JPH07126377A - フェノール類とアニリン類からなる共重合体及びその製造方法 - Google Patents

フェノール類とアニリン類からなる共重合体及びその製造方法

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JPH07126377A
JPH07126377A JP29463093A JP29463093A JPH07126377A JP H07126377 A JPH07126377 A JP H07126377A JP 29463093 A JP29463093 A JP 29463093A JP 29463093 A JP29463093 A JP 29463093A JP H07126377 A JPH07126377 A JP H07126377A
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JP
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aniline
phenol
copolymer
group
monomer
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JP29463093A
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English (en)
Inventor
Isao Kaneko
勲 金子
Shiro Kobayashi
四郎 小林
Hiroshi Uyama
浩 宇山
Hideji Kurioka
秀治 栗岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フェノール樹脂とアニリン樹脂の諸特性を有
し、耐熱性、耐酸化性が優れたフェノール/アニリン共
重合体及びその製造方法を提供する。 【構成】 ペルオキシダーゼ又はオキシダーゼを酵素と
し、過酸化物又は酸素を酸化剤としたフェノール類モノ
マーとアニリン類モノマーを溶媒中で共重合反応させ、
アニリン類モノマーを5モル%以上含有させることによ
り、優れた特性のフェノール/アニリン類モノマー共重
合体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール類とアニリ
ン類とからなる新規な共重合体及びその製造方法に関す
る。さらに詳しくは、水/有機溶媒系中で酸化カップリ
ング反応を進行させるに当たり、酵素触媒を用いて合成
された新規な共重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノール又はその誘導体等から合成さ
れるフェノール樹脂は電気的特性、機械的特性そしてコ
ストの面でバランスのとれた材料であり、産業上広い分
野で利用されている。実際、電子電気機器、通信機器や
自動車の部品材料として使用され、年々その生産量は増
加傾向を示している。しかしながら、フェノール樹脂を
長期使用すると熱又は光酸化による劣化が起こるという
欠点があった。一方、アニリン又はその誘導体等類から
得られるアニリン樹脂は、光酸化に対し安定であって電
気伝導性を有し、フィルム化することでスイッチ材料や
フレキシブル基盤としての開発が進められている。しか
しながら、汎用樹脂としては耐熱性、機械特性に劣ると
いった欠点があった。
【0003】このような特徴を有するフェノール樹脂又
はアニリン樹脂は、一般的に酸化カップリングによる脱
水縮合反応によって合成されるが、それは、金属酸化物
やCu/アミン触媒による溶液重合や電解重合によって
いる。酵素触媒を用いた例は、フェノール類においてわ
ずかに知られている(特公昭63−502079)のみ
で、同一の反応系においてフェノール類とアニリン類と
からなる非重合体を合成した例はほとんどなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】フェノール樹脂およ
びアニリン樹脂にはそれぞれ上記のような特徴がある
が、電子機器部品として使用するために、耐候性、耐熱
性さらには機械特性のすべてにおいて基準を満たさなけ
ればならない。このため汎用樹脂であるフェノール樹脂
にアニリン類を官能基として導入したり(特開平1−2
34421号)、5%以下の割合でアニリン樹脂を主鎖
中に含むフェノール樹脂との共重合体を合成して耐候性
の向上を図っていた(特開昭56−136821号)。
【0005】しかし、これらの方法では合成可能なモノ
マーが限定されたり、アニリン樹脂の特徴は失われてし
まう欠点があった。またフェノール樹脂と同等の諸特性
を有し、しかもアニリン樹脂の持つ電気化学的特徴をあ
わせ持つ共重合体は現在までほとんど合成されていない
のが実状である。
【0006】本発明は、上記の問題点にかんがみ発明さ
れてものであり、すぐれた特性を有する新規な共重合体
を提供するとともに、その製造方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者らは上記欠点を
補う方法を鋭意研究した結果、従来の合成方法とは異な
る手法でフェノール類とアニリン類とからなる共重合体
の合成を試み、フェノール樹脂の汎用性とアニリン樹脂
の耐酸化性を合わせ持つ、新規な共重合体を合成するこ
とに成功した。また本発明ではモノマーとして用いるフ
ェノール類の構造に関わりなく合成を進行させることが
可能である。
【0008】すなわちペルオキシダーゼ又はオキシダー
ゼを酸化還元酵素として用い、過酸化物又は酵素を酸化
剤として用いてフェノール類モノマーとアニリン類モノ
マーとを溶媒中で共重合反応させてフェノール/アニリ
ン共重合体を合成する。酸化還元酵素と酸化剤を触媒と
し、フェノール類からなる重合単位とアニリン類からな
る重合単位の共重合体であるフェノール/アニリン共重
合体を製造する。
【0009】本発明においては、各モノマーの反応性で
はなく、仕込比に等しい組成を持った共重合体が合成で
きることも判明された。使用される触媒やモノマーの濃
度は溶媒100mlあたり、酸化還元酵素が2〜100
mgで、酸化剤である過酸化物あるいは酸素がモノマー
に対して0.5〜3倍等量であり、さらにはフェノール
類とアニリン類からなるモノマー量が5〜500ミリモ
ルであることが望ましい。また溶媒として有機溶媒や水
溶液、あるいはその両者を任意の割合で混合した溶媒が
使用でき、溶媒のpHが4〜10の間で合成が進行する
反応条件が一般に採用される。
【0010】フェノール類又はアニリン類に含まれる重
合単位はそれぞれフェノール及びその誘導体、アニリン
及びその誘導体であれば問わないが、各モノマーとして
は、下記の一般式(1)で示されるフェノール類モノマ
ーと下記の一般式(2)で示されるアニリン類モノマー
も当然含む。
【0011】
【化4】
【0012】ただし、R1〜R3はいずれも水素基、置換
又は無置換の炭化水素基、アミノ基もしくは水酸基を示
し、R4〜R6はいずれも水素基、置換又は無置換の炭化
水素基もしくはアミノ基を示し、R7,R8はいずれも水
素基もしくは置換又は無置換の炭化水素基を示す。
【0013】上記化学式4において示したフェノール類
及びアニリン類の各モノマーから合成されるフェノール
/アニリン共重合体において、該アニリン類モノマーを
重合単位比率で5モル%以上含有したものは、汎用性、
特に耐熱性、耐酸化性に優れ、樹脂磁石用バインダー、
半導体回路封止用樹脂、回路基盤等の用途に有望であ
る。
【0014】その優れた特性を有するフェノール/アニ
リン共重合体を得る製造方法としては、使用される酵
素、酸化剤およびモノマーの量比はゼロ以外の如向なる
ものでも反応は進行するが、実用上有用な共重合体を得
るには、溶媒100mlに対して酸化還元酵素が5mg
以上、酸化剤はモノマーに対して約等モル量がよい結果
を与える。さらにフェノール類とアニリン類とからなる
モノマー量は、共重合体の分子量を5,000〜15
0,000の範囲にする場合、5〜500ミリモルの間
であることが望ましい。
【0015】本発明において、フェノール類モノマーを
上記化学式の一般式(1)で示されるフェノール類を、
アニリン類モノマーとして同式の一般式(2)で示され
るアニリン類を選択する場合は、より好ましいものとし
て以下の誘導体が考えられる。
【0016】一般式(1)で示されるフェノール類は、
フェノールやオルト位、パラ位がメチル基、エチル基、
フェニル基さらにはアミノ基や水酸基で置換されたフェ
ノール誘導体である。それらには、クレゾール、エチル
フェノール、アミノフェノール、カテコール、ヒドロキ
ノン、フェニルフェノール、ジメチルフェノール、ジエ
チルフェノール、トリメチルフェノールなどがある。ま
たニトロ基、カルボキシル基、クロロ基を導入したモノ
マーも使用できる。
【0017】一般式(2)で示されるアニリン類は、ア
ニリンやオルト位、パラ位さらにはN位がメチル基、エ
チル基、フェニル基で置換されたアニリン誘導体であ
る。その代表的なものとして、メチルアニリン、エチル
アニリン、フェニルアニリン、N置換又はN,N置換ア
ニリンがあり、同様に2または3置換体もモノマーとし
て使用可能である。さらにより反応性に富み実用上重要
なアニリン類として、オルト位またはパラ位がアミノ基
で置換されたフェニレンジアミンがあり、メチル基、エ
チル基、ニトロ基、カルボキシル基さらにはクロロ基な
どの1または2置換されたフェニレンジアミンも重要で
ある。ここで合成される共重合体の諸特性を満足させる
ために、フェノール類およびアニリン類のいずれにおい
ても、複数種類のモノマーを選ぶことも可能である。
【0018】表5はアニリン類モノマーとしてオルトフ
ェニレンジアミン(O-フェニレンジアミン)を選択
し、コモノマーと仕込み比1:1(モル比)で重合させ
た結果(重合時間24時間)を示すものである。同表中
の2種類のフェノール類(No.1,2)では高分子量の
コポリマーが得られたのに対し、芳香族アミン類(No.
3,4,5)では収率が低いか分子量がやや低めであっ
た。
【0019】合成反応に用いる触媒は酸化還元酵素と酸
化剤であるが、酵素にはペルオキシダーゼ、オキシダー
ゼが使用可能である。このうち酸化剤として過酸化物を
使用するペルオキシダーゼには、西洋わさび製ペルオキ
シダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、カタラーゼ等があ
る。特に西洋わさび製ペルオキシダーゼは安価で入手し
やすく工業的に有用である。またチロシナーゼ、ラッカ
ーゼなどのオキシダーゼは、過酸化物以外に酸素を用い
て触媒として使用できる。さらに、上記過酸化物として
は、過酸化水素や過酸化ベンゾイル、過酸化ターシャル
ブチルなどの有機過酸化物であってもよい。
【0020】合成反応に用いる有機溶媒には、ジオキサ
ン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミドなどの水と均一混合するものの他
に、ベンゼンやトルエンなどの芳香族系溶媒があり、水
溶液としては、リン酸塩やホウ酸塩さらには酢酸塩から
なるpHが4〜10の範囲に調整された緩衡液を用いる
と良い。また上記有機溶媒と緩衡液の任意の割合からな
る混合溶媒も合成溶媒として特に有用である。上記に示
すモノマー、触媒の添加量、溶媒、そのpHなどの反応
条件を調整することで共重合体の分子量は5,000以
上で合成することが可能である。
【0021】
【作用】本発明における製造方法は、触媒として酵素を
用い、しかもフェノール類とアニリン類からなる共重合
体を同一の反応系で実現できるものである。このため触
媒に用いる酸化還元酵素は、フェノール類やアニリン類
の酸化カップリング反応をおこすに充分な酸化能を有す
るペルオキシダーゼやオキシダーゼが使用される。他の
酸化還元酵素では酸化能が低く、カップリング反応が進
まないか、進んでも高分子量体は合成できない。特に西
洋わさび製ペルオキシダーゼは、酸化能が高くしかも量
産されて安価であり、工業的に極めて有用である。酵素
量は溶媒100mlあたり2〜100mgが好ましい。
酵素量が2mg未満では、低分子量体だけが合成され
る。また、100mg以上添加しても、酵素活性はそれ
以上は高くはならず、コストの面で不利である。しかも
副生成物ができ易く、高分子量体の収率が低下する欠点
がある。
【0022】過酸化物はラジカル重合触媒であり、安価
で多種多様な特徴を持つ有機過酸化物が市販されてい
る。特に、本発明における酵素触媒による共重合体の合
成では、過酸化水素が取り扱い容易であり、酵素との反
応性に富み実用上重要である。無機過酸化物も酵素を失
活させない限り使用可能である。一方、オキシターゼ酵
素のときは、反応溶液に酸素を吹き込むことによっても
合成反応を進行させることができる。通常は空気を所定
量、一定速度で吹き込めば良く、簡単な装置で合成が行
える利点がある。以上、酸化剤である過酸化物や酸素は
総モノマー量に対し、0.5〜3倍等量添加することが
望ましい。0.5倍等量未満では反応が充分進行せず、
低分子量体しか合成できない。また3倍等量以上添加す
ると、メカニズムについては詳細にわかってはいない
が、酵素が失活してやはり低分子量体しか合成されず副
生成物が大量にできる結果となる。
【0023】以上の割合で触媒量を設定した場合、フェ
ノール類およびアニリン類からなるモノマーの総量は、
100ml溶媒中5〜500ミリモルが望ましい。5ミ
リモル未満では反応速度が遅く、低分子量体しか生成し
ない。また500ミリモル以上は溶媒に溶け難くなり、
よって酵素の反応速度が低下し分子量、収率ともに低下
する傾向が見られる。また未反応のまま原料回収される
割合が増加し、コスト面で不利である。
【0024】溶媒については,有機溶媒、水溶液または
両者を任意の割合で混合した溶液のいずれでも使用でき
る。有機溶媒は、生成する高分子量体の溶解性が高いた
め分子量が高くなる傾向がある。一方水溶液は、酵素や
酸化剤の溶解が容易で活性が高いため、収率が高くなる
傾向がある。そこで、両者の利点を合わせ持つ、水/有
機溶媒混合系が最も好ましい。反応の均一性を求めるに
は、さらに水と均一化する極性の高い有機溶媒、例えば
ジオキサンやアルコールなどに50%以下の緩衡液を混
合するのが一般的である。緩衡液のpHが4〜10の範
囲が好ましいのは、pHが4未満では酵素が失活し、p
Hが10を越えるとモノマーの酸化電位が低下して副反
応が進行し易くなるからである。この結果、設定pHの
範囲外では分子量が延びず、収率も低くなってしまう。
【0025】この他の反応条件として、反応時間と温度
さらには反応雰囲気が考えられる。酵素を触媒とした共
重合反応では、特別な条件は必要とせず、標準的なもの
として室温、空気雰囲気下で24時間合成を進行させる
といったものが挙げられる。
【0026】本発明によって合成されるフェノール類と
アニリン類からなる共重合体は、汎用性、特に耐熱性が
良くしかも耐酸化性に優れるものである。上記に述べた
化学式である一般式(1)、(2)で示される構造がモ
ノマーとして良いのは、オルト位、パライ位さらにN位
が置換されることで、得られる共重合体の耐熱性、耐酸
化性能を向上できるためである。アニリン類ユニットの
含有量が5モル%未満の場合ではフェノール樹脂と同様
耐酸化性に劣る。一方導電性のフィルム材料として使用
するには、アニリン類高含有領域で合成を行えば良く、
高耐熱性が期待されるモノマーを選択すれば、100モ
ル%アニリン樹脂も使用可能である。
【0027】製造については、モノマー、酵素および過
酸化物の量比は、特に規定はないが溶媒100mlにた
いして酵素が5mg以上、過酸化物はモノマーに対して
等モル量付近が良い結果を与える。 さらにはフェノー
ル類とアニリン類とからなる総モノマー量は、共重合対
の分子量を5,000〜150,000の範囲にする場
合、5〜500ミリモルの間であることが望ましい。5
ミリモル未満では、5,000以上の分子量は得られ
ず、500ミリモルを越えると、溶媒への溶解度が低下
し収率、分子量ともに低下する傾向がみられる。
【0028】分子量が5,000以下の共重合体は、耐
熱性に劣り実用に向かない。一方、150,000以上
の分子量をもつ共重合体は、耐熱性は向上するが堅くて
脆い欠点がある。さらには溶媒に不溶となり、フィルム
化できないことも判明した。ここで緩衡液のpHは特に
問わない。一般的には4〜10の範囲が良いとされる
が、酸化還元電位とモノマーの反応性、さらに酵素の活
性の関係から、pHが7.0付近が望ましい。
【0029】
【実施例】実施例により本発明を説明する。 〔実施例1〕モノマーとして4-フェニルフェノール
(4-PP又はPPPと略称する。)とo-フェニレンジ
アミン(o-PDA)をそれぞれ50ミリモル用い、
1,4-ジオキサンとpHが7.0であるリン酸緩衡液
の80対20体積%からなる混合溶媒100mlに溶か
す。この溶液に西洋わさび製ペルオキシダーゼ(HR
P)を20mg添加し溶解させる。空気雰囲気下、室温
にて30%過酸化水素水溶液をモノマー総量に対して
0.2等量(この場合2.26ml)を徐々に上記溶液
に加えて反応を開始する。この後30分間隔で4回、同
量の過酸化水素を添加し(過酸化水素量はモノマー総量
に対し、トータル1等量)、24時間から72時間溶液
を攪拌して反応を進行させる。
【0030】反応時間を24時間とし、組成比を2対
1,1対1および1対2と変化させたときのゲルパーミ
エーションクロマトグラフ(GPC曲線)を図1に示
す。同図中に符号A、Bで示される2種類の共重合体
は、それぞれ図2、図3で示される組成、分子量を有し
ていた。図中の分子量はポレスチレンを標準として用い
た測定値を示す。この後重合時間を72時間まで延長す
ると、Bの組成、分子量はAに等しくなっていくことが
わかった。
【0031】溶液を減圧乾燥した後、水やエーテルで充
分洗浄した。合成された共重合体の分子量と収率は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフ(ジメチルホルムア
ミド溶媒;ポリスチレンスタンダード)より算出した。
反応時間72時間後の結果を表1に示す。また元素分析
から共重合体はほぼ両モノマーの1対1組成であること
が判った。さらに共重合体の耐光酸化と耐候性を調べる
ために、示差熱分析(DSC)により分解温度を測定し
た。具体的には、空気雰囲気で10℃/分で昇温して、
分解による発熱が開始する温度を分解温度とした。この
結果を表1〜4に示す。本実施例の共重合体の諸特性
を、本発明の製法により合成したポニアニリン及び現在
市販されているポリフェニレンオキシドの各諸特性と併
せて表6に示す。
【0032】〔実施例2〕実施例1に於いて各モノマー
50ミリモル用いるのに代わり、4-PPを95ミリモ
ル、o-PDAを5ミリモルとする以外は実施例1と同
様の条件で実験を行った。結果を表1〜4に示す。また
合成させた共重合体の組成比は、その仕込比に等しいこ
とが元素分析より判った。
【0033】〔実施例3、4〕実施例1に於いて各モノ
マー50ミリモル用いるのに代わり、モノマーの総量を
200ミリモルとし、フェノールモノマーとアニリンモ
ノマーとの仕込比を2対1(実施例3)、1対2(実施
例4)とする以外は実施例1と同様の条件で実験を行っ
た。その結果を表1〜4に示す。また合成された共重合
体の組成比は、その仕込比に等しいことが元素分析より
判った。
【0034】〔実施例5、6〕実施例1に於いて各モノ
マー50ミリモル用いるのに代わり、モノマーの総量を
5ミリモル(実施例5)、500ミリモル(実施例6)
と規定する以外は実施例1と同様の条件で実験を行っ
た。その結果を表1〜4に示す。
【0035】〔実施例7〜9〕実施例1に於いて4-フ
ェニルフェノールとo-フェニレンジアミンを用いる代
わりに、各モノマーとして、フェノール(PH)とアニ
リン(AN)を用いた例(実施例7)、p-アミノフェ
ノール(p-AP)とo-フェニレンジアミン(o-PD
A)を用いた例(実施例8)、さらにはp-エチルフェ
ノール(p-EP)と4-メチル-o-フェニレンジアミン
(MPDA)を用いた例(実施例9)の3種の組み合わ
せを用いる実施例を示し、実施例1と同様の条件で実験
を行った。その結果を表1〜4に示す。
【0036】〔実施例10,11〕実施例1に於いて各
モノマー50ミリモル用いるのに代わり、モノマーの総
量を3ミリモル(実施例10)、600ミリモル(実施
例11)とする以外は実施例1と同様の条件で実験を行
った例を示す。その結果を表1〜4に示す。
【0037】〔実施例12〜15〕実施例1に於いて過
酸化水素量を一定(1回0.2等量、トータル1等量)
で、西洋わさび製ペルオキシダーゼ量を20mg使用す
る代わりに、それぞれ2mg(実施例12)、100m
g(実施例13)とした例、及び西洋わさび製ペルオキ
シダーゼ量は一定(20mg)とし、過酸化水素量の1
回の添加量を0.2等量使用するのに代わって、それぞ
れ0.1等量(実施例14)、0.6等量(実施例1
5)とした例を示す。トータル量はモノマーに対して実
施例14の場合は0.5等量、実施例15の場合は3.
0等量となる。それら以外は実施例1と同様の条件で実
験を行った。それらの結果を表1〜4に示す。
【0038】〔実施例16〜19〕実施例1に於いて過
酸化水素量は一定(1回0.2等量、トータル1等量)
で、西洋わさび製ペルオキシダーゼ量を20mg使用す
る代わりに、それぞれ1mgとした例(実施例16)、
150mgとした例(実施例17)及び西洋わさび製ペ
ルオキシダーゼ量は一定(20mg)で、過酸化水素量
を1回あたり0.08等量(実施例18)、0.8等量
(実施例19)の例を示す。トータル量は、モノマーに
対して実施例18の場合は0.4等量、実施例19の場
合は4.0等量となる。それら以外は実施例1と同様の
条件で実験を行った。それらの結果を表1〜4に示す。
【0039】〔実施例20〜24〕実施例1の4-フェ
ニルフェノールに代わってフェノールを用いた実施例を
示す。さらに実施例1に於けるリン酸緩衡液(pH=
7.0)はそのままとし、1,4-ジオキサン80体積
%に代わって、100、50、0体積%含有する混合溶
媒を用いる例(実施例20〜22)、及び1,4-ジオ
キサンは80体積%のままとし、リン酸塩に代わって緩
衡液としてそれぞれ酢酸(pH=4.0)を用いた例
(実施例23)及びほう酸(pH=10)をそれぞれ2
0体積%用いた例(実施例24)を示し、それ以外は実
施例1と同様の条件で実験を行った。それらの結果を表
1〜4に示す。
【0040】〔実施例25,26〕実施例1に於いて、
リン酸緩衡液の代わりにそれぞれ酢酸緩衡液(pH=
3.0)を用いた例(実施例25)及びほう酸(pH=
11)緩衡液を用いた例(実施例26)を示し、それ以
外は実施例1と同様の条件で実験を行った。それらの結
果を表1〜4に示す。
【0041】〔実施例27,28〕実施例1に於いて、
1,4-ジオキサンの代わりに有機溶媒としてそれぞれ
メタノールを用いた例(実施例27)及びトルエンを用
いた例(実施例28)を示し、それら以外は実施例1と
同様の条件で実験を行った。それらの結果を表1〜4に
示す。
【0042】〔実施例29〕実施例1に於いて、過酸化
水素の代わりに酸化剤として有機過酸化物である過酸化
ベンゾイル(BPA)を30%水溶液として1回あたり
0.4等量(モノマーに対してトータル2倍等量添加)
用いる以外は実施例1と同様の条件で実験を行った。そ
の結果を表1〜4に示す。
【0043】〔実施例30〕実施例1に於いて、4-フ
ェニルフェノールに代わってフェノールを用い、しかも
西洋わさび製ペルオキシダーゼに代わってラクトペルオ
キシダーゼ(LPO)を50mg用いる以外は実施例1
と同様の条件で実験を行った。その結果を表1〜4に示
す。
【0044】〔実施例31〕実施例1に於いて、4-フ
ェニルフェノールに代わってカテコール(CAT)を用
い、触媒系としてチロシナーゼ(TYR)を50mgと
酸素を使用し、実験条件として反応溶液に毎分16ml
の空気を吹き込み反応を開始して24時間継続する以外
は実施例1と同様のモノマー、溶媒を使用した。その結
果を表1〜4に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】本発明により、酵素触媒を用いることで
モノマーの構造に関わりなく酸化カップリング反応が進
行され、しかも汎用樹脂としての諸特性を満たしたフェ
ノール/アニリンの共重合体がはじめて合成されるに至
った。そして、本発明によって製造されたフェノール/
アニリン共重合体は耐熱性及び耐酸化性に優れた特性を
有し、その用途は極めて有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるゲルパーミエーションクロマト
グラフ図。
【図2】共重合体Aの組成、分子量を示す図。
【図3】共重合体Bの組成、分子量を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗岡 秀治 宮城県仙台市太白区松ヶ丘41番1号 メゾ ン松ヶ丘205

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で示されるフェノー
    ル類モノマーと下記の一般式(2)で示されるアニリン
    類モノマーとの共重合体であって、該アニリン類モノマ
    ーを重合単位比率5モル%以上含有するフェノール/ア
    ニリン共重合体。 【化1】 ただし、R1〜R3はいづれも水素基、置換又は無置換の
    炭化水素基、アミノ基もしくは水酸基を示し、R4〜R6
    はいずれも水素基、置換又は無置換の炭化水素基もしく
    はアミノ基を示し,R7,R8はいずれも水素基もしくは
    置換又は無置換の炭化水素基を示す。
  2. 【請求項2】 共重合体の分子量が5,000〜15
    0,000である請求項1記載のフェノール/アニリン
    共重合体。
  3. 【請求項3】 下記の一般式(1)で示されるフェノー
    ル類モノマーと、下記の一般式(2)で示され、重合単
    位比率5モル%以上のアニリン類モノマーから合成され
    る耐熱性及び耐酸化性フェノール/アニリン共重合体。 【化2】 ただし、R1〜R3はいずれも水素基、置換又は無置換の
    炭化水素基、アミノ基もしくは水酸基を示し、R4〜R6
    はいずれも水素基、置換又は無置換の炭化水素基もしく
    はアミノ基を示し、R7,R8はいずれも水素基もしくは
    置換又は無置換の炭化水素基を示す。
  4. 【請求項4】 共重合体の分子量が5,000〜15
    0,000である請求項3記載の耐熱性及び耐酸化性フ
    ェノール/アニリン共重合体。
  5. 【請求項5】 ペルオキシダーゼ又はオキシダーゼを酸
    化還元酵素として用い、過酸化物又は酸素を酸化剤とし
    て用いてフェノール類モノマーとアニリン類モノマーと
    を溶媒中で共重合反応させることを特徴とするフェノー
    ル/アニリン共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 下記の一般式(1)で示されるフェノー
    ル類モノマーと下記の一般式(2)で示されるアニリン
    類モノマーとをペルオキシダーゼ又はオキシダーゼを酸
    化還元酵素として、過酸化物又は酸素を酸化剤としてそ
    れぞれ用いて溶媒中で共重合反応させることを特徴とす
    るフェノール/アニリン共重合体の製造方法。 【化3】 ただし、R1〜R3はいずれも水素基、置換又は無置換の
    炭化水素基、アミノ基もしくは水酸基を示し,R4〜R6
    はいずれも水素基、置換又は無置換の炭化水素基もしく
    はアミノ基を示し、R7,R8はいずれも水素基もしくは
    置換又は無置換の炭化水素基を示す。
  7. 【請求項7】 酸化還元酵素が溶媒100mlあたり2
    〜100mg、酸化剤がモノマーに対して0、5〜3倍
    等量であり、モノマーが5〜500ミリモルである請求
    項5又は請求項6記載のフェノール/アニリン共重合体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 有機溶媒又は水溶液もしくはそれらの混
    合物を溶媒として用い、そのpHが4〜10である請求
    項5又は請求項6記載のフェノール/アニリン共重合体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 酸化還元酵素が西洋わさび製ペルオキシ
    ダーゼである請求項5又は請求項6記載のフェノール/
    アニリン共重合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 過酸化水素が酸化剤である請求項5、
    請求項6又は請求項9記載のフェノール/アニリン共重
    合体の製造方法。
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