JPH07161669A - 化合物半導体のための研磨液及びこれを用いた化合物半導体の研磨方法 - Google Patents

化合物半導体のための研磨液及びこれを用いた化合物半導体の研磨方法

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JPH07161669A
JPH07161669A JP34127693A JP34127693A JPH07161669A JP H07161669 A JPH07161669 A JP H07161669A JP 34127693 A JP34127693 A JP 34127693A JP 34127693 A JP34127693 A JP 34127693A JP H07161669 A JPH07161669 A JP H07161669A
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祐二 森澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 InP 及びInSbのウェハの鏡面研磨加工に使用
することができる、臭素を含まない化合物半導体のため
の研磨液及びこれを用いた化合物半導体の研磨方法を提
供する。 【構成】 InP ウェハの鏡面研磨に使用されている臭素
+メチルアルコール系の研磨液が酸性を示すことに着目
し、アルカリ性であるコライダルシリカにクエン酸及び
過酸化水素を添加して酸性に調整し、これを研磨液とし
てInP 及びInSbの鏡面研磨加工を行う。InP ではpH=
5、InSbではpH=4となるよう調整したものを研磨液
として使用し、加工圧力をInP では100g/cm2 、In
Sbでは80g/cm2 として鏡面研磨加工を実行したとき
に、最も良好な結果が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、集積回路などが形成さ
れる前のウェハ状の化合物半導体のための研磨液及びこ
の研磨液を用いた化合物半導体の研磨方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】半導体ウェハの表面精度は、その後のデ
バイス工程に大きく影響を及ぼすので、平坦度が良好で
加工歪みのないウェハ表面を得ることは、半導体素子の
作製工程において極めて重要である。このため、近年、
半導体ウェハ表面に要求される平坦度、表面粗さ、清浄
度等の品質はますます高くなっている。
【0003】大規模集積回路に使用される化合物半導体
の一つであるリン化インジウム(InP )の鏡面研磨加工
には、従来から、臭素(Br)とメチルアルコールの混液
又はこれに純水やエチレングリコールを添加した混合液
が、研磨液として用いられている。これは、研磨後の表
面粗さを良くし、スクラッチを少なく抑えるためには、
臭素が欠かせないと考えられていたことによるものであ
る。この研磨液を用いると、研磨後のInP の表面粗さを
数十オングストローム程度に抑えることができる。
【0004】また、別の化合物半導体であるアンチモン
化インジウム(InSb)の鏡面研磨加工においては、乳酸
又はクエン酸に過酸化水素を添加した研磨液を用いるケ
ミカル研磨法が開発されている。この研磨液は物理的・
化学的に安定した性質を持っており、またこれを用いて
鏡面研磨を行うと、研磨後のInSbの表面粗さを100オ
ングストローム程度に抑えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記In
P 用の研磨液は、金属に対して強い腐食作用を持つ臭素
を含むため、その影響で、研磨機やその周囲の種々の装
置が短期間に錆びてしまうという問題がある。このため
臭素を含有する研磨液は、大量の半導体ウェハの研磨処
理には適さない。また、臭素は揮発性が強く容易に蒸発
するため、臭素の蒸発によって研磨液の濃度及びpH値
が変化し、研磨後の表面の品質にばらつきが出やすいと
いう問題もある。
【0006】一方、乳酸又はクエン酸に過酸化水素を添
加した研磨液を用いてInSbの鏡面研磨加工を行う場合、
研磨後の表面粗さは100オングストローム程度であ
り、この値を更に小さくして研磨後の表面品質を向上さ
せたいという要請がある。
【0007】本発明は上記事情に基づいてなされたもの
であり、化合物半導体の研磨において、金属腐食作用が
激しい臭素を含まず、かつ、研磨後の化合物半導体ウェ
ハの表面品質をより向上させることのできる化合物半導
体のための研磨液及びこれを用いた化合物半導体の研磨
方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1記載の発明である化合物半導体のための研磨
液は、コライダルシリカに有機酸及び過酸化水素を混合
してなることを特徴とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記有機酸を、pH値が4乃至6の範囲と
なるような割合で混合することを特徴とするものであ
る。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の発明において、前記有機酸はクエン酸であることを
特徴とするものである。
【0011】請求項4記載の発明である化合物半導体の
ための研磨方法は、請求項1乃至3記載の研磨液を用
い、80g/cm2 乃至120g/cm2 の範囲の加工圧力
で化合物半導体の表面を研磨することを特徴とするもの
である。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明において、前記化合物半導体はリン化インジウムであ
ることを特徴とするものである。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項4記載の発
明において、前記化合物半導体はアンチモン化インジウ
ムであることを特徴とするものである。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明は前記の構成により、コラ
イダルシリカは元々アルカリ性であるが、有機酸及び過
酸化水素を添加することによって、酸性を示す溶液とす
ることができる。このコライダルシリカが含まれること
と酸性を示すことにより、これを研磨液としてInP 及び
InSbなどの化合物半導体の表面を鏡面研磨加工すると、
良好な研磨特性が得られる。またこの研磨液は臭素を含
まないので、周囲の装置を腐食する心配はなく、また、
揮発性もないので物理的・化学的性質が安定である。
【0015】請求項2記載の発明は前記の構成により、
有機酸を、pH値が4乃至6の範囲となるような割合で
混合することにより、特に研磨液がアルカリ性である場
合に数多く発生するスクラッチの発生を少なく抑えるこ
とができ、良好な研磨特性が得られる。
【0016】請求項3記載の発明は前記の構成により、
有機酸としてクエン酸を用いることにより、元々アルカ
リ性であるコライダルシリカを容易に酸性に調整するこ
とができ、しかも臭素を含まないのて周囲の装置を腐食
する心配はない。
【0017】請求項4記載の発明は前記の構成により、
前記の研磨液を用い80g/cm2 乃至120g/cm2
範囲の加工圧力で研磨することにより、化合物半導体の
表面を、スクラッチ発生数が少なく表面粗さも小さい良
好な状態に研磨することができる。
【0018】請求項5記載の発明は前記の構成により、
リン化インジウムのウェハの表面を、スクラッチ発生数
が少なく表面粗さも小さい良好な状態に研磨することが
できる。
【0019】請求項6記載の発明は前記の構成により、
アンチモン化インジウムのウェハの表面を、スクラッチ
発生数が少なく表面粗さも小さい良好な状態に研磨する
ことができる。
【0020】
【実施例】以下に図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。ここで図1は、本発明の研磨方法を実行す
るための研磨装置の一例の部分的な概略断面図、図2は
半導体ウェハを張り付けた研磨用プレートの平面図、図
3及び図4は研磨時の圧力と研磨速度との関係を示した
グラフ、図5はpH値と研磨速度との関係を示したグラ
フ、図6及び図7は研磨時の圧力とスクラッチ発生数と
の関係を示したグラフ、図8はpH値とスクラッチ発生
数との関係を示したグラフ、図9及び図10は研磨時の
圧力と表面粗さとの関係を示したグラフ、図11はpH
値と表面粗さとの関係を示したグラフである。
【0021】従来より、シリコン(Si)の鏡面研磨加工
には、アルカリ性水溶液にコライダルシリカを添加した
研磨液が使用され、良好な結果が得られている。しか
し、InP やInSbのウェハの研磨においてこれらの研磨液
を用いても、スクラッチやエッチピットなどが発生し
て、良好な鏡面状態は得られない。
【0022】本発明者等は、InP ウェハの鏡面研磨に使
用されている臭素+メチルアルコール系の研磨液が酸性
(pH1〜3)を示すことに着目し、アルカリ性である
コライダルシリカ(pH値は9〜11)に酸性のクエン
酸及び過酸化水素を添加して酸性に調整し、これを研磨
液としてInP 及びInSbの鏡面研磨加工を行うことを試み
た。そして、クエン酸を混合する割合を変えて種々のp
H値のものを得、さらに他の条件も色々に変えて研磨加
工を繰り返した結果、ある範囲の条件下でスクラッチが
非常に少なくかつ表面粗さの小さい、良好な鏡面が得ら
れることを見い出した。以下に、その実験の概要及びそ
の結果について説明する。
【0023】図1に示した研磨装置10は四軸追随型と
呼ばれる装置である。マシンセンター12の周囲には四
軸のマシンヘッド14が設けられているが、図1にはそ
のうち一軸の部分のみを示してある。各マシンヘッド1
4は、それぞれの中心軸16の回りにおいて回転駆動さ
れる。マシンヘッド14の底面にはプレート18が配置
されている。プレート18は、図2(a)に示すように
直径約260mm、厚さ約15mmの円盤状のパイレッ
クスガラスからなり、同図(b)に示すように、その表
面の周囲に研磨しようとする10枚のウェハ20をワッ
クス22で固定したあと、裏面にエレクトロンワックス
を均一に塗布してマシンヘッド14の底面に図1のよう
に固定される。
【0024】四つのマシンヘッド14の下部には、直径
約680mmの円形の研磨定盤24が配置されており、
その内部には冷却用のクーラント26が循環される。研
磨定盤24は、マシンセンター12を中心として、例え
ば60rpmの速度で回転駆動される。研磨定盤24の
上面には研磨パッド28が載置されている。研磨パッド
28はポリウレタンとポリエステルの二層からなる不織
布で、両面接着フィルムによって研磨定盤24上に固定
される。
【0025】研磨加工を実行する場合は、マシンヘッド
14を回転させながら下降させ、ウェハ20に対して研
磨パッド28から所定の加工圧力が加えられるように押
圧する。研磨に使用される研磨液の供給は定盤中央から
の滴下方式とし、流量は毎分160mlとする。
【0026】研磨の対象としたウェハ20は、InP 及び
InSbの単結晶ウェハでである。InPウェハは直径が50
mm、厚さが500μmで、Sドープの(100)面で
ある。また、InSbウェハは直径が50mm、厚さが60
0μmで、アンドープの(100)面である。尚、これ
らのウェハは、鏡面研磨加工を行う前に、前処理とし
て、粒径5μmの高純度アルミナで予めラッピングした
後、粒径0.5μmのアルミナを主成分とした研磨液を
用い、表面から30μm以上を除去しておいた。また、
本発明は上記のドープ材や結晶方位に限定されるもので
はなく、ドープ材の種類や結晶方位はどのようなもので
あってもよい。
【0027】研磨後のスクラッチ発生数の検査は、暗視
野中(30Lux )のウェハに30万Lux 以上のハロゲン
ランプで投光し、目視で行った。尚、本実施例では、ス
クラッチ発生数を、同時に研磨加工した直径50mmの
ウェハ10枚に発生するスクラッチの合計と定義し、更
に、同一条件下で10回以上の研磨加工を行って求めた
平均値を最終的なスクラッチ発生数とした。また、表面
粗さの測定には、触針式のTalystep(Taylr-Hobson社
製)という装置を用いた。
【0028】鏡面研磨加工に使用する研磨液は、粒径
0.05μmのコライダルシリカ研磨液に0.2体積%
の過酸化水素(31重量%)を加え、クエン酸でpH値
を調整した。従来の臭素+メチルアルコール系の研磨液
は、室温でも蒸発し易く濃度及びpH値を一定に保のが
困難であるが、本実施例で使用する上記研磨液は、この
ような欠点がなく非常に安定であり、pH値も長期間一
定に保たれることが確認された。このことは、鏡面研磨
加工された半導体材料の研磨表面の品質の安定につなが
る。
【0029】図3及び図4は、pH値をそれぞれpH=
4及びpH=5に固定して加工圧力を変えたときの研磨
速度の変化を示している。InP 、InSbともに、加工圧力
が増加するに従って研磨速度が増加するという、予想通
りの一般的傾向を示すことが分かる。尚、InP に比べて
InSbの研磨速度が速いのは、InSbの方が軟質であるため
であると考えられる。尚、図には示されていないが、p
H=2、加工圧力240g/cm2 として実験したとき
に、研磨速度は最大となり、InP では0.7μm/分、
InSbでは2.0μm/分となった。これより圧力を増す
ことによってメカニカル作用が優勢となり、ウェハと研
磨液との化学反応も促進されると考えられるが、加工圧
力を増加して研磨速度を速くすると、加工精度が悪くな
り、スクラッチ発生数が増加し、表面粗さも大きくな
る。
【0030】図5は、加工圧力を100g/cm2 に固定
してpH値を変えたときの研磨速度の変化を示してい
る。研磨速度は、pH値が小さくなるに従って、すなわ
ち酸性の度合いが高くなるに従って速くなるが、本実施
例で使用した研磨液は、コライダルシリカをクエン酸及
び過酸化水素で酸性側に調整したものであるため、ケミ
カル作用は比較的弱く、したがって臭素系研磨液に比べ
て研磨速度は小さい。しかし、最終的な鏡面研磨加工に
おいては、スクラッチ発生数及び表面粗さがより重要な
要素となり、研磨速度はそれほど問題とはならない。
【0031】図5に示すように、InP は0.1μm/分
〜0.3μm/分の範囲で、またInSbは0.2μm/分
〜0.7μm/分の範囲で研磨速度は変化しており、そ
の変化範囲はいずれの場合も比較的小さい。このように
最終研磨の研磨速度のpH依存性が小さいということ
は、一次研磨(前処理)で得られた平坦性が維持でき、
また、最終的な材料の厚さが制御し易くなるという利点
がある。
【0032】図6及び図7は、pH値をそれぞれpH=
5及びpH=4に固定して、加工圧力を40g/cm2
ら240g/cm2 まで変えたときのスクラッチ発生数の
変化を示している。InP 、InSbともに40〜80g/cm
2 の範囲では、加工圧力が増加するとスクラッチ発生数
は減少し、80〜100g/cm2 付近で最小値を示し、
これ以上の圧力範囲では、圧力の増加と共にスクラッチ
発生数が増加した。尚、240g/cm2 以上の加工圧力
では、スクラッチ発生数が極端に増加し、同時に加工し
た10枚のウェハすべてについてスクラッチが発生し
た。図6及び図7に示すように、スクラッチ発生数が最
も小さいのは、InP では100g/cm2 付近、InSbでは
80g/cm2 付近であった。InSbの方が最少スクラッチ
発生数におるけ加工圧力が小さいのは、InP に比べて軟
質であるためと考えられる。
【0033】図8は、加工圧力を100g/cm2 に固定
してpH値を変えたときのスクラッチ発生数、すなわち
スクラッチ発生数のpH依存性を示す。pH値が4〜6
の範囲ではInP 、InSbともにスクラッチはほとんど発生
しなかった。しかしpH値が2〜3の酸性領域ではスク
ラッチはわずかに発生し、pH値が8〜9のアルカリ性
領域では、スクラッチ発生数は極端に増加した。
【0034】図9及び図10は、pH値をそれぞれpH
=4及びpH=5に固定して、加工圧力を40g/cm2
から240g/cm2 まで変えたときの表面粗さ(単位は
オングストローム)の変化を示している。InP について
は、表面粗さが最も小さくなる加工圧力は100〜12
0g/cm2 付近で、そのときの表面粗さR(max)は約15
オングストロームであった。また、InSbについては、表
面粗さが最も小さくなる加工圧力は80〜100g/cm
2 付近で、そのときの表面粗さR(max)は約30オングス
トロームであった。
【0035】加工圧力が40g/cm2 以下では、研磨パ
ッドとウェハとの間に存在する研磨液層が厚いため、反
応が一様とならないことに起因するケミカル作用によっ
て表面粗さが大きくなるものと考えられる。一方、加工
圧力が200g/cm2 以上では、ケミカル作用よりもメ
カニカル作用が大きくなり、これがウェハと研磨液との
化学反応を促進して表面粗さが大きくなるものと考えら
れる。いずれの場合もスクラッチ発生数が多く、また、
これらの欠陥は、ウェハの中心部よりも外周部において
顕著に見られた
【0036】図11は、加工圧力を100g/cm2 に固
定してpH値を2〜7の範囲で変えたときの、InP とIn
Sbの表面粗さの変化を示している。InP については、p
H値の変化に対する表面粗さの変化はほとんど見られな
かったが、InSbについては、pH値が7から2へ(すわ
わち中性から酸性側に)移行するに従って表面粗さが徐
々に増加した。また、pH値が8以上のアルカリ性側で
はInP 、InSbともにスクラッチが多発し、これにより表
面粗さが大きくなった。
【0037】以上の実施例の実験結果から次のように考
察できる。研磨機構は基本的にメカニカル作用とケミカ
ル作用からなり、メカニカル作用には引っかいて削り取
る作用と、原子配列を乱す摩擦作用があり、ケミカル作
用には、溶解及び皮膜形成等がある(河西俊雄「表面界
面の超精密創成・評価技術」日本学術振興会・結晶加工
と評価技術第145委員会編54ページ(サイエンスフ
ォーラム)1991年参照)。上記実施例において行っ
た研磨は、これらの作用が複合されたかたちで進行し、
物質除去と鏡面生成が行われていると考えられる。
【0038】InP 及びInSbは、ともに酸性になるに従っ
て研磨速度が増加する。アルカリ性側では、研磨速度は
極端に小さくなった。上記実施例の一例の実験では、過
酸化水素の添加量を0.2体積%として一定にしたが、
過酸化水素の添加量を10体積%に増加すると、アルカ
リ性側で約3倍の研磨速度が得られた。しかしpH値が
2〜3では、過酸化水素の添加量は研磨速度には影響を
与えなかった。このことは、アルカリ性側と酸性側では
研磨のメカニズムが異なることを示唆する。アルカリ性
側では、過酸化水素によってウェハ表面に酸化物が生
じ、その酸化物をコライダルシリカ及び研磨パッドによ
って削り取っていると考えられる。一方、酸性側では、
コライダルシリカが一時的に凝集することによって研磨
速度が増すと考えられる。
【0039】上記実施例では、コライダルシリカにクエ
ン酸と過酸化水素を添加して、InPではpH=5、InSb
ではpH=4となるよう調整したものを研磨液として使
用し、加工圧力をInP では100g/cm2 、InSbでは8
0g/cm2 として鏡面研磨加工を実行したときに、最も
良好な結果が得られ、表面粗さR(max)がInP では15オ
ングストローム、InSbでは30オングストロームとなっ
た。このときの研磨速度は、InP では0.2μm/分、
InSbでは0.5μm/分であった。
【0040】更に、この良好な結果が得られた研磨後の
ウェハについて、鏡面研磨加工における表面ダメージの
評価を行うため、研磨終了後において、InP については
室温でHF:HBr =5:1のエッチング液に1分間浸漬
し、またInSbについては室温でHF: HNO3 :CH3COOH =
2:1:1のエッチング液に30秒間浸漬して、潜在キ
ズの検出検査を行った。その結果、いずれについても潜
在キズは検出されなかった。
【0041】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能であ
る。本発明の主たる要旨は、InP の鏡面研磨加工におい
て従来必須であるとされていた臭素を含まない研磨液を
開発したこと、これを用いてすぐれた研磨特性を示す研
磨方法を開発したこと、そして、かかる研磨液がInPだ
けでなくInSbの鏡面研磨加工についても良好な研磨特性
を示すことを見いだしたことにある。
【0042】上記実施例ではコライダルシリカに有機酸
としてクエン酸を添加し、InP ではpH=5、InSbでは
pH=4となるよう調整したものを研磨液として使用
し、加工圧力をInP では100g/cm2 、InSbでは80
g/cm2 として鏡面研磨加工を実行したときに最も良好
な結果が得られたが、上記以外の条件下でも従来のもの
よりは良好な研磨特性が得られた。
【0043】また、上記実施例では、コライダルシリカ
を酸性にするためにクエン酸を使用したが、これ以外に
も、コライダルシリカを酸性にするための物質であって
半導体材料の性質を損なわないものであれば、他の有機
酸を使用することが可能である。更に、上記実施例で
は、四軸追随型の研磨装置を用いて実験を行った例を説
明したが、これ以外にも、例えば両面ポリッシャである
ホフマン型の研磨装置を用いても同様の結果が得られる
と考えられる。加えて、上記の実施例では化合物半導体
がInP 又はInSbである場合について説明したが、化合物
半導体は例えばインジウム砒素等であってもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、金属腐食作用の強い臭素を含まないので、研
磨装置やその周囲の装置を腐食させる心配がなく、ま
た、有機酸を用いてコライダルシリカの溶液を酸性とな
るよう容易に調整できるので、スクラッチの発生数が少
なく、また表面粗さも小さいすぐれた研磨特性を示す化
合物半導体のための研磨液を提供することができる。
【0045】請求項2記載の発明によれば、有機酸を、
全体のpH値が4〜6となる範囲で混合することによ
り、スクラッチの発生数が少なく、また表面粗さも小さ
いすぐれた研磨特性を示す化合物半導体のための研磨液
を提供することができる。
【0046】請求項3記載の発明によれば、有機酸とし
てクエン酸を用いることにより、元々アルカリ性である
コライダルシリカの溶液を容易に所望のpH値とするこ
とができ、スクラッチの発生数が少なく、また表面粗さ
も小さいすぐれた研磨特性を示す化合物半導体のための
研磨液を提供することができる。
【0047】請求項4記載の発明によれば、上記研磨液
のいずれかを用い、80g/cm2 乃至120g/cm2
範囲の加工圧力で研磨を行うことにより、金属腐食作用
の強い臭素を含んだ溶液を用いる必要がなく、しかもス
クラッチの発生数が少なく、また表面粗さも小さいすぐ
れた研磨特性が得られる化合物半導体のための研磨方法
を提供することができる。
【0048】請求項5記載の発明によれば、リン化イン
ジウムについて鏡面研磨加工を行う場合に、金属腐食作
用の強い臭素を含んだ溶液を用いる必要がなく、しかも
スクラッチの発生数が少なく、また表面粗さも小さいす
ぐれた研磨特性が得られる化合物半導体の研磨方法を提
供することができる。
【0049】請求項6記載の発明によれば、アンチモン
化インジウムについて鏡面研磨加工を行う場合に、金属
腐食作用の強い臭素を含んだ溶液を用いる必要がなく、
しかもスクラッチの発生数が少なく、また表面粗さも小
さいすぐれた研磨特性が得られる化合物半導体の研磨方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨方法を実行するための研磨装置の
一例の部分的な概略断面図である。
【図2】半導体ウェハを張り付けた研磨用プレートの平
面図である。
【図3】pH値が4のときの、研磨時の加工圧力と研磨
速度との関係を示したグラフである。
【図4】pH値が5のときの、研磨時の加工圧力と研磨
速度との関係を示したグラフである。
【図5】加工圧力が100g/cm2 のときの、pH値と
研磨速度との関係を示したグラフである。
【図6】pH値が4のときの、研磨時の加工圧力とスク
ラッチ発生数との関係を示したグラフである。
【図7】pH値が5のときの、研磨時の加工圧力とスク
ラッチ発生数との関係を示したグラフである。
【図8】加工圧力が100g/cm2 のときの、pH値と
スクラッチ発生数との関係を示したグラフである。
【図9】pH値が4のときの、研磨時の加工圧力と表面
粗さとの関係を示したグラフである。
【図10】pH値が5のときの、研磨時の加工圧力と表
面粗さとの関係を示したグラフである。
【図11】加工圧力が100g/cm2 のときの、pH値
と表面粗さとの関係を示したグラフである。
【符号の説明】
10 研磨装置 12 マシンセンター 14 マシンヘッド 18 プレート 20 ウェハ 24 定盤 28 研磨パッド

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コライダルシリカに有機酸及び過酸化水
    素を混合してなることを特徴とする化合物半導体のため
    の研磨液。
  2. 【請求項2】 前記有機酸を、pH値が4乃至6の範囲
    となるような割合で混合することを特徴とする請求項1
    記載の化合物半導体のための研磨液。
  3. 【請求項3】 前記有機酸はクエン酸であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の化合物半導体のための研磨
    液。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載の研磨液を用い、8
    0g/cm2 乃至120g/cm2 の範囲の加工圧力で化合
    物半導体の表面を研磨することを特徴とする化合物半導
    体の研磨方法。
  5. 【請求項5】 前記化合物半導体はリン化インジウムで
    あることを特徴とする請求項4記載の化合物半導体の研
    磨方法。
  6. 【請求項6】 前記化合物半導体はアンチモン化インジ
    ウムであることを特徴とする請求項4記載の化合物半導
    体の研磨方法。
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