JPH07184644A - 血管内皮細胞培養方法および血管内皮細胞用培地 - Google Patents
血管内皮細胞培養方法および血管内皮細胞用培地Info
- Publication number
- JPH07184644A JPH07184644A JP5331358A JP33135893A JPH07184644A JP H07184644 A JPH07184644 A JP H07184644A JP 5331358 A JP5331358 A JP 5331358A JP 33135893 A JP33135893 A JP 33135893A JP H07184644 A JPH07184644 A JP H07184644A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vascular endothelial
- medium
- culture
- endothelial cells
- serum
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 細胞培養容器への細胞接着活性を有する高分
子等の被覆が不要であり、培地中の血清成分を減らすこ
との可能な血管内皮細胞培養方法および当該方法に使用
する低血清の培地を提供することを目的とする。 【構成】 少なくともトランスフェリン、インスリンを
含有する培地を用い、細胞接着性を改善するための被覆
を有していない培養容器内で血管内皮細胞を培養するこ
とに特徴付けられる血管内皮細胞培養方法、および少な
くともインスリン、トランスフェリンを含有し、血清を
0.1〜1.0%含有する血管内皮細胞用培地。
子等の被覆が不要であり、培地中の血清成分を減らすこ
との可能な血管内皮細胞培養方法および当該方法に使用
する低血清の培地を提供することを目的とする。 【構成】 少なくともトランスフェリン、インスリンを
含有する培地を用い、細胞接着性を改善するための被覆
を有していない培養容器内で血管内皮細胞を培養するこ
とに特徴付けられる血管内皮細胞培養方法、および少な
くともインスリン、トランスフェリンを含有し、血清を
0.1〜1.0%含有する血管内皮細胞用培地。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は動物、特にヒトの血管内
皮細胞を培養するための方法および当該方法に用いる培
地に関する。より詳しくは、本発明は培養容器内部に細
胞接着性タンパク質等を細胞接着性を改善するために被
覆する必要のない、低血清条件下で血管内皮細胞を培養
するための培地に関する。
皮細胞を培養するための方法および当該方法に用いる培
地に関する。より詳しくは、本発明は培養容器内部に細
胞接着性タンパク質等を細胞接着性を改善するために被
覆する必要のない、低血清条件下で血管内皮細胞を培養
するための培地に関する。
【0002】
【従来の技術】血管内皮細胞は動脈硬化症などの血管病
変や癌の転移時の血管新生等に関与し、その増殖や分化
の研究が盛んに行われている。さらに、血管内皮細胞が
産生する生理活性物質であるインターロイキン1やプロ
スタサイクリン、血小板由来類似増殖因子、腫瘍壊死因
子、エンドセリン等の研究も活発に行われている。
変や癌の転移時の血管新生等に関与し、その増殖や分化
の研究が盛んに行われている。さらに、血管内皮細胞が
産生する生理活性物質であるインターロイキン1やプロ
スタサイクリン、血小板由来類似増殖因子、腫瘍壊死因
子、エンドセリン等の研究も活発に行われている。
【0003】血管内皮細胞などの接着性動物細胞は、培
養容器の器壁等、担体表面へ接着しないと増殖しないた
め、現在該細胞の培養には通常、ウシ胎児血清あるいは
仔牛血清を10%以上含有する培地が用いられている。
養容器の器壁等、担体表面へ接着しないと増殖しないた
め、現在該細胞の培養には通常、ウシ胎児血清あるいは
仔牛血清を10%以上含有する培地が用いられている。
【0004】さらに使用する培地によっては細胞を安定
化させるため、あらかじめ天然高分子等の細胞接着性タ
ンパク質あるいは細胞接着活性を有するペプチドを導入
した高分子等を培養容器内部に被覆する必要もある。
化させるため、あらかじめ天然高分子等の細胞接着性タ
ンパク質あるいは細胞接着活性を有するペプチドを導入
した高分子等を培養容器内部に被覆する必要もある。
【0005】しかしながら、血清は大量生産ができず、
非常に高価である上に、その組成は固体差(ロット差)
が大きく、1ロットの量が限られているため、ロット変
更のたび毎にロットチェック、培養条件の調整や管理等
に煩雑な操作を必要とする。さらに血清は、血液細胞や
血管内皮細胞等の産生する生理活性物質を含む様々な成
分の混合物であり、未知の成分が培養細胞の産生物の分
析、アッセイ等で問題となる。このため、培地中に含ま
れる血清量は可能な限り少なくするべきである。
非常に高価である上に、その組成は固体差(ロット差)
が大きく、1ロットの量が限られているため、ロット変
更のたび毎にロットチェック、培養条件の調整や管理等
に煩雑な操作を必要とする。さらに血清は、血液細胞や
血管内皮細胞等の産生する生理活性物質を含む様々な成
分の混合物であり、未知の成分が培養細胞の産生物の分
析、アッセイ等で問題となる。このため、培地中に含ま
れる血清量は可能な限り少なくするべきである。
【0006】血清濃度の低い培地としては血管内皮細胞
用に開発された基礎培地に各種成長因子および2%の牛
胎児血清を加えた低血清培地(E−GM UV:倉敷紡
績社製)を用いれば血管内皮細胞の培養が可能である。
しかし、2%以下の低血清条件下で血管内皮細胞を培養
する場合には、細胞の接着性を改善するために、培養容
器内側等の培養担体を天然高分子等の細胞接着性タンパ
ク質あるいは細胞接着活性を有するペプチドを導入した
高分子等で被覆等の処理を施す必要があり、手間がかか
っていた。
用に開発された基礎培地に各種成長因子および2%の牛
胎児血清を加えた低血清培地(E−GM UV:倉敷紡
績社製)を用いれば血管内皮細胞の培養が可能である。
しかし、2%以下の低血清条件下で血管内皮細胞を培養
する場合には、細胞の接着性を改善するために、培養容
器内側等の培養担体を天然高分子等の細胞接着性タンパ
ク質あるいは細胞接着活性を有するペプチドを導入した
高分子等で被覆等の処理を施す必要があり、手間がかか
っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するため細胞培養容器への細胞接着性を改善するた
めの被覆が不要であり、培地中の血清成分を減らすこと
の可能な血管内皮細胞培養方法および当該方法に使用す
る低血清の培地を提供することを目的とする。
解決するため細胞培養容器への細胞接着性を改善するた
めの被覆が不要であり、培地中の血清成分を減らすこと
の可能な血管内皮細胞培養方法および当該方法に使用す
る低血清の培地を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する手段】すなわち本発明は、少なくとも
インスリン、トランスフェリンを含有する培地を用い、
細胞接着性を改善するための被覆を有していない培養容
器内で血管内皮細胞を培養することに特徴付けられる血
管内皮細胞の培養方法に関する。
インスリン、トランスフェリンを含有する培地を用い、
細胞接着性を改善するための被覆を有していない培養容
器内で血管内皮細胞を培養することに特徴付けられる血
管内皮細胞の培養方法に関する。
【0009】さらに本発明は少なくともインスリン、ト
ランスフェリンを含有し、血清を0.1〜1.0%含有す
る血管内皮細胞用培地に関する。
ランスフェリンを含有し、血清を0.1〜1.0%含有す
る血管内皮細胞用培地に関する。
【0010】本発明の培養方法に用いる培地には、イン
スリンおよびトランスフェリンを添加する。インスリン
およびトランスフェリンを添加することにより、従来の
培地にくらべて非常に低い血清濃度で、細胞接着性を改
善するための被覆を有さない通常の培養器内での血管内
皮細胞の接着、維持、増殖が可能となる。
スリンおよびトランスフェリンを添加する。インスリン
およびトランスフェリンを添加することにより、従来の
培地にくらべて非常に低い血清濃度で、細胞接着性を改
善するための被覆を有さない通常の培養器内での血管内
皮細胞の接着、維持、増殖が可能となる。
【0011】インスリンおよびトランスフェリンは基礎
培地中にそれぞれ0.1μg/ml〜1mg/ml、好
ましくは1μg/ml〜100μg/ml添加する。な
お、インスリンはインスリン様増殖因子IまたはIIと交
換してもよい
培地中にそれぞれ0.1μg/ml〜1mg/ml、好
ましくは1μg/ml〜100μg/ml添加する。な
お、インスリンはインスリン様増殖因子IまたはIIと交
換してもよい
【0012】本発明の培養方法においては、インスリン
およびトランスフェリンを含有する培地に血清を0.1
〜1.0%添加した培地を用いて培養する。血清はウ
シ、ウマ、ヒト等いずれを用いてもよいが、入手のしや
すさや経済性の観点から牛胎児血清が好適に用いられ
る。血清濃度が0.1%未満では血管内皮細胞が増殖し
ないばかりでなく、血管内皮細胞の接着、維持も不可能
となる。
およびトランスフェリンを含有する培地に血清を0.1
〜1.0%添加した培地を用いて培養する。血清はウ
シ、ウマ、ヒト等いずれを用いてもよいが、入手のしや
すさや経済性の観点から牛胎児血清が好適に用いられ
る。血清濃度が0.1%未満では血管内皮細胞が増殖し
ないばかりでなく、血管内皮細胞の接着、維持も不可能
となる。
【0013】本発明の培養方法においては、インスリ
ン、トランスフェリンおよび0.1〜1.0%の血清を含
有する培地にさらに血清アルブミンを添加してもよい。
血清アルブミンとしては、ウシ、ウマ、ヒト、ブタ、ラ
ット、ウサギ等由来のものが用いられるが、経済性、入
手しやすさ等から牛血清アルブミン(BSA)が特に好
適に用いられる。BSAの濃度は1μg/ml〜100
μg/ml、好ましくは1μg/ml〜1mg/mlで
ある。
ン、トランスフェリンおよび0.1〜1.0%の血清を含
有する培地にさらに血清アルブミンを添加してもよい。
血清アルブミンとしては、ウシ、ウマ、ヒト、ブタ、ラ
ット、ウサギ等由来のものが用いられるが、経済性、入
手しやすさ等から牛血清アルブミン(BSA)が特に好
適に用いられる。BSAの濃度は1μg/ml〜100
μg/ml、好ましくは1μg/ml〜1mg/mlで
ある。
【0014】本発明の培養方法においては、インスリ
ン、トランスフェリンおよび0.1〜1.0%の血清を含
有する培地にさらに高密度リポプロテイン(HDL)を
添加してもよい。HDLの濃度は1μg/ml〜10m
g/ml、より好ましくは1μg/ml〜100μg/
mlである。
ン、トランスフェリンおよび0.1〜1.0%の血清を含
有する培地にさらに高密度リポプロテイン(HDL)を
添加してもよい。HDLの濃度は1μg/ml〜10m
g/ml、より好ましくは1μg/ml〜100μg/
mlである。
【0015】血清アルブミンまたはHDLを添加するこ
とにより、血管内皮細胞の増殖性が向上し、さらに効率
の良い培養が可能となる。
とにより、血管内皮細胞の増殖性が向上し、さらに効率
の良い培養が可能となる。
【0016】本発明の方法において、基礎培地としては
栄養分を多く含有し、各種添加物の濃度の高い血管内皮
細胞培養用基礎培地を用いる。具体的には基礎倍地には
以下のアミノ酸、ビタミン類、ミネラルを含有し、さら
に以下に例示する成長因子やホルモン等のその他の添加
物を含有する。
栄養分を多く含有し、各種添加物の濃度の高い血管内皮
細胞培養用基礎培地を用いる。具体的には基礎倍地には
以下のアミノ酸、ビタミン類、ミネラルを含有し、さら
に以下に例示する成長因子やホルモン等のその他の添加
物を含有する。
【0017】本発明に用いる基礎培地中のアミノ酸とし
ては、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギ
ン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタ
ミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、
L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メ
チオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−
セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チ
ロシン、L−バリンが挙げられる。本発明に用いる基礎
培地中、アミノ酸の濃度は特に限定的ではないが、通常
それぞれ1mg/ml〜1500mg/mlである。
ては、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギ
ン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタ
ミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、
L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メ
チオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−
セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チ
ロシン、L−バリンが挙げられる。本発明に用いる基礎
培地中、アミノ酸の濃度は特に限定的ではないが、通常
それぞれ1mg/ml〜1500mg/mlである。
【0018】本発明に用いる基礎培地中のビタミン類と
してはD−ビオチン、フォリニック酸、DL−α−リポ
酸、ニコチンアミド、D−パントテン酸、ピリドキシ
ン、リボフラビンン、チアミン、シアノコバラミン(ビ
タミンB12)、アデニン、コリン、myo−イノシトー
ル、プトレッシン、ピルビン酸、チミジンが例示され
る。本発明に用いる基礎培地中、ビタミン類の濃度は特
に限定的ではないがそれぞれ0.5μg/ml〜150
mg/mlである。
してはD−ビオチン、フォリニック酸、DL−α−リポ
酸、ニコチンアミド、D−パントテン酸、ピリドキシ
ン、リボフラビンン、チアミン、シアノコバラミン(ビ
タミンB12)、アデニン、コリン、myo−イノシトー
ル、プトレッシン、ピルビン酸、チミジンが例示され
る。本発明に用いる基礎培地中、ビタミン類の濃度は特
に限定的ではないがそれぞれ0.5μg/ml〜150
mg/mlである。
【0019】ミネラル類としては、カルシウム、カリウ
ム、マグネシウム、リン、ナトリウム、銅、鉄、セレ
ン、マンガン、ケイ素、モリブデン、バナジウム、ニッ
ケルおよび亜鉛が例示される。本発明に用いる基礎培地
中、ミネラル類の濃度は特に限定的ではないが、通常そ
れぞれ0.05μg/ml〜10000mg/mlであ
る。
ム、マグネシウム、リン、ナトリウム、銅、鉄、セレ
ン、マンガン、ケイ素、モリブデン、バナジウム、ニッ
ケルおよび亜鉛が例示される。本発明に用いる基礎培地
中、ミネラル類の濃度は特に限定的ではないが、通常そ
れぞれ0.05μg/ml〜10000mg/mlであ
る。
【0020】基礎培地に添加する成長因子またはホルモ
ンとしては、内皮細胞成長因子(ECGF)、内皮細胞
増殖因子(ECGS)、内皮細胞由来成長因子(ECD
GF)、上皮成長因子(EGF)、酸性繊維芽細胞成長
因子(acidic FGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(b
asic FGF)、インスリン様成長因子−1(IGF−
1)、マクロファージ由来成長因子(MDGF)、血小
板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TA
F)、ウシ脳抽出液(BBE)、ウシ脳下垂体抽出液
(BPE)、糖質コーチコイド(ハイドロコーチゾン、
コーチゾン、コーチコステロン、デキサメサゾン、トリ
アムシノロン、プレドニゾロン等)、コレステロール、
各種ビタミン等が挙げられる。これらの成長因子または
ホルモン類は単独で、あるいは適宜混合して添加すれば
よい。
ンとしては、内皮細胞成長因子(ECGF)、内皮細胞
増殖因子(ECGS)、内皮細胞由来成長因子(ECD
GF)、上皮成長因子(EGF)、酸性繊維芽細胞成長
因子(acidic FGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(b
asic FGF)、インスリン様成長因子−1(IGF−
1)、マクロファージ由来成長因子(MDGF)、血小
板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TA
F)、ウシ脳抽出液(BBE)、ウシ脳下垂体抽出液
(BPE)、糖質コーチコイド(ハイドロコーチゾン、
コーチゾン、コーチコステロン、デキサメサゾン、トリ
アムシノロン、プレドニゾロン等)、コレステロール、
各種ビタミン等が挙げられる。これらの成長因子または
ホルモン類は単独で、あるいは適宜混合して添加すれば
よい。
【0021】基礎培地には、さらに抗生物質を添加す
る。抗生物質はゲンタマイシン、アンフォテリシン、ア
ンピシリン、ミノマイシン、カナマイシン、ペニシリ
ン、ストレプトマイシン、ゲンタシン、タイロシン、オ
ーレオマイシン等通常の動物細胞の培養に用いられるも
のがいずれも好適に用いられる。抗生物質は培地中に
0.1μg/ml〜100μg/ml、より好ましくは
0.25μg/ml〜50μg/ml添加する。
る。抗生物質はゲンタマイシン、アンフォテリシン、ア
ンピシリン、ミノマイシン、カナマイシン、ペニシリ
ン、ストレプトマイシン、ゲンタシン、タイロシン、オ
ーレオマイシン等通常の動物細胞の培養に用いられるも
のがいずれも好適に用いられる。抗生物質は培地中に
0.1μg/ml〜100μg/ml、より好ましくは
0.25μg/ml〜50μg/ml添加する。
【0022】上述の基礎培地として具体的にはMCDB
107(極東製薬工業社製)、MCDB131(Knedle
r, A and Ham R.G., In vitro Cellular & Development
al Biology 23, 7 481〜491(1987))に各種ホルモン類
および成長因子類を添加した培地が挙げられる。表1お
よび2にMCDB107およびMCDB131の組成を
示す。
107(極東製薬工業社製)、MCDB131(Knedle
r, A and Ham R.G., In vitro Cellular & Development
al Biology 23, 7 481〜491(1987))に各種ホルモン類
および成長因子類を添加した培地が挙げられる。表1お
よび2にMCDB107およびMCDB131の組成を
示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】通常の動物細胞培養用に用いられる培地、
例えばD−MEM、F−10、MCDB153等の培地
にインスリン、トランスフェリンを添加しても、血清濃
度が1.0%以下の低血清条件では血管内皮細胞の増殖
性が悪い。
例えばD−MEM、F−10、MCDB153等の培地
にインスリン、トランスフェリンを添加しても、血清濃
度が1.0%以下の低血清条件では血管内皮細胞の増殖
性が悪い。
【0026】本発明の培養方法によって、様々な動物種
由来、様々な部位由来の血管内皮細胞を低血清条件下に
おいて効率的に培養することが可能である。特に、従来
困難であったヒト由来の血管内皮細胞の低血清条件下に
おける培養を、細胞接着性を改善するための被覆を有し
ていない培養容器、すなわち培養容器の内壁への細胞接
着性タンパク質あるいは細胞接着活性を有するペプチド
を含む高分子等による被覆を有していない培養容器内で
培養することができる。一般的な培養条件は、培養する
細胞の種類によって従来用いられている条件を適宜選択
すればよい。
由来、様々な部位由来の血管内皮細胞を低血清条件下に
おいて効率的に培養することが可能である。特に、従来
困難であったヒト由来の血管内皮細胞の低血清条件下に
おける培養を、細胞接着性を改善するための被覆を有し
ていない培養容器、すなわち培養容器の内壁への細胞接
着性タンパク質あるいは細胞接着活性を有するペプチド
を含む高分子等による被覆を有していない培養容器内で
培養することができる。一般的な培養条件は、培養する
細胞の種類によって従来用いられている条件を適宜選択
すればよい。
【0027】以下実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
明する。
【実施例1】培地 表1に示した組成のMCDB107培地(極東製薬工業
社製)および表2に示した組成のMCDB131培地
(Knedler, A and Ham R.G., In vitro Cellular& Deve
lopmental Biology 23, 7 481〜491(1987))を基礎培地
として用いた。両方の基礎培地に添加物として上皮成長
因子(EGF:10ng/ml、倉敷紡績社製)、牛脳
抽出液(BBE:0.4%(v/v)、倉敷紡績社
製)、インスリン(10μg/ml、シグマ社製)を添
加した。ここへ、牛胎児血清(FBS)をそれぞれ2.
0%(v/v)(A)、1.0%(v/v)(B)、0.
5%(V/v)(C)、0.3%(v/v)(D)、0.
1%(v/v)(E)を加えた低血清培地、および上記
培地に血清を全く添加しない無血清培地(F)を調製し
て培養に用いた。
社製)および表2に示した組成のMCDB131培地
(Knedler, A and Ham R.G., In vitro Cellular& Deve
lopmental Biology 23, 7 481〜491(1987))を基礎培地
として用いた。両方の基礎培地に添加物として上皮成長
因子(EGF:10ng/ml、倉敷紡績社製)、牛脳
抽出液(BBE:0.4%(v/v)、倉敷紡績社
製)、インスリン(10μg/ml、シグマ社製)を添
加した。ここへ、牛胎児血清(FBS)をそれぞれ2.
0%(v/v)(A)、1.0%(v/v)(B)、0.
5%(V/v)(C)、0.3%(v/v)(D)、0.
1%(v/v)(E)を加えた低血清培地、および上記
培地に血清を全く添加しない無血清培地(F)を調製し
て培養に用いた。
【0028】細胞 正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)は低血清
血管内皮細胞増殖培地(E−GM UV、倉敷紡績社
製)で2次培養された正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞培
養キット(エンドセル、倉敷紡績社製)を用いた。ま
た、正常ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)はE−G
M UVで4次培養された正常ヒト大動脈血管内皮細胞
培養キット(エンドセル−AO、倉敷紡績社製)を用い
た。なお、E−GM UVは血管内皮細胞基礎培地(E
−BM)にEGF(10ng/ml)、ハイドロコーチ
ゾン(1μg/ml)、抗菌剤(ゲンタマイシン:50
μg/ml、アンフォテリシンB:0.25μg/m
l)、BBE(0.4%(v/v))およびFBS(2
%(v/v))を添加したものである。
血管内皮細胞増殖培地(E−GM UV、倉敷紡績社
製)で2次培養された正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞培
養キット(エンドセル、倉敷紡績社製)を用いた。ま
た、正常ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)はE−G
M UVで4次培養された正常ヒト大動脈血管内皮細胞
培養キット(エンドセル−AO、倉敷紡績社製)を用い
た。なお、E−GM UVは血管内皮細胞基礎培地(E
−BM)にEGF(10ng/ml)、ハイドロコーチ
ゾン(1μg/ml)、抗菌剤(ゲンタマイシン:50
μg/ml、アンフォテリシンB:0.25μg/m
l)、BBE(0.4%(v/v))およびFBS(2
%(v/v))を添加したものである。
【0029】培養 上記方法で調製した低血清培地(A〜E)および無血清
培地(F)を市販のポリスチレン製細胞培養用35mm
ディッシュ(細胞培養用シャーレ、住友ベークライト社
製)に2mlずつ添加し、37℃に設定した5%濃度炭
酸ガス雰囲気のインキュベーターであらかじめ1時間イ
ンキュベートした。E−GM UVで2次培養したHU
VECおよび4次培養したHAECを基礎培地に4.6
×105個/mlの濃度に懸濁し、各培地に細胞の播種
密度が5000個/cm2となるように100μlずつ
播種した。4日間培養後、トリプシン処理をして細胞を
剥離させ、細胞数の計測を行った。なお、比較としてイ
ンスリン、トランスフェリンを添加せず、FBSを1.
0%添加した培地(G)、MCDB107およびMCD
B131の各基礎培地にEGF、ハイドロコーチゾン、
BBEを添加せず、上記実施例と同じ濃度で抗菌剤、イ
ンスリン、トランスフェリンおよび1.0%FBSのみ
を添加した培地(H)、およびE−GM UV(I)培
地を用いて同様の培養を行った。結果を表3に示す。
培地(F)を市販のポリスチレン製細胞培養用35mm
ディッシュ(細胞培養用シャーレ、住友ベークライト社
製)に2mlずつ添加し、37℃に設定した5%濃度炭
酸ガス雰囲気のインキュベーターであらかじめ1時間イ
ンキュベートした。E−GM UVで2次培養したHU
VECおよび4次培養したHAECを基礎培地に4.6
×105個/mlの濃度に懸濁し、各培地に細胞の播種
密度が5000個/cm2となるように100μlずつ
播種した。4日間培養後、トリプシン処理をして細胞を
剥離させ、細胞数の計測を行った。なお、比較としてイ
ンスリン、トランスフェリンを添加せず、FBSを1.
0%添加した培地(G)、MCDB107およびMCD
B131の各基礎培地にEGF、ハイドロコーチゾン、
BBEを添加せず、上記実施例と同じ濃度で抗菌剤、イ
ンスリン、トランスフェリンおよび1.0%FBSのみ
を添加した培地(H)、およびE−GM UV(I)培
地を用いて同様の培養を行った。結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】MCDB107、131のいずれの培地を
用いても、低い血清濃度で異なる組織由来の正常ヒト血
管内皮細胞の培養が可能であった。インスリン、トラン
スフェリンを添加することによってFBSの濃度が1.
0%の培地(B)であっても2%のFBSが添加されて
いるE−GM UV培地(I)の増殖性に匹敵する細胞
数が得られた。さらに血清濃度を0.1%にまで低下さ
せても少なくとも細胞を維持することは可能であった。
一方、インスリン、トランスフェリンを添加していない
培地(G)ではFBSを1.0%添加しても培養2日目
には細胞が剥離し、細胞を維持することができなかっ
た。
用いても、低い血清濃度で異なる組織由来の正常ヒト血
管内皮細胞の培養が可能であった。インスリン、トラン
スフェリンを添加することによってFBSの濃度が1.
0%の培地(B)であっても2%のFBSが添加されて
いるE−GM UV培地(I)の増殖性に匹敵する細胞
数が得られた。さらに血清濃度を0.1%にまで低下さ
せても少なくとも細胞を維持することは可能であった。
一方、インスリン、トランスフェリンを添加していない
培地(G)ではFBSを1.0%添加しても培養2日目
には細胞が剥離し、細胞を維持することができなかっ
た。
【0032】
【実施例2】実施例1のMCDB107培地を基礎培地
として用いた用いた低血清培地(A〜E)および無血清
培地(F)に牛血清アルブミン(BSA:10μg/m
l、シグマ社製)または高密度リポプロテイン(HD
L:10μgタンパク質/ml、ベーリンガーマンハイ
ム社製)を添加し、実施例1と同じ条件でHUVECの
培養を行った。結果を表4に示す。
として用いた用いた低血清培地(A〜E)および無血清
培地(F)に牛血清アルブミン(BSA:10μg/m
l、シグマ社製)または高密度リポプロテイン(HD
L:10μgタンパク質/ml、ベーリンガーマンハイ
ム社製)を添加し、実施例1と同じ条件でHUVECの
培養を行った。結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】BSAまたはHDLの添加により、血管内
皮細胞の細胞増殖性がさらに向上した。
皮細胞の細胞増殖性がさらに向上した。
【0035】
【発明の効果】本発明により、細胞接着性タンパク質、
あるいは細胞接着活性を有するペプチド等の高分子等で
培養容器を被覆せずに従来の血管内皮細胞用培地より低
血清条件下で血管内皮細胞を効率的に培養することが可
能となった。
あるいは細胞接着活性を有するペプチド等の高分子等で
培養容器を被覆せずに従来の血管内皮細胞用培地より低
血清条件下で血管内皮細胞を効率的に培養することが可
能となった。
Claims (7)
- 【請求項1】 少なくともインスリン、トランスフェリ
ンを含有する培地を用い、細胞接着性を改善するための
被覆を有していない培養容器内で血管内皮細胞を培養す
ることに特徴付けられる血管内皮細胞培養方法。 - 【請求項2】 培地がさらに血清アルブミンを含有して
いる請求項1記載の血管内皮細胞培養方法。 - 【請求項3】 培地がさらに高密度リポプロテイン(H
DL)を含有している請求項1記載の血管内皮細胞培養
方法。 - 【請求項4】 血管内皮細胞がヒト由来である請求項1
記載の方法。 - 【請求項5】 少なくともインスリン、トランスフェリ
ンを含有し、血清を0.1〜1%含有する血管内皮細胞
用培地。 - 【請求項6】 さらに血清アルブミンを含有する請求項
5記載の血管内皮細胞用培地。 - 【請求項7】 さらに高密度リポプロテインを含有する
請求項5記載の血管内皮細胞用培地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5331358A JPH07184644A (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 血管内皮細胞培養方法および血管内皮細胞用培地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5331358A JPH07184644A (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 血管内皮細胞培養方法および血管内皮細胞用培地 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07184644A true JPH07184644A (ja) | 1995-07-25 |
Family
ID=18242794
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5331358A Pending JPH07184644A (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 血管内皮細胞培養方法および血管内皮細胞用培地 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07184644A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115466712A (zh) * | 2022-09-27 | 2022-12-13 | 细新(上海)医疗科技有限公司 | 一种原代大血管内皮细胞的培养体系和应用 |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP5331358A patent/JPH07184644A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115466712A (zh) * | 2022-09-27 | 2022-12-13 | 细新(上海)医疗科技有限公司 | 一种原代大血管内皮细胞的培养体系和应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2577114B2 (ja) | 細胞培養基 | |
US5908782A (en) | Chemically defined medium for human mesenchymal stem cells | |
US6617159B1 (en) | Serum free medium for chondrocyte cells | |
JP4532493B2 (ja) | 細胞培養培地 | |
US5143842A (en) | Media for normal human muscle satellite cells | |
Kan et al. | In vitro proliferation and lifespan of human diploid fibroblasts in serum‐free BSA‐containing medium | |
WO2014082814A1 (en) | Serum-free medium for human mesenchymal stem cells | |
Hewlett | Strategies for optimising serum-free media | |
CN114574433B (zh) | 一种化学成分明确的用于肌源性细胞体外增殖的培养基 | |
McFarland et al. | Proliferation of the turkey myogenic satellite cell in a serum-free medium | |
US20050019310A1 (en) | Method for culturing and expansion of mammalian undifferentiated epidermal kerainocytes exhibiting stem cell characteristics | |
JPH07184644A (ja) | 血管内皮細胞培養方法および血管内皮細胞用培地 | |
Roberts et al. | A novel epithelial cell from neonatal rat lung: isolation and differentiated phenotype | |
CN111876373A (zh) | 化学成分明确的人气道上皮细胞无血清培养基及其应用 | |
EP1059352A1 (en) | Long term cell culture of human carcinoma | |
JPH07184645A (ja) | 血管内皮細胞用無血清培地 | |
Leach et al. | The use of avian epiphyseal chondrocytes for in vitro studies of skeletal metabolism | |
Kumamoto et al. | Serum-free culture of insulin-secreting clonal cells from a hamster insulinoma | |
Lee et al. | The effects of various hormones and growth factors on the growth of human insulin-producing cell line in serum-free medium | |
AU734174B2 (en) | Chemically defined medium for human mesenchymal stem cells | |
JPH0322972A (ja) | 無血清培地 | |
JPH07274952A (ja) | 肝細胞の培養法 | |
CN116478910A (zh) | 诱导肝细胞分化为胆管细胞的培养方法及所使用的孵育液 | |
Collodi et al. | Serum-free media | |
JP2577114C (ja) |