JPH07157814A - 貴金属粉末の製造方法及びそのための反応槽 - Google Patents

貴金属粉末の製造方法及びそのための反応槽

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JPH07157814A
JPH07157814A JP34024793A JP34024793A JPH07157814A JP H07157814 A JPH07157814 A JP H07157814A JP 34024793 A JP34024793 A JP 34024793A JP 34024793 A JP34024793 A JP 34024793A JP H07157814 A JPH07157814 A JP H07157814A
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JP
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noble metal
reaction
palladium
powder
particle size
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JP34024793A
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English (en)
Inventor
Yoichi Fukuda
洋一 福田
Yasutaka Fukui
康隆 福井
Yurie Sarugi
友理恵 猿木
Akio Takimoto
昭夫 滝本
Takahiro Ito
貴弘 伊藤
Takeshi Kono
剛 河野
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】スリップ剤を含有する電気絶縁性プラスチック
から形成され且つ凹痕がない内側壁面を有する反応槽に
て、パラジウム塩若しくは白金塩若しくはパラジウム又
は白金の少なくともどちらか一つを含む貴金属塩の混合
物を、ヒドラジン化合物から少なくとも1種以上を選択
してなる還元剤により貴金属に還元析出させることを特
徴とする湿式還元反応を利用した貴金属粉末の製造方
法。 【効果】本発明の製造方法では、反応槽内壁面での金属
析出反応は起こり難いので、微細粒子が生ずることなく
且つ粒子の凝集も起こらずほぼ均一の粒子径を有する印
刷特性に優れた貴金属粉末が得られる。特にパラジウム
粉末及び銀−パラジウム複合粉末の場合には微細粉末が
生成しなくなったことにより、パラジウムによる酸化膨
張を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は湿式還元反応を利用した
貴金属粉末の製造に関する。特には、パラジウム粉末又
は白金粉末又はパラジウム若しくは白金の少なくともど
ちらか一つを含む貴金属複合粉末の製造方法及び前記貴
金属粉末を製造するための反応槽に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
パラジウム又は/及び白金含有貴金属粉末の製造方法の
一つとして水溶液中からの析出還元法が知られている。
この方法では、用いる還元剤の種類により、反応槽の内
壁面が還元反応による核の発生箇所となり、その壁面で
金属の析出反応が生じるため、微細粒子が生じたり、更
には粒子の凝集が生じたりして、非常に粒度分布の幅の
広いパラジウム又は/及び白金含有貴金属粉末しか得る
ことができなかった。
【0003】上記問題の対策として、特開昭61−22
3111号公報には反応槽内壁を疎水性にすることにつ
いて記載され、具体的な方法としてオイルコーティン
グ、界面活性剤コーティング、テフロンコーティングを
挙げ、濡れ難さの点では極めて優れている。
【0004】しかしながら、前記例示されたものの中テ
フロンは摩擦により容易に帯電する(特にマイナス側へ
帯電し易い)ため、表面を拭うと帯電によりゴミなどの
異物を吸着し、これが還元反応の際の核の発生箇所とな
りやすい。一方、オイルコーティング、界面活性剤コー
ティングでは被覆したオイル又は界面活性剤の反応溶液
中への混入を免れず微細粒子の析出等の還元反応への悪
影響が生じる。
【0005】更に還元反応による反応容器内壁での微細
金属の析出が次回の還元反応時に核の発生箇所となり易
い為、反応を行う毎にオイル若しくは界面活性剤若しく
はテフロンのコーティングが必要となりコストもかさ
み、実用面において未だ不満の残るものであった。
【0006】そこで、本発明は湿式還元反応時に反応槽
内壁での金属析出反応がほとんど生じずに、粒子径がほ
ぼ均等に揃ったパラジウム又は/及び白金含有貴金属粉
末の製造方法を提供することを目的とする。また、内壁
面での金属析出反応が起こらない湿式還元反応による金
属粉末製造のための反応槽を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に従い鋭意研究
を進めた結果、スリップ剤を含有する電気絶縁性プラス
チックから形成され且つ凹痕がない内側壁面を有する反
応槽にて貴金属の還元析出反応を行わせることにより粒
度の揃った貴金属粉末が得られることを見出し本発明を
完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明は貴金属塩の還元剤による湿
式還元反応を利用した貴金属粉末の製造方法において、
スリップ剤を含有する電気絶縁性プラスチックから形成
され且つ凹痕がない内側壁面を有する反応槽にて、パラ
ジウム塩若しくは白金塩若しくはパラジウム又は白金の
少なくともどちらか一つを含む貴金属塩の混合物を、ヒ
ドラジン化合物から少なくとも1種以上を選択してなる
還元剤により貴金属に還元析出させることを特徴とする
貴金属粉末の製造方法に関する。
【0009】更に、本発明はスリップ剤を含有した電気
絶縁性プラスチックからなる厚さ0.01mm以上のフ
ィルム性であって、凹痕がない袋である湿式還元反応に
より金属粉末を製造するための反応槽に関する。
【0010】
【作用】本発明に係る反応槽の内側壁面はプラスチック
に添加されたスリップ剤が拡散し表面層を形成するため
反応槽内壁面の摩擦係数を低下させ静電防止される。こ
のためゴミ等の異物の付着が少なく、また、静電気等に
よる析出金属粒子の壁面への吸着も起こらない。一方、
プラスチック材自体も表面抵抗の高い電気絶縁性である
ため解離した金属イオンが内壁面に偏って存在すること
がない。更には内壁表面は凹痕がなく平坦であるので、
金属イオンが凹部に滞留しそこで金属析出を起こすこと
もなく且つ析出金属粒子が壁面にひっかかることもな
い。
【0011】従って、本発明の製造方法では還元析出反
応が反応槽内壁面では起こり難い。言い替えれば析出金
属粒子は常に反応溶液中で生成し且つ生成粒子は反応溶
液中を浮遊しており、反応溶液中にあることにより更に
該粒子に対して金属の沈着が起こるので微細粒子の生成
及び粒子の凝集は起き難くなる。即ち、ほぼ均等な状態
で反応溶液中で金属が析出し、浮遊し、且つその上に更
なる沈着が均等に起こるため、粒子径がある一定の範囲
内にある粒度の揃った貴金属粉末が得られる。
【0012】
【好適な実施態様】本発明は、湿式還元反応により製造
されるパラジウム又は/及び白金含有貴金属粉末、即
ち、少なくともパラジウム若しくは白金の1種以上を含
有する貴金属粉末(貴金属複合粉末を含む)の製造方法
に関する。例えば、パラジウム粉末、白金粉末、銀−パ
ラジウム複合粉末、パラジウム−白金複合粉末、銀−白
金複合粉末、パラジウム−金複合粉末等が挙げられ、前
記貴金属塩及び貴金属塩の混合物が原料となる。
【0013】本発明に適用される電気絶縁性プラスチッ
クとしては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン/ナ
イロン、ポリプロピレン、ナイロンなどが挙げられ、電
気絶縁性が高く帯電性が少ない点でポリエチレンが好ま
しい。
【0014】本発明において上記プラスチックに添加さ
れるスリップ剤とは前記プラスチックに相溶性があり且
つ耐熱性がよく表面分子層を形成して帯電防止効果を示
すものであり、例えばステアリン酸等の脂肪酸、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属化合物、ワックス、
パラフィン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリ
ウム、精製タルク等が挙げられる。この中、ステアリン
酸、ステアリン酸マグネシウム、ワックスが好ましい。
【0015】前記プラスチックに対する添加量は100
〜300ppmが好ましい。100ppm未満では十分
に反応槽内壁表面に表面分子層を形成できず、帯電防止
効果が十分に表われない。一方300ppmを超えて添
加しても帯電防止効果のより一層の向上はほとんど認め
られないので無駄となる。
【0016】本発明に係る貴金属の析出還元反応用の反
応槽は、内側壁面がスリップ剤を添加した電気絶縁性プ
ラスチックから形成されているものであり、容器自体が
前記プラスチック製であるものの他、前記プラスチック
材料でできた容器を内側に鋳込んだもの又は前記プラス
チック材料で内壁が被覆されたものであってもよい。
【0017】常に清潔できれいな内壁面を得たいという
観点から、反応層の形態は容易に製造でき且つ安価であ
るために反応毎に交換してもコストのかさまないフィル
ム状の袋であることが最も好ましい。袋(フィルム)の
厚みとしては0.01mm以上が好ましく、更には一般
に市販され安価に入手し易い理由により0.03mm〜
0.10mm程度がより好ましい。厚みが0.01mm
未満では作業上の強度が十分でなく好ましくない。
【0018】プラスチックフィルムの成形法としては公
知の方法を適用すればよく、例えば溶液流延法、溶融押
出法等がある。
【0019】本発明の製造方法は上記反応槽を用いて前
述の貴金属塩又は貴金属塩の混合物の水溶液に還元剤を
添加して湿式還元反応を行わせる方法である。電極材料
として印刷特性に優れた任意の大きさと形状を持つパラ
ジウム又は/及び白金含有貴金属粉末を還元析出させる
ためには、還元力の大きいヒドラジン化合物の少なくと
も1種が還元剤として含有されていることが必要であ
る。ヒドラジン化合物としては例えば塩酸ヒドラジン、
硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン等が挙げられ、還元さ
せる金属によりその種類は適宜選択される。
【0020】還元剤には前記ヒドラジン化合物の他に亜
硫酸塩、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロキシルアミ
ン、亜硫酸ナトリウム、蟻酸、蟻酸ナトリウム、亜硫酸
水素ナトリウム、次亜リン酸、亜二チオン酸ナトリウ
ム、無水亜硫酸ナトリウム、L(+)酒石酸、蟻酸アン
モニウム、ロンガリットL−アスコルビン酸及びこれら
の混合物を組み合わせて用いることが好適である。
【0021】還元剤と貴金属塩または貴金属塩の混合物
からなる反応溶液に分散剤を添加すればより好適に粒子
サイズ及び形状の制御が可能となる。これは、分散剤に
より析出した貴金属粉末が反応溶液中を均一に浮遊する
ためこれらを核として更なる貴金属の析出が起こるため
である。
【0022】分散剤としてはPVB樹脂、アクリル樹
脂、天然ゴム(例えばアラビアゴム)、水溶性セルロー
ズ樹脂、DOP、DBP、ゼラチン、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコール、
プロタルビン酸ナトリウム、グリセリン、ポリビニルア
ルコール、CH3NH2・HCl、CH3(CH211NH
2・HCl FC−98(3M社製)などの界面活性剤
が挙げられる。
【0023】なかでも還元反応に与える影響がより少な
い、天然ゴム(例えばアラビアゴム)、ゼラチン、エチ
レングリコール、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレン
グリコール、グリセリンが好ましい。
【0024】尚、貴金属の還元析出反応は加温しながら
行うことが迅速に反応が進み好ましく、例えば40℃以
上で行うことが特に好ましい。
【0025】以下、実施例及び比較例を用いて本発明に
ついて更に詳説する。但し、本発明は下記実施例により
限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
【実施例1】ステアリン酸が100ppm添加されたポ
リエチレン製で厚みが0.01mmの袋を反応槽に用い
て湿式還元反応を次のように行なった。蒸留水300m
lに硫酸ヒドラジン5gを溶解し40℃に保持した溶液
中に、硝酸パラジウム1.605gと硝酸銀1.189
gとを水酸化アンモニウムに溶解させた溶液30mlを
加えた。そして、溶液中の銀塩とパラジウム塩とを金属
に還元反応させた。
【0027】作製された銀とパラジウムとの複合粉末の
形態を電子顕微鏡により観察した写真を図1(a)(×
1000)及び(b)(×5000)に示す。図1からわかるよ
うに、作製された粉末は0.3〜0.4μmと均一の粒
子径を有し、mol比でAg/Pd=50.1/49.
9の印刷特性に優れた粉末であった。
【0028】また、作製された複合粉末について熱特性
(DTA−TG)を調べたところ、下記の結果を得た。 酸化開始温度 365.0℃ 酸化増量 4.75%
【0029】
【比較例1】反応槽にガラスビーカーを用る他は実施例
1と同様にして湿式還元反応を行なった。作製された銀
とパラジウムとの複合粉末の形態を電子顕微鏡により観
察した写真を図2(a)(×1000)及び(b)(×500
0)に示す。図2からわかるように、作製された粉末は
0.3〜0.4μmの粒子に0.1μm程度の微細粉末
が混入しており、印刷時にチヂレ、クラックが生じ易い
粉末であった。
【0030】また、作製された複合粉末について熱特性
(DTA−TG)を調べたところ、下記の結果を得た。 酸化開始温度 342.7℃ 酸化増量 5.40%
【0031】実施例1では微細粉末の混入のない粒度の
揃った粉末が得られた。更には酸化開始温度及び酸化増
量率共に本発明の製造方法である実施例1の方が優れて
いた。
【0032】
【実施例2】1リットル容量のワックスが200ppm
添加されたポリエチレン/ナイロン製で厚みが0.03
mmの袋を反応槽に用いて湿式還元反応を次のように行
なった。蒸留水200mlを入れ適度に加温しながら還
元剤としての塩酸ヒドラジン2.1gと緩衝剤としての
酢酸アンモニウム8g添加し、攪拌しながら溶液が煮沸
するまで加熱し完全に溶解させた。このとき溶液のpH
は5.4であった。
【0033】次に塩化第一白金酸アンモニウム0.5g
を100mlの水に溶解させたものを、前記煮沸せる還
元剤含有溶液中へ迅速に注加し白金を還元析出させた。
得られた白金粉末の粒子形態を電子顕微鏡にて観察した
ところほぼ球状で直径約1.0μmの均一の粉末であ
り、微細粉末の混入はみられなかった。
【0034】
【実施例3】1リットル容量のがステアリン酸マグネシ
ウムが300ppm添加されたポリエチレン/ナイロン
製で厚みが0.1mmの袋を反応槽に用いて湿式還元反
応を次のように行なった。5規定の塩化アンモニウム溶
液と5規定のアンモニア水とでpH9.5に調整した緩
衝液200mlを入れ、その緩衝液を攪拌しながらその
中へ塩化第一パラジウム0.5gを添加し溶解させる。
【0035】更に硫酸ヒドラジン(還元剤)1gを蒸留
水に溶解させ5規定のアンモニウムでpH8に調整した
還元剤含有溶液30mlを迅速に注加しパラジウムを還
元析出させた。得られたパラジウム粉の形状はほぼ球状
で直径0.6μmの均一の粉末であり、微細粉末の混入
はみられなかった。
【0036】
【実施例4】ステアリン酸が300ppm添加されたポ
リエチレン製で厚みが0.05mmの袋を反応槽に用い
て湿式還元反応を次のように行った。蒸留水130ml
に蟻酸アンモニウム2.24gと抱水ヒドラジン0.4
8gとを溶解し、その中に硝酸を添加し、更に酢酸アン
モニウム5gを加えてpH8.6に調整し還元剤含有溶
液とする。
【0037】別にパラジウム金属として12.76重量
%含有する硝酸パラジウム塩溶液(硝酸を含む)1.2
1gと硝酸銀2.52gとを蒸留水100mlに溶解
し、その中に水酸化アンモニウムを添加して、更に硝酸
アンモニウム5gを加えてpH8.6に調整し金属塩含
有溶液とする。
【0038】40℃に保持した前記還元剤含有溶液中
に、同じ40℃に保持した前記金属塩含有溶液を加え
た。そして、溶液中の銀塩とパラジウム塩とを金属に還
元反応させた。作製された銀−パラジウム複合粉末は、
0.6μmと均一の粒子径を有し、mol比でAg/P
d=70.21/29.79の印刷特性に優れた粉末で
あった。
【0039】作製された複合粉末について熱特性(DT
A−TG)を調べたところ下記の結果を得た。 酸化開始温度 373.6℃ 酸化増量 2.76%
【0040】
【比較例2】反応槽に耐熱性のビーカーを用いる他は実
施例4と同様にして、銀−パラジウムの還元反応を行っ
た。作製された複合粉末は微細粒子の混入した粉末であ
り、印刷乾燥時にチジレ等の生じ易い粉末であった。
【0041】作製された複合粉末について熱特性(DT
A−TG)を調べたところ下記の結果を得た。 酸化開始温度 371.1℃ 酸化増量 3.17%
【0042】実施例4は比較例2に比べて粒子径の揃っ
たものであり、酸化開始温度及び酸化増量率のいずれも
実施例4の方が優れていた。
【0043】
【実施例5】ステアリン酸が200ppm添加されたポ
リエチレン製で厚みが0.08mmの袋を反応槽に用い
て湿式還元反応を次のように行った。蒸留水130ml
に蟻酸アンモニウム4.48gと抱水ヒドラジン2.1
0gとを溶解し、その中に硝酸を添加し、更に酢酸アン
モニウム10.0gを加えてpH6.2に調整し還元剤
含有溶液とする。
【0044】別にパラジウム金属として、5.36重量
%含有する硝酸パラジウム塩溶液(硝酸を含む)26.
58gと硝酸銀2.42gとを蒸留水100mlに溶解
し、その中に水酸化アンモニウムを添加しpH9.4に
調整し金属塩含有溶液とする。
【0045】40℃に保持した前記還元剤含有溶液中
に、同じ40℃に保持した前記金属塩含有溶液を加え
た。そして溶液中の銀塩とパラジウム塩とを金属に還元
反応させた。作製された銀−パラジウム複合粉末は、
0.4μmと均一の粒子径を有し、mol比でAg/P
d=51.9/48.1の印刷特性に優れた粉末であっ
た。
【0046】作製された銀−パラジウム複合粉末につい
て熱特性(DTA−TG)を調べたところ下記の結果を
得た。 酸化開始温度 361.7℃ 酸化増量 4.88%
【0047】また、粒子の凝集の状態を調べるためレー
ザー回折式粒度分布により得られた粉末の粒度分布を測
定したところ、図3に示すようにその粉末の粒度分布の
幅は狭く粒度の揃っていることが認められた。
【0048】
【実施例6】ワックスが100ppm添加されたポリエ
チレン製で厚みが0.03mmの袋を反応槽に用い、分
散剤としてアラビアゴム0.005gを還元剤溶液中に
添加する他は実施例5と同様にして銀−パラジウムの還
元析出反応を行った。作製された粉末は0.2μmと均
一の粒子系を有し、mol比でAg/Pd=51.9/
48.1の印刷特性に優れた粉末であった。
【0049】作製された銀−パラジウム複合粉末につい
て熱特性(DTA−TG)を調べたところ下記の結果を
得た。 酸化開始温度 343.1℃ 酸化増量 5.93%
【0050】また、粒子の凝集の状態を調べるためレー
ザー回折式粒度分布により粉末の粒度分布を測定したと
ころ、図4に示すようにその粉末は実施例5より更に粒
度の揃ったものであることが示され、分散剤の使用がよ
り好ましい粒子形状及び粒子径を与えることが認められ
た。
【0051】
【比較例3】反応槽に耐熱性のビーカーを用いる他は実
施例5と同様にして銀−パラジウムの還元析出反応を行
った。作製された銀−パラジウム複合粉末について熱特
性(DTA−TG)を調べたところ下記の結果を得た。 酸化開始温度 356.3℃ 酸化増量 5.14%
【0052】また、粒子の凝集の状態を調べるためレー
ザー回折式粒度分布により粉末の粒度分布を測定したと
ころ、図5に示すように粒子の凝集が認められた。
【0053】
【比較例4】反応槽に耐熱性のビーカーを用い、分散剤
としてアラビアゴム0.001gを還元剤溶液中に添加
する他は実施例5と同様にしてAg/Pdの還元析出反
応を行った。
【0054】作製された複合粉末について熱特性(DT
A−TG)を調べたところ下記の結果を得た。 酸化開始温度 363.7℃ 酸化増量 6.0%
【0055】また、粒子の凝集の状態を調べるためレー
ザー回折式粒度分布により粉末の粒度分布を測定したと
ころ、図6に示すようにその粉末は比較例3と比べれば
多少の改善はされたものの、未だ粒子の凝集が認められ
た。
【0056】
【効果】本発明の製造方法では、反応槽内壁面がスリッ
プ剤により静電防止され且つ凹痕がないため金属析出反
応は起こり難いので、微細粒子が生ずることなく且つ粒
子の凝集も起こらずほぼ均一の粒子径を有する印刷特性
に優れた貴金属粉末が得られる。特にパラジウム粉末及
び銀−パラジウム複合粉末の場合には微細粉末が生成し
なくなったことにより、パラジウムによる酸化膨張を抑
制することができる。
【0057】更に、本発明の製造方法において、反応溶
液中に分散剤を添加すると得られる貴金属粉末は粒子形
状及び粒子径がより制御された均一な貴金属粉末が得ら
れる。
【0058】また、金属粉末製造のための湿式還元反応
に本発明の反応槽を用いると、工業的に安定して常に均
一な貴金属粉末を製造することができる。又、本発明の
反応槽は容易且つ安価に製造できるため、反応毎に取り
替えても貴金属粉末の製造コストはかさまずにより優れ
た貴金属粉末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様である、実施例1で製造し
た銀−パラジウム複合粉末の粒子構造を表わす電子顕微
鏡写真であり、(a)は倍率×1000であり、(b)は
(a)の白枠部分を更に拡大した(×5000)ものであ
る。
【図2】本発明に対する比較品の一つである、比較例1
で製造した銀−パラジウム複合粉末の粒子構造を表わす
電子顕微鏡写真であり、(a)は倍率×1000であり、
(b)は(a)の白枠部分を更に拡大した(×5000)も
のである。
【図3】本発明の別の実施態様である実施例5で製造し
た銀−パラジウム複合粉末について、レーザー回折式粒
度分布により測定した粒度分布を表わす。
【図4】本発明の更なる実施態様である実施例6で製造
した銀−パラジウム複合粉末について、レーザー回折式
粒度分布により測定した粒度分布を表わす。
【図5】本発明に対する別の比較品の一つである、比較
例3で製造した銀−パラジウム複合粉末について、レー
ザー回折式粒度分布により測定した粒度分布を表わす。
【図6】本発明に対する更なる比較品の一つである、比
較例4で製造した銀−パラジウム複合粉末について、レ
ーザー回折式粒度分布により測定した粒度分布を表わ
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猿木 友理恵 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 滝本 昭夫 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 伊藤 貴弘 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 河野 剛 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】貴金属塩の還元剤による湿式還元反応を利
    用した貴金属粉末の製造方法において、スリップ剤を含
    有する電気絶縁性プラスチックから形成され且つ凹痕が
    ない内側壁面を有する反応槽にて、パラジウム塩若しく
    は白金塩若しくはパラジウム又は白金の少なくともどち
    らか一つを含む貴金属塩の混合物を、ヒドラジン化合物
    から少なくとも1種以上を選択してなる還元剤により貴
    金属に還元析出させることを特徴とする貴金属粉末の製
    造方法。
  2. 【請求項2】電気絶縁性プラスチックがポリエチレン、
    ポリエチレン/ナイロン、ポリプロピレン、ナイロンか
    ら選択されることを特徴とする請求項1記載の貴金属粉
    末の製造方法。
  3. 【請求項3】反応槽がフィルム性の袋であることを特徴
    とする請求項2記載の貴金属粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】貴金属の還元析出反応を行わせる際に更に
    分散剤を添加することを特徴とする請求項1乃至3の一
    に記載の貴金属粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】スリップ剤を含有した電気絶縁性プラスチ
    ックからなる厚さ0.01mm以上のフィルム性であっ
    て、凹痕がない袋である湿式還元反応により金属粉末を
    製造するための反応槽。
  6. 【請求項6】電気絶縁性プラスチックがポリエチレン、
    ポリエチレン/ナイロン、ポリプロピレン、ナイロンか
    ら選択されることを特徴とする請求項5記載の反応槽。
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