JPH0713597B2 - 酸素濃度測定用具 - Google Patents

酸素濃度測定用具

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JPH0713597B2
JPH0713597B2 JP1071889A JP1071889A JPH0713597B2 JP H0713597 B2 JPH0713597 B2 JP H0713597B2 JP 1071889 A JP1071889 A JP 1071889A JP 1071889 A JP1071889 A JP 1071889A JP H0713597 B2 JPH0713597 B2 JP H0713597B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水あるいは血液などの被験液中の酸素濃度を
光学的に測定する酸素濃度測定用具及びそれに使用する
センサーに関する。
〔従来の技術〕
従来、水媒体中の酸素濃度測定には、酸素電極を用いた
いわゆる電気化学的手法が主であったが、例えば人工肺
使用時の体外循環する血液中の酸素分圧監視など、リア
ルタイムの計測にはこのような電気化学的手法では応答
速度が遅く、外部からの電磁気的な雑音の影響を受け易
く、また、例えばカテーテルなど血管内に挿入して血液
中の酸素濃度を測定することに用いるには微小化が困難
など多くの技術的障害があった。そこで、蛍光、燐光な
どの発光を酸素が消光する現象を利用した酸素濃度測定
用具が種々考案されてきた。
例えば、ピレン酪酸を発光体としてこれをジメチルホル
ムアミドに溶解し気体透過膜で覆う考案(アメリカ合衆
国特許第4,003,707号)、シリコーンなどの疎水性高分
子膜中に、ピレン酪酸を運ぶポリアクリルアミドなどの
親水性高分子のビーズを多数分散させる考案(アメリカ
合衆国特許第4,557,900号)、シリコーン系ポリマーを
マトリックスに用いて、これに発光体を混合する考案
(特公昭59−24379号、特開昭59−108958号)などがあ
る。これらの考案では、発光体はマトリックスに化学的
に結合されていないため、水媒体中で長時間溶出するこ
となしに使用することは困難であったばかりか、気体透
過膜が何らかの外的要因によって一部が破壊した場合に
は直ちに発光体が被験液中に溶出する危険性すらあっ
た。特に、可塑剤を含有させたポリマーをマトリックス
に使用する考案(特開昭59−108957号、欧州特許公開公
報第0190829A2号)では、被験液に血液を用いた場合で
は可塑剤が血液中に溶出しやすく、その際に発光体も同
時に溶出し感度の低下を招き易く、体内で用いた場合に
は危険が伴うという問題があった。
また、多孔性ポリマーやシリカゲルなどの担体に発光体
を吸着固定する考案(特開昭57−500896号)では、作製
方法が複雑で水不透過性の外包を用いるなど構成が複雑
で、微小化に不適であった。
一方、安全性を考慮し、発光体をマトリックスに共有結
合によって固定する提案(アメリカ合衆国特許第4,712,
865号)も出されているが、マトリックスはシリコーン
に限られ、発光体は芳香族炭化水素に限定されており、
そのため励起光に紫外線を使用する必要があり、したが
って光ファイバー等のいわゆる導光手段に紫外線透過性
(例えば、石英製)のものを用いなければならないなど
の制約があった。
ルテニウム錯体を発光体として用いた考案としては、ベ
ーコンらが、トリス(4,7−ジフェニル−1,10−フェナ
ンスロリン)ルテニウム(II)錯体過塩素酸塩をシリコ
ーンゴム中に固定したフィルムを用いて気体中の酸素濃
度の測定を試みている(アナリチカル・ケミストリー、
第59巻、第23号、2780頁〜2785頁、1987年)が、マトリ
ックスであるシリコーンを発光体の溶液に浸漬して発光
体を固定しただけであるので、発光体の溶出を完全には
防止できないという欠点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、水浸漬に対して発光体の溶出が著しく
小さく、従って応答が長時間に渡って安定であり、血液
に使用しても安全性の高い、上述のような公知技術の問
題点を解決した酸素濃度測定用センサー及びこれを用い
た酸素濃度測定用具を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の酸素濃度測定用具は、酸素濃度に対応して発光
強度が変化する蛍光または燐光を発する物質(以下「発
光体」)と親水性高分子マトリックスとを含有する層
(以下「試薬層」)からなるセンサー部、該発光体を光
励起するための励起光を得るための光源と該励起光を該
センサー部に導光する手段、該センサー部からの蛍光ま
たは燐光を含む光を導光する手段、及び該蛍光または燐
光の強度を検出する計測部に1って構成される、水また
は血液などの体液(以下「被験液」)中の酸素濃度を測
定する用具において、前記発光体が前記親水性高分子マ
トリックスに化学的に結合されていることを特徴とする
ものである。
発光体がトリス(2,2′−ビピリジン)ルテニウム(I
I)錯体、トリス(1,10−フェナンスロリン)ルテニウ
ム(II)錯体、及びこれら錯体のピリジン環内の炭素に
直接結合した水素の少なくとも一つが他の原子団によっ
て置換されたものから成る群から選ばれることにより、
感度良く酸素濃度の測定を行えると同時に、可視光での
励起が可能となり、従って導光する手段として紫外線不
透過性のより安価な材料からできているもの(例えば、
プラスチック光ファイバーなど)も使用できる。その他
使用可能な発光体としてはピレン、ピレン酪酸、1−ア
ミノピレン、ペリレン、ペリレンジブチレート、2,7−
ジクロロフルオレセインなどが挙げられる。
〔作 用〕
酸素分子O2は、蛍光あるいは燐光など光励起によって生
ずる発光に対して消光作用を持つことは広く知られてい
る。ここで、消光作用とは、酸素が存在すると存在しな
いときに比べ、発光強度が低下する現象を生ずることを
言う。通常、発光強度と酸素濃度との間には、次のよう
な式(これをシュテルン−フォルマーと式と呼ぶ)が成
り立つ。
I0/I=1+kq・τ〔O2〕 ……(1) ここで、I0は酸素分子が実質上存在しないときの発光強
度、Iは酸素濃度が〔O2〕の時の発光強度、kqは消光反
応速度定数、τは酸素分子が実質上存在しないときの
発光寿命である。
kq・τの項は酸素濃度に対して一定と考えられるか
ら、一般には、この項とI0を少なくとも2つ以上の既知
の酸素濃度での発光強度Iを測定することによって予め
求めておき、その後、Iの測定により未知の酸素濃度を
求めることができる。
しかるに、発光体を固定して酸素濃度を測定するに際し
ては、励起状態の発光体と酸素が消光反応しやすいよう
に、発光体を含有する試薬層は高い酸素拡散係数と酸素
の溶解度を必要とされ、発光寿命が長い発光体が特に選
ばれる。
ルテニウム錯体などの水溶性の発光体は、水の存在下で
酸素による消光が著しい。本発明者らは、鋭意検討の結
果、これらの発光体を親水性の高分子マトリックスに化
学的に結合させることにより非溶出性を高め、更に安定
な、より感度の高い酸素に対する応答が得られることを
見いだした。
即ち、親水性高分子マトリックスは含水することによっ
て、酸素の拡散係数と溶解度が大きくなる。ルテニウム
錯体はその多くが水溶解性が高いので、単にルテニウム
錯体を親水性高分子マトリックス中に分散、吸着しただ
けでは、これを水媒体中に浸漬するとルテニウム錯体は
容易に水に溶解してしまう。仮に、トリス(4,7−ジフ
ェニル−1,10−フェナンスロリン)ルテニウム(II)錯
体過塩素酸塩などのような水難溶性の発光体を用いた場
合でも、血液などには脂溶性のものも溶解するとされて
おり、これも溶解する危険性が高い。この溶出を防ぐ方
法として、このような発光体を含む試薬層と被験液の間
に気体透過性の膜(例えば、シリコーン)を介在させる
方法が考えられるが、その様な方法で作製したセンサー
部では、試薬層に水が透過しある一定の発光体濃度にな
るまでは少なくとも数日はかかり、使用前に十分に水に
浸漬しておく必要がある。また、気体透過性の膜が破れ
たり、これに細孔が開いた場合には、発光体が漏出して
しまう。
本発明のセンサーは、発光体が親水性高分子マトリック
スに化学的に結合しているため、水媒体に直接曝しても
溶解してしまう危険性はなく、上述のような気体透過性
の膜は必ずしも必要ではなく、また予めセンサーを水中
に浸漬しておく必要もない。
発光体であるルテニウム錯体を親水性高分子マトリック
スに化学的に結合せしめる方法は、重合可能な配位子
(例えば、4−メチル−4′−ビニル−2,2′−ビピリ
ジン)と親水性基を持つ重合可能なモノマー(例えば、
ヒドロキシエチルメタクリル酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)または重合反応後に親水性基に置換可能な官
能基を持つモノマー(例えば、酢酸ビニル、アクリロニ
トリル)とを共重合し、後に、共重合した配位子に対し
ルテニウムを錯結合させる方法がある。親水性基を持つ
ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)に結合可能
な官能基を持つ配位子(例えば、4−クロロメチル−
4′−メチル−2,2′−ビピリジン)を反応させた後、
ルテニウムを錯体結合させる方法なども使用できる。必
要とあらば、重合体の構成単位として、疎水性のモノマ
ー単位または/および架橋反応を起こすための官能基を
有するモノマー単位を、親水性を失わない範囲の濃度で
共重合しても構わない。
また、前記親水性高分子マトリックスは、架橋している
ことが望ましい。親水性高分子マトリックスを架橋させ
ることによって、水媒体への不溶性を更に高め、吸水力
を増加させ、より安定な酸素濃度測定を可能とすること
ができる。架橋は、一般に使用される架橋剤等による化
学的架橋、放射線による架橋、加熱による架橋、ポリア
クリル酸ナトリウムにみられるような自己架橋、ビニル
アルコール/アクリル酸ナトリウム共重合体に見られる
ようなポリビニルアルコール鎖の結晶形成などによって
行われる。
第1図及び第2図に示すように、このように発光体を化
学的に結合した親水性高分子マトリックスからなる試薬
層101を、光ファイバー208などの先端に接着し、センサ
ー部209を構成する。更に望ましくは、試薬層101と被験
液との間に親水性多孔質膜(図には示されていない)を
介在させることによって、試薬層101が光ファイバーな
どの先端面から脱着するのを防止すると同時に、被験液
中の妨害成分などが試薬層101内に侵入して測定誤差を
生じさせることを防ぐ。ルテニウム錯体を化学的に結合
した親水性高分子マトリックスからなる試薬層101を固
定したセンサー部209、例えば光ファイバー208のセンサ
ー部209を血液のような被験液210中に浸漬し、もう一方
の端部から、一般的な光学的手法により、適当な光源20
2(例えば、キセノンランプ、超高圧水銀灯、レーザ
ー)からの光を励起スペクトルの波長域(通常は、500n
m以下)に分光した光(励起光)104を導光し、該センサ
ー部209まで導光する。このとき、ルテニウム錯体は赤
橙色の発光105を生ずる。生じた発光105は光ファイバー
208内を進み、光学フィルター213、回折格子などの適当
な分光器で励起光成分と分けられ、受光素子(光電子増
倍管など)214において電気信号に変換され発光強度が
測定されるのである。一般には、センサー部209が浸漬
されている被験液210の酸素濃度と発光強度との関係か
ら前述の各係数を求めておき、後に未知の酸素濃度を算
出する。この場合、励起光は時間的に連続光であっても
パルス光であってもよく、また、発光を導く光ファイバ
ーは励起光を導く光ファイバーと同一でも、異なるもの
でもよい。
以下に、実施例をもって本発明の具体例を示す。
実施例1 4−メチル−4′−ビニル−2,2′−ビピリジンを既存
の方法(P.K.ゴーシュ他:ジャーナル・オブ・ケミカル
・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、第102巻、5543頁、1
980年)で合成・精製した。メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチルを高真空蒸留によって精製した。脱気した1,4
−ジオキサン40ml中でα,α′−アゾビスイソブチロニ
トリル0.0138gの存在下で、4−メチル−4′−ビニル
−2,2′−ビピリジン(0.392g)とメタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル(5.28g)を共重合した。
得られた共重合体1.73gと、既存の方法(G.スプリント
シュニク他:J.Am.Chem.Soc.、第99巻、4947頁、1977
年)により合成・精製したシス−ジクロロビス(ビピリ
ジン)ルテニウム錯体0.213gとを1−ブタノール765ml
中で還流下で反応させた。生成物を蒸発乾固し、クロロ
ホルムで抽出し、再び蒸発乾固し、最終生成物A0.71gを
得た。Aは元素分析の結果から、次のような構造を持つ
共重合体であることが分かった。
クラッド径が0.5mmのプラスチック光ファイバー(長さ2
m)の片端面にA(2mg)のジメチルホルムアミド1ml溶
液を塗布し、乾燥によってAの薄い層を得た。Aとプラ
スチック光ファイバーは完全に接着した。
第2図の光学装置にこの光ファイバーのもう一方の端部
を結合し、励起光として波長440nm付近の単色光を導入
しセンサー部まで導き、生じた発光と、励起光の散乱光
を同光ファイバーによって導き、同光学装置において発
光波長成分のみを分別し発光は光電子増倍管によって電
気信号に変換した後、演算装置に入力した。センサー部
は牛血液中に浸漬されており、牛血液は人工肺を含む循
環回路において任意の酸素濃度に調節された。
得られた発光強度(I0/I)と酸素濃度〔O2〕(分圧で表
示)とはシュテルン−フォルマーの式で表される良好な
直線関係を示し、酸素濃度測定用具として優れているこ
とがわかった。
実施例2 既存の方法(C.G.ピット他、ジャーナル・オブ・ポリマ
ー・サイエンス:ポリマー・レターズ・エディション、
第24巻、13頁、1986年)によって、4−クロロメチル−
4′−メチル−2,2′−ビピリジンを合成・精製し、ポ
リビニルアルコール(平均分子量25,000)0.5gがジメチ
ルフォルムアミド50mlに溶解され、水素化ナトリウム16
7mgが添加された溶液に、その1.70gをジメチルフォルム
アミド20mlに溶解した溶液を添加して、2時間加温反応
させた。反応混合物を50%エタノール中で透析・精製し
た。
この共重合体は、元素分析の結果、4mol%のビピリジン
基を持つことが確認された。実施例1と同様にしてビピ
リジン基2個につき1分子の割合でシス−ジクロロビス
(ビピリジン)ルテニウム錯体を反応させ、透析、精製
後、最終生成物を得た。これを150℃、20分間処理し、
水不溶性のポリマーBを得た。
これを、実施例1と同様にして光ファイバーに固定し
て、牛血液に浸漬し、酸素濃度測定を行った。発光強度
(I0/I)と酸素分圧とはシュテルン−フォルマーの式に
示される良好な直線関係を示した。
〔発明の効果〕 以上、詳述したように、本発明は、親水性高分子マトリ
ックスに発光体が化学的に結合されている試薬層を有す
ることを特徴とするものであるため、長時間安定に再現
性よく、かつ安全に被験液中の酸素濃度を測定すること
ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のセンサー部の一実施例を示す断面図で
あり、第2図は本発明の実施例1及び実施例2において
用いた光学装置の概略図である。 101……試薬層、 102……光ファイバーのコア、 103……光ファイバーのクラッド、 104……励起光、 105……発光、 201……光源用電源装置、 202……光源(キセノンランプ)、 203……非球面レンズ、 204……干渉フィルター(440nm)、 205,211及び212……凸レンズ(焦点距離)、 206……二色性鏡、 207……対物レンズ(x20)、 208……プラスチック光ファイバー、 209……センサー部、 210……血液、 213……干渉フィルター(610nm)、 214……光電子増倍管、 215……光電子増倍管用高圧電源、 216……プリアンプ、 217……A/Dコンバータ、 218……演算装置(コンピュータ)、 219……表示装置(CRT)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−108957(JP,A) 特開 昭59−28494(JP,A) 特開 昭59−97041(JP,A) 特開 昭63−70151(JP,A) 特公 昭61−61348(JP,B2) 特公 昭62−26423(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素濃度に対応して発光強度が変化する蛍
    光または燐光を発する物質(以下「発光体」)と親水性
    高分子マトリックスとを含有する層(以下「試薬層」)
    からなるセンサー部、該発光体を光励起するための励起
    光を得るための光源、該励起光を該センサー部に導光す
    る手段、該センサー部からの蛍光または燐光を含む光を
    導光する手段、及び該蛍光または燐光の強度を分別し検
    出する計測部によって構成される、被験液中の酸素濃度
    を測定する用具において、前記発光体が前記親水性高分
    子マトリックスに化学的に結合されていることを特徴と
    する酸素濃度測定用具。
  2. 【請求項2】前記マトリックスが、架橋している請求項
    (1)記載の酸素濃度測定用具。
  3. 【請求項3】発光体が、トリス(2,2′−ビピリジン)
    ルテニウム(II)錯体、トリス(1,10−フェナンスロリ
    ン)ルテニウム(II)錯体、及びこれら錯体のピリジン
    環内の炭素に直接結合した水素の少なくとも一つが他の
    原子団によって置換されたものから成る群から選ばれる
    請求項(1)記載の酸素濃度測定用具。
  4. 【請求項4】酸素濃度に対応して発光強度が変化する蛍
    光または燐光を発する物質(発光体)と親水性高分子マ
    トリックスとを含有する試薬層を有する酸素濃度測定用
    センサーにおいて、発光体が親水性高分子マトリックス
    に化学的に結合していることを特徴とする酸素濃度測定
    用センサー。
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