JPH07174235A - フリーロック装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一のバルブで動作可能な構造を実現する。 【構成】 シリンダ１内部を摺動するピストン２と、ピ
ストン２に結合してシリンダ１から突出するピストンロ
ッド４と、ピストン１の摺動に応じて拡縮する油室Ａ，
Ｂとを設ける。油室Ａ，Ｂ間を連通する作動油通路９に
バルブ１０を設け、２つの油室ＡとＢの断面積を等しく
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種の機器の位置決め
並びに支持部材として使用されるフリーロック装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】必要に応じて伸縮する一方、任意の位置
で伸縮をロックすることのできるフリーロック装置が、
特開平２−３１００８号や実開平３−６８６９９号など
に提案されている。

【０００３】これは、ピストンによりシリンダ内部に画
成された２つの油室と、作動油と圧縮ガスとを封入した
作動油タンクとを通路を介して連通し、ピストンに結合
したピストンロッドがシリンダから軸方向に突出し、ピ
ストンの動作に応じてピストンロッドが伸縮するように
構成されている。ピストンは作動油タンクの封入ガスの
圧力で例えば伸長方向に付勢されているが、ピストンの
動作に伴う作動油の流通を遮断することにより、ピスト
ンロッドの伸縮を任意の位置でロックすることができ
る。

【０００４】このようなフリーロック装置は、例えばボ
ート用船外機の位置決めや支持のために船体と船外機と
の間に介装するチルトダンパなどの用途に使用されてい
る。

【０００５】

【発明の課題】これらのフリーロック装置においては、
一方の油室の内部をピストンロッドが貫通しているため
に、ピストンの動作に伴って２つの油室の合計の油量が
ピストンロッドの移動体積分だけ変動し、この油量変動
を作動油タンクとの作動油の流通により補償していだ。
そのため、ピストンロッドの伸縮をロックするには油室
間のみならず油室と作動油タンクとの間の作動油の流通
も遮断する必要があり、これらのフリーロック装置にお
いては、ピストンロッドの伸縮をロックするために各流
通通路にそれぞれバルブを設けてこれらを同時に遮断す
る構造を備えていた。

【０００６】けれども、そのためにバルブの配置や操作
機構が複雑化し、装置全体が大型になるという問題があ
った。

【０００７】本発明は、上記問題点を解決すべくなされ
たもので、複数のバルブを必要としないフリーロック装
置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を達成するための手段】本発明は、シリンダ内部
を摺動するピストンと、ピストンに結合してシリンダか
ら突出するピストンロッドと、ピストンの摺動に応じて
拡縮する２つの油室と、これらの油室間を連通する作動
油の通路と、作動油通路に設けたバルブと、バルブを開
閉操作する機構とを備えたフリーロック装置において、
前記２つの油室の拡縮断面積を等しく設定している。

【０００９】

【作用】２つの油室の拡縮断面積を等しく設定したの
で、ピストンの摺動に対して２つの油室の合計の油量は
変動せず、作動油はこれらの油室間のみを流通する。し
たがって、これらの油室を連通する通路を閉じれば、ピ
ストンの伸縮がロックされ、伸縮のロックとロックから
の解放とを一個のバルブで行うことができる。

【００１０】

【実施例】図１及び図２を用いて本発明の実施例を説明
する。

【００１１】図１に示す本発明の第１の実施例において
は、シリンダ１に収装したピストン２によりシリンダ内
部を油室Ａと気体室３とに画成する。気体室３にはシリ
ンダ１に設けたエアバルブ１３を介して圧縮空気が封入
される。

【００１２】ピストン２にはピストンロッド４が結合
し、ベアリング６を介してシリンダ１から軸方向に突出
する。

【００１３】ピストンロッド４と反対側のシリンダ１の
端部はキャップ７により密閉される。キャップ７にはシ
リンダ１の内側に突出するプランジャ８が形成される。

【００１４】このプランジャ８はピストン２を貫通して
ピストンロッド４の内側に形成された円筒状の凹部５に
摺動自由に侵入する。これにより凹部５の内側に油室Ｂ
が画成される。なお、油室Ａと油室Ｂが同じ断面積を持
つように、ピストンロッド４の外径と凹部５の内径とを
設定する。

【００１５】油室Ａと油室Ｂには作動油が封入される。
油室Ａと油室Ｂはプランジャ８、キャップ７及びシリン
ダ１の壁面に形成した通路９を介して相互に連通する。

【００１６】通路９の途中にはバルブ１０が設けられ
る。バルブ１０は通路９の内側に形成されたバルブシー
ト１１に嵌合するバルブボディ１０Ａと、バルブボディ
１０Ａと一体に形成されたプッシュロッド１０Ｂからな
る。プッシュロッド１０Ｂはキャップ７に螺合するナッ
ト１４を貫通してシリンダ１の外側に突出する。また、
バルブ１０にはバルブボディ１０Ａとプッシュロッド１
０Ｂとの間に小径部１０Ｃが形成される。これにより、
図に示すようにバルブボディ１０Ａがバルブシート１１
に嵌合している状態では通路９は遮断されるが、外部か
らのプッシュロッド１０Ｂの操作によりバルブボディ１
０Ａがバルブシート１１を越えてシリンダ１１の内部へ
と押し込まれると、小径部１０Ｃがバルブシート１１の
内側に侵入してバルブシート１１の前後を連通する。

【００１７】次に作用を説明する。

【００１８】図に示すようにバルブ１０が閉じた状態で
は、油室Ａと油室Ｂの間の作動油の流通が遮断されるの
で、ピストンロッド４の伸縮はロックされている。

【００１９】外部からのプッシュロッド１０Ａの操作で
バルブボディ１０Ａがバルブシート１１を越えて押し込
まれると、通路９が連通する。この状態ではピストン２
は外力に応じて任意に伸縮し、通路９を介して油室Ａと
油室Ｂの間を作動油が流通する。油室Ａと油室Ｂは等し
い断面積に形成されているので、一方の油室の油量の減
少分ともう一方の油室の油量の増加分とは常に等しくな
り、したがって伸縮に伴う油量変動は発生しない。

【００２０】なお、伸縮可能な状態ではピストン２は気
体室３の圧縮空気により伸長方向へと付勢される。この
圧力は封入空気の圧力調整により任意に設定可能であ
る。

【００２１】プッシュロッド１０Ｂの操作でバルブボデ
ィ１０Ａをバルブシート１１の内側に嵌合させると、油
室Ａと油室Ｂの作動油の流通が遮断され、ピストンロッ
ド４の伸縮は再びロックされる。

【００２２】このようにして、１個のバルブ１０により
ロックとロックの解除とを行うことができる。また、作
動油タンクが必要ないので、小型のシリンダ１でも十分
な伸縮範囲を確保することができる。

【００２３】図２は本発明の第２の実施例を示す。ここ
では、プランジャ８はシリンダ１の外側に設けられ、ピ
ストンロッド４がプランジャ８を摺動自由に貫通する。
プランジャ８はピストンロッド４の基端に固設したアウ
タチューブ１５の内側に侵入し、アウタチューブ１５の
内部に油室Ｂを画成する。

【００２４】油室Ａと油室Ｂを連通する通路９はピスト
ンロッド４に形成され、ピストンロッド４の基端に前記
第１の実施例と同様のバルブ１０が設けられる。

【００２５】アウタチューブ１５の内径はシリンダ１の
内径と等しく、これにより油室Ａと油室Ｂは等しい断面
積を備える。

【００２６】この実施例においても、ピストン２の摺動
に伴う油室Ａと油室Ｂの油量の増減量は等しくなり、伸
縮に伴う油量変動は発生しない。また、このように油室
Ｂをアウタチューブ１５の内側に設けることによりピス
トン２の全断面が気体室３の圧縮空気の受圧面積となる
ため、低圧でも強いばね荷重を得ることができる。

【００２７】なお、いずれの実施例においても気体室３
はガスばねとしてのみ機能するので、ばねを必要としな
い場合には気体室３を大気に解放するか、あるいは気体
室３を設けない構成としても良い。

【００２８】

【発明の効果】以上のように本発明は、ピストンの摺動
に伴って拡縮する２つの油室の断面積を等しく設定した
ので、伸縮に伴う油量変動がなく、油量変動を補償する
ための作動油タンクを設ける必要がない。また、作動油
の流通が２つの油室間のみとなるので１個のバルブで伸
縮のロックと解除とを行うことができる。

【００２９】したがって、フリーロック装置の小型化
と、構造の簡略化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示すフリーロック装置
の縦断面図である。

【図２】本発明の第２の実施例を示すフリーロック装置
の縦断面図である。

【符号の説明】

１ シリンダ ２ ピストン ４ ピストンロッド ９ 通路 １０ バルブ Ａ，Ｂ 油室

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダ内部を摺動するピストンと、ピ
   ストンに結合してシリンダから突出するピストンロッド
   と、ピストンの摺動に応じて拡縮する２つの油室と、こ
   れらの油室間を連通する作動油の通路と、作動油通路に
   設けたバルブと、バルブを開閉操作する機構とを備えた
   フリーロック装置において、前記２つの油室の拡縮断面
   積を等しく設定したことを特徴とするフリーロック装
   置。