JPH07173455A - サイアロン相含有アルミナ質焼結砥粒の製造方法 - Google Patents

サイアロン相含有アルミナ質焼結砥粒の製造方法

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JPH07173455A
JPH07173455A JP31857793A JP31857793A JPH07173455A JP H07173455 A JPH07173455 A JP H07173455A JP 31857793 A JP31857793 A JP 31857793A JP 31857793 A JP31857793 A JP 31857793A JP H07173455 A JPH07173455 A JP H07173455A
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alumina
abrasive grains
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abrasive
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Yoshiaki Yamauchi
慶昭 山内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 研削に大きく寄与する硬く鋭利な切り刃の発
生ができ易く、研削性能に優れた砥粒を提供する。 【構成】 多孔質仮焼ゲルに珪素化合物および炭素化合
物を含浸し、窒素またはアンモニアガス雰囲気下で窒化
後、焼結しサイアロン相含有のアルミナ質焼結砥粒を製
造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、研削性能に優れたサイ
アロン相を含有するアルミナ質焼結砥粒の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】アルミナ質電融砥粒にはA,WA,P
A,HAがあるが、これらは硬度が高く、現在でも研削
砥粒の主流を占めている。しかしながら、これらの砥粒
は比較的靭性が低く、また研削に寄与する切れ刃の発生
も粗大単位で行なわれるために、その研削性能は不十分
であった。そのため近年アルミナ質砥粒の改良がさまざ
まに行なわれている。特開昭56−32369にはジル
コニアやスピネルを含有するゾルゲル法によるアルミナ
質焼結砥粒が、特開昭60−231462ではアルミナ
種粒子を使用する良質のゾルゲル法によるアルミナ質焼
結砥粒が記載されている。
【0003】また、特開昭63−139062には、オ
キシ窒化γ−アルミニウム、第IVB族金属の窒化物を含
有させたゾルゲル法によるアルミナ質焼結砥粒が、特開
平5−117042にはオキシ窒化物とアルミナとを電
炉で溶融しオキシ窒化物等を含む研摩材が記載されてい
る。更に特開平5−105870にはアルミナゾルにS
iC,TiB2 ,サイアロン等の機械的耐性材料を添加
混合しゲル化し、焼結した複合研摩材が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開昭63−1
39062等に含有されるオキシ窒化γ−アルミニウム
(ALON)はスピネル型結晶で、アルミナに比して硬
度が低いため、研削に寄与する鋭利な切れ刃としては不
利であり、また製造法としても炭素またはその化学的前
駆物質の混合ゾルを製造する工程において、これらの分
散が極めて困難で、凝集し易い炭素質が焼結後も残存炭
素として砥粒内に残り性能を劣化させる。また、特開平
5−105870においては機械的耐性材料の添加量が
多いため、ならびに添加時の分散の困難性のためアルミ
ナ結晶のネットワークを分断し、最終的に焼結砥粒とし
ての焼結性が劣り問題となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決するとともに、研削に寄与する硬く鋭利な切れ刃の
発生ができ易く、研削性能に優れた砥粒を種々検討した
結果、アルミナ質ゲルを仮焼して得られたアルミナ質多
孔体に珪素化合物および炭素化合物を含浸させ、乾燥後
窒素またはアンモニアガス雰囲気下にて窒化しつつ焼結
することを特徴とするサイアロン相を含有するアルミナ
質焼結砥粒の製造方法を見出した。
【0006】本発明の砥粒は、ゾルゲル法と含浸法との
組合せによって製造される。すなわち、(擬)ベーマイト
(例えば、Condea社からSB Pural Aluminaなる商品名で
市販されている)を硝酸その他の酸と混合して、まずゾ
ル化する。ゾル化の際に、砥粒の高密度化および/また
は結晶組織微細化のためには、粒径0.2μm以下、望
ましくは、0.1μm以下のα−アルミナ微粒子または
コランダム構造を有するTi23 ,MgO・TiO
2 ,FeO・TiO2 ,NiO・TiO2 ,CoO・T
iO2 ,MnO・TiO2 ,ZnO・TiO2 ,V2
3 ,Ga23 ,Rh23 ,α−Fe23 およびα
−Fe23 の前駆体のうち少なくとも一種類の微粒
子、または、これらの元素を固溶したα−アルミナ微粒
子を上記アルミナゾルに種として添加するのが好まし
い。
【0007】その後、ゲル化させるが、(擬)ベーマイ
トとこれらの微粒子を混合した後に酸を混合してゾル化
し、次いでゲル化してもよい。種として添加する上記微
粒子の添加量はアルミナゾル中のアルミナの重量に対
し、0.3〜3重量%が好ましい。0.3重量%未満で
は、砥粒のアルミナ結晶サイズが微細にならず、また3
重量%を超えても結晶の微細化が更に向上することは殆
ど認められない。
【0008】ゲル化後、乾燥して乾燥ゲルとし、所定の
砥粒の粒度になるように粉砕、整粒し、その後好ましく
は550〜900℃の温度にて仮焼する。仮焼された粒
子は放置するとまた吸湿するほどのアルミナ質多孔体で
ある。吸湿前の状態で乾燥ゲルの自由水および結晶水の
大部分、好ましくは全水分量の95重量%以上が除去さ
れるまで仮焼温度に保持する。仮焼温度が900℃を超
えると仮焼ゲル中に十分に細孔が形成されず、次に述べ
る珪素化合物および炭素化合物が粒子内に所定の量含浸
され難く、特に砥粒内部への含浸が困難となる。また、
仮焼ゲル中の残存水分が多くなる。乾燥ゲルの全水分量
の95%未満の除去率でも同様な困難を生ずる。仮焼温
度が550℃未満では水分の除去率が低いため好ましく
ない。
【0009】上記の仮焼ゲルに対して、珪素化合物と炭
素化合物を含浸させる。珪素化合物が液体(例えば四塩
化珪素のような珪素化合物、テトラエトキシシランのよ
うなシリコンアルコキシド)の場合にはそのままか溶媒
に希釈し、シリカのように固体の場合にはそれを微細化
し、溶媒に分散させて含浸させる。溶媒としては水、エ
タノール、メタノール、エーテル、アセトン等が使用で
きるが、表面張力の小さな溶媒の方が砥粒内部への含浸
効果が大きいので、エタノール、メタノールが好まし
く、生産コスト的には水が好ましい。
【0010】また、炭素化合物としては蔗糖およびぶど
う糖のような糖類、あるいはポリビニルアルコール、フ
ェノール樹脂のような樹脂類等が使用できる。炭化率の
高い化合物が好ましい。炭素化合物も液体ならそのまま
か溶媒に希釈したものを、固体なら上記のような溶媒に
分散なり、溶解して含浸させる。
【0011】含浸の方法としては、前記の解砕整粒した
仮焼アルミナゲルをこれより細かい網目上にのせて含浸
液浴中に浸した後この含浸ゲルを網目ごと引き上げる方
法等があり、特に限定されるものではなく、また含浸の
際の雰囲気の加圧や脱気を行なっても構わないが、より
好ましい方法は所定量の仮焼アルミナゲルに所定量の含
浸液をほぼ全体に行き渡るように注入した後、この湿潤
物をかき混ぜて均一化するのが好ましい。より好ましい
含浸方法としては液体または溶液をスプレー滴下し、仮
焼ゲルに接触させるのがよい。
【0012】次に含浸させる量について記載する。珪素
化合物の含浸量は珪素元素としてAl23 1モルに対
し、0.0051〜1.16モルが好ましく、より好ま
しくは0.0051〜0.35モルを、炭素化合物は十
分にサイアロン相が形成される温度1450℃における
残炭素としてAl23 1モルに対し、0.011〜
2.61モルが好ましく、より好ましくは0.011〜
0.78モルである。一回の含浸でこれらの量が入らな
い場合は、含浸後乾燥し、また含浸する操作を繰返し所
定の量を含浸する。上記の量が入ると、最終砥粒として
好ましくはSiは0.1〜15モル%、より好ましくは
0.1〜6モル%含有することになり、Nも好ましくは
0.15〜22.5モル%、より好ましくは0.15〜
9モル%含有され、この割合にて各種のサイアロン相が
形成される。それぞれの下限量未満の量の含浸量ではサ
イアロン相を含有した効果がないか均一な含有がなされ
ない、また上限を超える量を含浸させると余剰のSiや
Cが残り、かえって砥粒の研削性能を落とすため好まし
くない。
【0013】炭素化合物を含浸させるのは、該化合物が
焼結までの過程か、焼結時に残炭素として炭素となり、
該炭素が、焼結温度範囲にてAl23 やSiO2 の酸
素原子を奪い取り、雰囲気N2 またはアンモニアガスと
以下のような置換反応をし、窒化物および/または酸窒
化物となるためである。 Al23 +3C+N2 → 2AlN+3CO SiO2 +3C+2/3N2 → 1/3Si34
2CO 高温では上の反応式の右側に移行し、更にこれら生成物
がAl23 等と反応し、各種のサイアロン相、例えば
Si4 Al226 が 2/3Al23 +2/3AlN+4/3Si34 →Si
4 Al226 の反応式が生成され、アルミナ質砥粒内に含有される。
【0014】次に含浸後の操作、工程について記す。含
浸後の仮焼ゲルを乾燥し、N2 ガスまたはアンモニアガ
ス雰囲気中にて、好ましくは1450〜1700℃の温
度範囲にて焼結する。含浸された珪素化合物や炭素化合
物は、焼結前か焼結の初期段階にてそれぞれシリカの前
駆体またはシリカおよび炭素になる。アルミナおよびシ
リカは炭素を還元剤として雰囲気の窒素と反応し還元窒
化反応により窒化物あるいは酸窒化物と変換されるが、
この反応を促進させて焼結砥粒中の未反応炭素の残存を
砥粒特性に悪影響を及ぼさない程度の最小限にとどめる
ためには、焼結雰囲気ガスを流すのが望ましい。なお、
この反応において使用される雰囲気としては窒素または
アンモニアガスに限られるものではなく、加熱により窒
素と、還元窒化反応を阻害しない成分とに分解するよう
なものであればどのようなものでもよい。窒化物の生成
は1400℃前後でなされるが、焼結温度を1450℃
以上としたのは、この温度未満では還元窒化反応により
生成した窒化物と残存酸化物の反応によるサイアロン相
形成が不十分となり、また焼結不足により緻密でない焼
結砥粒となり、更に結晶組織も板状とはならないからで
ある。焼結温度の上限については、焼結によって形成さ
れたサイアロン相の分解とそれによるシリカ成分の揮発
が開始するという理由から1700℃以下が好ましい。
【0015】このようにして製造された砥粒は、緻密で
高硬度の多結晶焼結砥粒であり、結晶組織は通常のアル
ミナ焼結体とは異なり、結晶粒径の比較的揃った板状組
織からなっている。この砥粒の結晶相は大部分のアルミ
ナの他、サイアロン相を含有するが、更に少量のムライ
ト相を含んだり、焼結を低温にて行なった場合にはこの
他少量の窒化アルミニウム相が観察される。前述のよう
に焼結した後、室温にまで冷却し、目的とする砥粒の所
定粒度に再度篩分け等で整粒し、目的の粒度を持つ砥粒
を得る。
【0016】本発明の砥粒をビトリファイドボンド、メ
タルボンドまたはレジンボンド等の結合剤で成形硬化さ
せることによって各種の砥石が製造される。また、研摩
布紙は、基材と砥粒とを接着剤で接着させることにより
製造される。接着剤としては優れた研摩特性と耐水性の
ためにフェノール樹脂系接着剤が好ましく、レゾルシノ
ールまたはその誘導体を併用することにより硬化条件を
緩和することもできる。研摩布紙用基材としては、紙、
織布、不織布等が例示される。以下、実施例について本
発明を具体的に説明する。
【0017】
【実施例】
実施例1 擬ベーマイト(Condea社,Dispural)4kgと純水16kg
を撹拌混合しスラリーとし、更に67.5wt%の硝酸3
80mlを等容の純水で希釈したものを滴下しゾル化し撹
拌した。一方、種粒子を以下のように造った。純水とア
ルミナボールを入れたアルミナライニングのポットミル
を14日間回転させて得られたアルミナ摩砕粉スラリー
を硝酸にてpH=2.6としたものを用意した。このス
ラリーの摩砕粉含有量は16.6wt%で、摩砕粉の比表
面積は50m2 /gであった。前述のスラリーにこのア
ルミナ摩砕粉スラリー240gを添加し更に撹拌を続け
て分散させた。摩砕粉添加ゾルを熱風乾燥機にて90
℃、24時間静置乾燥した。得られた乾燥固形物をそれ
ぞれ粉砕篩分けして、600〜250μmの粒分を70
0℃で2時間大気中で仮焼して摩砕粉入り仮焼アルミナ
とした。
【0018】テトラエトキシシラン7.8gをエタノー
ル6mlに溶かした溶液と無水ぶどう糖2.5gを純水1
0mlに溶かした溶液を混合後、上記の摩砕粉入り仮焼ア
ルミナ38.4gに含浸させ、熱風乾燥機で90℃、2
4時間乾燥させた。更にこの乾燥物15gを内径35m
m、均熱部120mmの管状炉にて窒素ガス200ml/min
のフロー中で700℃で2時間仮焼し、溶媒の揮発とぶ
どう糖の炭化を行なった後、焼結用の富士電波工業
(株)製ハイマルチ5000型黒鉛ヒーター炉に移して
窒化、焼結を行なった。窒化焼結は窒素ガスフロー(1
リットル/分)下で行ない、窒化のため1400℃で4
時間保持後、更に1700℃に昇温後2時間保持した。
【0019】こうして得られた砥粒は、黒色で、X線回
折による結晶相解析はαアルミナ相の他、少量のサイア
ロン相とムライト相が確認された。また、砥粒を乳鉢で
解砕した時の破断面の走査型電子顕微鏡観察では砥粒は
緻密に焼結していて、結晶組織は1〜2μmで、板状の
結晶粒どうしの集合体であった。砥粒の粒子の荷重50
0gでのビッカース硬度は、2080kg/mm2 で、Si
およびN含量はそれぞれ1.87mol%,0.92mol%
であった。
【0020】実施例2 含浸液の配合がテトラエトキシシラン7.8gをエタノ
ール6mlに溶かした溶液と無水ぶどう糖6.5gを純水1
0mlに溶かした溶液を混合したものである以外は実施例
1と同様な条件で砥粒を造った。得られた砥粒は黒色
で、結晶粒径は約1〜2μmで形状は実施例1のものと
ほぼ同様であったが、破断面の凹凸は実施例1のものよ
り鋭利であった。結晶相はαアルミナ相、少量のサイア
ロン相が観察され、ムライト相は実施例1と比較して微
量であった。ビッカース硬度はHv=2160kg/mm2
であった。この砥粒の化学成分はSi=1.87mol%、
N=3.25mol%であった。
【0021】実施例3 テトラエトキシシラン2.7gをエタノール6mlに溶か
した溶液と無水ぶどう糖2.6gを純水10mlに溶かし
た溶液を混合後摩砕粉入り仮焼アルミナ39.4gに含
浸させる含浸操作以外は実施例1と同様な条件で砥粒を
造った。得られた砥粒は黒色で、結晶相はαアルミナ
相、少量のサイアロン相が観察され、ムライト相はごく
わずかであった。ビッカース硬度はHv=2140kg/
mm2 であった。この砥粒の化学成分はSi=0.65mol
%、N=1.03mol%であった。
【0022】実施例4 テトラエトキシシラン12.1gをエタノール5mlに溶か
した溶液と無水ぶどう糖8.7gを純水9mlに溶かした
溶液を混合後摩砕粉入り仮焼アルミナ34.9gに含浸
させた後実施例1同様乾燥、窒素ガス中での仮焼炭化
後、これに更に同じ配合の含浸液を含浸させてもう一度
乾燥、窒素ガス中で仮焼を行なう含浸、仮焼炭化操作以
外は実施例1と同様な条件で砥粒を製造した。得られた
砥粒は黒色で、結晶相はαアルミナ相、サイアロン相、
少量のムライト相であった。ビッカース硬度はHv=2
100kg/mm2 であった。この砥粒の化学成分はSi=
2.83mol%、N=8.47mol%であった。
【0023】実施例5 使用した仮焼アルミナが摩砕粉を含んでいないものであ
る他は実施例2と同様な条件で砥粒を造った。得られた
砥粒は黒色で、結晶組織は実施例2のものとほぼ同様で
あった。結晶相はαアルミナ相、少量のサイアロン相、
微量のムライト相が観察された。ビッカース硬度は21
10kg/mm2 であった。この砥粒の化学成分はSi=
1.83mol%、N=3.09mol%であった。
【0024】実施例6 含浸液の配合がテトラエトキシシラン7.8gとフェノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂3.3gをエタノール16
mlに溶かした溶液である以外は実施例1と同様の条件で
砥粒を造った。得られた砥粒は黒色で、結晶組織は実施
例2のものとほぼ同様であった。結晶相はαアルミナ
相、少量のサイアロン相、微量のムライト相が観察され
た。ビッカース硬度は2180kg/mm2 であった。この
砥粒の化学成分はSi=1.82mol%、N=3.09m
ol%であった。
【0025】比較例1 高純度アルミナ(昭和電工製UA−5105、平均粒径
0.4μm)187.1g、窒化珪素(昭和電工製NU
−30、平均粒径1.0μm)8.6g、窒化アルミニウ
ム(東洋アルミ社製UF、平均粒径1.0μm)1.3gと
エタノール400mlをウレタンポットミルにて24時間
湿式混合、90℃で24時間乾燥したものを解砕、21
0μmの篩を通過させた。この混合粉40gを2t/cm2
金型成形後黒鉛ヒーター炉にて、実施例1と同様の焼成
パターンにて焼結を行なった。焼結したペレットは粉
砕、整粒してJIS#60の砥粒とした。得られた砥粒
は黒灰色で、結晶組織は激しく焼結していて粒界が明ら
かでなく、中には15μm程度まで焼結した結晶粒もみ
られたが、一部に板状粒の痕跡がみられた。結晶相はα
アルミナ相とサイアロン相のみであった。ビッカース硬
度は2030kg/mm2 であった。この砥粒の化学成分は
Si=1.90mol%、N=2.96mol%であった。
【0026】比較例2 実施例1で使用した擬ベーマイトゾルを遠心分離して未
分散部分を除去したもの2.5kgを一定に撹拌しながら
沸点まで加熱し、β−サイアロン粉末(平均粒径1.0
μm)26.0gを添加した。β−サイアロン全量添加
後約5分後にゾルはゲル化完了した。これを熱風乾燥機
にて90℃で乾燥し、得られた乾燥固形物を実施例1と
同様に粉砕、篩分けし、そのまま実施例1と同様に仮焼
した後窒素ガスフロー(1リットル/分)下で1350
℃で4時間焼結した。こうして得られた砥粒は黒みがか
った灰色で、X線回折による結晶相解析はαアルミナ相
とサイアロン相が確認された。結晶組織観察では平均粒
径0.4μmのアルミナマトリックス中にサイアロンが
分散した様子が確認された。砥粒のビッカース硬度は1
640kg/mm2 であった。この砥粒の化学成分はSi=
1.91mol%、N=2.86mol%であった。
【0027】比較例3 焼結を実施例1と同一条件で行なった以外は比較例2と
同様に砥粒を造った。得られた砥粒は黒みがかった灰色
で、X線回折による結晶相解析はαアルミナ相とサイア
ロン相が確認された。結晶組織は比較例2と同様に激し
く焼結した部分があったがその頻度は比較例2より小で
あり、平均粒径は2.5μmであった。砥粒のビッカー
ス硬度は2070kg/mm2 であった。この砥粒の化学成
分はSi=1.82mol%、N=3.02mol%であっ
た。
【0028】比較例4 摩砕粉入り仮焼アルミナ40.0gに対し含浸操作を行
なわずそのまま使用する以外は実施例1と同様な条件で
砥粒を造った。得られた砥粒は紫色で、結晶組織は5〜
10μm程度の不規則に粒成長した組織が観察された。
結晶相はαアルミナ相のみが観察された。この砥粒の化
学成分はN=0.04mol%であった。
【0029】実施例7〜12および比較例4〜8 実施例1〜6および比較例1〜4で作製した砥粒、並び
にJIS R6004規定の褐色アルミナ研削材A砥粒
を整粒してそれぞれJIS#60の砥粒とし、以下の方
法にてディスク状研摩布を造った。実施例、比較例のそ
れぞれの砥粒100部と、10部のレゾルシノールを1
0部のエタノールに溶解したものの混合物を100℃で
1時間乾燥しエタノールを蒸発させ、コーティング砥粒
とした。圧縮不織布基材にフェノール樹脂接着剤(昭和
高分子(株)製BRL−2867、固形分約70%)を
100g/m2 の割合にて均一に塗布し、この上にコー
ティング砥粒を散布した後、過剰の砥粒を除去して研摩
材付着量250g/m2とした。これを80℃で4時間
乾燥後、前記フェノール接着剤を200g/m2の割合
にて均一に塗布し、更に80℃で4時間乾燥させた後、
2時間で135℃まで昇温し、135℃で30分キープ
した。冷却後これをパンチ抜きして180φのディスク
状研摩布とし、各砥粒に対し、実施例7〜12および比
較例4〜8の研摩布とした。A砥粒が比較例8である。
これを用いて表1の試験条件にて乾式研削を行なった。
【0030】表1:研削試験条件 サンダー : 日立PHD−180C 研削時間 : 1分×10回 被削材 : SPC 荷重 : 3ポンド この結果、各実施例、比較例における研削量は表2のよ
うになった。
【0031】
【表1】
【0032】なお表2にて比較例8につき9〜10分研
削量の値がないのは、研削後4分間にて著しく焼けを発
生し研削されなくなったために研削試験を停止したこと
による。
【0033】
【発明の効果】本発明により得られる焼結砥粒は硬度が
高く、研削性能の優れたものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ質ゲルを仮焼して得られたアル
    ミナ質多孔体に珪素化合物および炭素化合物を含浸さ
    せ、乾燥後窒素またはアンモニアガス雰囲気下にて窒化
    しつつ焼結することを特徴とするサイアロン相含有アル
    ミナ質焼結砥粒の製造方法。
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