JPH07123089B2 - カレントトランス - Google Patents

カレントトランス

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JPH07123089B2
JPH07123089B2 JP61280383A JP28038386A JPH07123089B2 JP H07123089 B2 JPH07123089 B2 JP H07123089B2 JP 61280383 A JP61280383 A JP 61280383A JP 28038386 A JP28038386 A JP 28038386A JP H07123089 B2 JPH07123089 B2 JP H07123089B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、通電表示装置に使用され、負荷への通電路
に1次巻線を挿入し、2次巻線に発光ダイオードを接続
し、負荷への通電を検出して発光ダイオードを点灯させ
るカレントトランスに関するものである。
〔背景技術〕
家庭内配線設備等の中で、商用電源から白熱ランプ,螢
光ランプ等の負荷への通電をスイッチ本体で断続すると
ともに、負荷への通電を発光ダイオードの点灯でもって
表示するパイロットランプ内蔵型のスイッチ装置があ
る。
このようなスイッチ装置は、負荷電流が0.05Aから15Aま
での負荷に対して使用され、特に門柱灯,玄関灯への通
電を屋内でモニタするような用途に使用される。
第11図は上記のスイッチ装置の商用電源および負荷に対
する接続関係を示す回路図であり、一点鎖線で囲まれた
部分がスイッチ装置の回路構成で、スイッチ本体1とカ
レントトランス2の1次巻線と負荷(白熱ランプ,螢光
ランプ,電気器具等)3とが商用電源4に対し直列に接
続され、カレントトランス2の2次巻線に発光ダイオー
ド5を接続している。
この回路においては、スイッチ本体1をオンにすると、
商用電源4から負荷3を通してカレントトランス2の1
次巻線に1次電流I1が流れ、カレントトランス2の2次
巻線に接続された発光ダイオード5が2次電流I2でもっ
て点灯することになる。
発光ダイオード5の光出力は、発光ダイオード5への通
電電流に比例するが、この特性は負荷電流量,カレント
トランス2の特性,発光ダイオード5の特性に依存す
る。
使用に供されることの多い門柱灯や玄関灯は負荷が10W
以下と小さいため、負荷電流が小さく、発光ダイオード
電流,光出力が小さくなる。ところが、使用者側から見
れば、通電を確認するためのものであるから、負荷がど
のような値であろうとも、一定レベル以上の光出力が得
られることが必要である。
カレントトランス2は、上記の点を考慮に入れて設計さ
れるが、特に磁芯の材質・特性により、その寸法,電気
特性が制限される。
第12図は負荷電流が0.1Aから4Aまでの定格のスイッチ装
置(松下電工(株)製のWN5241)の外観斜視図を示し、
第13図は下ハウジングの断面図を示し、第14図は下ハウ
ジングの平面図を示している。このスイッチ装置は、下
ハウジング11に上ハウジング12を被せた構造であり、下
ハウジング11の内部空間の片側にカレントトランス13を
収容するとともに、もう片側に接点部,ばね等(図示せ
ず)を収容してあり、上ハウジング12にシーソ形のつま
み14を取付け、このつまみ14の回動によって接点を開閉
するようになっている。つまみ14には、窓が設けられ、
発光ダイオード15の発光部分が窓から露出した状態に発
光ダイオード15が一体固定されている。
カレントトランス13は、第15図に示すように、円柱状中
央脚と両側脚をもつフェライトコア21および略I形のフ
ェライトコア22と1次巻線23および2次巻線24とからな
り、コア21の巻線収容凹部21aに1次巻線23および2次
巻線24を同心に嵌込み、コア22をコア21の円柱状中央脚
および両側脚に接着剤で接合し、コア21,22で閉磁路を
構成している。このカレントトランス13の外形寸法a,b,
c1,c2はそれぞれ16.5mm,15mm,3.75mm,3.75mmである。
このようなスイッチ装置は、小形,軽量化の要求が強い
が、カレントトランス13は、現状では、光出力の点から
上記の寸法以下にすることができない。
また、第15図に示したコア21,22の形状では、製法上、
金型構造が複雑であり、フェライト焼結時の収縮により
形状寸法のばらつきが大きく、また、コア21,22の結合
を高めるために突き合せ面の研磨が必要である等の理由
からコスト高になるという欠点があった。スイッチ装置
の小形化のためには、カレントトランスの小形化が大き
な課題であった。
カレントトランスの磁芯として使用される材料として、
アモルファス磁性材料がある。このアモルファス磁性材
料は、物理的機械的特性や磁気特性がフェライトや他の
磁性材料と著しく異なる。超急冷法で作られるアモルフ
ァス薄帯は、厚みが50μm以下、ビッカース硬度が約10
00で、結晶構造をもたず、磁気異方性が小さい等の特徴
がある。その組成は、大別して、磁性を示すFe,Co,Ni,
を主要素とし、Si,B,P,C,Ge等を非晶質形成元素として
含んでおり、例えばFe78Si12B10,Fe40Ni38Mo4B18,Fe81B
13.5Si3.5C2,Fe67Co18B14Si1等がある。上記組成の合金
を溶融して約300℃/sec以上の冷却速度で急激に冷却す
ると、合金は結晶質とならず、非晶質状態で凝固する。
すなわち、きわめて短時間に薄帯状のアモルファス磁性
材料が得られる。
従来のけい素鋼帯の製法によれば、100μm程度の厚み
の鋼板を得ることができるが、何回も圧延工程が必要で
あり、長時間を要しランニングコストが高いため、素材
が高価なものとなっていた。フェライトコアについて
も、焼結工程が長いため、同様の欠点があった。
これに対し、アモルファス磁性材料は、製造工程が短
く、安価に作成可能である。しかし、硬く薄い帯状の材
料であって、加工困難であるという理由からトランスと
しての実用化は遅れている。
スイッチ装置用のカレントトランスのように、限られた
スペースに収容する必要があって小形化が要求され、ま
た発光ダイオードを点灯させるカレントトランスについ
て磁芯としてアモルファス磁性材料を使用するという例
は過去になく、その挙動,特徴等については全く明らか
になっていない。
〔発明の目的〕
この発明の目的は、2次巻線に接続される発光ダイオー
ドの光出力を増加させることができ、しかも小形,軽
量,低コスト化を達成することができるカレントトラン
スを提供することである。
〔発明の開示〕
この発明のカレントトランスは、磁芯に巻装した1次巻
線を通電検出用電路に介挿し前記磁芯に巻装した2次巻
線に発光ダイオードを接続したカレントトランスにおい
て、 前記磁芯を、以下の(イ),(ロ),(ハ)の組成のア
モルファス磁性材料で磁路に空隙のない形状に形成した
ことを特徴とする。
(イ)2〜15原子%のCr (ロ)合計量が10〜27男子%のSiおよびB ただし、Bの濃度は5原子%以上 (ハ)残部が実質的にFe 以下、この発明を詳細に説明する。
この発明は、カレントトランスの磁芯をFeCrBSi系アモ
ルファス磁性材料を用いて形成することにより上記目的
を達成したもので、従来にない効果をもつものである。
前述したように従来のフェライト磁芯に代わるものとし
て、アモルファス磁性材料からなるアモルファスの磁芯
が有用であることを示した。この点に着目して鋭意研究
を重ねた結果、以下のことが判明した。従来から知られ
ているアモルファス磁性材料であるFeBSi系,FeNiBSi系,
CoFeBSi系といったものは、特性を向上させるために
は、磁路方向に磁場を印加させて熱処理することが必要
となる。しかし、磁路方向に磁場を印加するためには、
磁芯に耐熱線で巻線を施して通電するか、あるいは磁芯
の中心に導線を配置して大電流を流すといった複雑な作
業が必要となり、これがコスト高の原因となる。この点
に注目して、さらに鋭意研究を重ねた結果、以下の
(イ),(ロ),(ハ)の組成のアモルファス磁性材料
を用いて磁芯を形成すれば、無磁場中で熱処理しても優
れた特性、すなわち2次巻線に接続される発光ダイオー
ドの光出力増加,小形,軽量,低コスト化を得られるこ
とが判明した。
(イ)2〜15原子%のCr (ロ)合計量が10〜27原子%のSiおよびB ただし、Bの濃度は5原子%以上 (ハ)残部が実質的にFe ここで、上記アモルファス磁性材料の組成範囲について
説明を加える。まず、Fe基としたのは、Fe基アモルファ
ス磁性材料は、他のアモルファス磁性材料と比較すると
コストが安く、飽和磁束密度が高いためである。また、
Crは無磁場熱処理で磁芯特性を良好にするために必要な
元素であり、含有率2〜15原子%としたのは、これより
Cr濃度が低くなると、無磁場熱処理をしたときに特性が
劣化し、またこれよりCr濃度が高くなると、キュリー温
度および飽和磁束密度が低くなって実用性がなくなるか
らである。特に、3〜10原子%Crの組成では、磁芯の特
性が良好となる。また、B,Siは、アモルファス形成のた
めに必要な元素であり、その合計量を10〜27原子%とし
たのはこの組成範囲外ではアモルファス形成が困難とな
るためである。特に、Bが5原子%未満となるとアモル
ファスの形成が困難となる。この組成範囲内なら一応目
的とする磁芯が得られるが、特性を向上するためには、
8〜10原子%B,10〜15原子%Siの組成範囲にあることが
望ましい。
実施例 この実施例においては、カレントトランスの磁芯はアモ
ルファス薄帯を用いて構成される。このアモルファス薄
帯は、所定の組成を有する母合金を用い、大気中単ロー
ル法で、厚さ約25μm,幅d1=4mmのものを作成した。こ
れを巻回して内径d2=7mm,外径d3=14mmのトロイダル形
状にしたものを、N2雰囲気中で、所定温度(キュリー温
度以上で結晶化温度以下)で2時間熱処理して、磁芯と
した。なお、熱処理後の冷却方法は、無磁場で熱処理し
たものは、低温熱処理による磁壁のピンニングを防ぐた
めに、熱処理後炉より取り出して空冷し、また磁場中で
熱処理した場合は、誘導磁気異方性を充分につけるため
に5℃/minで炉中冷却をした。こうして作成された磁芯
31を第1図(a)に示した。
その後、磁芯31の固定維持のために、アロンパウダー
(東亜合成(株)製EL−3000)を使用し、樹脂による粉
体塗装を行った。第1図(b)は粉体塗装後の磁芯31を
示し、コアエッジコーナは樹脂で覆われているため、後
処理で巻線を行う際の断線の危険はない。
第1図(c)はトロイダル巻線機を使用して磁芯31に2
次巻線32を巻装した後の状態を示し、第1図(d)はさ
らにその上に1次巻線33を巻装した状態、すなわち完成
品のカレントトランスを示している。
このように、アモルファス薄帯を使用して作成したカレ
ントトランスの形状は、従来のフェライトコアを用いた
カレントトランスとはかなり異なった形状となる。
フェライトコアが2分割で突き合せ部を有するのに対
し、この磁芯31では、磁路が連続してギャップを有して
おらず、しかもアモルファス薄帯の長手方向が磁路方向
と一致するため、磁束が通りやすいという特徴がある。
第1表に従来のフェライト磁芯を用いたカレントトラン
スとアモルファス薄帯で構成したアモルファス磁芯を用
いたカレントトランスの構造の差を示す。
第2表から明らかなように、アモルファス磁芯を用いた
カレントトランスとフェライト磁芯を用いたカレントト
ランスとを比較すると、アモルファス磁芯を用いたもの
は、フェライト磁芯を用いたものに比べ、コア重量で約
50%、外形体積で約60%になっていて、カレントトラン
スの小形,軽量化が図れる。
カレントトランス作成後、実際に使用する電気回路を形
成し、上記両カレントトランスの電気特性の比較を行っ
た。第2図は測定回路を示すもので、41は60Hzの商用電
源、42は負荷、43はカレントトランス、44は両方向性の
発光ダイオードである。発光ダイオード44としては、Ga
P系発光ダイオード(鹿児島松下電子(株)製LN−020RC
P)を使用し、カレントトランス43の2次側に接続し
た。また、負荷42としては、60Wの白熱ランプ使用し、
カレントトランス43の1次巻線に直列に接続した。そし
て、負荷電流(1次電流I1)を変化させながら、発光ダ
イオード電流ID(2次電流)および発光ダイオード電圧
VDを測定した。
1次電流(実効値)I1を0.1Aから1Aまで変化させながら
発光ダイオード電流(実効値)IDを測定したときの代表
的な磁芯材料の1次電流I1と発光ダイオード電流IDの関
係を第3図に示す。第3図において、破線A1は無磁場で
熱処理した組成Fe71Cr5B9Si15のアモルファス磁芯の特
性を、実線A2は磁場中で熱処理した組成Fe75B15Si10
アモルファス磁芯の特性を、一点鎖線A3は無磁場で熱処
理した組成Fe75B15Si10のアモルファス磁芯の特性を、
実線A4は従来のフェライト磁芯の特性をそれぞれ示して
いる。この図から明らかなように、アモルファス磁芯で
は、フェライト磁芯の場合より、同じ1次電流値に対し
て高い発光ダイオード電流値(2次電流値)を発生して
いる。発光ダイオード電流IDと発光ダイオードの光出力
との関係は、発光ダイオードの組成,反射板形状により
異なるが、この発光ダイオードの場合、点灯,消灯を人
が目視確認できるためには、発光ダイオード電流IDが1.
5mA以上必要である。第3図を見ると、アモルファス磁
芯の場合は、フェライト磁芯に較べると、いずれも少な
い1次電流I1で発光ダイオードを点灯させることがで
き、それだけ1次電流I1の帯域が広がったことになり、
特性的に優れていることになる。このような見地から考
えて、一定の1次電流I1を流したときに、2次側の発光
ダイオード電流IDが大きいほど、カレントトランスとし
ての特性が良好なことがわかる。
ここで、第3図に示した3種類のアモルファス磁芯を用
いたカレントトランスについて比較する。同一の1次電
流I1に対して、発光ダイオード電流IDは、無磁場で熱処
理した組成Fe75B15Si10のアモルファス磁芯の場合が最
も小さく、磁場中で熱処理した組成Fe75B15Si10のアモ
ルファス磁芯の場合と無磁場で熱処理した組成Fe71Cr5B
9Si15のアモルファス磁芯の場合とはほぼ同じ値をとっ
ている。つまり、今回見出されたアモルファス磁性材料
(Fe71Cr5B9Si15)を用いると、従来のアモルファス磁
性材料(Fe75B15Si10)を磁場中で熱処理したものと同
じ特性を、無磁場熱処理で得ることが可能なことがわか
る。
つぎに、1次電流I1が0.2Aのときの、これらのカレント
トランスの発光ダイオード電圧VDおよび発光ダイオード
電流IDの波形を第4図ないし第7図に示す。第4図
(a),(b)は無磁場で熱処理した組成Fe71Cr5B9Si
15のアモルファス磁芯を用いたカレントトランスの発光
ダイオード電圧VDおよび発光ダイオード電流IDを示し、
第5図(a),(b)は磁場中で熱処理した組成Fe75B
15Si10のアモルファス磁芯を用いたカレントトランスの
発光ダイオード電圧VDおよび発光ダイオード電流IDを示
し、第6図(a),(b)は無磁場で熱処理した組成Fe
75B15Si10のアモルファス磁芯を用いたカレントトラン
スの発光ダイオード電圧VDおよび発光ダイオード電流ID
を示し、第7図(a),(b)はフェライト磁芯を用い
たカレントトランスの発光ダイオード電圧VDおよび発光
ダイオード電流IDを示している。これらの図から、フェ
ライト磁芯を用いたカレントトランスは、発光ダイオー
ド電圧VDの立ち上がりが遅く通電時間が短いのに対し、
磁場中熱処理した組成Fe75B15Si10のアモルファス磁芯
を用いたカレントトランスおよび無磁場熱処理した組成
Fe71Cr5B9Si15のアモルファス磁芯を用いたカレントト
ランスは、発光ダイオード電圧VDの立ち上がりが早く実
効電流が大きいことがわかった。
さらに、60Hzにおける交流B−H特性を上記4種類の材
料で形成した磁芯について測定した。この測定結果を第
8図に示す。第8図において、(a)は無磁場で熱処理
したFe71Cr5B9Si15のアモルファス磁芯の場合を、
(b)は磁場中で熱処理した組成Fe75B15Si10のアモル
ファス磁芯の場合を、(c)は無磁場で熱処理した組成
Fe75B15Si10のアモルファス磁芯の場合を、(d)はフ
ェライト磁芯の場合をそれぞれ示している。この図か
ら、アモルファス磁芯は、フェライト磁芯に比べて飽和
磁束密度が高く、磁場中で熱処理した組成Fe75B15Si10
のものおよび無磁場で熱処理した組成Fe71Cr5B9Si15
ものは、保磁力が小さく、かつ磁場に対する磁化の変化
が大きいことがわかった。
これらの事実を綜合すると、アモルファス磁芯を用いた
カレントトランスはフェライト磁芯を用いたカレントト
ランスに比べて、小形であるにもかかわらず、優れた特
性を示し、また今回見出した組成Fe71Cr5B9Si15のもの
では、従来の組成Fe75B15Si10のものを磁場中で熱処理
したものと同程度の特性が得られることが判明した。
つぎに、アモルファスの組成依存を調べた。具体的に
は、前述した方法で各種組成を有する磁芯を作成し、そ
の発光ダイオード電流特性を調べた。第2表に、カレン
トトランスの1次電流I1を0.1Aとしたときの2次側の発
光ダイオード電流IDの測定結果を示す。
なお、第2表において、No.1,No.6,No.7,No.10のもの
は、前記した4種類の磁芯を用いたカレントトランスに
ついての測定結果で、他は新たに作成したものである。
また、比較例で、熱処理時に磁場方向に印加した磁場は
10Oeである。
上記第2表からわかるよう今回見出した組成のカレント
トランスの特性は、従来の組成のアモルファス磁芯で無
磁場熱処理したものを用いたカレントトランスの特性を
上まわり、磁場中熱処理された従来組成のアモルファス
磁芯の特性と同等となっていることが判明した。したが
って、この組成を有するアモルファス磁芯を用いること
によって熱処理中に、磁路方向に磁場を印加させるとい
う複雑な作業を省略することができ、コストダウンが可
能となった。
なお、本実施例では、アモルファス磁芯として、薄帯を
巻いてトロイダル形状の磁路にギャップのない巻磁芯を
作成したが、けい素鋼板や電気鉄板と同様に、積層コア
やカットコア形状のものも作成できる。積層コアは、例
えば、板厚方向にE形状に磁性板を打ち抜き、これを多
層に積み重ねたものである。また、カットコアは、巻磁
芯を作成後、磁路の一部を切断したものである。積層コ
ア,カットコアの特徴は、いずれも磁路が分割されてい
るから、閉磁路を形成するために、突き合せ部(ギャッ
プ面)を有することである。
ところが、本発明のカレントトランスの磁芯形状として
は、試作,実験の結果、積層コア,カットコア等よりも
トロイダル形状の巻磁芯が優れていることを発見した。
試作は、同一のコア磁路断面積と磁路長にして、形状の
種々異なるもの(トロイダルコア,E形コア,カットコ
ア)を作った。
第9図(a)は積層コア(E形コア)の外観斜視図を示
し、第9図(b)はカットコアの外観斜視図を示し、第
10図はコア形状に対応する発光ダイオード電流特性を示
している。この図から、発光ダイオード電流値は、トロ
イダルコアがきわめて優れた特性を示すことがわかる。
この理由については明らかではないが、E形コア,カッ
トコアではギャップを有するため、突き合せ部で渡り磁
束,漏れ磁束,うず電流が発生し、トロイダルコアで
は、このような問題がないためと考えられる。この実験
により、ギャップを有するコアは発明のカレントトラン
スの磁芯としては不適当であることがわかった。
ギャップのない磁芯としては、トロイダル形状の巻磁芯
の他、楕円状のカットを有しない巻磁芯、またはリング
状に打ち抜きそれを積層したリングコア等で形成でき、
上記実施例と同様の効果が得られる。
ここで、本実施例の効果をまとめて記す。発光ダイオー
ドを2次負荷とするカレントトランスにおいて、磁芯
を、所定の組成のアモルファス磁性材料で磁路に空隙の
ない形状に形成したため、発光ダイオードの光出力を大
幅に増加させることができ、パイロットランプ内蔵型の
スイッチ装置のの電流帯域が広がり、また小形,軽量化
を実現でき、これを用いたスイッチ装置の小形化も図
れ、さらにアモルファスの材料コストが低いことから大
幅なコストダウンを実現できる。
なお、本発明は、発光ダイオードとアモルファス磁性材
料という特殊な組み合せでの発見に基づくものであるか
ら、発光ダイオードの組成,アモルファス磁芯材料の熱
処理条件等については限定されない。
ここで、キュリー温度以上の温度で熱処理するのが好ま
しい理由、ならびに結晶化温度以下で熱処理する理由に
ついて説明する。
アモルファス磁性材料の製法は、先にも述べたように、
合金を溶融して例えば回転ロール上に落下させ、例えば
回転ロールで104〜105℃/sec程度の冷却速度(液体急冷
法)で急激に冷却することにより薄帯状のアモルファス
磁性材料を形成するという方法である。このような方法
によって薄帯状のアモルファス磁性材料が作成される
が、薄帯内部に急冷時の応力歪が存在し、このままでは
磁気特性が劣り、実用に供しないものである。
薄帯状のアモルファス磁性材料の残留応力を除去し、そ
の磁気特性を改善するには、一般に短時間の熱処理を行
う。アモルファスは、非晶質状態であるから、結晶化温
度TX以上では結晶化してしまうので、アモルファスの熱
処理温度Tは、 T<TX に制限され、結晶化温度TXは、物質,組成によっても異
なるが、大体350℃〜500℃程度である。
ところで、発光ダイオードの出力を向上させるために
は、アモルファス磁性材料の熱処理法にもう一つの条件
がある。発光ダイオードの出力を向上させるため、従来
材料のアモルファス磁性合金であるFeNiBSi系、CoFeBSi
系の材料といったものでは、特性を向上させるために、
磁場を印加した磁場中熱処理を行わなければならず、複
雑な工程を用いていた。
ここで、アモルファス磁性材料の温度Tと磁化Mの関係
を第16図に示す。この第16図では、温度Tが上がると磁
化Mは減少していくが、キュリー温度TCで磁化Mは0
で、強磁性体から常磁性体に変わり、結晶化温度TXを超
えると、磁化Mが再び増加して強磁性体に戻るという特
性を示す。
従来合金では、磁場中熱処理を行うが、この意味は、 残留応力の除去(前述) 磁路方向に誘導磁気異方性を与え、発光ダイオード
の出力を増加させるということである。この観点から、
一般にキュリー温度TCよりもわずかに低い温度(第16図
中のAの温度)で磁場を印加しながら、熱処理してい
た。これは、コアの磁化が存在する状態で磁場をかける
ことを意味する。
この工程は非常に複雑であった。なぜなら、磁場をかけ
るためには、トロイダル状のコアの周囲にワイヤリング
を行い通電しなければならないからである。
これに対し、本件発明者らは、無磁場で熱処理を行い、
かつ発光ダイオードの出力を改善させることができない
かと考えたものであり、実験の結果、上記実施例に示し
た組成の場合においては、発光ダイオードの出力を改善
できることが確認できたのである。
無磁場で熱処理するには、キュリー温度以上が望ましい
ことが明確となっている(実験的に)。これは、キュリ
ー温度以下で無磁場熱処理すると、コアに磁化が存在す
るため、悪影響を及ぼすからである。
以上のような観点から、熱処理はキュリー温度以上が好
ましいのである。
〔発明の効果〕
この発明のカレントトランスによれば、アモルファス磁
芯材料の組成を、 (イ)2〜15原子%のCr (ロ)合計量が10〜27原子%のSiおよびB ただし、B濃度は5原子%以上 (ハ)残部が実質的にFe としたため、同一の1次電流に対し2次電流を増加させ
ることができ、したがって2次巻線に接続される発光ダ
イオードの光出力を増加させることができる。しかもア
モルファス磁芯材料を用いているため、小形,軽量,低
コスト化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)はこの発明の一実施例のカレントトランス
の磁芯の斜視図、第1図(b)は磁芯の粉体塗装後の斜
視図、第1図(c)はカレントトランスの2次巻線の巻
装後の斜視図、第1図(d)は同じく1次巻線の巻装後
の斜視図、第2図はカレントトランスの1次電流と発光
ダイオード電流の関係の測定のための回路を示す回路
図、第3図はカレントトランスの1次電流と発光ダイオ
ード電流の関係を示す特性図、第4図ないし第7図は各
種磁性材料からなる磁芯を用いたカレントトランスにお
ける発光ダイオード電圧および発光ダイオード電流の波
形図、第8図は各種磁性材料からなる磁芯を用いたカレ
ントトランスの60Hzにおける交流B−H特性図、第9図
はE形コアおよびカットコアの斜視図、第10図はコアの
種類と発光ダイオード電流との関係を示すグラフ、第11
図は従来のパイロットランプ内蔵型のスイッチ装置の回
路図、第12図はスイッチ装置の斜視図、第13図はその要
部断面図、第14図は同じく要部平面図、第15図は従来の
カレントトランスの分解斜視図、第16図はアモルファス
磁性材料の温度Tと磁化Mの関係を示す特性図である。 31……磁芯、32……2次巻線、33……1次巻線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01H 9/16 A H01F 1/14 C (56)参考文献 特開 昭55−39183(JP,A) 特開 昭60−103160(JP,A) 特開 昭60−216511(JP,A) 特開 昭58−75822(JP,A) 特開 昭59−213116(JP,A) 特開 昭60−30103(JP,A) 実開 昭60−174136(JP,U)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁芯に巻装した1次巻線を通電検出用電路
    に介挿し前記磁芯に巻装した2次巻線に発光ダイオード
    を接続したカレントトランスにおいて、 前記磁芯を、以下の(イ),(ロ),(ハ)の組成のア
    モルファス磁性材料で磁路に空隙のない形状に形成した
    ことを特徴とするカレントトランス。 (イ)2〜15原子%のCr (ロ)合計量が10〜27原子%のSiおよびB ただし、Bの濃度は5原子%以上 (ハ)残部が実質的にFe
  2. 【請求項2】前記アモルファス磁性材料はキュリー温度
    以上の温度でかつ結晶化温度以下の温度で熱処理してい
    る特許請求の範囲第(1)項記載のカレントトランス
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