物処理を行う。
【0008】本発明について、詳細に説明する。本発明
におけるキレート化された鉄分あるいはアルミニウム分
とは、液中でキレート剤の存在下に可溶化して現に鉄イ
オンとして溶解している鉄分を指す。また、本発明の方
法に用いられる廃液としては、COD、BOD負荷を持
つような有機、無機化合物とキレート剤により可溶化さ
れた鉄塩及び/又はアルミニウム塩を含有する廃液なら
ば特に限定されるものではない。具体的には鉄及び/又
はアルミニウムを含む鉱石の洗浄廃液、金属の表面加工
工程で生成する廃水、ボイラー洗浄廃液、写真処理工程
で生成する廃液等をあげることができる。
【0009】特に写真処理工程で生成する廃液について
は各種ハロゲン化銀写真感光材料を現像処理したときに
生じる廃液や、これに印刷用刷版として使用されるPS
版(感光性平版)の現像処理にともない生じる廃液が混
入したものについて適用することができる。また本発明
の方法による前に通常の方法による銀回収処理を行って
もよく、また行わない液についても何等差し障りなく適
用することができる。
【0010】また、含まれるキレート化された鉄分及び
/又はアルミニウム分の量としては、それぞれ10mg
/L以上5000mg/L以下のものについて適用する
ことができる。鉄分については好ましくは100mg/
L以上4000mg/L以下、より好ましくは200m
g/L以上3000mg/L以下のものについて適用す
ることができる。またアルミニウム分については好まし
くは20mg/L以上1500mg/L以下、より好ま
しくは50mg/L以上1000mg/L以下のものに
ついて適用することができる。
【0011】かかる廃液について酸化触媒の存在下に湿
式酸化処理を行うと、酸化触媒が被毒されたり触媒相が
閉塞するなどの問題が生じ、初期の反応効率を維持でき
ない。その原因について本発明者らが鋭意検討を重ね
た。そして、含有する金属イオン、特に鉄イオン及び/
又はアルミニウムイオンが触媒を被毒したり、反応過程
で金属酸化物や水酸化物を始めとする難溶性の金属化合
物を形成することにより触媒相を閉塞したりすることが
原因であることを明らかにした。
【0012】一方で金属表面加工廃水や写真処理廃液等
に含まれる鉄イオン及び/又はアルミニウムイオンはキ
レート剤と錯体を形成して可溶化しているため、中和
法、イオン交換法、フエライト法等の通常の金属除去方
法により予めこれを除去することは難しい。本発明にお
いては酸化触媒の存在下に湿式酸化処理に処する前に、
キレート剤により可溶化された鉄分及び/又はアルミニ
ウム分を効率よく除去し、その後酸化触媒存在下での湿
式酸化処理、生物処理を順次行うことにより効率よく廃
液のCOD値等を低減せしめ、しかもその作用を長時間
にわたり継続させるものである。
【0013】本発明の処理プロセスは、以下の4工程を
順次行うものである。 第1工程:硫化物アルカリを添加し、沈殿を生成させ
る。 第2工程:生成した沈殿を固液分離により除く。 第3工程:沈殿分離後の液について酸化触媒の存在下に
湿式酸化処理を行う。 第4工程:生物処理を行う。
【0014】第1工程においては、まず廃液に硫化物ア
ルカリを添加し、鉄分及び/又はアルミニウム分を始め
とする金属類を含有する沈殿を生じせしめる。このとき
に使用できる硫化物アルカリ薬剤としては硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム等をあげることができる。また添加す
る硫化物アルカリ薬剤の形態は粉末、フレーク等の固体
状、水溶液等の液体状のいずれでも良く、固体状の薬剤
を使用するときは無水物、水和物のいずれでも使用する
ことができる。また硫化水素ガスを液中に導入し、液中
にて硫化物アルカリを生成させても実質上同じ効果を得
ることができる。
【0015】本発明において適用する廃液において沈殿
を形成させようとする鉄イオン及び/又はアルミニウム
イオンを始めとする金属類は液中においてキレート剤と
錯体を形成して可溶化しているので、金属除去において
常法とされる中和法のように、液のpHを中性から弱ア
ルカリ性としても十分に沈殿を生じせしめることはでき
ない。また特にアルミニウムは両性金属的挙動を示すた
め強アルカリ性にしても、沈殿を生じせしめることは非
常に困難である。本発明においては廃液に硫化物アルカ
リを添加して放置することにより、徐々に液中に金属分
を含有する難溶性の沈殿を形成させる。これによって、
後の第3工程で酸化触媒を使用した湿式酸化処理に継続
して悪影響を及ぼさないレベルにまでこれらの溶解イオ
ンを減じることが可能であることを本発明者らは見出し
た。
【0016】本工程における硫化物アルカリの添加量は
除去しようとする金属イオンに対して0.5当量以上5
当量以下とすることが必要であり、0.7当量以上4当
量以下であることが好ましい。添加量が不足してもまた
過剰に添加しても金属含有の沈殿生成は不十分となるの
で好ましくない。特にアルミニウム分に関しては上記範
囲とすることにより特異的に液中からの除去効率が向上
することを本発明者は見いだした。一般にアルミニウム
は硫化物イオンとの間に必ずしも不溶性の沈殿は形成し
ないので、硫化物を上記範囲のような適量を加えた際に
液中の鉄その他の成分の沈殿生成と共沈する形で酸化物
または何らかの塩として不溶化しているものと思われ
る。またこの効果はpHが5以上9以下、好ましくは7
以上9以下の条件にあるときに著しく、この条件下で沈
殿を生成させることが好ましい。pHを上記範囲に調整
する場合、酸またはアルカリの薬剤を使用する。酸性薬
剤としては硫酸、塩酸等を、アルカリ性薬剤としては水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することがで
きる。これらの薬剤の形態は液体、固体、溶液のいずれ
のものでもよい。
【0017】本工程においては続く第2工程における固
液分離を容易とするために凝集剤及び/又は凝集助剤を
必要により添加することができる。凝集剤としては有
機、無機の凝集剤の両者またはいずれかを使用できる
が、ノニオン系、アニオン系の有機高分子凝集剤を使用
することが好ましく、アニオン系の有機高分子凝集剤を
使用することが特に好ましい。ノニオン系、アニオン系
の有機高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミドまた
はその部分加水分解物、共重合物等を使用することがで
き、例えばクリフロックPA−318(栗田工業(株)
製)、リューフロックA−500(大日本インキ(株)
製)等をあげることができる。添加量としては重量とし
て液量の0.0001%から0.1%を使用する。また
凝集助剤としてはアルギン酸ソーダ、活性ケイ酸、ベン
トナイト等を使用することができ、例えばラジオライト
#100(昭和化学工業(株)製)等をあげることがで
きる。添加量としては、好ましくは重量として液量の
0.001%から1%を使用する。
【0018】本工程における硫化物アルカリ薬剤やpH
調整薬剤、凝集剤、凝集助剤の添加による沈殿形成の反
応は回分式または流通式のいずれの反応器においても行
うことができる。回分式の反応器の例としては攪拌翼や
薬剤添加装置を備えた反応槽等を使用することができ、
流通式の反応器の例としては入口部に薬剤添加手段を備
えた反応管などを使用することができる。本工程におい
て沈殿を十分に形成させるのには、好ましくは10分以
上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分
以上を必要とする。この沈殿形成に十分な時間をとるこ
とによって、より金属分除去の効率を上げることができ
るが、装置の処理能力を考える上で必要以上に長い時間
を要することは好ましくない。いずれの場合も5日を越
えて形成時間を延長しても金属除去について実用上大き
な効果を得ることはないので沈殿形成時間は5日以下で
十分である。
【0019】第2工程においては、第1工程を経た液に
ついて固液分離処理を行い、鉄、アルミニウムを始めと
する金属含有沈殿を除く。固液分離の方法としては、濾
過分離、遠心分離等を使用することができる。濾過分離
を行う際の濾材としては、濾紙、濾布、高分子製のミク
ロフィルター、ガラスフィルター等を使用することがで
きる。濾過方法としては重力式、真空式、圧力式、遠心
力式のいずれによってもよく、濾過装置として例えばヌ
ーツェ型、フィルタープレス型、ベルトプレス型等の方
式のものを使用することができる。
【0020】第3工程においては、第2工程で固体成分
を除いた液について酸化触媒の存在下に湿式酸化処理を
行う。すなわち第2工程を経た液について、酸素を含有
するガスの供給下に、140℃以上370℃未満の温度
およびこの液が液相を保持する圧力下で、酸化触媒の存
在の下に液相酸化処理を行うものである。この工程にお
いて、処理を行う廃液中に含まれるCOD、BOD負荷
を持つような有機、無機の化合物が分解され、廃液のC
OD、BOD値を大きく減少させることができる。
【0021】本工程において多くの有機化合物は酢酸、
ギ酸等の低級脂肪酸にまで分解され、一部は二酸化炭素
や水にまで分解される。また、亜硫酸塩、チオ硫酸塩等
の無機イオウ化合物が含まれる場合、これらは硫酸塩に
まで酸化される。アンモニアや硝酸塩、含窒素化合物が
含まれる場合、その窒素分の多くは分子状窒素となる。
湿式酸化処理に使用する触媒としては固体触媒でかつ液
相酸化条件下で活性と耐久性を有する酸化触媒であれば
いずれも使用することができるが、例えばアルミナ、チ
タニア、チタニア−ジルコニア等の耐火性無機質酸化物
または該酸化物にさらに触媒活性物質、例えば白金、ニ
ッケル、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウ
ム、銅、コバルト等を組み合わせてなる一般的触媒(例
えば特開平5−115886等に記載の一般的な触媒)
を使用すると成分の分解がより効率よく行われ、好まし
い。
【0022】本工程の湿式酸化処理の処理温度は140
℃以上370℃未満であり、好ましくは180℃以上3
00℃未満である。また湿式酸化処理の処理圧力は処理
を行う温度に鑑みて決定し、処理温度において液が液相
を保持する圧力により処理を行う。例えば9〜95kg
/cm2 、好ましくは30〜90kg/cm2 である。
また、処理しようとする液の塩濃度により、処理中に析
出等の懸念がある場合には必要に応じて処理前の液を希
釈しても良い。湿式酸化処理において使用する酸素含有
ガスとしては、酸素、酸素富化空気、空気等を使用する
ことができる。酸素含有ガスの供給量は廃液中に含まれ
るCOD負荷を持つ有機、無機化合物の濃度により選択
する。詳細にはCOD成分を完全に水、二酸化炭素、硫
酸塩等に酸化するのに必要な酸素量の0.5倍から5
倍、好ましくは1倍から3倍が供給されるように酸素含
有ガスの供給量を定める。湿式酸化処理装置としては通
常使用されるものが用いられ、湿式酸化反応塔としては
単管式、多管式のいずれの形式のものも使用することが
できる。例えば特開平2−227186、特開平5−1
15886等に記載の装置を使用することができる。上
述の酸化触媒は管内に充填し、反応時に液、酸素含有ガ
スと接触させる。
【0023】反応時間は反応塔内の空間速度により定め
る。本工程における一般的な空間速度は0.1hr-1
ら5hr-1、好ましくは0.5hr-1から3hr-1であ
る。一般的に反応時間を長く、すなわち空間速度を小さ
くするほど成分の分解は進み、より液中のCOD、BO
D負荷を小さなものにすることができる。しかし本プロ
セスにおいては、第4工程における生物処理とのトータ
ルで液の無害化を達成するものであり、必要以上に反応
時間を延長することは反応温度を維持するために余分な
エネルギーを消費するので好ましくない。成分の分解度
としては、液中の有機化合物がギ酸や酢酸など生分解性
の良い低級脂肪酸にまで分解されていれば十分であり、
この範囲では湿式酸化反応後の液と反応前の液を熱交換
することにより、反応熱を有効に利用することによって
系を熱的に自立させることが可能である。
【0024】第4工程においては生物処理を行う。本生
物処理工程においては第3工程を経て十分に生分解性の
良い化合物にまで分解された液を対象とするので、処理
は極めて円滑に行われ、処理の方法としては好気性処理
法、嫌気性処理法とも特に限定されるものではなく、ま
たそれらの組み合わせでも良い。具体的な処理方法とし
ては活性汚泥法、嫌気性消化法もしくはスポンジ担体法
等の微生物浮遊懸濁法、生物濾過法、浸漬濾床法、流動
床法、回転円板法もしくは散水濾床法等の生物膜法また
は自己増粒法等を使用することができる。
【0025】生物膜法での担体としては、例えば砂利、
砂、軽石、アンスラサイト、多孔性セラミックス、活性
炭、スポンジ、キトサン(粒状)、ひも状担体、プラス
チック、ハニカム状担体、波状担体、網状担体等の1種
または2種以上を使用することができる。生物膜法で使
われる上記の担体は製造元により多種多様であり、微生
物が付着して生物膜を形成するものであれば種類を問わ
ない。また上記の処理は連続式であっても回分式であっ
ても良い。生物処理の際、窒素、リン等の栄養塩類が不
足する場合は適宜加える必要がある。加え方は生物処理
槽へ直接でもよいし、生物処理槽に入る前で加えてもよ
い。窒素形態としては生物が利用できるものならば何で
もよくアンモニウム塩または尿素などがあり、リンの形
態としては生物が利用できるものならば何でもよく、例
えばK2 HPO4 、KH2 PO4 、Na2 HPO4 等を
挙げることができる。窒素の濃度は好ましくはBODの
1から5%、リンの濃度は好ましくは0.5%から3%
がよい。また生物処理の際のpHは6.0から9.0が
好ましい。
【0026】これらの処理により第3工程において生成
したギ酸や酢酸等の生分解性の良い低級脂肪酸は生物の
作用によってすみやかに二酸化炭素や水等に分解され
る。これにより液中のCOD、BOD負荷となる成分は
ほぼ完全に消滅し極めて良好な無害化が達成される。本
工程における生物処理は生物の活性を利用して処理を行
うので、要するエネルギーは極めて小さい。したがって
第3工程の湿式酸化処理において適当な反応時間を選択
することにより高無害化度と省エネルギーを両立させた
処理を行うことができる。
【0027】また必要に応じ、好気性処理と嫌気性処
理、嫌気性処理と好気性処理を左記の順に適宜組み合わ
せて脱窒処理を行うことにより、第3工程を経てもわず
かに残留したアンモニア、硝酸等の窒素成分を除くこと
ができる。また、液の塩濃度が高すぎて生物の生育に支
障をきたす懸念がある場合には必要に応じ、処理前の液
について希釈の操作を行っても良い。これらの生物処理
のより具体的方法については、「活性汚泥法の維持管理
技術」桜井敏郎、須藤隆一著(化学技術開発センター
刊)、「新しい活性汚泥法」橋本奨、須藤隆一著(産業
用水調査会刊)等に記載されている。
【0028】以上第1工程から第4工程までの操作を経
ることによって廃液を環境への負荷が小さい極めて良好
な処理水とすることができ、しかも一連のプロセスを継
続して安定に稼働させることができる。加えて以下の操
作を行うことにより系の無害化度、安定性をより向上さ
せることができ好ましい。第1工程において沈殿を形成
しきれずに可溶化したまま液中に残留した金属イオンが
ある場合には、第1工程を経た液をpH9以上14以下
のアルカリ性条件下としてさらに水酸化物沈殿を形成さ
せてもよい。以下この操作を工程Aとする。一連の操作
の中において、第1工程→工程A→第2工程(固液分離
操作)と順次行って第1工程、工程Aでそれぞれ生成し
た沈殿を一括して分離してもよく、別途の固液分離工程
Bを設けて第1工程→第2工程(固液分離操作)→工程
A→工程B(固液分離操作)と独立して固液分離を行っ
てもよい。いずれにおいても最終的に固液分離操作を行
った液について続く第3工程、第4工程の処理を行う。
【0029】工程Aに使用する薬剤としては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等を使用することができ、これ
らは固体、溶液いずれの形態で添加してもよい。またこ
こで使用する反応器としては第1工程に使用するものと
同一のものまたは同型のものを使用することができ、工
程Bを行う場合の濾過の方法も第2工程に準じる。また
凝集剤及び/又は凝集助剤は工程Aの操作を行う場合に
もその際に使用することができる。凝集剤及び/又は凝
集助剤の種類および使用量は第1工程に準じる。工程A
においては時間を長くとるほど水酸化物沈殿を十分に形
成させることができ、好ましくは10分以上を必要とす
る。この時間は液を50℃以上100℃以下、好ましく
は60℃以上80℃以下に加温することにより短縮する
ことができる。第1工程と同様に、装置の処理能力を考
える上で必要以上に長い時間を要することは好ましくな
い。いずれの場合も5日を越えて形成時間を延長しても
金属除去について実用上大きな効果を得ることはないの
で沈殿形成時間は5日以下で十分である。
【0030】また工程Aにおいて、pH9以上14以下
のアルカリ性下におかれた廃液を酸素含有ガスと接触さ
せると、水酸化物沈殿の形成が早く、液中に溶解したま
ま残留する金属分をより少なくできるので好ましい。使
用する酸素含有ガスとしては空気や第3工程の湿式酸化
反応における排出ガス等を使用することができる。また
廃液と酸素含有ガスとの接触の方法としては、散気管を
使用した液中への散気、液の機械的攪拌による気液の混
合、気中への液の噴霧等の方法を使用することができ
る。
【0031】廃液中にアンモニアが含まれる場合、工程
Aでは液を高pHに保つため、アンモニアガスが発生す
ることがある。この場合、発生するアンモニア含有ガス
をガス処理装置に導き、脱硝触媒存在下に200℃から
400℃に加熱することにより含有アンモニアを分解す
ると、水質および大気の両面にわたり環境への負荷を減
じることができるので好ましく、270℃から350℃
とするとより好ましい。触媒としてはアンモニア分解能
を持つ公知の脱硝触媒ならばいずれも使用することが可
能であり、例えば白金、ルテニウム、パラジウム等の触
媒成分をアルミナ、チタニア等の担体に担持させたもの
を使用することができる。
【0032】第1工程または工程Aで硫化水素含有ガス
及び/又はアンモニア含有ガスが発生する場合、これを
次亜塩素酸塩水溶液と接触させることにより同じく含有
するアンモニア、硫化水素成分を分解することができる
ので好ましい。この際使用することのできる次亜塩素酸
塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシ
ウム等をあげることができる。また次亜塩素酸塩水溶液
と硫化水素含有ガス及び/又はアンモニア含有ガスとの
接触の方法としては、気泡塔等を使用した連続処理、散
気管を使用した液中への散気、液の機械的攪拌による気
液の混合、気中への液の噴霧等の方法を使用することが
できる。この際、次亜塩素酸塩はガスに含まれるアンモ
ニアをすべて窒素ガスにまでに酸化できる量の1倍から
10倍量を供給する。
【0033】同様に硫化水素含有ガス及び/又はアンモ
ニア含有ガスが発生する場合、これを直接第3工程へ導
き、沈殿分離後の液とともに処理を行うと、エネルギ
ー、薬剤コストとも節約できるので特に好ましい。硫化
水素含有ガス及び/又はアンモニア含有ガスを第3工程
において沈殿分離後の液とともに処理しようとする場合
には、このガスを湿式酸化処理において使用する酸素含
有ガスの一部あるいは全部として使用することができ
る。また発生するアンモニアガスを水あるいは硫酸水溶
液に吸収させてアンモニア水あるいは硫酸アンモニウム
として再利用すると、経済上または省資源の観点で好ま
しい。
【0034】本発明は鉄及び/又はアルミニウムキレー
ト錯体を含む廃液の金属除去処理、湿式酸化処理、生物
処理のそれぞれにおける成分の挙動について厳密に調
べ、考察した上で、無害化度、コスト、処理の継続性あ
るいは装置の耐久性についてもっとも適した条件を見い
だし、それぞれの処理工程を巧みに組み合わせることに
より初めて達成されたものであり、従来の技術の単なる
組み合わせからは想像もつかない高度処理を可能とし
た。
【0035】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 用いた廃液の説明 市中の廃液回収業者において回収された写真廃液を用い
た。これはカラー写真現像所、製版フイルムを処理して
いる印刷所、X線フイルムを処理している病院から回収
されたものの混合液である。尚、含有している銀は混合
前に、電解法によって銀回収処理が施されている。ま
た、印刷所からの廃液については、一部オフセット印刷
用刷版であるPS版(感光性平版)の現像処理にともな
う廃液も混入していた。この廃液の分析結果は以下の通
りであった。 pH 5.1 COD(クロム法) 84000mg/L TOC(全有機炭素量) 8400mg/L 鉄 2000mg/L アルミニウム 400mg/L アンモニウムイオン 25000mg/L EDTA 18000mg/L (エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩として) チオ硫酸イオン 60000mg/L 酢酸イオン 12000mg/L
【0036】実施例1 工程1 上記の廃液を攪拌手段を備えた反応槽に入れ、硫化ナト
リウム九水和物を14g/L添加した。このときのpH
は8.1となった。そのまま攪拌しながら3日間放置し
た。時間の経過とともに灰白色の沈殿が析出した。これ
にポリアクリルアミド系高分子凝集剤リューフロックA
−500(大日本インキ社製)を重量として液の0.0
05%加え、生成した沈殿を凝集させた。
【0037】工程2 工程1で生じた沈殿を含有する液をフィルタープレス型
濾過機を用い、濾材としてネル製の濾布を使用して濾過
した。灰白色の沈殿は良好に濾過され、懸濁物を含まな
い褐色の濾液が得られた。この濾液の分析を行った結果
は以下の通りである。 COD(クロム法) 88000mg/L TOC 8400mg/L 鉄 700mg/L アルミニウム 40mg/L アンモニウムイオン 25000mg/L EDTA 18000mg/L チオ硫酸イオン 61000mg/L 酢酸イオン 12000mg/L 上記に示すように液中の鉄イオンおよびアルミニウムイ
オン特にアルミニウムイオンが良好に除去されていた。
【0038】工程3 工程2で得られた濾液を2倍希釈し、図1に示す湿式酸
化処理装置を使用して連続200時間の湿式酸化処理を
行った。湿式酸化反応塔1内には平均粒径4mmの球形
の白金を1重量%含有する触媒が1リットル充填されて
いる。工程2の濾液の希釈液は前記反応塔1において空
間速度1hr-1となるように供給され、希釈液のCOD
値(クロム法)に対して酸素量として2倍となるように
コンプレッサー3より供給された空気と混合される。続
いて熱交換器(1)4において昇温されて温度260
℃、圧力80kg/cm2 Gで反応塔1下部に供給され
る。反応塔1上部より排出された気液混合液は熱交換器
(1)4および熱交換器(2)5で冷却され、気液分離
器6において気体と液体とに分離され、処理液排出口8
より排出される。排出された液は無色透明であり、液の
分析を行った結果は以下の通りである。
【0039】 pH 2.0 COD(クロム法) 2700mg/L TOC 1000mg/L 鉄 2mg/L アルミニウム 2mg/L アンモニウムイオン 75mg/L EDTA ND チオ硫酸イオン ND 酢酸イオン 2000mg/L 上記の表において、NDは検出限界以下を表す。(以下
同じ) EDTA、チオ硫酸イオンは検出限界以下にまで減少
し、COD、TOC値、アンモニアとも良好に減少して
いる。酢酸イオンの絶対量としては12000mg/L
から2000mg/Lと減少しているが、TOC値に占
める酢酸イオン中の炭素分は58%から81%と上昇
し、含まれる有機成分が、より生分解し易い低級脂肪酸
にシフトしていることがわかる。この操作をさらに連続
200時間続けて行ったが、まったく同様の水質が得ら
れた。
【0040】工程4 工程3において排出された液を2.5倍に希釈し以下3
種の方法により生物処理を試みた。 工程4の1 富士写真フイルム(株)足柄工場廃水処理設備より採取
した活性汚泥を用いて連続法で滞留時間1日、pH7.
5の条件で活性汚泥処理を行った。処理後の液は無色透
明、無臭であり、液の分析を行った結果は以下の通りで
ある。 pH 7.5 COD(クロム法) 130mg/L TOC 50mg/L 鉄 1mg/L アルミニウム 1mg/L アンモニウムイオン 20mg/L EDTA ND チオ硫酸イオン ND 酢酸イオン ND 酢酸イオンが検出限界以下にまで減少し、COD、TO
C値、アンモニアとも良好に減少している。
【0041】工程4の2 アンスラサイトを生物担体として充填した処理塔を用い
て下向流で通液した。処理塔内での液の滞留時間を8時
間とし、処理塔上部をpH7より高くならないように調
節した。処理塔底部に設けた散気管から常時空気を送り
込み処理塔内を好気的に保った。処理塔通過後の液は無
色透明、無臭であり、分析結果は以下の通りである。 pH 7.8 COD(クロム法) 60mg/L TOC 30mg/L 鉄 1mg/L アルミニウム 1mg/L アンモニウムイオン 15mg/L EDTA ND チオ硫酸イオン ND 酢酸イオン ND 酢酸イオンが検出限界以下にまで減少し、COD、TO
C値、アンモニアとも良好に減少している。
【0042】工程4の3 アンスラサイトを担体として充填した生物処理塔(1)
および生物処理塔(2)に通液することにより処理し
た。まず塔内を嫌気性に保った生物処理塔(1)に上向
流で液を流した。処理塔内での液の滞留時間を12時間
とした。さらに生物処理塔(1)から出た液を処理塔
(2)に下向流で流した。液の滞留時間は6時間とし
た。処理塔(2)は処理塔底部に設けた散気管から常時
空気を送り込むことにより好気的に保った。処理塔
(2)通過後の液は無色透明、無臭であり、分析結果は
以下の通りである。 pH 8.0 COD(クロム法) 40mg/L TOC 5mg/L 鉄 1mg/L アルミニウム 1mg/L アンモニウムイオン 5mg/L(T−N
10mg/L) EDTA ND チオ硫酸イオン ND 酢酸イオン ND 酢酸イオンが検出限界以下にまで減少し、COD、TO
C値、アンモニアとも良好に減少している。
【0043】以上のように工程4においては1から3ま
でいずれの処理法を用いても良好な処理水を得ることが
できた。これらは第3工程において有機成分がより生分
解し易い低級脂肪酸にシフトしたことによるものであ
る。以上工程1から工程4までの一連のプロセスを経る
ことによって写真廃液を環境への負荷が小さい極めて良
好な処理水とすることができた。
【0044】比較例1 実施例1において工程1、工程2を経ずに直接工程3の
湿式酸化処理に供した。実施例1の工程3と同様に酸化
触媒の存在下に同じ条件での処理を行った。200時間
の連続運転の後、得られた液の分析結果は以下の通りで
ある。 pH 2.2 COD(クロム法) 6800mg/L TOC 2500mg/L 鉄 2.5mg/L アルミニウム 10mg/L アンモニウムイオン 300mg/L EDTA ND チオ硫酸イオン ND 酢酸イオン 4000mg/L 実施例1と比較してCOD値、TOC値の低下が十分で
ない。また、反応に使用した触媒の表面を分析したとこ
ろ、鉄分による被覆が検出された。さらに50時間連続
運転を続けたところ反応塔が閉塞し、処理が行えなくな
った。
【0045】比較例2 実施例1において工程1を行った後、工程2の固液分離
操作を行わずに沈殿を含有したまま実施例1の工程3と
同様に酸化触媒の存在下に同じ条件下での処理を行っ
た。120時間後反応塔が閉塞し、処理が行えなくなっ
た。
【0046】実施例2 工程1 実施例1と同様にして工程1、工程2を経た廃液につい
て工程3に導く前に以下の処理を行った。 工程A 上記の廃液を図2に示すような攪拌手段(攪拌翼12)
および通気手段(散気管13)を設けた反応槽11に入
れ、攪拌しながら48%水酸化ナトリウムを添加し、p
Hを12.5とした。さらに通気手段として反応槽内に
設けた散気管13にコンプレッサー14より供給した圧
縮空気を送り込み、液中での散気を行った。攪拌しなが
ら2時間散気し、通算送入空気量/液量比を体積比で5
00としたところ、その間赤褐色の沈殿が生成した。こ
れにポリアクリルアミド系高分子凝集剤リューフロック
A−500(大日本インキ社製)を重量として液の0.
005%加え、生成した沈殿を凝集させた。このとき反
応槽11より排出されるガス中の平均アンモニア濃度は
15000mg/m3 であった。
【0047】一方反応槽11より排出されたガスを管
(ガス排出口17)を通してガス処理塔に導き、塔内の
温度を300℃に保って、含まれるアンモニアガスの乾
式酸化処理を行った。ガス処理塔内にはアルミナ担体に
白金を1重量%担持させた触媒を充填して上記処理に供
した。ガス処理塔出口において排出されるアンモニアガ
ス濃度を北川式ガス検知管を用いて測定したところ、検
出限界以下(1ppm未満)であった。
【0048】工程B 実施例1工程2と同様に工程1を経た上記の液を濾過し
た。赤褐色の沈殿は良好に濾過され、懸濁物を含まない
褐色の濾液が得られた。この濾液の分析を行った結果は
以下の通りである。 COD(クロム法) 88000mg/L TOC 8400mg/L 鉄 1.0mg/L アルミニウム 40mg/L アンモニウムイオン 18000mg/L EDTA 18000mg/L チオ硫酸イオン 61000mg/L 酢酸イオン 12000mg/L 上記に示すように実施例1よりもさらに良好に液中の鉄
イオンが除去された。続いて実施例1と同様に工程3、
工程4の処理を行い、実施例1と同じく良好な処理水を
継続して得ることができた。
【0049】実施例3 工程1 廃液を攪拌手段を備えた反応槽に入れ、硫化ナトリウム
九水和物を14g/L添加した。このときのpHは8.
1となった。そのまま攪拌しながら3日間放置した。時
間の経過とともに灰白色の沈殿が析出した。続いて工程
2に入る前に以下の操作工程Aを行った。上記の液にさ
らに48%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを1
2.5とし、攪拌しながら2日間放置した。その間、新
たに赤褐色の沈殿が生成した。これにポリアクリルアミ
ド系高分子凝集剤リューフロックA−500(大日本イ
ンキ社製)を液重量の0.005%加え、生成した沈殿
を凝集させた。
【0050】工程2 実施例1工程2と同様に工程1を経た上記の液を濾過し
た。灰白色および赤褐色の沈殿は良好に濾過され、懸濁
物を含まない褐色の濾液が得られた。この濾液の分析を
行った結果は以下の通りである。 COD(クロム法) 88000mg/L TOC 8400mg/L 鉄 1.2mg/L アルミニウム 100mg/L アンモニウムイオン 23000mg/L EDTA 18000mg/L チオ硫酸イオン 61000mg/L 酢酸イオン 12000mg/L 実施例1と比べアルミニウム分の除去はやや劣るものの
鉄分が極めて良好に除去され、全体として金属分の残留
が少ない。続いて実施例1と同様に工程3、工程4の処
理を行い、実施例1と同じく良好な処理水を継続して得
ることができた。
【0051】実施例4 工程1 実施例2と同様に工程1、2、A、B、3、4の操作を
行った。本実施例においては硫化水素臭のした工程1、
アンモニア含有が確認された工程Aのそれぞれの反応槽
からの排出ガスを混合して12%次亜塩素酸ナトリウム
水溶液を満たした別の反応槽中へ散気管を通して導き、
排出ガスと水溶液を接触させた。このとき排出ガス/水
溶液の体積比は100とした。この反応槽のガス排出口
より排出されるガスは無臭であり、ガス中の硫化水素濃
度およびアンモニア濃度を北川式ガス検知管を用いて測
定したところ、いずれも検出限界以下(1ppm未満)
であった。一方液相に関しては実施例2と同様に工程
1、2、A、B、3、4の操作を順次行った処理水につ
いては実施例2と同じく良好な処理水を継続して得るこ
とができた。
【0052】実施例5 工程1 実施例2と同様に工程1、2、A、Bの操作を行った。
本実施例においては工程1、工程Aにおいて反応槽11
より排出されたガスを混合して工程Bに続いて行われる
工程3の湿式酸化処理工程に供給して酸素含有ガスの一
部として使用した。気液分離器より排出されたガスは無
臭であり、ガス中の硫化水素濃度およびアンモニア濃度
を北川式ガス検知管を用いて測定したところ、検出限界
以下(1ppm未満)であった。一方液相に関しては実
施例2と同様に工程1、2、A、B、3、4の操作を順
次行った処理水については実施例2と同じく良好な処理
水を継続して得ることができた。
【0053】
【発明の効果】鉄及び/又はアルミニウムを含む鉱石の
洗浄廃液、金属の表面加工工程で生成する廃水、ボイラ
ー洗浄廃液、写真処理工程で生成する廃液等、鉄キレー
ト錯体及び/又はアルミニウムキレート錯体を含有する
廃液を酸化触媒の存在下で湿式酸化処理し、さらに生物
処理を行い、廃液のCOD値を低減せしめ、廃液を無害
化する処理プロセスにおいて、廃水中に存在するキレー
ト化された鉄分及び/又はアルミニウム分を、硫化物ア
ルカリを添加し、沈殿を生成させ、生成した水酸化物沈
殿を固液分離により除く、本発明の処理を前処理として
行うことにより、その後酸化触媒存在下での湿式酸化処
理、生物処理を円滑に行うことを可能とし、従来より格
段に効率よく、かつ安価に廃水を無害化できる廃液処理
プロセスを確立することが可能となった。本発明の廃液
処理プロセスは、廃液の金属除去処理、湿式酸化処理、
生物処理それぞれにおける成分の挙動について厳密に調
べ、考察した上で、無害化度、コスト、処理の継続性あ
るいは装置の耐久性についてもっとも適した条件を見い
だし、それぞれの処理工程を巧みに組み合わせることに
より初めて達成されたものであり、従来の技術の単なる
組み合わせからは想像もつかない高度処理を可能とした
廃液処理プロセスとすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する湿式酸化処理装置のフロー説
明図
【図2】本発明に使用する反応槽の説明図
【符号の説明】
1 湿式酸化反応塔 2 廃液供給ポンプ 3 コンプレッサー 4 熱交換器(1) 5 熱交換器(2) 6 気液分離器 7 ガス排出口 8 処理液排出口 9 熱媒または冷却水入口 10 熱媒または冷却水出口 11 反応槽 12 攪拌翼 13 散気管 14 コンプレッサー 15 薬品添加口 16 pHセンサー 17 ガス排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 9/00 R 503 G 504 A B01D 53/34 ZAB 53/52 53/58 53/77 C02F 1/58 ZAB K 1/64 ZAB 1/74 ZAB 101 B01D 53/34 127 A 131

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キレート化された鉄分及び/又はアルミ
    ニウム分をそれぞれ10mg/L以上5000mg/L
    以下含む廃液を以下の工程に従って処理することを特徴
    とする廃液の処理方法。 第1工程:硫化物アルカリを添加し、沈殿を生成させ
    る。 第2工程:生成した沈殿を固液分離により除く。 第3工程:沈殿分離後の液について酸化触媒の存在下に
    湿式酸化処理を行う。 第4工程:生物処理を行う。
  2. 【請求項2】 第2工程の後、第3工程を行う前にpH
    9以上14以下のアルカリ性条件下として水酸化物沈殿
    を生成させ、これを分離することを特徴とする請求項1
    記載の廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】 第1工程の後、第2工程を行う前にpH
    9以上14以下のアルカリ性条件下として水酸化物沈殿
    を生成させ、第2工程において第1工程で生成する沈殿
    とともにこれを分離することを特徴とする請求項1記載
    の廃液の処理方法。
  4. 【請求項4】 第1工程またはpH9以上14以下のア
    ルカリ性条件下で水酸化物沈殿を生じせしめる際に発生
    する硫化水素及び/又はアンモニア含有ガスを以下の操
    作1または操作2の方法により分解することを特徴とす
    る請求項1から請求項3記載の廃液の処理方法。 操作1:ガスを次亜塩素酸塩水溶液と接触させる。 操作2:ガスを第3工程に導いて沈殿分離後の液ととも
    に処理する。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH091104A (ja) * 1995-06-20 1997-01-07 Kubota Corp 飛灰の処理方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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