JPH07161260A - 抵抗体支持部材およびsf6 ガス絶縁遮断器 - Google Patents

抵抗体支持部材およびsf6 ガス絶縁遮断器

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JPH07161260A
JPH07161260A JP5303098A JP30309893A JPH07161260A JP H07161260 A JPH07161260 A JP H07161260A JP 5303098 A JP5303098 A JP 5303098A JP 30309893 A JP30309893 A JP 30309893A JP H07161260 A JPH07161260 A JP H07161260A
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JP
Japan
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reinforced plastic
fluororesin
glass fiber
fiber reinforced
resistance
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JP5303098A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Nakano
俊之 中野
Tetsuya Nakamoto
哲哉 中本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性と耐SF6 分解ガス性の向上を共に図
る。 【構成】マトリックスレジン2aとして結晶性熱可塑性
樹脂を使用したガラス繊維強化プラスチック2の外面
に、熱収縮性フッ素樹脂製シートまたはチューブを被
せ、加熱収縮させることにより密着させてSF6 分解ガ
スバリア層3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はSF6 ガス絶縁遮断器お
よびその抵抗支持棒等に好適な抵抗体支持部材に係り、
特に、繊維強化プラスチックを主体とするSF6 ガス絶
縁遮断器用抵抗体支持部材の耐熱性と耐SF6 分解ガス
性の向上とを共に図った抵抗体支持部材およびSF6
ス絶縁遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、SF6 (六フッ化硫黄)ガス絶
縁遮蔽器では、抵抗体支持に用いられる抵抗支持棒につ
いては、電気絶縁性と耐熱性,機械的特性に優れた材料
を使用する必要がある。その材料としては、プラスチッ
ク材料が考えられるが、これは電気絶縁性については良
好であるが、プラスチック材料単独では十分な機械的強
度が得られにくい。このため、通常のSF6 ガス絶縁遮
蔽器用の絶縁構造の補強材料には、ガラス繊維,セラミ
ックス繊維等の無機繊維や、芳香族ポリアミド等の有機
繊維で強化した繊維強化プラスチックが考えられるが、
電気絶縁性およびマトリックス樹脂との接着性の問題か
らガラス繊維が用いられることが多い。
【0003】一方、マトリックス樹脂としては、製造
性,加工性が良好であること等から、熱硬化性樹脂が使
用される。その中でも電気絶縁の問題からエポキシ樹脂
が最も多く用いられている。エポキシ樹脂は溶融粘度が
小さく、繊維間への含浸性が良好であり、ボイドレスの
ものが得られ易い利点を有する。
【0004】しかし、近年のSF6 ガス遮蔽器はそのコ
ンパクト性を維持しつつ高電圧化,大容量化が進行して
おり、SF6 ガス遮蔽器に用いられる抵抗体の単位体積
あたりのエネルギ処理量が増大し、抵抗体の温度上昇も
高くなっている。その結果、抵抗体を支えている支持部
材にも高熱が掛かるようになってきており、従来では考
えられなかった高温領域(例えば200℃以上)で使用
できる高耐熱の材料が求められている。
【0005】耐熱温度についてはガラス繊維材料が一般
に高く、抵抗体支持部材全体の耐熱温度はマトリックス
樹脂の耐熱温度に左右される。エポキシ樹脂の耐熱温度
はタイプによって多少の差はあるが、150℃前後であ
り、これ以上の温度が上昇する場合は分解,溶融,変形
等を起こし、長期の使用には材料的に無理がある。もち
ろん温度が高い程損傷の程度は大きくなる。
【0006】このため、SF6 ガス絶縁遮断器中で抵抗
体の温度上昇に対して、抵抗体支持部材を長期間安定的
に使用するためには、支持部材の繊維強化プラスチック
のマトリックス樹脂と、耐SF6 分解ガス性バリア層の
耐熱性を向上させる必要がある。
【0007】このような問題を解決する技術としては、
ガラス転移温度が高く、熱分解特性が良好な熱硬化型の
ポリイミドやビスマレイミド樹脂等の適用が考えられる
が、これらのいわゆる熱硬化型樹脂はガラス転移温度が
高いが故に脆いという欠点がある。
【0008】ところで、SF6 絶縁遮断器中でアークが
発生すると、アークにより六フッ化硫黄SF6 が分解し
て、四フッ化硫黄SF4 等の活性な分解ガスが発生す
る。さらに、遮断器中に微量な水分が存在すると、SF
4 は水と反応して加水分解し、SOF2 やフッ酸HFを
生成する。ガラスの主成分は酸化珪素SiO2 である
が、この酸化珪素はフッ酸によって容易に侵されること
が知られている。
【0009】このため、SF6 ガス絶縁遮断器中でガラ
ス繊維強化プラスチック製の抵抗体支持部材を使用した
場合、分解ガスによりプラスチック中のガラス繊維が侵
され、抵抗体支持部材の機械的強度が低下する。
【0010】また、酸化珪素とフッ酸の反応により、フ
ッ化珪素が生成し、ガラス繊維強化プラスチックの表面
抵抗の低下、トラッキング発生の原因になることがあ
る。
【0011】そこで、例えば日本国特許第861796
号の公報に記載されているように、ガラス繊維強化プラ
スチックの表面に、比較的厚い有機質を主成分としたS
6分解ガス性バリア層や、アルミナ粒子のような耐S
6 分解ガス性の無機物を充填した熱硬化性樹脂を主体
とした有機質からなる耐SF6 分解ガス性バリア層を、
抵抗体支持部材外面に形成することが知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のガラス転移温度が高い熱硬化性樹脂では、ガ
ラス転移温度以下の温度領域での樹脂の自由体積が大き
くなるため、SF6 ガス遮断器の運転温度領域ではマト
リックス樹脂の吸湿性とガス透過性が大きくなる。
【0013】このため、従来と同様の構成の耐SF6
解ガス性バリア層では、浸透性の大きなSF6 分解ガス
により抵抗体支持部材のガラス繊維が侵食され、機械的
強度と電気絶縁性能が低下する可能性が高いという問題
がある。
【0014】さらに、熱硬化性樹脂を用いて高耐熱の耐
SF6 分解ガス性バリア層を形成するためには、少なく
とも必要とされる耐熱温度以上で熱硬化性樹脂を長時間
硬化させる必要があり、作業性が著しく低下する問題が
ある。
【0015】これに対して、従来の熱硬化型の対極に分
類される結晶性熱可塑性樹脂を繊維強化プラスチックの
マトリックス樹脂に用いて抵抗体支持部材を形成するこ
とにより、200℃以上での温度領域で使用できる支持
部材を形成する方法が考えられるが、これに、従来のエ
ポキシ樹脂を中心にした熱硬化性樹脂を有機質に用いた
耐SF6 分解ガス性バリア層を形成しようとすると、結
晶性熱可塑性樹脂との接着性が悪いために遮断器の開閉
動作時の抵抗体の温度上昇に起因する温度サイクルのた
め耐SF6 分解ガス性バリア層と繊維強化プラスチック
の界面が剥離し、絶縁性が低下する問題があった。
【0016】そこで本発明はこのような事情を考慮して
なされたもので、その目的は、耐熱性と耐SF6 分解ガ
ス性の向上を共に図ることができる抵抗体支持部材およ
びSF6 ガス絶縁遮断器を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
進めた結果、熱収縮性フッ素樹脂シートまたは熱収縮性
フッ素樹脂チューブを加熱収縮処理して、耐SF6 分解
ガス性バリア層を繊維強化プラスチック外面に密着させ
ることにより、200℃以上での温度領域で使用でき、
かつ温度サイクルによる絶縁性能の低下が小さい、従来
よりも優れた耐SF6 分解ガス性バリア層を有する抵抗
体支持部材を容易に得る方法を見出した。つまり、本発
明は次のように構成される。
【0018】本願の請求項1に記載の発明(以下、第1
の発明という)は、マトリックスレジンとして結晶性熱
可塑性樹脂を使用したガラス繊維強化プラスチックの外
面を、フッ素樹脂により被覆してなることを特徴とす
る。
【0019】また、本願の請求項2に記載の発明(以
下、第2の発明という)は、フッ素樹脂は、熱収縮性の
シートまたはチューブに形成され、加熱収縮処理により
ガラス繊維強化プラスチックの外面に密に被着されるこ
とを特徴とする。
【0020】さらに、本願の請求項3に記載の発明(以
下、第3の発明という)は、フッ素樹脂に、SF6 分解
ガスに対する耐性を有する無機物質を充填していること
を特徴する。
【0021】さらにまた、本願の請求項4に記載の発明
(以下、第4の発明という)は、無機物質が酸化アルミ
ニウム,窒化ホウ素,フッ化カルシウムの少なくとも1
種、またはその混合物であることを特徴とする。
【0022】また、本願の請求項5に記載の発明(以
下、第5の発明という)は、ガラス繊維強化プラスチッ
クの外面を、フッ素樹脂により被覆し、前記ガラス繊維
強化プラスチックと前記フッ素樹脂被覆層との間に、ハ
ロゲン化オイルよりなる中間層を介在させてなることを
特徴とする。
【0023】さらに、本願の請求項6に記載の発明(以
下、第6の発明という)は、ハロゲン化オイルがフロロ
カーボンオイルであることを特徴とする。
【0024】さらにまた、本願の請求項7に記載の発明
(以下、第7の発明という)は、ハロゲン化オイルは、
粉末状のポリテトラフロロエチレンを充填材として含有
していることを特徴とする。
【0025】また、本願の請求項8に記載の発明(以
下、第8の発明という)は、ハロゲン化オイルに、SF
6 分解ガスに対する耐性を有する無機物質を含有せしめ
ていることを特徴とする。
【0026】さらに、本願の請求項9に記載の発明(以
下、第9の発明という)は、無機物質が酸化アルミニウ
ム,窒化ホウ素,フッ化カルシウムの少なくとも1種、
またはその混合物であることを特徴とする。
【0027】さらにまた、本願の請求項10に記載の発
明(以下、第10の発明という)は、請求項1〜9のい
ずれか1項に記載の抵抗体支持部材を有することを特徴
とする。
【0028】
【作用】 〈第1〜第4の発明〉繊維強化プラスチックのマトリッ
クス樹脂である熱可塑性樹脂は電気絶縁性が良好である
上に、SF6 ガスのような不活性ガス中で、短時間であ
れば約250℃迄分解や溶融することはなく、耐熱性の
高いガラス繊維強化プラスチックを得ることができる。
【0029】また、ガラス繊維強化プラスチックの外側
表面を被覆するフッ素樹脂はSF6分解ガスの透過を防
止する耐SF6 ガスバリア特性を有する。また、この分
解フッ素樹脂中に、SF6 分解ガスに対して耐性を有す
る無機物質として酸化アルミニウム,窒化ホウ素,フッ
化カルシウムの少なくとも1種、または、その混合物を
充填してもよく、その場合はフッ素樹脂の結晶化度が増
大し、これらのフッ素樹脂中の結晶部分と充填した無機
物とが2重にSF6 分解ガスの透過を阻止するため、耐
SF6 分解ガスバリア特性を一段と向上させる。
【0030】これらのフッ素樹脂は熱収縮性シートまた
はチューブに形成され、所定形状のガラス繊維強化プラ
スチックの外面に巻回し、あるいは被せて加熱収縮処理
して繊維強化プラスチックに密着させ、その結合力を高
めることができる。
【0031】したがって、本発明のフッ素樹脂からなる
耐SF6 分解ガス性バリア層は従来のエポキシ樹脂を中
心にした熱硬化性樹脂を有機質に用いた耐SF6 分解ガ
ス性バリア層に比べて、SF6 ガス絶縁遮断器の開閉時
等の抵抗体の温度上昇に起因する温度サイクル時も繊維
強化プラスチックの寸法変化に良く追従し、密着し続け
るため、SF6 分解ガスや界面剥離が原因になる絶縁性
の低下を著しく小さくすることができる。その結果、耐
熱性と耐ヒートサイクル性に優れた抵抗体用支持部材を
得ることができる。
【0032】〈第5〜第9の発明〉ガラス繊維強化プラ
スチックとフッ素樹脂被覆層との間に介在されるハロゲ
ン化オイル層はSF6 絶縁遮断器の開閉時等の抵抗体の
急激な温度変化により繊維強化プラスチックとフッ素樹
脂被覆層との間に発生する線膨張係数差に起因する応力
を緩和し、空隙を生じさせない。
【0033】また、これらのハロゲン化オイル中に含ま
れる充填材はSF6 分解ガスの透過を阻止するため、優
れた耐SF6 分解ガスバリア特性を発揮する。
【0034】したがって、本発明のフッ素樹脂とハロゲ
ン化オイル層から成る耐SF6 分解ガス性バリア層のS
6 分解ガスバリア性は従来のエポキシ樹脂を中心にし
た熱硬化性樹脂を有機質に用いた耐SF6 分解ガス性バ
リア層に比べて一段と大きい。
【0035】また、抵抗体の温度上昇に起因する温度サ
イクル時も繊維強化プラスチックの寸法変化に良く追従
し、SF6 分解ガスバリア層が密着し続けるため、SF
6 分解ガスや界面剥離が原因になる絶縁性の低下を著し
く小さくすることができる。その結果、耐熱性と耐ヒー
トサイクル性に優れた抵抗体用支持部材を得ることがで
きる。
【0036】〈第10の発明〉本発明のSF6 ガス絶縁
遮断器は、前記したように耐熱性と耐SF6 分解ガス性
と密着性とに優れた第1〜第9の発明に係る抵抗体支持
部材により、抵抗体支持棒を構成するので、遮断器とし
ての耐熱性と耐SF6 分解ガス性と信頼性とを一段と高
めることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。
【0038】図1は本発明に係る抵抗体支持部材の一実
施例の縦断面を示す模式図であり、図において、抵抗体
支持部材1はSF6 ガス絶縁遮断器用の抵抗体支持棒等
に好適な部材であり、所定形状のガラス繊維強化プラス
チック2の外面に、予めシート状あるいはチューブ状に
形成された熱収縮性フッ素樹脂を巻回し、あるいは被せ
た後、加熱収縮処理することによりガラス繊維強化プラ
スチック2の外面に密着させてSF6 分解ガスバリア層
3を形成している。
【0039】ガラス繊維強化プラスチック2はマトリッ
クス樹脂2aにガラス繊維2bを充填してなる。マトリ
ックス樹脂2aとしては耐熱性に優れたポリフェニレン
サルファイドやポリエーテルエーテルケトン等の結晶性
熱可塑性樹脂が用いられる。これらの熱可塑性樹脂はS
6 ガスのような不活性ガス中で、短時間であれば約2
50℃迄分解や溶融することはなく、耐熱性の高いガラ
ス繊維強化プラスチックが得られる。
【0040】また、SF6 分解ガスバリア層3のフッ素
樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E),テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP),テトラフルオロエチレン/パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A),架橋ポリフッ化ビニリデン(PVDF),エチレ
ン/テトラフルオロチレン共重合体(ETFE)がある
が、耐熱性,熱収縮性付与の容易さの点からPFA,F
EPを用いることが望ましい。
【0041】さらに、フッ素樹脂中にはSF6 分解ガス
に耐性を有する無機物質として、酸化アルミニウム,窒
化ホウ素,フッ化カルシウム,またはその混合物を、
0.01〜10%充填してもよい。
【0042】これら無機物質はフッ素樹脂の結晶化度を
増大せしめ、これらのフッ素樹脂中の結晶部分に充填し
た無機物がSF6 分解ガスの透過を阻止するため、優れ
た耐SF6 分解ガスバリア特性を発揮する。
【0043】これらのフッ素樹脂より成る熱収縮性シー
トまたはチューブは所定形状に加工したガラス繊維強化
プラスチック2の外面に巻回し、あるいは被せて加熱熱
収縮処理することにより、ガラス繊維強化プラスチック
2の外面に密着させることができる。 表1は本実施例
(実施例1)と従来例(比較例)をSF6 分解ガス中
(例えばSF6 ガスがベースで、アーク放電により生成
した分解ガス濃度が約5%)で、250℃と室温とで所
定回数ヒートサイクルを繰り返した後の両者の絶縁抵抗
の変化を比較したものである。
【0044】本実施例1では厚さ1mmのPFA製熱収縮
チューブを繊維強化プラスチック2の外面に加熱処理で
密着させて、SF6 分解ガスバリア層3を形成した。従
来例(比較例)は、SF6 分解ガスバリア層として酸化
アルミニウムを42vol%充填したジシアンジアミドを硬
化剤としたDGEBA型のエポキシ樹脂を用いており、
SF6 分解ガスバリア層3の厚さは、0.2mmのものを
用いた。また、実施例1と比較例ともに補強材がガラス
繊維であり、マトリックス樹脂がポリフェニレンサルフ
ァイドであるガラス繊維強化プラスチック(丸棒φ10
mm)を用いた。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示すように、本実施例1ではSF6
分解ガス中におけるヒートサイクル試験後の絶縁抵抗の
低下が比較例に比べて著しく小さくなり、SF6 ガス絶
縁遮断器の高性能化に大きく寄与することがわかった。
【0047】また、200回のヒートサイクル試験後、
比較例の外観はやや変色し、表面に膨れが発生したが、
本実施例1では変化が殆ど見られず、優れた耐熱性と耐
ヒートサイクル特性を持っていることがわかった。
【0048】さらに、比較例では製造上の問題から均一
で肉厚の耐SF6 分解ガスバリア層を形成することは難
しかったが、本実施例1では予め均一の厚さに加工した
熱収縮性フッ素樹脂シートあるいは同チューブを繊維強
化プラスチックに巻回し、あるいは被覆して製造できる
ので、高寸法精度の肉厚の耐SF6 分解ガスバリア層3
を容易に形成することができ、製造性の点でも従来に比
べて著しく優れている。
【0049】図2は、本願第5〜第9の発明を含む一実
施例(実施例2)の縦断面を示す模式図であり、図にお
いて、抵抗体支持部材11はSF6 ガス絶縁遮断器用の
抵抗体支持棒等に好適であり、所要形状のマトリックス
樹脂12a内にガラス繊維強化材料12bを充填してガ
ラス繊維強化プラスチック12を構成している。
【0050】マトリックス樹脂12aとしては耐熱性に
優れたポリフェニレンサルファイドやポリエーテルエー
テルケトン等の結晶性熱可塑性樹脂や耐熱性エポキシ樹
脂,ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0051】これらのマトリックス樹脂12aはSF6
ガスのような不活性ガス中で、短時間であれば約250
℃迄分解や溶融することはなく、耐熱性の高いガラス繊
維強化プラスチックが得られる。
【0052】そして、ガラス繊維強化プラスチック12
の外面には、熱収縮性フッ素樹脂製のシートまたはチュ
ーブを被せて加熱収縮させることによりSF6 分解ガス
バリア層13を形成している。
【0053】また、ガラス繊維強化プラスチック12と
フッ素樹脂被覆層、つまり、SF6分解ガスバリア層1
3との間にはハロゲン化オイル層14を介在させてい
る。
【0054】SF6 分解ガスバリア層13のフッ素樹脂
としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),
テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共
重合体(FEP),テトラフルオロエチレン/パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),架橋
ポリフッ化ビニリデン(PVDF),エチレン/テトラ
フルオロエチレン共重合体(ETFE)があるが、耐熱
性,加工性の容易さの点からPFA,FEPを用いるこ
とが望ましい。
【0055】これらのフッ素樹脂性の熱収縮性シートま
たはチューブは加熱収縮処理により、所定形状に加工し
たガラス繊維強化プラスチック12の外面により強く密
着させることができる。
【0056】そして、ハロゲン化オイル14としては、
耐熱性で優れているフロロカーボンオイルが望ましい。
ハロゲン化オイル中には、SF6 分解ガスに対して耐性
を有するポリテトラフロロエチレン等の粉末状の有機質
充填材や酸化アルミニウム,窒化ホウ素,フッ化カルシ
ウム、またはその混合物である無機物充填材を含有して
もよい。ハロゲン化オイル層14は例えばSF6 ガス絶
縁遮断器の開閉時の抵抗体の急激な温度変化により、ガ
ラス繊維強化プラスチック12とフッ素樹脂被覆層13
との間に発生する線膨張係数に起因する応力を緩和し、
空隙を生じさせない。さらに、これらのハロゲン化オイ
ル中に含まれる充填材はSF6 分解ガスの透過を阻止す
るため、優れた耐SF6 分解ガスバリア特性を発揮す
る。
【0057】表2は本実施例(実施例2)と従来例(比
較例)をSF6 分解ガス中(例えばSF6 ガスがベース
で、アーク放電により生成した分解ガス濃度が約5%)
で、250℃と室温とで所定回数ヒートサイクルを繰り
返した後の各材料の絶縁抵抗の変化を比較したものであ
る。
【0058】本実施例2はガラス繊維強化プラスチック
12の外面に、ポリテトラフロロエチレン粉末(20重
量部)と酸化アルミニウム(150重量部)を充填材と
して含むフロロカーボンオイル(デュポン社製 Krytox
145AE)を150μmの厚さに塗布後、その上に厚さ0.
8mmのPFA製熱収縮チューブを被せ、熱処理して密着
させ、SF6 分解ガスバリア層13を形成した。
【0059】一方、比較例は、前記表1の比較例と同様
の材料と構成であり、実施例2と比較例ともに補強材が
ガラス繊維であり、マトリックス樹脂がポリフェニレン
サルファイドであるガラス繊維強化プラスチック(丸棒
φ10mm)を用いた。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示すように、本実施例2によれば、
SF6 分解ガス中におけるヒートサイクル試験後の絶縁
抵抗の低下が比較例に比べて著しく小さくなり、SF6
ガス絶縁遮断器の高性能化に大きく寄与することがわか
った。また、200回のヒートサイクル試験後、比較例
の外観はやや変色し、表面に膨れが発生したが、本実施
例2では変化が殆ど見られず、優れた耐熱性と耐ヒート
サイクル特性を持つことがわかった。
【0062】図3は本願第10の発明の一実施例に係る
SF6 ガス絶縁遮断器の投入状態を示す要部縦断面図で
あり、このSF6 ガス絶縁遮断器21は前記各実施例の
抵抗体支持部材1,11により抵抗支持棒35を構成し
た点に特徴がある。
【0063】つまり、SF6 ガス絶縁遮断器21は、S
6 ガスを充填したタンク23内の上下一対の導体2
4,25に図示しない系統を電気的に接続し、固定アー
ク接触子26と可動アーク接触子27、ならびに固定主
接触子28と可動主接触子29を接触ないし切り離すこ
とにより、系統に投入ないし遮断するものであり、可動
アーク接触子27の図中下端部には絶縁操作棒22を介
して操作ピストン30等の操作機構の一部に接続してい
る。
【0064】この操作ピストン30を図3中下方へ引き
下げると、絶縁操作棒22と可動アーク接触子27が図
中下方へ引き下げられるので、可動アーク接触子27と
固定アーク接触子26、ならびに固定主接触子28と可
動主接触子29とがそれぞれ切り離されて系統を遮断す
る。
【0065】これとは逆に、操作機構により操作ピスト
ン30を上方へ上昇させることにより、可動アーク接触
子27と固定アーク接触子26、ならびに固定主接触子
28と可動主接触子29とがそれぞれ切り離されて系統
を遮断する。
【0066】これら投入と遮断時の各接触子26と2
7,28と29間で発生するサージを図示しない案内機
構により図4(A),(B)で示す抵抗体31に案内し
てこれに吸収させるようになっている。
【0067】抵抗体31は複数の環状抵抗体32を同心
状に並設することにより所定の高い抵抗値を持つように
構成されており、これら抵抗体32の一端にコイル状の
ばね33を隣接している。これら抵抗体32の各中心孔
32aとばね33の中心空間部内とにはテフロン等の絶
縁体34a,34bを介して抵抗支持棒35を挿通し、
この抵抗支持棒35の図中左右両外端部を半球状の左右
一対の絶縁体35a,35bにねじ止めすることにより
一体的に構成している。なお、図4中、符号36はパッ
ファシリンダ、37はパッファピストン、38は固定側
シールド電極、39は遮断部、40は棒状絶縁体、41
は可動側シールド電極である。
【0068】したがって本実施例によれば、前記各実施
例の耐熱性,耐SF6 分解ガス性,機械的強度でそれぞ
れ非常に優れた抵抗体支持部材1,11により抵抗体支
持棒35を構成しているので、SF6 ガス絶縁遮断器2
1の構造を変えることなく、安全性と信頼性の高い小型
のSF6 ガス絶縁遮断器21を提供することができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ガ
ラス繊維強化プラスチックとSF6 分解ガスバリア層と
の密着性を向上させることにより、長期的な耐熱性に優
れている上に、SF6 分解ガス中におけるヒートサイク
ルにおいても絶縁抵抗の低下の変化が小さく、電気特性
が良好なガラス繊維強化プラスチックから成る抵抗体支
持部材を得ることができる。また、この抵抗体支持部材
により構成される抵抗体支持棒を有するSF6 ガス絶縁
遮断器の耐熱性と信頼性とを共に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSF6 ガス絶縁遮断器用に好適な
抵抗体支持部材の実施例1の断面模式図。
【図2】本発明に係るSF6 ガス絶縁遮断器用に好適な
抵抗体支持部材の実施例2の断面模式図。
【図3】本発明に係るSF6 ガス絶縁遮断器の一実施例
の断面図。
【図4】(A)は図3で示すSF6 ガス絶縁遮断器の抵
抗支持棒,(B)は同図(A)のB−B線断面図。
【符号の説明】
1,11 抵抗体支持部材 2,12 ガラス繊維強化プラスチック 2a,12a マトリックス樹脂(結晶性熱可塑性樹
脂) 2b,12b ガラス繊維 3,13 熱収縮性フッ素樹脂製のSF6 分解ガスバリ
ア層 14 ハロゲン化オイル層(中間層)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックスレジンとして結晶性熱可塑
    性樹脂を使用したガラス繊維強化プラスチックの外面
    を、フッ素樹脂により被覆してなることを特徴とする抵
    抗体支持部材。
  2. 【請求項2】 フッ素樹脂は、熱収縮性のシートまたは
    チューブに形成され、加熱収縮処理によりガラス繊維強
    化プラスチックの外面に密に被着されることを特徴とす
    る請求項1記載の抵抗体支持部材。
  3. 【請求項3】 フッ素樹脂に、SF6 分解ガスに対する
    耐性を有する無機物質を充填していることを特徴する請
    求項1または2記載の抵抗体支持部材。
  4. 【請求項4】 無機物質が酸化アルミニウム,窒化ホウ
    素,フッ化カルシウムの少なくとも1種、またはその混
    合物であることを特徴とする請求項3記載の抵抗体支持
    部材。
  5. 【請求項5】 ガラス繊維強化プラスチックの外面を、
    フッ素樹脂により被覆し、前記ガラス繊維強化プラスチ
    ックと前記フッ素樹脂被覆層との間に、ハロゲン化オイ
    ルよりなる中間層を介在させてなることを特徴とする抵
    抗体支持部材。
  6. 【請求項6】 ハロゲン化オイルがフロロカーボンオイ
    ルであることを特徴とする請求項5記載の抵抗体支持部
    材。
  7. 【請求項7】 ハロゲン化オイルは、ポリテトラフロロ
    エチレンを充填材として含有していることを特徴とする
    請求項5または6記載の抵抗体支持部材。
  8. 【請求項8】 ハロゲン化オイルに、SF6 分解ガスに
    対する耐性を有する無機物質を含有せしめていることを
    特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の抵抗体
    支持部材。
  9. 【請求項9】 無機物質が酸化アルミニウム,窒化ホウ
    素,フッ化カルシウムの少なくとも1種、またはその混
    合物であることを特徴とする請求項8記載の抵抗体支持
    部材。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    抵抗体支持部材により構成されて、複数の抵抗体を一体
    的に結合せしめる抵抗支持棒を有することを特徴とする
    SF6 ガス絶縁遮断器。
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