JPH07127675A - 高速車両用鋳鉄製ブレーキディスク - Google Patents

高速車両用鋳鉄製ブレーキディスク

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JPH07127675A
JPH07127675A JP29745993A JP29745993A JPH07127675A JP H07127675 A JPH07127675 A JP H07127675A JP 29745993 A JP29745993 A JP 29745993A JP 29745993 A JP29745993 A JP 29745993A JP H07127675 A JPH07127675 A JP H07127675A
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JP
Japan
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cast iron
brake
disc
brake disc
thermal
Prior art date
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Pending
Application number
JP29745993A
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English (en)
Inventor
Motoo Sakamoto
東男 坂本
Masahide Unno
正英 海野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速車両用ディスクブレーキとして耐え得る
耐熱き裂性が優れた鋳鉄製ブレーキディスクを提供す
る。 【構成】 重量比で、C:3.30〜3.70%、S
i:1.10〜1.60%、Mn:0.60〜1.00
%、Ni:1.50〜3.00%、Mo:1.00〜
2.50%、Ce:0.01〜0.03%、V:0.2
0〜0.30%、P:0.12%以下、S:0.12%
以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からな
り、ベイナイト組織の基地に多量の片状黒鉛が析出した
合金鋳鉄から構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高速車両用ディスク
ブレーキとして耐え得る耐熱き裂性が優れた鋳鉄製ブレ
ーキディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両の機械式制動方式としては、車
輪踏面制動方式とディスクブレーキ方式がある。近年、
車両の高速化、高荷重化により、吸収される制動エネル
ギーが増大しており、ブレーキ熱による車輪踏面の損傷
を防ぐため、ディスクブレーキ方式が多く採用されてい
る。
【0003】ブレーキディスク用材料には、摩擦特性、
摩耗、変形、熱き裂スコーリングなどの諸特性が総合的
に優れているねずみ鋳鉄が一般に使用されていた。そし
て、新幹線車両の開発に当たって、ディスクの形状や材
料の研究が行なわれ、その結果、Ni、Cr、Moを添
加した低合金片状黒鉛鋳鉄(以下NCM鋳鉄と称す)が
ディスク材料(旧国鉄規格を表1に示す)として採用さ
れ、現在も使用されている。
【0004】
【表1】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、経済の成長に伴
い輸送量の増大、時間価値の上昇などにより、新幹線車
両の高速化が益々要求されるようになり、現在では27
0Km/hが達成され、近い将来300Km/hの高速
車両が実現する勢いにある。このように車両が高速化し
た場合の運動エネルギーは著しく増大するため、制動時
にブレーキディスクに発生する熱エネルギーも著しく増
大する。そのため、軽量でかつ高強度の高速車両用ブレ
ーキディスクの開発が望まれている。
【0006】この発明は、かかる現状に鑑み、現在使用
されているNCM鋳鉄を材質的に改良して、300Km
/hを超える高速車両に使用し得る高速車両用鋳鉄製ブ
レーキディスクを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】ブレーキディスクのライ
ニングが摺動する面には微細な熱き裂が生じ、摺動の回
数が多くなるに従って進展する。このき裂の発生原因は
ブレーキ熱の繰り返しによる熱疲労であると考えられ
る。そこで、本発明者らは表1に示す現用の鋳鉄材料を
改良して、耐熱き裂製に優れた材料を開発するため、耐
熱き裂評価試験として、円板状試験片によるブレーキ実
験及び円筒試験片による熱サイクル実験を行なった。こ
の発明は、これらの実験の結果に基づいて完成されたも
のである。
【0008】すなわち、この発明の高速車両用鋳鉄製ブ
レーキディスクは、重量比で、C:3.30〜3.70
%、Si:1.10〜1.60%、Mn:0.60〜
1.00%、Ni:1.50〜3.00%、Mo:1.
00〜2.50% 、Ce:0.01〜0.03%、
V:0.20〜0.30%、P:0.12%以下、S:
0.12%以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純
物からなり、ベイナイト組織の基地に多量の片状黒鉛が
析出した合金鋳鉄で構成する。
【0009】
【作用】前記円板状試験片によるブレーキ実験は、図1
に示す円板状試験片1により、実際の使用条件をシミュ
レートした繰り返しブレーキ実験を行なった。この方法
によれば、実体とほぼ同じ鋳込み条件で作られた材料に
よって、耐熱き裂性、摩耗、摩擦特性、変形などが評価
できる。
【0010】その実験条件を表2に示す。条件1はライ
ニングにレジン製を用い、ブレーキ初速度を高くした加
速実験であり、条件2は実際に見られる熱き裂の発生状
況をシミュレートするために、ブレーキ初速度を小さく
し、熱サイクル数を多くした実験である。
【0011】
【表2】
【0012】円筒試験片による熱サイクル実験は、円筒
(直径25mm×長さ25mm)の表面に高周波加熱と
水冷を繰り返して熱サイクルを加える方法で行ない、最
高温度700℃、繰り返し数300回で熱き裂の発生状
況を観察した。
【0013】前記実験の結果について説明する。先ず、
表3に示すように、ねずみ鋳鉄の黒鉛量を変えた片状黒
鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄のブレーキ実験(表2の条件1)
を行なった。その結果を図2に示す。球状黒鉛鋳鉄(図
2b)の耐熱き裂性は現在使用されている片状黒鉛のN
CM鋳鉄に比べて劣っており、黒鉛形状の変化による材
質改良は見込みがないことが判明した。
【0014】
【表3】
【0015】次に、表4に示すように、基地組織を種々
に変えた材料のブレーキ実験(表2の条件2)を行なっ
た。その結果を図3に示す。また加速実験結果を表5に
示す。この結果より、フェライト地の鋳鉄は熱き裂が大
きく、また摩耗量も大きい結果が得られており、現状の
パーライト地のNCM鋳鉄(NCM3)が優れているこ
とがわかる。
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】以上の結果より、鋳鉄の黒鉛形状、基地組
織の影響を見る限り、NCM鋳鉄が優れていることがわ
かるので、更に化学成分の影響について調べた。表6に
CとNi量を変化させた供し材料の化学成分を示す。試
験結果のばらつきが大きいのでユーデン方格による統計
解析を行ない、その結果を表7に示す。
【0019】
【表6】
【0020】
【表7】
【0021】前記結果を更に詳細に検討するため、N
i、Mo、Vなどの影響について調べた。熱き裂試験
は、表8に示す供試材料で円筒を用いた熱サイクル実験
である。各材料の高温強度、熱き裂性実験から、この発
明による成分のほぼ中央値の材料で、実体によるブレー
キ実験を行なった。その結果は、図4に示すように、N
CM改良品(図4b)の熱き裂の発生進展の程度は従来
のNCM現状品(図4a)に比べ、かなり改良されてい
ることがわかる。
【0022】
【表8】
【0023】以上の実験の結果より、黒鉛量の多い片状
黒鉛で高強度の基地組織の鋳鉄が耐熱き裂性を向上でき
る。したがって、この発明は従来から新幹線用ブレーキ
ディスク材料として使用されている、表1に示すNCM
鋳鉄をベースとして、Ni、Cr、Moの含有量を増や
すと共に、基地をベイナイト組織とすることにより、優
れた耐熱き裂性を付与し、高速車両用ブレーキディスク
の耐久性を向上できた。
【0024】なお、この発明の鋳鉄材料は、前記のごと
く従来のNCM鋳鉄をベースとしているため、C、S
i、Mnの基本成分は変わりなく、他の合金元素は基地
をベイナイト組織化し、熱き裂性の改善を図るため、実
験結果に基づいて含有量を決定した。その結果を図5a
〜図5eに示す。すなわち、図は各成分金属の含有量と
熱衝撃による熱き裂長さとの関係を示したグラフで、熱
き裂長さは回帰式で計算した値であり、図中の水平線は
従来のNCM鋳鉄製ブレーキディスクの値である。な
お、Siについては、参考までに計算して図5eに示し
た。
【0025】前記結果に基づいて、Niは1.50〜
3.00%(図5a)、Moは1.00〜2.50%
(図5b) 、Vは0.20〜0.30%(図5c)、
Ceは0.01〜0.03%(図5d)、Siは1.1
〜1.6%とした。
【0026】
【実施例】3.5%C−1.4Si−0.7%Mn−
2.5%Ni−2.0%Mo−0.02%Ce−0.2
5%V鋳鉄を使って、新幹線用ブレーキディスクを鋳込
み、ブレーキ試験(初速度100Km/h、ブレーキ回
数80)を従来のNCM鋳鉄製ブレーキディスクと共に
行なった。その結果として熱き裂の発生状況を図4に示
す。図4aは従来のNCM鋳鉄製ブレーキディスクであ
るが、長さ30〜85mmの範囲で多数のき裂が発生し
ているに対し、図4bに示すこの発明の実施による改良
されたNCM鋳鉄製ブレーキディスクには、長さ40m
m以下の短いき裂が少数発生しており、従来品に比べ耐
熱き裂性に優れていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】ベイナイト組織の基地に多量の片状黒鉛
が析出した合金鋳鉄でブレーキディスクを構成すること
により、耐熱き裂性を著しく向上することができ、高速
車両用ブレーキディスクとしての性能を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円板状試験片により耐熱き裂性評価をするため
のブレーキ試験に用いる円板状試験片を示す説明図で、
(a)は円板状試験片の寸法を示す図、(b)は円板状
試験片の取付けを示す図である。
【図2】ブレーキ試験による熱き裂の発生状況を示す説
明図で、(a)はNCM片状黒鉛鋳鉄製デイスク、
(b)はNCM球状黒鉛鋳鉄製デイスクである。
【図3】基地組織が耐熱き裂性に及ぼす影響を、ブレー
キの繰り返し回数と最大き裂長さの関係で示すグラフで
ある。
【図4】従来のNCM鋳鉄製デイスク(a)と、この発
明の実施例(b)の耐久ブレーキ試験を行なった後の熱
き裂の発生状況を示す説明図である。
【図5】NCM鋳鉄中の主な合金元素の含有量が熱衝撃
による熱き裂に及ぼす影響を、含有量とき裂長さとの関
係で示すグラフで、(a)はNi、(b)はMo、
(c)はV、(d)はCe、(e)はSiである。
【符号の説明】
1 円板状試験片

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C:3.30〜3.70%、
    Si:1.10〜1.60%、Mn:0.60〜1.0
    0%、Ni:1.50〜3.00%、Mo:1.00〜
    2.50%、Ce:0.01〜0.03%、V:0.2
    0〜0.30%、P:0.12%以下、S:0.12%
    以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からな
    り、ベイナイト組織の基地に多量の片状黒鉛が析出した
    合金鋳鉄から構成し、耐熱き裂性が優れたことを特徴と
    する高速車両用鋳鉄製ブレーキディスク。
JP29745993A 1993-11-01 1993-11-01 高速車両用鋳鉄製ブレーキディスク Pending JPH07127675A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108941483A (zh) * 2018-08-23 2018-12-07 江苏华太电力仪表有限公司 一种高强度合金灰铸铁阀体制造工艺

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