JPH07146408A - 位相差板 - Google Patents

位相差板

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JPH07146408A
JPH07146408A JP5270748A JP27074893A JPH07146408A JP H07146408 A JPH07146408 A JP H07146408A JP 5270748 A JP5270748 A JP 5270748A JP 27074893 A JP27074893 A JP 27074893A JP H07146408 A JPH07146408 A JP H07146408A
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JP
Japan
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liquid crystal
light
film
retardation
measured
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Application number
JP5270748A
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English (en)
Inventor
Akihiko Uchiyama
昭彦 内山
Toshiaki Yatabe
俊明 谷田部
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶表示素子における視角依存性改善用光学補
償板として必要な特性を有する位相差板を得る。 【構成】液晶表示素子における視角依存性改善用光学補
償板として用いる位相差板において、正の誘電率異方性
および正の磁化率異方性を有する低分子液晶と、高分子
樹脂との混合体よりなる膜であることを特徴とする位相
差板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子における
視角依存性改善用光学補償板として用いる位相差板に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子は、薄型軽量、低消
費電力という大きな利点を持つため、パーソナルコンピ
ュータやワードプロセッサ、携帯型電子手帳等の表示装
置に積極的に用いられている。液晶表示素子の原理は数
多く提案されているが、現在普及している液晶表示素子
のほとんどは、ねじれネマチック型の液晶を用いてい
る。このような液晶を用いた表示方式は、複屈折モード
(以下、STN方式)と旋光モード(以下、TN方式)
の2つの方式に大別される。
【0003】STN方式は急峻な電気光学特性を持つこ
とにより、単純マトリックスで駆動できるため、比較的
低価格で市場に供給されているが、かかる方式では偏光
板を介して直線偏光とした入射光が液晶セルによる複屈
折で楕円偏光となり、それを偏光板を介して見た場合に
はデイスプレイが着色して見えるといった問題がある。
そのため、液晶セル透過後の楕円偏光を直線に戻して着
色を防止すべく、液晶セルと偏光板の間に延伸フィルム
等からなる位相差板を介在させるF−STN方式が提案
されている。
【0004】一方、TN方式は、応答速度が数十ミリ秒
と速く、高いコントラスト比と良好な階調表示性を示す
ことから、薄膜トランジスター等のスイッチング素子を
各画素ごとに配備した液晶表示素子として、液晶テレビ
等の高精細、高速性が要求される用途で使用されてい
る。
【0005】しかし、このようなスイッチング素子と組
み合わせたTN方式の液晶表示素子でも、見る方向によ
ってはコントラスト比が変化するといった視角依存性を
持つという難点があった。
【0006】TN方式の液晶表示素子の視角特性を改善
する多くの方法が提案されている。例えば、特開平4-16
1928号公報では、2枚の偏光板の間にTN方式液晶セル
と、光学軸が液晶セルの表示面に対して略垂直である光
学異方素子を配置することにより、視角特性を改善する
方法が提案されている。
【0007】また、かかる光学異方素子に対し、より具
体的に提案している例としては、応用物理学会・高分子
学会・日本化学会共催第16回液晶討論会講演予稿集
(P236)がある。ここでは2枚の偏光板の間にTN方式
液晶セルと、ポリカーボネートを材質とした一軸性位相
差フィルムを、光学軸が直交するように2枚積層された
ものを配置することにより、視角特性を改善する方法を
提案している。
【0008】その他に、光学軸が液晶セルの表示面に対
して略垂直である光学異方素子の製造方法としては、液
晶分子が膜厚方向に垂直配向するような垂直配向膜が基
板上に具備された液晶セルの中に、液晶を注入する方法
が考えられる。さらに、膜平面には光学軸が存在しない
が、膜厚方向に光学軸の有するフィルムとしては2軸延
伸された透明フィルムの如きものが考えられる。
【0009】これら膜厚方向に光学軸を有する位相差板
を用いて視角特性を改善する方式の特徴は、液晶セルに
対して正面から入射した光に液晶セルが与える位相差
と、斜め方向から入射した光に液晶セルが与える位相差
とが、液晶セル中の液晶配向のため異なる点に注目し、
これらが同じとなる様、位相差板により位相差を補償す
るところにある。
【0010】以上、述べてきたように、TN、STN方
式等の視角特性を、光学補償板である位相差板により改
善するためには、膜厚方向に光学軸を有するといった膜
厚方向に配向制御された位相差板が必要である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4-1619
28号公報では、かかる光学異方素子の材質や製造方法に
ついては詳細に言及していない。また、前述の第16回
液晶討論会講演予稿集(P236)の方法では、液晶セルに
用いている液晶分子の複屈折率波長分散と、ポリカーボ
ネート一軸性位相差フィルムの複屈折率波長分散がマッ
チングさせることが難しいため、光学補償効果はそれほ
ど大きくない。また、液晶セル基板上に垂直配向膜をつ
け、液晶を膜厚方向に配向させたものは、配向膜の安定
性、液晶分子配向均一性等の問題や、手間のかかる配向
膜のラビング処理等製造プロセス上の問題があり、コス
トもかかるといった問題点を有する。さらに、フィルム
を2軸延伸することにより、膜平面方向には光学軸が存
在しないが、膜厚方向には光学軸が存在するといったフ
ィルムを得ることは、現状ではプロセス上困難であり、
生産性に劣るといった欠点を有する。
【0012】そしてこうした従来の方法では、液晶表示
素子における視角依存性改善用光学補償板として必要な
特性を有する位相差板を得ることができなかった。すな
わち測定光590nmにおける光透過率が80%以上、かつ
膜平面法線方向より入射した波長590nmの光で測定し
たレターデーションが20nm以下であり、さらに膜平面
法線との角度θ1とθ2(0°≦θ1<θ2<90°)で入射
させた光で測定したレターデーションR(θ1)とR
(θ2)に関して、R(θ1)<R(θ2)が成立すると
言う特性を有する位相差板を得ることができなかった。
【0013】本発明はかかる課題を解決して、測定光59
0nmにおける光透過率が80%以上、かつ膜平面法線方
向より入射した波長590nmの光で測定したレターデー
ションが20nm以下であり、さらに膜平面法線との角度
θ1とθ2(0°≦θ1<θ2<90°)で入射させた光で測
定したレターデーションR(θ1)とR(θ2)に関し
て、R(θ1)<R(θ2)が成立すると言う特性を有し
た、液晶表示素子における視角依存性改善用光学補償板
として用いる位相差板を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の位相差板は、液
晶表示素子における視角依存性改善用光学補償板として
用いる位相差板において、正の誘電率異方性および正の
磁化率異方性を有する低分子液晶と、高分子樹脂との混
合体よりなる膜であることを特徴としている。
【0015】ここでレターデーションとは、膜の屈折率
異方性Δn、および膜厚dの積Δn・dで表される。そ
して液晶表示素子における視角依存性改善用光学補償板
として用いる位相差板の特徴は、膜平面における直交軸
屈折率をnx、ny、膜厚方向の屈折率をnzとした場合
には、nx=ny<nz または、nx=ny>nz で表さ
れる。
【0016】これらの屈折率はアッベ屈折率計等によっ
ても直接求められるが、位相差板を三次元屈折率楕円体
であると仮定して、レターデーションの入射角依存性か
ら計算で求める方法も存在する。すなわち、上記の屈折
率nx、ny、nzを用いると、
【0017】
【数1】
【0018】
【数2】
【0019】であるが、位相差板の平均の屈折率n=
(nx+ny+nz)/3を決定した後、入射角θにおけ
るレターデーションR(θ)を入射角を変えて測定し、
上記の式(1)と式(2)より屈折率nx、ny、nzを
決定する。なお、Δn(θ)は入射角θにおける複屈折
率、dは膜厚である。
【0020】レターデーションの測定方法は数多く提案
されている。本発明においては、正確にレターデーショ
ン値を求められる方法であれば、いかなる原理に基づく
ものであっても構わないが、正確に測定できるレターデ
ーションの範囲は、測定方法によって異なっているのが
現状であるので注意を要する。
【0021】そして前述したとおり、液晶表示素子にお
ける視角依存性改善用光学補償板として必要な特性を有
する用いる位相差板としては、測定光590nmにおける
光透過率が80%以上、かつ膜平面法線方向より入射した
波長590nmの光で測定したレターデーションが20nm
以下であり、さらに膜平面法線との角度θ1とθ2(0°
≦θ1<θ2<90°)で入射させた光で測定したレターデ
ーションR(θ1)とR(θ2)に関して、R(θ1)<
R(θ2)が成立すると言う特性を有することが必要で
ある。
【0022】なおここで、入射角0°において測定波長5
90nmで測定されたレターデーションは0nmであるこ
とが好ましいが、測定装置の誤差や膜表面の不均一性等
も考慮に入れて、20nm以下であれば許容される。膜平
面は光学等方であることが要求されるが、20nm以下で
あれば、膜平面は光学的にほとんど等方であると見なさ
れるからである。
【0023】またR(θ1)<R(θ2)の関係は、入射
角0°≦θ1<θ2<90°で定義したが、一般的な液晶表
示素子としては0°≦θ1<θ2≦75°で成立していれば
よく、実用上は0°≦θ1<θ2≦60°で成立すればよ
い。なおR(θ1)とR(θ2)の比較は、もちろん同じ
波長光で測定したものであることが必要である。
【0024】またR(θ)の絶対値は、液晶光学素子の
光学補償素子として用いる場合には、液晶セルのレター
デーションの視角特性等に応じて決定される。前述した
ようにレターデーションは膜厚と複屈折率の積により決
まるが、本発明における位相差板の視角特性は、θの増
大に伴う複屈折率の増大に起因するところが大きい。
【0025】ところで上記の透過率とレターデーション
は、測定波長590nmでを定義したが、波長が400〜800
nmの範囲で上記の関係が成立することが好ましい。な
お透過率については、ヘーズによっても評価が可能であ
るが、できるだけヘーズ値が小さいものが好ましい。
【0026】そして本発明の位相差板としては、そうし
た特性を有するものを得るために、正の誘電率異方性お
よび正の磁化率異方性を有する低分子液晶と、高分子樹
脂との混合体よりなる膜で位相差板を構成することが必
要である。
【0027】さらに本発明の効果をより発現させるため
には、低分子液晶が膜厚方向に配向固定していることが
より好ましい。
【0028】ここで、本発明の位相差板に用いられる高
分子樹脂は特に限定はしないが、使用目的に応じて経時
安定性、熱的耐久性等を考えなくてはならない場合は、
低分子液晶を含有していない高分子樹脂単独で測定した
Tg(ガラス転移点温度)が60℃以上であることが好ま
しく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100
℃以上である。
【0029】すなわち、最近の液晶表示装置は空調のあ
るオフィス等の屋内での使用のみならず、屋外や自動車
内で使用される場合が増えている。そしてそうした環境
において本発明の位相差板を使用するのであれば、Tg
以上の環境では高分子樹脂が軟化し、液晶の配向が乱
れ、透明性が低下することからも、本発明の位相差板に
用いられる高分子樹脂のTgによる選択は重要となる。
【0030】これらTgによる高分子樹脂の選択は、低
分子液晶の配向をある温度域において安定に保つために
重要であるが、例えば、Tgの低い樹脂であっても高分
子樹脂を形成する際に架橋剤等を混ぜより硬化を進めた
ものや、ブレンド等により改善され、低分子液晶の配向
を所望の温度域で保ち得るのであれば、いかなる樹脂で
も使用することができる。
【0031】こうした本発明の高分子樹脂は、単一モノ
マーあるいはオリゴマー、またはそれら混合物から重合
されたホモポリマーである必要は無く、2成分以上のモ
ノマーあるいはオリゴマー、またはそれら混合物から重
合された共重合体、あるいは2成分以上の高分子樹脂か
らなる高分子ブレンドであっても良い。なお、透明性向
上のためこれら高分子樹脂は、可視光領域に吸収がほと
んど無いものが好ましい。
【0032】一方低分子液晶としては、正の誘電率異方
性および正の磁化率異方性を持つものが必要である。こ
れは、電場や磁場等の手段により分子長軸をある方向に
配向、特にホメオトロピック配向させるためである。
【0033】ここで正の誘電率異方性とは、液晶分子長
軸方向の誘電率をεa、長軸に垂直方向の誘電率をεbと
した場合、Δε=εa−εbが正の値を持つとここでは定
義され、一方、正の磁化率異方性を持つとは、液晶分子
長軸方向の磁化率をΧa、長軸に垂直方向の磁化率をΧb
とした場合、ΔΧ=Χa−Χbが正の値を持つとここでは
定義する。
【0034】低分子液晶は、1種類の液晶分子である必
要はなく、数種類の液晶混合物であってもよい。また、
透明性向上のため、低分子液晶は可視光域にほとんど吸
収がないことが望まれる。もちろん、数種類の液晶混合
物の場合は、例えば、誘電率異方性または磁化率異方性
が負であるものを少量混ぜてもよく、この場合は液晶混
合物全体として、誘電率異方性および磁化率異方性が正
であれば良い。
【0035】本発明における位相差板の透明性向上のた
め、低分子液晶の屈折率と高分子樹脂の屈折率は、厳密
に一致させる必要はないが、低分子液晶と高分子樹脂の
屈折率差に起因する界面散乱を最小にするためにも、近
いものであることが好ましい。また、低分子液晶の複屈
折率が大きいと液晶の散乱が大きくなる傾向があること
から、透明性向上という点においては低分子液晶の複屈
折率は小さい方が好ましい。
【0036】低分子液晶と高分子樹脂との重量比は、1
0:90から97:3(重量%)であることが好ましいが、よ
り好ましくは20:80から95:5(重量%)、さらに好ま
しくは30:70から90:10(重量%)である。
【0037】低分子液晶と高分子樹脂との組合せにもよ
るが、この重量比よりも低分子液晶量が少ない場合に
は、膜厚方向に配向させるのが困難となり、一方、この
重量比より低分子液晶量が多い場合には、熱的耐久性や
経時安定性に問題が生じる。
【0038】本発明者らは、低分子液晶と高分子樹脂と
の量比について鋭意検討したところ、低分子液晶と高分
子樹脂との量比によりレターデーション視角特性を制御
できることが判った。すなわち、本発明における位相差
板のレターデーション視角特性の制御は、位相差板を構
成する材料、膜厚、製膜条件以外に、低分子液晶と高分
子樹脂との量比によっても可能である。
【0039】例えば表1には、膜厚10nmの位相差板に
おける、低分子液晶の混合比率と、入射角30°でのレタ
ーデーションR(30°)との関係を示す。
【0040】
【表1】
【0041】また本発明においては、低分子液晶と液晶
性高分子である高分子樹脂とのブレンド膜により本発明
の位相差板を製造してもよい。しかし、生産コストとい
う観点に立つのであれば、低分子液晶と汎用の高分子樹
脂ととの組合せが好ましい。
【0042】ところで本発明における位相差板は、その
少なくとも一方に光学等方性板状物を配置した積層体と
して構成することができる。ここで光学等方性板状物と
は、光学等方でかつ透明なものである。すなわち、樹脂
でできたシートやフィルムであっても良いし、板ガラス
のような物であってもよい。これら光学等方性板状物
は、ガスバリヤ性等の機能を持った保護層の役割を兼ね
ているものであってもよい。
【0043】なお位相差板と光学等方性板状物を積層さ
せる際に、接着剤や粘着剤等の接着層を必要とする場合
には、接着層は透明なアクリル系接着剤、粘着剤等が用
いられる。その接着剤等の種類については特に限定はな
い。位相差板、光学等方性板状物の光学特性の変化防止
の点より、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しない
ものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しな
いものが望ましい。屈折率が異なるものを積層する場合
には、中間の屈折率を有する接着剤等が反射損の抑制な
どの点より好ましく用いられる。
【0044】こうした光学等方性板状物はガラス、ある
いはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエ
ーテルサルホン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレ
フィン、ポリアクリレート等の汎用樹脂が使用される
が、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0045】本発明の位相差板と偏光板を積層すれば、
楕円偏光板を構成することもできる。本発明の位相差板
と偏光板との積層物は、偏光板側から入射した光の方向
が、偏光板の法線方向と等しいとき、出射した光は直線
偏光であるが、該法線方向以外の入射角を持つ場合には
楕円偏光となることを特徴とする。
【0046】前記の偏光板には特に限定はない。一般に
は、ポリビニルアルコールの様な親水性高分子からなる
フィルムをヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸した
ものや、ポリ塩化ビニルの如き樹脂フィルムを処理して
ポリエンを配向させたものなどからなる偏光フィルム、
ないしそれを封止処理したものなどが用いられる。
【0047】位相差板と偏光板との接着は、適宜に行っ
てもよいが、例えば、アクリル系等の透明な接着剤、な
いし粘着剤などを用いることができる。その接着剤等の
種類については特に限定はない。位相差板、偏光板等の
光学特性の変化防止の点より、硬化や乾燥の際に高温の
プロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理
や乾燥時間を要しないものが望ましい。屈折率が異なる
ものを積層する場合には、中間の屈折率を有する接着剤
等が反射損の抑制などの点より好ましく用いられる。
【0048】本発明における位相差板を、TN方式等液
晶セルの光学補償素子として使用し、液晶セルと偏光板
の間に介してもよい。もちろん目的に応じて、位相差板
は液晶セルの片側のみではなく、両側に配置されてもよ
い。
【0049】本発明における位相差板を、液晶表示素子
の光学補償素子として用いる場合には、液晶セル中の液
晶と同じ液晶を該位相差板に用いるか、あるいは、液晶
複屈折率の波長分散が、液晶セル中の液晶に近いものが
好ましい。すなわち、TN、STN方式のような液晶セ
ルに使用されている液晶分子であるシアノビフェニル系
液晶、シアノフェニルシクロヘキサン系液晶、シアノフ
ェニルエステル系液晶等が好適に用いられるが、もちろ
んこの限りではない。ただし、TN、STN方式の液晶
セルでは液晶に旋光性を付与させるためカイラル剤を混
ぜているが、本発明における位相差板にカイラル剤の必
要はない。
【0050】また、本発明に用いられる低分子液晶はネ
マチック液晶またはスメクチック液晶であることが好ま
しく、用いられる用途にもよるが、例えば屋外で用いら
れるような液晶表示装置に使用されるならば、熱的耐久
性を考えて、液晶相/等方相の相転移温度は50℃以上で
あることが好ましいが、具体的には高分子樹脂と低分子
液晶との組合せ、製造条件等により決定される。このよ
うに、本発明における位相差板は、液晶セルに対応した
光学補償素子として所望の特性を、低分子液晶と高分子
樹脂の組合せによって、容易に実現することができるこ
とも大きな特徴の一つである。
【0051】
【実施例1】高分子樹脂形成性化合物として、アクリロ
イルモルフォリンである興人社製の商品名ACMO、正
の誘電率異方性および磁化率異方性を持つ低分子ネマチ
ック液晶として、メルク社製の商品名BL011、光重
合開始剤として、ベンジルジメチルケタールであるチバ
ガイギー社製の商品名BDMKを用いた。
【0052】そしてこれらの混合割合は、ACMO:B
L011=60:40(重量比)、さらに光開始剤は高分子
樹脂形成性化合物に対して0.1重量%とした。
【0053】こうして得られた混合物を、基板間隔10μ
mの透明導電性電極付ガラス基板の間に挟み、温度28℃
に混合物を保ち、電極間に50Hz、100Vの電場を印加
した。電場印加中に水銀ランプを光源とする光を10mW
/平方cmで5分間照射し、光照射終了後、電場印加を
止め位相差板を得た。なお、高分子樹脂化したACMO
のTgは142℃であった。また、BL011のネマチッ
ク相/等方相の相転移温度は62℃であった。
【0054】そしてこうして得られた位相差板につい
て、透過率とレターデーションの視角特性を、波長590
nmで測定した結果を表2に示す。
【0055】ここで透過率の測定は、大塚電子社製のM
CPD−1000で行い、透過率100 %はサンプルがな
い状態、0%は完全に光を遮断した状態とした。またレ
ターデーションの視角特性測定には、KSシステムズ社
製KOBRA−21ADHと日本分光社製M−150を
用いた。
【0056】ところで、複屈折率測定装置であるKSシ
ステムズのKOBRA−21ADHは、原理的にレター
デーションが0nm付近の測定値が安定しないので、測
定原理が異なり0nm付近でも測定精度の良い偏光変調
法を測定原理とする日本分光のM−150でも測定し、
入射角が0°のときのみ両方の値を示した。すなわち表
2中で、R* (0°)はM−150で測定した値であ
り、それ以外のレターデーションはKOBRA−21A
DHで測定した値である。
【0057】また本位相差板は入射角が0°の場合、レ
ターデーションがほぼ0nmであるので、位相差板平面
においては光学軸が存在していない。そこで、位相差板
面とは平行にXY平面を設けたXYZ直交座標系を、任
意の位置を原点として設定する。ただし最初に測定した
入射光と位相差板法線であるZ軸とでつくられる平面を
XZ平面とする。そして入射光がXZ平面内にあって、
Z軸と入射光とのなす角度すなわち入射角がθのレター
デーションの値をRXZ(θ)とした。同様にRYZ(θ)
は、入射光がYZ平面内にあって、Z軸と入射光とのな
す角度すなわち入射角がθのレターデーションとされ
る。
【0058】さらに入射角0〜50°におけるレターデー
ションの視角特性を、KSシステムズ社製KOBRA−
21ADHで測定し、その結果を表3に示す。
【0059】またRxz(20°)におけるレターデーショ
ンの波長分散特性を、日本分光社製M−150で測定
し、その結果を表4に示す。この結果より、R(400n
m)/R(550nm)=1.24であり、同様の測定を厚さ1
00μmのポリカーボネートフィルムで行ったところ、1.
15であった。
【0060】なお経時安定性を観察するために、製作後
10日目に同様な測定を行ったが、測定値にほとんど変
化は見られなかった。
【0061】
【実施例2】ACMO:BLO11=30:70(重量比)
としたほかは実施例1と同じ条件にすることにより、位
相差板を得た。
【0062】そして実施例1と同様に得られた位相差板
について、透過率とレターデーションの視角特性を波長
590nmで測定し、その結果を表2に示す。また経時安
定性を観察するために、製作後10日目に同様な測定を
行ったが、測定値にほとんど変化は見られなかった。
【0063】
【実施例3】ACMO:BL011=10:90(重量比)
としたほかは実施例1と同じ条件にすることにより、位
相差板を得た。
【0064】そして実施例1と同様に得られた位相差板
について、透過率とレターデーションの視角特性を波長
590nmで測定し、その結果を表2に示す。また経時安
定性を観察するために、製作後10日目に同様な測定を
行ったが、測定値にほとんど変化は見られなかった。
【0065】
【実施例4】ACMO:BL011=20:80(重量
比)、基板間隔5μmとしたほかは実施例1と同じ条件
にすることにより、位相差板を得た。
【0066】
【実施例5】高分子樹脂形成性化合物として、アクリロ
イルモルフォリンである興人社製の商品名ACMO、正
の誘電率異方性および磁化率異方性を持つ低分子ネマチ
ック液晶として、メルク社製の商品名BL009、熱重
合開始剤としてt−ブチルペルオキシピバレートである
日本油脂社製の商品名パーブチルPVを用いた。
【0067】そしてこれらの混合割合は、ACMO:B
L009=30:70(重量比)、さらに熱重合開始剤は高
分子樹脂形成性化合物に対して0.1重量%とした。
【0068】こうして得られた混合物を、基板間隔10μ
mの透明導電性電極付ガラス基板の間に挟み、電極間に
50Hz、100Vの電場を印加した。電場印加中に混合物
をガラス基板ごと85℃に6分間加熱し、加熱冷却後、電
場印加を止め位相差板を得た。なお、BL009のネマ
ッチク相/等方相の相転移温度は108℃であった。
【0069】そして実施例1と同様に得られた位相差板
について、透過率とレターデーションの視角特性を波長
590nmで測定し、その結果を表2に示す。また経時安
定性を観察するために、製作後10日目に同様な測定を
行ったが、測定値にほとんど変化は見られなかった。
【0070】
【実施例6】実施例2で、混合物と接しているガラス基
板の一方をTN型液晶セル、他方を偏光板としたこと以
外は、すべて実施例2と同様にして位相差板積層体を作
製した。偏光板1/TN型液晶セル/位相差板/偏光板
2の積層体を作製し、偏光板1側から光を入射してコン
トラストの視角依存性を測定したところ、偏光板1/T
N型液晶セル/偏光板2の構成に比べて、コントラスト
の上下左右方向の視角特性が改善されたことを確認し
た。
【0071】
【比較例1】光硬化中に電場を印加しないこと以外は、
実施例1と同様にして位相差板の製造を試みた。しか
し、得られた膜の光透過率は、590nmの光で6%と低
く、目的の位相差板を得ることができなかった。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【発明の効果】以上詳述したとおり本発明によって、測
定光590nmにおける光透過率が80%以上、かつ膜平面
法線方向より入射した波長590nmの光で測定したレタ
ーデーションが20nm以下であり、さらに膜平面法線と
の角度θ1とθ2(0°≦θ1<θ2<90°)で入射させた
光で測定したレターデーションR(θ1)とR(θ2)に
関して、R(θ1)<R(θ2)が成立すると言う特性を
有した、液晶表示素子における視角依存性改善用光学補
償板として用いる位相差板を得ることができる。
【0076】すなわち本発明によって、可視光域等の広
帯域にわたり膜面より斜め方向から入射した光に対して
は位相差を与え、正面より入射した光に対しては光学的
に等方であるとして作用する位相差板を得ることができ
る。
【0077】そして本発明の位相差板を、偏光板と組み
合わせることにより楕円偏光板が、液晶セル等と組み合
わせることによりコントラストの視角特性に優れた液晶
表示素子を得ることができるといった効果を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶表示素子における視角依存性改善用
    光学補償板として用いる位相差板において、正の誘電率
    異方性および正の磁化率異方性を有する低分子液晶と、
    高分子樹脂との混合体よりなる膜であることを特徴とす
    る位相差板。
  2. 【請求項2】 低分子液晶が膜厚方向に配向固定してい
    ることを特徴とする請求項1記載の位相差板。
JP5270748A 1993-10-28 1993-10-28 位相差板 Pending JPH07146408A (ja)

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