JPH0712914Y2 - 若材令コンクリート貫入試験装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は若材令コンクリート貫入試験装置に係るもので
ある。

（従来の技術） 若材令時におけるコンクリートの強度管理は、通常コン
クリート打設後の経過時間、及び強度管理供試体による
圧縮試験結果をもとにして行なっているが、施工管理上
は現場コンクリートによる直接的な強度管理方法が望ま
しい。従って若材令時における現場コンクリートの圧縮
強度を非破壊的に求める強度管理方法の検討が必要であ
る。

硬化コンクリートの場合には、従来技術におけるコンク
リートの非破壊的な現場強度推定方法として各種の方法
が提案され、規格、標準化されている。

しかしながら、若材令時における極めて低強度のコンク
リートの場合、規格、標準化された方法はない。

圧縮強度10kgf/cm₂程度の低強度を対象とした点で、土
質分野のサウンデイングにおける動的並に静的貫入方式
や回転方法が規格、標準化されているのにすぎない。

前記動的貫入方式による標準貫入試験は、櫓を組み、地
中深くに円錐状の先端部を貫入させてＮ値を測定する方
式であり、静的貫入方式のコーン貫入試験は、人力ある
いは重錘で地中に円錐状の先端部を貫入させて貫入抵抗
値を測定する方式であり、また回転方式の簡易ベーン試
験は、断面十字形のベーン（抵抗翼）を地中に埋込み、
中心軸に極めて緩徐な回転を与える抵抗モーメント値を
測定する方式である。

（考案が解決しようとする課題） 前記動的貫入方式の標準貫入試験は支持層の深さ及び支
持力の判定、特に砂層の密度、強度変化の測定に適し、
粘土の場合は硬質粘度に好適であるが、大規模であり、
非破壊試験には不適当である。

静的貫入方式のコーン貫入試験は携帯式で便利である
が、コーンが粗骨材に当ると抵抗値が大きくなり、精度
が期待できない。

回転方式の簡易ベーン試験は携帯型で便利であるが非破
壊試験には不適当で、ベーンが粗骨材に当ると抵抗モー
メントが大きくなり、精度が期待できない。

本考案は前記従来技術の有する問題点に鑑みて提案され
たもので簡単な構成で、貫入試験結果から若材令時にお
ける極めて低強度のコンクリートの強度発現を確認しう
る若材令コンクリート貫入量測定装置を提供する点にあ
る。

（課題を解決するための手段） 前記の目的を達成するため、本考案に係る若材令コンク
リートの貫入試験装置は、円筒体の頂蓋に可摺動的に嵌
挿されたシヤフトの下端部に固着されたばね受片と、前
記円筒体の底蓋との間にばねを介装し、同底蓋と先端面
に突起状の目印が附された半球状または円錐状の先端貫
入部片とを連結材で連結して構成されている。

（作用） 本考案に係る試験装置は前記したように構成されている
ので、前記先端貫入部片を介して若材令時における極め
て低強度のコンクリート表面に同面と垂直に前記試験装
置を押し当て、前記シヤフトを底蓋側に押圧し、同シヤ
フトの変位量に比例する同シヤフト下端のばね受片と、
同シヤフトが可摺動的に嵌挿された円筒体の底蓋との間
に介装されたばねの変位量を知ることによって、前記試
験装置に負荷される荷重が判る。

従って前記試験装置のシヤフトを介して極めて低強度の
若材令コンクリート表面に所定の荷重を載荷したのち前
記貫入試験装置を取除くと、若材令コンクリートの表面
に先端貫入部片によるくぼみが形成されるとともに、同
貫入部片に設けた前記目印の突起の跡が、前記くぼみに
残る。

本考案によれば、前記突起の跡をくぼみの径として測定
し、同くぼみの径と圧縮強度との関係から前記若材令コ
ンクリートの強度を推定することができるものである。

（実施例） 以下本考案を図示の実施例について説明する。

（１）は外周面に荷重目盛（２）が附された貫入試験装
置（Ａ）の円筒体で、同円筒体（１）の頂蓋（３）にハ
ンドル（４）付きのシヤフト（５）が可摺動的に嵌挿さ
れ、同シヤフト（５）における前記円筒体（１）内に貫
入した下端部に固着されたばね受片（６）と、前記円筒
体（１）の底蓋（７）との間にばね（８）が介装され、
前記底蓋（７）と、半球状または円錐状の先端貫入部片
（９）とに、連結材（10）の上下に設けた螺桿部が螺着
されている。

なお前記円筒体（１）には母線方向にスリツト（11）が
設けられ、同スリツト（11）を通して前記ばね（８）の
適宜部分に附された標識（12）が透視され、貫入試験装
置（Ａ）におけるばね（８）の変形量を知ることによ
り、同装置（Ａ）により負荷される荷重が判るように構
成されている。

前記先端貫入部（９）には突起状の目印が、同貫入部片
（９）の中心部で互いに直交するように、十字状に設け
られている。

而して圧縮強度を推定しようとする若材令コンクリート
（Ｂ）の表面に、垂直に前記貫入試験装置（Ａ）を押し
当て、（第３図参照）前記ハンドル（４）を円筒体
（１）の底蓋（７）側に押圧して所定の荷重を載荷し
て、前記コンクリート（Ｂ）の表面にくぼみ（Ｃ）を複
数個所付ける。（第４図参照） この際前記先端貫入部片（９）の突起状の目印が十字状
に設けられていることによって、前記コンクリート
（Ｂ）中に先端貫入部片（９）が貫入した範囲まで十字
型の溝（13）ができる。これは貫入深さが浅く、それに
よって生じたくぼみ（Ｃ）が小さい場合、あるいは不鮮
明な場合には、貫入量を測定するときの目印として有効
である。

また十字型の溝（13）が第５図に示すように、くぼみ
（Ｃ）の中心に対して対称であると、先端貫入部片
（９）がコンクリート（Ｂ）の表面に垂直に貫入したこ
との確認ができる。第６図に示すように十字型の溝（1
3）がくぼみ（Ｃ）の中心に対して非対称であると、先
端貫入部片（９）がコンクリート（Ｂ）の表面に対して
傾斜していることが判る。

而して前記コンクリート（Ｂ）の表面に付された十字型
の溝（13）の跡を計測して前記コンクリート（Ｂ）のく
ぼみ（Ｃ）の径を測定する。

而して同くぼみ（Ｃ）の径とコンクリートの圧縮強度と
の関係から予め求めておいた圧縮強度推定式を用いて、
前記若材令コンクリート（Ｂ）の圧縮強度を推定する。

なお前記先端貫入部片（９）に設けられる十字状の突起
状の目印は、貫入試験時における変形しない材質より構
成されるもので、例えば0.5mm径のピアノ線で突起状の
目印を十字型につけるものである。

突起状に0.5mm径のピアノ線で十字型の目印をつけた直
径100mmの半球を先端貫入部として取付け、載荷荷重を3
0kgfとした場合の、ECL工法を対象にした配合のコンク
リートにおけるくぼみの径Ｄと圧縮強度σとの関係を第
７図に示す。

その結果、くぼみの直径Ｄ（mm）と圧縮強度σ（kgf/cm
₂）との間に、強い負の相関関係があり、式（１）に示
す近似式が得られた。

近似式 −0.172×Ｄ σ＝26.2×ｅ …（１） 相関関係 γ＝−0.907,データ数:n＝124 なお前記実施例においては前記くぼみ（Ｃ）の径の測定
がし易いように、先端貫入部片（９）における突起状の
目印が十字状に設けられているが、中心部を過ぎる放射
状に配設されてもよい。

なお前記貫入試験装置の荷重載荷方法として、人力でば
ねを縮めるのではなく、圧縮空気で安定した状態で制御
するようにしてもよく、或いはまた油圧操作によって安
定した状態で制御するようにしてもよい。

（考案の効果） 本考案によれば、円筒体の頂蓋に可摺動的に嵌挿された
シヤフトの下端部に固着されたばね受片と、前記円筒体
の底蓋との間にばねを介装し、同底蓋と先端面に突起状
の目印が付された半球状または円錐状の先端貫入部片と
を連結材で連結して若材令コンクリート貫入試験装置を
構成したことによって、若材令コンクリートの強度を確
認することができる。

従って本考案によれば、若材令コンクリートの直接的な
強度管理ができるので、工程管理がし易く、コンクリー
トが極めて低強度の段階で脱型を必要とするスリツプフ
オーム工法等において、直接的なコンクリートの強度管
理が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る若材令コンクリート貫入試験装置
の一実施例の一部を縦断して示した分解正面図、第２図
は先端貫入部片の他の実施例を示す正面図、第３図及び
第４図は本考案の試験装置による若材令コンクリートの
貫入量測定方法の工程を示す側面図、第５図及び第６図
は若材令コンクリートの表面に付された本考案の試験装
置によるくぼみを示す平面図、第７図は若材令コンクリ
ートの表面に付されたくぼみと圧縮強度との関係図であ
る。 （１）…円筒体、（３）…頂蓋、（５）…シヤフト、
（６）…ばね受片、（７）…底蓋、（８）…ばね、
（９）…先端貫入部片、（10）…連結材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒体の頂蓋に可摺動的に嵌挿されたシヤ
   フトの下端部に固着されたばね受片と、前記円筒体の底
   蓋との間にばねを介装し、同底蓋と先端面に突起状の目
   印が附された半球状または円錐状の先端貫入部片とを連
   結材で連結してなることを特徴とする若材令コンクリー
   ト貫入試験装置。