JPH07150290A - 加工性と耐水素脆化特性の良好な超高強度鋼板とその製造方法 - Google Patents

加工性と耐水素脆化特性の良好な超高強度鋼板とその製造方法

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JPH07150290A
JPH07150290A JP32114593A JP32114593A JPH07150290A JP H07150290 A JPH07150290 A JP H07150290A JP 32114593 A JP32114593 A JP 32114593A JP 32114593 A JP32114593 A JP 32114593A JP H07150290 A JPH07150290 A JP H07150290A
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JP
Japan
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less
hydrogen embrittlement
embrittlement resistance
workability
steel plate
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JP32114593A
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English (en)
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Kazuhiro Mimura
三村和弘
Yoshinobu Omiya
大宮良信
Fukuteru Tanaka
田中福輝
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 加工性と耐水素脆化特性の良好な超高強度鋼
板とその製造方法を提供。 【構成】 C:0.05〜0.25%、Mn:1.0〜1.
7%、S:0.01%以下、Al:0.02〜0.10%、
Ti:0.20%以下、N:0.008%以下を含み、か
つ、(C+30×N)/Ti≧2を満足し、更に必要に応
じて、Si:2.0%以下、或いはP:0.15%以下、
Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、B:0.005
%以下の1種又は2種以上、或いはNb:0.1%以下、
V:0.1%以下の1種又は2種を含み、残部が鉄及び
不可避的不純物元素からなり、マルテンサイトを体積率
で70%以上含むことを特徴とする加工性と耐水素脆化
特性の良好な引張強さ1070N/mm2以上の超高強度
鋼板である。上記化学成分を有する鋼スラブを常法にて
熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延して連続焼鈍するに際
し、Ac3点〜1050℃まで再加熱後、Ar1点以上の温
度より水焼き入れすることより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のバンパー、ドア
の補強部材等に適し、1070N/mm2以上の強度を有
すると共に優れた加工性と耐水素脆化特性を有する超高
強度冷延鋼板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】地球環
境問題等より、自動車の燃費改善要求が強く、そのため
車体の軽量化を図るべくバンパー、ドアの補強部材など
に1070N/mm2以上の超高強度鋼板のニーズが強く
なってきた。
【0003】しかし、1070N/mm2以上の強度を有
する超高強度鋼を使用したボルトでは、水素脆化による
割れが発生することが、例えば、特開昭60−1556
44号等にて知られている。したがって、超高強度薄鋼
板においても、大気環境下の腐食反応で発生する水素が
鋼板中に入り、使用中に突然破壊することが考えられ
る。
【0004】超高強度薄鋼板の水素脆化については、特
公平4−268053号に記載されているように、鋼に
Siを添加し、鋼板中への水素原子の侵入を抑制するこ
とが提案されている。しかし、腐食環境によって錆の発
生状況は種々変化し、必ずしも、Si添加によって鋼板
中への水素原子の侵入を十分に抑制し、水素脆化を防止
することは困難である。
【0005】また、特開平4−280940号では点溶
接部の耐水素割れ性改善について述べられているが、3
%以上のNiを必要とし、コスト上昇を招くため実用的
ではない。また、母材部の耐水素割れ特性については言
及されていない。特開平4−263019号では曲がり
の少ない車輌類ドアインパクトバー用高強度電縫鋼管の
製造法につき述べられているが、強度1070N/mm2
以上で問題となる耐水素脆化特性については記述されて
いない。
【0006】本発明は、引張強さ1070N/mm2以上
の超高強度薄鋼板における上記の水素脆化の問題を解決
し得る加工用超高強度薄鋼板並びにその製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、 C:0.05〜0.25%、 Mn:1.0〜1.7%、 S:0.01%以下、 Al:0.02〜0.10%、 Ti:0.20%以下、 N:0.008%以下、 を含み、かつ、 (C+30×N)/Ti≧2 を満足し、更に必要に応じて、Si:2.0%以下、或い
はP:0.15%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0
%以下、B:0.005%以下の1種又は2種以上、或
いはNb:0.1%以下、V:0.1%以下の1種又は2
種を含み、残部が鉄及び不可避的不純物元素からなり、
マルテンサイトを体積率で70%以上含むことを特徴と
する加工性と耐水素脆化特性の良好な引張強さ1070
N/mm2以上の超高強度鋼板を要旨としている。
【0008】また、その製造方法は、上記化学成分を有
する鋼スラブを常法にて熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延
して連続焼鈍するに際し、Ac3点〜1050℃まで再加
熱後、Ar1点以上の温度より水焼き入れし、必要に応じ
て350℃以下で焼戻し処理を行うことを特徴としてい
る。
【0009】
【作用】以下に本発明を更に詳述する。まず本発明にお
ける鋼の化学成分の限定理由について説明する。
【0010】C:Cはマルテンサイトを生成し高強度化
に必須の元素であり、1070N/mm2以上の強度を得
るためには0.05%以上が必要である。しかし、0.2
5%を超えると曲げなどの加工性が劣化すると共に耐水
素脆化特性を劣化するため、0.25%を上限とする。
【0011】Mn:Mnは鋼の焼入性を高める元素で、連
続焼鈍設備で安定してマルテンサイト組織を得るために
は1.0%以上が必要である。しかし、1.7%を超える
と耐水素脆化特性を劣化させる。これは、偏析が大きく
なるため、組織が不均一となり脆性が低下することが一
因と考える。よって、Mn量は1.0〜1.7%とする。
【0012】S:Sは介在物を形成して曲げ加工性など
を劣化させるため、0.01%以下に抑制する。
【0013】Al:Alは脱酸のために0.02%以上を
添加するが、表面性状の観点から、その上限を0.10
%とする。
【0014】Ti:Tiは高強度化に有効である共に耐水
素脆化特性の改善のために必須の元素である。これは、
組織の微細化による脆性の改善に加え、TiC等の析出
により粗大なセメンタイトの析出を抑制していることが
一因と考える。しかし、0.20%を超えて添加する
と、冷間圧延の荷重が高くなるなどの問題があるため、
0.20%以下とする。
【0015】N:Nは鋼中に固溶してプレス加工性など
を劣化させるため、0.008%以下に規制する。
【0016】(C+30×N)/Ti≧2 Tiの添加による微細なTiC、TiNの生成は組織を微
細化するため高強度化及び耐水素脆化特性の改善に有効
であるが、C、Nに比べてTiの添加が過多となると、
必要以上のC、Nと析出物を形成するため強度確保に必
要な固溶C量が得られないだけでなく、Tiの大型介在
物を生成し、連続焼鈍時にフェライトの生成核となるた
め所望のマルテンサイト量が得られなくなり、強度の確
保が困難となる。そのため、C、N、Tiの添加量は(C
+30×N)/Ti≧2の関係を満足する範囲内とする。
【0017】上記成分のほか、必要に応じて、Si、或
いはP、Cr、Mo及びBの1種又は2種以上、或いはN
b及びVの1種又は2種を適量にて添加することができ
る。
【0018】Si:Siは鋼を強化し、延性を高めるため
に有効な元素であるが、2.0%を超えるとその効果が
飽和するのみならず、冷間圧延での荷重が高くなるなど
の問題があるため、2.0%以下とする。
【0019】P:Pは鋼を強化し、延性を高めるために
有効な元素であるが、0.15%を超えると脆化が起こ
り易くなるため、0.15%以下とする。
【0020】Cr、Mo、B:Cr、Mo及びBは鋼の焼入
性を高め連続焼鈍設備で安定してマルテンサイトを得る
ために有効な元素であるが、過多に添加しても効果が飽
和するため、Crは1.0%以下、Moは1.0%以下、B
は0.005%以下とする。
【0021】Nb、V:Nb及びVは炭化物を形成し細粒
化に効果があり、鋼の強化に有効な元素であるが、それ
ぞれ0.1%を超えると冷間圧延の荷重が高くなるなど
の問題があるために、それぞれ0.1%以下とする。
【0022】次に本発明の組織についてであるが、本発
明鋼は、加工性と耐水素脆化特性改善の観点から、超高
強度鋼板としては比較的低いC量にて高強度を確保する
必要があるため、所望の強度を得るにはマルテンサイト
(焼戻しマルテンサイトを含む)の体積率を70%以上と
することが必要である。なお、その他の組織はフェライ
ト、ベイナイト、残留オーステナイト等からなるもので
ある。
【0023】次に本発明の製造方法について述べる。
【0024】上記化学成分を有する鋼スラブは、常法に
て熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延を行う。次いで連続焼
鈍するが、連続焼鈍条件は以下のとおりとする必要があ
る。
【0025】すなわち、まず鋼板をAc3点〜1050℃
に再加熱する。再加熱の下限温度をAc3点とするのは、
安定してマルテンサイト主体の組織を得るには完全にオ
ーステナイト変態点以上に加熱する必要があるためであ
る。また上限を1050℃とするのは、オーステナイト
の粗大化による加工性や耐水素脆化特性の劣化を防止す
るためである。
【0026】その後、マルテンサイト主体の組織を得る
ためにAr1点以上の温度から水焼入れ処理を行う。な
お、更に強度の調整のために焼戻し処理を行ってもよい
が、350℃を超える温度で焼戻し処理を行うと耐水素
脆化特性が劣化する。これはセメンタイトの析出による
脆性の劣化が一因と考える。したがって、焼戻し温度は
350℃以下とする。
【0027】次に本発明の実施例を示す。
【実施例】
【0028】表1に示す化学成分の鋼スラブを1230
℃に加熱し、板厚3.6mmに熱間圧延し、550℃で巻
取った。酸洗後1.8mmまで冷間圧延し、表2に示す条
件で連続焼鈍した。0.3%の調質圧延を施した後、機
械的性質を調査すると共に耐水素脆化を評価した。それ
らの結果を表3に示す。
【0029】なお、耐水素脆化については、15mm×6
5mmの短冊試験片に曲げ応力100kgf/mm2を負荷した
ものを0.5mol/リットルの硫酸+0.01mol/リット
ルのKSCN溶液中でポテンショスタットを用いて、自
然電位より卑である−800mVの定電位を与え、割れ
が発生する時間により評価した。
【0030】表3より明らかなように、本発明例はいず
れも、1070N/mm2以上の強度と良好な加工性(El
≧8%、λ≧25%)及び良好な耐水素脆化特性(割れ発
生時間≧10min)を示している。一方、比較例のうち、
鋼No.2、9、11、17、18、20は、マルテンサ
イト体積率が本発明範囲を外れているため所望の強度が
得られていない。また比較例の鋼No.3、16、19
は、割れ発生時間が8min以下と短く、それらのうち鋼
No.16、19ではEl≦7%、λ≦20%とそれぞれ
明らかに加工性も本発明鋼に比べて劣っている。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
引張強さ1070N/mm2以上の高強度において優れた
耐水素脆化特性と加工性を有する冷延鋼板を提供できる
ので、自動車のバンパー、ドアの補強部材等に適してい
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、 C:0.05〜0.25%、 Mn:1.0〜1.7%、 S:0.01%以下、 Al:0.02〜0.10%、 Ti:0.20%以下、 N:0.008%以下、 を含み、かつ、 (C+30×N)/Ti≧2 を満足し、残部が鉄及び不可避的不純物元素からなり、
    マルテンサイトを体積率で70%以上含むことを特徴と
    する加工性と耐水素脆化特性の良好な引張強さ1070
    N/mm2以上の超高強度鋼板。
  2. 【請求項2】 Si:2.0%以下を含む請求項1に記載
    の鋼板。
  3. 【請求項3】 P:0.15%以下、Cr:1.0%以
    下、Mo:1.0%以下、B:0.005%以下の1種又
    は2種以上を含む請求項1又は2に記載の鋼板。
  4. 【請求項4】 Nb:0.1%以下、V:0.1%以下の
    1種又は2種を含む請求項1、2又は3に記載の鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4に記載の化学成
    分を有する鋼スラブを常法にて熱間圧延し、酸洗後、冷
    間圧延して連続焼鈍するに際し、Ac3点〜1050℃ま
    で再加熱後、Ar1点以上の温度より水焼き入れすること
    を特徴とする加工性と耐水素脆化特性の良好な引張強さ
    1070N/mm2以上の超高強度鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 350℃以下で焼戻し処理を行う請求項
    5に記載の方法。
JP32114593A 1993-11-26 1993-11-26 加工性と耐水素脆化特性の良好な超高強度鋼板とその製造方法 Pending JPH07150290A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100716342B1 (ko) * 2005-06-18 2007-05-11 현대자동차주식회사 마르텐사이트형 초고강도 냉연강판 조성물 및 이의 제조방법
JP2012036500A (ja) * 2010-07-16 2012-02-23 Jfe Steel Corp 曲げ加工性および低温靱性に優れる高張力鋼板およびその製造方法
JP2015155572A (ja) * 2014-01-14 2015-08-27 株式会社神戸製鋼所 高強度鋼板およびその製造方法
CN110592471A (zh) * 2019-08-26 2019-12-20 邯郸钢铁集团有限责任公司 1200MPa级冷轧马氏体钢板及其制备方法

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Effective date: 20020108