JPH0717019A - 枚葉印刷機のひねり調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 渡し胴による刷版のひねり調整を短時間でか
つ正確に行えるようにする。 【構成】 隣接する印刷ユニット３と印刷ユニット４と
の間に配設した渡し胴２４の一方の端軸３４を偏心軸受
３６で軸支させた。排紙装置５の近傍にハンドル３７を
設けてこのハンドル３７と偏心軸受３４のフランジ部３
６ｃとの間をロッド４２で連結した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は枚葉印刷機において、
隣接する印刷ユニット間に配設された渡し胴の一方の端
軸を偏心軸受で軸支してこの偏心軸受を回動操作するこ
とにより渡し胴を傾斜させて渡し胴上の紙の一端を天地
方向に移動させ印刷見当を調整する枚葉印刷機のひねり
調整装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】多色刷の枚葉印刷機は、給紙装置と排紙
装置との間に配設された複数組の印刷ユニットを備えて
おり、各印刷ユニットには、印刷用の刷版（以下版とい
う）が装着された版胴と、周面に巻かれたブランケット
を版胴の周面に対接させたゴム胴と、このゴム胴に周面
を対接させた圧胴とを備えており、隣接する印刷ユニッ
トの圧胴間には、渡し胴が周面を対接させて配設されて
いる。

【０００３】このように構成されていることにより、給
紙装置からスイング装置を経て１色目の印刷ユニットの
圧胴に供給されて搬送される紙には、圧胴とゴム胴との
間を通過するときに、版からゴム胴のブランケットに転
写された絵柄が、圧胴とゴム胴間の印圧によって転写さ
れて印刷が施される。

【０００４】１色目の印刷が施された紙は、圧胴の爪か
ら渡し胴の爪にくわえ替えられて搬送され、さらに２色
目の圧胴の爪にくわえ替えられて搬送されながらゴム胴
と圧胴との間を通過するときに２色目の印刷が施され
る。２色刷機や反転機構付枚葉印刷機の場合、印刷され
た紙は排紙装置の排紙チェーンで搬送されて紙積台上の
紙積板へ排出されて積載される。

【０００５】このような多色刷の枚葉印刷機において
は、各色の印刷見当が互いにわずかでもずれていると、
高品質の印刷物が得られないので、本印刷前の試し刷時
において版胴または版を天地方向と左右方向とに移動さ
せて印刷見当を合わせるとともに、版の一端が他端より
も進んだり遅れたりするようにひねっている場合には、
版胴の一端を偏心軸受で軸支させてこの偏心軸受を回動
させることにより版のひねりに対応するひねり調整が行
われている。

【０００６】しかしながら、このような版胴のひねり調
整だけでは充分な調整ができないので、隣接する印刷ユ
ニット間に設けられている前記渡し胴の一端を偏心軸受
で軸支させ、この偏心軸受を回動させることによりひね
り調整を行うことが提案されている。また、反転胴を設
けて紙の搬送中に紙を裏返しに反転させることにより両
面刷を可能にした反転機構付枚葉印刷機においても、こ
の反転胴に対接する渡し胴を偏心軸受の回動によりひね
り調整することが提案されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな渡し胴によるひねり調整は通常、印刷された紙の印
刷状態すなわち印刷のずれ量を見てから調整するもので
あって、作業者は、紙積台上の紙積板に排出される印刷
物の印刷のずれ量を見たのち渡し胴の側方に移動して渡
し胴のひねり調整を行い、再び排紙装置の近くへ戻って
ひねり調整の結果を確認しなければならず、良好な印刷
物が得られるまでに排紙装置と印刷ユニットとの間を何
度か往復することがあり、作業者の負担が増すばかりで
なく、調整に長時間を要することにより、損紙の発生量
が増大し、かつ準備時間が延長して印刷機の稼働率が低
下するという問題がある。

【０００８】本発明は以上のような点に鑑みなされたも
ので、渡し胴によるひねり調整を短時間で正確に行うこ
とを可能にした枚葉印刷機のひねり調整装置を提供する
ことを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明では、給紙装置と排紙装置との間に配設
された複数組の印刷ユニットと、これら隣接する印刷ユ
ニット間に配設され上流側の印刷ユニットから搬送され
てくる紙を受取って下流側の印刷ユニットへ受渡す渡し
胴とを備えた枚葉印刷機において、渡し胴の一方の端軸
を、フレーム側外周円の軸芯と端軸側内周円の軸芯とを
偏心させた偏心軸受で軸支し、前記排紙装置の近傍に操
作部材を設けてこの操作部材と偏心軸受との間を連結部
材で連結した。

【００１０】

【作用】渡し胴のひねり調整を行う場合、作業者は排紙
装置近傍に位置し、排出される刷見本の印刷ずれ量を見
ながら、近くにある操作部材を操作すると、連結部材を
介して渡し胴の偏心軸受が回動するので、渡し胴のひね
り調整が行われる。この間、作業者は排紙装置の近くか
ら離れる必要がない。

【００１１】

【実施例】図１ないし図３は本発明に係る枚葉印刷機の
ひねり調整装置を反転機構付枚葉印刷機に実施した例を
示し、図１はひねり調整装置を設けた印刷ユニットの側
面図、図２はひねり調整装置を設けた印刷ユニットの展
開平面図、図３は本発明を実施した反転機構付枚葉印刷
機の概要側面図である。

【００１２】図において、印刷機１には、給紙装置２
と、印刷ユニット３，４と、裏刷り用印刷ユニット４
と、排紙装置５とが設けられていて、給紙装置２には、
昇降チェーンで吊下されてその巻取り巻戻しで昇降する
紙積台６を備えており、この紙積台６上に搭載された紙
積板７には、紙８が積載されている。

【００１３】また、紙積板７上に積載された紙８の上方
には、印刷作業時に紙８を上層のものから１枚ずつ吸引
して前後に往復動するサッカ装置９が設けられている。
１０は紙送りローラ１１上に紙８の幅方向に並設された
複数個の紙送りころであり、サッカ装置で吸引されて搬
送された紙８は、これら紙送りローラ１１と紙送りころ
１０とで捕捉されてフィーダボード１２上へ送り出され
るように構成されている。

【００１４】フィーダボード１２上には、前後に走行す
る図示しない複数条の紙送りテープとこれに添接して回
転する紙送りころとが設けられており、フィーダボード
１２上へ送り込まれた紙８を前方へ搬送するように構成
されている。フィーダボード１２の前方には、これと同
勾配で傾斜する図示しない差板が支架されており、この
差板の先端部には、紙８の見当を天地方向と左右方向と
に揃える図示しない紙当てと横針装置とが設けられてい
る。

【００１５】印刷ユニット３には、周面に版が装着され
た版胴１３と、周面にブランケットが巻かれたゴム胴１
４とが周面を互いに対接させて配設されており、ゴム胴
１４には、周面に渡し胴１５が対接された圧胴１６が対
接されている。

【００１６】また、印刷ユニット４には、周面に版が装
着された版胴１７と、周面にブランケットが巻かれたゴ
ム胴１８とが周面を互いに対接させて配設されており、
ゴム胴１８には、周面に排紙胴１９が対接された圧胴２
０が対接されている。

【００１７】反転装置２１は圧胴１６に対接された印刷
ユニット３側の渡し胴２２と、印刷ユニット４側の圧胴
２０に対接された反転胴２３とを備えており、圧胴２２
と反転胴２３との間には、反転装置２１を構成する倍径
の渡し胴２４が周面を対接させて配設されている。

【００１８】渡し胴１５，圧胴１６，圧胴２０，渡し胴
２２の外周切欠き内に支架されて胴の軸方向に延びる爪
竿上には、爪と爪台とからなる複数組のくわえ爪装置
（以下爪という）が並設されており、また、反転胴２３
の外周切欠き内に支架された爪竿上には、爪と爪台とか
らなる複数組のくわえ爪装置（以下反転爪という）が並
設されている。

【００１９】倍径の渡し胴２４の外周部を円周方向に２
等分する位置には、それぞれ爪が配設されており、ま
た、反転胴２３の外周部には、図示しない吸引エア源と
の間をホース等で連結された複数個の吸口が、各反転爪
に近接して配設されている。

【００２０】排紙装置５は前記排紙胴１９と同軸上に軸
着された左右一対のスプロケット２５を備えており、こ
れらのスプロケット２５と、排紙フレーム２６の前端部
に枢着された左右一対のスプロケット２７との間には、
左右一対の排紙チェーン２８が張架されていて、これら
左右の排紙チェーン２８間に一定間隔で支架された複数
個の各爪竿上には、複数組の爪が並設されており、排紙
チェーン２８の下方には、昇降チェーンで吊下された紙
積台２９が配設されている。

【００２１】このように構成された印刷機１には、渡し
胴２４を用いたひねり調整装置が設けられている。すな
わち、渡し胴２４の一方の端軸３０は、フレーム３１の
軸受孔に嵌着された軸受３２に回転自在に軸支されてお
り、この端軸３０には原動側と駆動連結された胴ギア３
３が軸着されている。

【００２２】そして、渡し胴２４の他方の端軸３４は、
フレーム３５の軸受孔３５ａに嵌着された偏心軸受３６
に回転自在に軸支されており、この偏心軸受３６は、軸
受孔３５ａと嵌合するフレーム側外周円３６ａの軸芯Ａ
と端軸３４側内周円３６ｂの軸芯Ｂとが図に符号ｔで示
すだけ偏心されている。

【００２３】一方、フレーム３５の排紙装置５側の端部
には、操作部材としてのダイアル３７ａ付きのハンドル
３７が、フレーム３５に植設されたスタッド３８によっ
て回動自在に支持されており、また、フレーム３５に
は、レバー３９がピン４０によって揺動自在に枢着され
ている。

【００２４】そして、ハンドル３７の先端ねじ部は、レ
バー３９の揺動端側二又部に回動自在に枢着されたこま
４１のねじ孔に進退自在に螺合されており、また、レバ
ー３９の前記二又部に一端を枢着されたロッド４２の他
端は、前記偏心軸受３６のフランジ部に形成された二又
部３６ｃに枢着されている。なお、図２では、図面を展
開して図示した関係上、こま４１が枢着された二又部と
ロッド４２の一端が枢着された二又部とが上下に分かれ
て記載されているが、実際はこれらが同じ二又部に枢着
されている。

【００２５】こうすることにより、ダイアル３７ａを見
ながらハンドル３７を回動操作することにより、こま４
１を介してレバー３９が揺動し、ロッド４２を介して偏
心軸受３６が所定の角度だけ回動するように構成されて
いる。

【００２６】以上のように構成された反転機構付枚葉印
刷機の両面刷動作を説明する。紙積板７上に積載された
紙８はサッカ装置９の吸口で１枚ずつ吸着されて前方へ
搬送され、先端部を紙送りローラ１１と紙送りころ１０
で捕捉されてフィーダボード１２上へ送り出される。

【００２７】フィーダボード１２上へ送り出された紙８
は、紙送りテープと紙送りころとで差板上へ送り込まれ
て前後左右に見当を合わせられたのち、矢印方向に回転
している渡し胴１５の爪にくわえられて搬送され、さら
に圧胴１６の爪にくわえ替えられて搬送される。

【００２８】搬送される紙８には、ゴム胴１４と圧胴１
６との間を通過するときに表面に印刷が施され、印刷さ
れた紙８は渡し胴２２の爪にくわえ替えられて搬送され
たのち、倍径渡し胴２４の爪にくわえ替えられて渡し胴
２４の上側周面に巻付けられながら搬送される。

【００２９】搬送された紙８の紙尻が両胴２４，２３の
対接点に達すると、反転胴２３の吸口によってこの紙尻
が吸着され、この吸口から反転爪にくわえ替えられて搬
送されることにより紙８は裏返しに反転されて搬送され
る。

【００３０】搬送された紙８は圧胴２０の爪にくわえ替
えられて搬送され、この紙８には、ゴム胴１８と圧胴２
０との間を通過するときに裏面に印刷が施されて両面刷
となる。印刷後の紙８は排紙チェーン２８の爪にくわえ
替えられて搬送され、搬送終端部において爪のくわえか
ら解放されて紙積台２９上に落下積載される。

【００３１】このような両面刷を行ったのち、印刷物の
仕様が変った場合には、版替え後、試し刷が行われてこ
の結果を見ながら渡し胴２４のひねり調整が行われる。
すなわち、作業者は排紙装置５の近傍に立ち、排紙チェ
ーン２８の爪のくわえから解放されて紙積台２９上に排
出される試し刷の紙８と、ハンドル３７のダイアル３７
ａとを見ながらハンドル３７を回動操作する。

【００３２】ハンドル３７の回動により、その先端ねじ
部が螺合されたねじ孔を有するこま４１を介してレバー
３９が揺動するので、レバー３９の遊端部に枢着された
ロッド４２が進退してその先端部が枢着された偏心軸受
３６が所望の角度だけ回動する。

【００３３】この結果、渡し胴２４は偏心軸受３６の偏
心作用により周面の一端が円周方向へ移動するように傾
斜し、表刷と裏刷とのずれがひねり調整される。この場
合、作業者は移動することなく排紙装置５の近傍に立っ
たまゝ、排紙されてくる紙を見ながらハンドル３７を操
作することにより適正な調整を行うことができる。

【００３４】このようにひねり調整を印刷作業の終了後
に行えば、印刷障害が発生せず損紙の発生量が増えるこ
とがない。また、ひねり量が偏心軸受３６の取付精度の
許容範囲内であり、胴ギア３３等の倒れも、そのバック
ラッシュ内に入っているので特に問題がない。

【００３５】実施例のような胴配列であれば、渡し胴２
４をひねり調整しても爪と爪台とのすき間がほとんど変
化せず問題がない。また、本実施例のようにレバー３９
とロッド４２とを設ければ、ハンドル３７の位置と向き
を操作のし易いように設定することができる。

【００３６】なお、本実施例は本発明を反転胴を備えた
両面刷用の反転機構付枚葉印刷機に実施した例を示した
が、これに限定するものではなく、上流側圧胴と下流側
圧胴との間に渡し胴を設けてこの渡し胴をひねり調整す
るようにした片面刷印刷機にも同様に実施することがで
き、同様の効果が得られる。

【００３７】また、印刷ユニットは２組に限定するもの
ではなく３組以上でもよいし、渡し胴は倍径でなくとも
よい。

【００３８】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように本発明
によれば、給紙装置と排紙装置との間に配設された複数
組の印刷ユニットと、これら隣接する印刷ユニット間に
配設され上流側の印刷ユニットから搬送されてくる紙を
受取って下流側の印刷ユニットへ受渡す渡し胴とを備え
た枚葉印刷機において、渡し胴の一方の端軸を、フレー
ム側外周円の軸芯と端軸側内周円の軸芯とを偏心させた
偏心軸受で軸支し、前記排紙装置の近傍に設けた操作部
材と偏心軸受との間を連結部材で連結したことにより、
作業者は排出される試し刷等の印刷物を見ながら操作部
材の近くから移動することなく渡し胴のひねり調整を実
施することができるので、操作性が向上しかつ作業者の
労力が軽減されるとともに、調整時間が短縮されて印刷
機の稼働率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】ひねり調整装置を設けた印刷ユニットの側面図
である。

【図２】ひねり調整装置を設けた印刷ユニットの展開平
面図である。

【図３】本発明を実施した反転機構付枚葉印刷機の概要
側面図である。

【符号の説明】

１ 反転機構付枚葉印刷機 ２ 給紙装置 ３ 印刷ユニット ４ 印刷ユニット ５ 排紙装置 ８ 紙 ２２ 渡し胴 ２３ 反転胴 ２４ 渡し胴 ３１ フレーム ３４ 端軸 ３５ フレーム ３６ 偏心軸受 ３６ａ 外周円 ３６ｂ 内周円 ３７ ハンドル ３９ レバー ４０ ピン ４１ こま ４２ ロッド Ａ 外周円の軸芯 Ｂ 内周円の軸芯 ｔ 偏心量

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給紙装置と排紙装置との間に配設された
   複数組の印刷ユニットと、互いに隣接する印刷ユニット
   間に配設され上流側の印刷ユニットから搬送されてくる
   紙を受取って下流側の印刷ユニットへ受渡す渡し胴とを
   備えた枚葉印刷機において、前記渡し胴の一方の端軸
   を、フレーム側外周円の軸芯と端軸側内周円の軸芯とを
   偏心させた偏心軸受で軸支するとともに、前記排紙装置
   の近傍に操作部材を設け、この操作部材と前記偏心軸受
   との間を連結部材で連結したことを特徴とする枚葉印刷
   機のひねり調整装置。